JP5794767B2 - スティック化粧料 - Google Patents
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しかしながら、粉体を組み合わせる場合には違和感を生じる、ワックス量を減らして柔らかくする場合にはケア性能の持続性が低下する、植物系ワックスを使用する場合はいやな臭いや着色があり、また、油剤とワックスの極性を調節することでは温度に対する硬度の安定性が低下する、などの問題があった。
特に、荒れやすく敏感な部位に用い、ケア効果を必要とする化粧料においては、ケア効果を維持しつつ、柔らかさと温度に対する硬度安定性を両立するには十分でなかった。
(A)マイクロクリスタリンワックスを含む炭化水素ワックスを全組成中に12〜40質量%と、
(B)25℃における粘度が100〜100000mPa・sで、比誘電率が2.5未満の液状炭化水素油剤を全組成中に25〜60質量%と、
を含有し、マイクロクリスタリンワックスは成分(A)を含む全ワックス中に40〜80質量%であり、25℃における粘度が100〜100000mPa・sで、比誘電率が2.5未満の液状炭化水素油剤は全液状油剤中に70質量%以上であって、30℃における組成物の針入硬度が0.06〜0.25N/mm2であるスティック化粧料を提供するものである。
また、成分(A)炭化水素ワックスは、柔らかさやつきの良さ、ケア効果の点で、全ワックス中に80〜100質量%含有されることが好ましい。
また、液状油剤の比誘電率は、25℃にてポータブル式誘電率測定器(日本ルフト社)を用いて測定したものである。
ここで、液状油剤とは、25℃で流動性があり、傾けると流れ出る油剤のことであり、ワセリンのようなペースト状の油性成分は含まない。
また、比誘電率が2.5(25℃)未満の炭化水素以外の液状油剤としては、ジメチルポリシロキサン等の非極性〜低極性の液状油剤が挙げられる。
これら誘電率が2.5(25℃)以上の液状油剤は、タッチの柔らかさとケア効果、また温度に対する硬度安定性との兼ね合いの観点から、全組成中に20質量%以下、特に15質量%以下、さらに10質量%以下であることが好ましい。
本発明において「針入硬度」とは、不動工業社製のレオメーターを用い、30℃にて、冶具の直径が2mmでtable speedが2mm/sの速さで、冶具が深さ2mmまで針入した時の最大値を、単位面積当たりに換算したものである。
成分(C)の両親媒性アミド脂質としては、ジアミド誘導体、セラミド類、プソイドセラミド及びスフィンゴ糖脂質から選ばれるものが用いられる。特に、ジアミド誘導体、セラミド類が好ましい。
ジアミド誘導体としては、下記の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
本発明において、これら半固体(ペースト状)の油性成分のうち、ワセリンのようなペースト状炭化水素は、成分(B)液状炭化水素油剤との関係から、0〜40質量%含むことが好ましい。
体質顔料としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料及びこれらの複合粉体が挙げられる。
これらの色材は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施したものを用いることもできる。
以下に示す方法により、表1に示す組成のリップクリームを製造した。
得られたスティック状のリップクリームについて、針入硬度、水分閉塞性、温度に対する硬度安定性(保形性)の各性状を測定し、また、塗布時のタッチの柔らかさ、塗布時のつきの良さ、塗布時の密着性、ケア効果感とその持続性、乾燥感のなさとその持続性、突っ張り感のなさとその持続性を評価した。結果を併せて表1に示す。
表1の原料を100℃で加熱溶解して均一に混合し、リップクリームのバルクを得た。そのバルクを70℃にてリップ用容器に直接充填し、冷却固化して、スティックのリップクリームを得た。
(1)針入硬度:
測定サンプルは、バルクを90℃に加熱し、直径のアルミ製のセルに流し込み20℃で冷却固化させ、30℃に2時間置いたものである。このサンプルを不動工業社製のレオメーターを用い、30℃にて、直径2mmの冶具にて測定を行った。Table speedが2mm/sの速さで冶具が深さ2mmまで針入した時の最大値を、単位面積当たりに換算したものを求めた。
ガラス製試薬瓶(開口部1.5cmφ)に水10ccを入れ、サンプルを25μmの厚みになるように濾紙(東洋濾紙社、メンブランフィルター;細孔径0.2μm)の片面に塗布し、これで開口部を覆う。これを30℃、30%RHの条件に12時間静置したときの試薬瓶の重量減少(水分減少量)を測定する。サンプルを塗布していない濾紙で覆った場合の重量減少と比較し、以下の式で水分閉塞性とした。
○:水分閉塞性75%以上87%未満。
△:水分閉塞性60%以上75%未満。
×:水分閉塞性60%未満。
針入硬度の測定に用いたサンプルと同様の方法で作成したサンプルを、40℃の温度に保存し、硬度の安定性評価を行った。保存したサンプルを6ヵ月経過後取り出して30℃に2時間置いた後、針入硬度の測定方法に従って測定した。初期の針入硬度を100とした時の6ヵ月後の保持率を目安とした。
◎:保持率85%以上。
○:保持率70%以上85%未満。
△:保持率50%以上70%未満。
×:保持率50%未満。
専門パネラー10名により、各リップクリームを唇へ塗布したときのタッチの柔らかさを官能評価した。良好であると評価したパネラーの人数で示した。
専門パネラー10名により、各リップクリームを唇へ塗布したときのつきの良さを官能評価した。良好であると評価したパネラーの人数で示した。
専門パネラー10名により、各リップクリームを唇へ塗布したときの密着感を官能評価した。良好であると評価したパネラーの人数で示した。
専門パネラー10名により、各リップクリームを唇へ塗布した直後、及び3時間後のケア効果感を官能評価した。良好であると評価したパネラーの人数で示した。
専門パネラー10名により、各リップクリームを唇へ塗布した直後、及び3時間後の乾燥感のなさを官能評価した。良好であると評価したパネラーの人数で示した。
専門パネラー10名により、各リップクリームを唇へ塗布した直後、及び3時間後の突っ張り感のなさを官能評価した。良好であると評価したパネラーの人数で示した。
*2:マイクロクリスタリンワックス2:Multiwax W−835(針入度78;SONNEBORN, INC)
*3:マイクロクリスタリンワックス3:精製マイクロクリスタリンワックス(針入度30;日興リカ社)
*4:ポリエチレンワックス1:PERFORMALENE PL POLYETHYLENE(針入度<1;NEW PHASE TECHNOLOGIES社)
*5:ポリエチレンワックス2:PERFORMALENE 400(針入度15;NEW PHASE TECHNOLOGIES社)
*6:ポリエチレンワックス3:PERFORMALENE 655(針入度2;NEW PHASE TECHNOLOGIES社)
*7:パラフィンワックス1:HNP−9(針入度7;日本精鑞社)
*8:パラフィンワックス2:Paraffin wax 155(針入度15;日本精鑞社)
*9:パラフィンワックス3:SP3040(針入度14;日本精鑞社)
*10:セレシン#810(針入度11;日興リカ社)
*11:Lipwax A−4(針入度<1;日本ナチュラルプロダクツ社)
*12:精製キャンデリラワックスSR−2(針入度1;ミツバ貿易社)
*13:ゴールデンブランド(針入度15;三木化学工業社)
*14:パールリーム18(粘度26200、比誘電率2.20;日油社)
*15:パールリーム24(粘度70600、比誘電率2.20;日油社)
*16:モレスコホワイトP500(粘度161、比誘電率2.17;松村石油社)
*17:モレスコホワイトP350(粘度111、比誘電率2.17;松村石油社)
*18:オイタノールG(比誘電率2.70;コグニスジャパン社)
*19:精製ホホバ油(比誘電率2.70;香栄興業社)
*20:エルデュウPS−203(比誘電率7.91;味の素)
*21:サンオイルGTI−D(比誘電率3.15;太陽化学)
*22:SH556 FLUID(比誘電率2.70;東レ・ダウコーニング社)
表2及び表3に示す組成のリップクリームを実施例1〜6と同様に製造し、それらについても表1と同様に、針入硬度、水分閉塞性、温度に対する硬度安定性(保形性)の各性状を測定し、また、塗布時のタッチの柔らかさ、塗布時のつきの良さ、塗布時の密着性、ケア効果感とその持続性、乾燥感のなさとその持続性、突っ張り感のなさとその持続性を評価した。結果を併せて表2及び3に示す。
表2及び表3の本発明のリップクリームは、いずれも水分閉塞性や温度に対する硬度安定性(保形性)が良好で、同時に塗布時のタッチの柔らかさやつきの良さを兼ね備えたものであり、かつケア効果感、乾燥感のなさ、突っ張り感のなさおよびそれらの持続性に優れたものであった。
Claims (5)
- 次の成分(A)及び(B):
(A)マイクロクリスタリンワックスを含む炭化水素ワックスを全組成中に12〜40質量%と、
(B)25℃における粘度が100〜100000mPa・sで、比誘電率が2.5未満の液状炭化水素油剤を全組成中に25〜60質量%と、
を含有し、
マイクロクリスタリンワックスは成分(A)を含む全ワックス中に40〜80質量%であり、25℃における粘度が100〜100000mPa・sで、比誘電率が2.5未満の液状炭化水素油剤は全液状油剤中に70質量%以上90質量%以下であって、30℃における組成物の針入硬度が0.06〜0.25N/mm2であるスティック化粧料。 - 成分(B)が、25℃における粘度が10000〜100000mPa・sの液状炭化水素油剤を含む請求項1記載のスティック化粧料。
- 25℃における比誘電率が2.5以上の液状油剤の含有量が、全組成中に20質量%以下である請求項1又は2記載のスティック化粧料。
- 更に、成分(C)として、ジアミド誘導体、セラミド類、プソイドセラミド及びスフィンゴ糖脂質から選ばれる両親媒性アミド脂質を0.01〜10質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載のスティック化粧料。
- 容器に直接加熱溶融充填して冷却したもの、又は金型に加熱溶融充填して冷却して抜き出したスティック形状で、繰り出して塗布するものである、請求項1〜4のいずれか1項記載のスティック化粧料。
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