JP5786795B2 - アブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法 - Google Patents

アブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法に関し、より詳細には、アブラ椰子核殻を炭化させた固体炭化物(アブラ椰子核殻炭)を炭材として利用して地球温暖化ガスである炭酸ガス排出量を抑制するとともに、焼結機の生産性を向上させることができる、アブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法に関する。
焼結鉱を製造する焼結機としては、ベルトコンベヤーのようにパレットが連続無端に連結されたDL式焼結機が広く使用されている。
図1は、焼結鉱の製造工程における原料フローを例示する図である。図1に示すように、焼結鉱の製造に際しては、粉状鉄鉱石1に、溶材2、返鉱3および炭材としての粉コークス4a、無煙炭4bを添加して混合・造粒5した後、当該造粒物によって約60cm厚さの充填層である焼結ベッド6を形成させる。次いで、焼結ベッド6表面に点火し、空気を下方へ吸引することにより焼結化反応を行わせて塊状焼結鉱7とし、粉状鉄鉱石1等の粉状原料を塊成化する。
ここで、造粒された焼結原料は移動するパレット内に偏析装入装置を介して装入され、原料層が形成される。この時、大部分の焼結機では、焼結時に高さ方向における焼結層の温度を均一にするため、固体炭素濃度を高さ方向で均一分布にするのではなく、適正な分布状態になるよう装入装置を用いた制御がなされている。
ところで、焼結機では、炭材として多量の石炭やコークスを使用するため、多量の炭酸ガスを発生させている。この炭酸ガスの発生を抑制するために、炭材としてバイオマス炭を使用する方法が注目されている。バイオマスはエネルギー源としての生物体であり、特に、植物バイオマスは、燃焼させるなどしてエネルギー源として消費すると分解して炭酸ガスを発生するが、太陽光によって炭酸ガスと水分とが光合成して再度植物バイオマスに成長し、短期間の循環サイクルを形成する。そのため、植物バイオマスは、地下資源エネルギーである石炭や石油などとは異なり、「カーボンニュートラル」材と称され、エネルギー源としての消費により炭酸ガスに戻っても地球温暖化ガスとしての炭酸ガス発生量には関与しないと考えられている。
バイオマスの一種であるアブラ椰子は、油の採取を目的として、主に赤道直下でプランテーション栽培がなされている。アブラ椰子の実は、油分の多い果実であるが、中心には核とよばれる硬い種子が存在する。この核の外側は堅く緻密な殻で覆われている。採油に際しては、アブラ椰子の実を粉砕して、油分、油カス、核殻に分離する。油分は食糧や燃料エネルギーとして利用される。アブラ椰子核殻(Palm Kernel Shell:以下、「PKS」ともいう)は副産物で、メジアン粒径が8mm程度の粒状破片である。
表1にPKSの主要成分および発熱量を例示する。
PKSは主に暖房用などの燃料として使用されるが、最近は、直接燃焼させ、またはガス化して燃焼させることにより発電するバイオマス発電の原料としても使用されている。
さらに、アブラ椰子核殻(PKS)を炭化・乾留して得られる炭化物(アブラ椰子核殻炭:この炭化物を、以下「PKS炭」ともいう)は、活性炭として化学吸着材などに使用されているが、一方で、冶金用コークス等の代替としての利用技術の開発も進められている。製鉄所の焼結機や高炉では、炭材として多量の石炭やコークスを使用するため多量の炭酸ガスを排出しており、カーボンニュートラル材であるアブラ椰子核殻(PKS)の炭化物(PKS炭)を焼結機や高炉で炭材として利用することができれば、炭酸ガス排出量の削減に寄与できるからである。
例えば、非特許文献1には、焼結用の固体炭材である粉コークス(一部)の代替えとして、ひまわりの種皮、ハーゼルナッツ殻、アーモンド殻などのバイオマスを使用した焼結試験結果が報告されているが、バイオマスは揮発分が70質量%と高く、焼結過程で燃焼するよりも前に揮発分が未燃焼で排出されるため、有効に活用されないと指摘されている。
特許文献1には、焼結工程において、炭材として使用するコークスの一部を硫黄分や窒素分の少ないバイオマス炭化物により代替し、コークス燃焼時に発生するNOX、SOXを低減する技術が開示されている。しかしながら、バイオマス炭化物を多量に配合すると焼結性が悪化するという問題も提起されている。特許文献1では、使用したバイオマス炭化物の化学組成および水分が開示されているのみであるが、良好な焼結性を確保するためには、バイオマス炭化物の性状が重要であり、原料となるバイオマスを含めて、バイオマス炭化物の種類を適切に選択する必要があると考えられる。
特許文献2には、ヤシガラ(PKS)を内燃式の回転キルンにより炭化・乾留処理し、PKS炭を製造する方法および装置が開示されている。しかし、特許文献2に記載される方法では回転キルン内におけるPKSの流れと乾留ガスの流れが逆方向の向流タイプの回転キルンを用いており、後述するように、炭化・乾留処理中における固定炭素の焼損防止、さらには揮発分の除去が十分ではない。
特許文献3には、その大半が炭素と有機分からなる下水汚泥を乾留して得られるカーボンニュートラル材としての下水汚泥由来炭化物を粉コークスの代替えとして利用する技術が開示されており、その下水汚泥炭化物の粒度として、従来使用されている粉コークス並の5mm以下、望ましくは3mm以下とするのが良好としている。
また、特許文献4には、石炭を回転キルンにより加熱乾留して焼結用固体燃料としてのチャーを製造するに際し、所定量の空気を供給して微粉粒子の燃焼処理を行う技術が開示されている。しかし、回転キルンで石炭を加熱処理する目的は、揮発分を除去するとともに、焼結にとって好ましくない微粉部分を回転キルン内で燃焼させることにより除去するためである。また、従来の粉コークスや無煙炭と同様に、粒径が5mmを超える石炭チャーは最下層で偏析するので好ましくないとして、石炭チャーの適切な粒径を0.5〜5mmとしている。
前掲の特許文献3、特許文献4のいずれに記載される技術においても、下水汚泥炭化物や石炭チャーの焼結用炭材としての粒径は、従来の粉コークスや無煙炭と同等とし、焼結層高さ方向分布においても均一分布とすることを前提として、各処理が実施されている。これは、下水汚泥炭化物や石炭チャーの燃焼性が、コークスや無煙炭のそれより若干は優れるものの、大幅な燃焼性改善に至っていないことを意味する。
特開2003−328044号公報 特許4567100号公報 特開2011−127184号公報 WO−2011−115262号公報
M.Zandi,M.martinez,andT.Fray:Minerals Engineerng 23(2010),1139〜1145
上述したように、焼結機では炭材として多量の石炭やコークスを使用するため炭酸ガスの排出量がきわめて大きい。この炭酸ガス排出量を削減するためには、カーボンニュートラル材と称されるバイオマスを炭化したバイオマス炭の使用が有効であり、石炭やコークスの代替として利用する技術開発が行われてきた。しかし、前掲の特許文献1〜4および非特許文献1に記載される技術においては、粉コークスの代替として用いたひまわりの種皮等のバイオマスの揮発分が高い(非特許文献1)、焼結機の炭材としての多量配合時における焼結性が悪化する(特許文献1)、PKS炭の回転キルンによる製造条件の改善が必要(特許文献2)、下水汚泥炭化物や石炭チャーの燃焼性の大幅な改善には至っていない(特許文献3、4)等の課題がある。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたもので、バイオマスとしてアブラ椰子核殻(PKS)を使用し、この椰子核殻を炭化・乾留処理して得られた低揮発分で燃焼性の良好な固体炭化物(PKS炭)を炭材として利用することにより地球温暖化ガスである炭酸ガス排出量を抑制し、焼結機の生産性を向上させることができる、アブラ椰子核殻炭(PKS炭)による焼結鉱製造方法を提供する。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、焼結機で使用できる、低揮発性であって、しかも燃焼性が良好なバイオマス炭を得ることができるバイオマス原料について調査した。
バイオマス炭を焼結機で炭材として使用する場合、発熱源である炭材の燃焼性が良好であれば、より速く焼結させることができ、焼結機の生産性が向上する。しかし、焼結プロセスでは昇温が急速であるため、炭材の揮発分が10%を超えると、燃焼前に揮発分が未燃焼のままで排ガスに含有されることとなり、操業に支障を来す。従って、焼結用炭材としては揮発分が10%以下で燃焼性が良好なものが望まれる。
焼結機の生産性向上のためには、上述したように炭材の燃焼性が良好であることが重要である。炭材の燃焼性を決定する因子として、炭材の着火温度、揮発分およびミクロな比表面積(表面の微細な亀裂や細孔を考慮した比表面積)などが考えられる。揮発分が高い炭材は着火しやすいので一般的に燃焼性がよいが、焼結用炭材では設備上の制約から揮発分を低くする必要がある。そのため、着火温度を低下させるか、または比表面積を大きくしなければ、燃焼性は良好とはならない。
本発明者らは、このような条件(揮発分が低く、燃焼性が良好)を満たす炭材の原料となるバイオマスのサイズとしては、粒径10mm程度の粒状のものが適切であると考えた。大き過ぎると揮発分の除去に時間を要して炭材製造の生産性が悪くなり、また、微粉サイズまで粉砕処理をすると、直接ガス加熱により高温炭化処理をした場合に、燃焼ガスにより吹き飛ばされるという現象が起こり、炭化・乾留処理が困難となるからである。さらに、高温炭化処理をして得られる固体炭化物の性状としては、揮発分が10質量%以下で、比表面積が大きく、着火温度の低いこと(すなわち、燃焼性が良好であること)が望ましい。
検討の結果、これらの条件を満たすものとして、アブラ椰子核殻(PKS)が最適であるとの結論に達し、本発明においては、バイオマス原料としてPKSを用いることとした。前述のように、PKSは、アブラ椰子の実を粉砕して油を採取する過程で粒径(メジアン粒径)が8mm程度の粒状破片となり、さらに、高温炭化処理をすることにより、低揮発性であって、しかも燃焼性の良好なバイオマス炭を得ることができるからである。
本発明者らは、このような前提の下でアブラ椰子核殻(PKS)を利用した焼結鉱の製造方法について実験、検討を行い、炭酸ガス排出量を抑制するとともに、焼結機の生産性を向上させることができるアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法を確立した。なお、以下において、アブラ椰子核殻(PKS)およびアブラ椰子核殻炭(PKS炭)に含まれる各成分の含有量をあらわす「%」は「質量%」を意味する。
本発明は、下記(1)〜(4)のアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法を要旨とする。
(1)粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻(PKS)を加熱処理して製造した固体炭化物であるアブラ椰子核殻炭(PKS炭)を配合するとともに、該固体炭化物の粒径よりも小さい粒径のコークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法(以下、この発明を「第1発明」と記す)。
前記第1発明において、アブラ椰子核殻(PKS)の加熱処理を、回転キルンを用いて行うこととする実施の形態(実施形態1)を採ることが望ましい。
前記第1発明において、焼結原料に配合するアブラ椰子核殻炭(PKS炭)の水分を13%以上に調整することとする実施の形態(実施形態2)を採ることが望ましい。
(2)結晶水含有率が4.0%以上の粉鉄鉱石を含む粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻(PKS)および結晶水含有率が4.0%以上の鉄鉱石を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法(以下、「第2発明」と記す)。
(3)粉鉄鉱石類、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を含む成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻(PKS)ならびに、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法(以下、「第3発明」と記す)。
(4)結晶水含有率が4.0%以上の粉鉄鉱石を含む粉鉄鉱石類、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を含む成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻、結晶水含有率が4.0%以上の鉄鉱石、ならびに石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法(以下、「第4発明」と記す)。
本発明のアブラ椰子核殻炭(PKS炭)による焼結鉱製造方法によれば、バイオマスとしてのアブラ椰子核殻(PKS)を炭化・乾留処理して得られたPKS炭を焼結機で製鉄用の炭材として利用することができる。PKS炭はカーボンニュートラル材であり、しかも低揮発性で、燃焼性が良好であることから、焼結鉱の製造に際し、地球温暖化ガスである炭酸ガス排出量を抑制するとともに、焼結層の下層部での燃焼性を大幅に改善して、焼結機の生産性を向上させることができる。
焼結鉱の製造工程における原料フローを例示する図である。 本発明の焼結鉱製造方法により得られたPKS炭を焼結機で使用する場合の原料フローを例示する図である。 本発明の焼結鉱製造方法における原料フローの他の例を示す図である。 PKSの炭化・乾留実験で用いた装置の概略構成を示す図で、(a)は並流型の回転キルンを備える場合、(b)は向流型の回転キルンを備える場合である。 焼結シミュレーター実験装置の概略構成を示す図である。 焼結シミュレーター実験におけるパレット内装入原料の高さ方向のPKS炭分布を示す図である。
前記の第1発明は、粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造することを前提としている。前述のように、焼結原料をパレット中に装入して原料層を形成する際に、高さ方向における焼結層(原料層が焼成されてなる層)の温度を均一にするために、装入時の炭素濃度を高さ方向で均一に分布させるのではなく、偏析装入装置を用いて適正な分布が形成されるように装入する方法が多く採用されているが、本発明の焼結鉱製造方法(前記の「第2発明」〜「第4発明」を含む)においても、このようなパレット内原料層の形成を行う。
第1発明は、この前提のもとに、前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻(PKS)を加熱処理して製造した固体炭化物であるアブラ椰子核殻炭(PKS炭)を配合するとともに、該固体炭化物の粒径よりも小さい粒径のコークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合する。
図2は、本発明の焼結鉱製造方法における原料フローを例示する図である。図2に示すように、粉状鉄鉱石1、溶材2、返鉱3を配合した焼結原料に、炭材としての粉コークス4aおよび無煙炭4bに加え、固体炭化物であるアブラ椰子核殻炭(PKS炭)4cを配合する。
PKS炭は、アブラ椰子核殻(PKS)を加熱処理して製造したものを用いればよい。加熱処理の方法は特に限定されず、例えば、後述する実施例に示すように、乾操処理したPKSを電気炉で700℃、1時間の加熱処理をして製造したPKS炭を使用することができる。
PKSの加熱処理方法として望ましいのは、前記の実施形態1の回転キルンを用いる方法である。一般にバイオマスの炭化・乾留処理方法としては、生産性が良好であるという観点から連続式回転キルンが活用されており、アブラ椰子の実を粉砕して油を採取する過程でメジアン粒径が8mm程度の粒状破片となったPKSの加熱処理にも適している。
回転キルンの加熱方式としては、被処理固体と加熱用ガスを分離した外熱式と、キルン内に可燃ガスおよび空気を送通して燃焼させる内燃式に分かれる。PKSには、他のバイオマスと異なり、0.5%程度の油分が存在しており、外熱式の回転キルンでPKSを炭化・乾留処理した場合には、この油分が低温で揮発しトラブルを引き起こしやすい。また、外熱式の場合には、処理温度が低く、揮発分が十分に除去されないという問題がある。
一方、内燃式の回転キルンで炭化・乾留処理した場合には、PKSに含まれる油分が着火を助け、燃焼を良好に行えるという利点がある。高温での加熱が行えるので、PKS中の揮発分のよりすみやかな除去が可能となる。また、空気による賦活作用や、急速に加熱されることにより、PKS炭表面に亀裂をはじめ多くの微細孔が発生して、PKS炭のミクロな比表面積も大きくなるという利点がある。
第1発明において、焼結原料にPKS炭を配合するとともに、このPKS炭よりも粒径の小さいコークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合する。これは、以下に述べるように、パレット上に形成する焼結ベッドの下層にPKS炭が多く分布させ、下層部での燃焼性を大幅に改善して、焼結生産性を向上させることができるからである。
焼結原料層(焼結ベッド)の形成にあたっては、表面から空気を吸引して燃焼発熱させる必要があるため、焼結層の通気性が良好となるように、原料は造粒処理が施される。また、焼結層にあっては、この燃焼発熱が上層から下層へと時間の経過とともに順次蓄熱されていくため、相対的には上層部の炭材の燃焼速度は遅く、下層部の炭材の燃焼速度は速い方が良好となる。特に、下層部の焼結完了が焼結原料層全体の焼結完了のタイミングとなるその下層部に燃焼性の悪い炭材を配すると、焼結層排鉱は下層部の焼結完了まで待たなければならず、焼結生産性は大幅に悪化する。一方、未焼結のまま無理に排鉱すると、成品歩留の大幅な低下となる。そのため、従来は、無煙炭や粉コークスなどの炭材は、粒径5mmを超える粗粒の混在を回避して、下層部に粗粒の炭材が偏析しないように制限が設けられている。
PKSを回転キルンで加熱処理して得られたPKS炭は、微細孔を有する燃焼性の良好な炭化物であり、焼結用の炭材として他の炭化物よりも燃焼性が優れている。さらに、空気で部分燃焼させた場合、燃焼による賦活作用によりその効果は著しく改善される。この点でPKS炭は焼結用の炭材としては優れたものであるが、しかし、その燃焼性をうまく制御しなければ成品歩留が低下するので、炭材の粒度制御と焼結原料層の高さ方向における分布制御を行う必要がある。
回転キルンで加熱処理したPKS炭は、燃焼性が極めて良好であるため、粒径が5mm以下であるという粒度制限を設ける必要がないばかりか、より下層に配することによって、すばやく燃焼を完了し、焼結生産性を向上させることが可能である。すなわち、燃焼速度の遅い、燃焼性の悪いコークスや無煙炭は上層部に、燃焼速度の速い、燃焼性の良好なPKS炭は下層部に多く配置すればよい。
これを実現するためには、それぞれ、別々に焼結原料を混合・造粒し、装入を行う2段装入法も考えられるが、原料粒子が粒度偏析を形成するシュートなど、既存の粒度偏析機能を有する装入装置を使用しても目的を達成することができる。すなわち、粗粒原料は下層に多く偏析し、細粒原料は上層に多く偏析するので、粉コークスや無煙炭の粒度をPKS炭化物よりも細粒とすることによって、上層部に粉コークスや無煙炭を多く配し、下層部にPKS炭を多く配するようにすることができる。
第1発明において、前記実施形態2の、焼結原料に配合するPKS炭の水分を13%以上に調整することとするのは、高水分のPKS炭は粒子表面に水分を保持しており、造粒の際に、より多くの鉱石粉を付着させて粗粒となり、下層部に多く分布しやすく、焼結生産性の改善効果が大きいからである。水分を13%以上とするのは、水分13%未満では鉱石粉の付着が不十分で前記の改善効果が得られにくいからである。水分の上限は特に規定しない。過度に水分が含まれる場合は、他の原料との混合が十分に行われず、混合・造粒という所期の目的が達せられる含水量の上限は操業の中で自ずと把握できるからである。
従来の無煙炭や粉コークスにおいては、含水量を多くすると鉱石粉が付着して燃焼性が悪化するという弊害があらわれるが、PKS炭は燃焼性が良好であるため、このような問題は発生しない。
前記の第2発明は、結晶水含有率が4.0%以上の粉鉄鉱石を含む粉鉄鉱石類を原料の一部に用いることを前提とするもので、前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻(PKS)および結晶水含有率が4.0%以上の鉄鉱石を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合する焼結鉱製造方法である。
前記の第3発明は、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を含む成分調整用溶材を原料の一部に用いることを前提とするもので、前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻(PKS)ならびに、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合する焼結鉱製造方法である。
また、前記の第4発明は、結晶水含有率が4.0%以上の粉鉄鉱石を含む粉鉄鉱石類、ならびに石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を含む成分調整用溶材を原料の一部に用いることを前提とするものである。前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻、結晶水含有率が4.0%以上の鉄鉱石、ならびに石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合する焼結鉱製造方法である。
図3は、本発明の焼結鉱製造方法における原料フローの他の例を示す図である。図3に示すように、粉状鉄鉱石1、溶材2、返鉱3を配合した焼結原料に、PKS8a、結晶水含有率が4.0%以上の高結晶水鉱石8b、石灰石8cおよびドロマイト8dを炭化・乾留炉(回転キルン)9に投入し、炭化・乾留処理を行って得られた加熱処理物10を炭材の一部として配合する。さらに、炭材としての粉コークス4aおよび無煙炭4bを添加して混合・造粒5する。
なお、炭化・乾留炉(回転キルン)への投入に際しては、PKSと鉄鉱石他とは同時に(ある程度混合された状態で)または別々に投入してよい。別々に投入しても、回転キルン内で混合され、排鉱端からPKS炭と結晶水が除去された鉱石や脱炭酸された溶材の混合物が排出される。
図3に示した例では、PKS8a、高結晶水鉱石8b、石灰石8cおよびドロマイト8dを同時に炭化・乾留炉9に投入しているが(この場合は、第4発明の実施になる)、PKS8aおよび高結晶水鉱石8bを炭化・乾留炉9に投入してもよいし(この場合は、第2発明の実施になる)、PKS8aと、石灰石8cおよびドロマイト8dのうちの一種以上を炭化・乾留炉(回転キルン)9に投入してもよい(この場合は、第3発明の実施になる)。
また、前記図2に示した、炭材としての粉コークス4aおよび無煙炭4bに加え、PKS炭4cを配合する方法(第1発明)を同時に実施することしてもよい。
第2発明では、加熱炭化・乾留処理により結晶水含有率が4.0%以上の粉鉄鉱石中の結晶水が除去され、第3発明では、加熱炭化・乾留処理により炭酸塩が分解してCO2が放出されるので、後述する実施例に示すように、いずれの場合も焼結生産性を改善効果が得られる。第4発明ではその両者が生起するので、その改善効果は顕著なものとなる。
以上述べた本発明のアブラ椰子核殻炭(PKS炭)による焼結鉱製造方法によれば、カーボンニュートラル材としてのPKS炭を焼結機で製鉄用の炭材として利用し、地球温暖化ガスである炭酸ガス排出量を抑制するとともに、焼結機の生産性を向上させることができる。
(実施例1)
表2に示す設備仕様を有する回転キルンを用いてPKSの炭化・乾留実験を実施し、PKS炭と乾留ガスを採取して確認評価を行った。基本操業条件を表2に併せて示す。表2において、回転キルンの「傾斜勾配」は、水平に対してわずかに傾斜させて配置した回転キルンの下方側(被処理固体の排出側)端面における軸心位置と上方側(被処理固体の投入側)端面における軸心位置間の垂直距離を当該両位置間の水平距離で除した数値で示している。また、点火バーナーに供給するLPG量は毎分当たりの供給熱量に換算して表示した。
図4は、PKSの炭化・乾留実験で用いた装置の概略構成を示す図で、(a)はPKS原料と乾留ガスの流れが同一方向となる並流型の回転キルンを備える場合、(b)はPKS原料と乾留ガスの流れが逆方向となる向流型の回転キルンを備える場合である。図4において、白抜き矢印は乾留ガスの流れを表す。
図4(a)に示した並流型の回転キルンを用いる方法では、PKS11を供給ホッパー12に入れ、スクリューフィーダーにより切り出し、回転キルン13の上方側端部からキルン内に投入する。回転キルン13は上方側から下方側に向けて下り傾斜勾配が付けられており、原料PKS11はキルン13の回転にともなって下方側に移動する。また、PKS投入側(上方側)端部には、点火用のバーナー14が設置されており、このバーナー14よって投入されたPKS11は着火が始まる。さらに、同端部には燃焼用空気を送る管が設けられており、下方側に向けて空気が供給される。
回転キルン13内では、着火したPKSはゆるやかな回転運動が与えられ、供給された空気によって部分的に燃焼する。燃焼に伴う発熱によりPKSは炭化・乾留され、熱分解にともなって揮発ガスが生成する。揮発したガスの一部は供給空気により燃焼し発熱する。部分燃焼したガスは下方側に向かって流れ、炭化・乾留処理されたPKS炭15とともに排出される。排出された乾留ガスは、ガス清浄冷却装置16によりダストおよびタールが除かれ、流量計17で流量測定された後、燃焼装置18で処理される。必要に応じて、組成分析計19で組成分析を行う。
図4(b)に示した向流型の回転キルンを用いる方法では、供給ホッパー12から切り出されたPKS11が、点火バーナー14および空気投入口が設置されている側とは反対側(こちら側がキルンの上方側になる)からキルン内に投入され、下方側に移動する。回転キルン13内で炭化・乾留処理されたPKS炭15はバーナー14および空気供給管の設置側から排出される。一方、上方側から排出された乾留ガスは、図4(a)に示した並流型の回転キルンを用いた場合と同様に、ガス清浄冷却装置16で処理され、所定の測定および分析が行われ、最終的には燃焼装置18で処理される。
表3に、図4(a)に示した並流型の回転キルンを用いた場合、および図4(b)に示した向流型の回転キルンを用いた場合において、それぞれ供給空気質量がPKS供給質量と等量(160g/min;表2参照)の条件で炭化・乾留処理をして製造したPKS炭と乾留ガスについての性状および回収量を対比して示す。
PKS炭の回収率{(PKS炭の回収量/原料PKS供給量)×100}は、並流型キルンを用いた場合および向流型キルンを用いた場合のいずれにおいても29%程度であった。また、除湿後の乾留ガス回収量(乾留ガス中のH2O成分は冷却過程で除去される)は、並流型キルンを用いる場合および向流型キルンを用いる場合のいずれにおいても、原料PKS供給量(160g/min)に対してほぼ1.5倍であった。
回収された乾留ガスはCH4、H2、COの各成分を含み、真発熱量は、並流型キルンを用いた場合および向流型キルンを用いた場合でそれぞれ7420kJ/dry−Nm3、7083kJ/dry−Nm3であり、専焼させる場合でも十分なる熱量を有し、発電用の燃料として用いることも可能なものであった。
製造されたPKS炭の真発熱量は、並流型キルンおよび向流型キルンを用いた場合でそれぞれ30MJ/kgと27MJ/kgで、従来の石炭の26MJ/kgと同等以上であった。PKS炭の比表面積についても、それぞれ225m2/gおよび83m2/gであり、従来の石炭の10m2/gよりも大きい。PKS炭の固定炭素濃度についても、それぞれ87%および81%で、従来の石炭と同等レベルの良質のPKS炭を得ることができた。
また、図4(a)の並流型回転キルンで製造したPKS炭の方が、図4(b)の向流型回転キルンで製造したPKS炭よりも、比表面積や固定炭素濃度、真発熱量が高く、より燃焼性が良好で良質のものと言える。
(実施例2)
本発明の焼結鉱製造法の効果を評価するため、焼結シミュレーター実験装置を用いて焼結鉱製造実験を実施した。
図5は、焼結シミュレーター実験装置の概略構成を示す図である。焼結シミュレーターは、長さ0.8m,幅0.4mのパレットを3枚連結して焼結できるように構成されたDL型焼結機の模型装置で、パレット内に原料を偏析させた状態で装入し焼成することが可能となっている。
図5に示すように、原料供給ホッパー20の下部に設置されたロールフィーダー21から混合造粒原料を切り出し、装入装置22を介してパレット23内に原料24を装入する。このとき、装入に伴う粒度偏析作用を利用して、装入原料中の固体炭材に高さ方向における濃度分布をもたせることができる。装入後のパレット内の原料層25は点火炉26を通過する際に層表面に着火され、パレット車輪27とレール28によって風箱29の直上に移送され、パレット原料層25の表面から空気が吸引30されて、焼結反応が下層方向に向かって進行する。焼結排ガスは、集合配管31を経て、送風機32により最終的には煙突33から放出される。
表4に、実験条件を示す。表4において、「炭材と追加配合材」の欄の「キルン処理物」とは、電気加熱炉または回転キルンで加熱炭化・乾留処理を行って得られた加熱処理物(PKS炭、PKS炭と脱結晶水鉱石、またはPKS炭と脱炭酸溶材)を意味する。また、「キルン投入原料」とは、前記の「キルン処理物」を得るために電気加熱炉または回転キルンに投入したPKS、高結晶水鉱石、炭酸塩を含む石灰石等の溶材をいう。なお、焼結原料中の各成分の配合量は全量を100としたドライベースでの百分率で表している。また、炭材と追加配合材の各成分の配合量、ならびにキルン投入原料の各成分の投入量の表示も同じくドライベースでの百分率である。
焼結鉱製造実験は、炭材と追加配合材(キルン処理物、無煙炭および粉コークス)を除く焼結原料(原料鉱石、溶材および返鉱)が各実験において同量となることを前提として行った。なお、シミュレーターの層高は500mmで、風箱の吸引圧力は10kPa一定とて焼結を行った。
表5に、使用した原料鉱石の組成を示す。ピソライト鉱およびマラマンバ鉱は結晶水含有率が4.0%以上の高結晶水鉱石であり、石灰石およびドロマイトはそれぞれCaCO3、CaMg(CO32を主成分とする溶材である。
前記の表4において、実験No.1は、鉄鉱石類であるピソライト鉱、マラマンバ鉱および赤鉄鉱、ならびに返鉱に、溶材である石灰石、ドロマイトを配合し、その合計量を100%として、炭材である粉コークスを4.0%配合したベースケース(従来例)である。実験No.2は、実験No.1において、炭材を粉コークスに替えて無煙炭4.0%とした同じくベースケース(従来例)である。
実験No.3〜No.9は本発明例で、No.3〜No.6は、炭材として、PKS炭2.6%、粉コークス0.7%、無煙炭0.7%の合計4.0%を配合したケースである。このうちの実験No.3で使用したPKS炭は、乾操処理したPKSを電気炉で700℃、1時間の加熱処理をして製造した。実験No.4で使用したPKS炭は、乾操処理したPKSを前記の図4(a)に示した並流型の回転キルンで炭化・乾留処理して製造した。実験No.5で使用したPKS炭は、乾操処理したPKSを図4(b)に示した向流型の回転キルンで炭化・乾留処理して製造した。また、実験No.6で使用したPKS炭は、乾操PKSを図4(a)の回転キルンで炭化・乾留処理して製造したNo.4のPKS炭に、水分を添加して13%としたものである。焼結操業条件は、いずれも実験No.1と同様である。
実験No.7〜No.9も本発明例であるが、これらのケースでは、PKSだけでなく、高結晶水鉱石であるピソライト鉱、または石灰石、またはドロマイトもあわせて並流型の回転キルン(図4(a))に投入し、加熱炭化・乾留処理を行い、その加熱処理物を炭材として使用したケースである。この場合、PKS炭分の配合率が2.6%となるようにピソライト鉱その他の焼結原料を配合している。すなわち、5.0%に相当するピソライト鉱、石灰石、またはドロマイトは焼結原料配合から除外し、別途その量分だけPKSに加えて回転キルンに投入し、加熱炭化物側から配合した。
このうちの実験No.7はPKSとピソライト鉱を回転キルンで、実験No.8はPKSと石灰石を回転キルンで、実験No.9はPKSとドロマイトを回転キルンで処理したケースである。なお、表4において、キルン投入原料の欄のPKSの投入量が8.7%で、PKS炭の配合量(キルン処理物の欄)が2.6%であるのは、炭化・乾留処理におけるPKS炭の回収率が29%で、炭化・乾留処理により減量するためである。同様のことがピソライト鉱や石灰石、ドロマイトについても言え、加熱炭化・乾留処理により結晶水が除去され、あるいは炭酸塩が分解してCO2が放出されるので、キルン処理物としての配合量は低くなるが、成品焼結鉱は成分的には変化しない。
表6に、焼結鉱製造実験により得られた炭化物の性状と焼結操業結果をまとめて示す。実験No.3〜No.9(本発明例)のケースはいずれも成品歩留が実験No.1およびNo.2(従来例)と同等以上に維持され、焼結生産率が向上している。また、粉コークスと無煙炭の原単位(kg/焼結鉱t)も大幅に低下しており、炭酸ガスの発生抑制に効果的である。
表6には、PKSを炭化・乾留処理したPKS炭、水分を13%含有したPKS炭、粉コークスおよび無煙炭のメジアン径および+5mm粒子(目開きが5mmの篩で篩い分けした篩上の粒子)の含有比率を示した。粉コークスおよび無煙炭の粒径はPKS炭のそれよりも小さく、また、PKS炭には+5mm粒子が多く含まれていることがわかる。
図6は、焼結シミュレーター実験におけるパレット内装入原料の高さ方向のPKS炭分布を示す図で、実験No.3〜No.6(本発明例)についてPKS炭の分布状態を調査した結果である。PKS炭には粒径1mm以下の粒子がほとんど存在していないので、サンプル原料を上層、中層および下層に分けて水洗処理した後、それぞれの層について、目視によりピンセットでPKS炭をピックアップして定量し、各層におけるPKS炭の分布比率を求めた。
図6から明らかなように、本発明例では、PKS炭が下層に多く分布していることがわかる。この結果から、パレット内装入原料の下層部での燃焼性が大幅に改善され、焼結生産性の改善につながったことが確認された。
本発明のアブラ椰子核殻炭(PKS炭)による焼結鉱製造方法によれば、バイオマスとしてのアブラ椰子核殻(PKS)を炭化・乾留処理して得られたPKS炭を焼結機で製鉄用の炭材として利用することができ、焼結鉱製造の際、炭酸ガス排出量を抑制するとともに、焼結機の生産性を向上させることができる。したがって、本発明方法は、焼結鉱製造方法として有効に利用することができる。
1:粉状鉄鉱石、 2:溶材、 3:返鉱、
4a:粉コークス、 4b:無煙炭、 4c:アブラ椰子核殻炭(PKS炭)、
5:混合・造粒、 6:焼結ベッド、 7:塊状焼結鉱、
8a:アブラ椰子核殻(PKS)、 8b:高結晶水鉱石,
8c:石灰石, 8d:ドロマイト, 9:炭化・乾留炉(回転キルン)、
10:加熱処理物、 11:PKS、 12:供給ホッパー、
13:回転キルン、 14:バーナー、 15:PKS炭、
16:ガス清浄冷却装置、 17:流量計、 18:燃焼装置、
19:組成分析計、 20:原料供給ホッパー、 21:ロールフィーダー、
22:装入装置、 23:パレット、 24:原料、 25:原料層、
26:点火炉、 27:パレット車輪、 28:レール、 29:風箱、
30:吸引、 31:集合配管。 32:送風機、 33:煙突

Claims (6)

  1. 粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、
    前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、
    アブラ椰子核殻を加熱処理して製造した固体炭化物であるアブラ椰子核殻炭を配合するとともに、
    該固体炭化物の粒径よりも小さい粒径のコークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法。
  2. アブラ椰子核殻の加熱処理を、回転キルンを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法。
  3. 焼結原料に配合するアブラ椰子核殻炭の水分を13%以上に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載のアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法。
  4. 結晶水含有率が4.0%以上の粉鉄鉱石を含む粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、
    前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻および結晶水含有率が4.0%以上の鉄鉱石を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、
    コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法。
  5. 粉鉄鉱石類、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を含む成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、
    前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻ならびに、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、
    コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法。
  6. 結晶水含有率が4.0%以上の粉鉄鉱石を含む粉鉄鉱石類、石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を含む成分調整用溶材、返鉱および固体炭材を配合した原料を用い、パレット高さ方向に固体炭材の濃度分布をつけて焼結鉱を製造する方法において、
    前記粉鉄鉱石類、成分調整用溶材、返鉱を配合した焼結原料に、アブラ椰子核殻、結晶水含有率が4.0%以上の鉄鉱石、ならびに石灰石およびドロマイトのうちの一種以上を回転キルンにより加熱処理して製造した加熱処理物を配合するとともに、
    コークスおよび無煙炭のうちの一種以上を配合することを特徴とするアブラ椰子核殻炭による焼結鉱製造方法。
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