〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るノートパソコンの一例を示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
ノートパソコン(以下、「PC」と称する)2−1は、本開示の電子機器の一例である。このPC2−1は、携行可能なパーソナルコンピュータであって、携行可能な筐体4を備える。この筐体4には、情報処理システム6および検出部20が設置されるとともに、電源システムとして、電源装着ベイ8、バッテリ10、充電回路12および制御部14が設置されている。
情報処理システム6は、CPU(Central Processing Unit)、チップセットおよびメモリ等の情報処理に必要な回路を備えている。情報処理システム6は、例えば表示部18に接続している。表示部18は、文字や画像などの表示情報を表示し、たとえば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどのディスプレイを備える。情報処理システム6、表示部18および表示部18の駆動回路は、電源部16によりまたはバッテリ10により動作する動作部の一例である。情報処理システム6、充電回路12、表示部18および表示部18の駆動回路は、バッテリ10または電源装着ベイ8に装着される電源部16に対する負荷を構成する。
電源装着ベイ8は、電源部16などの電源ユニットを収納する収納部の一例である。電源装着ベイ8は、電源ユニットを収納する専用ベイでもよいし、DVD(Digital Versatile Disc)ユニット、ハードディスクユニットなどの他の機器ユニットを装着するベイを兼用してもよい。
バッテリ10は、電源の一例であって、蓄積した電気を情報処理システム6に供給する。
充電回路12は、バッテリ10を充電する回路である。充電回路12の動作は、制御部14により切り替えられる。
電源部16は、電源装置の一例であって、電源装着ベイ8に着脱可能に装着される。電源部16は、電源部16が筐体4内に収納されている収納状態、または電源部16の発熱部17が筐体4から露出した露出状態に配置される。電源部16は、収納状態から露出状態に、または露出状態から収納状態にスライド可能である。なお、図1では、実線で表された電源部16は、収納状態の電源部16を表している。二点鎖線で表された電源部16は、露出状態の電源部16を表している。電源部16に付された矢印は、電源部16のスライドを表している。
検出部20は、電源部16の筐体4および電源装着ベイ8に対し収納状態または露出状態を検出する。たとえば、検出部20は、電源部16の進退を検出する。検出部20は、電源部16が筐体4および電源装着ベイ8に対し収納状態か露出状態かを表す検出信号を発生する。
制御部14は、検出部20から検出信号を受け、電源部16に対する負荷を制御する。検出部20が電源部16の露出状態を表す検出信号を発生している場合、制御部14は、通常制御出力を発生する。通常制御出力を受け、充電回路12は動作状態に制御される。通常制御では、負荷に対する制限が行われない。
検出部20が電源部16の収納状態を表す検出信号を発生している場合、制御部14は、省電力制御出力を発生する。省電力制御出力を受け、充電回路12または情報処理システム6、または充電回路12および情報処理システム6により、電源部16に対する負荷が制限される。充電回路12は、充電回路12の動作を抑止する。また、情報処理システム6は、たとえばCPUの動作クロックを低減し、表示部18の発光光量を低減する。情報処理システム6は、CPUの動作クロックの低減又は表示部18の発光光量の低減のいずれかを行ってもよい。
図2は電源制御の処理手順の一例を示している。図2に示す処理手順は一例であり、斯かる処理手順に本開示の処理手順が限定されるものではない。
この電源制御の処理手順は、電源部16が電源装着ベイ8に装着された場合に行われる。電源部16が電源装着ベイ8に装着されると、検出部20は電源部16の進退を検出する(ステップS1)。この検出結果は、検出信号として制御部14に送信される。検出部20からの検出信号を受け、制御部14は、電源部16が露出状態か否かを判断する(ステップS2)。
電源部16が露出状態である場合(ステップS2のYES)、制御部14は、通常制御出力を発生する(ステップS3)。この場合、PC2−1は、通常に制御される。
電源部16が露出状態にない場合(ステップS2のNO)、電源部16は収納状態であるので、制御部14は、省電力制御出力を発生する(ステップS4)。この場合、PC2−1は、電源部16の負荷が制限され、省電力に制御される。
電源部16の進退は、繰り返し検出される。電源部16の状態が変化すると、制御出力が他の制御出力に切り替わる。これにより、制御部14は、電源部16の状態に応じて、PC2−1の電源制御を切り替えることができる。
〔第2の実施の形態〕
図3および図4は、第2の実施の形態に係るPCを示している。
PC2−2の筐体4は、固定側筐体4−1と可動側筐体4−2を備える。可動側筐体4−2は、ヒンジ部22により固定側筐体4−1に開閉可能に取り付けられている。可動側筐体4−2には、既述の表示部18が設置されている。
固定側筐体4−1には、上面側にキーボード26が設置され、キーボード26の背面側には電源装着ベイ28が形成されている。PC2−2では、固定側筐体4−1の上面側から見て右側中間部に電源装着ベイ28が設置されている。電源装着ベイ28は、既述の電源部16またはバッテリ30が着脱可能に装着される。
電源装着ベイ28には、例えば、図4Aに示すように電源部16が装着される。また、電源装着ベイ28には、例えば、図4Bに示すようにバッテリ30が装着される。すなわち、電源装着ベイ28は、固定側筐体4−1の内部に電源部16またはバッテリ30を収納する装着空間部である。装着された電源部16またはバッテリ30は、電源装着ベイ28により防護される。
電源部16は、一例としてACアダプタで構成される。電源部16は、アダプタ筐体32と、アダプタスライド部34とを備えている。すなわちアダプタ筐体32とアダプタスライド部34は電源部の一部を構成している。アダプタスライド部34は、アダプタ筐体32にスライド可能に設置されている。すなわち、電源部16は、電源装着ベイ28に装着されて、アダプタスライド部34を収納状態に設定可能であり、またはアダプタスライド部34をスライドさせて電源装着ベイ28から露出状態に設定可能である。電源部16は、図5に示すように電源装着ベイ28に装着されて、アダプタスライド部34の一部を露出状態に設定可能である。
図6は、電源部16および電源装着ベイ28の一例を示している。図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。図6に示す電源部16では、電源部16の内部構造を示すため、アダプタ筐体32の外縁と、アダプタスライド部34とが示されている。
アダプタスライド部34は、アダプタ筐体32に形成される収納空間部35(図9)に収納される。アダプタスライド部34の側面と、アダプタ筐体32の内壁面との間には接触部36、38が設けられている。各接触部36、38は、例えば平坦面である。従って、各接触部36、38では、アダプタ筐体32の内壁面にアダプタスライド部34が接触し、アダプタスライド部34のスライドを可能にしている。
アダプタ筐体32は、接続コネクタ42を備える。電源部16を電源装着ベイ28に接続すると、接続コネクタ42が固定側筐体4−1の基板70に設置されたベイコネクタ40に接続し、電源部16が固定側筐体4−1に接続する。
アダプタスライド部34には、ACアダプタ44が搭載されている。このACアダプタ44は、AC−DC変換回路を備え、AC(交流)をDC(直流)に変換する。ACアダプタ44は、図7に示すように、ACを降圧するトランス46、交流を脈流に整流する整流回路48、脈流を安定化させて直流にする安定化回路50を備えている。トランス46、整流回路48および安定化回路50は、既述の発熱部17を構成している。したがって、電源部16は、この発熱部17を固定側筐体4−1から露出できる程度のスライドストロークを備えていればよい。ACアダプタ44は、商用電源に接続されるAC入力端子54に、接続線52を介して接続している。AC入力端子54には、電源ケーブル56(図6)が接続される。電源ケーブル56を商用電源に接続することで、AC電流がACアダプタ44に供給される。ACアダプタ44は、接続線58を介してDC出力端子60に接続され、DC出力端子60からDC電流を出力する。
DC出力端子60は、電源ケーブル62(図6)を介して接続コネクタ42に接続される。この電源ケーブル62は、例えば、螺旋構造等により、伸縮性を有している。電源ケーブル62は、アダプタスライド部34が最も露出した際に、接続コネクタ42とDC出力端子60とを接続するのに十分な長さを有している。よって、アダプタスライド部34が、固定筐体部4−1に収納状態の場合および固定筐体部4−1から露出させた露出状態の場合のいずれにおいても接続コネクタ42とDC出力端子60との間の接続を維持する。
アダプタスライド部34の発熱部17が電源装着ベイ28に対して収納状態にあるか、または露出状態にあるかを検出するため、磁石64およびセンサ72が設置される。磁石64は、たとえばアダプタスライド部34に設置され、センサ72は、たとえばPC2−2側の基板70に設置される。センサ72は、既述の検出部20の一例であり、例えばMRセンサ(Magneto Resistive Sensor)で構成される。MRセンサを用いれば、磁石64の磁気が磁気抵抗効果を利用して検出できる。センサ72の検出信号は、PC2−2において、電源制御に用いられる。
図8は、ベイコネクタ40と、接続コネクタ42を接続し、アダプタスライド部34を固定側筐体4−1および電源装着ベイ28に収納した状態を示している。ACアダプタ44、アダプタ筐体32およびアダプタスライド部34が固定側筐体4−1および電源装着ベイ28に収納されている。
ベイコネクタ40と接続コネクタ42の接続により、商用電源から生成したDC電源が、基板70に供給可能になる。アダプタスライド部34を固定側筐体4−1および電源装着ベイ28に収納した状態では、磁石64とセンサ72が離間し、センサ72は磁石64の磁気を検知しない。この場合、センサ72が出力する検出信号は、たとえばLレベル(Low level)になる。このLレベルの検出信号は、たとえば0[V]電圧に設定され、アダプタスライド部34の状態が収納状態であることを表す。センサ72の検出信号により、PC2−2は、アダプタスライド部34が固定側筐体4−1および電源装着ベイ28内に収納されていると認識する。
図9は、ベイコネクタ40と、接続コネクタ42を接続し、アダプタスライド部34を固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から露出した状態を示している。アダプタスライド部34のACアダプタ44がアダプタ筐体32、固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から引き出されている。
アダプタスライド部34を固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から露出した状態では、磁石64とセンサ72が近接して対向し、センサ72が磁石64を検知する。この場合、センサ72が出力する検出信号は、たとえばHレベル(High level)になる。このHレベルの検出信号は、たとえば5[V]電圧に設定され、アダプタスライド部34の状態が露出状態であることを表す。センサ72の検出信号により、PC2−2は、アダプタスライド部34が固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から引き出されて露出していると認識する。
図10は、情報処理システム82および電源システム84の一例を示している。図10に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。図1と同一部分には同一符号を付してある。情報処理システム82および電源システム84はPC2−2のシステムの一例である。
情報処理システム82は、動作部の一例であり、第1の実施の形態の情報処理システム6と同様であるのでその説明を省略する。
電源システム84は、充電回路86、逆流防止回路88、電源判定部90、電源切替部92が含まれる。
充電回路86は、充電回路12の一例であり、バッテリ用コネクタ94に接続されるバッテリ10を充電する。また、充電回路86は、ベイコネクタ40に接続されるバッテリ30(図16)も充電する。充電回路86は、電源切替部92から出力される第4の切替出力により動作を切り替える。たとえば、第4の切替出力の電圧がHレベルである場合、充電回路86はONの状態となり、動作状態になる。第4の切替出力の電圧がLレベルである場合、充電回路86はOFFの状態となり、停止状態になる。バッテリ10およびバッテリ30を充電する時には、充電回路86はONの状態になり、充電を抑止する時には、充電回路86はOFFの状態になる。
逆流防止回路88は、情報処理システム82に供給する電気が電源システム84に逆流するのを防止し、バッテリ10から供給される電気が充電回路86に逆流するのを防止する。ベイコネクタ40から供給される電気が充電回路86に逆流するのを防止する。
電源判定部90は、ベイコネクタ40の接続対象を電圧により判定する。電源判定部90は、ベイコネクタ40に電源部16が接続されたのか、バッテリ30が接続されたのかを判定する。電源部16が接続された場合、電源判定部90は、たとえば、Hレベルの検出信号を出力し、バッテリ30が接続された場合、電源判定部90は、たとえば、Lレベルの検出信号を出力する。Hレベルの検出信号は、たとえば5[V]電圧に設定され、電源部16の接続を表し、Lレベルの検出信号は、たとえば0[V]電圧に設定され、バッテリ30の接続を表す。これらの検出信号は第2の検出信号として電源切替部92に出力される。
電源切替部92は、制御部14の一例であり、第1の検出信号、第2の検出信号およびセンサの検出信号を受け、各機能部に対する切替出力を発生する。各機能部として、電源システム84には、電気を導通または遮断する3つのスイッチ100、102、104および充電回路86が設置される。電源切替部92は、3つの検出信号を受け、4つの切替出力を発生させ、少なくとも4つの機能部を切り替える。第1の切替出力、第2の切替出力、第3の切替出力および第4の切替出力は、それぞれスイッチ100、102、104および充電回路86に出力される。電源切替部92は、たとえば論理回路(Logic Circuit)により構成する。
第1の検出信号は、ACアダプタ182(図17)が電源用コネクタ98に接続されているか否かを表す。電源切替部92は、この第1の検出信号を接続検出部106から受信する。
接続検出部106は、ACアダプタ182と電源用コネクタ98の接続を検出する手段の一例であり、検出導線108を備える。検出導線108は、たとえば、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に接続すると、ACアダプタ182の負極側に接続するように設置されている。ACアダプタ182が電源用コネクタ98に未接続の場合には、検出導線108の先端は開放状態になる。この場合、接続検出部106は、たとえばLレベルの検出信号を出力する。一方、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に接続された場合には、検出導線108の先端はACアダプタ182の負極を介して接地状態にされる。この場合、接続検出部106は、たとえばHレベルの検出信号を出力する。Hレベルの検出信号は、たとえば5[V]電圧に設定され、ACアダプタ182の接続を表し、Lレベルの検出信号は、たとえば0[V]電圧に設定され、ACアダプタ182の未接続を表す。
第2の検出信号は、たとえば、電源判定部90から得られる検出信号であって、ベイコネクタ40に接続されている電源の種類を表す。電源部16がベイコネクタ40に接続された場合、第2の検出信号は、たとえば、Hレベルであり、バッテリ30がベイコネクタ40に接続された場合、第2の検出信号は、たとえば、Lレベルである。
センサの検出信号は、センサ72から得られる検出信号であって、アダプタスライド部34のACアダプタ44が収納されているか、または露出されているかを表す。ACアダプタ44が収納されている場合、センサ72の検出信号は、Lレベルであり、露出している場合、センサの検出信号は、Hレベルである。
スイッチ100は、電気の導通または遮断により、電源用コネクタ98を充電回路86の入力側および逆流防止回路88に接続または非接続にする。スイッチ100がONである場合には、スイッチ100は電気的に導通し、電源用コネクタ98を充電回路86および逆流防止回路88に接続する。一方、スイッチ100がOFFである場合には、スイッチ100は電気的に遮断し、電源用コネクタ98を充電回路86および逆流防止回路88に非接続にする。すなわち、スイッチ100は、電源用コネクタ98および電源用コネクタ98に接続されるACアダプタ182をPC2−2の電源システム84に組込むためのスイッチでもある。ACアダプタ182を電源システム84に組込む場合には、スイッチ100がONにされ、システムから切り離す場合には、スイッチ100がOFFにされる。
スイッチ102は、電気の導通または遮断により、ベイコネクタ40を充電回路86の入力側および逆流防止回路88に接続または非接続にする。スイッチ102がONである場合には、スイッチ102は電気的に導通し、ベイコネクタ40を充電回路86および逆流防止回路88に接続する。一方、スイッチ102がOFFである場合には、スイッチ102は電気的に遮断し、ベイコネクタ40を充電回路86および逆流防止回路88に非接続にする。すなわち、スイッチ102は、ベイコネクタ40およびベイコネクタ40に接続される電源部16またはバッテリ30をPC2−2のシステムに組込むためのスイッチでもある。電源部16をシステムに組込む場合には、スイッチ102がONにされ、その他の場合には、スイッチ102がOFFにされる。
スイッチ104は、電気の導通または遮断により、ベイコネクタ40を逆流防止回路88に接続または非接続にする。スイッチ104がONである場合には、スイッチ104は電気的に導通し、ベイコネクタ40を逆流防止回路88に接続する。一方、スイッチ104がOFFである場合には、スイッチ104は電気的に遮断し、ベイコネクタ40を非接続にする。すなわち、スイッチ104は、ベイコネクタ40およびベイコネクタ40に接続される電源部16またはバッテリ30をPC2−2のシステムに組込むためのスイッチでもある。バッテリ30をシステムに組込む場合には、スイッチ104がONにされ、その他の場合には、スイッチ104がOFFにされる。
スイッチ100、102、104には、たとえば電界効果トランジスタ(FET)やバイポーラトランジスタなどのトランジスタを用いることができる。トランジスタを用いると、汎用性の高い部品でスイッチを構成することができ、また少ない部品数でスイッチを構成することができる。また、スイッチ100、102、104は、ダイオードのスイッチ特性を利用したダイオードスイッチなどで構成してもよい。
電源切替部92から出力される第1の切替出力は、スイッチ100に対する切替信号であって、スイッチ100をONまたはOFFに切り替える。第2の切替出力は、スイッチ102に対する切替信号であって、スイッチ102をONまたはOFFに切り替える。第3の切替出力は、スイッチ104に対する切替信号であって、スイッチ104をONまたはOFFに切り替える。第4の切替出力は、充電回路86に対する切替信号であって、充電回路86をONの状態またはOFFの状態に切り替える。
図11は、逆流防止回路の一例である。図11に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。この逆流防止回路88は、5つのダイオード111、112、113、114、115を備えている。ダイオード111を含む第1の線路116と、ダイオード112、113を含む第2の線路117と、ダイオード114、115を含む第3の線路118は、並列に接続されている。第1の線路116は、電源用コネクタ98またはベイコネクタ40に接続された電源部16またはバッテリ30からの電気を情報処理システム82に供給する。第2の線路117は、バッテリ10からの電気を情報処理システム82に供給し、バッテリ10に充電電流を供給する。第3の線路118は、ベイコネクタ40に接続された電源部16またはバッテリ30からの電気を情報処理システム82に供給し、ベイコネクタ40に接続されたバッテリ30に充電電流を供給する。ダイオードには、たとえば、ツェナーダイオードが用いられる。この逆流防止回路88では、ツェナーダイオードのブレークダウン電圧が、電源システム84を流れる電気の電圧よりも大きいダイオードが用いられる。これにより、各ダイオード111、112、113、114、115により電気の逆流が防止される。この逆流防止回路88では、ダイオードを用いるので、汎用性の高い部品で斯かる回路を構成することができ、また少ない部品数で回路を構成することができる。
ダイオード111は、情報処理システム82に供給される電気が、スイッチ100、102および充電回路86の入力側に逆流するのを防止する。
ダイオード112およびダイオード113は直列に接続し、第1のダイオード列を形成する。ダイオード114およびダイオード115は直列に接続し、第2のダイオード列を形成する。一方のダイオード列と他方のダイオード列は、並列に接続し、4つのダイオードを備えるダイオード回路を形成している。このダイオード回路の入力側には、充電回路86の出力側が接続され、ダイオード回路の出力側には、情報処理システム82が接続される。すなわち、充電回路86から情報処理システム82へ向かう方向が電気の流れる方向、つまり順流方向になる。よって、ダイオード回路は、電気がバッテリ10、30および充電回路86の出力側に逆流するのを防止している。
ダイオード112とダイオード113の間にはバッテリ用コネクタ94が接続されている。ダイオード112は、情報処理システム82に供給される電気が、バッテリ用コネクタ94および充電回路86に逆流するのを防止している。ダイオード113は、バッテリ用コネクタ94から出力される電気が、充電回路86に逆流するのを防止している。
ダイオード114とダイオード115の間にはスイッチ104が接続されている。ダイオード114は、情報処理システム82に供給される電気が、スイッチ104および充電回路86に逆流するのを防止している。ダイオード115は、ベイコネクタ40から出力される電気が、スイッチ104を介して情報処理システム82に供給される場合に、充電回路86に逆流するのを防止している。
ベイコネクタ40に接続しているスイッチ104およびバッテリ用コネクタ94はそれぞれ異なるダイオード列のダイオード間に接続されている。よって、これらのダイオード列が並列に接続されることにより、ダイオード回路は、スイッチ104とバッテリ用コネクタ94との間を絶縁し、互いの電気の逆流を防止している。
図12は、電源判定部90の一例である。図12に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
この電源判定部90は、たとえば判定回路であって、ベイコネクタ40に接続されたデバイスがバッテリ30であるか、ACアダプタ等の電源部16であるかを判別する。バッテリ30と電源部16では出力電圧が異なる。バッテリ30の出力電圧は、たとえば12[V]である。電源部16の出力電圧はたとえば19[V]である。この場合、電源判定部90は、入力電圧を12〜19[V]の範囲で許容し、電圧の差から電源を判別する。
電源判定部90は、定電圧回路122と、コンパレータ124と、分圧回路126を備える。
定電圧回路122の入力側端子Vddおよびイネーブル端子ENは、ベイコネクタ40に接続し、たとえば12〜19[V]の範囲の電圧を受ける。この場合、定電圧回路122は、電圧を一定に調整し、出力側端子Voutからたとえば5[V]の電圧を出力する。ベイコネクタ40にバッテリ30および電源部16のいずれも接続されない場合、入力側端子Vddおよびイネーブル端子ENの電圧は、0[V]になる。この場合、定電圧回路122の動作が休止され、出力側端子Voutの電圧は0[V]になる。定電圧回路122は、例えば、LDO(Low Drop Out)レギュレータを用いて構成することができる。
定電圧回路122が出力した5[V]の電圧は、コンパレータ124の負側(−側)の入力端子に入力されるとともに、電源としてコンパレータ124のVccに入力される。一方、バッテリ30または電源部16の出力電圧は、分圧回路126により、たとえば3分の1の電圧に低下され、コンパレータ124の正側(+側)の入力端子に入力される。電圧の低下により、正側の入力端子の電圧は、バッテリ30の接続時には約4[V]であり、電源部16の接続時には約6.3[V]になる。このような接続により、バッテリ30の接続時にはLレベルの検出信号が出力され、電源部16の接続時にはHレベルの検出信号が出力される。コンパレータ124の出力信号は、第2の検出信号として電源切替部92に出力される。
分圧回路126は、直列に接続された2つの抵抗素子128、130を備える。抵抗素子128側の端部は、ベイコネクタ40および定電圧回路122の入力側に接続され、抵抗素子130側の端部は、グランド132に接続される。たとえば、抵抗素子128の値をそれぞれR1=200[kΩ]、抵抗素子130の値をR2=100[kΩ]にすると、抵抗素子130の抵抗値が全抵抗値の3分の1であるので電圧が2:1に分圧される。そこで、コンパレータ124の正側の入力端子を抵抗素子128、130の間に接続することにより、分圧回路126は、ベイコネクタ40側の電圧の3分の1の電圧をコンパレータ124の正側の入力端子に供給する。
図13は、電源切替部92の一例である。図13に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
この電源切替部92は、バッファ152と、NOT回路154、158と、AND回路156、160、とOR回路162を用いた論理回路により構成している。論理回路を用いて電源切替部92を形成すると、電源切替部92が容易に形成でき、信号が高速で処理できる。NOT回路154、158は否定回路の一例であり、AND回路156、160は論理積回路の一例であり、OR回路162は論理和回路の一例である。
第1の切替出力は、バッファ152を用いて第1の検出信号から生成される。第1の切替出力は、バッファ152を介して第1の検出信号を出力することで得られる。
第2の切替出力は、NOT回路154およびAND回路156を用いて第1の検出信号および第2の検出信号から生成される。NOT回路154は、第1の検出信号を受け、第1の検出信号を反転して出力する。AND回路156は、NOT回路154から第1の検出信号を反転した出力と、第2の検出信号とを受け、これらの論理積を出力する。AND回路156の出力が第2の切替出力に用いられる。
第3の切替出力は、NOT回路158を用いて第2の検出信号から生成される。NOT回路158は、第2の検出信号を受け、第2の検出信号を反転して出力する。NOT回路158の出力が、第3の切替出力に用いられる。
第4の切替出力は、AND回路160およびOR回路162を用いて第1の検出信号、第2の検出信号およびセンサ72の検出信号から生成される。AND回路160は、第2の検出信号と、センサ72の検出信号を受け、これらの論理積を出力する。OR回路162は、第1の検出信号とAND回路160が出力する論理積を受け、これらの論理和を出力する。OR回路162の出力が第4の切替出力に用いられる。
図14は、充電回路の一例である。図14に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
この充電回路86は、充電用IC(Integrated Circuit)164を含む。充電用IC164には、充電制御部等のIC化可能な回路部が集積化されている。この充電用IC164の外部回路として、たとえばPMOS(Positive channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ166、ダイオード168およびセンス抵抗170が設置される。トランジスタ166は、充電制御素子の一例であり、ダイオード168は逆流防止素子の一例である。PMOSトランジスタ166、ダイオード168およびセンス抵抗170は、直列に接続され、たとえば、充電電流を流す充電経路を形成する。センス抵抗170は、充電経路に流れる充電電流を電圧に変換して検出し、この検出電圧は制御情報として充電用IC164に加えられる。充電用IC164により得られる制御出力は、PMOSトランジスタ166のゲートに加えられ、定電流制御又は定電圧制御が実行される。
充電回路86は、スイッチ171を含む。スイッチ171は、第4の切替出力を受け、充電回路86を電源側の回路に接続し、または非接続にする。スイッチ171がONであり、スイッチ171が電気的に導通すると、充電回路86は動作状態になる。一方、スイッチ171がOFFであり、スイッチ171が電気的に遮断されると、充電回路86は停止状態になる。
図15は、電源システムの接続態様の例である。図15において、HはHレベルを表し、LはLレベルを表す。
第1の接続態様172では、ACアダプタ182(図17)が電源用コネクタ98に未接続であり、バッテリ30がベイコネクタ40に接続される。この場合、バッテリ10もしくはバッテリ30、またはバッテリ10およびバッテリ30の両方から情報処理システム82および電源システム84に放電が可能である。第1の接続態様172では、第1の検出信号はLレベルになり、第2の検出信号はLレベルになる。この場合、電源切替部92は、第1および第2の検出信号により、第1、第2、第3および第4の切替出力をそれぞれLレベル、Lレベル、Hレベル及びLレベルにする。これらの切替出力によりスイッチ100、102がOFFになり、スイッチ100、102はACアダプタ182およびバッテリ30を電源システム84に組み込まない。スイッチ104がONになり、バッテリ30を電源システム84に組み込む。充電回路86がOFFになり、バッテリ10、30の充電が行なわれない。第1の接続態様172では、スイッチ100、102、104および充電回路86のONまたはOFFは、センサの検出信号のレベルに関わりなく設定される。
第2の接続態様174では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に接続され、バッテリ30がベイコネクタ40に接続される。この場合、ACアダプタ182から情報処理システム82および電源システム84への放電が可能であるとともに、バッテリ10、30への充電が可能である。第2の接続態様174では、第1の検出信号はHレベルになり、第2の検出信号はLレベルになる。この場合、電源切替部92は、第1および第2の検出信号により、第1、第2、第3および第4の切替出力をそれぞれHレベル、Lレベル、Hレベル及びHレベルにする。これら切替出力によりスイッチ100がONになり、ACアダプタ182を電源システム84に組み込む。スイッチ102がOFFになり、バッテリ30を電源システム84に組み込まず、ACアダプタ182が供給する電気の逆流を防止する。スイッチ104がONになり、バッテリ30を電源システム84に組み込むとともにバッテリ30の充電を可能にする。充電回路86がONになり、ACアダプタ182の電気によりバッテリ10、30の充電を可能にする。第2の接続態様174では、スイッチ100、102、104および充電回路86のONまたはOFFは、センサ検出信号のレベルに関わりなく設定される。
第3の接続態様176では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に接続されるとともに、電源部16がベイコネクタ40に接続される。この場合、ベイコネクタ40に電源部16が接続されていても、ACアダプタ182から情報処理システム82および電源システム84に放電が行われ、ACアダプタ182の電気によりバッテリ10の充電が行われる。すなわち、ACアダプタ182が電源部16よりも優先して電源システム84に接続されるようにスイッチが切り替えられる。第3の接続態様176では、第1および第2の検出信号はHレベルになる。この場合、電源切替部92は、第1および第2の検出信号により、第1、第2、第3および第4の切替出力をそれぞれHレベル、Lレベル、LレベルおよびHレベルにする。これらの切替出力によりスイッチ100がONになり、ACアダプタ182を電源システム84に組み込む。スイッチ102がOFFになり、電源部16を電源システム84に組み込まず、ACアダプタ182が供給する電気の逆流を防止する。スイッチ104がOFFになり、電源部16を電源システム84に組み込まず、充電回路86からの電気がベイコネクタ40に逆流するのを防止する。充電回路86がONになり、充電回路86がACアダプタ182の電気によりバッテリ10の充電を可能にする。第3の接続態様176では、スイッチ100、102、104および充電回路86のONまたはOFFは、センサ検出信号のレベルに関わりなく設定される。
第4の接続態様178では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に未接続であり、電源部16がベイコネクタ40に接続される。また、電源部16のACアダプタ44は、アダプタ筐体32内に収納され、電源装着ベイ28および固定側筐体4−1の内部に収納されている。この場合、電源部16から情報処理システム82への放電のみが可能にされ、バッテリ10への充電が停止される。すなわち、電源システム84が省電力設定に移行し、ACアダプタ44が電源装着ベイ28および固定側筐体4−1の内部で発熱するのを抑制する。省電力設定への移行により、電源部16の発熱がPC2−2本体の動作に悪影響を及ぼすのが防止される。第4の接続態様178では、第1の検出信号はLレベルになり、第2の検出信号はHレベルになり、第3の検出信号はLレベルになる。この場合、電源切替部92は、これらの検出信号により、第1、第2、第3および第4の切替出力をそれぞれLレベル、Hレベル、LレベルおよびLレベルにする。この第4の切替出力は、既述の省電力制御出力の一例である。この切替出力によりスイッチ100、104がOFFになる。スイッチ102がONになり、電源部16を電源システム84に組み込む。充電回路86がOFFになり、充電回路86はバッテリ10の充電を行わない。
第5の接続態様180では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に未接続であり、電源部16がベイコネクタ40に接続される。また、電源部16のACアダプタ44は、アダプタ筐体32から露出し、電源装着ベイ28および固定側筐体4−1から露出している。この場合、電源部16から情報処理システム82への放電が行われるとともに、バッテリ10への充電が行なわれる。ACアダプタ44が露出状態にあるのでACアダプタ44の発熱が筐体4の外部に放出され、電源部16の発熱がPC2−2本体の動作に悪影響を及ぼすのが防止される。ACアダプタ44は、能力的に最大の電力を出力することができ、電源システム84は通常電力設定に移行する。第5の接続態様180では、第1の検出信号はLレベルになり、第2の検出信号はHレベルになり、第3の検出信号はHレベルになる。この場合、電源切替部92は、これらの検出信号により、第1、第2、第3および第4の切替出力をそれぞれLレベル、Hレベル、LレベルおよびHレベルにする。この第4の切替出力は、既述の通常制御出力の一例である。この切替出力により、スイッチ100、104がOFFになる。スイッチ102がONになり、電源部16を電源システム84に組み込む。充電回路86がONになり、充電回路86は、バッテリ10の充電を行なう。
図16から図20に示す電源システムおよび情報処理システムは、それぞれ既述の第1から第5の接続形態172、174、176、178、180の一例を示している。図16から図20に示す電源システム84では、図11に示す逆流防止回路88を用いている。図10および図11と同一部分には同一符号を付してある。各図において、太線は、線の端部に図示されている要素、たとえばコネクタ、スイッチ、電源、ダイオード、回路またはシステムなどの間で電気が流れることを表している。各図において、細線は線の端部に図示されている要素の間で電気が流れていないことまたは実質的に流れていないことを表している。なお、電源判定部90へ流れる微量電流については、細線にて表している。
図16に示す第1の接続態様172では、バッテリ30がベイコネクタ40に接続される。
ダイオード112は、バッテリ用コネクタ94に接続されているバッテリ10の電気を導通させ、情報処理システム82に供給する。一方、ダイオード113は、バッテリ10の電気が充電回路86に逆流するのを防止する。
スイッチ104およびダイオード114は、ベイコネクタ40に接続されているバッテリ30の電気を導通させ、情報処理システム82に供給する。一方、ダイオード115は、バッテリ30の電気が充電回路86に逆流するのを防止する。
ダイオード111は、バッテリ10およびバッテリ30の電気が、スイッチ100、102および充電回路86に逆流するのを防止する。スイッチ102は、バッテリ30の電気を遮断し、バッテリ30の電気がスイッチ102を介して情報処理システム82、充電回路86へ流れるのを防止する。
図17に示す第2の接続態様174では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に接続され、バッテリ30がベイコネクタ40に接続される。
スイッチ100は、電源用コネクタ98に接続されているACアダプタ182の電気を導通させ、充電回路86およびダイオード111に供給する。ダイオード111は、スイッチ100からの電気を導通させ、情報処理システム82に供給する。一方、スイッチ102は、スイッチ100からの電気を遮断し、ベイコネクタ40に逆流するのを防止する。
充電回路86に供給された電気は、充電回路86を介してバッテリ10およびバッテリ30に供給される。この場合、ダイオード113は、充電回路86から電気を受け、この電気を導通させてバッテリ10に供給する。また、ダイオード115およびスイッチ104は、充電回路86から電気を受け、この電気を導通させてバッテリ30に供給する。
充電回路86に供給された電気は、ダイオード112、114に供給される。しかしながら、ダイオード112、114の充電回路86側電圧V1[V]は、充電回路86の抵抗Rcおよびダイオード113、115の抵抗Rdにより電圧ΔV1[V]降下する。一方、ダイオード112、114の情報処理システム82側電圧V2[V]は、ダイオード111の抵抗Rdにより電圧ΔV2[V]降下する。スイッチ100からの電気の電圧がたとえば19[V]である場合、電圧V1[V]は、19−ΔV1[V]となり、電圧V2[V]は、19−ΔV2[V]となる。電圧ΔV1[V]は電圧ΔV2[V]より大きいので、電圧V1[V]は電圧V2[V]よりも低くなる。このため、ダイオード112、114は順方向に電気を流すことができない。
図18に示す第3の接続態様176では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に接続されるとともに、電源部16がベイコネクタ40に接続される。図18に示す電源部16のACアダプタ44はアダプタ筐体32の内部に収納されているが、ACアダプタ44はアダプタ筐体32から露出し、電源装着ベイ28および固定側筐体4−1から露出していてもよい。
第3の接続態様176では、電源部16がベイコネクタ40に接続され、スイッチ104がOFFである。このため、スイッチ104は、充電回路86からの電気を遮断し、電気が電源部16に流れるのを防止する。その他の接続態様は、第2の接続態様174と同様であるのでその説明を省略する。
図19に示す第4の接続態様178では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に未接続であり、電源部16がベイコネクタ40に接続される。また、電源部16のACアダプタ44は、アダプタ筐体32内に収納されている。
スイッチ102は、ベイコネクタ40に接続された電源部16の電気を導通させ、スイッチ100、ダイオード111および充電回路86に供給する。ダイオード111はスイッチ102からの電気を導通させ、情報処理システム82に供給する。一方、スイッチ100は、スイッチ102からの電気を遮断し、電気が電源用コネクタ98に逆流するのを防止する。また、スイッチ104は、電源部16の電気を遮断し、電源部16の電気がスイッチ104を介して情報処理システム82に流れるのを防止する。
ダイオード112は、ダイオード111が供給した電気がバッテリ10および充電回路86に逆流するのを防止する。ダイオード114は、ダイオード111が供給した電気が電源部16および充電回路86に逆流するのを防止する。
充電回路86はOFFにされるので、充電回路86に供給される電気を遮断し、バッテリ10への電気の供給を抑止する。この結果、消費電力が抑制される。
図20に示す第5の接続態様180では、ACアダプタ182が電源用コネクタ98に未接続であり、電源部16がベイコネクタ40に接続される。また、ACアダプタ44は、アダプタ筐体32から露出し、電源装着ベイ28および固定側筐体4−1から露出している。このため、第4の接続態様178(図19)とは異なり、充電回路86がONにされる。この結果、充電回路86は、電源部16の電気をバッテリ10に供給する。電源部16は、情報処理システム82に電気を供給し、バッテリ10に電気を供給する。ACアダプタ44が発生する熱が露出したACアダプタ44から固定側筐体4−1の外部に放出されるので、PC2−2の動作の安定性が維持され、PC2−2の発熱が抑制される。
充電回路86に供給された電気は、ダイオード112、114に供給される。しかしながら、充電回路86およびダイオード113、115の内部抵抗により、ダイオード112、114の充電回路86側の電圧V1〔V〕が情報処理システム82側の電圧V2〔V〕よりも低くなる。このため、ダイオード112、114は順方向に電気を流すことができない。その他の接続態様は、第4の接続態様178(図19)と同様であるのでその説明を省略する。
電源部16は、電源部16の発熱部17としてたとえば、ACアダプタ44をスライドさせて電源装着ベイ28およびPC2−2の筐体4から露出させる。この発熱部17が電源装着ベイ28およびPC2−2の筐体4から露出した状態であっても、電源部16は、電源として使用可能である。ACアダプタ44を備えるアダプタスライド部34が電源装着ベイ28の内部に収納された場合、電源部16は、省電力設定に移行する。省電力設定への移行により、PC2−2の電源装着ベイ28の内部において、ACアダプタ44の発熱が抑制できる。電源部16は、電源装着ベイ28に装着し携行することができ、PC2−2と別々に電源を携行する必要がない。よって、PC2−2自体の携行性が向上するとともに、電源部16の実用性が向上する。
〔第3の実施の形態〕
第2の実施の形態では、ACアダプタ44を含むアダプタスライド部34を収納した場合、PC2−2のシステムを省電力設定にした。電源部16の発熱を抑制するため、省電力設定に加えて、電源部16が電気の供給制限を行うようにしてもよい。電気の供給制限を行う場合、電流制御部202(図24)を、たとえばACアダプタ44に配置する。この電流制御部202は、たとえばカレントリミット機能を有し、供給電流のリミット値、たとえば供給電流の供給限界を制御する。そして、アダプタスライド部34が露出状態にあるか否かを電源部16自身が認識し、この認識により、電流制御部202が供給電流のリミット値を制御する。省電力設定時に想定された以上の電力負荷がACアダプタ44にかかると、電流制御部202はACアダプタ44の動作を停止させ、必要以上の発熱を防止し、発煙および発火などのトラブルの発生を防止する。
図21は、電源部16および電源装着ベイ28の一例を示している。図6と同一部分には同一符号を付してある。
電源部16において、センサ192がアダプタ筐体32に設置され、磁石194がアダプタスライド部34に設置される。センサ192は、磁石194を検出し、ACアダプタ44の収納状態または露出状態を検出する。センサ192は、電源部側の検出部の一例であり、たとえば既述のMRセンサで構成する。センサ192は、磁石194の検出に応じて電源部側センサの検出信号を出力する。この電源部側センサの検出信号は、電源部16において、カレントリミット値の変更に用いられる。
図22は、ベイコネクタ40と、接続コネクタ42を接続し、アダプタスライド部34を固定側筐体4−1および電源装着ベイ28に収納させた状態を示している。ACアダプタ44、アダプタ筐体32およびアダプタスライド部34が固定側筐体4−1および電源装着ベイ28に収納されている。
アダプタスライド部34を電源装着ベイ28および固定側筐体4−1に収納した状態では、磁石194とセンサ192が離間し、センサ192は磁石194を検知しない。この場合、センサ192が出力する検出信号は、たとえばLレベルになる。このLレベルの検出信号は、たとえば0[V]電圧に設定され、アダプタスライド部34の状態が収納状態であることを表す。センサ192の検出信号により、電源部16は、アダプタスライド部34が固定側筐体4−1および電源装着ベイ28内に収納されていると認識する。
図23は、ベイコネクタ40と、接続コネクタ42を接続し、アダプタスライド部34を固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から露出した状態を示している。アダプタスライド部34のACアダプタ44がアダプタ筐体32、固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から引き出されている。
アダプタスライド部34が固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から露出した状態では、磁石194とセンサ192が近接して対向し、センサ192が磁石194を検知する。この場合、センサ192が出力する検出信号は、たとえばHレベルになる。このHレベルの検出信号は、たとえば5[V]電圧に設定され、アダプタスライド部34の状態が露出状態であることを表す。センサ192の検出信号により、電源部16は、アダプタスライド部34が固定側筐体4−1および電源装着ベイ28から引き出されて露出していると認識する。
その他の構成は、第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
図24は、電流制御部の一例である。図24に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。この電流制御部202は、カレントリミットIC(Integrated Circuit)204および抵抗部206を備え、たとえば供給電流の制御回路を構成する。電流制御部202は、たとえば、安定化回路50(図7)とDC出力端子60(図7)の間に配置される。
カレントリミットIC204は、カレントリミット調整ピン208を備え、カレントリミット調整ピン208とグランド210との間に配置される抵抗部206の抵抗値に応じて、電流の限度を制御する。ACアダプタ44の収納又は露出の状態など、各種条件に応じて抵抗部206の抵抗値を変化させると、カレントリミットIC204は、変化する抵抗値に応じてカレントリミットを実行する。カレントリミットIC204は、入力電源端子Pinから出力電源端子Poutに流れるカレントリミットIC204の電流にリミットを設定する。抵抗部206の抵抗値が大きくなるにつれて、カレントリミットIC204は、電流値のリミットを大きくする。一方、抵抗値が小さくなるにつれて、カレントリミットIC204は、電流値のリミットを小さくする。
図25は、電流制御部および抵抗部の一例である。図25に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
抵抗部206は、FET(電界効果トランジスタ)212、214、抵抗素子216、218及びNOT回路220を備える。そして、抵抗部206は、既述の電源部側センサ192の検出信号を受信して抵抗値を変化させる。
FET212は、スイッチの一例であって、ゲートに入力された信号のレベルに応じて、FET212のドレインとソースを導通し、またはドレインとソースの間を遮断する。FET212のドレインは、カレントリミット調整ピン208に接続し、FET212のソースは、抵抗素子216に接続している。
FET214は、スイッチの一例であって、ゲートに入力された信号のレベルに応じて、FET214のドレインとソースを導通し、またはドレインとソースの間を遮断する。FET214のドレインは、カレントリミット調整ピン208に接続し、FET214のソースは、抵抗素子218に接続している。
抵抗素子216、218は、それぞれ異なる定数の抵抗値を有している。抵抗素子216の一端はFET212のソースに接続し、他端はグラウンド210に接続している。抵抗素子218の一端はFET214のソースに接続し、他端はグラウンド210に接続している。
電源部側センサ192の検出信号は、FET212のゲートと、NOT回路220に入力される。NOT回路220は、電源部側センサ192の検出信号をHレベルからLレベルに反転し、またはLレベルからHレベルに反転し、この反転した検出信号をFET214のゲートに入力する。NOT回路220の反転により、異なるレベルの検出信号が、FET212、214に入力される。よって、抵抗素子216、218の何れか一方が、カレントリミット調整ピン208に接続される。電源部側センサ192の検出信号に応じてカレントリミット調整ピン208に接続される抵抗素子が切り替えられ、ACアダプタ44の発熱部17の露出、収納に応じてカレントリミットを制御できる。たとえば、電源部側センサ192の検出信号がHレベルである場合、NOT回路220で反転した検出信号はLレベルとなる。この場合、たとえばFET214のドレインとソースの間は未接続となる。一方、FET212のドレインとソースが接続するので、カレントリミット調整ピン208は抵抗素子216に接続される。電源部側センサ192の検出信号がLレベルである場合、カレントリミット調整ピン208は抵抗素子218に接続される。抵抗素子216、218が異なる定数の抵抗値を有することで、抵抗部206の抵抗値を可変し、既述した電流制限機能を実行できる。
〔第4の実施の形態〕
第2の実施の形態および第3の実施の形態では、ACアダプタ44の収納または露出状態に応じて、充電回路86をONまたはOFFに切り替えた。ノートパソコンが小型になると、ノートパソコンの容積が狭小化し、ACアダプタを収納した場合の放熱設計が難しくなる。第4の実施の形態では、PC2−2が動作時であって、たとえば既述の第4の接続態様178(図19)に遷移した場合、ACアダプタ44の発熱を更に抑えるようにする。発熱を更に抑えるため、情報処理システム82は、PC2−2のCPU226(図26)の動作クロックを減速させ、またはディスプレイなどの表示部18を減光させる。この減速または減光により、情報処理システム82がACアダプタ44に要求する電力量が低減される。
図26は、PC2−2のハードウェアの一例である。図26に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。図1、図3および図10と同一部分には同一符号を付してある。
メモリ222は、高速なアクセスが可能な記憶媒体の一例であって、たとえばRAM(Random Access Memory)で構成する。メモリ222は、たとえば一時的なデータを高速に記憶し、または読み出すのに用いられる。
CPU226は、記憶部228に記憶されているOS(Operating System)や、各種プログラムを実行する情報処理手段の一例である。CPU226の情報処理速度は、PC2−2が発生させるクロック周波数に応じて変化する。クロック周波数が高い場合、CPU226の情報処理速度は速くなる。
表示部18は、既述の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
記憶部228は、データを記憶する手段の一例であり、たとえば、ハードディスクまたはROM(Read Only Memory)を含む。記憶部228は、OSやCPU226が実行する各種プログラムおよび各種のデータを記憶する。なお、記憶部228は、ハードディスクおよびROMを含んでもよく、ハードディスクまたはROMの他にRAMを含んでもよい。
音声部230は、音声を出力する音声出力手段の一例であって、たとえばスピーカにより構成する。音声部230が出力する音声には、音声による警告が含まれる。なお、音声部230は、音声を受ける音声受入手段を含んでいてもよい。音声受入手段は、たとえばマイクにより構成する。
通信部232は、外部との通信に用いられる。通信部232は、たとえばネットワークカードまたは入出力ポートを含み、たとえば有線でLAN(ローカルエリアネットワーク:Local Area Network)の接続に用いられる。また、通信部232はアンテナおよび通信モジュールを含み、セルラーネットワークやWi-Fiなどの無線通信に用いられる。
入力部234は、操作に応じてデータを生成するデータ生成手段の一例であり、たとえば、キーボード26、マウスまたはタッチパネルで構成する。
表示部18、記憶部228、音声部230、通信部232および入力部234は、PC2−2の周辺機器の一例である。
BIOS(Basic Input/Output System) ROM236は、BIOSを記憶する手段の一例であり、たとえばROMで構成する。BIOSは、既述の周辺機器を制御するためのプログラムの一例である。
チップセット238は、CPU226との間で行われるデータの受信または送信を管理する手段の一例であり、たとえばLSI(Large Scale Integration)により構成される。チップセット238は、GPIO(General purpose Input/Output)コントローラ240を含む。GPIOは、種々の用途に使用可能な入出力端子である。GPIOコントローラ240は、GPIOを制御する。
メモリ222、CPU226、BIOS ROM236およびチップセット238は、既述の情報処理システム82の一例である。情報処理システム82は、電源システム84に接続している。電源システム84は、情報処理システム82および既述の周辺機器に電気を供給するとともに、CPU226の動作クロックの減速または減速の解除に用いる切替出力を情報処理システム82に供給する。
CPU226の動作クロックの減速は、たとえばACアアダプタ182が電源用コネクタ98に非接続であり、電源部16がベイコネクタ40に接続され、かつACアダプタ44が筐体4−1に収納状態にある場合に行われる。すなわち、第1の検出信号がLレベルであり、第2の検出信号がHレベルであり、かつセンサの検出信号がLレベルである場合、たとえばLレベルの切替出力が生成される。このLレベルの切替出力は、省電力制御出力の一例であり、CPU226の動作クロックを減速させ、省電力設定にすることを表す。上記検出信号以外の場合、たとえばHレベルの切替出力が生成される。このHレベルの切替出力は、通常制御出力の一例であり、CPU226の動作クロックを通常のクロック速度にすることを表す。これらのLレベルまたはHレベルの切替出力は、CPU226のクロックの速度を切り替えるための切替出力の一例であり、たとえば電源切替部92が生成する。
図27は、電源切替部の一例である。図27に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。なお、図13と同一部分には同一符号を付してある。
図27に示す電源切替部92は、図13に示す電源切替部92の回路構成に加え、NOT回路252、254と、NAND回路256とを備えている。電源切替部92は、既述のCPU226の動作クロックの速度を切り替えるための切替出力として、第5の切替出力を生成して出力する。すなわち、電源切替部92は第5の切替出力を出力してCPU226の動作クロックを制御する。
第5の切替出力は、NOT回路252、254と、NAND回路256とを用いて、第1および第2の検出信号と、センサの検出信号から生成される。NOT回路252は、第1の検出信号を受け、第1の検出信号を反転して出力する。NOT回路254は、センサの検出信号を受け、センサの検出信号を反転して出力する。NAND回路256は、NOT回路252が出力する第1の検出信号を反転した信号と、第2の検出信号と、NOT回路254が出力するセンサの検出信号を反転した信号とを受け、これらの論理積の否定値を出力する。これらの回路により、既述のLレベルの切替出力およびHレベルの切替出力が得られる。電源切替部92は、3つの検出信号を受け、5つの切替出力を発生させ、少なくとも5つの機能部を切り替えることができる。第1から第4の切替出力については、第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
電源切替部92が出力する第5の切替出力は、GIPOコントローラ240を経由して、BIOS ROM236に格納されているBIOSに通知する。BIOSは、第5の切替出力を受け、CPU226の動作クロックを制御する。たとえば、BIOSは、CPU226のレジスタに設定されているクロックの設定値を切り替えて、このCPU226の動作クロックを変更する。
第5の切替出力は、CPU226の動作クロックの変更の他、たとえば表示部18の輝度、たとえば明るさの変更に用いることができる。この場合、表示部18の輝度は、たとえば、チップセット238のレジスタの設定値により制御する。そこで、たとえばBIOSが第5の切替出力を受け、チップセット238のレジスタの設定値を変更して、表示部18の輝度を変更する。
その他の構成は第2の実施の形態又は第3の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態では、ACアダプタ44が電源装着ベイ28および固定側筐体4−1の内部に収納された場合であって電力消費が基準値を超える場合に、PC2−2は警告を発生する。たとえば、消費電力が大きいアプリケーションを起動する場合に、PC2−2は警告を発生する。警告には、たとえば表示部18(図26)または音声部230(図26)などが用いられる。表示部18および音声部230は、警告を告知する告知手段の一例である。その他の構成は既述の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
図28は、警告を発生させる処理手順の一例である。この警告を発生させる処理手順は、たとえばCPU226が実行する。
CPU226がアプリケーションの起動の指示を受信すると(ステップS101)、CPU226は、起動対象のアプリケーションの消費電力が基準値を超えるかを判断する。この基準値は、たとえばACアダプタ44が収納状態にある場合に一つのアプリケーションが使用可能な消費電力値である。この基準値は、たとえばPC2−2の記憶部228またはメモリ222(図26)に予め設定する。消費電力が基準値を超える場合には(ステップS102のYes)、CPU226は、この消費電力の大きいアプリケーションの起動作業を行ない(ステップS103)、検出信号の状況を確認する。この状況の確認は、たとえば第1の検出信号がLレベル、第2の検出信号がHレベル、かつ第3の検出信号がLレベルであるかの確認である。検出信号がこの状況にある場合(ステップS104のYes)、CPU226はアプリケーションの起動を中止し、警告を発生し(ステップS106)、処理を終了する。その他の場合(ステップS104のNo)、CPU226はアプリケーションを正常起動し(ステップS105)、処理を終了する。検出信号の状況の確認は、たとえば、既述の第5の切替出力を用いて確認してもよい。CPU226は、第5の切替出力がLレベルの場合に、第1の検出信号がLレベル、第2の検出信号がHレベル、かつ第3の検出信号がLレベルであると判断すれば良い。また、CPU226は、第5の切替出力がHレベルの場合に、その他の場合と判断すればよい。
CPU226が行う警告は、例えば、表示部18への表示による警告、または音声部230からの警告音による警告などである。また、CPU226が行う警告は、表示による警告および警告音による警告の両方であってもよい。
図29は、表示による警告の一例である。図29に示す表示は一例であり、他の表示であってもよく、斯かる表示に本開示の表示が限定されるものではない。なお、図中「**」は、アプリケーション名を表し、「ベイACアダプタ」は、電源装着ベイ28に接続されているACアダプタ、たとえばACアダプタ44を表している。
図29に示す警告では、『アプリケーション「**」を起動できません。ベイACアダプタを露出させた状態で再度アプリケーション「**」を起動させてください。』とのメッセージが表示部18に表示される。
音声による警告は、たとえば『アプリケーション「**」を起動できません。ベイACアダプタを露出させた状態で再度アプリケーション「**」を起動させてください。』とのメッセージが音声部230から出力される。音声による警告は、たとえば、ブザー音を用いた警告ブザーであってもよい。
表示による警告または音声による警告により、アプリケーションの起動中止をユーザに通知するとともに、ユーザに対しACアダプタ44の発熱部17を露出させることが促せる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、電源ケーブル62は、伸縮性を有するケーブルにより構成したが、斯かる構成に限定されない。伸縮性を有さない電源ケーブル62が、アダプタ筐体32とアダプタスライド部34の間の収納空間部35に収納されるように構成することで、アダプタスライド部34が所定のスライドストロークでスライドするようにできる。
(2) 上記実施の形態では、ACアダプタ182と電源部16の両方が接続された場合、ACアダプタ182を優先するように切り替えたが、斯かる構成に限定されない。電源部16をACアダプタ182より優先的するように切替えてもよい。このような構成は、ACアダプタ182と電源部16の両方が接続された場合、スイッチ100をOFFにして、スイッチ102をONにすればよい。そして、アダプタスライド部34が収納状態であるか露出状態であるかに応じて、充電回路86をONまたはOFFにすればよい。
(3) 上記実施の形態では、消費電力が大きいアプリケーションの起動の際に電源部16の発熱部17を露出させるように警告を表示したが、斯かる構成に限定されない。たとえば、情報処理システム82と電源システム84との間に情報処理システム82に流れる電流を監視する監視部258(図30)を設置する。この監視部258で検出した電流値が基準値を超える場合に情報処理システム82が警告を発生するようにしてもよい。このように構成することで、たとえば複数のアプリケーションが起動されるなど、全体として消費電力が多くなる場合であっても警告を発生させることができる。
(4) 上記実施の形態では、電源部16の発熱部17が収納状態である場合に省電力制御が行われたが、たとえばノートパソコンの消費電力が大きく、電源部16の発熱部17が露出状態であったとしても電流が不足する場合にも、省電力制御を行うようにしてもよい。
(5) 上記実施の形態では、アダプタ筐体32とアダプタスライド部34とが平坦面で接触したが、斯かる構成に限定されない。たとえば、アダプタスライド部34とアダプタ筐体32を所定の間隔で離間させ、アダプタスライド部34とアダプタ筐体32の間にスライド手段を設置する。このスライド手段は、たとえばガイドレールと、このガイドレールに規制されて一方向に移動する移動部材とを含む。アダプタ筐体32またはアダプタスライド部34のいずれか一方にガイドレールを設置し、他方に移動部材を配置することでアダプタスライド部34がスライド可能になる。
(6)上記実施の形態では、センサ192がアダプタ筐体32に設置され、磁石194がアダプタスライド部34に設置される例を示したが斯かる構成に限定されない。センサ192と磁石194の配置を逆にし、磁石194をアダプタ筐体32に設置し、センサ192をアダプタスライド部34に設置してもよい。更に、センサ72、192が磁石を兼ね備えるようにし、磁石64、194が省略され、各センサ72、192が他方のセンサを検出するように構成してもよい。この場合、たとえばセンサ192を図6に示す磁石64の位置に設置する。それぞれのセンサが相手のセンサを検出することでPC2−2及び電源部16の双方でセンサの検出信号を得ることができる。磁石およびセンサの設置位置および設置個数は、様々な態様に変形可能である。
(7) 上記実施の形態では、磁石64がアダプタスライド部34に設置され、センサ72が基板70に設置されたが、斯かる設置位置に限定されない。たとえば磁石64をアダプタ筐体32またはアダプタスライド部34のいずれか一方に設置し、センサ72を他方に設置してもよい。この場合、電源部16がセンサ72の検出信号を得ることになる。そこで、センサ72の検出信号を通信手段によりPC2−2側に送信するようにする。通信手段としては、PC2−2および電源部16の回路配線を介した通信でもよく、Wi-Fiなどの無線LANを介した通信でもよい。斯かる構成であっても電源切替部92がセンサの検出信号を受信することができ、第1から第5の切替出力を出力することができる。
(8) 上記実施の形態では、センサ192がアダプタ筐体32に設置され、磁石194がアダプタスライド部34に設置された。これに対し、センサ192および磁石194を設置せずに、たとえばセンサ72の検出信号を既述の通信手段により電源部16に送信するように構成してもよい。このように構成すると、センサ72の検出信号PC2−2と電源部16の両方で利用することができる。
(9) 上記実施の形態では、アダプタスライド部34の発熱部17の収納又は露出の検出に、たとえば磁石とMRセンサを用いたが、斯かる構成に限定されない。たとえば、距離センサとして光センサや近接センサなどによりアダプタスライド部34の移動を検出してもよい。
(10) 上記実施の形態では、警告の告知に関し、CPU226が消費電力の大きいアプリケーションの起動作業を行なった後に検出信号の状況を確認したが、斯かる構成に限定されない。たとえば、アプリケーションの起動作業を行う前に検出信号の状況を確認し、アプリケーションを起動可能な場合にアプリケーションを正常起動するようにしてもよい。斯かる構成にすることで、大きいアプリケーションの起動作業を行い、その後アプリケーションの起動作業を中止する処理を省略することができる。
(11) 上記実施の形態では、第1の接続態様172から第5の接続態様180について例示したが、斯かる接続態様に限定されない。たとえば、ACアダプタ44を収納した電源部16をベイコネクタ40に接続した場合、スイッチ102をOFFにし、スイッチ104をONにして、スイッチ104を介して電気を供給してもよい。バッテリ30をベイコネクタ40に接続した場合、スイッチ102をONにし、スイッチ104をOFFにし、充電回路をOFFにして、スイッチ102を介して電気を供給してもよい。このような接続態様を実行するように電源切替部92の回路を構成すれば、情報処理システム82への電気の供給を行うことができる。電源システム84の接続態様およびこの接続態様を実行する電源切替部92は、様々な変形や変更が可能である。
(12) 上記実施の形態では、本開示の電子機器の一例としてノートパソコンを示したが、本開示の電子機器はノートパソコンに限定されない。ACアダプタを収納することができる情報処理機器であればよい。たとえば、携帯情報端末(PDA: Personal Digital Assistat)、タブレットPC、携帯電話およびカメラやビデオカメラなどの撮像機器であってもよい。
図31は、電子機器としてPDA1002の一例を示す。PDA1002の筐体1004には、表示部1018、操作キー1026が設置されている。表示部1018は、既述の表示部18の機能を備えるほか、たとえばタッチパネルを含み、既述の入力部234(図26)として機能する。PDA1002では、筐体1004の上面側から見て上側中間部に電源装着ベイが設置され、電源部1016が装着される。電源部1016は、アダプタ筐体1032と、アダプタスライド部1034と、ACアダプタ1044とを備えている。アダプタスライド部1034がアダプタ筐体1032に対してスライドし、ACアダプタ1044が筐体1004およびアダプタ筐体1032に収納され、または筐体1004およびアダプタ筐体1032から露出する。PDA1002であっても本開示の構成による効果を得ることができる。
以上述べたように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための最良の形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。