JP5782300B2 - 長尺シートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、連続模様を有する長尺シート状物に関し、さらに詳しくは人工皮革に適した長尺シート状物及びその製造方法に関する。
塗料中に磁性材料の粉末を混入させ、これを用いた塗膜に磁石を作用させて磁性材料の分布を変える事により、図形や模様を形成する方法が知られている。磁性材料を含む塗膜に図形や模様の刻印された磁石を作用させることにより、図形を形成する方法である。均一な塗膜に磁力を作用させることにより、磁力の作用を受けた部分の磁性顔料が移動し、分布が変化したり配向が変わるので他の部分との状態が変わり、図形や模様を形成することができるのである。
例えば特許文献1では、塗膜の塗着一分後の塗膜固形分を70重量%以下にコントロールすることにより、塗膜中の磁性顔料の動きの制約を小さくし、模様を浮き上がらせる方法が開示されている。
しかしこのように塗膜固形分を小さくしたとしても、まだ磁石を作用させる時間が数分間は必要であり、効率よく生産をできないという問題があった。一定面積の図柄の場合はともかく、長尺シート状物の生産には不向きな方法であった。そして長尺シート状物の連続生産を試みた場合、図形や模様の刻印された磁石を一定面積ごとに上下させて、接触と移動とを繰り返す工程などが必要であり、大掛かりでかつ複雑な装置とならざるを得ないという問題があった。
さらに例え連続生産が行えたとしても、一定面積の磁石を用いた繰り返し生産では、どうしても継ぎ目が発生し、長さ方向にスムーズに連続模様を有する長尺シート状物を生産することができない、という問題があった。
特開2003−176452号公報
長さ方向にスムーズに連続した模様を有する長尺シート状物を得ることにある。
発明の長尺シート状物の製造方法は、ラミネート法により長尺シート状物を製造する方法であって、離型紙上に、非球状磁性顔料を含有し、高分子弾性体の濃度が5〜30重量%である高分子弾性体溶液を乾燥前の塗膜の厚さが20〜130μmとなるように塗布し、ラインスピード3〜15m/minの条件にて裏面方向から磁力を有する物体を作用させることにより、模様を形成し、熱風乾燥により乾燥後の厚さ5〜30μmの表皮層とし、その上に接着層を塗布し、離型紙上の表皮層を繊維質基体と貼り合わせ、最後に離型紙を除去することにより、皮革様の長尺シート状物とすることを特徴とする。
本発明によれば、長さ方向にスムーズに連続した模様を有する長尺シート状物が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の長尺シート状物は、長さ方向に連続した模様を有する表面層が存在する長尺シート状物であって、その連続模様が表面層中における非球状磁性顔料の配向差からなるものである。
ここで本発明の長尺シート状物としては、基体上に表面層が存在するものであれば特に制限は無いが、基体が繊維を主とした繊維質基体であり、その繊維質基体上に高分子弾性体からなる表面層を有する、いわゆる皮革様シート状物であることが好ましい。長尺シート状物の長尺とは、一枚のシート状物として保管することが非効率である程度の長さを有するものであることを意味し、通常は巻物として保管されることが多い。本発明の長尺シート状物としては、少なくとも2m以上、さらには10〜500m程度のロールとして保管されたシート状物であることが好ましい。幅としては特に制限は無いが、通常は0.2〜5m、好ましくは1〜2mの幅であることが好ましい。また通常は巻物として保管するために、その厚さとしては0.2〜5mm、さらには0.4〜2mmであることが好ましい。
本発明の長尺シート状物に用いられる基体としては、繊維集合体を主とする繊維質基体であることが好ましく、より具体的には繊維集合体、あるいはこの繊維集合体に高分子弾性体を含浸させた複合繊維集合体が使用でき、従来から人工皮革用として用いられている種類の繊維質基体であることが特に好ましい。具体的な繊維集合体としては、不織布や織編物を挙げることができ、これらを構成する繊維としては、例えばポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維、または綿、麻、羊毛などの天然繊維、またはレーヨンなどの半合成繊維が挙げられ、また、これらの2種以上の混合であってもよい。
またソフト性を付与のため繊維が極細繊維であることも好ましい。このような極細繊維を得る方法としては、例えば2種の成分を混合紡糸し、分割してなる方法や、多数の島成分を有する海島繊維から海成分を溶解除去して極細繊維を形成することができる。
また、基体として用いられる繊維集合体と高分子弾性体からなる複合繊維集合体としては、上記の繊維集合体に高分子弾性体を含浸、凝固、乾燥させたものであることが好ましい。高分子弾性体としては、例えばポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、あるいはポリブタジエン、ポリイソプレンなどの合成ゴムなどを挙げることができる。この中では、耐摩耗性、弾性回復性、柔軟性等の面からポリウレタンが特に好ましく用いられる。これらの高分子弾性体は有機溶剤に溶解、あるいは分散された溶液、あるいは水系の分散液として含浸に供される。好ましくは、これらの高分子は地球環境保護、および作業環境保護のためにも水溶液、あるいは水分散液として含浸に供されることが好ましい。
またこの基体には、表面層以外に、その基体と表面層の間に高分子弾性体からなる中間層が存在することが好ましい。この中間層がある事により平滑性の高い基材となるので、表面層の非球状磁性顔料による模様がより鮮明となる。この高分子弾性体からなる中間層は無孔質でも良いが、好ましくは多孔質層であり、特には、繊維質基体と表面層の間の中間層として高分子多孔質層が存在する皮革様シート状物であることが好ましい。この中間層を形成する高分子弾性体としては、特にはポリウレタンを主成分とするものであることが好ましい。
この中間層に用いることができるポリウレタンとしては、人工皮革用として使用されるものが使用でき、有機ジイソシアネート、高分子ジオールおよび鎖伸長剤の重合反応で得られる従来公知の熱可塑性ポリウレタンを挙げることができる。有機ジイソシアネートとしては分子中にイソシアネート基を2個含有する脂肪族、脂環族または芳香族ジイソシアネート、特に4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、P−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。高分子ジオールとしては例えばグリコールと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合で得られたポリエステルグリコール、ラクトンの開環重合で得られたポリラクトングリコール、脂肪族または芳香族ポリカーボネートグリコール、あるいはポリエーテルグリコールの少なくとも1種から選ばれた平均分子量が500〜4000のポリマーグリコールなどが挙げられる。そして鎖伸長剤としてはイソシアネートと反応しうる水素原子を2個含有する分子量500以下のジオール、例えばエチレングリコール、1,4ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、キシリレングリコール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
このような中間層としての多孔質層を得る方法としては、従来から知られている方法が採用できる。例えば、ポリウレタンの良溶剤であり、かつ水と相溶性の有機溶剤にポリウレタンを溶解させ、このポリウレタン溶液を任意の厚みで支持体上にコーティングし、水浴中に浸漬して多孔質凝固させるいわゆる湿式凝固法、またはポリウレタンを水と相溶性は無いがポリウレタンを溶解あるいは分散できる有機溶剤に溶解、あるいは分散させた溶液、あるいは分散液を任意の厚みで支持体上にコーティングし、水の蒸発を妨げながら有機溶剤を選択的に蒸発させる乾式多孔成形法、またはポリウレタンの水溶液、あるいは水分散液中に熱膨張性微粒子カプセルを分散させ任意の厚みで支持体上にコーティングし、乾燥しながら熱膨張性カプセルを膨張させる方法、またはポリウレタンの分子末端にアルコール性水素を有するプレポリマーとポリイソシアネート、および水を混合し、直後に任意の厚みで支持体上にコーティングする方法、または溶融ポリウレタン中に不活性ガスを分散させて任意の厚みで支持体上にコーティング、発泡させる方法、または、ケミカル発泡剤を混合したポリウレタン溶液あるいは分散液を任意の厚みで支持体上にコーティングする方法などが挙げられる。中でも、湿式凝固法が孔の形状を制御し易く多孔質を得るのに好ましい。
このような中間層となる高分子重合体からなる多孔質層は、前述の繊維質基体上に直接コーティング法などにより形成することができ、または剥離性支持体上で作成されたポリウレタン等の多孔質膜を繊維質基体上に接着剤により貼り合わせても良い。また、本発明に用いる基体としては、これらの高分子重合体多孔質層を有さない繊維質基体のまま用いることも当然可能である。
本発明の長尺シート状物は、このような基体上に表面層が形成されてなるものである。ここで本発明の表面層は、長さ方向に連続した模様を有するものであり、その模様が表面層中における非球状磁性顔料の配向差からなるものであることを特徴とする。そして表面層としては、さらに表皮層と接着層との多層構造からなるものであることが好ましい。さらにはこの非球状磁性顔料を含有する着色層が平滑であって、凹凸がないことが好ましい。平滑でない場合には、その表面凹凸により、非球状磁性顔料の移動や配向が制限される傾向にあり、スムーズな連続模様を表現することが困難になる。特に非球状磁性顔料により立体模様を表現する場合には、表面凹凸による僅かな乱れが悪影響を与えるため、着色層のより高い平滑性が確保されていることが好ましい。
また、非球状磁性顔料としては、薄板状であることが好ましい。さらには板状マイカに強磁性体、例えばコバルト鉄酸化物をコーティングしたものであることが好ましい。厚さとしては0.5〜5μmであることが好ましく、大きさとしては1〜100μm程度であることが好ましい。非球状磁性顔料の移動や配向は通常、磁力によって行うが、非球状磁性顔料が薄板状である場合には、顔料の角度(配向)による外観変化度が大きく、非球状磁性顔料によって、より明確な立体模様が表現されやすい傾向にある。
またこのような非球状磁性顔料を含有する表面層は、非球状磁性顔料と高分子弾性体からなる層であることが好ましく、さらには先に述べたように表皮層と接着層の多層構造であることが好ましい。この表面層中の非球状磁性顔料の含有量としては、1〜30重量%であることが好ましい。非球状磁性顔料の含有量が少ない場合には、非球状磁性顔料密度が低下し、外観に表現されにくくなる傾向にある。逆に多すぎる場合には、表面層における他の成分である高分子弾性体の量が低下し、強度が低下する傾向にある。
表面層を形成する非球状磁性顔料以外の成分としては、その主成分が高分子弾性体であることが好ましい。高分子弾性体としては、例えばポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、あるいはポリブタジエン、ポリイソプレンなどの合成ゴムなどを挙げることができる。この中では、耐摩耗性、弾性回復性、柔軟性等の面からポリウレタンが好ましく用いられる。
表面層が、表皮層と接着層の多層構造である場合には、さらには非球状磁性顔料を含有する表皮層と、非球状磁性顔料を含有しない接着層からなるものであることが好ましい。また表皮層中の主成分が高分子弾性体であり、高分子弾性体としてはポリウレタンであることが最も好ましい。そしてこの表皮層中の非球状磁性顔料の含有量としては、5〜50重量%であることが好ましい。非球状磁性顔料の含有量が少ない場合には、非球状磁性顔料密度が低下し、外観に表現されにくくなる傾向にある。逆に多すぎる場合には、表皮層における他の成分である高分子弾性体の量が低下し、引っかき強度等の物性が低下する傾向にある。
また本発明の表面層が多層構造である場合、接着層としては、繊維質基体などの基体に、ポリウレタンなどを主成分とする表皮層を接着するものであれば特に制限は無く、有機溶剤系、水系のいずれをも使用できるが、着色された表皮層と同じく、ポリウレタンを主成分とするものであることが好ましい。
本発明の長尺シート状物は、上記のように表面層中に非球状磁性顔料を有し、その非球状磁性顔料が模様を有するものであり、その模様が長さ方向に連続した模様である長尺シート状物である。長さ方向に連続したとは、途切れることなく非球状磁性顔料が分布し、その非球状磁性顔料の配向等により滑らかにつながった模様を有することをいう。本発明においては、非球状磁性材料の僅かな配向差により大きな色調の変化が生まれ、またその外観は立体的な図形となる。なお、後に述べるような連続生産では無くロット毎の断続生産を行った場合には、本発明の滑らかに連続した模様を形成することは、極めて困難である。
このような本発明の長尺シート状物は、もう一つの本発明の長尺シート状物の製造方法によって得ることができる。すなわちラミネート法により長尺シート状物を製造する方法であって、離型紙上に、非球状磁性顔料を含有する高分子弾性体溶液を塗布し、裏面方向から磁力を有する物体を作用させることにより、模様を形成する製造方法である。
ラミネート法では生産ライン上を離型紙が流れるのであるが、本発明においては、その離型紙の裏面から磁力を有する物体を作用させるため、長さ方向に連続した模様を容易に得ることが可能となった。
離型紙上に塗布する高分子弾性体溶液としては、表皮層用と接着剤層用の多段階塗布であることが好ましく、さらには非球状磁性顔料が表皮層用の高分子弾性体溶液中にのみ含まれていることが好ましい。長尺シート状物の表面に近い部分に存在することにより、より鮮明な模様を形成することが可能となる。また本発明の製造方法では、高分子弾性体中の非球状磁性顔料は、磁力によりその配向性を変化させることにより模様を形成するため、高分子弾性体溶液としてはその粘度が低いことが好ましい。表皮層用の高分子弾性体は一般に接着層用の高分子弾性体よりも低粘度であり、その意味でも模様を形成するために適している。
ここでの表皮層用の高分子弾性体は、先に述べた表皮層となるものであり、ポリウレタンを主成分とするものであることが好ましい。また非球状磁性顔料の含有量としては5〜50重量%である事が好ましい。
本発明の製造方法においては、離型紙上に、非球状磁性顔料を含有する高分子弾性体を塗布するが、このとき高分子弾性体が、塗布後すぐの、乾燥前の流動性のある状態において、離型紙の裏面方向より磁力を有する物体を作用させることが重要である。
磁力を有する物体としては、従来公知の通常の磁石や電磁石等を用いることができる。形成される模様は、磁力を有する物体の幅や間隔で決まるため、必要に応じたサイズの物体を用意する。明確な模様を発生させるためには小さな磁石を複数個並べたものであることが好ましく、大きさとしては0.2〜10cmの幅であることが好ましい。離型紙の幅サイズに合わせて横方向に一列に並べる事により、より容易に、直線などの模様を生産することが可能となる。磁力を有する物体としては、永久磁石や電磁石、マグネットシートなどのさまざまな強度の、さまざまな形状のものを適用することができ、高分子弾性体溶液中の非球状磁性顔料に与える磁力の強さや向きを変更することにより、さまざまな模様を形成することができる。溶液中に存在する非球状磁性顔料は、容易にその配向性を変化させるが、より立体的な模様とするためには高い磁力を有する磁石を用いることが好ましい。高い磁力により、磁性顔料が強度に配向した部分が発生し、より模様が立体的に形成される。またラインスピードを高める場合にも、高い磁力を発する物体であることが好ましい。ラインスピードとしては3〜15m/minが好ましい。ラインスピードが遅い場合には生産性が悪く、高すぎる場合には、磁力による非球状磁性顔料の移動や配向度が低下し、模様、特に立体構造が表現しにくくなる。
なお、磁力を作用させるこの工程においては、高分子弾性体が塗布後すぐであって、乾燥前の流動性のある状態であることも重要である。本発明では高分子弾性体の流動性を利用することにより、比較的弱い磁力であっても短時間で模様を形成することが可能となった。この工程での高分子弾性体溶液の粘度としては1〜500ポイズであることが好ましく、さらには5〜50ポイズであることが好ましい。また濃度としては5〜30重量%であることが好ましく、さらには15〜25重量%であることが好ましい。
そして離型紙の裏面から磁力を作用させた後、速やかに乾燥させることが好ましい。乾燥までの時間が長いと、一度配向した非球状磁性顔料が、乾燥固定化される前に再度変動し模様がぼやける傾向にある。この乾燥工程においては、高分子弾性体溶液から溶媒が揮発し厚さが減少する際に、非球状磁性顔料の配向性の差異が増幅されるため、本発明の特徴である連続した模様がより鮮明となるのである。
通常、塗料中に磁性顔料を混入する場合、液垂を防止するために霧吹き等にて小滴にして付着させることがあるが、本発明においては逆に低濃度の溶液を厚く塗ることが好ましい。溶液の塗布目付けとしては30〜150g/mであることが好ましい。塗膜の厚さとしては乾燥前では20〜130μmであることが好ましく、さらには50〜100μmであることが好ましい。乾燥後の最終厚さとしては5〜30μmであることが好ましい。
乾燥工程としては、溶剤が揮発しやすい熱風乾燥であることが好ましく、温度としては80〜120℃であることが、乾燥時間としては20秒以上であることが好ましい。
このように表皮層が乾燥チャンバーに入り乾燥した後に、通常は接着層を塗布する。その後繊維質基体と貼り合わせ、最後に離型紙を除去することにより皮革様の長尺シート状物が完成する。接着層に用いる接着剤としては、従来から知られている接着剤が使用できるが、その中でもポリウレタン系接着剤(ポリイソシアネート系接着剤)が好ましく、さらには水系のポリウレタンであることが好ましい。
このように得られた本発明の長尺シート状物は、表面層中の非球状磁性顔料の配向差により立体的な模様が、長さ方向に整然と連続した長尺シート状物となる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中の各測定値は次の方法により測定した。
(1)厚さ
スプリング式ダイアルゲージ(荷重1.18N/cm)にて測定した。
(2)重量
10cm×10cmに切断した試験片を、精密天秤にて測定した。
[実施例1]
<繊維集合体の作成>
ナイロン6(融点220℃)と低密度ポリエチレンを50/50で混合、エクストルーダーで溶融、混合し290℃で混合紡糸し、延伸、油剤を処理しカットし5.5dtex、51mmの繊維を得た。これをカード、クロスラッパー、ニードルロッカー、カレンダーの工程を通し、単位面積あたりの重さ(目付け)450g/m、厚さ1.6mm、見掛け密度0.28g/cmの繊維集合体を得た。
<多孔質皮膜層を表面に有する繊維質基体−1の作成>
上記の繊維集合体を10重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製;クリスボンTF50P、融点180℃)−DMF溶液に浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズした後、その表面に20重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製;クリスボンTF50P)−DMF溶液(添加剤として東レ・ダウコーニング製SH28PAを溶液100部に対し0.3部を使用)を800g/mの目付けでコーティングし、次いで5%のDMFを含んだ水中に浸漬してポリウレタンを凝固させ、DMFを水で十分に洗浄除去した後120℃で乾燥して、ポリウレタン多孔質層からなる多孔質皮膜層が基材上に形成されたシートを得た。
得られたシートを85℃の熱トルエン中で圧縮、緩和を繰り返し、繊維中のポリエチレン成分を抽出除去し、繊維集合体中のナイロン繊維を0.003dtexの極細繊維とした。この得られた基体は、極細繊維と高分子弾性体からなる繊維質基体上に、ポリウレタンからなる湿式多孔層である多孔質皮膜の形成された繊維質基体である。得られた基体の単位面積あたりの重さ(目付け)は460g/m、厚さ1.3mm、見掛け密度0.35g/cm、繊維質基材中の高分子弾性体と繊維の比率(R/F)は48%であった。
<長尺シート状物−1の作成>
転写貼り合わせラインにて、ラインスピード7m/minで154cm幅の離型紙(リンテック社製ES160SK)を流し、離型紙上に、レザミンLU−2109HV(ポリウレタン濃度25%、大日精化社製、融点150℃)100部、DMF15部、イソプロピルアルコール15部、および非球状形磁性材料5部(厚さ1μm粒径5〜50μmの板状マイカにコバルト鉄酸化物をコーティングしたもの)を混合した溶液を目付け85g/mで塗布した。塗布液は、濃度20%、膜厚80μmの均一膜厚のコーティング塗布層であった。ここで均一とは、重力により表面が水平になり凹凸を有さないことである。
直後に、塗布した離型紙の裏面にプレート上に隙間無く離型紙幅方向に隙間無く150個並べた1辺1cm角、高さ5mmのネオジム磁石を接触させ、その後、乾燥チャンバーにて、110℃で2分間乾燥して厚さ0.01mmの高分子弾性体を主成分とする表皮層を形成した。
さらにその表皮層の上に接着層として、ポリウレタン系接着剤100部にレザミンNE架橋剤10部、DMF10部、MEK10部の調合液を、目付け130g/mにてコートし、接着層とした。次いで、温度90℃で2分乾燥後、その離型紙上の2種類の高分子弾性体の上に、多孔質皮膜を表面に有する繊維質基体とを重ね合わせ、温度110℃の加熱シリンダー表面上で0.6mmの間隙のロールに通過させ圧着した。その後、温度70℃の雰囲気下で2日間放置した後、離型紙を剥ぎ取り、長尺シート状物−1を得た。
できあがった長尺シート状物は、表面が平滑であるにもかかわらず幅方向に1cmピッチで長さ方向に直線の奥行き感のある立体模様ができており、人工皮革として最適なものであった。電顕写真にて表面状態を確認したところ、1辺1cm角の磁石の接触した部分で、磁石中央部は非球状形磁性材料が直立しており磁石端部分に行くに従って徐々に平行になる様に変化していた。表面剥離強度を測定したところ31.5N/cmであった。耐摩耗性は2100回でありスポーツシューズ用途にも十分に使用できる強度であった。
[実施例2]
<多孔質皮膜層を表面に有しない繊維質基体−2の作成>
実施例1と同様に繊維集合体に10重量%のポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製;クリスボンTF50P、融点180℃)−DMF溶液に浸漬させた後、繊維集合体表面の余分な溶液をかきとり、基材厚さの90%でスクイズするが、その表面にはウレタン溶液をコーティングすることなく、5%のDMFを含んだ水中に浸漬してポリウレタンを凝固させ、DMFを水で十分に洗浄除去した後120℃で乾燥して、多孔質皮膜層を表面に有しない繊維質基体を得た。
得られたシートを85℃の熱トルエン中で圧縮、緩和を繰り返し、繊維中のポリエチレン成分を抽出除去し、繊維集合体中のナイロン繊維を0.003dtexの極細繊維とした。得られた繊維質基体は、極細繊維と高分子弾性体からなる繊維質基体であり、表面はポリウレタン多孔質層が形成されていない繊維とポリウレタンが混在するものであり、このときの単位面積あたりの重さ(目付け)は300g/m、厚さ1.1mm、見掛け密度0.27g/cm、繊維質基体中の高分子弾性体と繊維の比率(R/F)は33%であった。
<長尺シート状物−2の作成>
実施例1の皮革様シート状物−1の作成方法において、多孔質皮膜を表面に有する繊維質基体を用いる代わりに多孔質皮膜層を表面に有しない繊維質基体−2を用いる以外は実施例1と同様にして、転写貼り合わせラインにて長尺シート状物−2を得た。得られた長尺シート状物(人工皮革)は、幅方向に1cmピッチで長さ方向に直線の奥行き感のある立体模様ができていた。ただし中間層には多孔質皮膜層が無く、長尺シート状物−1と比較すると表面平滑性がやや劣り、立体模様の鮮鋭さが少しぼやけるものであった。また表面剥離強度は2.5kg/cm、耐摩耗性は1050回であった。
[実施例3]
<長尺シート状物−3の作成>
実施例1と同様に多孔質皮膜層を表面に有する繊維質基体−1を作成し、その後、非球状形磁性材料を5部添加する代わりに1部添加した以外は、実施例1と同様に作成して転写貼り合わせラインにて長尺シート状物−3を得た。得られた人工皮革は幅方向に1cmピッチで長さ方向に直線の奥行き感のある立体模様ができていた。ただし、非球状形磁性材料の濃淡差が若干薄く、奥行き感表現については、実施例1よりは劣るものであった。

Claims (7)

  1. ラミネート法により長尺シート状物を製造する方法であって、離型紙上に、非球状磁性顔料を含有し、高分子弾性体の濃度が5〜30重量%である高分子弾性体溶液を乾燥前の塗膜の厚さが20〜130μmとなるように塗布し、ラインスピード3〜15m/minの条件にて裏面方向から磁力を有する物体を作用させることにより、模様を形成し、熱風乾燥により乾燥後の厚さ5〜30μmの表皮層とし、その上に接着層を塗布し、離型紙上の表皮層を繊維質基体と貼り合わせ、最後に離型紙を除去することにより、皮革様の長尺シート状物とすることを特徴とする長尺シート状物の製造方法。
  2. 高分子弾性体がポリウレタンを主成分とするものである請求項1記載の長尺シート状物の製造方法。
  3. 繊維質基体と、表皮層と接着層との多層構造からなる表面層との間の中間層として高分子多孔質層が存在する請求項1または2のいずれか1項記載の長尺シート状物の製造方法。
  4. 表皮層が非球状磁性顔料を含有し、接着層が非球状磁性顔料を含有しない請求項1〜3のずれか1項記載の長尺シート状物の製造方法。
  5. 表皮層が長さ方向に連続した模様を有する請求項1〜4のいずれか1項記載の長尺シート状物の製造方法。
  6. 非球状磁性顔料を含有する層が平滑である請求項1〜5のいずれか1項記載の長尺シート状物の製造方法。
  7. 表皮層中の非球状磁性顔料の含有量が5〜50重量%である請求項1〜6のいずれか1項記載の長尺シート状物の製造方法。
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