JP4118540B2 - 非揮発性シリコーン化合物、非揮発性炭化水素系油及び不活性な粒子相を含有する耐移り性化粧品組成物 - Google Patents

非揮発性シリコーン化合物、非揮発性炭化水素系油及び不活性な粒子相を含有する耐移り性化粧品組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相互に適合性のある非揮発性シリコーン化合物と非揮発性炭化水素系油を含有し、特に化粧品の分野におけるものである組成物に関する。より詳細には、本発明は、ヒトの顔と体の皮膚の双方を含む皮膚、唇、上眼瞼と下眼瞼、又は眉、睫毛、爪及び髪のような外皮(integuments)をケア及び/又はメークアップするための光沢のある耐移り性組成物に関する。
【0002】
この組成物は、特に、スティックとしてもしくはディッシュとして成型された製品、例えばリップスティックもしくはリップバーム、成型ファンデーション、コンシーラー製品、アイシャドウ又はブラッシャー、程度の差はあれ流動性のペースト又はクリームの形態、例えば液体ファンデーション又はリップスティック、アイライナー、マスカラ、抗日光組成物、皮膚用の人工日焼け組成物又は着色組成物あるいはボディ又は毛髪のためのメークアップ組成物でありうる。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ヒトの皮膚又は唇のためのメークアップ又はケア製品、例えばファンデーション又はリップスティックは、一般に、例えばロウ及び油のような脂肪相、顔料及び/又はフィラー、そして場合によっては、例えば化粧品用又は皮膚科学的活性成分のような添加剤を含有する。これらの製品は、また、ブラシで塗布される有色又は無色のペーストを製造することを可能にする柔軟なコンシステンシーのいわゆる「ペースト状」製品を含みうる。
【0004】
これらの組成物は、これを皮膚又は唇に塗布すると、移ってしまうという欠点がある。すなわち、組成物が接触させられうるある種の支持体、特に、グラス、カップ、たばこ、衣類又は皮膚上に少なくとも部分的に付着し、シミを残すという欠点を有する。この結果、塗布された皮膜の持続性が中程度になり、ファンデーション又はリップスティック組成物を規則的に再塗布することが必要となる。更に、特にブラウスの襟に許容できないシミができると、女性の中には、この種のメークアップを使用しなくなる人もいる。
【0005】
更に、これらの組成物は、移入する、すなわち唇や眼の回りの皮膚の皺や小皺に入り込むという傾向があり、魅力的でない影響をもたらしている。
特許出願WO-A-96/40044において、プロクターアンドギャンブル社は、相容性のない、パーフルオロポリエーテル型の非揮発性油と揮発性油を含む耐移り性のリップスティック組成物を調製している。上記特許出願は、基質中へ油相を前もって分散させ、この油相が支持体への製品の適用時中に分離して、付着させられた皮膜の表面まで移動する能力によって、光沢を向上させることもまた開示している。
しかし、この系は基質への油相の良好な分散性を必要とし、基質と油相の相容性が不可避に乏しいことに伴う製品の安定性の問題を生じる。
【0006】
光沢の性質を向上させるには、組成物中の固形粒子、特に顔料が良好に分散しなければならないことが更に知られている。しかして、レブロンの米国特許5945092は揮発性油と組み合わせてシリコーン界面活性剤を使用することを開示している。
しかしその効果があるにせよ、これらの界面活性剤は、組成物中の割合が大きいとき(典型的には3%を越えるとき)、特に唇の粘膜に刺激性がある可能性があるという不具合を有しており、揮発性油の含量が高いとき(典型的には30%を越えるとき)には一層刺激性が生じる。
よって、上述の不具合を生じせしめることなく耐移り性のある組成物の光沢を改善するための別の手段を見出すことは特に有利である。
【0007】
更に、揮発性油を含有するこれらの組成物は、改善された「耐移り」特性を有しているが、これらの揮発性油が蒸発した後に、経時的に非常に速く不快(乾燥した感じや突張感)になる皮膜を唇上に残してしまうという不具合を有しており、一部の女性はこの種の口紅を使わなくなる。更に、得られる付着物は艶がない。しかして、消費者は唇又は眼の回りの皮膚の襞に移入することがほとんどないか全くなく、移りが全くないか実質的にない、一日中つけていても快適な光沢ある製品を常に探している。
よって、上述した欠点を示さず、特に、かなりの圧力や擦過の下でさえも、良好な「耐移り」性と耐移入性を有すると同時に、程度の差はあれ光沢ある外観を付着物に付与し、消費者の要望に合致し、適用中でも時間が経った後でも、組成物が塗布された皮膚又は唇を乾燥させず引っ張らない組成物が尚も必要とされている。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本出願人は、全く驚いたことに、生理学的に許容される組成物、より詳細には化粧品組成物に、非揮発性シリコーン化合物と、不活性な粒子相と、該非揮発性シリコーン化合物と相容性のある低分子量の非揮発性炭化水素系油を使用することにより、殆ど移らないか全く移らず、移入せず、耐水性があると同時に、塗布が非常に快適で一日中つけていられる、非常に良好な保持力を有する光沢ある付着物を得ることが可能になることを見出した。付着物はソフトでクリーミーである。
「相容性のある」という用語は、シリコーン化合物が非揮発性炭化水素系油中に、高い温度及び室温で可溶又は分散可能であり、裸眼で見て均質な相を形成することを意味している。好適には、シリコーン化合物は炭化水素系油に可溶である。
【0009】
よって、本発明の一主題は、230〜420g/Molの範囲の分子量を持つ少なくとも1種の非揮発性炭化水素系油と、該非揮発性炭化水素系油と相容性である少なくとも1種の非揮発性シリコーン化合物と、不活性な粒子相とを含有する、ケラチン物質のためのケア又はメークアップ組成物にある。
好適には、非揮発性溶媒とも呼ばれる低分子量の非揮発性炭化水素系油は、240〜350g/Mol、好ましくは240〜300g/Mol、より好ましくは240〜280g/Molの範囲の分子量を有する。好適には、組成物は揮発性シリコーンを含有せず、更に好ましくは如何なる揮発性溶媒も含有しない。
【0010】
「油」という用語は、室温(25℃)と大気圧(760mmHg)下で液体である任意の非水性媒体を意味する。
「非揮発性」媒体という用語は、数時間の間、皮膚又は唇に残ったままであり得る任意の媒体を意味する。特に非揮発性媒体は、室温と大気圧下で、0.02mmHg(2.66Pa)未満の、ゼロではない蒸気圧を有している。
「揮発性」という用語は、一時間未満で皮膚又は唇から蒸発可能な媒体を意味する。揮発性媒体は、特に、室温と大気圧下で、0.02mm〜300mmHg(2.66Pa〜40000Pa)、より好ましくは0.1〜90mmHg(13Pa〜12000Pa)の範囲の蒸気圧を有している媒体から選択される。加えて、揮発性シリコーンは一般に室温と大気圧下で5cSt未満の粘度を有している。
組成物は一又は複数の非揮発性炭化水素系油と一又は複数の非揮発性シリコーン化合物を含有していてもよい。
【0011】
「不活性な粒子相」という表現は、室温と大気圧下で固体であり、単独又は組み合わせて用いられ、組成物の他の成分と化学的に反応せず、これらの成分を室温以上の温度(例えばこれらの成分の融点)までもっていっても、これらの成分中に不溶である任意のフィラーを意味する。
この組成物は、特に、化粧品又は皮膚科用組成物である。該組成物は、よって、ケラチン物質、すなわち、皮膚、唇、ケラチン繊維及び爪と相容性である成分を含む。該組成物は、無水ゲル、水中油もしくは油中水エマルション又は分散液の形態、あるいは多相エマルションの形態であり得る。該組成物はまた、程度の差はあれ流体の形態、ペーストの形態又は非変形性もしくは剛性の固体で、スティックもしくはディッシュとして成型されていてもよい形態であり得る。該組成物は好ましくは流体又はスティックの形態、特に無水流体又はスティック形態である。「流体」という用語は、固体とは反対に、その自重で流れる組成物を意味する。
【0012】
本発明において、非揮発性シリコーン化合物と非揮発性炭化水素系油は相互に相容性がある。皮膚又は唇上に得られる付着物は均質でかつソフトである。それは、付着物に接触する支持体上に実質的にシミを残さず、特に唇の回りの皺及び小皺に、移入しない。
【0013】
好適には、該組成物は、非揮発性炭化水素系油と相容性があり非揮発性シリコーン化合物と相容性がない少なくとも1種の非揮発性炭化水素系化合物を含む固体粒子のための分散剤を含有し、該分散剤は、16.40(J/cm1/2≦δ≦19.00(J/cm1/2及び2.00(J/cm1/2≦δ≦9.08(J/cm1/2となる溶解度パラメータを有している。非揮発性炭化水素系化合物は非揮発性シリコーン化合物と非相容性である。すなわち、非揮発性シリコーン化合物に不溶性であるか非分散性である。
該分散剤は、組成物中に存在する全ての固体粒子、例えばフィラー、顔料及び真珠光沢剤を、室温と大気圧下で分散させる。
【0014】
本発明に係る組成物はよって固体粒子のための分散剤となる、一又は複数の生理学的に許容可能な非揮発性炭化水素系化合物を好適に含有する。
本組成物は好適には化粧品用及び皮膚科用活性剤及び染料、及びその混合物から選択される少なくとも1種の成分を含む。非揮発性シリコーン化合物と非揮発性炭化水素系分散剤の非相容性のために、組成物の移り、特に活性剤及び/又は染料の移りを特に制限するか又は完全に防ぐことができる。よって、これらの活性剤及び/又は染料を付着せしめられた場所に維持することができ、同時に、従来技術と比較すると、低分子量の非揮発性油で揮発性溶媒を置換することにより付与の快適性を組成物にもたらす。低分子量の非揮発性炭化水素系油は非揮発性シリコーン化合物と分散剤を相容性あるものにする(溶解又は分散させ、好ましくは溶解させる)。低分子量の非揮発性油が存在しないと、シリコーン化合物と分散剤は、高い温度と室温で、非混和性の二つの相を形成する。
【0015】
本発明の他の主題は、化粧品組成物における又は局所適用組成物の製造における、ヒトの皮膚及び/又は唇に付着させられた組成物の皮膜の該皮膜に接触させられる支持体への移りを低減するか完全に防止さえするための、及び/又は該皮膜の光沢を保持するための、及び/又は該皮膜を適用が快適であるようにするための、及び/又は該皮膜の経時的な維持力を増大させるための、及び/又はその移入を低減するための、230〜420g/Molの範囲の分子量を持つ少なくとも1種の非揮発性炭化水素系油と、非揮発性炭化水素系油に相容性である少なくとも1種の非揮発性シリコーン化合物と、少なくとも1つの不活性な粒子相との使用、特に美容的使用にある。
【0016】
本発明の主題はまた上述の化粧品組成物を唇、外皮又は皮膚にそれぞれ適用することからなる、唇、外皮又は皮膚の美容ケア方法又はメークアップ方法にある。
本発明の主題はまた、皮膚又は唇以外の支持体への皮膚又は唇用のケア又はメークアップ組成物の移りを低減するか完全に防止さえするための、及び/又は化粧品用又は皮膚科用活性剤、及びその混合物から選択される少なくとも1種の成分を含む該組成物の移入を低減するか完全に防止さえするための、美容方法において、上述のように、少なくとも1種の非揮発性シリコーン化合物と、不活性な粒子相と、非揮発性シリコーン化合物と相容性である少なくとも1種の非揮発性炭化水素系油と、場合によっては非揮発性炭化水素系油と相容性(可溶又は分散性)でありシリコーン化合物と非相容性である非揮発性の分散剤との組み合わせを、上記組成物に導入することからなる方法にある。
【0017】
本発明に係る組成物が特に皮膚と唇への有利な展伸性と付着性、並びに快適でクリーミーな感覚を有していることを更に見出した。この組成物はまた、特に一般的なメークアップ除去ミルクで、取り除くのが容易であるという利点も有している。これは、高い「耐移り」性を持つ従来の組成物が非常に除去しにくいことから、実に注目すべきことである。一般に、従来の組成物は特定のメークアップ除去製品と一緒に販売されており、このことは使用者に更なる制約をもたらしている。
【0018】
本発明の非揮発性シリコーン化合物は非揮発性炭化水素系油、特に230〜420g/Molの分子量を持つ非揮発性エステル類に可溶又は分散性でなければならない。それらは、好ましくは、室温で液体である化合物から選択され、更により好ましくは、それらは、25℃で5〜1000000cSt、好ましくは10〜500000cSt、より好ましくは10〜5000cSTの範囲内である粘度を有する。
シリコーン化合物の例としては、ポリジメチルシロキサン類、フェニルトリメチコーン類、ポリアルキルメチルシロキサン類、シリコーン樹脂、例えば特開昭62−61911号、特開昭61−65809号及び欧州特許出願公開第602905号に記載されたもの、及びフルオロシリコーン類、及びその混合物を挙げることができる。
【0019】
特に、これらのシリコーン化合物は、非揮発性ポリジメチルシロキサン類(PDMSs);シリコーン鎖の末端かペンダント位置にあり、2から24の炭素原子を含むアルキル、アルコキシ又はフェニル基を有するポリジメチルシロキサン類;フェニルトリメチコーン類、フェニルジメチコーン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコーン類、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類及びトリメチルシロキシケイ酸2-フェニルエチル;シリコーン鎖のペンダント位置又は末端にあり、1から12の炭素原子を含むフルオロ基を有するフルオロシリコーン類であって、その水素原子の全てあるいは一部がフッ素原子で置換されているもの;シリコーン樹脂;ジメチコノール類を含むシリコーンガム;及びその混合物から選択される。
【0020】
最終組成物におけるシリコーン化合物の質量含量は、組成物の重量の0.01%より高く、例えば、0.5〜90%、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜50%の範囲である。
非揮発性シリコーン化合物は、好適には分散剤となる非揮発性炭化水素系化合物の割合に等しいかそれより大きい割合にあり、換言すれば、
R=(非揮発性シリコーン化合物の質量%)/(非揮発性分散剤の質量%)
により定義される比Rが好ましくは1より大きいか1に等しい。
固形粒子のための分散剤として作用する本発明の非揮発性の炭化水素系化合物はまた低分子量の非揮発性炭化水素系油と相容性でなければならないが、一方、上述のシリコーン化合物と相容性であってはならない。
【0021】
これらの分散剤は室温で流体、特に液体であり、その化学構造中に以下の少なくとも一つの非イオン性極性基を含む:
− COOH;
− 一置換又は二置換OH(一級又は二級)
− PO
− NHR;NRで、RとRが環を形成してもよく、直鎖状もしくは分枝状のCからC20アルキル又はアルコキシ基を表すか、あるいは
【化3】
Figure 0004118540
(上式中、R'とR'はHあるいは直鎖状もしくは分枝状のCからC20アルキル又はアルコキシ鎖でありうる)。
特に、これら分散剤は一つ、二つ、三つ又はそれ以上の非イオン性極性基を含みうる。
【0022】
好ましくは、これらの分散剤は、以下の少なくとも一つの非イオン性極性基を有する:
− COOH
− 一置換又は二置換OH(一級又は二級)
− PO
【化4】
Figure 0004118540
(上式中、R'とR'はHあるいは直鎖状もしくは分枝状のCからC20アルキル又はアルコキシ鎖でありうる)。これらの分散剤は好適には少なくとも一つのOH基を含む。
【0023】
本発明に係る分散剤となる非揮発性炭化水素系化合物は、好ましくは、そのハンセン溶解パラメータδ、δ及びδが、16.40(J/cm1/2≦δ≦19.00(J/cm1/2、好ましくは16.70(J/cm1/2≦δ≦18.50(J/cm1/2;2.00(J/cm1/2≦δ≦9.08(J/cm1/2、好ましくは4.00(J/cm1/2≦δ≦9.08(J/m1/2、より好ましくは5.00(J/cm1/2≦δ≦6.80(J/cm1/2となるようなものであり、ここで、δ=(δP +δh )1/2である。
【0024】
ハンセン溶解パラメータの定義は当業者によく知られており、特にC.M. Hansenの「3次元溶解パラメータ(The three dimensional solubility parameters)」,
J. Paint Technol.,39,105(1967)の文献に記載されている。これらのパラメータはまた花王(Kao)の特開平08−109121号とD.W.Van Krevelen「ポリマーの性質(Properties of polymers)」(1990), p.190にも記載されている。
このハンセン空間によれば、
− δは、分子衝突中に誘発される双極子の形成により生じるロンドンの分散力を特性付け、
− δは、永久双極子間のデバイの相互作用力を特性付け、
− δは、(水素結合、酸/塩基又は供与体/受容体型等々の)特定の相互作用の力を特性付ける。
パラメータδ、δ及びδは一般に(J/cm)1/2で表される。それらは室温(25℃)で決定され、特に上記の花王の特許文献に示された計算方法に従って決定される。
【0025】
本発明に係る組成物において、上記の関係を満たす任意の非揮発性炭化水素系流体、特に非揮発性炭化水素系流体分散剤の混合物を用いることができる。この場合、混合物の溶解パラメータは、次の関係:
【式1】
Figure 0004118540
(ここで、xiは混合物中の非揮発性炭化水素系流体分散剤(i)の体積分率を表す)によって、別個に得られた流体分散剤のものから決定される。
上記の関係を満たす非揮発性炭化水素系流体分散剤の混合物を得るために各非揮発性炭化水素系流体分散剤の量を決定することは当業者の技量の範囲内にある。
【0026】
炭化水素系流体分散剤の分子量は600g/Molより大きく、好ましくは700g/Molより大きい。
本発明において使用することができる非揮発性炭化水素系分散剤の例としては、リンゴ酸ジイソステアリル、多価アルコールのある種のモノエステル類又はポリエステル類、例えばジイソステアリン酸ジグリセリル又はトリイソステアリン酸ジグリセリルあるいはポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)、例えばゼネカ社(Zeneca)により販売されているソルスパース(Solsperse)21000又はユニキマ社(Uniqema)により販売されているアルラセル(Arlacel)P100、及びそれらの混合物を挙げることができる。トリイソステアリン酸ジグリセリルとポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)が好適に使用される。
【0027】
最終組成物中の分散剤の質量含量は、例えば組成物の全重量の2〜40%、好ましくは2.5〜20%、より好ましくは3〜10%の範囲である。
本発明において使用することができる非揮発性炭化水素系溶媒又は低分子量の油としては、モノエステル、ジエステルの形態のエステル類、及び一般にポリエステルで、分子量が230〜420g/Molの範囲のものを挙げることができる。
エステル類は直鎖状か分枝状で、飽和又は不飽和でありうる。好ましくは、それらは分枝した飽和形態である。これらのエステル類は好ましくは、CからC18の酸のエステル類、特にCからC20のアルコール又はCからCの多価アルコールのもの又はその混合物である。本発明において使用することができる非揮発性溶媒又は油としては、ネオペンタン酸エステル類、例えばネオペンタン酸イソデシル(242.4)、ネオペンタン酸イソトリデシル(270.44)、ネオペンタン酸イソステアリル(354.62)、ネオペンタン酸オクチルドデシル(382.67);イソノナン酸エステル類、例えばイソノナン酸イソノニル(284.48)、イソノナン酸オクチル(270.44)、イソノナン酸イソデシル(298.51)、イソノナン酸イソトリデシル(340.59)、イソノナン酸イソステアリル(410.73)、及びまたイソプロピルアルコールエステル類、例えばミリスチン酸イソプロピル(270.46)、パルミチン酸イソプロピル(298.51)、ステアリン酸又はイソステアリン酸イソプロピル、オクタン酸セチル(368.64)、オクタン酸トリデシル(326.55)、PEG-4ジヘプタノアート(418.51)及びパルミチン酸2-エチルヘキシル(368.64)、安息香酸C12−C15アルキル(309.04)、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール(328.49)、2-ヘキサン酸プロピレングリコールジエチルを挙げることができる。これらのエステル類はそのCTFA名(International Cosmetic Ingredient Dictionary, 5th edition et seq)で引用された。またアルカン類、例えばイソエイコサン(282.55)を挙げることができる。括弧内の数値はg/Molで与えられるその分子量に対応する。
好ましくは、ネオペンタン酸又はイソノナン酸エステルが使用される。
【0028】
本発明に係る低分子量の非揮発性炭化水素系溶媒は特に5〜99%、好ましくは10〜60%、より好ましくは15〜50%、更により好ましくは15〜30%の質量含量を表す。
本組成物はまた、ロウ、ガム及び室温でペースト状である脂肪物質、油及びその混合物で、鉱物性、動物性、植物性又は合成由来のものから選択される、非揮発性シリコーン化合物、非揮発性炭化水素系溶媒又は油及び非揮発性炭化水素系分散剤化合物以外の少なくとも1種の更なる脂肪物質を含有することができる。
本組成物の更なる油性脂肪物質は化粧品的又は皮膚科学的に許容可能な油、そして一般には生理学的に許容可能な油で、特に鉱物性、動物性、植物性又は合成由来の揮発性及び非揮発性油から選択されるものとできる。
【0029】
本発明に係る組成物において使用することができる更なる油としては、特に、
− ペルヒドロスクアレンのような動物由来の炭化水素系油;
− 炭化水素系植物油、例えばヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド類のような4〜24の炭素原子の脂肪酸の液体トリグリセリドあるいはヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、ゼニアオイ油、グレープシード油、ゴマ又は菜種油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油、アボカド油、ステアリヌリデュボア社(Stearineries Dubois)によって販売されているものやダイナミットノーベル社(Dynamit Nobel)によりミグリオール(Miglyol)810、812及び818の名称で販売されているもののようなカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ホホバ油又はカリテバター;
− 鉱物性又は合成由来の直鎖又は分枝状炭化水素、例えば流動パラフィンとその誘導体、ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばパーリーム(parleam);
− 特に脂肪酸の、合成エステル類及びエーテル類、例えば化学式RCOOR(ここで、Rは1〜40の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を示し、Rは1〜40の炭素原子を有する炭化水素系鎖を表し、R+R≧27のもの、例えばプルセリン油、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オチルドデシル又はイソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル類、例えばヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、クエン酸トリイソセチル、及びヘプタン酸、オクタン酸及びデカン酸脂肪アルキル類;多価アルコールエステル類、例えばプロピレングリコールジイソステアレート;及びペンタエリトリトールエステル類、例えばペンタエリトリチルテトライソステアレート;
− オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール又はオレイルアルコール等の12〜26の炭素原子を含む脂肪アルコール;
− 部分的に炭化水素をベースとした及び/又はシリコーンをベースとした非揮発性フルオロ油、例えばメトキシノナフルオロブタン;
− それらの混合物、
を挙げることができる。
【0030】
本組成物の更なる非揮発性油(類)は、組成物の全重量に対して0.1〜90%、好ましくは5〜60%、更に好ましくは10〜50%を占める。
好適には、本発明の組成物は揮発性油を全く含んでいないか殆ど含んでおらず、特に、組成物の全重量に対して10%未満、好ましくは5%未満、更に好ましくは2%未満であり、特に揮発性油を含まない。
【0031】
本組成物は、また、少なくとも1種の吸収剤又は非吸収剤不活性フィラー、つまり特に油を吸収する一又は複数の不活性フィラーを含む不活性な粒子相を含む。好ましくは、これらのフィラーは0.01〜150μmの範囲の見かけ粒径を有する。見かけ粒径は基本粒子がその最小の寸法(薄状体の厚み)に沿って合致する円の直径に相当する。
フィラーは鉱物性又は合成で、ラメラ状又は非ラメラ状のものでありうる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、例えばナイロン(登録商標)パウダー(アトケム社のオルガソール(Orgasol(登録商標)))、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))粉末、ラウロイルリジン、スターチ、窒化ホウ素、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルのもののような中空ポリマーミクロスフィア、エクスパンセル(Expancel(登録商標))(ノーベルインダストリー社)、アクリル酸コポリマー(ダウコーニング社のポリトラップ(Polyrap(登録商標)))及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、東芝(Toshiba)のトスパール(Tospearl(登録商標))]、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(マプレコス(Maprecos)社のシリカビーズ(登録商標))及びガラス又はセラミックマイクロカプセル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0032】
不活性な粒子相は組成物の全重量に対して0.1〜30%、より好ましくは2〜25%、更により好ましくは10〜20%を占めることができる。
非揮発性シリコーン化合物、低分子量の炭化水素系油及び不活性粒子相の各量は、組成物に耐移り性、光沢及び適用快適性を与えるのに十分な量から選択される。
本発明の組成物は好適には少なくとも1種(一又は複数)の粒状化合物を含む一致又は複数の染料及び/又は一又は複数の脂溶性又は水溶性染料を、例えば組成物の全重量に対して0〜70%、特に0.01〜70%の割合で含有しうる。粒状化合物(類)は化粧品用又は皮膚科学的組成物に通常用いられる顔料及び真珠光沢剤、及びその混合物から選択することができる。粒状染料化合物は好適には組成物の重量の50%まで、例えば0.01〜50%、より好ましくは1〜40%を占める。
【0033】
顔料は、白色又は有色、無機及び/又は有機で、干渉又は非干渉で、液体脂肪相に不溶性であり、組成物を着色及び/又は乳白化するためのものである。鉱物性の顔料としては、表面処理がなされていてもよい二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛もしくは酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルーを挙げることができる。有機顔料としては、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、アルミニウム又はカルシウム、ストロンチウム、バリウムをベースとするか又はコチニールカルミンをベースとしたレーキ類を挙げることができる。
真珠光沢顔料は、白色の真珠光沢顔料、例えば、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、有色の真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を有するチタンマイカ、特にフェリックブルー又は酸化クロムを有するチタンマイカ、上述した種類の有機顔料を有するチタンマイカ、並びにオキシ塩化ビスマスをベースとした真珠光沢顔料から選択することができる。
【0034】
脂溶性染料は、例えば、スーダンレッド(Sudan red)、DCレッド17、DCグリーン6、β-カロチン、大豆油、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5及びキノリンイエローである。それらは、組成物の重量に対して0〜20%、特に0.01〜20%、好ましくは0.1〜6%を占めうる。水溶性着色料は、例えばビート根液汁又はメチレンブルーであり、組成物の全重量に対して6%までである。
本発明の組成物は、一又は複数の化粧品用又は皮膚科学的活性剤、例えば常套的に使用されているものを含むこともまたできる。
本発明の組成物において使用可能な、化粧品用又は皮膚科学的活性成分としては、保湿剤、ビタミン類、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、サンスクリーン剤、及び鎮静剤(例えばビサボロール)を挙げることができる。これらの活性成分は、当業者にとって通常の量、特に組成物の全重量に対して0〜20%、特に0.001〜20%、更に好ましくは0.1〜5%の濃度で使用される。本発明に係る組成物は、考慮される用途の種類により、考慮される分野において常套的に使用されている成分を、所望の提供形態に適切な量で含有しうる。
【0035】
本発明に係る組成物中に存在しうる室温で固体であるロウとしては、炭化水素系ロウ、例えば変性されていてもよいミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、モクロウ、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、パラフィンロウ、褐炭ロウ、マイクロクリスタリンロウ、ラノリンロウ、モンタンロウ、オゾケライト、ポリエチレンロウ、フィッシャー−トロプシュ合成により得られたロウ及びC20−C60脂肪アルコールを挙げることができる。また、シリコーンロウを使用することも可能であり、そのなかで、アルキル-及びアルコキシポリメチルシロキサン類及び/又はポリメチルシロキサンエステル類、及びそれらの混合物を挙げることができる。
組成物及び唇及び/又は皮膚上に付着した皮膜の光沢を過度に低減しないように、ロウは組成物中に0−50重量%(例えば0.01〜50%)の割合で存在しうる。
【0036】
ペースト状脂肪物質としては、25℃〜45℃の範囲の融点及び/又は60Hzで回転するMS−r3又はMS−r4スピンドルを装備したコントラベス(Contraves)TV粘度計を使用して測定して0.1Pa.s〜40Pa.sの範囲の40℃の粘度を持つ脂肪物質を挙げることができる。ペースト状脂肪物質の例としては、8〜24の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシタイプのペンダント鎖を持つPDMSs、例えばステアリルジメチコーン;脂肪アルコール又は脂肪酸のエステル類、例えばコレステロールエステル類、ラウリン酸ポリビニル、プロピオン酸アラキジル;PVP/エイコセンのコポリマー;ラノリン類とその誘導体、例えばアセチル化ラノリン類又はオキシプロピレン化ラノリン類、及びそれらの混合物を挙げることができる。
ロウ、ペースト状脂肪物質及びガムの特性と量は所望される機械的性質とテクスチャーに依存する。
【0037】
本組成物はまたかかる組成物に通常用いられる任意の添加剤、例えば増粘剤(例えばベントーン(Bentone(登録商標))の名前で知られている塩化ジステアリルジメチルアンモニウムで変性したヘクトライト)、抗酸化剤、香料、防腐剤、界面活性剤、脂溶性ポリマー、例えばポリアルキレン類、特にポリブテン、ポリアクリレート及び脂肪相と相容性があるシリコーンポリマー、並びにポリビニルピロリドン誘導体を含有することができる。言うまでもなく、当業者であれば、考慮される添加により、本発明の組成物の有利な特性が、全く又は実質的に悪影響を受けないように留意して、これらの任意の更なる化合物及び/又はその量を選択することができるであろう。
【0038】
本発明の特定の一実施態様では、本発明に係る組成物は、当業者により通常の方法で調製することができる。これらは、成型製品の形態、例えばスティック又はチューブの形態、あるいは直接接触して、またはスポンジを使用して使うことのできるディッシュの形態、又はボイリングパン(boiling pan)の形態で調製することができる。特に、これらは、成型ファンデーション、成型ブラッシャー又はアイシャドウ、リップスティック、唇のケア用ベースまたはケア用バーム及びコンシーラとしての利用が見いだされる。また、これらは、ソフトなペーストの形態、又は程度の差はあれ流動的なクリームともできる。この場合、それらはファンデーション又はリップスティック、リップグロス、抗日光製品又は皮膚着色製品を構成することもできる。
【0039】
本発明の組成物は、有利には無水物であり、組成物の全重量に対して5重量%未満の水を含有する。この場合、それらは特に油性ゲル、油性リキッド、ペースト又はスティックの形態、あるいはイオン性及び/又は非イオン性の脂質を含む小胞分散体の形態で提供されうる。これらはまた油性又は水性連続相を含む単純又は複合エマルション、あるいはイオン性及び/又は非イオン性脂質を含む小胞体によって水性相中に分散させた油性分散液の形態ともできる。これらの提供形態は、考慮される分野における通常の方法で調製される。
【0040】
これら局所適用用の組成物は、特に、顔、首、手又はボディの保護、トリートメントまたは手入れ用の、化粧品用、皮膚科学的組成物(例えば、ケアクリーム、抗日光オイル又はボディゲル)、メークアップ用組成物(例えばメークアップゲル、クリーム又はスティック)又は人工的に日焼けした状態とする組成物又は皮膚保護組成物を構成することもできる。
【0041】
【実施例】
本発明を以下の実施例においてより詳細に説明する。パーセントは重量パーセントである。ある種の成分の名称はCTFA名で標記されている。
実施例1:スティック形態のリップスティック
Figure 0004118540
Figure 0004118540
【0042】
手順
成分を連続して計量し、80−90℃にて撹拌しながらそれらを混合することにより、A相が調製される。炭化水素系油中にベントーンを分散させることによりB相が調製される。ついで、A相とB相が80−90℃で混合される。
粒子相Dは3本ロールミルを使用してA+B相の一部中で粉砕した。
ロウ状のC相を添加し、ロウが完全に溶解するまで混合物を100℃にて加熱する。E相のシリコーンをついで添加し、ついでF相を、最後にG相の真珠光沢剤を100℃で添加した。
得られた最終混合物を100℃にてモールドに注ぎ込み、スティックを得ることができる。
このスティック形のリップスティックは、光沢効果にサテン感を付与し、時間が経っても快適につけておくことができ、脂性感がなく、べとつかず、良好な耐移り性を有している。
【0043】
実施例2〜6:スティック形のリップスティック
【表1】
Figure 0004118540
Figure 0004118540
【0044】
手順
実施例2〜6は実施例1に記載のものと同じ手順によって実施した。
比較例3、4、5及び6の官能特性を本発明に係る実施例2のものと比較した。
比較:実施例2及び比較例3
実施例2の低分子量のエステル類、すなわちイソノナン酸イソノニルとネオペンタン酸オクチルドデシルを、分子量が450.89g/Molの水添ポリイソブテンと実施例3において置換した。
実施例2の組成物の耐移り性は比較例3の組成物のものよりも優れていると判断された。それらは、一葉の紙にキスをする(キステスト)により、リップスティックの塗布後15分で評価した。
よって、低分子量のエステル類は耐移り性に対して好ましい。実施例2のリップスティックは光沢効果にサテン感を付与し、快適であると判断された。
【0045】
比較:実施例2と比較例4
実施例2のシリコーン、すなわちフェニルトリメチコーン(20及び1000cSt)を、比較例4のポリブテン及び水添ポリイソブテンと置換した。これらアルカンの割合はシリコーン混合物のものに近い粘度が得られるように選択した。
実施例2の組成物の耐移り性は比較例4の組成物のものよりも優れていると判断された。一方、この後者の組成物はあまりに油性の皮膜をもたらした。
非揮発性シリコーンはよって耐移り性に対して好ましく、唇をべとべとさせない。
比較:実施例2と比較例5
実施例2の分散剤(ソルスパース21000)を、比較例5において、分子量(450.89g/Mol)が本発明の低分子量の炭化水素系油のものより大であり、ハンセン溶解パラメータδ及びδがそれぞれ15.48及び0(J/cm)1/2である水添ポリイソブテンと置換した。
比較例5の組成物は、実施例2の組成物のものよりも同じ移りに対して光沢が劣る皮膜を唇に付与した。
本発明の分散剤はよって同等の耐移り性に対して皮膜の光沢を高める。
比較:実施例2と比較例6
実施例2の分散剤ソルスパース21000を、比較例6において、溶解パラメータδが9.09(J/cm)1/2であるヒマシ油と置換した。
比較例6の組成物は、実施例2の組成物のものよりも同じ移りに対して光沢が劣る皮膜を唇に付与した。
本発明の分散剤はよって同等の耐移り性に対して皮膜の光沢を高める。
実施例2と比較例6は、非揮発性炭化水素系油/非揮発性シリコーン化合物/固体粒子を分散させるための薬剤を含んでいてもよいフィラーの組み合わせが、光沢性に悪影響を与えないで従来のものよりも良好な耐移り性を組成物に付与し、同時に組成物を快適に適用できるものにするこを明確に示している。
【0046】
実施例7:スティック形のリップスティック(比較例)
Figure 0004118540
【0047】
手順
成分を連続して計量し、80−90℃にて撹拌しながらそれらを混合することにより、A相が調製される。
有色粒子相のC相は3本ロールミルを使用してA相中で粉砕した。
E相は成分を連続して計量し、それらを撹拌しながら混合することにより調製した。
不活性な粒子相のD相は3本ロールミルを使用してE相中で粉砕した。
ついで、混合物A+CとD+Eを組み合わせ、ロウ状のB相を加えた。ロウが完全に溶解するまで混合物を100℃にて加熱する。
F相を加え、ついでG相と最後にH相を加える。この最後の相は90℃で導入する。
ついで、最終混合物を適当なモールドに注ぎ込み、スティックを得る。
比較:実施例2と比較例5
実施例2の低分子量エステル類、特にイソノナン酸イソノニルとネオペンタン酸オクチルドデシルを実施例7において揮発性シリコーン(D4)と置換した。
比較例7の組成物は、実施例2の組成物とは異なり、適用したとき非常にリッチで、非常にマットで唇に強く付着する皮膜を生じると判断された。よって低分子量の炭化水素系油は光沢と適用の快適さを高める。
【0048】
実施例8:スティック形のリップスティック
Figure 0004118540
Figure 0004118540
【0049】
実施例8の組成物は実施例1のものと同じ手順に従って調製した。光沢、適用の快適さ及び耐移り性は実施例2の組成物のものに匹敵する。

Claims (28)

  1. ネオペンタン酸エステル及びイソノナン酸エステル、及びその混合物から選択される230〜420g/Molの範囲の分子量を持つ少なくとも1種の非揮発性炭化水素系油と、少なくとも1種の非揮発性シリコーン化合物と、不活性な粒子相と、ポリ ( 12 - ヒドロキシステアリン酸 ) およびトリイソステアリン酸ジグリセリルからなる群から選択される分散剤とを含有する、ケラチン物質のためのケア又はメークアップ組成物。
  2. 非揮発性炭化水素系油が、240〜350g/Mol範囲の分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 非揮発性炭化水素系油が、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル及びイソノナン酸イソステアリル、及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
  4. 分散剤が、2〜40%範囲の質量含量で存在することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の組成物。
  5. 非揮発性シリコーン化合物が、室温で液体である化合物から選択されることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の組成物。
  6. 非揮発性シリコーン化合物が、25℃で5〜1000000cStの範囲で選択される粘度を有する請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物。
  7. 非揮発性シリコーン化合物が、非揮発性ポリジメチルシロキサン類(PDMSs);シリコーン鎖の末端かペンダント位置にあり、2から24の炭素原子を含むアルキル、アルコキシ又はフェニル基を有するポリジメチルシロキサン類;フェニルトリメチコーン類、フェニルジメチコーン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコーン類、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類及びトリメチルシロキシケイ酸2-フェニルエチル;シリコーン鎖のペンダント位置又は末端にあり、1から12の炭素原子を含むフルオロ基を有するフルオロシリコーン類であって、その水素原子の全てあるいは一部がフッ素原子で置換されているもの;シリコーン樹脂;シリコーンガム;ジメチコノール類;及びその混合物から選択される請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物。
  8. 非揮発性シリコーン化合物が、0.5〜90%質量含量を占めることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物。
  9. 非揮発性炭化水素系油が、5〜99%質量含量を占めることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物。
  10. 化粧品用活性剤、皮膚科用活性剤及び染料、及びその混合物から選択される少なくとも一種の成分が添加されることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の組成物。
  11. 分散剤に対する非揮発性シリコーン化合物の質量比が1以上であることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の組成物。
  12. ロウ、ガム、室温でペースト状の脂肪物質、及び油、及びその混合物から選択される、非揮発性シリコーン化合物、非揮発性炭化水素系油及び分散剤以外の少なくとも1種の脂肪物質を更に含有することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の組成物。
  13. 染料が、顔料と真珠光沢、及びその混合物から選択される少なくとも1種の粒子状染料化合物を含んでなる請求項10ないし12の何れか1項に記載の組成物。
  14. 粒子状染料化合物が組成物の全重量の50%までを占める請求項13に記載の組成物。
  15. 粒子相が少なくとも1種の吸収剤又は非吸収剤不活性フィラーを含むことを特徴とする請求項1ないし14の何れか1項に記載の組成物。
  16. 不活性フィラーが、球状、ラメラ状、及び長方形のフィラー、及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項15に記載の組成物。
  17. 不活性フィラーが、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ラウロイルリジン、スターチ、窒化ホウ素、中空ポリマーミクロスフィア、アクリル酸コポリマー、シリコーン樹脂マクロビーズ、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア及びガラスもしくはセラミックマイクロカプセル、及びその混合物から選択されることを特徴とする請求項15又は16に記載の組成物。
  18. 不活性粒子相が、組成物の全重量の0.1〜30%占めることを特徴とする請求項1ないし17の何れか1項に記載の組成物。
  19. 揮発性シリコーンを含まないことを特徴とする請求項1ないし18の何れか1項に記載の組成物。
  20. 揮発性溶媒を含まないことを特徴とする請求項1ないし19の何れか1項に記載の組成物。
  21. スティック又はチューブの形態、ソフトペーストの形態、ディッシュ、油性ゲル、油性リキッド、イオン性及び/又は非イオン性脂質を含む小胞体分散物、又は油中水もしくは水中油エマルションの形態である請求項1ないし20の何れか1項に記載の組成物。
  22. 無水物の形態である請求項1ないし21の何れか1項に記載の組成物。
  23. 請求項1ないし22の何れか1項に記載のものであることを特徴とする、皮膚又は唇等のための、メークアップ組成物。
  24. ファンデーション、ブラッシャー、アイシャドウ、リップスティック、唇用のケアベースもしくはケアバーム、コンシーラー製品、アイライナー又はマスカラの形態である請求項1ないし23の何れか1項に記載の組成物。
  25. 請求項1ないし24の何れか1項に記載の化粧品組成物を唇又は皮膚に適用することからなる、唇又は皮膚の美容ケア又はメークアップ方法。
  26. 化粧品組成物又は局所適用組成物において、ヒトの皮膚及び/又は唇に付着させられた組成物の皮膜の該皮膜に接触させられる支持体への移りを低減するか完全に防止さえするための、及び/又は該皮膜を適用が快適であるようにするための、及び/又は該皮膜の経時的な維持力を増大させるための、及び/又はその移入を低減するための、ネオペンタン酸エステル及びイソノナン酸エステル、及びその混合物から選択される230〜420g/Molの範囲の分子量を持つ少なくとも1種の非揮発性炭化水素系油と、少なくとも1種の非揮発性シリコーン化合物と、不活性な粒子相と、ポリ ( 12 - ヒドロキシステアリン酸 ) およびトリイソステアリン酸ジグリセリルからなる群から選択される分散剤との組み合わせの美容的使用。
  27. 組成物が揮発性溶媒を含有していないことを特徴とする請求項26に記載の使用。
  28. 皮膚又は唇以外の支持体への皮膚又は唇用のケア又はメークアップ組成物の移りを低減するか完全に防止さえするための、及び/又は化粧品用又は皮膚科用活性剤及び染料、及びその混合物から選択される少なくとも1種の成分を含む該組成物の移入を低減するか完全に防止さえするための、美容方法において、ネオペンタン酸エステル及びイソノナン酸エステル、及びその混合物から選択される230〜420g/Molの範囲の分子量を持つ少なくとも1種の非揮発性炭化水素系油と、少なくとも1種の非揮発性シリコーン化合物と、不活性な粒子相と、ポリ ( 12 - ヒドロキシステアリン酸 ) およびトリイソステアリン酸ジグリセリルからなる群から選択される分散剤との組み合わせを組成物に導入することからなる方法。
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