以下に、本発明の一実施の形態である支持部材について説明する。図1(A)及び(B)は、本実施の形態の支持部材を説明する斜視図である。図1(C)は、本実施の形態の支持部材の靴中での配置領域を説明する概略図である。図2(A)〜(C)は、「分冊解剖学アトラス(文光堂)」に示されている足の骨格を説明するための斜視図である。図3は、「解剖学アトラスプロメテウス(医学書院)」に示されている「あおり運動」を説明するための図である。図4(A)及び(B)は、「足の事典(朝倉書店)」に示されている「あおり度」の加齢変化を説明する図である。図5(A)及び(B)は、本実施の形態の支持部材を説明するための断面図である。図6(A)〜(C)は、本実施の形態の支持部材を説明するための断面図である。尚、以下の説明では、土踏まず領域は、足裏に配置される領域として説明する。
図1(A)は、支持部材1を接足面側からみた斜視図である。支持部材1は、靴内に配置された足及びその骨格を適した位置に固定し、支持するための部材であり、足から体重等の荷重を受けた際に、足裏形状に沿って撓む等の変形しない程度の硬さを有することが望ましい。支持部材1は、足から荷重を受けた際に、足の骨格構造によりその衝撃を吸収し、緩衝するためにサポートする部材であり、例えば、プラスチック、コルク、ポリ塩化ビニルやABS樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂から成形される。
本実施の形態では、支持部材1の材料として、骨折時等の患部の固定に用いられる医療用固定材料(ギプス材料)、例えば、レナサームプラスパック(ポールハルトマン株式会社製)を用いる。レナサームプラスパックは、熱可塑性ポリエステル樹脂をポリエステル基布に塗布した、ロール形状のギプス包帯であり、そのギプス包帯を、例えば、70度以上のお湯に入れ軟化させた後、支持部材1を成型する金型内にて硬化させることで、支持部材1は形成される。そして、レナサームプラスパックは、ロール形状のギプス包帯時において、既に、多孔質形状に成形されており、軟化し、金型内にて硬化した後もその多孔質形状を維持することで、支持部材1として通気性や通水性を有する構造となる。また、ポリエステル基布が用いられることで、人肌に対して硬過ぎず、装着時の足裏や足側面への不快性が防止される。更に、レナサームプラスパックは、医療用固定材料(ギプス材料)として用いられるため、軽量且つ機械的強度を有し、支持部材1の材料として好適である。その結果、支持部材1は、靴内にて靴底面等を覆うように配置されるが、靴内の通気性や通水性が確保され、足裏からの荷重により足裏形状に沿って変形しない程度の強度が確保される。そして、支持部材1は、例えば、3mm程度の一定の厚みを有し、主に、足の骨格の横アーチ(例えば、第1趾〜第5趾の中足骨の関節でつくる弧)に掛からない領域から踵骨までの領域を支持するように配置される。支持部材1は、靴中に配置して用いられ、例えば、靴中敷を有する靴では、その靴底と靴中敷との間に配置される。
尚、医療用固定材料(ギプス材料)としては、少なくとも機械的強度を有し、多孔質構造により通気性等を有すれば良く、例えば、複数の繊維強化プラスチック(FRP)を多層に網目状に織り込んで配置され、その多層間や表面等に不織布等の繊維体を含む固定材料であり、その材料を金型内にて加熱硬化させることで多孔質構造の支持部材1が成形される場合でも良い。また、繊維強化プラスチック(FRP)としては、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ポリエチレン繊維強化プラスチック(DFRP)等がある。
また、水硬化性ポリウレタン樹脂を塗布したガラス繊維の編物を積層し、その表面をプラスチックメッシュフィルムで覆った、シート形状の固定材料であり、その材料を水に浸した後、金型内にて硬化させることで多孔質構造の支持部材1が成形される場合でも良い。その他、多孔質構造のエポキシ樹脂や多孔質構造の光硬化性樹脂を基材とし、その中に繊維体を含む材料から支持部材1を成形する場合でも良い。
支持部材1は、主に、第1の底面2、第2の底面3及び側面4から構成される。そして、足の裏面は、主に、第4趾及び第5趾側に配置された平坦面により成る第1の底面2と、第1趾〜第3趾側に配置された曲面により成る第2の底面3とにより支持される。また、足の側面は、前述した第1及び第2の底面2、3と連続し、少なくとも踵領域から第5趾の中足骨の周囲に配置された側面4により支持される。つまり、支持部材1は、主に、第1〜第5趾の中足骨の関節(骨頭部)の手前から踵骨までの足の裏面を第1及び第2の底面2、3により支持することで、第1の底面2により歩行時、直立時等のほぼ全荷重が足裏に加わる姿勢時、足元の安定性やその姿勢の安定性を向上させる。更に、第2の底面3により足の骨格を適正な位置に維持することで、足裏での荷重の分散、衝撃の吸収を実現しつつ、「あおり運動」の効率を高めることができる。また、第2の底面3により足裏の土踏まず領域を持ち上げた状態にて支持することで、土踏まず領域の筋肉や血管を適度に刺激し、筋肉や血流へ好影響を与えることができる。
図1(B)は、支持部材1を靴底面側からみた斜視図である。靴底面側の支持部材1の第1の底部2も平坦面として成形される。一点鎖線は、支持部材1の第1の底面2の外形端部5を示し、支持部材1の第1の底面2が第2の底面3や側面4と交差する領域を示す。そして、支持部材1は、足裏からの荷重に対して変形し難く、支持部材1に足裏から荷重が加えられた際に、第1の底面2が撓み、外形端部5が足の裏面を包み込む方向へと屈曲するよりも、第1の底面2は平坦面を維持することで、支持部材1が靴内にて横ずれすることが防止される。
図1(C)は、支持部材1が靴中の靴底面に対して配置される領域を示す図である。二点鎖線は靴底面を示し、実線にて示す領域は支持部材1の第1の底面2の配置領域を示す。また、斜線のハッチングにて示す領域は支持部材1の第2の底面3の配置領域を示す。図示したように、靴底面の踵領域に対しては、平坦面である第1の底面2がほぼ同形状にて配置され、土踏まず領域を含む領域に対しては、曲面である第2の底面3が配置される。詳細は後述するが、第2の底面3は、第3趾を構成する骨格の下面から足の骨格を持ち上げて支持するため、第1の底面2は、靴底面の外側の外縁端部に沿って配置されるが、内側の外縁端部に対しては少し内側に配置される。そして、第2の底面3は、靴側に形成された土踏まず領域に対応するように、靴底面からその土踏まず領域に渡り配置される。
ここで、靴側の土踏まず領域に対応する部分は、通常、比較的柔軟なポリウレタン等の樹脂により形成され、その外側には靴の外形であるビニールや合皮等が配置される。そのため、足は、内側(第1趾側)へと傾くことで、土踏まず領域は潰され易く、内側縦アーチ(舟状骨を頂点として後方は踵骨の接地点から前方は第1中足趾節関節でつくる弧)を含む骨格は支持され難くなり、その骨格構造も崩れ易い。しかしながら、支持部材1の第2の底面2は、その硬さにより土踏まず領域の内側縦アーチを含む骨格を持ち上げた状態にて支持するため、靴側の土踏まず領域の材料や靴外形の材料に関係なく、内側縦アーチを含む骨格の崩壊が防止される。
図2(A)は、足の骨格の上方からみた斜視図である。図2(B)は、足の骨格の外側面側(第5趾側)からみた斜視図である。図2(C)は、足の骨格の内側面側(第1趾側)からみた斜視図である。
図2(A)に示す如く、足の骨格は、主に、足根骨6(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨、楔状骨)、中足骨7(第1〜第5の中足骨)及び趾骨8(基節骨、中節骨、末節骨)から構成される。以下の説明では、足の骨格を構造工学的観点から、ハッチングしていない第1趾〜第3趾を構成する骨格と、砂状ハッチングした第4趾及び第5趾を構成する骨格とに区別して説明する。そして、第1趾〜第3趾を構成する骨格は、その踵骨側にて第4趾及び第5趾を構成する骨格の上側から配置される。
具体的には、第4趾及び第5趾を構成する骨格は、踵骨9、立方骨10、第4趾の中足骨11、第5趾の中足骨12、第4趾の基節骨13、中節骨14、末節骨15及び第5趾の基節骨16、中節骨17、末節骨18から構成される。一方、第1趾〜第3趾を構成する骨格は、距骨19、舟状骨20、第1趾の内側楔状骨21、中足骨22、基節骨23、末節骨24、第2趾の中間楔状骨25、中足骨26、基節骨27、中節骨28、末節骨29及び第3趾の外側楔状骨30、中足骨31、基節骨32、中節骨33、末節骨34から構成される。
図2(B)に示す如く、砂状のハッチングにて示す第4趾及び第5趾を構成する骨格は、外側縦アーチ(例えば、立方骨10を頂点として後方は踵骨9の接地点から前方は第5趾の中足骨12の関節でつくる弧)は有するが、主に、足裏に沿って踵骨9から趾骨8側へと直線的に配置される。一方、第1趾〜第3趾を構成する骨格の一部は、第4趾及び第5趾を構成する骨格の上側に配置され、踵骨9上から趾骨8側に向けて扇状に広がるように配置される。そして、第1趾〜第5趾の中足骨の関節(頭骨部)の下方に、横足弓型の窪み領域を有するように横アーチが形成され、その横アーチでは第2趾の中足骨26が最も高くなる。
図示したように、外側縦アーチによる窪み領域35は、図2(C)にて後述する第1趾〜第3趾を構成する骨格下方の窪み領域36と比較しても、その頂部までの高さも低く、その幅も狭い領域である。そして、点線は足の皮膚のラインを示すが、少なくとも外側縦アーチを含む第4趾及び第5趾の骨格の下方の足裏は、実質、平坦面である。あるいは、第4趾及び第5趾の骨格の下方の足裏は、外側縦アーチ下方が、若干、窪んでいるが、ほぼ、平坦面である。
図2(C)に示す如く、第1趾〜第3趾を構成する骨格は、踵骨9上から趾骨8側に向けて扇状に広がるように配置され、その第1趾〜第3趾の骨格の下側には、足裏に対して縦足弓型の窪み領域36(前述した内側縦アーチを含む)が形成される。そして、足の骨格構造が、この窪み領域36を有することで、平坦でない地面に対しても足が適用出来る。更に、第1趾〜第3趾を構成する骨格が、窪み領域36有するように半球状の骨格構造となることで、足に加わる体重等の荷重を効率的に分散することで、衝撃緩衝機能を果たす。
図示したように、点線は足の皮膚のラインを示すが、足裏には、窪み領域36に沿って土踏まず領域37が形成され、この土踏まず領域37が足裏に対して確実に窪んだ状態にて配置されることで、偏平足となることを防止し、「あおり運動」が効率的に行われる。
尚、図示していないが、前述した骨格を構成する骨は、様々な靭帯により連結し、その周囲には、腱鞘、筋、神経、血管、汗腺等の各種の腺が配置され、その外側は皮膚により被覆される。そして、筋、神経、血管等は、足の脛骨側から踵骨9の内側を経由し、前述した窪み領域36に配置される。詳細は後述するが、足の骨格構造は、靭帯や筋により支えられているため、例えば、老化等により筋力の低下により、足の骨格構造の維持が図れなくなり、窪み領域36が低減し、偏平足となり、「あおり運動」の低下、足の疲労等の様々な問題が発生し易くなる。
ここで、図3及び図4を用いて「あおり運動」について説明する。
図3は、「あおり運動」の際の足の動きと足裏の接地領域を示す図である。尚、足裏のハッチング領域が、地面との接地領域を示す。また、図3では、紙面左側から右側に向けて「あおり運動」の際の右足の動きを示しているが、左足の動きも同様なため省略する。
図示の如く、「あおり運動」では、右足の踵から地面に着地し、前述した内側縦アーチを含む窪み領域36の外側の足裏から地面に接地し、段々と荷重を乗せ始める。そして、第1趾〜第5趾の足指の付け根部分も地面に接地する状態では、足裏にてほぼ全荷重を支えている状態である。前述したように、第4趾及び第5趾の骨格の下方は、接地し、荷重の加わる領域となるため、この領域に第1の底面2が配置されることで、荷重が分散し易く、安定した姿勢が保ち易くなる。また、扇状の第1趾〜第3趾の領域を含め、横アーチの骨格の下方も、ほぼ全荷重が加わる状態では、一時的に横アーチが消滅し接地領域となるため、この動作を妨げないためにも、横アーチを支持する支持部材1は配置されない。尚、ほぼ全荷重が加わる状態においても、土踏まず領域は接地領域とならないため、支持部材1の第2の底面3にて下方から確実に支持している。
次に、第5趾の足指から第1趾の足指が地面に接地し、足裏の荷重の重心を前方(進行方向)へと移動させることで(回内運動することで)、踵から足裏の外側に沿って移動した荷重の重心が、第5趾の中足骨12の根元(骨頭部)から第1趾の足指の根元(母趾球)へと移動する。この状態では、足裏の踵側は地面から離れ、足裏の第1趾〜第5趾の足指付け根部分及び足指が接地した状態である。最後に、第1趾の足指の根元(母趾球)へと荷重が加わった状態にて、第1趾の足指により地面を蹴りだすことで、前進する推進力が得られる。そして、右足が後方へと蹴りだされる一方で、左足は踵から地面に着地し、前述した同様な動作を行う。
図4(A)に示す如く、「あおり度(W1)mm」とは、着力点軌跡の踵端と爪先端を結ぶ直線を引き、その中点と、垂直二等分線が軌跡と交わる点との距離と定義される。
図4(B)に示す如く、20歳台〜40歳台のあおり度(W1)は、20mm台であり、あおり度(W1)/足幅の値は、0.2台である。一方、50歳台では、あおり度(W1)は、10mm台であり、あおり度(W1)/足幅の値は、0.1台である。そして、60歳台、70歳台へと加齢するにつれて、あおり度(W1)もあおり度(W1)/足幅の値も低下している。加齢によりあおり度(W1)が低下することは、筋力の低下により足の骨格が崩れ、内側縦アーチを含む窪み領域36(図2(C)参照)が低減しているものと推測される。その結果、高齢者は、加齢に伴い、足裏の土踏まず領域が未成形な偏平足を患い易く、足の骨格による衝撃緩衝機能が大幅に低下し、足へ加わる荷重の分散や地面からの衝撃の緩和が図られず、足への疲労が溜まり易くなる。更に、高齢者は、偏平足に起因する「べた足歩行」になり易く、「あおり運動」が効率的に行われず、第1趾の足指への負担が大きくなり、スムーズな推進力が得られ難くなる。
つまり、筋力の衰えた高齢者においても、支持部材1の第2の底面3により足裏の土踏まず領域37を支持することで、足の骨格の窪み領域36が維持されるように足の骨格が適した位置に配置された状態での歩行が実現される。そして、高齢者の足の骨格構造も20歳台等の足の骨格構造と同様に、その衝撃緩衝機能が回復し、「あおり運動」が効率的に行われる。
図5(A)は、図1(A)に示す支持部材1のA−A線方向の断面図である。図5(B)は、図1(A)に示す支持部材1のB−B線方向の断面図である。尚、図5(A)及び図5(B)では、支持部材1の断面に位置する足の骨格を構成する骨も図示し、適宜、図2の説明を参照する。また、二点鎖線は、靴中の靴のラインを示す。
図5(A)に示す断面は、足の土踏まず領域を含む断面である。そして、紙面左側から第1趾〜第3趾の楔状骨21、25、30、第4趾及び第5趾の立方骨10、第5趾の中足骨12が配置され、楔状骨21、25、30の下方には窪み領域36が配置される。
図示の如く、支持部材1の第1の底面2は、平坦面として成形され、少なくとも第4趾及び第5趾を構成する骨格の下面に配置される。そして、この断面では、第1の底面2は、第4趾及び第5趾の立方骨10、第5趾の中足骨12の下面及び第3趾の楔状骨30の下面の一部まで配置される。図3のハッチング領域にて示すように、第4趾及び第5趾を構成する骨格の下面は、少なくとも歩行時等の「あおり運動」や直立時において、足裏にてほぼ全荷重を支えている領域である。そして、支持部材1の第1の底面2が、その荷重を支える領域の下面に配置されることで、足の安定性が向上され、その体勢時での安定性も向上される。尚、前述したように、支持部材1の外形端部5が角部として配置され、荷重により外形端部5が靴底面側へと食い込むことでも、支持部材1が靴内にて横ずれすることの防止効果が得られる。
また、支持部材1の第2の底面3は、第2趾の中足骨25が最も高い位置に配置(横アーチの頂部に配置)されるように、第3趾の下方から足裏側へと凸な曲面として成形され、足裏の土踏まず領域を持ち上げた状態にて支持する。そして、この断面では、第2の底面3は、第1趾〜第3趾の楔状骨21、25、30の下面に配置され、前述した窪み領域36の形成する骨格を支える。つまり、第2の底面3は、前述した内側縦アーチよりも第3趾側から足の骨格構造としての窪み領域36を支持することで、足裏での荷重の分散、衝撃の吸収が実現される。そして、足裏の土踏まず領域が、第2の底面3により持ち上げられた状態にて支持されることで、偏平足に起因する「べた足歩行」になり難く、土踏まず領域に適度な刺激を与え、足裏として血流をサポートする等の健康上の好影響も得られる。
更に、丸印38にて示すように、支持部材1の第2の底面3が、二点鎖線にて示す靴底面の端部よりも第4趾及び第5趾の骨格側から配置されることで、窪み領域36を構成する骨格が、第2の底面3により確実に支持される構造となる。一方、支持部材1の側面4は、第5趾の構成する骨格、ここでは、第5趾の中足骨12の一部と少なくとも重なる高さまで配置される。この構造により、靴内の足は、第2の底面3により、若干、内側面側(第1趾側)から外側面側(第5趾側)へと傾き易くなるが、支持部材1の側面4が、第5趾を構成する骨格側の足の側面を支持することで、靴内での足のずれが防止される。
尚、図示したように、支持部材1の第2の底面3側にも、支持部材1の側面4が、少なくとも第1趾の楔状骨21の一部と重なる高さまで配置され、靴内での足のずれ防止効果が得られるが、この場合に限定するものではない。前述したように、第2の底面3により土踏まず領域を支えることで、若干、足は第5趾側へと傾き易くなるため、第2の底面3側の側面4は配置されない場合でも良い。
図5(B)に示す断面は、足の踵領域の断面である。そして、第4趾及び第5趾の骨格を構成する踵骨9の上面に第1趾〜第3趾を構成する距骨19が配置される。前述したように、足の踵領域は、「あおり運動」の際や直立姿勢の際に、図3のハッチングにて示すように、地面に対して接地領域となるため、支持部材1の第1の底面2が配置されることで、足の安定性が向上され、その姿勢時での安定性も向上される。
ここで、図3を用いて前述したように、「あおり運動」の着地の際の衝撃を緩和するため、踵領域の踵骨9の周囲は厚い脂肪等により覆われている。そして、少なくとも踵領域の踵骨9の周囲には、支持部材1の側面4が配置され、支持部材1の側面4は、少なくとも踵骨9の一部と重なる高さまで配置される。そして、靴の踵領域に沿ってほぼ同形状に配置されることで、脂肪等の横方向への広がりを防止し、踵領域がしっかり固定されることで、靴内での足の横ずれ防止効果が得られる。
尚、踵領域においても、支持部材1の外形端部5が角部として配置されることによっても、支持部材1自体が靴内にてずれることが防止される。
図6(A)は、図1(A)に示す支持部材1のC−C線方向の断面図である。図6(B)は、図1(A)に示す支持部材1のD−D線方向の断面図である。図6(C)は、図1(A)に示す支持部材1のE−E線方向の断面図である。尚、図6(A)〜図6(C)では、支持部材1の断面に位置する足の骨格を構成する骨も図示し、適宜、図2の説明を参照する。また、二点鎖線は、靴中の靴のラインを示す。
図6(A)に示す断面は、主に、第5趾の骨格が配置される断面である。そして、この断面には、第5趾を構成する踵骨9、立方骨10、中足骨12は配置され、説明の都合上、点線にて支持部材1の第5趾側の側面4を示す。
前述したように、少なくとも踵領域から第4趾及び第5趾を構成する骨格の下面は、歩行時等の「あおり運動」等の際、足裏にてほぼ全荷重を支えている領域となるため、支持部材1の第1の底面2が配置され、ほぼ全荷重を支える際の足の安定性が向上され、その姿勢時での安定性も向上される。
ここで、図2(B)にて説明したように、第4趾及び第5趾の骨格は、趾骨8側へと直線的に配置され、第1趾〜第3趾の骨格を下方から支え、足裏の土台となる骨格である。そして、外側縦アーチを含む第4趾及び第5趾の骨格の下方の足裏は、実質、平坦面である。そこで、外側縦アーチの下方には、その窪み領域35に沿った曲面でなく、平坦面である第1の底面2が配置されることで、足の骨格構造が必要以上に高いアーチとなることが防止される。そして、歩行時等の足裏の荷重の重心が、外側縦アーチの下方にて阻害されることなく、踵領域から第5趾の足指の根元側へとスムーズに移動することで、「あおり運動」を助長し、その効率が高められる。
また、支持部材1の第1の底面2は、中足骨12の関節(頭骨部)の手前まで配置される。「あおり運動」では、前述した横アーチに沿って第5趾側から第1趾側へと回内運動するため、その領域に第1の底面2が配置されることで、支持部材1の硬さによりその動作が行い難くなり、「あおり運動」の効率性が悪化するからである。また、支持部材1が、足指の下まで配置されないことで、「あおり運動」の回内運動から蹴り出す動作時における足指の動きを可能とし、足指により地面をつかむ力、蹴りだす力を地面に効率的に伝え易くし、「あおり運動」時の安定性が向上される。
また、前述したように、踵領域から第5趾の骨格側では、支持部材1の側面4が、少なくとも踵骨9や中足骨12の一部と重なる高さを有し、靴中の側面に沿って配置されることで、側面4が支持部材2上面での足のずれを防止し、靴内での足位置が固定される。
図6(B)に示す断面は、主に、第2趾の骨格が配置される断面である。そして、この断面には、第2趾を構成する距骨19、舟状骨20、楔状骨25、中足骨26が配置され、踵骨9の上面に距骨19が配置される。前述したように、第1趾〜第3趾を構成する骨格の下側には、足底に対して縦足弓型の窪み領域36が形成される。その窪み領域36が、少なくとも第3趾の骨格の下方から支持部材1の第2の底面3により支持されることで、筋力の低下等により骨格構造が崩れ、偏平足化し、「あおり度」が低下することが防止される。
ここで、図2(C)にて説明したように、第1趾〜第3趾の骨格は、趾骨8側へと扇状に広がるように配置される。そこで、第2趾を構成する骨格が、横アーチの骨格構造と同様に、第1趾〜第3趾の骨格の中で最も高い位置に配置されるように、支持部材1の第2の底面3が配置される。この構造により、第1趾〜第3趾の骨格が、好適な縦足弓型の窪み領域36を形成し、前述した効果が得られる一方、第1趾〜第3趾の骨格が、広がるように崩れ、開張足を患うことが防止される。
そして、前述したように、支持部材1の第2の底面3は、中足骨26の関節(頭骨部)の手前までしか配置されないが、主に、土踏まず領域の足裏に対して全面的に支持する。この構造により、第1趾〜第3趾の中足骨22、26、31の大部分は、第2の底面3により支持されることで、横アーチが形成される中足骨の関節部付近も、第2趾の骨格が横アーチの頂部に位置する骨格構造となる。つまり、第2の底面3は、横アーチの下方に配置され、直接横アーチを支持する構造ではないが、横アーチの骨格構造も好適な位置に支持することができる。尚、支持部材1とソール部材42とを組み合わせた靴中敷41の説明にて後述するが、骨格の横アーチは、横アーチ保護部材43と組み合わせることで、更に、好適に支持される。
図6(C)に示す断面は、主に、第1趾の骨格が配置される断面である。そして、この断面には、第1趾を構成する距骨19、舟状骨20、楔状骨21、中足骨22が配置される。この断面では、舟状骨20の下方まで支持部材1の第2の底面3が配置されることで、前述した内側縦アーチを含む窪み領域36を構成する骨格が、支持部材1の第2の底面3により支持される。尚、前述したように、支持部材1の第2の底面3は、中足骨22の関節(頭骨部)の手前まで配置される。
尚、本実施の形態では、支持部材1の第1の底面2が、少なくとも第4趾及び第5趾の骨格を構成する骨の下方に配置される場合について説明したが、この場合に限定されるものではない。平坦面である第1の底面2による安定性と、曲面である第2の底面3による骨格構造の維持との両観点から任意の設計変更が可能であり、少なくとも第2の底面3が内側縦アーチの内側から土踏まず領域を支持し、第2趾の骨格である中足骨が頂部に位置するように、好適な骨格構造を維持できれば良く、第1の底面2の配置領域は、任意の設計変更が可能である。
また、支持部材1の第1の底面2の外形端部5が角部となる場合について説明したが、この場合に限定するものではない。支持部材1が靴底面に対して横すべりしなければ良く、例えば、支持部材1の成形上、外形端部5の先端が、若干、丸まっていても良い。また、支持部材1と靴底面等との隙間に接着性樹脂を充填し、両者の隙間を埋めつつ、接合する場合や柔軟な緩衝材により両者の隙間を埋める場合でも良い。
また、靴中敷を有する靴に対し、支持部材1が、靴中の底部とその靴中敷との間に配置される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、スリッパ、サンダル等の中敷を有しない履物では、支持部材1が、その履物の底部内に埋め込まれる場合やその底部表面に配置される場合でも良い。
また、支持部材1は、筋力の未発達な子供が用いる靴や筋力の低下し易い高齢者が用いる靴だけに適するものではなく、骨格のアーチ構造に問題のない一定の筋力を有する人が使用した場合でも、支持部材1のサポートにより、足の安定性等、前述した同様な効果が得られる。そのため、支持部材1は、ランニング用やウォーキング用等の運動靴やゴルフ用、サッカー用、野球用等の様々なスポーツ用靴にも対応可能である。更に、支持部材1は、薄く、一定の厚みにて成形されることで、仕事用の革靴のように靴中の空間が狭い靴へも対応可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
次に、本発明の他の実施の形態である支持部材1を用いた靴中敷について説明する。図7(A)及び(B)は、本実施の形態の支持部材1を用いた靴中敷を説明する斜視図である。図7(C)は、本実施の形態の支持部材1を用いた靴中敷を説明するための側面図である。尚、支持部材1は、図1〜図6を用いて説明したものであり、適宜、その説明を参照し、また、同一の構成部材には同じ符号を用いる。
図7(A)は、靴底面側(裏面側)から見た靴中敷41の斜視図であり、靴中敷41は、支持部材1の接足面側(表面側)に、例えば、接着材によりソール部材42が貼り合わされる。ソール部材42は、支持部材1と異なり、足裏や足の側面を包み込むように保護することを目的とし、柔軟性を有する材料をシート状に加工し、足裏の全面に渡り配置される。ソール部材42は、例えば、軟質発泡樹脂、生地、皮革、人工皮革、不織布等の柔軟性に優れた材料から成り、当業界にて使用されている材料を用いることができる。そして、支持部材1と足裏との間にソール部材42が配置されることで、足裏に荷重された際に、支持部材1は、変形し難いが、ソール部材42が足裏形状に合わせて変形することで、支持部材1と足裏等との間の緩衝材として機能する。
図示の如く、ソール部材42の靴底面側(裏面側)には、例えば、軟質発泡樹脂、スポンジ等の柔軟性を有する材料から成る、横アーチ保護部材43と母趾球保護部材44が貼り合わされる。前述したように、支持部材1は、足の骨格の横アーチの手前まで配置され、横アーチの下面には支持部材1は配置されない。そこで、柔軟性を有する横アーチ保護部材43が、第2趾の骨格が最も高くなるように、横アーチの頂部に合わせて配置され、骨格の横アーチが支持されることで、横アーチにより回内運動がサポートされ、足指のつかむ動きがし易くなり、「あおり運動」の効率が向上し、転倒防止の効果が得られる。尚、横アーチ保護部材43は、第1趾側よりも第3趾側の厚みを薄くすることで、緩やかな形状として横アーチを支持することもできる。また、横アーチ保護部材43は、柔軟な材料から成ることで、横アーチへの荷重状態に応じて、形状が変化し、横アーチへの負担が低減される。
また、前述したように、「あおり運動」では、足裏に加わる荷重の重心が、母趾球に移動し、母趾球へと荷重が加わった状態にて、第1趾の足指により地面を蹴りだすことで、前進する推進力が得られる。そして、母趾球の下方には、荷重が集中し、その領域の靴中敷は磨り減り易く、母趾球自体にも負担が掛かるため、母趾球保護部材44が、母趾球の下方のソール部材42に貼り合わされる。具体的には、母趾球は、第1趾の中足骨の関節(頭骨部)下方の内側種子骨と外側種子骨との間に配置されるので、母趾球保護部材44も第1趾の中足骨の関節(頭骨部)下方に配置される。そして、母趾球保護部材44は、例えば、リング形状に加工され、その中心の空間部上に母趾球が位置するように配置される。更に、母趾球の周辺に母趾球保護部材44が配置されることで、母趾球周辺のソール部材42がその他の領域よりも厚くなるように補強され、ソール部材42の磨り減り量も低減される。
図7(B)は、接足面側(表面側)から見た靴中敷41の斜視図であり、ソール部材42が、支持部材1の接足面(表面側)を被覆する。そして、踵領域のソール部材42には、例えば、軟質発泡樹脂、スポンジ等の柔軟性を有する材料から成る、踵部保護部材45が貼り合わされる。前述したように、踵骨9(図2参照)の周囲は厚い脂肪等により覆われているが、年齢を重ねる毎にその脂肪等も低減するため、踵骨9の下面の脂肪等が薄く成る。その結果、「あおり運動」の地面への接地時等に踵骨9へ衝撃が加わり、痛みが発生し易くなるが、例えば、リング形状に加工された踵部保護部材45が配置されることで、母趾球保護部材44と同様に、踵部での痛みが低減し、ソール部材42の磨り減り量も低減される。
また、図示したように、ソール部材42が、支持部材1の第2の底面3や側面4と同等な高さ、あるいは、それら以上に高く配置されることで、足裏や足の側面はソール部材42により包み込むように保護され、支持部材1と足裏等との隙間が、ソール部材42により確実に埋められることで、足が安定して固定される。
図7(C)は、内側面側(第1趾側)から見た靴中敷41の側面図である。尚、点線は足の皮膚のラインを示している。
ソール部材42の靴底面側(裏面側)には、支持部材1が貼り合わされ、支持部材1よりも足指側には、横アーチ保護部材43と母趾球保護部材44が貼り合わされる。そして、横アーチ保護部材43が、母趾球保護部材44よりも厚く、靴底面側へと突出する形状となる。この構造により、靴中敷41を靴内に配置すると、横アーチ保護部材43の配置領域のソール部材42が、母趾球保護部材44の配置領域のソール部材42よりも高くなるように変形し、横アーチの骨格構造が適した位置に支持される。
また、図示したように、第1趾〜第5趾の趾骨8(図2参照)が配置される領域のソール部材42が、靴底側へと段差形状に加工される場合でも良い。点線により図示したように、足指が、垂れ下がる状態となり易く、足指による地面をつかむ力が強化され、足指の筋力も増強する。そして、足指の筋力の増強に伴い、地面を蹴りだす力も増強し、歩行安定性が高まり、体のバランス保ち易くなり、歩行中等の躓きや転倒が低減し、「あおり運動」時の安定性が向上される。
尚、本実施の形態では、シート状に加工されたソール部材42を支持部材1の表面側に貼り合わせて用いる場合について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、ソール部材42に足の骨格のアーチ構造を支える突起が形成されているものを用いる場合でも良い。
また、横アーチ保護部材43が、ソール部材42の靴底面側に接合されている場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、ソール部材2自体が、横アーチ構造にあわせて突起形状に成形される場合でも良い。また、母趾球保護部材44や踵部保護部材45が、リング形状に加工される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、母趾球や踵骨9が配置される領域が窪んだ領域となっていれば良く、その形状は任意の設計変更が可能である。また、ソール部材42の足指側が段差形状に加工される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、その段差形状に加工した領域のソール部材42を切り欠く場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
最後に、図8〜図16を用いて、前述した支持部材1を用いた靴中敷41を用いた場合と、従来の図17のように、骨格の3つのアーチを支えるインソールを用いた場合での測定データを比較して説明し、また、使用時のバランス状態も説明する。そして、図8、図11及び図14は、両足立直時の足圧を示す図であり、図9、図12及び図15は、片足立直時の足圧を示す図であり、図10、図13及び図16は、片足立直時のバランス状態を説明する図である。尚、足圧の測定は、足圧測定機上面に、靴中敷41または従来のインソールを直接配置し、その靴中敷41または従来のインソール上に測定者が乗った状態での測定データである。また、靴中敷41のソール部材42の靴底面側には、横アーチ保護部材43が接合される。
先ず、図8〜図10は、測定者が75歳男性の場合である。
図8(A)は、測定者が、従来のインソールを使用し、足圧測定機上面に両足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図示したように、両足において、踵領域に濃いオレンジ色が表示される一方、その他の足裏領域には青色系が表示され、足指領域にはほとんど表示されていない状況が測定された。
ここで、足の骨格構造上、荷重の2/3は踵骨側へ加わり、荷重の1/3は中足骨7及び趾骨8側へと伝わる。そして、従来のインソールでは、3つのアーチを個別に支え、足裏の3つのアーチの真ん中の領域が持ち上がる状態となる。そのため、従来のインソールでは、足裏全体に荷重分散されるのでなく、踵領域側に荷重が残り、集中するものと推測される。
この測定結果より、従来のインソールでは、足の踵領域側へ荷重が集中し、足が後傾状態となり、足指が上側へと浮いた状態となることで、靴中にて足指が上手に使えない状態となり、前述したように転倒等が起こり易いものと推測される。
図8(B)は、測定者が、支持部材1を用いた靴中敷41を使用し、足圧測定機上面に両足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図示したように、両足において、濃いオレンジ色がほとんど表示されず、足指を含む足裏全体に渡り青色系が表示される状況が測定された。
この測定結果より、本実施の形態の靴中敷41では、踵領域から第4及び第5の中足骨側に渡り第1の底面2が配置されることで、従来のインソール使用時よりも足が前傾状態となることで、踵領域側へと加わる荷重が足裏全体へと分散し、足指にも荷重されることで、靴中にて足指が上手に使える状態となり、前述したように「あおり運動」が効率的に行われ、転倒等も防止できるものと推測される。
図9(A)は、測定者が、従来のインソールを使用し、足圧測定機上面に片足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図示したように、両足立直時と同様に、踵領域に濃いオレンジ色が表示される一方、その他の足裏領域には青色系が表示され、足指領域にはほとんど表示されていない状況が測定された。
図9(B)は、測定者が、支持部材1を用いた靴中敷41を使用し、足圧測定機上面に片足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図示したように、両足立直時と同様に、濃いオレンジ色がほとんど表示されず、足指を含む足裏全体的に渡り青色系が表示される状況が測定された。
図10(A)は、測定者が、従来のインソールを使用し、被測定者の両肩に掴まり片足を直角に曲げて持ち上げた片足立直状態にて、被測定者がその持ち上げた片足に対し両手にて負荷を加えた際のバランス状態を示す。
図9(A)の足圧データが示すように、踵領域に荷重が集中し、足指が接地せず、足が後傾状態となり、足元が固定されず、足に力が入らないことで、上げた片足が押し下げられ、姿勢のバランスが悪くなっていることが分かる。
図10(B)は、測定者が、支持部材1を用いた靴中敷41を使用し、被測定者の両肩に掴まり片足を直角に曲げて持ち上げた片足立直状態にて、被測定者がその持ち上げた片足に対し両手にて負荷を加えた際のバランス状態を示す。
図9(B)の足圧データが示すように、足裏全体的に荷重が分散し、足指も接地し、地面を掴める状態となり、足元が固定され、足に力が入ることで、上げた片足の状態も維持でき、姿勢のバランスも安定していることが分かる。
次に、図11〜図13は、測定者が75歳男性の場合であり、図14〜図16は、測定者が65歳男性の場合である。
図11(A)及び図14(A)は、測定者が、従来のインソールを使用し、足圧測定機上面に両足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図8(A)の測定データと近似したデータが測定され、図示したように、踵領域に濃いオレンジ色が表示される一方、その他の足裏領域には青色系が表示され、足指領域にはほとんど表示されていない状況が測定された。
図11(B)及び図14(B)は、測定者が、支持部材1を用いた靴中敷41を使用し、足圧測定機上面に両足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図8(B)の測定データと近似したデータが測定され、図示したように、濃いオレンジ色がほとんど表示されず、足指を含む足裏全体的に渡り青色系が表示される状況が測定された。
図12(A)及び図15(A)は、測定者が、従来のインソールを使用し、足圧測定機上面に片足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図9(A)の測定データと近似したデータが測定され、図示したように、踵領域に荷重が集中し、足指領域にはほとんど表示されていない状況が測定された。
図12(B)及び図15(B)は、測定者が、支持部材1を用いた靴中敷41を使用し、足圧測定機上面に片足にて立直し、10秒間静止した状態時の足圧データである。図9(B)の測定データと近似したデータが測定され、図示したように、濃いオレンジ色がほとんど表示されず、足指を含む足裏全体的に渡り青色系が表示される状況が測定された。
図13(A)及び図16(A)は、図10(A)と同様に、踵領域に荷重が集中し、足指が接地せず、後傾状態となることで、足元が固定されず、上げた片足が押し下げられ、姿勢のバランスが悪くなっていることが分かる。
図13(B)及び図16(B)は、図10(B)と同様に、足裏全体的に荷重が分散し、足指も接地した状態となり、足元が固定され、上げた片足の状態も維持でき、姿勢のバランスも安定していることが分かる。
最後に、支持部材1を用いた靴中敷41を用いた靴により歩行した場合と、従来のインソールを用いた靴により歩行した場合とにおいて、屋内の距離7m、幅40cmのコースにおける歩行歩数、歩行時間s、歩行速度m/sを測定し比較した。尚、測定者は、65歳〜80歳までの男性7名、女性8名の計13名の平均値である。また、個人毎の測定データは、3回の測定データの平均値である。
先ず、歩行歩数では、従来のインソールを用いた場合には、平均14.8歩であったが、支持部材1を用いた靴中敷41を用いた場合には、平均12.4歩となり、平均2.4歩の歩数の低減した測定データが得られた。特に、78歳女性では、平均22歩から平均17.3歩と平均4.7歩の歩数が低減した。
次に、歩行時間では、従来のインソールを用いた場合には、平均8.7sであったが、支持部材1を用いた靴中敷41を用いた場合には、平均6.7sとなり、平均2.0sの歩行時間の低減した測定データが得られた。特に、前述した78歳女性では、平均13.2sから平均9.8sと平均3.4sの歩行時間が低減した。
次に、歩行速度m/sでは、従来のインソールを用いた場合には、平均0.86m/sであったが、支持部材1を用いた靴中敷41を用いた場合には、平均1.1m/sとなり、平均0.25m/sの歩行速度の速くなった測定データが得られた。特に、68歳男性では、平均0.99m/sから平均1.46m/sと平均0.47m/sの歩行速度が速くなった。
この測定データからも支持部材1を用いた靴中敷41を用いることで、足元が安定し、片足状態でも姿勢が安定することで歩幅が大きくなり、歩行速度も速くなることが分かる。支持部材1により土踏まず領域がしっかり支持されることで、「べた足歩行」が改善され、「あおり運動」が効率的に行われているものと推測される。