JP7340951B2 - 油性化粧料 - Google Patents
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これらの化粧料において、塗布用具を使用する場合、唇等にきれいに塗布するには、塗布用具への取れ性が重要である。
例えば、特許文献1には、特定の炭化水素系ワックス、液状の油性成分及びデキストリン脂肪酸エステルを含有し、特定の針入硬度の非固形状口唇化粧料が、塗布用具への取れ性に優れ、高温での保存安定性も良好であることが記載されている。
(A)25℃での針入度が6~20の固形炭化水素系ワックス 1.5~5質量%、
(B)25℃での針入度が25~50の固形炭化水素系ワックス 4.5~15質量%、
(C)平均分子量700~4000の炭化水素油 30~60質量%、
(D)25℃での粘度が100mPa・s以下のエステル油 3~20質量%
を含有し、
30℃における化粧料の2mmφ冶具での針入硬度が0.09~0.2N/mm2である油性化粧料に関する。
本発明において、針入度は、25±0.1℃に保ったワックスの試料に、規定の針(針の質量2.5±0.02g、針保持具の質量47.5±0.02g、おもりの質量50±0.05g)が、5秒間に針入する長さを測定し、その針入距離(mm)を10倍した値を針入度とするものであり、JIS K-2235-5.4(1991年)に準じて測定した値である。
成分(A)は、融点65~95℃であるのが好ましく、70~85℃がより好ましい。
本発明において、融点は、化粧品原料基準記載一般試験法の第3法により、測定されるものである。すなわち、試料をかき混ぜながら徐々に90~92℃まで加熱して融解し、加熱を止め、試料を融点より8~10℃高い温度まで放冷する。次いで、温度計(日本工業規格B7410に規定するペトロラタム融点用温度計)を5℃に冷却した後、ろ紙で水分をふきとって水銀球の半分を試料中に差し込み、直ちに抜きとり、垂直に保って放冷し、付着した試料が混濁してきたとき、16℃以下の温度の水中に5分間浸す。次に、試験官に温度計を挿入し温度計の下端と試験管の底との間が15mmになるようにコルクを用いて温度計を固定する。この試験管を、約16℃の水を入れた500mLのビーカー中に試験管の底をビーカーの底との距離を15mmになるように固定し、浴の温度が30℃になるまでは1分間に2℃ずつ上がるように加熱する。次いで、1分間に1℃上がるように加熱を続け、温度計から試料の一滴が離れたときの温度を測定する。この試験を3回行い、測定値の差が1℃未満のときは、その平均値をとり、1℃以上のときは、5回測定してその平均値をとり、融点とする。
これらのワックスは、市販品を使用することができ、例えば、セレシンとして、セレシン#810、セレシンB(以上、日興リカ社);パラフィンとして、パラフィンワックス125、130、135、140、150、155、HNP-3、9、SP-0145、0160、0165、1039、3035、3040(以上、日本精鑞社);フィッシャー・トロプシュワックスとして、FT-0070、0165(以上、日本精鑞社);ポリエチレンワックスとして、PERFORMALENE PL POLYETHYLENE、PERFORMA LENE 400、500(以上、NEW PHASE TECHNOLOGIES社)等が挙げられる。
かかるワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等が挙げられ、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。
これらのワックスは、市販品を使用することができ、例えば、マイクロクリスタリンワックスとして、Multiwax W-445(以上、SONNEBORN社)、Hi-Mic-1045、1070(以上、日本精鑞社)、精製マイクロクリスタリンワックス(日興リカ社)等が挙げられる。
本発明において、平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準試料として測定されるものである。
成分(C)の炭化水素油としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等が挙げられ、重質流動イソパラフィン、ポリブテン、水添ポリイソブテンが好ましい。
本発明において、粘度は、B型粘度計(東機産業社:TVB-10)で、25℃の条件下、ローターNo.4を回転数6rpmの条件で、回転時間1分で測定したものである。
かかるエステル油としては、例えば、ホホバ油、ヒマワリ油、アマニ油、大豆油等の植物油;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル(7mPa・s)、ステアリン酸ブチル、イソノナン酸イソトリデシル(11mPa・s)、リシノレイン酸オクチルドデシル、パルミチン酸エチルヘキシル(13mPa・s)、エチルヘキサン酸セチル(14mPa・s)、炭酸プロピレン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(19mPa・s)、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(14mPa・s)、ジイソステアリン酸プロパンジオール、ジ(カプリン酸/カプリル酸)プロパンジオール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(23mPa・s)、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(30mPa・s)、トリエチルヘキサノイン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等の脂肪酸エステルなどが挙げられる。中でも、ホホバ油が好ましい。
ワセリンは、融点38~60℃の炭化水素の混合物であり、25℃において、固形のものである。
成分(F)の炭化水素油は、25℃で液状のものであり、25℃での粘度が1~10000mPa・s未満であるのが好ましく、2~9000mPa・sがより好ましい。
成分(F)の炭化水素油としては、成分(C)と同様のもので、平均分子量が異なるものが挙げられ、流動パラフィン、ポリイソブテンが好ましい。
油性ゲル化剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、金属石鹸、有機変性粘土鉱物、デキストリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
ここで、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記式(1):
で表されるものである。
具体的には、有機変性粘土鉱物を予め溶媒に分散させたプレミックスゲルを用いることが好ましい。溶媒としては、有機変性粘土鉱物によって増粘可能であれば制限されないが、油の増粘効果の点から、オクチルドデカノール、ミネラルオイル等が好ましい。また、有機変性粘土鉱物を効率良く分散させて増粘効果を発現させる点から、炭酸プロピレン、エタノール、水、各種界面活性剤等の極性添加剤を含むことが好ましい。
プレミックスゲル中の有機変性粘土鉱物の含有量は、作業性向上の点、油の増粘効果、及び増粘した油性ゲル自体の油分離を抑制する点から、5~25質量%が好ましく、8~20質量%がより好ましく、10~18質量%がさらに好ましい。
プレミックスゲルとしては、カチオン変性粘土鉱物を10質量%含有するベントンゲルEUGV、ベントンゲルMIOV、18質量%含有するベントンゲルVS-5 PCV、15質量%含有するベントンゲルPTM(以上、エレメンティスジャパン社製)等の市販品を用いることができる。
具体的には、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸・ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸デキストリン等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料及びこれらの複合粉体が挙げられる。
これらの粉体は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施したものを用いることもできる。
本発明において「針入硬度」とは、不動工業社製のレオメーターを用い、30℃にて、冶具の直径が2mmでtable speedが2mm/sの速さで、冶具が深さ2mmまで針入した時の最大値を、単位面積当たりに換算したものである。
本発明の油性化粧料は、ジャー容器、パレット容器等に直接加熱溶融充填して、冷却する、流し込み形状とするのが好ましく、化粧料を指で直接取って塗布して使用するのが好ましい。
本発明の油性化粧料は、固形状とした場合であっても、従来にはない、やわらかい感触であるのに、液だれしないという特徴を有するものである。固形状であってもやわらかいので、化粧料を指で直接取って塗布するのに好適であり、また、ジャー容器等に充填して、高温で横置き保存した場合にも、液だれすることがない。
表1に示す組成の口唇化粧料を製造し、針入硬度を測定するとともに、水分閉塞性、横置き安定性、室温で化粧料に指で触れたときのやわらかさ及び指どれ性を評価した。結果を表1に併せて示す。
表1に示す全成分を100℃で加熱溶解して均一に混合し、口唇化粧料のバルクを得た。そのバルクを80℃にてジャー容器に直接充填し、冷却固化してジャータイプの口唇化粧料を得た。
(1)針入硬度:
測定サンプルは、バルクを90℃に加熱し、直径2.5cmのアルミ製のセルに流し込み20℃で冷却固化させ、30℃に2時間置いたものである。このサンプルを、不動工業社製のレオメーターを用い、30℃にて、直径2mmφの冶具にて測定を行った。Table speedが2mm/sの速さで、冶具が深さ2mmまで針入した時の最大値である。
ガラス製試薬瓶(開口部1.5cmφ)に水10ccを入れ、サンプルを25μmの厚みになるように濾紙(東洋濾紙社、メンブランフィルター;細孔径0.2μm)の片面に塗布し、これで開口部を覆う。これを30℃、30%RHの条件に12時間静置したときの試薬瓶の重量減少(水分減少量)を測定する。サンプルを塗布していない濾紙で覆った場合の重量減少と比較し、以下の式で水分閉塞性を求めた。
5gジャー容器に、4gの口唇化粧料を充填し、50℃の環境下で容器を横置きにして保存し、そのまま1週間経過後、蓋を開け、内容物の液だれの状態を、以下の基準で、目視により評価した。
◎:1週間経過後においても保存開始時の状態から変化がなく、容器の底が見えない。
○:1週間経過後、やや液だれし、10%未満の領域で容器の底が見える。
△:1週間経過後、液だれし、10%以上30%未満の領域で容器の底が見える。
×:1週間経過後、液だれし、30%以上の領域で容器の底が見える。
専門パネラー10名により、室温で各化粧料に指で触れたときのやわらかさを官能評価した。結果を、良好であると評価したパネラーの人数で示した。
専門パネラー10名により、各化粧料を指で取ったときの指どれを官能評価した。結果を、良好であると評価したパネラーの人数で示した。
*2:MULTIWAX W-445 S(SONNEBORN, INC.社製)
*3:精製キャンデリラワックス特号(セラリカNODA社製)
*4:MULTIWAX W-835(SONNEBORN, INC.社製)
*5:パールリーム18(日本油脂社製)
*6:パールリーム24(日本油脂社製)
*7:精製ホホバ油(香栄興業社製)
*8:サラコス913
*9:コスモール43V
*10:スーパーホワイトプロトペット(SONNEBORN, INC.社製)
*11:モレスコホワイトP-500P(MORESCO社製)
*12:スフィンゴリピッドE(花王社製)
実施例1~8と同様にして、表2に示す組成の口唇化粧料を製造し、針入硬度を測定した。
得られた口唇化粧料は、水分閉塞性が高く、高温で横置しても液だれせず、室温で化粧料に指で触れたときにやわらかく、指どれ性に優れたものである。
*14:エルデュウPS-306(味の素社製)
*15:エルデュウPS-203(味の素社製)
Claims (6)
- 次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)25℃での針入度が6~20の固形炭化水素系ワックス 1.5~5質量%、
(B)25℃での針入度が25~50の固形炭化水素系ワックス 4.5~15質量%、
(C)平均分子量700~4000の炭化水素油 30~60質量%、
(D)25℃での粘度が100mPa・s以下のエステル油 3~20質量%
を含有し、
成分(A)及び(B)の合計量に対する成分(D)の質量割合が、(D)/((A)+(B))=0.3~2であり、
30℃における化粧料の2mmφ冶具での針入硬度が0.09~0.2N/mm2である油性化粧料。 - 成分(A)、(B)及び(C)の合計量に対する成分(D)の質量割合が、(D)/((A)+(B)+(C))=0.05~0.35である請求項1記載の油性化粧料。
- さらに、(E)ワセリンを、10質量%以下含有する請求項1又は2記載の油性化粧料。
- さらに、(F)平均分子量700未満の炭化水素油 13~32質量%を含有する請求項1~3のいずれか1項記載の油性化粧料。
- 口唇化粧料である請求項1~4のいずれか1項記載の油性化粧料。
- ジャー容器、パレット容器に直接加熱溶融充填して冷却する、流し込み形状であって、化粧料を指で直接取って塗布するものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の油性化粧料。
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