JP5786472B2 - 部品内蔵配線板 - Google Patents

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Description

本発明は、板厚み内部に部品を埋め込み具有する部品内蔵配線板に係り、特に、板材を構成する絶縁層が内蔵部品に密着している構造の部品内蔵配線板に関する。
板材を構成する樹脂が内蔵部品に密着している構造の部品内蔵配線板は、製造途上において、次のような利点がある。すなわち、部品を板厚み内部に埋め込むため、板材にあらかじめ空間(キャビティ)を設けて部品を位置させ、残る空間に、板材を構成する樹脂とは別の埋め込み樹脂を別途流し込む、というような煩雑な工程を要しない。このため、構造、工程がより単純であり、よって信頼性も高いという利点がある。
このような構造の部品内蔵配線板では、板材を構成する樹脂を内蔵部品に密着させるため、製造工程として、板材となる樹脂層のうち一部の層がその前駆体であるプリプレグとなっている積層部材を用いる。複数の積層部材を用いてこれらを加熱かつ真空加圧してプリプレグに流動性を与えつつ積層を行い、この結果として板材を構成する樹脂が内蔵部品に密着した構造になる。各層の樹脂にはプリプレグも含め、板材として熱膨張性を抑制するため、無機材料(例えばシリカ)のフィラーが混合されているのが普通である。
この積層工程において、加圧の大きさは、内蔵されるべき部品を実装しているはんだ(そのフィレット形状)を変形させるぐらいに大きいものである。そこで、内蔵部品についてはフィレットを形成しないように少量のはんだで実装する構造が考えられている。フィレットは、内蔵でない通常の実装部品の場合には、機械的強度を確保するため必要であるところ、内蔵部品の場合には、部品の周りを樹脂が取り囲むため、通常の部品ほどには必要性が高くないと考えられるからである。
一方、部品内蔵配線板では、一般に、内蔵部品を実装するのに使用したはんだが、2次実装時に再溶融して信頼性を低下させる可能性が指摘されている。2次実装とは、配線板として通常のようにその表裏面に部品を実装したり、この配線板自体が別の配線板上に実装されたりすることを言う。
そこで、内蔵部品を実装するのに使用したはんだが再溶融しないように、そのはんだとして融点上昇型のはんだを用いることが提案されている。融点上昇型のはんだとは、例えば、はんだ合金とは別に融点の高い金属の微粒子を混ぜて構成した組成物であり、一度溶融するとはんだ合金と高融点金属の微粒子とが溶け合って大部分がはんだより相当に融点が高い化合物に変化する性質をもつ。このような融点上昇型のはんだは、凝固後、通常のはんだよりも機械的にもろい特性がある。
特許第4023229号広報 国際公開第2006/109573号パンフレット 特許第3558063号公報
本発明は、板厚み内部に部品を埋め込み具有する部品内蔵配線板において、信頼性の高い部品埋め込み構造を有した部品内蔵配線板を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である部品内蔵配線板は、目粒径が4μmないし20μmとして規定されている無機材料フィラーを含有する板状絶縁層と、前記板状絶縁層の板広がり方向に一致した層として形成されている、ランドを含む配線パターンと、端子を有し、該端子のいずれか一面が前記配線パターンの前記ランドの面と対向するような姿勢で、前記板状絶縁層の厚み内部に該板状絶縁層に密着して埋め込まれた部品と、前記部品の端子の前記一面と前記配線パターンの前記ランドの面との間を電気的、機械的に接続するように設けられた、樹脂を含有する導電性組成物で形成された部材であるか、または、高融点金属の粒子の種部と、該種部を覆った、前記高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有した融点上昇型のはんだで形成された部材であるかのいずれかである接続部材と、を具備し、前記接続部材が、前記部品の端子の前記一面と前記配線パターンの前記ランドの面との離間距離を、前記板状絶縁層の前記無機材料フィラーの前記名目粒径より小さくするような厚みで、かつ、前記部品の端子の前記一面と前記配線パターンの前記ランドの面との間からはみ出さない形状で形成されていることを特徴とする。
この部品内蔵配線板は、部品が、板状絶縁層の厚み内部に該板状絶縁層に密着して埋め込まれている。板状絶縁層には、一定の名目粒径が規定されている無機材料フィラーが含有されている。そして、部品と配線パターンとの間には、電気的、機械的な接続部材が設けられている。ここで、この接続部材は、部品の端子の一面と配線パターンの面との離間距離を、板状絶縁層の無機材料フィラーの名目粒径より小さくするような厚みで、かつ、部品の端子の一面と配線パターンの面との間からはみ出さない形状で形成されている。
これにより、製造過程(絶縁層を積層する積層工程)において、無機材料フィラーと接続部材とは、ほとんど衝突しない(接触しない)という大きな特徴がある。積層工程では、内蔵されるべき部品を実装しているはんだ(そのフィレット形状)が変形するぐらいに大きい加圧を行うが、このような変形は、はんだと無機材料フィラーとが突き当たって衝突することによるところが大きい。
この部品内蔵配線板では、積層工程において、接続部材に無機材料フィラーがほとんど衝突しないため、これに起因する接続部材への研磨類似の作用が発生しない。よって、特に、接続部材が機械的にもろい性質を有する場合に都合がよい。接続部材が機械的にもろい性質を有する場合、無機材料フィラーが衝突すると、研磨類似の作用で接続部材から離脱して微細な飛散物が生じ、これが配線パターン上に飛び散ると意図しない導電性のブリッジが生じて不良品となる。この部品内蔵配線板では、このような不良発生を非常に効果的に防止することができ、よって、信頼性の高い部品埋め込みが可能になる。
なお、接続部材としては、1)樹脂を含有する導電性組成物で形成された部材、2)高融点金属の粒子の種部と、該種部を覆った、前記高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有した融点上昇型のはんだで形成された部材を挙げることができる。これらの部材は、通常のはんだ(例えば組成Sn-3.0%Ag-0.5%Cu)よりも機械的にもろい性質がある。後者2)は、いわゆる融点上昇型のはんだが凝固したあとに呈示する状態である。
本発明によれば、板厚み内部に部品を埋め込み具有する部品内蔵配線板において、信頼性の高い部品埋め込み構造を有した部品内蔵配線板を提供することができる。
本発明の一実施形態である部品内蔵配線板の構成を模式的に示す断面図。 図1中に示した領域Aの部分を拡大して示す詳細図。 図1中に示した内蔵の部品41について、その端子部分と、はんだ51および配線パターン22との位置関係の例を示す平面図。 図1に示した部品実装基板を製造する過程の一部を断面で模式的に示す工程図。 図1に示した部品実装基板を製造する過程の別の一部を断面で模式的に示す工程図。 図1に示した部品実装基板を製造する過程のさらに別の一部を断面で模式的に示す工程図。
本発明の実施態様として、前記部品が、前記端子の部分を除いた部分として、上面と、下面と、右側面と、左側面とを有する形状であり、該上面と該下面と該右側面と該左側面とがいずれも前記板状絶縁層に密着している、とすることができる。このように部品の上面、下面、右側面、左側面が、いずれも板状絶縁層に密着していると、板状絶縁層と部品との界面付近で剥離が生じにくい。性質の異なる絶縁材料が部品の周りを囲む状態の場合よりも、絶縁材料どうしで平衡が保たれやすいためと考えられる。
また、実施態様として、前記板状絶縁層が、第1の板状絶縁層と、該第1の板状絶縁層上に設けられた第2の板状絶縁層と、該第2の板状絶縁層上に設けられた第3の板状絶縁層とを有した板状絶縁層であり、前記配線パターンが、前記第1の板状絶縁層と前記第2の板状絶縁層との間に設けられた配線パターンを含む、内層配線層としての配線パターンであり、前記第2の板状絶縁層が、前記部品を位置させるための開口を有しており、前記第1の板状絶縁層および前記第3の板状絶縁層のそれぞれ一部が、前記部品を取り囲んで埋め込むように、前記第2の絶縁層に設けられた前記開口内に進入するように変形している、とすることができる。これは、板厚み内部に部品を埋め込み具有するための構造の一例である。
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態である部品内蔵基板の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この部品実装基板は、絶縁層(板状絶縁層)11〜17(絶縁層11、12が第1の板状絶縁層、絶縁層13〜15が第2の板状絶縁層、絶縁層16、17が第3の板状絶縁層)、配線層(配線パターン)21〜28、層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)31〜37、部品(表面実装型受動素子部品)41、はんだ(融点上昇型のはんだ;接続部材)51を有する。
内蔵されている部品41は、表面実装型受動素子部品である例えばチップ型キャパシタであり、その平面的な大きさは例えば0.6mm×0.3mm(0603型部品)である。両端に端子(電極)41aを有し、その下側の面が内層の配線層22が含む内蔵部品実装用ランドに対向位置した姿勢で内蔵されている。部品41の端子41aと配線パターン22とは、融点上昇型のはんだ51により電気的、機械的に接続されている。
はんだ51の形状には、次のような特徴がある。すなわち、部品41の端子41aの一面と配線パターン22の面との離間距離を、絶縁層12が含有する無機材料フィラー(後述する)の名目粒径より小さくするような厚みではんだ51は形成されている。そして、さらに、部品41の端子41aの一面と配線パターン22の面との間からはみ出さない形状ではんだ51は形成されている。
このような形状に形成されたはんだ51により、製造過程(絶縁層を積層する積層工程;後述する)において、絶縁層12が含有する無機材料フィラーとはんだ51とは、ほとんど衝突しない(接触しない)という大きな特徴がある。積層工程では、内蔵されるべき部品41を実装しているはんだがフィレットを有するような一般的形状の場合には、そのフィレット形状が変形するぐらいに大きい加圧を行う。このような変形は、はんだと無機材料フィラーとが突き当たって衝突することによるところが大きい。
この部品内蔵配線板では、積層工程において、はんだ51に無機材料フィラーがほとんど衝突しないため、これに起因するはんだ51への研磨類似の作用も発生しない。よって、特に、はんだ51が機械的にもろい性質を有する場合にもはんだ51の形状劣化が生じない。はんだ51が機械的にもろい性質を有する場合、無機材料フィラーが衝突すると、研磨類似の作用ではんだ51から離脱して微細な飛散物が生じ、これが配線パターン22上に飛び散ると意図しない導電性のブリッジが生じて不良品となる。この部品内蔵配線板では、このような不良発生を非常に効果的に防止することができ、よって、信頼性の高い部品埋め込みが可能である。
配線板としての構成の説明を続けるに、配線層21、28は、それぞれ、主面上の配線層であり、その上に各種の部品(不図示)が実装され得る。この実装ではんだ(不図示)が載るべき配線層21、28のランド部分を除いて主面上には、はんだ接続時に溶融したはんだをランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト(不図示)が形成され得る。ランド部分の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
各配線層21〜28は、それぞれ金属(銅)箔を所定のパターンに加工したものであり、絶縁層11〜17の板広がり方向に一致した層として形成されている。絶縁層11〜17は、配線層21〜28をそれぞれ電気的に隔てるように設けられた、無機材料フィラー(例えばシリカ)を含有した例えばエポキシ樹脂からなるリジッドな素材の層である。このうち絶縁層13〜15は、埋設された部品41に相当する位置部分が開口部になっており、部品41を収容するための空間を提供する。絶縁層12、16は、埋設された部品41のための絶縁層13〜15の上記開口部の空間を埋めるように変形進入し内部に空隙となる空間が生じないようにしている。
絶縁層11〜17が含有する無機材料フィラーは、板材としての熱膨張性を抑制するため樹脂中に配合された無機材料の微粒子である。その粒子径は、例えば、4μm程度ないし20μm程度の間で名目粒径として規定されている。例えば、名目粒径が○○μmのようにひとつの代表値で示される場合、あるいは名目粒径が△△μmから××μmのように幅をもって示されている場合などがあり得る。これらの値は目安である場合が多いが、一種の仕様と捉えることができ、これらの粒径に満たない粒径のフィラーは、その割合として小さく抑えられていると考えることができる。
各配線層については、まず配線層21と配線層22とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。同様に、配線層22と配線層23とは、絶縁層12を貫通して設けられた層間接続体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層13を貫通する層間接続体33より導通し得る。
さらに同様に、配線層24と配線層25とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層14を貫通する層間接続体34より導通し得る。配線層25と配線層26とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層15を貫通する層間接続体35より導通し得る。配線層26と配線層27とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層16を貫通する層間接続体36より導通し得る。配線層27と配線層28とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層17を貫通する層間接続体37より導通し得る。
層間接続体31〜37は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とする柱状構造のものであり、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向、貫通方向)に径が変化している。これらの層間接続体31〜37は、小さな領域に高密度に設けることができ、基板設計のファイン化に資することができる。
はんだ51は、すでに述べたように、融点上昇型のはんだが凝固して形成された、部品41と配線パターン22とを電気的、機械的に接続する部材であり、その形状についてもすでに述べたとおりである。はんだ51の微細な構造は、高融点金属(例えばCu)の粒子の種部と、この種部を覆った、高融点金属(例えばCu)とすずとの複数元素系相部(例えば、CuSn、CuSn)とを含有した構造である。はんだ(例えば組成Sn-3.0%Ag-0.5%Cu)も少しは残留しているが割合として小さく、通常のはんだが溶融する温度で再び溶融してもその周りに及ぼす悪影響は小さく抑えられている。ただし、はんだ51の機械的な性質は、通常のはんだよりももろい。
図2は、図1中に示した領域Aの部分を拡大して示す詳細図である。図2において、図1中に使用した符号は、同一のものを指し示すために用いている。
図2に示すように、絶縁層12には、樹脂部12aのほか、無機材料フィラー12bが含有されており、はんだ51による部品41の端子41aの一面と配線パターン22の面との離間距離(いわゆるスタンドオフ)は、絶縁層12が含有する無機材料フィラー12bの名目粒径より小さい。また、はんだ51は、すでに述べたように、部品41の端子41aの一面と配線パターン22の面との間からはみ出さない形状である。したがって、絶縁層12が含有する無機材料フィラー12bとはんだ51とは、ほぼ接触していない。
なお、厳密に言うと、無機材料フィラー12bは、ほぼ球形であるので、はんだ51が端子41aの一面と配線パターン22の面との間からはみ出しはしないが、後退もしていない形状の場合には、接触する。しかしながら、はみ出しはしないが後退もしていないようにはんだ51の形状を制御することは極めて困難であり、はんだ51について、部品41の端子41aの一面と配線パターン22の面との間からはみ出さないようにその量や塗布領域(クリームはんだでの段階;後述する)を制御すると、事実上、無機材料フィラー12bとはんだ51とが接触しないような後退を伴ってはんだ51の形状は抑制される。
無機材料フィラー12bとはんだ51とが、接触せずほとんど衝突しないことによる利点についてはすでに述べたとおりである。
図3は、図1中に示した内蔵の部品41について、その端子41aの部分と、はんだ51および配線パターン22との位置関係の例を示す平面図である。図3において、図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
図3(a)は、部品41が0603型部品である場合を示している。配線パターン22には部品41用のランド(大きさは例えば0.3mm×0.3mm)が設けられ、このランドと部品41の端子41aとの間にはんだ51の層が存在する。はんだ51は、機械的な強度の確保を考慮して面積が小さくなり過ぎないように、例えば、名目0.14mm×0.17mm程度の大きさとすることができる。
また、図3(b)は、部品41が1005型部品(平面形状が1mm×0.5mmの部品)である場合を示している。配線パターン22には部品41用のランドが、例えば、0.365mm×0.5mmの大きさで設けられ、このランドと部品41の端子41aとの間にはんだ51の層が存在する。はんだ51は、機械的な強度の確保を考慮して面積が小さくなり過ぎないように、例えば、名目0.165mm×0.37mm程度の大きさとすることができる。
次に、図1に示した部品内蔵基板の製造工程を図4ないし図6を参照して説明する。図4ないし図6は、それぞれ、図1に示した部品内蔵基板の製造過程の一部を模式的断面で示す工程図である。図4ないし図6において、図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。
図4から説明する。図4は、図1中に示した各構成のうち絶縁層11を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図4(a)に示すように、配線パターン22とすべき金属箔(電解銅箔)22Aを用意し、その面上所定の位置に例えばスクリーン印刷により、層間接続体31となるペースト状の導電性組成物をほぼ円錐形のバンプ状に形成する。この導電性組成物は、ペースト状の樹脂中に銀、金、銅などの金属微細粒または炭素微細粒を分散させたものである。説明の都合で金属箔22Aの下面に印刷しているが上面でもよい(以下の各図も同じである)。層間接続体31の印刷後これを乾燥させて硬化させる。
次に、図2(b)に示すように、金属箔22A上に例えばFR−4のプリプレグ11Aを積層して層間接続体31を貫通させ、その頭部が露出するようにする。露出に際してあるいはその後その先端を塑性変形でつぶす。続いて、図2(c)に示すように、プリプレグ11A上に金属箔(電解銅箔)21Aを積層配置して加圧、加熱し全体を一体化する。このとき、金属箔21Aは層間接続体31と電気的導通状態となり、プリプレグ11Aは完全に硬化して絶縁層11になる。プリプレグ11Aには、硬化前の樹脂部中に無機材料フィラーが配合されている。以下で言及するプリプレグについても同様である。
次に、図2(d)に示すように、両面の金属箔21A、22Aに例えば周知のフォトリソグラフィによるパターニングを施し、配線パターン21、22に加工する。このうち配線パターン22は、部品41を接続(実装)するためのランドを含むように加工される。図2(d)の形態は、いわゆる両面配線板の形態である。
続いて、配線パターン22が含むランド上に、図2(e)に示すように、クリームはんだ51Aを例えばスクリーン印刷を用いて適用、付着させる。スクリーン印刷によれば容易に所定面積のパターンで、しかも量を制御して効率的に印刷できる。クリームはんだ51Aの量を制御する意味で、スクリーン印刷に代えてディスペンサで適用することも考えられる。クリームはんだ51Aは、フラックス中に、はんだ(例えば組成Sn-3.0%Ag-0.5%Cu)の微粉末粒子と、高融点金属(例えばCu、ほかにAg、Au、Cu−Ni合金、Cu−Sn合金、Ag−Sn合金、Cu−Zn合金、Co−Sn合金、Feなど)の微粉末粒子とが分散された構成を有するものである。
次に、部品41をクリームはんだ51Aを介して実装用ランド上に例えばマウンタで載置し、さらにその後、図2(f)に示すように、クリームはんだ51Aを例えばリフロー炉でリフローさせる。このリフローで、クリームはんだ51Aが含む高融点金属の微粉末粒子は、その表面の側からはんだが含むSnと溶け合い、はんだより高融点の複数元素系相部に変化する。これによりはんだ51は、すでに述べたように、高融点金属の粒子の種部と、この種部を覆った、高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有した微細構造になっている。形成されたはんだ51の形状についてはすでに説明したとおりである。
以上により得られた図4に示す部材を、積層部材1とする。この積層部材1を用いる後の工程については図6で述べる。
次に、図5を参照して説明する。図5は、図1中に示した各構成のうち絶縁層12〜15を中心とした部分の製造工程を示している。まず、図5(a)に示すような積層工程を行う。ここで、絶縁層13、配線層23、24、層間接続体33を有する積層部材は、すでに説明した図4(a)〜図4(d)の工程と同様の要領により得られたものである。また、絶縁層15、配線層25、26、層間接続体35、34、プリプレグ14Aを有する積層部材は、次にようにして得ることができる。すなわち、図4(a)中に示した金属箔22Aに代えて、図4(d)に示したような両面配線板を用い、以下、図4(a)、図4(b)に示した工程と同様の要領の工程を行う。
図5(a)に示す積層工程により、上下の積層素材を加圧、加熱し全体を一体化する。このとき、配線パターン24は層間接続体34と電気的導通状態となり、プリプレグ14Aは完全に硬化して絶縁層14になる。また、積層時のプリプレグ14Aの流動性により、配線パターン24は絶縁層14の側に落ち込んで位置することになる。
図5(a)に示す積層工程を行ったら、次に、得られた積層体に、図5(b)に示すように、内蔵する部品41に相当する部分に部品用開口部61を例えばドリルを用い形成する。続いて、この積層体に対し、図5(c)に示すように、層間接続体32の形成、プリプレグ12Aの積層を行う。これには、図4(a)、(b)における層間接続体31の形成、およびプリプレグ11Aの積層と同様の要領の工程を行えばよい。
さらに、ここで得られた積層体のプリプレグ12Aに対し、図5(d)に示すように、部品用開口部61と同じ位置の孔を形成し、部品用開口部611として貫通させる。なお、プリプレグ12Aに形成するこの孔は、絶縁層13上に積層する前にあらかじめ形成しておくようにしてもよい。以上により得られた部材を積層部材2とする。
次に、図6を参照して説明する。図6は、上記で得られた積層部材1、2などを積層する配置関係を示す図である。ここで、図示上側の積層部材3は、図5(a)中に示す上側の積層素材と同様の要領により得られたものである。
図6に示すような配置で各積層部材1、2、3を積層配置してプレス機で加圧、加熱する。これにより、プリプレグ12A、16Aが完全に硬化し全体が積層、一体化する。このとき、加熱により得られるプリプレグ12A、16Aの流動性により、部品41の周りの空間にはプリプレグ12A、16Aが変形進入し空隙は発生しない。この積層工程により、配線層22、26は、層間接続体32、36にそれぞれ電気的に接続される。以上説明の工程により、図1に示した部品内蔵基板を得ることができる。
プリプレグ12A、16Aの変形についてより詳細には、以下である。すでに説明したように、プリプレグ12A、16Aには、無機材料フィラーが含まれているが、この無機材料フィラーは、この積層工程において、はんだ51に衝突しない。はんだ51に接触することになるのは、プリプレグ12Aの樹脂部である(図2を参照)。これにより、積層工程において、無機材料フィラーがはんだ51に対して研磨類似の作用を発生させないため、はんだ51から離脱して微細な飛散物が生じない。
実際に製造されたものを観察した結果は以下であった。端子41aのそれぞれについて、その付近の絶縁層11上または配線層22上に飛散物が発生しているかどうかを、X線撮像装置を用いて調べた。この結果、160128個の観測端子数に対して、飛散物の発生はまったく認められなかった(発生率0.00%)。これに対して、端子41aに通常のようにはんだフィレット(融点上昇型のはんだを使用)を形成して得られた部品内蔵配線板では、1800個の観測端子数に対して、飛散物の発生が44個あった(発生率2.44%)。この飛散物がはんだ由来であることは、配線板を断面研磨してEDX(energy dispersive X-ray spectrometry)を用い成分分析して確かめた。
図1に示した部品内蔵配線板では、以上のように、はんだの飛散物が配線板の内部に発生しないので、信頼性の高い部品埋め込みが可能である。すなわち、製造途上において配線パターン22上にはんだが飛び散り、意図しない導電性のブリッジが生じて不良品となることを防止できる。なお、以上の説明では、融点上昇型のはんだ51を用いた場合を示したが、機械的にもろいという点は、樹脂を含有する導電性組成物をはんだ51の代わりに用いた場合も共通性がある。したがって、この場合にも有効であると考えられる。
以上説明した部品内蔵配線板は、副次的に、以下の利点がある。まず、部品41が、端子41aの部分を除いた部分として、上面と、下面と、右側面と、左側面とを有する形状であり、上面と下面と右側面と左側面とがいずれも板状絶縁層12、16に密着する構造になるため、板状絶縁層12、16と部品41との界面付近で剥離が生じにくく高信頼性になる。これは、性質の異なる絶縁材料が部品41の周りを囲む状態の場合よりも、絶縁材料どうしで平衡が保たれやすいためと考えられる。部品41と絶縁層11との間は比較的狭いので、変形例として、例えば図4(d)の次段階で、部品41の下となる領域に充填用の樹脂シートを設けておく構成もあり得るが、剥離性の点では一歩譲る構成になる。
また、図1に示した部品内蔵配線板は、部品41の端子41aに伴うようにはんだフィレットがないため、絶縁層13〜15に設ける部品用開口部61(図5(b)を参照)の面積をより小さくできる。したがって、配線層23〜26は、それぞれその形成領域の犠牲が少ない。よって、内層配線パターン形成の自由度の犠牲も小さく済む。
図1に示した部品内蔵配線板の変形例には、以下のものを挙げることができる。まず、層間接続体31〜37については、種々の公知の構造のものに代えることができる。また、配線層数や絶縁層数は、必要に応じて、適宜、増加または減少させることができる。
1,2,3…積層部材、11,12,13,14,15,16,17…板状絶縁層、11A,12A,14A,16A…プリプレグ、12a…樹脂部、12b…無機材料フィラー、21,22,23,24,25,26,27,28…配線層(配線パターン)、21A,22A…金属箔(銅箔)、31,32,33,34,35,36,37…層間接続体、41…表面実装型受動素子部品、41a…表面実装用端子、51…融点上昇型のはんだ(または導電性組成物)、51A…融点上昇型のクリームはんだ、61,611…部品用開口部。

Claims (3)

  1. 目粒径が4μmないし20μmとして規定されている無機材料フィラーを含有する板状絶縁層と、
    前記板状絶縁層の板広がり方向に一致した層として形成されている、ランドを含む配線パターンと、
    端子を有し、該端子のいずれか一面が前記配線パターンの前記ランドの面と対向するような姿勢で、前記板状絶縁層の厚み内部に該板状絶縁層に密着して埋め込まれた部品と、
    前記部品の端子の前記一面と前記配線パターンの前記ランドの面との間を電気的、機械的に接続するように設けられた、樹脂を含有する導電性組成物で形成された部材であるか、または、高融点金属の粒子の種部と、該種部を覆った、前記高融点金属とすずとの複数元素系相部とを含有した融点上昇型のはんだで形成された部材であるかのいずれかである接続部材と、を具備し、
    前記接続部材が、前記部品の端子の前記一面と前記配線パターンの前記ランドの面との離間距離を、前記板状絶縁層の前記無機材料フィラーの前記名目粒径より小さくするような厚みで、かつ、前記部品の端子の前記一面と前記配線パターンの前記ランドの面との間からはみ出さない形状で形成されていること
    を特徴とする部品内蔵配線板。
  2. 前記部品が、前記端子の部分を除いた部分として、上面と、下面と、右側面と、左側面とを有する形状であり、該上面と該下面と該右側面と該左側面とがいずれも前記板状絶縁層に密着していることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  3. 前記板状絶縁層が、第1の板状絶縁層と、該第1の板状絶縁層上に設けられた第2の板状絶縁層と、該第2の板状絶縁層上に設けられた第3の板状絶縁層とを有した板状絶縁層であり、
    前記配線パターンが、前記第1の板状絶縁層と前記第2の板状絶縁層との間に設けられた配線パターンを含む、内層配線層としての配線パターンであり、
    前記第2の板状絶縁層が、前記部品を位置させるための開口を有しており、
    前記第1の板状絶縁層および前記第3の板状絶縁層のそれぞれ一部が、前記部品を取り囲んで埋め込むように、前記第2の絶縁層に設けられた前記開口内に進入するように変形していること
    を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
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