JP3758386B2 - 焼結パレットへの原料装入方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドワイトロイド(以下「DL」という)焼結機を用いて焼結鉱を製造するに際し、焼結パレット内に堆積した配合原料層の上層部に、パレット幅方向に少量の炭材を安定して装入させることができる焼結パレットへの原料装入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼結原料は数種類の鉄鉱石と、CaO源としての石灰石と、SiO2 及びMgO源としての蛇紋粉と、燃料としての粉コークス、及び、返鉱等から構成されている。通常、これらの原料は全てがベルトコンベア上で配合する仕組みになっており、配合後の原料は造粒機に搬送され、ここで、水分が添加されて造粒が行われる。
【0003】
造粒後の原料(以下、「配合原料」という)は、図6に示すように、コンベア2によってサージホッパー3に投入され、ロールフィーダ4によって所定量切り出され、装入シュート(以下、単に「シュート」という)5を介して移動する焼結パレット(以下、単に「パレット」という)6に装入される。装入された配合原料1はパレット6の移動によって、点火炉7で配合原料層の最上部に着火され、その後、排風機により吸引される空気によって、パレット6内に堆積した配合原料1の上層から下層に向けて焼結反応が進行し、焼結鉱が製造される。この際、上層部での燃焼反応による熱量の一部が順次下層へ蓄積されるため、上層部では熱量不足となり、下層部では熱量過多になり易くなる。なお、図6中の8はウインドボックスを示す。
【0004】
ところで、上記した焼結鉱の製造においては、パレットに装入された配合原料がパレット内で堆積する際、粒度偏析現象によって、下層部には粗粒物が、また、上層部には細粒物が堆積してゆくが、焼結操業においては、パレット内下層部に堆積する粗粒原料中に、細粒原料が混入するのを抑制して、配合原料層内の通気性を確保するようにしている。また、焼結生産性を向上するため、シュート上部に分級シュートを設置して、粒度偏析を強化しながら原料をパレット内に装入するものもある。
【0005】
この際、原料の粒度偏析を強化し、かつ、炭材を細粒化すれば、上層部に堆積する原料中の炭材濃度は上昇してゆく。しかしながら、細粒化した炭材は一部が他の原料と造粒されて粗粒化してしまうので、すべてが上層部には堆積しないばかりか、他の原料の内部に埋没するものもあるため、燃焼性が低下する。従って、原料の粒度偏析を強化し、かつ、炭材を細粒化するだけでは、歩留まりの改善に限界がある。このため、焼結操業においては、配合原料層内の通気性と製品歩留まりの双方から、総合的に焼結生産性が最も良好となるように、炭材粒度及び配合原料の装入装置仕様を決定して操業を行っている。
【0006】
すなわち、パレット内に装入された配合原料に粒度偏析をつけた状態で、その上層部にカーボン源となる炭材を溜まらせ、上層部に熱量を与えることで歩留まりを向上させることが重要なポイントとなる。
【0007】
そこで、より高い生産性を確保するため、配合原料層内の原料通気性が最良となるように、配合原料の装入装置の仕様を決定しておき、製品歩留まりが悪化し易い部位、例えばパレット側壁部近傍やパレット上層部の歩留まりを改善する方法が実施されてきた。この方法は、歩留まりが悪い部位すなわち焼結反応による溶融が不足している部位に、粒度偏析に頼らず熱源を強制的に投入することで脆弱部の強度を改善しようとするものである。
【0008】
このうち、パレット側壁部近傍の歩留まりを改善する方法としては、特開昭61−48538号に、スローピングシュート上の両端部に配合原料とは別系統で粉コークスを投入することで、配合原料中に巻き込まれた粉コークスを、パレット内に堆積した配合原料のうちのパレット側壁部近傍の上層部に溜めて、その部位の熱量不足を解消し、パレット側壁部近傍における製品焼結鉱の歩留まりを改善するものが開示されている。
【0009】
この特開昭61−48538号で開示されている方法は、パレット側壁部近傍のように、局所的に炭材を添加する方法としては有効であるものの、パレットの幅が3〜5mもある焼結機において、幅方向全体に少量の炭材を投入する場合には、配合原料を備蓄するサージホッバーの前部に大きな粉コークス備蓄用ホッパーを設置する必要があるので、配合原料を切り出す給鉱装置近傍のメンテナンスが行いにくくなる。
【0010】
また、幅方向に均等に粉コークスを切り出すためには、配合原料を切り出す方法と同じくロールフイーダを使用するしかないが、ロールフイーダを使用する場合、設備が非常に大がかりなものとなってしまい、実用性に問題がある。そして、何よりもサージホッパーからロールフイーダを用いて切り出すには、原料切り出しゲートが必要であるから、少量の原料を切り出そうとすると、ゲート開度をかなり閉じなければならず、原料が安定して切り出せない。そのため、炭材のみを添加するのではなく、他の原料(例えば石灰粉、微粉鉄鉱石)と混合して別系統で添加する原料の全体量をある程度増やしておく必要がある。従って、例えロールフイーダを使用しても、少量切り出す場合には問題がある。
【0011】
また、配合原料の上層部全体に炭材を添加する方法として、特開昭55−3405号、特開昭62−60829号、特開昭62−107032号、特開平5−98358号、特開平8−73951号では、炭材濃度を変更した2系統の原料をそれぞれ造粒し、炭材濃度の高い原料がパレット上層部に装入されるように2層に装入する方法を提案している。
【0012】
この方法を用いた場合には、比較的簡単に、パレットに装入し、堆積した配合原料層内の上層部と下層部の炭材濃度を変更することができ、また、幅方向の炭材濃度の分布も均一である。しかし、この方法では、すべての原料処理系統、原料搬送系統、原料装入系統が2つ必要であり、設備コストが非常に高くなってしまうという欠点がある。
【0013】
そこで、設備費用をできる限り抑えて、配合原料の上層部へ炭材を均−に歩留まらせる方法として、特開昭58−217642号では、配合原料を備蓄しておくサージホッパー内のパレット進行方向側に粉コークスを偏在させることで、ロールフィーダから切り出された配合原料がパレット内に装入される際、上層部に炭材を多く歩留まらせ、配合原料上層部の炭材濃度を上昇させようとするものが提案されている。
【0014】
特開昭58−217642号で提案された方法では、前述した方法のように原料処理系統と原料装入系統の2系統を設ける必要がないから、設備費を低く抑えることができる。しかし、この方法では、焼結機においてサージホッパーの投入口レベルまで配合原料を搬送するためのベルトコンベアが必要であるが、このベルトコンベアの設備コストは決して安価なものではない。また、工場のレイアウトを変更する可能性がある改造となるため、原料搬送ラインを増設することは困難である。
【0015】
そこで、2系統の焼結原料装入装置を設けず、コスト面から安価に炭材を配合原料の上層部に添加できる方法として、特開昭61−127827号、特開平1−52030号、特開平9−31553号では、パレット上に堆積した配合原料の上層部にパイプを挿入し、そのパイプを通して炭材を配合原料中に吹き込み、堆積した配合原料の高さ方向の炭材濃度を制御する方法が提案されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この方法では、設備コストを低く抑えることができるものの、パイプを配合原料面に差し込むために、その部位の炭材濃度は高くなる反面、パイプが差し込まれない部位については炭材濃度は変化しない。従って、パレット幅方向の炭材濃度にはどうしてもばらつきが生じることになる。炭材濃度は焼結の焼成状態を左右する重要な要因であり、幅方向の炭材濃度にばらつきが有ると、焼成中に焼けむらを生じさせ、歩留まりを低下させる原因となる。
【0017】
なお、パレット幅方向における炭材濃度のばらつきを抑制するために、配合原料中に炭材を吹き込むパイプとして、板状でかつラッパ状に形成したものを使用する場合には、上方から装入されてくる配合原料を、このパイプが受けとめることになるので、パレット内部への原料装入が不可能となる。
【0018】
従って、幅方向の配合原料にばらつきを生じさせないような方法で、かつ、設備コストのかからない方法で、パレット内に装入される配合原料の上層部に、炭材(粉コークス、無煙炭、高炉ダスト、EPダスト等)をどのように添加するのかが問題となってくる。
【0019】
焼結操業において生産性を向上させるために歩留まりの改善技術が求められている。そこで、配合原料層内で特に脆弱である上層部の歩留まり改善を行うために、炭材の上層添加が検討されているが、パレット幅方向へ少量原料を切り出せる方法が無いのが現状である。
【0020】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、設備コストをかけず、かつ、パレット内に堆積した配合原料層の上層部に、パレット幅方向に少量の炭材を安定して装入させることで、製品焼結鉱の歩留まりを向上させ、生産性を高めることができる焼結パレットへの原料装入方法を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法は、一段シュートの上方或いは二段シュートにおける下段シュートの上方に長尺容器を設置し、サージホッパーから供給される原料とあわせて、長尺容器に開設した切り出し孔から、該長尺容器に供給した粒径1mm以下のものが50mass%以上存在する乾燥炭材を、前記長尺容器内に回転可能に設けた螺旋状スクリューによって送り出し、長尺容器の外壁面軸方向に階段状に開設した切り出し孔から切り出すこととしている。そして、このようにすることで、パレット内に堆積した配合原料層の上層部に、パレット幅方向に少量の炭材を安定して装入させることができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
サージホッパーから切り出され、パレット内に堆積する配合原料の上層部に、炭材を幅方向にばらつき無く溜まらせるように装入するためには、幅方向に安定した状態で炭材を切り出す必要がある。また、通常、焼結操業に必要な炭材添加量は全体焼結原料の3〜4mass%程度で、その中の5〜20mass%程度を上層部に別添加するとしても約2〜20kg/分・m程度であるから、切り出す炭材の量は非常に少量である。従って、この少量の炭材を安定的に幅方向ヘばらつき無く切り出す方法が必要となってくる。
【0023】
本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法は、このような考え方を基にして少量の炭材を安定的にパレット幅方向に添加し、かつ、低設備コストで実現できる方法についてなされたものであり、シュートを介して焼結パレットに原料を装入する方法において、一段シュートの上方或いは二段シュートにおける下段シュートの上方に、焼結パレットの上面と水平となるよう、長尺容器を焼結パレットの幅方向に設置し、サージホッパーから一段シュート或いは二段シュートにおける上段分級シュートを介して供給される原料とあわせて、長尺容器内に供給した、粒径1mm以下のものが50mass%以上存在する乾燥炭材を、前記長尺容器内に回転可能に設けた螺旋状スクリューによって送り出し、長尺容器の外壁面軸方向に階段状に開設した切り出し孔から切り出すものであり、その際、パレットに装入され堆積した配合原料の、上層側の配合原料中の平均炭材濃度が、下層側の炭材濃度の1.2〜1.5倍となるように乾燥炭材を装入することが望ましい。
【0024】
本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法において、配合原料とあわせて乾燥炭材を添加するのは、(1) 搬送過程において固着を生じず、また、簡易でコストの安い設備が可能であること。(2) 少量の炭材を安定かつ均−に切り出すためには、流動性が必要だからである。一般に、焼結機が設置されているのは、製鉄所であるので、製鉄所内で発生するコークス炉の乾式消火設備で発生するコークス粉、高炉ダスト等を使用すれば特別な乾燥設備が不要である。なお、乾燥炭材の水分は、極力低い方が望ましい。
【0025】
また、本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法において、添加する乾燥炭材の50mass%以上の粒径を1mm以下としているのは、(1) 添加する乾燥炭材を確実に上層部に粒度偏析させるため。(2) 切り出し量が少量であることから、長尺容器の切り出し孔を小さくする必要があるので、切り出し孔に乾燥炭材が詰まることを防止するため。(3) 点火炉での着火性は粒径が小さいほど良いためである。
【0026】
また、本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法において、上層側の配合原料中の平均炭材濃度が、下層側の炭材濃度の1.2〜1.5倍としたのは、後述する実施例1の結果に基づくものである。すなわち、1 .2倍未満では従来方法との効果の差が小さく、一方、1 .5 倍を超えると下層側の炭材濃度が低下し、下層部での歩留まりが低下するからである。
【0027】
ただし、炭材濃度は分析に時間を要するため、原料性状の変動にリアルタイムで添加量を調整するのは困難であるので、例えば、排鉱部でのITVによる温度分布、複数のウインドボックスでのガス温度あるいはガス分析値等に基づく指標と炭材濃度の比の相関を予め求めておいて、添加量の制御をすることも可能である。
【0028】
上記した本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法によれば、少量の乾燥炭材を配合原料の上層部におけるパレット幅方向に安定して添加できるので、上層部での焼結反応(鉱石とフラックスとの溶融反応)を適正に制御することが可能となり、使用する鉱石の同化性が変わっても、配合原料層における高さ方向の焼結反応量(溶融量)を一定にすることができ、特に下層部での過溶融状態や下層部を適正溶融状態にしたときの上層部の溶融不足状態を回避することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法を図1〜図4に示す実施例に基づいて説明する。
図1は一段シュートを使用した場合の本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法の説明図、図2は二段シュートを使用した場合の本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法の説明図、図3は本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法に使用する乾燥炭材の切り出し用長尺容器としての長尺パイプの説明図、図4は図3の他の例を示す説明図である。なお、図1〜図4において、図6と同一部分或いは相当部分は同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【0030】
図1〜図4において、11はパレット6の幅方向に、パレット6の上面と水平状に設置された長尺パイプであり、図1に示すような一段シュート12を使用した装入装置の場合には、この一段シュート12の上方に、また、図2に示すような二段シュート13を使用した装入装置の場合には、その下段シュート13bの上方に配置される。
【0031】
この長尺パイプ11の軸中心には、図3及び図4に示すように、例えば螺旋状スクリュー14が回転可能に設けられており、炭材備蓄用ホッパー15から長尺パイプ11内に供給された、粒径1mm以下のものが50mass%以上存在する乾燥炭材は、この螺旋状スクリュー14の回転により長尺パイプ11内を、図3に示す実施例では両端から中央側に、また、図4に示す実施例では紙面右側から左側に送り出される。
【0032】
送り出された乾燥炭材は、図3や図4に示すように、長尺パイプ11の外壁面軸方向に例えば階段状に設けられた切り出し孔11aから、これら切り出し孔11a部に、切り出し孔11aの開口量を調整すべく設けた、切り出しゲート16の開度調整によって、切り出し量および炭材粒径を調整されながら切り出される。長尺パイプ11内の乾燥炭材は、切り出し孔11aから乾燥炭材が切り出されることで、徐々に充填レベルが下がって、最後には0になる。
【0033】
ところで、切り出し孔11aは長尺パイプ11に横一線に設置しても構わないが、図3や図4に示したように、階段状に設置した方が乾燥炭材の切り出し量の調整を容易に行うことができる。これは、切り出し孔11aを長尺パイプ11の底部に横一線に設置すると、切り出しゲート16を同じ開度とした場合、長尺パイプ11内に充填されている炭材量から炭材備蓄用ホッパー15に近い切り出し孔11aから多くの乾燥炭材が切り出されてしまうからである。
【0034】
従って、切り出し孔11aを長尺パイプ11の横一線に設置する場合には、炭材備蓄用ホッパー15に近い切り出しゲート16の開度が小さくなるように調整する必要がある。しかし、このようなゲート調整を行った場合には、図5に示すように、炭材備蓄用ホッパー15に近い切り出し孔11aから切り出される乾燥炭材の粒度が細かくなり、反対に、炭材備蓄用ホツパー15から離れた切り出し孔11aから切り出される乾燥炭材の粒度が粗くなると言う現象が起こる可能性が有る。このような現象が起こると、パレット幅方向の切り出し量は均等にできても粒度構成が大きく変わり、幅方向での乾燥炭材の偏析むらの原因となりかねない。なお、図5は図3に示した長尺パイプ11を使用した場合の結果を示した図である。
【0035】
また、炭材備蓄用ホッパー15から見て−番遠い長尺パイプ11部には、その底部に炭材詰まり防止用切り出し孔11bが設けられている。これは、例えば螺旋状スクリュー14を用いて乾燥炭材を送り出した際、長尺パイプ11内の乾燥炭材を、全量、切り出し孔11aから切り出せなかった場合に、乾燥炭材が端部で詰まることを防止するためである。しかし、図4に示すような片持ち状に設置された長尺パイプ11では、炭材詰まり防止用切り出し孔11bを設置せず、炭材備蓄用ホッパー15が設置されていない方の端部から乾燥炭材を抜き出すようにしても良い。なお、抜き出した乾燥炭材を炭材備蓄用ホッパー15ヘ再投入するようにすれば、より原料歩留まりが向上する。
【0036】
本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法は、上記したような長尺容器すなわち長尺パイプ11を使用して、サージホッパー3から図1のような一段シュート12、或いは、図2のような二段シュート13から供給される配合原料とあわせて、パレット6に乾燥炭材を装入するものである。
【0037】
例えば、図1に示す一段シュート12を使用した装入装置の場合には、パレット6に装入、堆積した配合原料層における上層部の炭材濃度を上昇させるために、ロールフィーダ4を介して一段シュート12上に切り出される配合原料1の上方から、長尺パイプ11の切り出し孔11aから、細粒の乾燥炭材を、所定量、一段シュート12上に切り出すことで、一段シュート12上を流下する乾燥炭材の上に配合原料1がかぶるようになる。
【0038】
このようにすることで、パレット6に配合原料1が堆積されるとき、添加された乾燥炭材のほとんどが、粒度偏析により上層部に溜まることになる。これにより、通常装入では炭材の上層部への留保に限界があるために回避できなかった配合原料層の上層部での熱不足が解消され、製品焼結鉱の上層部歩留まりが好転し、全体の平均歩留まりが向上する。
【0039】
また、図2に示す二段シュート13を使用した装入装置の場合には、上段分級シュート13aを通過した配合原料1は、下段シュート13b上を通過して、現象上、パレット6の上層部に堆積するので、長尺パイプ11の切り出し孔11aから、細粒の乾燥炭材を、所定量、下段シュート13bの上方に切り出すことで、下段シュート13b上を流下する乾燥炭材の上に、上段分級シュート13aを通過した配合原料1がかぶるようになる。
【0040】
このようにすることで、パレット6に配合原料1が堆積するとき、上層部にさらに確実に乾燥炭材を溜まらせることができる。図2に示す二段シュート13を使用した装入装置の場合には、例えば、上段分級シュート13aの篩い間隔や角度を変更することで、篩を通過する配合原料1の量比が変わるので、乾燥炭材の添加位置を変更することもできる。なお、図1、図2中の17は長尺パイプ11から切り出された乾燥炭材を、一段シュート12或いは二段シュート13の下段シュート13bに案内するシュートを示す。
【0041】
これらの方法によって全体の炭材添加比率とは独立して、上層部に少量の炭材を安定してパレット幅方向に添加することができる。従って、特に脆弱な上層部の強度を補填するために、上層部だけ熱レベルを上昇させることができる。一方、下層部では熱量過多の状態となり、鉄鉱石およびフラックス(溶剤)の反応が過多となって過溶融状態となる。
【0042】
この現象は、使用する鉄鉱石の種類によって大きく変化し、とくにピソライト鉱石(Fe2 O3 ・nH2 O)はフラックスとの同化性が良好で、この鉱石を多配合(新原料ベースで40%以上)すると上述した現象が特に顕著に起こる。従って、全体の炭材濃度を上昇させることなく下層部の炭材濃度を下げると、配合原料層の下層部の過溶融状態が改善され、全体の通気性が改善されることになり、焼成速度が上昇して生産率が増加する結果、上層部の歩留まり改善と共に、さらにトータル的な生産性が増加する。以上、長尺容器として、長尺パイプ11を用いた場合について説明したが、樋状の上部開口容器を使用しても良い。
【0043】
次に、本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法の効果を確認するために実施した結果について説明する。
(実施例1)
図1に示した装入装置を用い、パレット6内に堆積させる配合原料1の上層部に、本発明方法により乾燥炭材を添加して焼結鉱を製造した。その場合の操業条件を下記に、また、実施結果を下記表1に示す。本実施例では、全体の炭材量は一定とし、例えば上層部に乾燥炭材を5mass%添加した場合には、他の炭材添加量を5mass%減少させた。なお、表1には、比較として、上層部に乾燥炭材を添加せず、全体に炭材を添加した従来方法による場合の結果(No.7)を併せて示す。
【0044】
【0045】
【表1】
【0046】
本発明方法を採用したNo.1〜No.6の場合には、パレット内に堆積した配合原料層の上層部に、パレット幅方向に少量の乾燥炭材を安定して装入させることができたので、No.7の従来方法と比較して上層部の炭材濃度が高くなり、製品歩留まりが向上した。そして、上層部に添加する乾燥炭材の量を変化させたところ、上層と下層の炭材平均濃度比が1.2〜1.5程度の場合(No.2〜No.4)に、より製品歩留まりが良好であった。また、パレット幅方向の両端部への乾燥炭材の添加量を増加した場合(No.6)、脆弱な側壁部の強度改善により、製品歩留まりの改善効果は、パレット幅方向に均一に添加した場合よりも大きかった。また、下層部の炭材濃度の低下と共に、下層部の過溶融が解消されるので、通気度は上昇し、生産性が向上した。
【0047】
(実施例2)
実施例1の操業条件のみ下記の操業条件に代えて焼結鉱を製造した。その結果を下記表2に示す。下記表2より明らかなように、長尺パイプ11の切り出し孔11aのピッチは、200mm以下の場合(No.8,9)には良好な結果が得られた。反対に200mmを超えた場合(No.10)には、コークスの分布が不均一になり、効果は小さくなった。しかしながら、いずれの場合も、比較例(No.11)よりも良好な結果が得られた。
【0048】
【0049】
【表2】
【0050】
(実施例3)
実施例1の操業条件のみ下記の操業条件に代えて焼結鉱を製造した。その結果を下記表4に示す。下記表4より明らかなように、添加する乾燥炭材の粒径を下記表3のように変化させたところ、粒径1mm以下のものが50mass%以上でない乾燥炭材を添加した場合(No.12)には、切り出し孔の閉塞があり、切り出しが安定しなかった。反対に粒径1mm以下のものが50mass%以上存在する乾燥炭材を添加した場合(No.13,14)には、切り出し孔の閉塞もなく、安定した切り出しが行えた。しかしながら、いずれの場合も、比較例(No.15)よりも良好な結果が得られた。
【0051】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法において、上層側の原料中の平均炭材濃度が、下層側の炭材濃度の1.2〜1.5倍となるように乾燥炭材を装入するに際しては、例えば螺旋状スクリューの回転数を調整するなど適宜の方法が採用できる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法によれば、少量の乾燥炭材を配合原料の上層部におけるパレット幅方向に安定して添加できるので、上層部での焼結反応を適正に制御することが可能となる。従って、使用する鉱石の同化性が変わっても、配合原料層における高さ方向の焼結反応量(溶融量)を一定にすることができ、特に下層部での過溶融状態や下層部を適正溶融状態にしたときの上層部の溶融不足状態を回避することができ、製品歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一段シュートを使用した場合の本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法の説明図である。
【図2】二段シュートを使用した場合の本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法の説明図である。
【図3】本発明に係る焼結パレットへの原料装入方法に使用する乾燥炭材の切り出し用長尺容器としての長尺パイプの説明図である。
【図4】図3の他の例を示す説明図である。
【図5】図3に示す長尺容器に設ける炭材切り出し孔を、直線状に設けた場合と、階段状に設けた場合における、パレット幅方向の乾燥炭材の平均粒径を調べた結果を示した図である。
【図6】DL焼結機における一般的な原料装入方法の説明図である。
【符号の説明】
1 配合原料
3 サージホッパー
6 パレット
11 長尺パイプ
11a 切り出し孔
12 一段シュート
13 二段シュート
13a 上段分級シュート
13b 下段シュート
Claims (2)
- シュートを介して焼結パレットに原料を装入する方法において、
一段シュートの上方或いは二段シュートにおける下段シュートの上方に、焼結パレットの上面と水平となるよう、長尺容器を焼結パレットの幅方向に設置し、
サージホッパーから一段シュート或いは二段シュートにおける上段分級シュートを介して供給される原料とあわせて、長尺容器内に供給した、粒径1mm以下のものが50mass%以上存在する乾燥炭材を、前記長尺容器内に回転可能に設けた螺旋状スクリューによって送り出し、
長尺容器の外壁面軸方向に階段状に開設した切り出し孔から切り出すことを特徴とする焼結パレットへの原料装入方法。 - 焼結パレットに装入され堆積した原料の、上層側の原料中の平均炭材濃度が、下層側の炭材濃度の1.2〜1.5倍となるように乾燥炭材を装入することを特徴とする請求項1記載の焼結パレットへの原料装入方法。
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