JP5793832B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、一定量以上の紫外線を被曝したタイヤを容易に識別し、簡便な品質管理を可能にした空気入りタイヤに関する。
一般にタイヤは摩耗によって劣化するだけでなく、太陽光線中の紫外線に晒されること等によって経時的に物性が変化することが知られている。このような経時的な物性の変化によって本来の性能を維持できなくなる場合があるため、その物性の変化を考慮したタイヤの使用限度を把握できるようにすることが求められている。例えば、特許文献1では、物性が変化して所定の劣化度に達したときにタイヤに管理情報が表示されるようにすることを提案している。
このような経時的な物性の変化のうち、太陽光線中の紫外線による物性の変化は、タイヤ使用時に限らず、保管や展示の際に屋外曝露されること等によっても発生する。しかも、保管や展示の際にはタイヤはリム組みされていないため、タイヤの内表面も外表面も紫外線に晒され、共に物性が変化する虞がある。従って、タイヤ毎の保管の履歴によって物性変化の度合いが大きく異なるため、特に紫外線被曝の度合いを考慮したタイヤの品質管理を可能にすることが求められている。
特開2006−273260号公報
本発明の目的は、上述する問題点を解決するもので、一定量以上の紫外線を被曝したタイヤを容易に識別し、簡便な品質管理を可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ内表面のトレッド部に対応する部分において、タイヤ内表面に設けられた熱可塑性樹脂を主成分とする組成物からなるインナーライナー層上にバリア層と該バリア層上に設けられた下地層を介在して、紫外線の積算照射量が一定量に達すると発色して色調が前記下地層の色の補色に相当する色に変化する紫外線感知発色材料からなり、0.1mm以上1.0mm以下の厚みを有する検知シートをリム組み時に剥がせるように加硫接着によって貼り付けて、タイヤ周上の4箇所以上に間欠的に設置すると共に、該検知シート上に300〜380nmの範囲の波長を有する紫外線のJIS K7105による透過率が0.5以下になるカバーを設け、かつ、リム組み前に前記検知シートを剥がす旨の警告を表示したことを特徴とする。
本発明によれば、タイヤ内表面またはタイヤ外表面の少なくとも一部に、紫外線の積算照射量が一定量に達すると色調が変化する紫外線感知発色材料からなる検知シートを設置したので、紫外線の積算照射量が一定量を超えているか否かを検知シートの色を視認するだけで把握し、物性変化の程度を簡便に識別することが出来、タイヤの品質管理を容易に行うことが出来る。
本発明においては、紫外線感知発色材料の色調の変化が不可逆であるようにすることが好ましい。これにより、一定量の紫外線が照射されたタイヤを確実に識別することが出来る。
本発明では、検知シートとタイヤ内表面またはタイヤ外表面との間にバリア層を設けると共に、検知シートとバリア層との間に下地層を設けているので、検知シートの変色を防止し、色調の変化をより容易に識別することが出来る。
本発明においては、検知シートとして、紫外線感知発色材料が異なる少なくとも2種類の検知シートを配置することが好ましい。これにより、物性の変化をより詳細に段階的に識別することが出来る。
本発明では、検知シートの上に、紫外線の透過量を低減するカバーを設けているので、検知シートの種類に応じてシートの色調の変化までの期間を調整することが出来る。
本発明においては、検知シートにおける紫外線感知発色材料を帯、文字、記号、模様の中から選ばれる識別情報で表示することが好ましい。これにより、更に物性の変化の度合いを容易に識別することが可能になる。
本発明では、タイヤ内面に熱可塑性樹脂を主成分とする組成物からなるインナーライナー層を設けたタイヤにおいて、インナーライナー層上に検知シートを配置することも出来る。この場合、インナーライナー層の紫外線による物性の変化を容易に検知することが出来る。
本発明の実施例を示す空気入りタイヤの一部を切り取って示す概略図である。 本発明の実施例を示す空気入りタイヤの幅方向断面図である。 本発明の実施例を示す空気入りタイヤの周方向断面図である。
図1において、空気入りタイヤ1は、トレッド部10の左右両側にサイド部11、11、及びビード部12、12を連設するように構成されている。このタイヤ内表面に空気透過防止用のインナーライナー層2が内貼りされている。この空気入りタイヤ1のインナーライナー層2のトレッド部10に対応する内表面の一部に、紫外線の積算照射量が一定量に達すると色調が不可逆的に変化する紫外線感知発色材料からなる検知シート3が貼り付けられている。
このように検知シート3を設けることで、空気入りタイヤ1の保管中に一定量以上の太陽光線等が検知シート3に照射されると、紫外線感知発色材料に対する積算紫外線照射量が一定量に達したとき色調が変化するので、それをインナーライナー層2の紫外線による物性変化の許容可能な限度量と対応させておくことで、空気入りタイヤ1の物性変化が許容可能な範囲を超えたか否かを容易に識別することが出来る。
インナーライナー層2として、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物などを用いる。例えば、インナーライナー層2として熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物を用いた場合には、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物の紫外線による物性の変化を容易に識別することが出来る。
図1に示すように、検知シート3は、空気入りタイヤ1のトレッド部10に対応する内表面の一部に設置される。特に、紫外線照射量を確認したい箇所や紫外線による影響が大きい箇所の近くに設けるとよい
検知シート3は、リム組み時に剥がせるように貼り付ける。例えば、リム組み前には紫外線がより長時間照射されるが、リム組み状態では紫外線が当たらなくなる場合、リム組みする際に検知シート3を剥がすようにする。尚、検知シート3の接着方法は、加硫接着とする
紫外線感知発色材料としては、色調の変化が不可逆であることが好ましい。紫外線感知発色材料には、紫外線が照射されると発色し、照射が中断されると発色した色が元の色へと戻る可逆性の紫外線感知発色材料もあるが、可逆性の紫外線感知発色材料では、例えば屋外のように紫外線の照射を受けている状況下での識別は可能であるが、屋外で一定量の照射を受けた後に室内にタイヤを移動してしまうと、紫外線感知発色材料の色調が元に戻ってしまうので正確な識別が出来なくなる。このように色調の変化が不可逆である紫外線感知発色材料としては、特許3787381号公報に記載の紫外線量検知インキを好ましく用いることが出来る。
検知シート3は、図1に示すように、検知シート3とタイヤ表面Tとの間に、バリア層5を介在させる。タイヤのゴム層にはいろいろな配合剤が混合してあり、その配合剤は経時的にタイヤ表面に浸出する(マイグレート)ことがあり、そのマイグレートした配合剤により検知シート3が変色して紫外線感知発光材料の変色を確認し難くなることがあるからである。これを防止するために極性が高いポリマーを含むバリア層5を少なくとも1層設けることが好ましい。このバリア層5の材料としては、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、塩化ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル含有量が25%以上のアクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴムの中から選ばれるポリマーを含んでなるハロゲン化ブチルゴムを用いるとよい。このバリア層5は厚みが0.1mm以上であると配合剤マイグレーションに対するバリア効果が大きい。
また、図1に示すように、検知シート3とバリア層5との間に下地層6が設けられる。下地層6は、バリア層5やタイヤ表面Tの色が検知シート3の表面側に透過するのを遮断するため、検知シート3の色調の変化の識別をより容易にすることが出来る。下地層6の色としては、白色、銀色、黄色、黄緑色などの明色が好ましい。また、下地層6の色と紫外線感知発色材料が発色したときの色とが、JIS Z 8721−1977に規定される10色相の色相環において、補色であるか、補色に隣接する色で実質的に補色関係であるようにする。この10色相の色相環において、補色であるか、補色に隣接する色で実質的に補色関係であるとは、例えば着色が2色で、2色のうち1色が桃色や朱色等の中間色を含む赤である場合、もう一方の色を色相環の対極位置にある色、即ち赤色の補色である青竹色等の中間色を含む青緑色であるか、または赤色の補色である青緑色の隣にある中間色を含む青色であるか緑色で、赤色と実質的に補色関係にある色を指している。
勿論、補色であるか、補色に隣接する色で実質的に補色関係である色の組み合わせは、上記色の組み合わせに限定されない。
知シート3の厚みが0.05mmより小さいと下地の色の影響を受け易く識別が困難になり、厚みが1.0mmより大きいとタイヤの変形に起因する面外曲げによって損傷が発生するので、検知シート3をリム組み時に剥がせるように貼り付ける本発明では、その厚みを0.1mm以上1.0mm以下にする。また、リム組み時に検知シートを剥がせるようにする本発明では、リム組み前に検知シート3を剥がす旨の警告を表示する。
検知シート3タイヤ内表面に設ける際は、直射日光が当たり易い箇所に設けるものとする。例えば、扁平タイヤのように、サイド部やショルダー部には日光が当たり難い場合は、図に示すように、検知シート3をタイヤ幅方向においてトレッド部に対応する部分に設ける。
に例示したように、タイヤ幅方向に対して設定された検知シート3は、タイヤ周方向に対しては、図に示すように、タイヤ周方向に間欠的に設け。少なくとも紫外線感知発色材料4をタイヤ周上所に設ける。
検知シート3として、紫外線感知発色材料の色調変化の時期が異なる少なくとも2種類の検知シートを配置してもよい。例えば、2種類の検知シートを配置した場合、第1の検知シートを構成する紫外線感知発色材料が変色する積算紫外線照射量をA、第2の検知シートを構成する紫外線感知発色材料が変色する積算紫外線照射量をB(>A)とすると、第1の検知シートが変色するまでは積算紫外線照射量がA未満、第1の検知シートが変色してから第2の検知シートが変色するまでは積算紫外線照射量がA以上B未満、第2の検知シートが変色すると積算紫外線照射量がB以上というように、紫外線被爆の度合いを細かく識別することが出来るようになる。
本発明では、検知シート3の上に紫外線の透過量を低減するカバーを設け。紫外線の透過量を低減するカバーを設けると、検知シート3が変色するまでの実質的な積算紫外線照射量を増やすことが出来るので、検知シート3が変色するまでの期間を長期間に設定することが可能になる。少なくとも、300〜380nmの範囲のいずれかの波長のJIS K 7105による透過率が0.5以下になるようなカバーを用いる。例えば、フィルムやビニル等の樹脂、織布などからなるカバーを用いるとよい。
検知シート3における紫外線感知発色材料を帯、文字、記号、図形、模様の中から選ばれる識別情報を表示するようにしてもよい。単なる色調の変化を見るよりも、色の変化により表示される上記識別情報の有無を見る方が容易であり、簡単に紫外線被曝の度合いを識別することが出来る。
1 空気入りタイヤ
2 インナーライナー層
3 検知シート
4 ヒール部分
5 バリア層
6 下地層
10 トレッド部
11 サイド部
12 ビード部

Claims (4)

  1. タイヤ内表面のトレッド部に対応する部分において、タイヤ内表面に設けられた熱可塑性樹脂を主成分とする組成物からなるインナーライナー層上にバリア層と該バリア層上に設けられた下地層を介在して、紫外線の積算照射量が一定量に達すると発色して色調が前記下地層の色の補色に相当する色に変化する紫外線感知発色材料からなり、0.1mm以上1.0mm以下の厚みを有する検知シートをリム組み時に剥がせるように加硫接着によって貼り付けて、タイヤ周上の4箇所以上に間欠的に設置すると共に、該検知シート上に300〜380nmの範囲の波長を有する紫外線のJIS K7105による透過率が0.5以下になるカバーを設け、かつ、リム組み前に前記検知シートを剥がす旨の警告を表示したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記紫外線感知発色材料の色調の変化が不可逆であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記検知シートとして、紫外線感知発色材料が異なる少なくとも2種類の検知シートを配置したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記検知シートにおける紫外線感知発色材料を帯、文字、記号、図形、模様の中から選ばれる識別情報で表示したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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