JP5788715B2 - 酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤 - Google Patents

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本発明は、オロト酸、その誘導体、及び、それらの塩からなる群から選択される1又は2以上の物質を有効成分として含有する酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤に関する。
オロト酸(オロット酸、ウラシル6−カルボン酸、オロチン酸、又はビタミンB13とも呼ばれる)は、ピリミジンヌクレオチド生合成系における主要中間物質であり、ジヒドロオロト酸からジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼによって誘導され、オロト酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(PRPP)によってオロチジル酸となる。オロチジル酸は、さらに速やかにウリジン一リン酸(UMP)に変換され、その後ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸などのピリミジンヌクレオチドが合成される。
オロト酸が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防や治療に用いうることが知られている(特許文献1参照)。また、オロト酸をラットへ投与すると、低酸素や低血流状態でATPを維持する効果が得られたことが報告されており(非特許文献1参照)、そのATP維持効果は、嫌気的解糖の亢進によるものと推定されていた(非特許文献1の167ページ右欄24〜28行)。しかし、オロト酸と、生体における酸素消費量(酸素消費量)あるいは基礎代謝量との関係は知られていなかった。
生体における酸素消費量を減少させる効果を有する物質としては、モルヒネが知られている。そのため、モルヒネは、呼吸困難などの症状に用いられている。しかし、モルヒネには依存性を始めとする副作用が多く、ヒトなどに繰り返し投与すると、そのヒトは正常な生活を送ることができなくなってしまう。したがって、モルヒネを繰り返し投与することは、末期癌患者の疼痛除去などの目的に限られている。その他、基礎代謝を増強させるための基礎代謝調整剤(特許文献2参照)や基礎代謝増強剤(特許文献3参照)についての報告もある。
特開2011−26204号公報 特開2009−269886号公報 特開2007−308468号公報
Cardiovascular drugs and therapy (1998), 12, 159-170.
本発明の課題は、酸素不足に起因あるいは関連する疾患や症状を予防・治療でき、また持続力を向上することができ、また少ないエネルギーの消費で体力を維持することができる酸素消費量及び基礎代謝量の低減剤を提供することにある。
基礎代謝とは、何もせずじっとしていても、生命活動を維持するために生体で自動的に(生理的に)行われている活動で必要なエネルギーのことで、一般に筋肉を鍛えて基礎代謝をアップすると、食後の発熱も増え、脂肪が燃焼しやすい体に変わり、ダイエットもしやすくなるといわれている。他方、基礎代謝が低下すると脂肪の代謝が低下し、肥満の他さまざまな不定愁訴(めまい、動悸、発汗、ふるえ、しびれ、肩こりなど身体の特定の部分にかたよらない、いろいろな自覚症状)や、血液循環の悪化に伴う冷え性、便秘、下痢、生理不順、倦怠感、憂鬱等の諸症状が現れるといわれている。
本発明者らは、ピリミジンヌクレオチド生合成系における主要中間物質であるオロト酸に興味をもち、長年研究する過程で、オロト酸の投与により、ピリミジンの生成促進や、ピリミジンのde novo合成に必要なATPの消費の減少が予想されること、また、通常生体内に十分量が存在し、余剰なものは尿酸として排泄されていたプリンの再利用が、増加したピリミジンによって促進されることも予想されることから、オロト酸は生体内でのエネルギーの無駄な消費を削減しうる基礎代謝量の低減剤になりうるのではないかとの仮説を立てた。しかし、かかる仮説は上記の基礎代謝に関する一般的な知見とは相容れないものであった。
そこで本発明者らは、オロト酸の投与による基礎代謝量に及ぼす影響を調べるために、マウスにオロト酸を投与したところ、全く意外なことに、呼吸商の変化を伴わずに酸素消費量や二酸化炭素産出量を低減させ得ること、またオロト酸の摂取により持続力を向上することができ、またエネルギー消費量を低減させ得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)オロト酸、その誘導体、及び、それらの塩からなる群から選択される1又は2以上の物質を有効成分として含有することを特徴とする酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤や、(2)オロト酸の誘導体が、ジヒドロオロト酸、オロチジル酸、オロチジン、ウラシル、ウリジン、ウリジン一リン酸、ウリジン二リン酸、ウリジン三リン酸、デオキシウリジン、デオキシウリジン一リン酸、デオキシウリジン二リン酸、デオキシウリジン三リン酸、チミン、5−メチルウリジン、5−メチルウリジン一リン酸、5−メチルウリジン二リン酸、5−メチルウリジン三リン酸、チミジン、チミジン一リン酸、チミジン二リン酸、チミジン三リン酸、シトシン、シチジン、シチジン一リン酸、シチジン二リン酸、及び、シチジン三リン酸、デオキシシチジン、デオキシシチジン一リン酸、デオキシシチジン二リン酸、デオキシシチジン三リン酸であることを特徴とする、上記(1)に記載の酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤に関する。
本発明によると、脊椎動物の酸素消費量及びエネルギー消費量を低減させることができ、その結果、脊椎動物の持続力(持久力)を向上することができ、また少ないエネルギーの消費で脊椎動物の体力を維持することができる上に、酸素不足に起因あるいは関連する疾患や症状、例えば、無呼吸症候群、イビキ、褥瘡、貧血、頭痛、肩凝り、冷え性、及び、出産時の低酸素症状などの予防や治療が期待できる。また、基礎代謝量が減少する事は、静脈栄養や経腸栄養剤などからのカロリー摂取が不十分な患者に対しても、治療や回復促進の効果が期待できる。また、本発明によるエネルギー消費量の減少は、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化の減少や、活性酸素の発生量の減少につながるため、老化の遅延・防止や寿命延長も期待できる。
実施例1の試験における、非運動時のマウスの酸素消費量を示す図である。「*」は、オロト酸投与群(OA群)が、コントロール群(CTL群)に対して危険率5%未満で有意差を有していることを表す。 実施例1の試験における、非運動時のマウスの二酸化炭素産生量を示す図である。「*」は、オロト酸投与群(OA群)が、コントロール群(CTL群)に対して危険率5%未満で有意差を有していることを表す。 実施例1の試験における、非運動時のマウスの呼吸商を示す図である。 実施例2の試験における、運動時のマウスの酸素消費量を示す図である。「*」は、オロト酸投与群(OA群)が、コントロール群(CTL群)に対して危険率5%未満で有意差を有していることを表す。 実施例2の試験における、運動時のマウスの二酸化炭素産生量を示す図である。「*」は、オロト酸投与群(OA群)が、コントロール群(CTL群)に対して危険率5%未満で有意差を有していることを表す。 実施例2の試験における、運動時のマウスの呼吸商を示す図である。 実施例3の試験におけるマウスの限界遊泳時間(min)を示す。「*」及び「**」は、その群が、コントロール群(CTL群)に対してそれぞれ危険率5%未満、危険率1%未満で有意差を有していることを表す。
本発明の酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤は、オロト酸、その誘導体、及び、それらの塩(これらを総称して「オロト酸類」という場合がある。)からなる群から選択される1又は2以上の物質を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではないが、中でも、オロト酸を有効成分として含有するものを特に好適に挙げることができる。
上記のオロト酸の誘導体としては、オロト酸から誘導することができ、かつ、酸素消費量及びエネルギー消費量の低減効果を有している限り特に制限されないが、ジヒドロオロト酸、オロチジル酸、オロチジン、ウラシル、ウリジン、ウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)、ウリジン三リン酸(UTP)、デオキシウリジン、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、チミン、5−メチルウリジン、5−メチルウリジン一リン酸(TMP)、5−メチルウリジン二リン酸(TDP)、5−メチルウリジン三リン酸(TTP)、チミジン、チミジン一リン酸(dTMP)、チミジン二リン酸(dTDP)、チミジン三リン酸(dTTP)、シトシン、シチジン、シチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、及び、シチジン三リン酸(CTP)、デオキシシチジン、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)を好適に例示することができる。なお、上記のようなピリミジンを含有するリボヌクレオチドやデオキシリボヌクレオチドを含むRNAやDNAも、本発明におけるオロト酸の誘導体源として使用することができる。
上記のオロト酸の塩やオロト酸の誘導体の塩における塩としては、生理学的に許容される塩基(例、アルカリ金属塩)などとの塩を挙げることができる。とりわけ生理学的に許容されるナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、亜鉛塩などの重金属塩、アンモニウム塩、アルギニンなどの塩基性アミノ酸塩、トリエチルアミン塩等のアミン塩、コリン塩、カルニチン塩、クレアチン塩等を好適に例示することができる。
上記のオロト酸類は、市販のものを用いてもよいし、あるいは、ピリミジン要求性やピリミジンアナログ耐性の変異を導入した様々な微生物を用いた発酵法により、培養液中に生成蓄積させ(例えば、特許第2927882号公報参照)、上記培養物やオロト酸を含有するホエイなどから、通常の精製手段、例えば、沈澱法、イオン交換樹脂や活性炭などによるクロマトグラフィー法などの分離精製法を用いることにより精製、採取したものを用いることもできる。
本発明における酸素消費量は、酸素要求量や酸素摂取量と同義で、閉鎖式測定法や開放的測定方法等の公知の方法で測定することができる。また、呼吸商は、生体内における単位時間当たりの二酸化炭素産生量を、単位時間当たりの酸素消費量で除した値として求められる。オロト酸類は、実質的に呼吸商の変化を伴わずに、脊椎動物の安静時及び運動時の酸素消費量を低減させる効果を有することから、この効果は脂肪の燃焼などの呼吸商の変化を伴うものではないことがわかる。また、酸素消費量の低減の程度としては、オロト酸類の投与の有無以外は同一条件下、5%以上、好ましくは10%以上の低減を好適に例示することができる。
本発明におけるエネルギー消費量(kcal)は、例えば3.9×酸素摂取量+1.1×二酸化炭素産生量等の公知の方法で求めることができ、このエネルギー消費量には、目覚めている状態で生命を維持する(心臓、呼吸、腎臓の働き、体温や筋緊張の維持など)ために必要な最小限のエネルギー消費量である基礎代謝量と、運動時のエネルギーの消費量も含まれる。オロト酸類は、脊椎動物の運動時の持続力を向上することができ、また少ないエネルギーの消費で安静時の体力を維持する効果を有する。また、エネルギー消費量の低減の程度としては、オロト酸類の投与の有無以外は同一条件下、5%以上、好ましくは10%以上の低減を好適に例示することができる。なお、本明細書における「持続力の向上」とは、運動、日常の動作、及び労働を含む広義の運動に対する持続力(持久力)を向上することを意味する。
本発明の酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤は、オロト酸類のみを含有していてもよいが、薬学的に許容される通常の担体、抗酸化剤、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加してもよい。本発明の低減剤の剤型としては、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤などの固形製剤であってもよいし、溶液剤、乳剤、懸濁剤などの液剤であってもよい。また、本発明の低減剤の投与方法としては、本発明における酸素消費量及びエネルギー消費量の低減効果が得られる限り特に制限されず、経口投与であってもよいし非経口投与であってもよいが、経口投与が好ましい。非経口投与の方法としては、経腸投与や、血管内投与(好ましくは静脈内投与)を好適に例示することができる。本発明の低減剤の投与量は、症状、剤形、体重等により変わり得るが、経口投与の場合では、オロト酸類換算で、成人1日あたり、50mg〜10g、好ましくは500mg〜3gとすることができる。
本発明の酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤の投与対象としては、脊椎動物を例示することができ、中でも、哺乳類に属する動物や、鳥類に属する動物を好適に例示することができ、中でも、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、ニワトリ、ウズラ等を好適に例示することができ、中でもヒトや家畜・家禽類をより好適に例示することができる。
本発明の酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤は、無呼吸症候群、イビキ、褥瘡(床ずれ)、貧血、頭痛、肩凝り、冷え性、出産時の低酸素症状(例えば新生児の窒息)などの酸素不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防・治療剤や改善剤として、また、ジョギング等における持続力の向上や、カロリー摂取量の不十分な入院患者の体力回復促進、ダイエットなどの、エネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防・治療剤や改善剤として、また、老化の遅延及び/又は防止剤や寿命延長剤として利用することができる。エネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防・治療剤や改善剤として利用する場合には、濃厚流動食などの経腸栄養剤や輸液などの静脈栄養剤として、好適に利用することができる。また、本発明の酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤は、他の酸素不足及び/又はエネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防・治療剤や改善剤と組み合わせて使うこともできる。
なお、本発明の他の態様として、上記の酸素不足及び/又はエネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防・治療剤や改善剤の調製に使用するためのオロト酸類の使用や、オロト酸類を、上記の酸素不足及び/又はエネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防・治療や改善に使用する方法や、オロト酸類を対象脊椎動物に投与することにより、上記の酸素不足及び/又はエネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状を予防・治療あるいは改善する方法を挙げることができる。
本発明の酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤を飲食品やその素材に添加することにより、上記の酸素不足及び/又はエネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防・治療用や改善用の飲食品又は食品素材とすることができる。かかる飲食品や食品素材としては、例えば、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料や、プリン、クッキー、パン、ケーキ、ゼリー、煎餅などの焼き菓子、羊羹などの和菓子、冷菓、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味類や、チーズ、バター等の乳製品や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ等の各種総菜、栄養食品などを挙げることができる。本発明における「食品」とは、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、サプリメント、病者用食品を含む意味で用いられる。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[オロト酸による非運動時の酸素消費量低減効果についての試験]
オロト酸が、非運動時の酸素消費量を低減させる効果を有しているかを調べるために、以下の試験を行った。まず、12時間毎の明暗周期(8時〜20時まで点灯)下に24±2℃の恒温動物室にて1週間以上飼育したddY雄マウス(6週齢)を32匹用意した。これらのマウスを2群に分け、一方の群(コントロール群:CTL)の各マウスには、0.5質量%のカルボキシメチルセルロース溶液(CMC溶液)を、マウスの体重1kgあたり10ml投与した。もう一方の群(オロト酸投与群:OA)の各マウスには、0.5質量%のCMC溶液に懸濁したオロト酸(50mg/mL)を、マウスの体重1kgあたり10ml投与した。これらの投与は、各マウスに対し、週に5回、4週間継続(合計20回)して行った。最後の投与日の19時に各マウスを代謝計測チャンバーに移して絶食を開始し、暗期である20時から翌日の8時までの酸素消費量(mL/min)及び二酸化炭素産生量(mL/min)を測定した。図1には、その酸素消費量を各群の平均値で示し、図2には、その二酸化炭素産生量を各群の平均値で示す。なお、統計処理にはt−検定を用い、p<0.05で有意差を示した項目を*で示した。また、各マウスの呼吸商は、二酸化炭素産生量を酸素消費量で除した値として算出した。図3には、その呼吸商を各群の平均値で示す。
図1及び図2に示すとおり、オロト酸投与群における酸素消費量及び二酸化炭素産生量は、コントロール群と比較して、有意に減少した。一方、呼吸商については、オロト酸投与群とコントロール群との間で有意な差はなかった(図3)。以上のことから、オロト酸には非運動時の酸素消費量を低減する作用があり、しかも、その際、呼吸商を変化させないことがわかった。
[オロト酸による運動時の酸素消費量低減効果についての試験]
オロト酸が、運動時の酸素消費量を低減させる効果を有しているかを調べるために、以下の試験を行った。まず、12時間毎の明暗周期(8時〜20時まで点灯)下に24±2℃の恒温動物室にて1週間以上飼育したddY雄マウス(6週齢)を24匹用意した。これらのマウスを2群に分け、一方の群(コントロール群:CTL)の各マウスには、0.5質量%のカルボキシメチルセルロース溶液(CMC溶液)を、マウスの体重1kgあたり10ml投与した。もう一方の群(オロト酸投与群:OA)の各マウスには、0.5質量%のCMC溶液に懸濁したオロト酸(50mg/mL)を、マウスの体重1kgあたり10ml投与した。これらの投与は、各マウスに対し、週に5回、3週間継続(合計15回)して行った。最後の投与日の17時に各マウスの絶食を開始し、翌日の10時からマウス用トレッドミルを用いて強制運動を行い、運動中の酸素消費量(mL/min)及び二酸化炭素産生量(mL/min)を測定した。なお、強制運動は30分間行い、0−5分を15m/min、6−10分を20m/min、11−30分を25m/minで行った。図4には、その酸素消費量を各群の平均値で示し、図5には、その二酸化炭素産生量を各群の平均値で示す。なお、統計処理にはt−検定を用い、p<0.05で有意差を示した項目を*で示した。また、各マウスの呼吸商は、二酸化炭素産生量を酸素消費量で除した値として算出した。図6には、その呼吸商を各群の平均値で示す。
図4及び図5に示すとおり、オロト酸投与群における酸素消費量及び二酸化炭素産生量は、コントロール群と比較して、有意に減少した。一方、呼吸商については、オロト酸投与群とコントロール群との間で有意な差はなかった(図6)。以上のことから、オロト酸には運動時の酸素消費量を低減する作用があり、しかも、その際、呼吸商を変化させないことがわかった。
実施例1及び2の結果から、オロト酸には、安静時、運動時を問わず、酸素消費量を低減する作用があり、しかも、その際、呼吸商を変化させないことがわかった。
[オロト酸による持続力(持久力)向上効果についての試験]
被験物質としてオロト酸を用い、持久力向上効果を調べた。7週齢の雄ddYマウスを日本エスエルシー社より購入し、7日間馴化後、尻尾に重りをつけて強制遊泳させた。マウスが水上に上がってこられず、水面下に5秒間停滞した時点を限界遊泳時間とし、その時間を測定した。限界遊泳時間に群間差の無いように以下の通り群分けした。コントロール群(n=10、CTLと表記)、オロト酸250mg/kg投与群(n=10、OA250mg/kgと表記)、オロト酸500mg/kg投与群(n=10、OA500mg/kgと表記)。各群共に粗飼料(CE−2)を用いて飼育し、OA250mg/kg群にはオロト酸250mg/kg、OA500mg/kg群にはオロト酸500mg/kgを週に5回経口投与した。群分け後、3週間飼育しながら各群の限界遊泳時間を週に1回測定した。この時の限界遊泳時間を図7に示す。
図7の結果に示されるように、オロト酸を経口投与したマウスは、オロト酸の投与量依存的に限界遊泳時間が長くなり、オロト酸に持久力向上効果があることが確認できた。実施例1〜3の結果から、オロト酸は、酸素消費量、エネルギー消費量を低減させると共に、持久力をも向上させる作用を有していることがわかった。
本発明は、呼吸商の変化を伴わずに酸素消費量を低減させる分野に好適に利用することができる。より具体的には、本発明は、酸素不足に起因あるいは関連する疾患や症状、例えば、無呼吸症候群、イビキ、褥瘡、貧血、頭痛、肩凝り、冷え性、及び、出産時の低酸素症状などの予防や治療の分野に好適に利用することができる。また、本発明は、エネルギー消費量を低減させる分野にも好適に例示することができる。より具体的には、本発明は、ジョギング等における持続力の向上や、カロリー摂取量の不十分な入院患者の体力回復促進、ダイエットなどの、エネルギー不足に起因あるいは関連する疾患や症状の予防や治療の分野や、老化の遅延・防止及び寿命延長の分野に好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. オロト酸、ウリジン一リン酸、ウラシル、ウリジン、シチジン、及び、それらの塩からなる群から選択される1又は2以上の物質を有効成分として含有することを特徴とする酸素消費量及びエネルギー消費量の低減剤(ただし、運動に対する持久力の向上剤を除く)
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