JP5792129B2 - 太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、カルコゲナイド化合物を主成分として含有するp型半導体層を有する太陽電池に関する。
従来のシリコンを用いた太陽電池に加え、最近では、化合物半導体を用いた化合物系太陽電池の実用化が進んでいる。この化合物系太陽電池としては、光吸収層にCIS(銅・インジウム・セレン)やCIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)等のカルコゲナイド化合物をp型半導体化合物として用いたものが知られている。
従来の化合物系太陽電池の一例を図2に示す。図2の太陽電池20は、基板11、下部電極12、p型化合物半導体層13、バッファ層14、透明導電膜15及び上部電極16がこの順に積層されてなる構造を有する。p型化合物半導体層13は太陽光を吸収してキャリアを発生する主要な要素となる。また、バッファ層14は、n型半導体化合物で形成されている。この太陽電池20においては、透明電極膜15側から太陽光等の光が照射され、光を電力に変換することができる。
化合物系太陽電池の特徴としては、以下のような点が挙げられる。
(1)結晶シリコン太陽電池と比べて薄い膜厚で高い変換効率が得られる。例えば、化合物系太陽電池の膜厚が数μmであるのに対し、結晶シリコン太陽電池の膜厚は概ね100μm以上である。従って、フレキシブルな基板上に化合物系太陽電池を形成できる。
(2)スパッタ法のように真空を必要とせず、溶液成長法、スプレー熱分解法、、スクリーン印刷法など、大気圧下で製造が可能であるので、設備コスト及び製造コストが低い。また、低温での製造が可能なので、基板材料としてソーダライムガラスなどの安い材料を使用することができる。さらに結晶シリコン太陽電池と比べて、製造工程も簡単であることからも製造コストが低い。
(3)長期間の耐久性に優れている。
上記化合物系太陽電池としては、p型化合物半導体層にCIS(銅・インジウム・セレン)、CIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)、CIGSS(銅・インジウム・ガリウム・セレン・硫黄)といったカルコゲナイド化合物を用いるものが開発されている(特開平8−330614号公報、特開2007−109842号公報、特開2007−109842号公報、特開2007−317885号公報及び特開2010−232608号公報参照)。しかし、上記p型化合物半導体層は、いずれもセレン(Se)を含むカルコゲナイド化合物から形成されている。Seは毒性が強く、水質土壌汚染に関する環境基準指定元素となっている。
そこで、セレンを含まないカルコゲナイド化合物から形成されるp型化合物半導体層を有する太陽電池として、硫黄を含むCZTS(銅・亜鉛・スズ・硫黄)を用いたものや、CuInSを用いたものが提案されている(特開2010−215497号公報及び特開2011−216874号公報参照)。しかし、このような太陽電池も十分な変換効率を備えるものではなく、バッファ層にCdSを用いることが好適であるとされている。Cdは、生体に対して蓄積性があり、人体に有害で、さらに発がん性も指摘されている元素である。
特開平8−330614号公報 特開2007−109842号公報 特開2007−109842号公報 特開2007−317885号公報 特開2010−232608号公報 特開2010−215497号公報 特開2011−216874号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、毒性の高い元素を含む化合物を用いなくとも十分な変換効率を発揮することができる化合物系の太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者は、化合物系太陽電池において、Seを含有せずSを含有するカルコゲナイド化合物をp型半導体層に用いる場合、特定の組成を有する中間層を存在させることで高い光電変換効率を発揮させることを見出し、本発明に至った。
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、
n型半導体層、中間層、及びカルコゲナイド化合物を主成分として含有するp型半導体層をこの順に有し、
上記中間層の主成分がスズ(Sn)−亜鉛(Zn)−硫黄(S)系化合物であり、このSn−Zn−S系化合物におけるZnとSnの合計原子数に対するZnの原子数(Zn/(Zn+Sn))が10%以上40%以下である太陽電池である。
当該太陽電池は、Sn、Zn及びSを特定の比率で含むSn−Zn−S系化合物を主成分とする中間層を備えるため、Seを含まないカルコゲナイド化合物をp型半導体層に用いた場合であっても、十分な変換効率を発揮することができる。従って、当該太陽電池によれば、SeやCdといった毒性の高い元素を含む化合物を用いなくとも十分な変換効率を発揮することができる。
上記Sn−Zn−S系化合物が、硫化スズ及び硫化亜鉛を含むとよい。このようにすることで、上記ZnとSnの合計原子数に対するZnの原子数比の調整が容易になり、当該太陽電池の変換効率を高めることができる。
上記中間層の膜厚としては、30nm以上300nm以下が好ましい。このような膜厚とすることで変換効率を更に高めることができる。
上記カルコゲナイド化合物が、Sを含有し、かつセレン(Se)を含有しないことが好ましい。このようにすることで、毒性を有するSeを用いることなく十分な変換効率を発揮することができる。
上記カルコゲナイド化合物が、Cu−Zn−S系化合物又はCuInSであるとよい。このような化合物を用いることで、変換効率を更に高めることができ、また成膜も容易になる。
ここで、A−B−C系化合物(Sn−Zn−S系化合物、Cu−Zn−S系化合物等)とは、1種の化合物のみからなる場合と、2種以上の化合物の混合物からなる場合とがあり、1種又は2種以上の化合物全体がこの3元素により構成されているものをいう。具体的には(1)この3元素からなる化合物である場合、(2)この3元素中の2元素からなる2種以上の化合物の混合物である場合などがある。
以上説明したように、本発明の太陽電池によれば、毒性の高い元素を含む化合物を用いなくとも十分な変換効率を発揮することができる。
本発明の太陽電池の一実施形態を示す模式的断面図 従来の太陽電池の一例を示す模式的断面図 実施例14のCu−Zn−S層の薄膜X線回折パターン 製造例1のSn−Zn−S膜の薄膜X線回折パターン
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の太陽電池の実施の形態を詳説する。
<太陽電池>
図1の太陽電池10は、薄膜型の化合物系太陽電池である。当該太陽電池10は、透明基板1、透明電極膜2、n型半導体層3、中間層4、p型半導体層5及び電極膜6を備える。
透明基板1は、透明な材料から形成されている。透明基板1の材料としては、例えば、ケイ酸アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラスや、アクリル樹脂、PET等の合成樹脂などを用いることができる。これらの中でも、強度や熱安定性等の点から、ガラスが好ましい。また、このガラスは、化学的に又は熱的に強化されたものが好ましい。
透明基板1の厚さとしては、特に限定されないが、通常0.1mm以上10mm以下程度である。なお、この透明基板1は、例えば合成樹脂製で、かつ厚さを薄く設けたフレキシブル基板であってもよい。
透明電極膜2は、透明基板1の表面に薄膜状に積層されている。この透明電極膜2は、導電性を有し、かつ透明な材料から形成されている。透明電極膜2の材料としては、例えば、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F(FTO)、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnO等の金属酸化物を挙げることができる。透明電極膜2の厚さとしては、特に限定されず、例えば100nm以上10μm以下とすることができる。
n型半導体層3は、透明電極膜2の表面に薄膜状に積層されている。このn型半導体層3は、透明なn型半導体材料から形成されている。当該太陽電池10においては、このようにn型半導体層3が透明であることで、透明基板1側から光を入射させ、この入射光を中間層4まで到達させることができる。
n型半導体層3の具体的材料としては、TiO、ZnO、SnO及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、TiOがさらに好ましい。これらの材料は、n型半導体として機能させることができると共に、十分な透明性を有し、かつ電子輸送層としても機能することができる。また、これらの材料は、スプレー熱分解法によって成膜することもできるため、製造コストを抑えることができる。なお、n型半導体層3には、n型半導体としての機能及び透明性等を阻害しない範囲で他の成分が含有されていてもよい。
n型半導体層3の厚さ(平均厚さ)としては、10nm以上10μm以下が好ましく、100nm以上1μm以下がより好ましい。n型半導体層3の厚さが上記下限未満の場合は、所望する範囲を完全に被覆されない場合があり、変換効率が低下するおそれがある。逆に、この厚さが上記上限を超える場合は、抵抗が高くなったり、光透過性が低下するおそれがあるため好ましくない。
中間層4は、n型半導体層3の表面に積層されている。当該太陽電池10は、中間層4を備えることで、n型半導体層3及びp型半導体層5でそれぞれ生じる電子と正孔との再結合を抑制することなどができ、変換効率を高めることができる。
この中間層4の主成分は、Sn−Zn−S系化合物である。主成分とは、質量基準で最も多い成分をいう。このSn−Zn−S系化合物としては、Sn、Zn及びSからなる1種の化合物、この3元素中の2元素からなる2種以上の化合物の混合物などが挙げられる。これらの中でも、Sn−Zn−S系化合物としては、3元素中の2元素からなる2種以上の化合物の混合物が好ましい。このようにすることで、元素の組成比を調整しやすくなり、変換効率を効果的に高めることができる。上記2つの元素を含む2種以上の化合物の混合物としては、硫化スズ(SnS及びSnS)及び硫化亜鉛(ZnS)を含むものが好ましく、この硫化スズ及び硫化亜鉛の混合物がより好ましい。このようにすることで、ZnとSnの合計原子数に対するZnの原子数比の調整が容易になり、当該太陽電池10の変換効率を高めることができる。また、硫化スズ及び硫化亜鉛は、スプレー熱分解法によって成膜することができ、n型半導体層3の表面形状に追従して膜を形成することができ、成膜性にも優れる。
上記Sn−Zn−S系化合物におけるZnとSnの合計原子数に対するZnの原子数(Zn/(Zn+Sn))としては、10%以上40%以下であり、15%以上35%以下が好ましく、20%以上30%以下がさらに好ましい。比Zn/(Zn+Sn)をこのような範囲とすることで、Seを含まず、Sを有するカルコゲナイド化合物をp型半導体層5に用いた場合であっても、十分な変換効率を発揮することができる。
この中間層4における上記Sn−Zn−S系化合物の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。なお、中間層4における上記Sn−Zn−S系化合物以外の成分としては、水素や酸素が挙げられる。これらは例えば、液相法で中間層を形成した場合に、水分(HO)、酸素原子(O)、水酸基(OH)といった形態で微量に残留しうるが、中間層4の機能は失われることはない。その他、中間層4には、本発明の機能を阻害しない範囲で、他の成分が含有されていてもよい。
中間層4は、結晶構造を有していてもよいし、非晶質であってもよいが、結晶構造を有していることが好ましい。中間層4が結晶構造を有することで、当該太陽電池の変換効率をより高めることができる。なお、上記Sn−Zn−S系化合物が2種以上の化合物の混合物である場合、この中間層4は、これらの混合結晶集合体として形成されうる。
中間層4の膜厚(平均膜厚)の下限としては、30nmが好ましく、40nmがより好ましく、50nmがさらに好ましい。一方、この膜厚(平均膜厚)の上限としては、300nmが好ましく、200nmがより好ましく、150nmがさらに好ましい。このような膜厚とすることで変換効率を更に高めることができる。この膜厚が30nm未満の場合は中間層4にピンホールが生じ、n型半導体層3とp型半導体層5とが直接接触する部分が生じやすくなる。この場合、電子と正孔とが高い確率で再結合するため並列抵抗が低下するため、良好な太陽電池特性が得られない。上記膜厚が300nmを超えると、内部抵抗が増大するため、この場合も良好な太陽電池特性が得られない。
p型半導体層5は、中間層4の表面に薄膜状に積層されている。p型半導体層5は、カルコゲナイド化合物を主成分として含有する。主成分とは、質量基準で最も多い成分をいう。カルコゲナイド化合物を含有するp型半導体層は、非真空プロセスであるスプレー熱分解法で成膜が可能である。従って、当該太陽電池10によれば、製造設備コストを抑え、生産性を高めることができる。このp型半導体層5におけるカルコゲナイド化合物の含有率としては、80質量%以上100質量%以下が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がさらに好ましい。
上記カルコゲナイド化合物とは、S(硫黄)、Se(セレン)又はTe(テルル)を含む化合物を言う。このカルコゲナイド化合物の中でも、Sを含有しかつセレン(Se)を含有しないことが好ましい。このようにすることで、毒性を有するSeを用いることなく十分な変換効率を発揮することができる。
上記カルコゲナイド化合物としては、Cuと、Zn又はInと、Sとからなる化合物が好ましく、Cu−Zn−S系化合物又はCuInSがさらに好ましく、Cu−Zn−S系化合物がさらに好ましい。このような化合物を用いることで、変換効率を更に高めることができ、また、成膜が容易になるため実用性を高めることなどができる。
上記Cu−Zn−S系化合物とは、1種又は2種以上の化合物からなっていてよく、全体としてCu、Zn及びSからなる化合物である。例えば、2種以上の化合物の混合物としては、CuS、CuS及びZnSの混合物を挙げることができる。
p型半導体層5の膜厚(平均膜厚)としては、特に限定されないが、100nm以上20μm以下が好ましく、300nm以上5μm以下がさらに好ましい。p型半導体層5の平均膜厚を上記範囲とすることで、効率的な発電を行うこと等が可能となる。
電極膜6は、p型半導体層5の表面に薄膜状に積層され、集電電極として機能する。この電極膜6を形成する材料としては、導電性を有するものである限り特に限定されないが、Pt、Al、Au、Cu、Ti、Ni等の金属やカーボン等を用いることができる。
当該太陽電池10によれば、透明基板1側から太陽光等の光が照射されることで、両半導体層において電子と正孔とが生じ、光を電力に変換することができる。当該太陽電池10においては、中間層4の主成分にSn−Zn−S系化合物を用いていており、有害な元素であるCdを含まないので、人体や環境に対する影響が低い。また、当該太陽電池は、p型半導体層5の主成分にCu−Zn−S系化合物、CuInS等のカルコゲナイド化合物を用いた場合、中間層4の機能がより有効となり、光電変換効率を高めるものであるが、この場合、p型半導体層5にも有害元素(Se)を含まないので、環境汚染や製造工程における作業者への健康への影響も回避することができる。
当該太陽電池10の製造方法は特に限定されず、各層を順に積層することで得ることができるが、
(1)スプレー熱分解法により、透明電極膜2の表面にn型半導体層3を形成する工程、
(2)スプレー熱分解法により、n型半導体層3の表面に中間層4を形成する工程、及び
(3)スプレー熱分解法により、中間層4の表面にp型半導体層5を形成する工程
を有する製造方法により好適に得ることができる。以下、各工程について詳説する。
(1)n型半導体層形成工程
本工程においては、スプレー熱分解法により、透明基板1の表面に積層された透明電極膜2の表面にn型半導体層3を形成する。この際、透明基板1と透明電極膜2との積層体としては、市販の透明電極層(膜)付ガラス基板等を用いることができる。なお、透明電極膜2の表面は、中性洗剤等による洗浄、純水等による超音波洗浄等を予め施しておくことが好ましい。
本工程のスプレー熱分解法に用いられる原料溶液としては、水や、エタノール、プロパノール等のアルコールなどの有機溶媒に金属塩化物、硝酸塩、酢酸塩、酸化物などの溶質を溶解させたものを用いることができる。上記溶質は、n型半導体層3を形成する材質に応じて適宜選択すればよい。
上記原料溶液として、n型半導体層3をTiOで形成する場合、例えば、チタンジイソプロポキシドビスアセチルアセトナートのアルコール溶液を、n型半導体層3をZnOで形成する場合、例えば、硝酸亜鉛の水溶液を、n型半導体層3をSnOで形成する場合、例えば、塩化スズ及び塩化水素の水溶液を、n型半導体層3をInで形成する場合、例えば、塩化インジウムの水溶液を用いることができる。
このような原料溶液を加熱した透明電極膜2の表面に噴霧することによって、化学反応(酸化)が進行すると共に、溶媒等の余分な成分が揮発し、各酸化物からなる層を得ることができる。この加熱の方法は特に限定されず、ホットプレートなどを用いればよい。この加熱の際の温度(透明電極膜2表面の温度)は、用いる原料溶液の種類等によるが、例えば、300℃以上700℃以下程度である。また、上記噴霧は、スプレー熱分解法を行う際に通常用いられる公知の噴霧器を用いて行うことができる。
(2)中間層形成工程
本工程においては、上記工程(1)で得られたn型半導体層3の表面に、スプレー熱分解法により中間層4を形成する。
本工程のスプレー熱分解法に用いられる原料溶液としては、亜鉛源として硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛等、スズ源として硝酸スズ、酢酸スズ、塩化スズ等、硫黄源としてチオ尿素、硫黄等を含む溶液を用いることができる。具体的には、例えばZn(NOと、SnClと、SC(NHとの混合水溶液を用いることができる。これらの配合比は、得られるSn−Zn−S系化合物の原子数比(Zn/(Zn+Sn))等を考慮して適宜調整すればよい。
このような原料溶液を加熱したn型半導体層3の表面に噴霧することによって、中間層4を形成することができる。なお、上記混合水溶液を用いる場合、加熱温度(n型半導体層3表面の温度)としては例えば、200℃以上500℃以下とすることができる。また、この加熱や噴霧の手段は、上記工程(1)と同様である。
(3)p型半導体層形成工程
本工程においては、上記工程(2)で得られた中間層4の表面に、スプレー熱分解法によりp型半導体層5を形成する。
本工程のスプレー熱分解法に用いられる原料溶液は、p型半導体層5の組成に応じて適宜調製すればよい。例えばCu−Zn−S系化合物の層とする場合は、銅源として塩化銅、酢酸銅、硝酸銅等、亜鉛源として塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛等、硫黄源としてチオ尿素や硫黄等を含む溶液を用いればよい。CuInSの層とする場合は、上記亜鉛源の代わりにインジウム源として塩化インジウム、酢酸インジウム、硝酸インジウム等を用いればよい。これらの配合比は、得られるp型半導体層5の組成等を考慮して適宜調整することができる。なお、噴霧の際の中間層4の表面の温度(加熱温度)としては、250℃以上450℃以下が好ましい。また、この加熱や噴霧の手段は、上記工程(1)と同様である。
このようにn型半導体層3、中間層4及びp型半導体層5の3層をいずれもスプレー熱分解法により形成することで、製造コストを抑えて、当該太陽電池10を得ることができる。
なお、本発明の太陽電池は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、p型半導体層の表面に透明な電極膜を形成することにより、p型半導体層側から光を入射させる構成としてもよい。この場合、基板に不透明な基板を用いることができる。また、当該太陽電池のn型半導体層、中間層及びp型半導体層は、スプレー熱分解法以外の方法、例えばスパッタ法、溶液成長法、スクリーン印刷法等で成膜することもできる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜5及び比較例1〜3]
(n型半導体層の成膜)
ガラス基板上に透明導電膜SnO:F(FTO)が成膜された透明基板上に、n型半導体層としてTiOをスプレー熱分解法により成膜した。n型半導体層の成膜条件は以下の通りである。原料溶液としては、チタンジイソプロポキシドビスアセチルアセトナート(イソプロパノール溶媒中に濃度75質量%)7mlとエタノール43mlとの混合溶液を用いた。空気をキャリアガスとして、透明基板上に原料溶液をスプレー(噴霧)した。噴霧器先端と基板の距離は30cmとし、30秒ごとに1秒間のスプレーを3回繰り返した。全体のスプレー時間は50分間であり、この結果、膜厚400nmのn型半導体層が成膜された。スプレー中の基板温度は500℃に設定したので、膜中に溶媒などの不純物は残留しなかった。
(中間層の成膜)
次に、この試料上にSn−Zn−S中間層を以下の条件でのスプレー熱分解法により成膜した。Zn(NOとSnClとを合計で0.02Mとなるように、及びチオ尿素(SC(NH)を0.05Mとなるように蒸留水15mlに溶かし、原料溶液とした。空気をキャリアガスとして、試料上にこの原料溶液をスプレーした。噴霧器先端と基板の距離は30cmで、30秒ごとに1秒間のスプレーを3回繰り返した。全体のスプレー時間は15分間であり、この結果、膜厚120nmの中間層が成膜された。但し、最適なZn:Sn比を探るために、原子数比Zn/(Zn+Sn)を0〜100%の間で変えた試料を複数個作成した。スプレー中の基板温度は350℃に設定したので、膜中に溶媒などの不純物は残留しなかった。なお、以下の製造例1によれば、この中間層はSnS、ZnS及びSnSの混合体であることが分かっている。
(p型半導体層)
次に、同じくスプレー熱分解法により、この試料上にp型半導体層としてCuInS層を積層した。原料溶液としてCuCl、InCl及びSC(NHを蒸留水30mlに溶かしたものを用いた。なお、CuCl及びInClの濃度はそれぞれ0.03Mに、SC(NHの濃度は0.15Mに調整した。空気をキャリアガスとして、試料上にこの原料溶液をスプレーした。噴霧器先端と基板の距離は30cmで、30秒ごとに1秒間のスプレーを3回繰り返した。全体のスプレー時間は15分間であり、この結果、膜厚1μmのp型半導体層が形成された。スプレー中の基板温度は350℃に設定したので、膜中に溶媒などの不純物は残留しなかった。
(電極層)
最後に、この試料上に電極層(集電電極)としてカーボン層をスクリーン印刷により塗布成膜し実施例1〜5及び比較例1〜3の各太陽電池を得た。
[特性評価]
得られた各太陽電池(受光部:10×10mm)を用いて、大気中、室温、AM1.5の条件で変換効率の測定を行った。各太陽電池の中間層におけるZn比率(原子数比Zn/(Zn+Sn))と共に測定結果を表1に示す。Zn比率が10〜40%で変換効率が高いことが分かった。
Figure 0005792129
[実施例6〜13及び比較例1]
中間層のZn比率Zn/(Zn+Sn)を25%とし、中間層の膜厚を変えて実施例6〜13及び比較例1の太陽電池を作製した。中間層の膜厚は、原料溶液の濃度は一定とし、スプレーする原料溶液量を変えることで調整した。その他の条件は、実施例1等と同じである。
[特性評価]
得られた各太陽電池(受光部:10×10mm)を用いて、大気中、室温、AM1.5の条件で変換効率の測定を行った。測定結果を表2に示す。中間層の膜厚が30nm以上300nm以下で変換効率が高いことが分かった。
Figure 0005792129
[実施例14]
中間層のZn比率Zn/(Zn+Sn)を25%とし、p型半導体層としてCu−Zn−S層を積層した。p型半導体層の原料溶液はCuCl、Zn(NO及びSC(NHの混合水溶液を用いた。CuCl及びZn(NOの濃度はそれぞれ0.03Mに、SC(NHの濃度は0.15Mに調製した。その他の条件は実施例1等と同じとして、実施例14の太陽電池を得た。実施例1等と同様の条件で、変換効率を測定したところ、変換効率は0.8%であった。
なお、Cu−Zn−S層を上記の方法によりガラス基板上に成膜した試料の薄膜X線回折パターンを図3に示す。この膜はCuS、CuS及びZnSの混合体であった。
[製造例1](Sn−Zn−S膜の成膜)
Zn比率Zn/(Zn+Sn)を25%とし、実施例1と同じ方法によりガラス基板上にSn−Zn−S単層膜を成膜した。えられた成膜の薄膜X線回折パターンを図4に示す。この膜はSnS,ZnS及びSnSの混合体となっていることがわかる。
以上説明したように、本発明の太陽電池は、毒性の高い元素を含む化合物を用いなくとも十分な変換効率を発揮することができ、新規の化合物系太陽電池として各種用途に用いることができる。
1 透明基板
2 透明電極膜
3 n型半導体層
4 短絡防止層
5 p型半導体層
11 基板
12 下部電極
13 p型化合物半導体層
14 バッファ層
15 透明電極膜
16 上部電極
10、20 太陽電池

Claims (4)

  1. n型半導体層、中間層、及びカルコゲナイド化合物を主成分として含有するp型半導体層をこの順に有し、
    上記中間層の主成分がスズ(Sn)−亜鉛(Zn)−硫黄(S)系化合物であり、このSn−Zn−S系化合物におけるZnとSnの合計原子数に対するZnの原子数(Zn/(Zn+Sn))が10%以上40%以下であり、
    上記カルコゲナイド化合物が、Sを含有し、かつセレン(Se)を含有しない太陽電池。
  2. 上記Sn−Zn−S系化合物が、硫化スズ及び硫化亜鉛を含む請求項1に記載の太陽電池。
  3. 上記中間層の膜厚が30nm以上300nm以下である請求項1又は請求項2に記載の太陽電池。
  4. 上記カルコゲナイド化合物が、Cu−Zn−S系化合物又はCuInSである請求項1、請求項2又は請求項3に記載の太陽電池。
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