JP5049558B2 - シート状物およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、合成皮革や人工皮革などの各種用途に適用可能なシート状物、およびその製造方法に関する。
従来、ポリウレタン樹脂を不織布に含浸した人工皮革や、織物や編物などにポリウレタン樹脂を積層した合成皮革が多数知られている。これら人工皮革や合成皮革の製造には、主として溶剤型のポリウレタン樹脂が用いられてきたが、最近では、環境問題を考慮して、無溶剤型のポリウレタン樹脂を用いる技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、特定の着色剤を含有する湿気硬化性ポリウレタンホットメルト樹脂組成物からなる表皮層を、繊維質基材の片面に形成することにより、着色状態が良好で、耐摩耗性、柔軟性などに優れた皮革様シートを、溶剤を用いることなく、かつ省力化された工程で製造する方法が開示されている。しかしながら、湿気硬化性ポリウレタンホットメルト樹脂は、反応により炭酸ガスを発生して発泡するため、このような発泡層を表皮層とする皮革様シートは、摩耗などの外力に対して脆く、ポリウレタン樹脂本来の耐摩耗性を十分に発揮できないという問題があった。また、表皮層全体が発泡しているため、白化により深みのある色表現に限界があった。
一方、発泡層に発泡の度合いによる密度勾配を付与して、風合いや触感と、耐摩耗性を両立させる技術も古くから知られている。例えば、特許文献2には、不織布に発泡剤を含有する樹脂を噴霧、浸漬、ロール含浸などの方法にて付与した後、該不織布の片面のみに加熱体を圧接し、圧接部およびその近傍の樹脂を発泡させることにより、樹脂層の垂直方向に密度勾配を付与した人造皮革の製造方法が開示されている。また、特許文献3には、不織布のそれぞれの面に、それぞれ熱膨張性粒子(発泡剤)と樹脂バインダーからなる異質の熱膨張性塗料を付与含浸し、それぞれ加熱することにより、不織布基材内部に多孔質状の密度勾配を付与した皮革様シート材料の製造方法が開示されている。さらに、特許文献4および特許文献5には、基布の片面に、それぞれポリ塩化ビニルペーストレジン、可塑剤、安定剤および発泡剤を含有する配合物を積層後、加熱して、上層および下層の発泡構造を形成する際に、上層と下層のためのポリ塩化ビニルペーストレジンの重合度や、可塑剤の配合量、発泡剤の配合量や粒径などを異ならせることにより、異方性発泡構造を持たせた合成皮革の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法により得られるものは、樹脂層全体が発泡剤を含有しているため、密度勾配があるとはいえ、樹脂層全体が発泡しており、耐摩耗性に問題があった。さらに、特許文献3〜5に開示の方法は、発泡剤を含有する樹脂を、複数回塗布する工程が必要で、加工工程が猥雑であり、また特許文献4、5の方法により得られるものは、摩耗などの外力により上層と下層が剥離するという問題があった。
特開2005−273131号公報 特開昭49−47503号公報 特開昭60−59182号公報 特開昭63−120179号公報 特開昭63−112775号公報
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶剤を用いることなく、かつ簡単な工程で製造することが可能であって、風合いや触感、耐摩耗性、意匠性などの諸特性に優れ、合成皮革や人工皮革などの用途に適用可能なシート状物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、風合いや触感、耐摩耗性、意匠性などの諸特性に優れるポリウレタン樹脂の発泡単一層の開発に成功し、本発明の成功に至った。
すなわち、本発明は第1に、単一層内にホットメルトウレタンプレポリマー及びウレタン硬化剤の硬化反応により発生したガスにより形成された発泡部と目視可能な気泡が実質上存在しない厚さが5〜200μmの無発泡部を有するポリウレタン樹脂の発泡単一層をもつシート状物であって、該発泡単一層の表層が無発泡部であることを特徴とするシート状物である。
本発明は第2に、発泡単一層の裏面側に繊維質基材を有することを特徴とする上記シート状物である。
本発明は第3に、発泡単一層の表面側に水系ポリウレタン樹脂表面処理層を有することを特徴とする上記シート状物である。
本発明は第4に、ホットメルトウレタンプレポリマーを離型性基材に塗布した後、該ホットメルトウレタンプレポリマーが流動性を維持している状態にてその塗布表面にウレタン硬化剤をそれ自身が流動性を維持している状態で塗布し、両者が流動性を維持している状態で発泡硬化反応を行うことを特徴とする表層部が無発泡層によって構成されているポリウレタン樹脂の発泡単一層をもつシート状物の製造方法である。
本発明は第5に、ウレタン硬化剤の塗布をスプレー塗布で行うことを特徴とする上記の方法である。
本発明は第6に、ホットメルトウレタンプレポリマーがウレタンポリオールプレポリマーであり、ウレタン硬化剤がポリイソシアネートであることを特徴とする上記の方法である。
本発明は第7に、ホットメルトウレタンプレポリマーがウレタンポリイソシアネートプレポリマーであり、ウレタン硬化剤がポリオールであることを特徴とする上記の方法である。
本発明は第8に、ホットメルトウレタンプレポリマーおよび/またはウレタン硬化剤にあらかじめウレタン化触媒を添加することを特徴とする上記の方法である。
本発明は第9に、得られたポリウレタン樹脂の発泡単一層が流動性を維持している状態のうちにウレタン硬化剤を塗布した面側に繊維質基材を接触させて両者を貼り合せることを特徴とする上記の方法である。
本発明は第10に、得られたポリウレタン樹脂の発泡単一層が流動性を維持している状態のうちにウレタン硬化剤を塗布した面側に離型性基材を接触させて両者を貼り合せることを特徴とする上記の方法である。
本発明は第11に、ホットメルトウレタンプレポリマーを塗布した離型性基材を剥離した後、この離型性基材を剥離した面側を、水系ポリウレタン樹脂で表面処理することを特徴とする上記の方法である。
本発明によれば、風合いや触感、耐摩耗性、意匠性などの諸特性に優れ、合成皮革や人工皮革などの用途に適用可能なシート状物を、溶剤を用いることなく、かつ簡単な方法で提供することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1〜3は本発明のシート状物の概念断面図であり、図1は本発明のポリウレタン樹脂の発泡単一層を示し、図2は図1の発泡単一層に繊維質基材を貼り付けた二層構造を示し、図3は図2の二層構造にさらに水系ポリウレタン樹脂表面処理層を配した三層構造を示す。図4は本発明のシート状物の好ましい製造工程図を示す。図5は実施例で得た二層構造シート状物の電子顕微鏡結果写真を示す。
本発明のシート状物は、図1に示すように、ポリウレタン樹脂の発泡単一層をもち、該発泡単一層の表層部が無発泡層によって構成されているものである。
ポリウレタン樹脂の発泡単一層は、同層中に厚み方向に発泡部と無発泡部を有するため、天然皮革と同様の密度構成になり、より天然皮革に近い風合いや触感を得ることができる。また、表層部が無発泡部になるため、顔料などの着色剤を樹脂中に混合して着色した場合に、発泡による白化が無く深色表現が可能になり、意匠性を向上することができる。また、単一層内に発泡部と無発泡部を有するため、発泡部と無発泡部の間で層間剥離が起きず、耐摩耗性が良好なものとなる。本発明において単一層の無発泡部(層)側の面を表面といい発泡部(層)側の面を裏面という。
発泡単一層の厚みは50〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは200〜400μmである。厚みが50μm未満であると、ポリウレタン樹脂の単一層内に、発泡部と無発泡部を有しめることが困難となり、上記効果が得られない虞がある。厚みが2000μmを超えると、硬く、風合いや触感が損なわれる虞がある。
本発明のシート状物を構成する発泡単一層は、ホットメルトウレタンプレポリマーを離型性基材に塗布した後、該ホットメルトウレタンプレポリマーが流動性を維持している状態にてその塗布表面にウレタン硬化剤をそれ自身が流動性を維持している状態で塗布し、両者が流動性を維持している状態で発泡硬化反応を行うことによって好ましく製造される。
本発明で用いられるホットメルトウレタンプレポリマーとしては、分子末端に水酸基を有するウレタンポリオールプレポリマーや、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンポリイソシアネートプレポリマーを挙げることができる。
ここで、ウレタンプレポリマーが有するホットメルト性は、分子構造に起因する性質であり、常温では固体ないしは基材に塗布困難な程度に粘稠な状態であるが、熱を加えると溶融して液状になり、冷却により再度凝集力が発現する性質をいう。このホットメルト性を有するウレタンプレポリマーを用いることにより、加熱溶融状態で基材に塗布することができるため、人体や環境に悪影響を及ぼす有機溶剤を使用する必要がなく、製造工程で有機溶剤を除去する工程も不要となって、エネルギー負荷や製造コストを軽減することができるのである。
ウレタンポリオールプレポリマー、ウレタンポリイソシアネートプレポリマーのいずれも、ポリオールとポリイソシアネートを反応させることにより得ることができる。
ホットメルトウレタンプレポリマーを製造する際に使用可能なポリオールは特に限定されるものでなく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、シリコン変性ポリオールなどを挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合せて用いることができる。なかでも、耐加水分解性の点からポリエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールが好ましく、耐光性の点からポリカーボネートポリオールがより好ましい。
一方、ホットメルトウレタンプレポリマーを製造する際に使用可能なポリイソシアネートも特に限定されるものでなく、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートあるいは脂環族ジイソシアネート、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の2量体および3量体を含むポリメリックMDIなどを挙げることができる。なかでも、硬化反応のコントロールが容易であるという点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。
本発明で用いられるウレタンポリオールプレポリマーは、上記ポリオールとポリイソシアネートとを、ポリオールが有する水酸基が、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基に対して過剰となる条件で反応させることにより得ることができる。この際、水酸基/イソシアネート基の当量比は1.1〜2.5であることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.0である。当量比が1.1未満であると、プレポリマーの両末端を水酸基とすることが難しく、イソシアネート基が周囲の湿気と反応することにより分子量が増加し、粘度が増加する結果、作業性が悪くなる虞がある。当量比が2.5を超えると、湿気硬化反応がほとんど起こらず、プレポリマーの分子量が小さくなるため、硬化して得られるポリウレタン樹脂の物性が不良となる虞がある。
一方、本発明で用いられるウレタンポリイソシアネートプレポリマーは、上記ポリオールとポリイソシアネートとを、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基が、ポリオールが有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることにより得ることができる。この際、イソシアネート基/水酸基の当量比は1.1〜5.0であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.0である。当量比が1.1未満であると、プレポリマーに水酸基が残り、硬化して得られるポリウレタン樹脂において加水分解が起こり易く、物性が不良となる虞がある。当量比が5.0を超えると、安定性が悪く、イソシネート基が周囲の湿気と反応する虞がある。
本発明で用いられるホットメルトウレタンプレポリマーを製造するには、公知慣用の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、ポリイソシアネートに水分を除去したポリオールを滴下、または水分を除去したポリオールにポリイソシアネートを混合後、加熱してバッチ方式で反応させる方法、あるいは水分を除去したポリオールとポリイソシアネートを加熱して、所定の比率で押出機に投入して連続押出反応方式で前記ポリオールが有する水酸基が無くなるまで反応させる方法などを採用することができる。
ホットメルトウレタンプレポリマーには、必要に応じて、ウレタン化触媒、ウレタン硬化剤、シランカップリング剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、不活性気体、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤などの任意成分を、1種または2種以上組み合せて用いることができる。なお、これら任意成分は、無溶剤のものを選択する必要がある。
上記任意成分のなかでも、ウレタン化触媒をあらかじめホットメルトウレタンプレポリマーに添加しておくことが好ましい。これにより、本発明のシート状物を製造する際に、ホットメルトウレタンプレポリマーの硬化反応が速く進むため、エージング時間を短縮することが可能になり工程負荷が軽減される。
ウレタン化触媒は特に制限されるものでなく、例えば、オクチル酸第一錫、ジ−n−ブチル錫ジアセテート、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザ−ビシクロ−(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、DBU−p−トルエンスルホン酸塩、DBU−ギ酸塩、DBU−オクチル酸塩、DBU−フェノール塩、アミン系触媒、モルフォリン系触媒、硝酸ビスマス、塩化錫、塩化鉄などを挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合せて用いることができる。
ウレタン化触媒の使用量は、ホットメルトウレタンプレポリマー100重量部に対して0.3〜3重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜2重量部である。使用量が0.3重量部未満であると、ウレタン化触媒を添加することによる上記効果が得られない虞がある。使用量が3重量部を超えると、ホットメルトウレタンプレポリマーの硬化反応が著しく促進されるために、厚み方向に発泡部と無発泡部を形成することが困難となる虞がある。
次に、本発明で用いられるウレタン硬化剤について説明する。
ホットメルトウレタンプレポリマーとしてウレタンポリオールプレポリマーを用いる場合には、ウレタン硬化剤としてポリイソシアネートを用い、ホットメルトウレタンプレポリマーとしてウレタンポリイソシアネートプレポリマーを用いる場合には、ウレタン硬化剤としてポリオールを用いる。
なお、言うまでもなく、ウレタン硬化剤は無溶剤のものを選択する必要がある。
ウレタンポリオールプレポリマーに対して使用可能なポリイソシアネートは特に限定されるものではなく、例えば、トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リシンイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、アリファネート基を含むポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネートなどを挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合せて用いることができる。なかでも硬化反応のコントロールが容易であるという点では4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましく、硬化して得られるポリウレタン樹脂の黄変が少ないという点ではイソフォロンジイソシアネートが好ましい。
一方、ウレタンポリイソシアネートプレポリマーに対して使用可能なポリオールも特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、シリコン変性ポリオールなどを挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合せて用いることができる。なかでも、耐加水分解性の点からポリエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールが好ましく、耐光性の点からポリカーボネートポリオールがより好ましい。
ウレタン硬化剤には、必要に応じて、ウレタン化触媒を添加することができる。用いることのできるウレタン化触媒およびその使用量は、ホットメルトウレタンプレポリマーの場合と同様である。なお、ホットメルトウレタンプレポリマーおよびウレタン硬化剤の双方にウレタン化触媒を添加することもできる。
本発明のシート状物を製造するには、まず、上記ホットメルトウレタンプレポリマーを離型性基材に塗布する。
ホットメルトウレタンプレポリマーを離型性基材に塗布する方法としては、公知慣用の種々の方法を採用することができ、特に制限されるものではない。例えば、ホットメルトウレタンプレポリマーを流動可能に加熱溶融した状態で、温調制御可能な塗布装置、例えばロールコーター、スプレーコーター、T−ダイコーター、ナイフコーターまたはコンマコーターなどを用いて離型性基材上に塗布する。
ホットメルトウレタンプレポリマーの加熱溶融温度は用いるプレポリマーの溶融特性によって異なるが、通常常温〜150℃の範囲で選択されることが好ましく、より好ましくは40〜120℃である。加熱溶融温度が常温未満であると、ホットメルトウレタンプレポリマーの粘度が高く、塗布時の作業性が悪くなる虞がある。加熱溶融温度が150℃を超えると、硬化反応のコントロールが不可能となる虞がある。
このとき、ホットメルトウレタンプレポリマーの塗布厚は25〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは100〜200μmである。塗布厚を上記範囲に設定することにより、好ましくは50〜2000μm、より好ましくは200〜400μmの厚みを有するポリウレタン樹脂層からなるシート状物を得ることができる。
本発明で用いられる離型性基材は特に限定されるものでなく、ポリウレタン樹脂に対して離型性を有する基材、離型処理を施した基材であればよく、例えば、離型紙、離型処理布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂などからなるオレフィンシートまたはフィルム、フッ素樹脂シートまたはフィルム、離型紙付きプラスチックフィルムなどを挙げることができる。
離型性基材は凹凸模様を有していてもよく、このような離型性基材を用いることにより、シート状物の表面に意匠性を付与することができる。
次いで離型性基材に塗布したホットメルトウレタンプレポリマーが流動性を維持している状態でその表面に、ウレタン硬化剤をスプレーなどにより塗布する。このようにウレタン硬化剤を後添加することにより、ホットメルトウレタンプレポリマーのポットライフを考慮する必要が無い。また、ウレタン硬化剤の種類や量によってホットメルトウレタンプレポリマーの硬化反応を所望の速度に自由にコントロールすることができる。塗布するウレタン硬化剤も当然流動性を維持した状態で塗布される。好ましくはホットメルトウレタンプレポリマーと同程度の温度に加熱して液状で塗布される。
また、本発明における硬化反応は、ホットメルトウレタンプレポリマーとウレタン硬化剤、具体的には、ウレタンポリオールプレポリマーとポリイソシアネート、または、ウレタンポリイソシアネートプレポリマーとポリオールとの反応であるため、反応時に炭酸ガスを発生し、流動状態にあるホットメルトウレタンプレポリマー層ないし樹脂層(ホットメルトウレタンプレポリマー層の硬化反応物)に気泡が生じる。ホットメルトウレタンプレポリマー塗布表面にウレタン硬化剤をスプレーなどにより塗布すると、全体が流動状態にあることから反応成分が浸透しつつ発泡硬化反応が起こり、形成された気泡が一部合体し、且つ比重の関係で樹脂層の上部に移動し、そこにとどまることによって発泡部が形成される。同時に、樹脂層の下部には無発泡部が形成される。こうして、複数の工程を経ることなく簡単な工程により、ポリウレタン樹脂層の厚み方向に順に発泡部と無発泡部を形成することができる。
ウレタン硬化剤の使用量は、ホットメルトウレタンプレポリマー100重量部に対して、3〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは20〜40重量部である。使用量が3重量部未満であると、未反応のホットメルトウレタンプレポリマーが残り、硬化して得られるポリウレタン樹脂の物性が不良となる虞がある。使用量が50重量部を超えると、未反応のウレタン硬化剤が残り、硬化して得られるポリウレタン樹脂の物性が不良となる虞がある。
本発明において、「流動性を維持している状態」とは、所定の成分が溶融ないし軟化していて、塗布されたホットメルトウレタンプレポリマー層内で少なくとも一部発泡硬化反応が起こり且つ気泡が上方に移動可能な状態を維持していることをいい、通常は、前記したように、両反応成分を加熱状態で用い且つ発泡硬化反応と気泡の上方への移動が十分に行なわれる迄、即ち発泡硬化反応の少なくとも主要部、好ましくはほとんどが終了するまで同層が流動性を維持している軟化ないし溶融状態にあるように加熱状態を維持することが好ましい。その間の温度の典型例としては60〜130℃、特に100〜120℃が好ましく、通常は、ウレタン硬化剤を塗布した後、熱処理を行うことによって上記温度を維持することが好ましい。
ウレタン硬化剤の塗布方法としては塗布量の制御容易性等からスプレー塗布が好ましいが、T−ダイ法、エアーナイフ法、シャワーコート法など、ウレタン硬化剤の供給口とホットメルトウレタンプレポリマー塗布面が非接触で塗布可能な他の方法も用いうる。
なお、ホットメルトウレタンプレポリマー層の厚みが大きいものでは全体が十分に硬化せず、得られるポリウレタン樹脂の物性が不良となる虞がある。ホットメルトウレタンプレポリマーとしてウレタンポリイソシアネートプレポリマーを用いる場合には、周囲の湿気と反応して経時的に硬化するものの、ホットメルトウレタンプレポリマーとしてウレタンポリオールプレポリマーを用いる場合には、経時的に硬化することもなく特に問題となり易い。このような硬化不良が懸念される場合には、ウレタン硬化剤をあらかじめホットメルトウレタンプレポリマーに少量添加しておくことができる。
このようにして流動状態を維持することにより、ポリウレタン樹脂の発泡単一層で形成された気泡が上方に移動して下層が無発泡部となる。「無発泡部」、「無発泡層」とは目視可能な気泡が実質上存在しない層状部分をいい、上記単一層全体の厚さの1〜50%、より好ましくは5〜30%程度の厚さの層として存在する。無発泡部の厚みの絶対値として5〜200μmであることが好ましく、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。厚みが5μm未満であると、耐摩耗性が不良となる虞がある。厚みが200μmを超えると、硬く、風合いや触感が損なわれる虞がある。
次いで発泡硬化反応が進行し、無発泡部が形成された後、流動性を維持している状態、即ち上記単一層が粘稠性を有する状態のうちに、上記単一層の発泡部面側に離型性基材(便宜的に、第2の離型性基材という場合もある)をさらに貼り合せ、室温まで冷却しエージング処理を行うことが好ましい。ウレタン硬化剤の種類や量などの条件によっては、特段エージング時間を設けないでおくことも可能である。また、硬化反応が直ちに完了する条件にあっては、第2の離型性基材の貼り合せを省略することも可能である。
離型性基材を剥離して得られる本発明のシート状物は、それ単独で、また他の基材類と接着して、合成皮革、玩具、装丁、自動車の内装、インテリア、鞄など各種用途に適用することができる。なかでも、ポリウレタン樹脂層の発泡部面側(裏面側)に繊維質基材、例えば、織物、編物、不織布などの布帛や、天然皮革などを貼り合せて得られる積層物は、天然皮革に近い風合いや触感をもちながら、優れた耐摩耗性を示す。
上記の単一層の発泡部面側に他の基材類を積層した構成のシート状物のより好ましい態様は、上記の第2の離型性基材の代りに、上記単一層が粘稠性を有する状態のうちに他の基材類、好ましくは繊維質基材を直接貼り合せて積層物を得る態様である。これにより、接着剤を用いてシート状物と他の基材類を貼り合せるための別途の工程を省略することが可能である。
このようにして得られた本発明のシート状物の無発泡部面側(表面側)を水系ポリウレタンで表面処理すると、耐摩耗性や意匠法をより向上させることができる。ここで、「水系ポリウレタン樹脂」とは、実質的に有機溶剤を含まない、エマルジョンタイプのポリウレタン樹脂であり、その具体例としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系などを挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合せて用いることができる。なかでも、耐摩耗性向上の観点からポリカーボネート系が好ましい。また、水系ポリウレタン樹脂のイソシアネート成分としては、樹脂の黄変が少ないという点で脂肪族系イソシアネートが好ましく、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートがより好ましい。
水系ポリウレタン樹脂には必要に応じて、シランカップリング剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤などの任意成分を、1種または2種以上組み合せて用いることができる。
水系ポリウレタン樹脂を表面処理する方法として、公知慣用の方法を採用することができ、例えば、転写、グラビア、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、リバースコーターなどを用いて表面処理することが可能であるが、なかでもリバースコーターにて表面処理をすることが好ましい。リバースコーターを用いることにより、薄くて均一な水系ポリウレタン樹脂表面処理層を形成することが可能である。
このように本発明のシート状物の発泡単一層の無発泡部面側に、水系ポリウレタン樹脂による表面処理を行うことにより、耐摩耗性の一層の向上が可能である。また、水系ポリウレタン樹脂にあらかじめ顔料などの着色剤を添加した場合には、簡便に所望の色再現ができるうえ、例えば、ポリウレタン樹脂層の色相と、表面処理層の色相を異ならせることにより、セミアニリン仕上げ調(シボと非シボ部分の色が異なる)を表現できるなど、意匠性を向上することが可能である。
図4に本発明の方法の好ましい実施方法を示す。
離型性基材9を送行させつつ、その上にホットメルトウレタンプレポリマー7を溶融塗布し、コンマコーター10を通して一定塗布層とし、スプレー11により加熱したウレタン硬化剤8を塗布し、セッター12中で加熱処理しつつ発泡硬化反応を行ない、他方繊維質基材5を送行させて、セッター12に出たウレタン硬化剤塗布表面側と接触させマングル13を通して貼り合せてシート状物1を得る。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各評価試験は以下の方法に従った。
[耐摩耗性]
幅70mm、長さ300mmの大きさの試験片を、タテ、ヨコ各方向からそれぞれ1枚採取し、裏面に幅70mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームを添える。綿布をかぶせた摩擦子に荷重9.8Nを掛けて試験片を摩耗する。摩擦子は試験片の表面上140mmの間を60往復/分の速さで10000回往復摩耗する。摩耗後の試験片を観察し、下記の基準に従って判定した。
○:樹脂層に亀裂、破れが無い
△:樹脂層に亀裂が発生した
×:樹脂層に破れが発生した
[風合い]
パネラーによる官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。
○:柔らかく、天然皮革調の触感を有する
△:硬い、又はゴムライクな触感を有する
×:硬く、ゴムライクな触感を有する
「意匠性]
パネラーによる官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。
○:樹脂層に白化が見られない
△:樹脂層に白化がわずかに見られる
×:樹脂層に白化が顕著に見られる
[折れシワ]
パネラーによる官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。
○:天然皮革調の細やかな折れシワが見られる
△:やや粗い折れシワが見られる
×:ペーパーライクな粗い折れシワが見られる
また、ホットメルトウレタンプレポリマーは以下のように製造した。
[ウレタンポリオールプレポリマー]
60℃に保温した1リットルの4ツ口フラスコに、数平均分子量が2000のポリエステルポリオールを80部、数平均分子量が2000のポリカーボネートポリオールを50部、数平均分子量が1000のポリエーテルポリオールを10部入れて撹拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を15部入れてイソシアネート基が無くなるまで80℃にて撹拌し、ウレタンポリオールプレポリマーを得た。
[ウレタンポリイソシアネートプレポリマー]
60℃に保温した1リットルの4ツ口フラスコに、数平均分子量が1000のポリエステルポリオールを10部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を11部入れてポリオール基が無くなるまで80℃にて撹拌し、ウレタンポリイソシアネートプレポリマーを得た。
ホットメルトウレタンプレポリマーとして100℃に加熱溶融したウレタンポリイソシアネートプレポリマー100重量部に、着色剤としてカーボンブラック顔料(ポリトンブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)を3重量部添加、混合したものを、コンマコーターにて絞模様を有する離型紙(R−8、リンテック株式会社製)に厚みが150μmとなるようにシート状に塗布した。
次いで、ウレタン硬化剤として100℃に加熱溶融したウレタンポリオールプレポリマーを、ウレタンポリイソシアネートプレポリマー100重量部に対して20重量部となるようにスプレー塗布した後、130℃で2分間熱処理して、ポリウレタン樹脂層を形成した。
樹脂層が粘調性を有する状態で、ポリプロピレンフィルムと貼り合せて、樹脂層の厚みが300μmとなるようマングルにて圧締した後、室温まで冷却し3日間放置後、離型紙とポリプロピレンフィルムを剥離して、本発明のシート状物を得た。評価結果を表1に示す。
ホットメルトウレタンプレポリマーとして100℃に加熱溶融したウレタンポリオールプレポリマー100重量部に、着色剤としてカーボンブラック顔料(ポリトンブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)を3重量部添加、混合したものを、コンマコーターにて絞模様を有する離型紙(R−8、リンテック株式会社製)に厚みが150μmとなるようにシート状に塗布した。
次いで、ウレタン硬化剤として100℃に加熱溶融したウレタンポリイソシアネートプレポリマーを、ウレタンポリオールプレポリマー100重量部に対して30重量部となるようにスプレー塗布した後、130℃で2分間熱処理して、ポリウレタン樹脂層を形成した。
樹脂層が粘調性を有する状態で、ポリプロピレンフィルムと貼り合せて、樹脂層の厚みが300μmとなるようマングルにて圧締した後、室温まで冷却し1日間放置後、離型紙とポリプロピレンフィルムを剥離して、本発明のシート状物を得た。評価結果を表1に示す。
ホットメルトウレタンプレポリマーとしてウレタンポリオールプレポリマー100重量部に、ウレタン化触媒としてトリエチレンジアミン(TEDA、TOSOH株式会社製)を1重量部添加後、100℃に加熱溶融したものに、着色剤としてカーボンブラック顔料(ポリトンブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)を3重量部添加、混合したものを、コンマコーターにて絞模様を有する離型紙(R−8、リンテック株式会社製)に厚みが150μmとなるようにシート状に塗布した。
これ以降は、実施例2と同様にして本発明のシート状物を得た。評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂層を形成した。
樹脂層が粘調性を有する状態で、起毛トリコット布帛の非起毛面側と貼り合せて、樹脂層の厚みが300μmになるようマングルにて圧締した後、室温まで冷却し3日間放置後、離型紙を剥離して、本発明のシート状物を得た。評価結果を表1に示す。また得られたシート状物断面の電子顕微鏡による写真(50倍)を図5に示す。
ウレタン硬化剤として50℃に加熱溶解したポリエステル系ポリオール(BASF−14BD、BASF出光株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂層を形成した。
これ以降は、実施例4と同様にして本発明のシート状物を得た。評価結果を表1に示す。
ホットメルトウレタンプレポリマーとしてウレタンポリオールプレポリマー100重量部に、ウレタン化触媒としてトリエチレンジアミン(TEDA、TOSOH株式会社製)を1重量部添加後、100℃に加熱溶解したものに、ウレタン硬化剤として100℃に加熱溶融したウレタンポリイソシアネートプレポリマーを3重量部、着色剤としてカーボンブラック顔料(ポリトンブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)を3重量部添加、混合したものを、コンマコーターにて絞模様を有する離型紙(R−8、リンテック株式会社製)に厚みが200μmとなるようにシート状に塗布した。
次いで、ウレタン硬化剤としてさらに100℃に加熱溶融したウレタンポリイソシアネートプレポリマーを、ウレタンポリオールプレポリマー100重量部に対して30重量部となるようにスプレー塗布した後、130℃で2分間熱処理して、ポリウレタン樹脂層を形成した。
樹脂層が粘調性を有する状態で、起毛トリコット布帛の非起毛面側と貼り合せて、樹脂層の厚みが400μmとなるようマングルにて圧締した後、室温まで冷却し1日間放置後、離型紙を剥離した。
さらに、離型紙を剥離した側の樹脂層表面に、水系ポリウレタン樹脂(WLS210、大日本インキ化学工業株式会社製)をグラビアロールコーターにて30g/m2(ウェット重量)となるように塗布した後、110℃で2分間乾燥して、本発明のシート状物を得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ウレタン硬化剤としてウレタンポリオールプレポリマー30重量部に、ウレタン化触媒としてトリエチレンジアミン(TEDA、TOSOH株式会社製)を1重量部添加後、100℃に加熱溶解した。
ホットメルトウレタンポリマーとして100℃に加熱溶融したウレタンポリイソシアネートプレポリマー100重量部に、ウレタン硬化剤として上記ウレタン化触媒含有ウレタンポリオールプレポリマーを、ウレタンポリオールプレポリマー換算で30重量部、着色剤としてカーボンブラック顔料(ポリトンブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)を3重量部添加、混合したものを、コンマコーターにて絞模様を有する離型紙(R−8、リンテック株式会社製)に厚みが200μmとなるようにシート状に塗布した後、130℃で2分間熱処理して、ポリウレタン樹脂層を形成した。
樹脂層が粘調性を有する状態で、起毛トリコット布帛の非起毛面側と貼り合せて、樹脂層の厚みが400μmとなるようマングルにて圧締した後、室温まで冷却し3日間放置後、離型紙を剥離した。
さらに、離型紙を剥離した側の樹脂層表面に、水系ポリウレタン樹脂(WLS210、大日本インキ化学工業株式会社製)をグラビアロールコーターにて30g/m2(ウェット重量)となるように塗布した後、110℃で2分間乾燥して、シート状物を得た。評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
熱膨張性樹脂1および2、ならびに着色樹脂を以下の処方にて調製した。
熱膨張性樹脂1を、グラビアロールコーターにて起毛トリコット布帛の非起毛面側に120g/m2(ウェット重量)となるように塗布した後、90℃で3分間乾燥した。
着色樹脂1を、コンマコーターにて絞模様を有する離型紙(R−8、リンテック株式会社製)に厚みが50μmとなるようにシート状に塗布、乾燥して、ポリウレタン皮膜を形成した。次いで、熱膨張性樹脂2を、ナイフコーターにて上記皮膜上に厚みが100μmとなるようにシート状に塗布した後、直ちに、起毛トリコット布帛の樹脂面側と貼り合せて、90℃で3分間乾燥、さらに、熱膨張性粒子を膨張させるために110℃で30秒間熱処理した。室温まで冷却後、離型紙を剥離して、樹脂部の厚みが400μmのシート状物を得た。評価結果を表1に示す。
熱膨張性樹脂1
ウレタン樹脂 100重量部
(ボンディック1510、大日本インキ化学工業株式会社製)
水 50重量部
熱膨張性粒子 30重量部
(マツモトマイクロスフィアーF−50、松本油脂製薬株式会社製)
粘度を2000cpsに調整した。
熱膨張性樹脂2
ウレタン樹脂 100重量部
(クリスボン4070、大日本インキ化学工業株式会社製)
架橋剤 15重量部
(クリスボンCL−2、大日本インキ化学工業株式会社製)
架橋剤 3重量部
(クリスボンAccel HM、大日本インキ化学工業株式会社製)
トルエン 20重量部
熱膨張性粒子 10重量部
(マツモトマイクロスフィアーF−50、松本油脂製薬株式会社製)
粘度を1500cpsに調整した。
着色樹脂
ウレタン樹脂 100重量部
(クリスボンNY−328、大日本インキ化学工業株式会社製)
架橋剤 2重量部
(バーノックDN−950、大日本インキ化学工業株式会社製)
カーボンブラック顔料 10重量部
(ポリトンブラック、大日本インキ化学工業株式会社製)
DMF 40重量部
粘度を3000cpsに調整した。
本発明の一ポリウレタン樹脂の発泡単一層を示す概念断面図。 図1の発泡単一層に繊維質基材を貼り合せた二層構造の概念断面図。 図2の二層構造にさらに水系ポリウレタン樹脂表面処理層を配した三層構造の概念断面図。 本発明のシート状物の好ましい製造工程図。 実施例4で得た二層構造シート状物の電子顕微鏡写真。
符号の説明
1 シート状物
2 樹脂層
3 発泡部
4 無発泡部
5 繊維質基材
6 水系ポリウレタン樹脂層
7 ホットメルトウレタンプレポリマー
8 ウレタン硬化剤
9 離型性基材
10 コンマコーター
11 スプレー
12 セッター
13 マングル

Claims (11)

  1. 単一層内にホットメルトウレタンプレポリマー及びウレタン硬化剤の硬化反応により発生したガスにより形成された発泡部と目視可能な気泡が実質上存在しない厚さが5〜200μmの無発泡部を有するポリウレタン樹脂の発泡単一層をもつシート状物であって、該発泡単一層の表層が無発泡部であることを特徴とするシート状物。
  2. 発泡単一層の裏面側に繊維質基材を有することを特徴とする請求項1に記載のシート状物。
  3. 発泡単一層の表面側に水系ポリウレタン樹脂表面処理層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物。
  4. ホットメルトウレタンプレポリマーを離型性基材に塗布した後、該ホットメルトウレタンプレポリマーが流動性を維持している状態にてその塗布表面にウレタン硬化剤をそれ自身が流動性を維持している状態で塗布し、両者が流動性を維持している状態で発泡硬化反応を行うことを特徴とする表層部が無発泡層によって構成されているポリウレタン樹脂の発泡単一層をもつシート状物の製造方法。
  5. ウレタン硬化剤の塗布をスプレー塗布で行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. ホットメルトウレタンプレポリマーがウレタンポリオールプレポリマーであり、ウレタン硬化剤がポリイソシアネートであることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
  7. ホットメルトウレタンプレポリマーがウレタンポリイソシアネートプレポリマーであり、ウレタン硬化剤がポリオールであることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
  8. ホットメルトウレタンプレポリマー及び/またはウレタン硬化剤にあらかじめウレタン化触媒を添加することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 得られたポリウレタン樹脂の発泡単一層が流動性を維持している状態のうちにウレタン硬化剤を塗布した面側に繊維質基材を接触させて両者を貼り合せることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 得られたポリウレタン樹脂の発泡単一層が流動性を維持している状態のうちにウレタン硬化剤を塗布した面側に離型性基材を接触させて両者を貼り合せることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. ホットメルトウレタンプレポリマーを塗布した離型性基材を剥離した後、この離型性基材を剥離した面側を、水系ポリウレタン樹脂で表面処理することを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の方法。
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