JP5944261B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子及びこの製造方法、光電変換素子アレイ並びに太陽電池モジュールに関する。
光電変換素子は、太陽光や室内灯などの光を電気に変換する素子であり、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの光センサや太陽電池として利用される。これらの光電変換素子に用いられる材料としては、結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAs、CdTe、カルコパイライト等が実用化又は開発されている。しかし、太陽電池の需要が高まる中、製造コスト、廃棄時の回収コスト、変換効率等の点から新たな材料の開発が進んでいる。
上記新たな材料の一つとして、Biを用いることが検討されている。Biは、バンドギャップが1.2から1.7eV程度であり、可視光をよく吸収する。また、Biは、低コストな非真空プロセスの一つであるスプレー熱分解法で容易に成膜できるとされている(material chemistry and physiscs,11(1984)p401−412参照)。このBiを用いた太陽電池としては、BiとPbSとが積層されてなる構造を有するものが提案されている(thin solid films 519(2011)p2287−2295参照)。しかし、上記太陽電池は、毒性を有する元素であるPbを含むものであるため、取扱性や、廃棄時の回収処理等の点からは、他の構造や材料を用いた太陽電池の開発が望まれている。
material chemistry and physiscs,11(1984)p401−412 thin solid films 519(2011)p2287−2295
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、特定の毒性元素を用いることなく、比較的低コストで製造することができ、十分な光電変換効率を備える光電変換素子、及びこのような光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
透明n型半導体層、光吸収層及びp型半導体層をこの順に備え、
上記光吸収層の主成分がBiである光電変換素子である。
当該光電変換素子においては、光吸収層の主成分としてBiを用いており、この表裏面に積層されるn型半導体層及びp型半導体層に特定の毒性元素を含むような特別な材料を用いなくとも十分な光電変換効率を発揮することができる。また、上記光吸収層はスプレー熱分解法により成膜することができ、製造コストも抑えることができる。
上記光吸収層がBiの結晶構造を有し、この結晶構造の平均結晶粒径が100Å以上であることが好ましい。このように結晶粒径の大きいBiを存在させることで、光吸収層の抵抗が低くなり、光電変換効率をより高めることができる。
上記n型半導体層の可視光透過率が80%以上であり、このn型半導体層の主成分が酸化物又は硫化物であることが好ましい。このようにすることで、n型半導体層側から光を当てた際のn型半導体層による光の損失が抑えられ、光電変換効率をより高めることができる。
上記p型半導体層の主成分が硫化物であるとよく、この硫化物としてはCuInS又はCuZnSがより好ましい。このような材料からなるp型半導体層を用いると、光吸収性が高まることなどによりさらに光電変換効率を高めることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、
スプレー熱分解法により主成分がBiである光吸収層を成膜する工程
を有し、
上記工程における成膜温度を100℃以上400℃以下とする光電変換素子の製造方法である。
当該製造方法によれば、比較的容易かつ低コストで十分な変換効率を有する光電変換素子を製造することができる。
本発明には、複数の光電変換素子を備える光電変換素子アレイも含まれる。当該光電変換素子アレイは、複数の当該光電変換素子を備えるため優れた光電変換効率を有する。
本発明には、当該光電変換素子又は当該光電変換素子アレイを備える太陽電池モジュールも含まれる。当該太陽電池モジュールは、当該光電変換素子又は当該光電変換素子アレイを備えため発電効率に優れる。
以上説明したように、本発明の光電変換素子は、特定の毒性元素を用いることなく、比較的低コストで製造することができ、かつ十分な光電変換効率を備える。また、当該光電変換素子の製造方法によれば、特定の毒性元素を用いることなく十分な光電変換効率を有する光電変換素子を比較的低コストで製造することができる。従って、当該光電変換素子及びこの製造方法は、太陽電池又はその製造方法等に有効に用いることができる。
本発明の光電変換素子の第一実施形態を示す模式的断面図 本発明の光電変換素子の第二実施形態を示す模式的断面図 製造例で得られたBi膜の結晶粒径と成膜温度との関係を示す図 製造例で得られたBi膜の抵抗値と成膜温度との関係を示す図 製造例で得られたBi膜の抵抗値と結晶粒径との関係を示す図
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の光電変換素子及びこの製造方法、光電変換素子アレイ並びに太陽電池モジュールの実施の形態を詳説する。
<光電変換素子>
(第一実施形態)
図1の光電変換素子1は、透明基板2、透明電極膜3、n型半導体層4、光吸収層5、p型半導体層6及び電極膜7を備え、これらがこの順に積層されてなる層構造体である。
透明基板2は、透明な材料から形成されている。透明基板2の材料としては、例えば、ケイ酸アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラスや、アクリル樹脂、PET等の合成樹脂などを用いることができる。これらの中でも、強度や熱安定性等の点から、ガラスが好ましい。また、このガラスは、化学的に又は熱的に強化されたものが好ましい。
透明基板2の厚さとしては、特に限定されないが、通常0.1mm以上10mm以下程度である。なお、この透明基板2は、例えば合成樹脂製で、かつ厚さを薄く設けたフレキシブル基板であってもよい。
透明電極膜3は、透明基板2の表面に薄膜状に積層されている。この透明電極膜3は、導電性を有し、かつ透明な材料から形成されている。上記透明電極膜3の材料としては、例えば、In:Sn(ITO)、SnO:Sb、SnO:F(FTO)、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnO等の金属酸化物を挙げることができる。上記透明電極膜3の厚さとしては、特に限定されず、例えば100nm以上10μm以下とすることができる。
n型半導体層4は、透明電極膜3の表面に薄膜状に積層されている。このn型半導体層4は、透明なn型半導体材料から形成されている。当該光電変換素子1においては、このようにn型半導体層4が透明であることで、透明基板2側から光を入射させ、この入射光を光吸収層5まで到達させることができる。
n型半導体層4は、可視光透過率が80%以上であることが好ましい。ここで可視光とは400nm〜800nmの範囲の波長の光をいい、可視光透過率とはこの範囲のいずれの波長においても透過率が80%以上であることをいう。このようにn型半導体層4の可視光透過率が高いことで、透明基板2側からの光の入射の際のn型半導体層4における光の損失を抑えることができる。
n型半導体層4の表面電位は、光吸収層5の表面電位と一定程度の差を有することが好ましい。このような材料を用いることで、効果的に起電力を得ることができる。可視光透過率が高くかつこのように好適な表面電位を有する材料としては、TiO、ZnO等の酸化物や、In等の硫化物を挙げることができる。これらの材料は、スプレー熱分解法によって成膜することもできるため、製造コストを抑えることもできる。すなわち、n型半導体層4としては、主成分に上記酸化物又は硫化物を用いることが好ましい。ここで、主成分とは最も多い成分をいい、通常含有量として70質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。なお、n型半導体層4には、n型半導体としての機能及び透明性等を阻害しない範囲で他の成分が含有されていてもよい。また、n型半導体層4は、複数の材料を積層させた多層構造であってもよい。
このn型半導体層4の形成方法としては、特に制限されないが、スプレー熱分解法により得られることが好ましい。n型半導体層4をスプレー熱分解法で得ることで、当該光電変換素子1の低コストでの製造が可能となる。
光吸収層5は、n型半導体層4の表面に薄膜状に積層されている。当該光電変換素子1においては、透明基板2側からの光を主にこの光吸収層5において吸収し、光電変換を行うことができる。
上記光吸収層5の主成分はBiである。当該光電変換素子1は、このように光吸収層5の主成分としてBiを用いており、この表裏面に積層されるn型半導体層4及びp型半導体層6に特定の毒性元素を含むような特別な材料を用いなくとも十分な光電変換効率を発揮することができる。また、この光吸収層5はスプレー熱分解法により成膜することができ、製造コストも抑えることができる。ここで、主成分とは最も多い成分をいい、通常含有量として70質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。なお、光吸収層5には、機能を阻害しない範囲で他の成分が含有されていてもよい。
上記光吸収層5がBiの結晶構造を有し、この結晶構造の平均結晶粒径が100Å以上であることが好ましい。このように結晶粒径の大きいBiを存在させることで、光吸収層の抵抗が低くなり、光電変換効率をより高めることができる。この平均結晶粒径が100Å未満の場合は、抵抗が高まり、光によって生じた電子が光吸収層5内で失活しやすくなる。なお、この平均結晶粒径としては、130Å以上がより好ましい。なお、この平均結晶粒径の上限としては、例えば300Åであり、200Åがより好ましい。上記上限を超える結晶粒径は、製造コストの上昇等を招来するおそれなどがある。
なお、この平均結晶粒径は、各方位((020)面、(200)面、(120)面、(130)面、(310)面及び(211)面)で測定される結晶粒径の平均値とする。
この光吸収層5の平均厚さとしては、特に制限されないが、300nm以上1,500nm以下が好ましい。このような厚さの光吸収層5を設けることで、抵抗の上昇を抑えつつ十分な光吸収性を発揮させることができ、光電変換効率を更に高めることができる。
この光吸収層5の形成方法としては、特に制限されないが、スプレー熱分解法により得られることが好ましい。光吸収層5をスプレー熱分解法で得ることで、当該光電変換素子1の低コストでの製造が可能となる。
p型半導体層6は、上記光吸収層5の表面に積層されている。このp型半導体層6の成分としては、n型半導体層4との組合せにより起電力を生じるものであれば特に限定されず公知のものを用いることができる。
但し、上記酸化物又は硫化物を主成分とする場合のn型半導体層4及びBiを主成分とする光吸収層5との組合せ等から、主成分が硫化物であることが好ましく、CuInS(CIS)又はCuZnS(CZS)であることがさらに好ましい。ここで、CuZnSとは、Cu、Zn及びSからなる化合物をいい、これらの元素の組成比が1:1:1に限定されるものではない。上記材料は、可視光域に吸収性を有する。従って、このような材料からなるp型半導体層6を用いると、光吸収層5を通過した光をこのp型半導体層6で捕捉することができ、光吸収性が高まることなどによりさらに光電変換効率を高めることができる。ここで、主成分とは最も多い成分をいい、通常含有量として70質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。なお、p型半導体層6には、p型半導体としての機能等を阻害しない範囲で他の成分が含有されていてもよい。
p型半導体層6と光吸収層5との表面電位差は、0.2eV以下が好ましく、0.1eV以下がさらに好ましい。このようにp型半導体層6と光吸収層5との表面電位差を小さくすることで、素子の直列抵抗を低くする事ができる。
このp型半導体層6の形成方法としては、特に制限されないが、スプレー熱分解法により得られることが好ましい。p型半導体層6をスプレー熱分解法で得ることで、当該光電変換素子1の低コストでの製造が可能となる。
電極膜7は、p型半導体層6の表面に薄膜状に積層されている。この電極膜7は、透明電極膜3(アノード電極)と対をなし、カソード電極として機能する。この電極膜7を形成する材料としては導電性を有する限り特に限定されないが、Pt、Al、Au、Cu、Ti、Ni等の金属や、グラファイト等を用いることができる。
当該光電変換素子1によれば、透明基板2側から太陽光等の光が照射されることで、光吸収層5及びp型半導体層6に光が吸収され、n型半導体層4とp型半導体層6との間で電位差が生じ、光を電力に変換することができる。この電力は、n型半導体層4及びp型半導体層6にそれぞれ連結される一対の電極(透明電極膜3及び電極膜7)から出力される。
(第二実施形態)
図2の光電変換素子11は、基板12、電極膜13、n型半導体層4、光吸収層5、p型半導体層6、及び透明電極膜17を備え、これらがこの順に積層されてなる層構造体である。n型半導体層4、光吸収層5及びp型半導体層6は、図1の光電変換素子1のものと同様であるので、同一番号を付して説明を省略する。
基板12は、不透明な材料を用いることができ、例えば顔料等が添加された合成樹脂や金属等を用いることができる。
電極膜13は、基板12の表面に薄膜状に積層されている。この電極膜13を形成する材料としては導電性を有する限り特に限定されず、図1の光電変換素子1の電極膜7と同様のものを挙げることができる。
透明電極膜17は、p型半導体層6の表面に薄膜状に積層されている。この透明電極膜17は、電極膜13(アノード電極)と対をなし、カソード電極として機能する。この透明電極膜17を形成する材料は、図1の光電変換素子1の透明電極膜3と同様である。
当該光電変換素子11によれば、図1の光電変換素子1とは逆に、透明電極膜17側から太陽光等の光が照射されることで、p型半導体層6及び光吸収層5に光が吸収され、n型半導体層4とp型半導体層6との間で電位差が生じ、光を電力に変換することができる。この電力は、n型半導体層4及びp型半導体層6にそれぞれ連結される一対の電極(電極膜13及び透明電極膜17)から出力される。
<光電変換素子の製造方法>
本発明の光電変換素子の製造方法について、図1の光電変換素子1の場合を例に詳説する。当該光電変換素子1は、
(1)スプレー熱分解法により、透明電極膜3の表面にn型半導体層4を成膜する工程、
(2)スプレー熱分解法により、n型半導体層4の表面に光吸収層5を成膜する工程、及び
(3)スプレー熱分解法により、光吸収層5の表面にp型半導体層6を成膜する工程
を有する製造方法により好適に得ることができる。以下、各工程について詳説する。
(1)n型半導体層成膜工程
本工程においては、スプレー熱分解法により、透明基板2の表面に積層された透明電極膜3の表面にn型半導体層4を成膜する。この際、透明基板2と透明電極膜3との積層体としては、市販の透明電極膜付ガラス基板等を用いることができる。なお、透明電極膜3の表面は、中性洗剤等による洗浄、純水等による超音波洗浄等を予め施しておくことが好ましい。
このスプレー熱分解法は、公知の方法により行うことができる。例えば、TiOからなるn型半導体層4を形成する場合は、例えばチタンジイソプロポキシドビスアセチルアセトナートのアルコール溶液を、Inからなるn型半導体層4を形成する場合は、例えばInClとチオ尿素との混合水溶液を用いることができる。
このような溶液を加熱した透明電極膜3の表面に噴霧することによって、化学反応が進行すると共に、溶媒等の余分な成分が揮発し、酸化物や硫化物等からなる層を得ることができる。この加熱の方法は特に限定されず、ホットプレートなどを用いればよい。この加熱の際の温度(透明電極膜3表面の温度)は、用いる原料溶液の種類等によるが、例えば、200℃以上600℃以下程度である。また、上記噴霧は、スプレー熱分解法を行う際に通常用いられる公知の噴霧器を用いて行うことができる。なお、n型半導体層4が複数の層からなる場合は、各層に対応した溶液を用いて層の形成を繰り返して行えばよい。
(2)光吸収層成膜工程
本工程においては、上記工程(1)で得られたn型半導体層4の表面に、スプレー熱分解法により光吸収層5を形成する。
本工程のスプレー熱分解法に用いられる溶液としては、ビスマス源となる溶質と硫黄源となる溶質とを溶かした混合溶液を適宜用いればよく、例えば、Bi(NO・5HOと、チオ尿素との混合水溶液を用いることができる。なお、この溶液におけるビスマス原子と硫黄原子とのモル比としては、1.5:3から2.5:3の範囲であることが好ましく、略2:3であることがより好ましい。
このような溶液を加熱したn型半導体層4の表面に噴霧することによって、Biを主成分とする光吸収層5を成膜することができる。なお、この際の成膜温度(n型半導体層4表面の温度)としては、100℃以上400℃以下が好ましく、150℃以上350℃以下がさらに好ましい。上記成膜温度が100℃未満の場合は、水溶液を用いているため沸点以下となり、Biの生成反応が十分に進行しない。逆にこの成膜温度が400℃を超える場合は、得られるBiの結晶粒径が小さく(100Å未満)なりやすくなる。なお、この加熱や噴霧の手段は、上記工程(1)と同様である。
(3)p型半導体層成膜工程
本工程においては、上記工程(2)で得られた光吸収層5の表面に、スプレー熱分解法によりp型半導体層6を成膜する。
本工程のスプレー熱分解法に用いられる溶液は、p型半導体層6を形成する材質により適宜選択すればよい。例えば、CISからなるp型半導体層6を形成する場合は、CuCl・2HO、InCl及びチオ尿素の混合水溶液等を、CZSからなるp型半導体層6を形成する場合は、CuCl・2HO、Zn(NO・6HO及びチオ尿素の混合水溶液等を用いることができる。
このような溶液を加熱した光吸収層5の表面に噴霧することによって、p型半導体層6を成膜することができる。なお、この際の成膜温度(光吸収層5表面の温度)としては、例えば150℃以上400℃以下とすることができる。この加熱や噴霧の手段は、上記工程(1)と同様である。
このようにn型半導体層4、光吸収層5及びp型半導体層6の3層をいずれもスプレー熱分解法により形成することで、製造コストを抑えて、当該光電変換素子1を得ることができる。
なお、p型半導体層6表面への電極膜7の積層は公知の方法(例えば印刷法、メッキ法等)で行えばよい。
当該光電変換素子1の製造方法は、上記方法に限定されない。例えば、各層を化学浴析出法、電解析出法、メッキ法、スピンコート等の印刷法等の他の非真空プロセス、スパッタリング等の真空プロセスにより成膜することもできる。
<光電変換素子アレイ>
本発明の光電変換素子アレイは、複数の当該光電変換素子を備える。各光電変換素子は直列又は並列に電気的に接続されてなる。また、各光電変換素子は同一構造であってもよいし、異なった構造であってもよい。また、当該光電変換素子アレイは、本発明の光電変換素子以外の光電変換素子をさらに備えていてもよい。当該光電変換素子アレイは、複数の当該光電変換素子を備えるため優れた光電変換効率を有し、製造も容易である。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、当該光電変換素子又は当該光電変換素子アレイを備える。当該太陽電池モジュールの具体的構造としては、ガラス等からなる透光性基板と、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂からなる充填剤層と、当該光電変換素子又は光電変換素子アレイと、上記充填剤層と同様の充填剤層と、太陽電池モジュール用バックシートとが表面側からこの順に積層されてなるものが挙げられる。これらは、通常、真空加熱ラミネーション法等により一体成形されている。また、当該光電変換素子又は光電変換素子アレイの配線(両端子)は、通常、裏面(バックシート)側に設けられるジャンクションボックスを通じて外部配線の端子と接続される。
当該太陽電池モジュールは、当該光電変換素子又は当該光電変換素子アレイを備えため発電効率に優れる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]光電変換素子の作製
下記手順にて、透明基板、透明電極膜、n型半導体層、光吸収層、p型半導体層及び電極膜がこの順に積層されてなる光電変換素子を作製した。
(1)ガラス基板
市販の透明導電膜付ガラス基板(Solaronix社のFTO透明導電膜付きガラスTCO22−15)を用いた。
(2)透明n型半導体層の成膜
上記透明電極膜付きガラス基板の表面に以下の方法でTiOからなる層を成膜した。
Sigma−Aldrich社製チタンジイソプロポキシドビスアセチルアセトナート7mlをエタノール43mlに希釈し、全量を50mlとして前駆体溶液とした。500℃に加熱したホットプレート上の上記ガラス基板に、この前駆体溶液50mlをガス圧1.25kPaの空気で1ショット0.5秒毎に5秒のインターバルで噴霧し、目的のTiOを成膜した。
次いで、このTiOからなる層の表面に以下の方法でInからなる層を成膜した。
0.01MのInCl3(無水)と、0.02Mのチオ尿素との混合水溶液を調製し、前駆体溶液とした。250℃加熱したホットプレート上のガラス基板に、この前駆体溶液30mlをガス圧1.25kPaの空気で1ショット0.5秒毎に5秒のインターバルで噴霧し、目的のIn膜を得た。
このようにして、TiOからなる層と、Inからなる層とからなる2層構造の透明なn型半導体層を形成した。
(3)光吸収層の成膜
次いで、上記n型半導体層の表面にBiからなる光吸収層を以下の方法で成膜した。Bi(NO・5HOを10wt%の酢酸水溶液に溶解し、Bi(NO・5HOの0.1M溶液を調製した。上記Bi(NO・5HOを溶解した酢酸水溶液に対して、1.5倍量のチオ尿素水溶液(0.1M)を混合し、前駆体溶液とした。200℃に加熱したホットプレート上の基板にこの前駆体溶液50mlをガス圧1.25kPaの空気で1ショット0.5秒毎に5秒のインターバルで噴霧し、目的の光吸収層(Bi膜)を成膜した。
(4)p型半導体層の成膜
次いで、上記光吸収層の表面にCISからなる層を以下の方法で成膜した。CuCl・2HO(0.03M)、InCl(無水)(0.024M)、及びチオ尿素(0.12M)の混合水溶液を調製し、前駆体溶液とした。200℃に加熱したホットプレート上のガラス基板にこの前駆体溶液100mlをガス圧1.25kPaの空気で1ショット0.5秒毎に5秒のインターバルで噴霧し、目的のp型半導体層(CIS膜)を得た。
(5)最後に、上記p型半導体層の表面に電極膜を形成し、実施例1の光電変換素子を得た。
[実施例2〜5及び比較例1]光電変換素子の作製
各層を形成する材料の種類、用いた前駆体溶液の量、及び成膜温度を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作をして、実施例2〜5及び比較例1の光電変換素子を得た。
なお、p型半導体層におけるCZS膜は、以下の方法にて成膜した。
CuCl・2HO(0.03M)、Zn(NO・6HO(0.25M)、及びチオ尿素(0.12M)を溶質として含む混合水溶液を調製し、前駆体溶液とした。350℃に加熱したホットプレート上の基板にこの前駆体溶液をガス圧1.25kPaの空気で1ショット0.5秒毎に5秒のインターバルで噴霧し、目的のCZS膜を得た。
なお、上記作製過程で得られたCuInS膜、CuZnS膜及びBi膜の表面電位を測定した。測定は、光電子収量分光装置(PYS−200)を用い、真空中(5.0E−4mbar)で、バイアス電圧10Vを印加して行った。測定値は以下のとおりであった。
CuInS膜‥4.54eV
CuZnS膜‥4.47eV
Bi膜‥4.53eV
[評価]
得られた光電変換素子に対して、透明基板側からナリカ社製ランプ D20−1269−11を用いて光照射を行い、光照射時の開放電圧及び短絡電流を測定した。短絡電流0.1mA以上、開放電圧が0.15V以上のものを良(○)とした。測定結果を表1に示す。
Figure 0005944261
実施例1〜5の各光電変換素子は十分な開放電圧と短絡電流が得られた。一方、比較例1の光電変換素子では、十分な短絡電流及び開放電圧が得られなかった。
[製造例1]
製造例1として、ガラス基板の表面に、上記実施例1の(3)の手順に沿って、成膜温度200℃にてBi膜(光吸収層)を成膜した。
[製造例2]
成膜温度を300℃としたこと以外は製造例1と同様にして、製造例2のBi膜(光吸収層)を成膜した。
[製造例3]
成膜温度を400℃としたこと以外は製造例1と同様にして、製造例3のBi膜(光吸収層)を成膜した。
[評価]
得られた製造例1〜3各Bi膜の結晶粒径及び抵抗値を測定した。結晶粒径(平均結晶粒径)は、以下の方法にて測定した。各方位((020)面、(200)面、(120)面、(130)面、(310)面及び(211)面)の結晶性をリガク社製X線回折装置Smart labを用いて測定した。各方位の結晶粒径の平均値を(平均)結晶粒径とした。成膜温度と結晶粒径又は抵抗値とをプロットしたグラフを図3と図4にそれぞれ示す。また、結晶粒径と抵抗値との相関を図5に示す。
図5に示されるように、(平均)結晶粒径が100Å未満の場合は、急激に抵抗値が上昇することがわかる。また、図3及び図4に示されるようにこの(平均)結晶粒径及び抵抗値は、成膜温度に大きく依存することがわかる。
本発明の光電変換素子は、特定の毒性元素を用いることなく、比較的低コストで製造することができ、かつ十分な光電変換効率を備えるため、太陽電池又はその製造方法等に有効に用いることができる。
1、11 光電変換素子
2 透明基板
3 透明電極膜
4 n型半導体層
5 光吸収層
6 p型半導体層
7 電極膜
12 基板
13 電極膜
17 透明電極膜

Claims (4)

  1. 透明n型半導体層、光吸収層及びp型半導体層をこの順に備え、上記光吸収層の主成分がBiであり、上記光吸収層の平均厚さが300nm以上1,500nm以下であり、上記p型半導体層の主成分がCuInS又はCuZnSである光電変換素子の製造方法であって、
    スプレー熱分解法により上記光吸収層を形成する工程を備えることを特徴とする光電変換素子の製造方法
  2. 上記光吸収層がBiの結晶構造を有し、
    この結晶構造の平均結晶粒径が100Å以上である請求項1に記載の光電変換素子の製造方法
  3. 上記n型半導体層の可視光透過率が80%以上であり、
    このn型半導体層の主成分が酸化物又は硫化物である請求項1又は請求項2に記載の光電変換素子の製造方法
  4. 記工程における成膜温度が100℃以上400℃以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の光電変換素子の製造方法。
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