本発明の苗移植機の一例としての田植機について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる実施の形態1の乗用型の田植機1の左側面構成図である。図2は、本実施の形態1の田植機1の平面構成図である。
図1及び図2に示すように、この田植機1は、施肥装置付き乗用型であり、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して植え付け装置4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10、10及び左右一対の後輪11、11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13、13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13、13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10、10が各々取り付けられている。
又、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18、18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18、18から外向きに突出する後輪車軸11aに後輪11、11が取り付けられている。この後輪ローリング軸に隣接して後輪11の回転数を検出する回転センサ104が設けられている。このような構造によって、後輪11が回転しても検出された回転数が安定する。この回転センサ104が、本発明の走行検知部材の一例に対応する。
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13、13に伝達されて前輪10、10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18、18に伝達されて後輪11、11を駆動する。また、ミッションケース12の右側面側より取り出された外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植え付けクラッチケースに伝達され、それから植え付け伝動軸26によって植え付け装置4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。尚、エンジン20近くのマフラー46はエンジン20の左側でリンクベースフレーム42の近くの外側に配置されており、エンジン20を冷却する冷却ファンはエンジン20の右側面にあって冷却風は機体右側から左側に排風される構成となっている。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10、10を操向操作するハンドル34が設けられている。
ハンドル34の下側のフロントカバー32上には、変形圃場での旋回であることを指示する旋回指示スイッチ107が設けられている。本発明の旋回指示装置の一例に対応する旋回指示スイッチ107は、変形圃場の端部分における旋回を行う際に、作業者がスイッチを入れることによって、変形圃場における旋回であることを、後述する制御部106に指示する。この旋回指示スイッチ107は、図3(a)に示すように、変形圃場の端の傾斜方向が、第1の傾斜方向であることを指示する位置P1、第2の傾斜方向であることを指示する位置P2と、指示をしない位置P0に切替可能である。ここで圃場の端Wの第1の傾斜は、図3(b)に示すように、走行車体2が近づく場合に端Wからの距離が右側よりも左側の方が近くなるような傾斜である。一方、圃場の端Wの第2の傾斜は、図3(c)に示すように、走行車体2が近づく場合に端Wからの距離が左側よりも右側の方が近くなるような傾斜である。
なお、上記旋回指示スイッチ107は、指示しない状態と、第1の傾斜方向であることを指示する状態、第2の傾斜方向であることを指示する状態と、3つの指示状態に切り替えることが出来るが、2つのスイッチに分けても良い。例えば、指示条状態と未指示状態を切り替える第1のスイッチと、第1の傾斜方向であることを指示する状態と第2の傾斜方向であることを指示する状態を切り替える第2のスイッチの2つのスイッチが設けられていても良い。この場合、第1のスイッチを指示状態にしたときに、第2のスイッチが有効となる構成としてもよい。
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の左右側には貫通孔が多数設けられた格子状部(図2参照)が形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右前輪10,10を目視することができて操縦が容易になる構成としていると共に、該フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38、38
が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41、41を備えている。これらリンク40、41、41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に植え付け装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として植え付け装置4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ25が設けられており、昇降油圧シリンダ25を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、植え付け装置4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
次に、走行車体2の後端に設けられている植え付け装置4の構成について説明する。
本実施の形態における植え付け装置4は、6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける植え付け部52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ184等を備えている。
植え付け部52は、条毎に設けられており、図2に示すように左側面側から52a、52b、52c、52d、52e、52fと符号をする。尚、区別する必要のない場合には、植え付け部52と記載する。それぞれの植え付け部52では、回転プレート521に2つの植え付け爪522が配置され、回転プレート521が回転することにより、2つの植え付け爪522が交互に一株分の苗を植え付けていく。また、本実施の形態では、2つの植え付け部52の回転プレート521は、1つの回転軸101によって回転する。すなわち、右側面側の2つの植え付け部52a、52bは、回転軸101gによって回転し、中央側の2つの植え付け部52c、52dは、回転軸101hによって回転し、左側面側の2つの植え付け部52e、52fは、同じ回転軸101iによって回転する。
尚、上記植え付け部52a、植え付け部52b及び回転軸101gを含む部分を植え付け部組108gとし、植え付け部52c、植え付け部52d、及び回転軸101hを含む部分を植え付け部組108hとし、植え付け部52e、植え付け部52f、及び回転軸101iを含む部分を植え付け部組108iとする。
植え付け装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56、56がそれぞれ設けられている。これらフロート55、56、56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55、56、56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植え付け部52、…により苗が植付けられる。各フロート55、56、56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植え付け作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎い角センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ25を制御する油圧バルブを切り替えて植え付け装置4を昇降させることにより、苗の植え付け深さを常に一定に維持する。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55、56、56の左右両側に取り付けた施肥ガイド62a…まで導き、施肥ガイド62a…の前側に設けた作溝体62b、…によって苗植え付け条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
植え付け装置4には整地を行うためのロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は植え付け装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65に支持されている。この支持枠体65は、支持ローラ65aと、両側辺部材65bとを有しており、苗載台51が、支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする。
本実施例では植え付け部組108g、108h、108iにエンジン動力を伝達させるための畦クラッチ(図示せず)が畦クラッチレバー19(図2)の操作により切りになると、ロータ昇降用モータが作動して自動的にロータ27a,27bを下降させて整地作業を行わせる構成になっている。このことにより、圃場内において荒れやすい枕地又は枕地の近くを確実に整地することができる。
又、図1に示すように、本発明の操舵部材の一例に対応するハンドル34の回転軸であるハンドル軸103には、ハンドル34による操舵を検知するための操舵検知装置102が設けられている。この操舵検知装置102は、ポテンショメータなどから構成されている。この操舵検知装置102が、本発明の旋回検知装置の一例に対応する。
次に、本実施の形態の畦クラッチ105の自動制御の構成について説明する。
図4は、本発明にかかる実施の形態の制御の構成を示す図である。図4に示すように、本実施の形態の田植機1には、植え付け部組108g、108h、108iへのそれぞれの駆動を入切するための畦クラッチ105g、105h、105iが設けられている。そして、旋回指示スイッチ107からの信号と、操舵検知装置102からの信号と、左右の後輪のそれぞれに設けられた回転センサ104からの信号によって、複数の畦クラッチ105g、105h、105iの制御を行う制御部106が設けられている。尚、畦クラッチ105g、105h、105iは、手動でも入切を行うことが可能であり、手動で入切を行うための畦クラッチレバー19g、19h、19iが設けられている(図2参照)。又、畦クラッチ105g、105h、105iが、本発明の部分条クラッチの一例に対応し、畦クラッチレバー19g、19h、19iが、本発明の部分条操作装置の一例に対応する。
次に、本実施の形態の田植機1の自動制御の動作について説明する。
はじめに、第1の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の旋回後の畦クラッチ105の自動制御(以下、第1の制御ともいう)について説明する。
図5は、変形圃場における田植え動作を説明するための平面図である。図5に示すように、平面視において端Wが斜辺に形成されている圃場において、田植機1が右旋回を行う場合について説明する。図5に示す圃場では、圃場の端Wは、走行車体2が端Wに向かう場合に、走行車体2の右側よりも左側の方が端Wからの距離が近くなるように傾斜している。すなわち、圃場の端Wは、図3(b)に示す第1の傾斜である。ここで、最後に田植機1で枕地に田植えを行うためには、枕地を圃場の端Wと平行に形成する必要がある。
図6は、圃場の端Wの方向に近づいていく時の田植機1の動作を示す平面図である。
圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、次に旋回する方向を考慮して、手動で畦クラッチレバーを段階的に切り状態にする。すなわち、ここでは、右旋回を行うため、はじめに植え付け部組108gを停止させるために、畦クラッチレバー19gを動かし、畦クラッチ105gを切り状態とする。その後、例えば図6に示すように、2株苗を植え付けた時点で、畦クラッチレバー19hを動かし、畦クラッチ105hを切り状態として植え付け部組108hが停止する。そして、更に2株植え付けてから、畦クラッチレバー19iを動かし、畦クラッチ105iを切り状態として植え付け部組108iが停止する。
このように作業者が動作することによって、図6に示すように、圃場の端Wと平行に苗Nを植え付けことが出来る。尚、上述した適切な距離とは、畦クラッチレバー108iを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLaになっているような距離のことであり、距離Laは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。距離Laは、後述するLbと同じ長さにしてもよい。
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図5及び図6に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図3(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を位置P1に移動する。
この動作により、制御部106は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
そして、作業者がハンドル34を右方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部106に伝えられる。
続いて、回転センサ104からのパルスによって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部106へと送られる。制御部106は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、畦クラッチ105gを入り状態にして植え付け部組108gを動作させ、左側面側の2条の植え付けを開始する。
図7は、圃場の端Wから遠ざかる時の田植機1の動作を示す平面図である。
制御部106は、植え付け部組108iによる植え付けを開始してから、回転センサ104による回転数に基づいて、2株苗Nを植え付けてから畦クラッチ105hを入り状態にして植え付け部組108hを自動で動作させ、中央の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、畦クラッチ105iを入り状態にして植え付け部組108gを自動で動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始させる。そこからは、全ての植え付け部組108g、108h、108iを動作させて、6条の植え付けが行われる。尚、図7に示すように、予め設定されている所定の回転数は、植え付け部組108iによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wに近い箇所から、植え付け部組108iにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように設定されている。尚、植え付け装置4を自動で降下させる際には、次の植え付け作業を行う部分に線引きするための線引きマーカ184も自動で降下する。
以上のように、旋回指示スイッチ107によって指示された傾斜方向と、ハンドル34の操舵方向によって、旋回後の植え付けタイミングと、植え付け部組108g、108h、108iの動作順が決定される。
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の旋回後の畦クラッチ105の自動制御(以下、第2の制御ともいう)について説明する。
すなわち、図8に示すように、圃場の端Wは、走行車体2が端Wに近づく場合、走行車体2の左側より右側の方が、端Wからの距離が近くなるように斜辺の向きが形成されている。このような圃場の端Wにおいて、左旋回を行う場合について説明する。
圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、旋回方向を考慮して、手動で畦クラッチレバー19を段階的に切り状態にする。すなわち、植え付け部組108iを停止させるために、畦クラッチレバー19iを動かし、畦クラッチ105iを切り状態とする。その後、2株苗を植え付けてから畦クラッチレバー19hを動かし、畦クラッチ105hを切り状態として植え付け部組108hが停止する。そして、更に2株植え付けた時点で、畦クラッチレバー19gを動かし、畦クラッチ105gを切り状態として植え付け部組108gが停止する。尚、上述した適切な距離とは、畦クラッチ108gを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLaになっているような距離のことである。距離Laは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図8に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図3(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を位置P2に移動する。
作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部106に伝えられる。
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部106へと送られる。制御部106は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、畦クラッチ105iを入り状態にして植え付け部組108iを動作させ、車体右側面側の2条の植え付けを開始させる。そして、上記と同様に、2株苗Nを植え付けてから植え付け部組108hを動作させ、中央の2条の植え付けを開始し、更に2株苗Nを植え付けてから、植え付け部組108gを動作させ、左側面側の2条の植え付けを開始させる。尚、予め設定されている所定の回転数は、植え付け部組108gによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wに近い箇所から、植え付け部組108gにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように、設定されている。
次に、第1の傾斜方向を有する圃場の端において左旋回を行う場合の旋回後の畦クラッチ105の自動制御(以下、第3の制御ともいう)について説明する。
図9は、圃場の端Wが、第1の傾斜方向である場合において、田植機1を左旋回させる動作を説明するための平面図である。この場合、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回直前の状態における走行車体2から端Wまでの距離Lbが、圃場の端Wから遠ざかる方向に旋回する図5の距離Laよりも長くなっている。又、圃場の端Wからの枕地の幅Tbも、図5の枕地の幅Taよりも大きくなることになる。
圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、旋回方向を考慮して、手動で畦クラッチ105g、105h、105iを段階的に切り状態にする。すなわち、植え付け部組108gを停止させるために、畦クラッチレバー19gを動かし、畦クラッチ105gを切り状態とする。その後、図9に示すように、2株苗を植え付けた時点で、畦クラッチレバー19hを動かし、畦クラッチ105hを切り状態として植え付け部組108hが停止する。そして、更に2株植え付けてから、畦クラッチレバー19iを動かし、畦クラッチ105iを切り状態として植え付け部組108iが停止する。尚、上述した適切な距離とは、畦クラッチレバー108iを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLbになっているような距離のことである。距離Lbは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図9に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第1の傾斜方向(図3(b)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を位置P1に移動する。
この動作により、制御部106は田植機1が第1の傾斜方向の変形圃場の端において旋回を行うことを認識する。
そして、作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部106に伝えられる。
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(左側の後輪11)の回転数が検知され、制御部106へと送られる。制御部106は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、畦クラッチ105gを入り状態にして植え付け部組108gを動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始する。
制御部106は、植え付け部組108gによる植え付けを開始してから、2株苗Nを植え付けてから畦クラッチ105hを入り状態にして植え付け部組108hを自動で動作させ、中央の2条の植え付けを開始させる。この2株苗Nを植え付けたことは、回転センサ104から一定距離分のパルスを検出することによって検出される。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、畦クラッチ105iを入り状態にして植え付け部組108iを自動で動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始させる。そこからは、全ての植え付け部組108g、108h、108iを動作させて、6条の植え付けが行われる。尚、予め設定されている所定の回転数は、植え付け部組108gによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wに近い箇所から、植え付け部組108gにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように設定されている。
次に、第2の傾斜方向を有する圃場の端において右旋回を行う場合の旋回後の畦クラッチ105の自動制御(以下、第4の制御ともいう)について説明する。
図10は、圃場の端Wが、第2の傾斜方向である場合において、田植機1を右旋回させる動作を説明するための平面図である。この場合、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回直前の状態における走行車体2から端Wまでの距離Lbが、圃場の波輪Wから遠ざかる方向に旋回する図8の距離Laよりも長くなっている。すなわち、圃場の端Wからの枕地の幅Tbが、図8のTaよりも大きくなっている。
圃場の端Wに適切な距離まで近づくと、作業者は、手動で畦クラッチ105i、105h、105gを段階的に切り状態にする。すなわち、植え付け部組108iを停止させるために、畦クラッチレバー19iを動かし、畦クラッチ105iを切り状態とする。その後、図10に示すように、2株苗を植え付けた時点で、畦クラッチレバー19hを動かし、畦クラッチ105hを切り状態として植え付け部組108hが停止する。そして、更に2株植え付けてから、畦クラッチレバー19gを動かし、畦クラッチ105gを切り状態として植え付け部組108gが停止する。尚、上述した適切な距離とは、畦クラッチレバー108gを切り状態にした時に、走行車体2から畦Wまでの距離がLbになっているような距離のことである。距離Lbは、旋回可能であること及び後の枕地作業などを考慮した距離である。
そして、作業者は、植え付け昇降レバー(図示せず)を移動させて、昇降油圧シリンダ25を動作させて植え付け装置4を上昇させる。
次に、作業者は、変形圃場の傾斜方向を指示するために旋回指示スイッチ107を移動する。図10に示す変形圃場の端Wの傾斜は、第2の傾斜方向(図3(c)参照)であるため、作業者は、旋回指示スイッチ107を位置P2に移動する。
この動作により、制御部106は田植機1が第2の傾斜方向の変形圃場において旋回を行うことを認識する。
そして、作業者がハンドル34を左方向に向けて操舵すると、操舵検知装置102によって旋回が始まったことが検知され、その検知が制御部106に伝えられる。
続いて、回転センサ104によって旋回の際の内側の後輪11(右側の後輪11)の回転数が検知され、制御部106へと送られる。制御部106は、予め設定されている所定の回転数に達すると、植え付け装置4を自動で降下させ、畦クラッチ105iを入り状態にして植え付け部組108iを動作させ、右側面側の2条の植え付けを開始する。
制御部106は、植え付け部組108iによる植え付けを開始してから、回転センサ104による回転数に基づいて、2株苗Nを植え付けてから畦クラッチ105hを入り状態にして植え付け部組108hを自動で動作させ、中央の2条の植え付けを開始させる。そして、さらに2株分苗Nを植え付けた時点で、畦クラッチ105gを入り状態にして植え付け部組108gを自動で動作させ、左側面側の2条の植え付けを開始させる。そこからは、全ての植え付け部組108g、108h、108iを動作させて、6条の植え付けが行われる。尚、予め設定されている所定の回転数は、植え付け部組108iによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wから遠い箇所から、植え付け部組108iにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように設定されている。
以上のように、第1の傾斜で右旋回する場合、第2の傾斜で左旋回する場合、第1の傾斜で左旋回する場合、第2の傾斜で右旋回する場合によって旋回後の畦クラッチ105g、105h、105iの制御が異なることになる。
すなわち、第1の傾斜で右旋回する場合には、第1の制御が行われ、植え付け部組108iによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wに近い箇所から、植え付け部組108iにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように、植え付け部組108g、108h、108iの順に、左側面側から段階的に植え付けが行われる。
又、第2の傾斜で左旋回する場合には、第2の制御が行われ、植え付け部組108gによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wに近い箇所から、植え付け部組108gにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように、植え付け部組108i、108h、108gの順に、右側面側から段階的に植え付けが開始される。
又、第1の傾斜で左旋回する場合には、第3の制御が行われ、植え付け部組108gによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wから遠い箇所から、植え付け部組108gにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように、植え付け部組108g、108h、108iの順に、左側面側から段階的に植え付けが開始される。
又、第2の傾斜で右旋回する場合には、第4の制御が行われ、植え付け部組108iによって最後に植え付けた苗N1から2株分端Wから遠い箇所から、植え付け部組108iにより植え付け(苗N2参照)が開始されるように、植え付け部組108i、108h、108gの順に、右側面側から段階的に植え付けが行われる。
以上のように、操舵方向と、圃場の端の傾斜方向によって、旋回後の植え付け開始タイミングと、植え付け部組108g、108h、108iの動作順を自動で制御することが出来るので、変形田での作業者の負担する労力を減らすことが出来る。
また、苗、肥料の重なりが避けられることで、余分な苗・肥料を抑えられ、苗が成長後も倒伏しにくくなる。
尚、旋回指示スイッチ107が、位置P0に入れられた状態では、旋回後の自動制御が行われず、作業者が手動で畦クラッチ105g、105h、105iを入り状態にすることが出来る。このように、作業者が手動操作する場合には部分条クラッチの自動作動を停止することが出来るので、作業条件に合わせた操作が可能となる。
また、図11に示すような、ダイヤル式の速度変更ダイヤル110が更に設けられていても良い。本発明の速度変更ダイヤルの一例に対応する速度変更ダイヤル110は、畦クラッチ105g、105h、105iを段階的に入り状態にする速度を変更することが出来る。すなわち、上記説明では、旋回後、2株毎に、順に畦クラッチ105を入り状態にしていたが、この速度を高速又は低速にすることが出来る。例えば、2株毎に畦クラッチ105を順に入り状態にする速度を標準速度とすると、速度変更ダイヤル110を高速側に回すことによって、例えば1株毎に畦クラッチ105を順に入り状態とするように、高速に変更出来、圃場の端Wの傾斜が緩やかな場合に対応することが出来る。一方、速度変更ダイヤル110を低速側に回すことによって、例えば、3株毎に畦クラッチ105を順に入り状態とするように、低速に変更することが出来、圃場の端Wの傾斜が急な場合に対応することが出来る。また、図11に示すビット値は、標準速度を128ビットとし、最高を0ビット、最低を255ビットとして目盛りを構成している。尚、0ビットを最低とし、255ビットを最高としてもよい。
上記により、圃場端の形状や畦際の作業経路の幅に合わせた旋回走行、及び畦クラッチ105の入切タイミングを設定することができるので、畦際の作業経路で植付作業を行う際に苗を潰すことが防止されると共に、苗が植えられない場所が発生することが防止されるため、作業者が手作業で苗を植え付ける必要が無く、作業者の労力が軽減される。
(実施の形態2)
以下に、本発明にかかる実施の形態2における田植機について説明する。本実施の形態2の田植機1は、実施の形態1と基本的な構成は同じであるが、旋回後の畦クラッチ自動制御の構成が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。
図12は、本実施の形態2の制御の構成を示す図である。図12に示すように、本実施の形態2の2の田植機1は、図4と比較して、旋回指示スイッチ107の代わりに、左旋回又は右旋回の区別を付けずに旋回を行うことを指示する旋回指示スイッチ111が設けられている。
図13〜図16は、本実施の形態2の田植機1の畦クラッチ自動制御の動作を説明するための図である。図13(a)、(b)は、圃場の端Wが第1の傾斜である場合に右旋回を行う場合の制御について説明するための平面図である。
本実施の形態では、田植機1は、圃場の端Wで旋回動作をする場合、図13(a)に示すように一端端Wまで直進し、その後、図13(b)に示すように旋回を行うために、距離Ma分後進が行われる。この後進により走行車体2から圃場の端Wまでの距離が、Laとなり、旋回を行うことが出来る。
上記実施の形態1では、操舵検知装置102によって検知される旋回方向と、旋回指示スイッチ107によって指示される傾斜方向によって、畦クラッチ105g、105h、105iを入れる順番及びタイミングが自動制御されていたが、本実施の形態2では、操作検知装置102によって検知される旋回方向と、後進距離によって、畦クラッチ105g、105h、105iを入れる順番及びタイミングが自動で制御される。
図14(a)は、圃場の端Wが第1の傾斜である場合に左旋回を行う場合に田植機1が圃場の端Wまで直進した状態を示す図であり、図14(b)は田植機1が旋回のために後進した状態を示す図である。ここで、第1の傾斜において左旋回を行う場合には、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回方向に端Wが存在することになるので、後進距離Mbを右旋回の場合(圃場の端Wから遠ざかる方向に旋回する場合)の後進距離Maと比較して長くとる必要がある。
図15(a)は、圃場の端Wが第2の傾斜である時に左旋回を行う場合に田植機1が圃場の端Wまで直進した状態を示す図であり、図15(b)は田植機1が左旋回のために後進した状態を示す図である。図16(a)は、圃場の端Wが第2の傾斜である時に右旋回を行う場合に田植機1が圃場の端Wまで直進した状態を示す図であり、図16(b)は田植機1が右旋回のために後進した状態を示す図である。ここで、第2の傾斜において右旋回を行う場合には、圃場の端Wに近づく方向に旋回することになるため、旋回方向に端Wが存在することになるので、後進距離Mbを、左旋回の場合(圃場の端Wから遠ざかる方向に旋回する場合)の後進距離Maと比較して長くとる必要がある。
すなわち、Maより長くMbよりも短い所定の後進距離を予め設定することによって、予め設定された後進距離よりも、圃場の端における後進距離が長い場合には、第1の傾斜における左旋回又は第2の傾斜における右旋回のどちらかであると判別することが出来、更に、操舵検知装置102による旋回方向によって、第1の傾斜における左旋回又は第2の傾斜における右旋回のどちらであるかを判別することが出来る。
又、予め設定された後進距離よりも、圃場の端における後進距離が短い場合には、第1の傾斜における右旋回又は第2の傾斜における左旋回のどちらかであると判別することが出来、更に、操舵検知装置102により旋回方向によって、第1の傾斜における左旋回又は第2の傾斜における右旋回のちらであるかを判別することが出来る。
作業者は、第1の傾斜方向であるか第2の傾斜方向であるか、及び右旋回であるか左旋回であるかを考慮し、圃場の端W近傍に達すると、畦クラッチ105g、105h、105iを順に切り状態とする。すなわち、圃場の端Wに近づく旋回方向の場合には、圃場の端Wから遠ざかる旋回方向と比較して、圃場の端Wからの植え付け終了位置までの距離を長くする必要がある。
傾斜方向と旋回方向の組み合わせにおけるそれぞれの畦クラッチ105g、105h、105iを切り状態にする順番及びタイミングは、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
そして、植え付け終了後に、植え付け装置4を上昇させ、田植機1は、圃場の端まで直進する。
図17は、本実施の形態2の畦クラッチ自動制御のフローを示す図である。
はじめに、圃場の端における旋回を行うことを指示するために、作業者は、ステップS21において旋回指示スイッチ111を入り状態にする。そして、ステップS22において、作業者は旋回を行うために走行車体2を後進させる。このとき、回転センサ104によって後輪11の回転数が検出され、後進距離が検出される。ステップS23において、制御部106は、後進距離が、予め設定されている基準値よりも長いか否かの判断を行う。後進距離が基準値よりも長い場合には、制御はステップS24に進み、旋回方向が右か否かの判断が行われる。そして、旋回方向が右と判断された場合には、図16に示すような、第2の傾斜方向における右旋回であると判断され、ステップS25に進み、図10において説明したような第4の制御が行われる。この第4の制御では、旋回前の条に近い側の植え付け部組108iから動作させるように、畦クラッチ105i、105h、105gの順に段階的に入り状態とする。尚、畦クラッチ105g、105h、105iを入り状態とするタイミングは、実施の形態1と同様に回転センサ104によって検出され、旋回の最も内側の条(植え付け部組108iによって植え付けられる条)において、旋回前に対して旋回後の方が2株分端Wから遠くなるようなタイミングである。
一方、ステップS24において、旋回方向が右でなく、左と判断された場合には、図14に示すような、第1の傾斜方向における左旋回であると判断され、制御はステップS26へと進み、図9において説明したような第3の制御が行われる。この第3の制御では、旋回前の条に近い側の植え付け部組108gから動作させるように、畦クラッチ105g、105h、105iの順に段階的に入り状態とする。尚、畦クラッチ105g、105h、105iは入り状態とするタイミングは、実施の形態1と同様に回転センサ104によって検出され、旋回の最も内側の条(植え付け部組108gによって植え付けられる条)において、旋回前に対して旋回後の方が2株分端Wから遠くなるようなタイミングである。
又、ステップS23において、後進距離が基準値よりも短い場合には、制御はステップS27に進み、旋回方向が右か否かの判断が行われる。そして、旋回方向が右と判断された場合には、図13に示すような、第1の傾斜方向における右旋回であると判断され、ステップS28に進み、図7において説明したような第1の制御が行われる。この第1の制御では、旋回前の条から遠い側の植え付け部組108gから動作させるように、畦クラッチ105g、105h、105iの順に段階的に入り状態とする。尚、畦クラッチ105g、105h、105iを入り状態とするタイミングは、実施の形態1と同様に回転センサ104によって検出され、旋回の最も内側の条(植え付け部組108iによって植え付けられる条)において、旋回前に対して旋回後の方が2株分端Wに近くなるようなタイミングである。
一方、ステップS27において、旋回方向が右でなく、左と判断された場合には、図15に示すような、第2の傾斜方向における左旋回であると判断され、制御はステップS29へと進み、図8において説明したような第2の制御が行われる。この第2の制御では、旋回前の条から遠い側の植え付け部組108iから動作させるように、畦クラッチ105i、105h、105gの順に段階的に入り状態とする。尚、畦クラッチ105g、105h、105iは入り状態とするタイミングは、実施の形態1と同様に回転センサ104によって検出され、旋回の最も内側の条(植え付け部組108gによって植え付けられる条)において、旋回前に対して旋回後の方が2株分端Wに近くなるようなタイミングである。
以上のように、本実施の形態では、旋回する際の後進の距離及び操作部材34の操舵方向に基づいて畦クラッチの自動制御を行うことが出来るので、圃場が斜辺を有する変形圃場であるときに、畦際での植え付け作業を行う経路上に苗を植え付けることなく旋回走行に移行することができ、畦際での植え付け作業時に苗を潰すことが防止される。
また、旋回走行の際に、作業者は適切なタイミングを見計らって畦クラッチレバー19g,19h,19iを入切操作する必要がなくなることにより、変形圃場の圃場端での旋回操作を簡単にすることができるので、機体の操作性が大きく向上する。
尚、上記実施の形態では、2条分の植え付け部組108毎に1つの畦クラッチ105が設けられており、2条単位で制御されていたが、1条分の植え付け部52毎に畦クラッチ105が設けられ、1条単位で制御が行われても良い。又、上記実施の形態では、6条であったが、これに限定されるものではない。
尚、上記実施の形態1、2の旋回中に、停止した場合に以下の制御が行われていても良い。
図18は、旋回中に停止した場合に、走行車体2の微少な揺れに対して回転センサ104による回転数の検知を受けつけなくするための制御フローを説明するための図である。
ステップS31において、操舵検知装置102によって旋回が検知されると、制御はステップS32へと進む。ここで、停止フラグがONであるか否かが判断される。はじめは、停止フラグはONされていないため、制御はステップS33へと進み、2秒間の間に回転センサ104によって検出される左右の後輪11の車輪パルス入力の差が10以下の場合には、左右の後輪11の差が実質上なくなったとして、走行車体2が停止していると判断し、ステップS34において停止フラグがたてられる。
続いて、ステップS35へと進み、先程の左右の後輪11の車輪パルス入力の差が10以下の場合のパルスは、旋回後の植え付けタイミングを判断するパルスとしては加算されない。
その後、制御は、ステップS31へと戻り、旋回中である場合には、ステップS32へと進む。ここで、先程、ステップS34において停止フラグがON状態となったため、制御はステップS36へと進むことになる。ステップS36において、2秒間に回転センサ104によって検出される左右の後輪11の車輪パルス入力の差が10以下であるか否かが判断される。そして、2秒間の車輪パルス入力の差が10以下である場合には、ステップS37へと進み、走行車体2が停止中に、例えば苗を入れ替える等することにより発生した微少な揺れであるとして、旋回後の植え付けタイミングを判断するパルスとしては加算されない。
このような制御を加えることによって以下の利点がある。旋回を始めてから、旋回後の植え付けを行うタイミングは、内側の後輪11の回転数を回転センサ104によって検知することにより判断しているが、この回転数から、所定時間以内の所定値未満の回転数が除外される。すなわち、旋回途中に苗の補充等を行う際に、作業者の移動や苗の積み込み作業によって走行車体2が僅かに前後進することがあり、この前後進時に生じた回転数がカウントされてしまうと、植え付けタイミングがずれることになり、枕地が平行に形成されない場合がある。そこで、所定時間以内の所定値未満の回転数を除外することにより、植え付けタイミングがずれることを低減することが出来、苗の植え付け精度が向上する。
又、圃場での田植機の移動経路と植え付けクラッチ操作を連動してメモリに記憶させ、次回の田植えの際に自動的に田植えを行うことが出来るようにしても良い。図19は、田植機の移動経路と植え付けクラッチ操作を連動してメモリに記憶させる制御の構成を示す図であり、図20は、その制御フローを説明するための図である。
例えば、メモリ113への記憶開始スイッチ等を備え、そのスイッチをオンすることによって図20に示す制御フローが実行される。
ステップS41において、走行車体2が直進であるか否かの判断が行われ、直進である場合には、ステップS44において、後輪パルス200毎にGPSを用いて位置情報が取得されるとともに、畦クラッチ105g、105h、105iの動作情報も取得され、メモリに記憶される。
また、ステップS44において直進ではないと判断された場合、ステップS42において、後進パルスが100以上継続して検出されたか否かが判断される。後進パルスが100以上継続して検出された場合、後進が行われていると判断される。すなわち、例えば、実施の形態2において説明したような旋回前の後進(意図的な後進)が行われていると判断され、ステップS45において、後輪パルス50毎に位置情報が取得され、また畦クラッチ105g、105h、105iの動作情報も取得され、メモリに記憶されるとともに、後進であるという情報も記憶される。
ステップS42において、後進でないと判断された場合には、ステップS43において旋回であるか否かが判断される。そして、旋回であると判断された場合には、ステップS46において、後輪パルス50毎に位置情報が取得され、畦クラッチ105g、105h、105iの動作情報も取得され、メモリに記憶される。
尚、メモリに記憶させる際には、圃場番号毎に記憶が行われる。
以上のように作業情報を記憶することにより、圃場番号を選択し、記憶内容の位置情報と一致した場合に、記憶した内容と同様のステアリング操作及び畦クラッチ操作を自動的に行うことが出来る。
尚、上記図19及び図20の構成において、畦クラッチ105g、105h、105iの操作については、作業者が行うようにしても良い。この場合、作業者は、畦クラッチ105g、105h、105iの操作と、HSTレバー(図示せず)の操作を行うだけでよく、操作部材34(ステアリング)の操作を省略することが出来る。
又、上記実施の形態1、2の田植機では、フューエルゲージを示す5つのランプ201、202、203、204、205は、コントローラ側からの4つの出力の組み合わせによって点灯が制御されている。尚、このコントローラとしては、制御部106と兼ねられていても良いが、別々であっても良い。図21(a)〜(d)は、フューエルゲージランプをコントロールする制御回路を示す図である。図21(e)は、切替の組み合わせと、ランプの点灯の関係の表を示す図である。
図21(a)に示すように、田植機は、5つのランプ201、202、203、204、205の出力をコントロールするコントローラ206を有している。コントローラ206は、ランプ201の一方の端子への出力部211と、ランプ202の一方の端子への出力部212とを備えている。また、ランプ203の一方の端子側には、ランプ203への接続側と未接続側を切り替えるリレー221が設けられており、ランプ204の一方の端子側とランプ205の一方の端子側を切り替えるリレー222が設けられている。また、このリレー221及びリレー222とアースとの接続を切り替えるリレー223が設けられている。また、ランプ203とリレー221の間から、ランプ204とリレー222の間に向けて整流素子231が設けられており、ランプ204とリレー222の間から、ランプ205とリレー222の間に向けて整流素子232が設けられている。又、ランプ201、202、203、204、205の他方の端子側は、電気的に接続されている。
又、リレー221とリレー222を同時に切り替える出力部213と、リレー223を切り替える出力部214が、コントローラ206に設けられている。
ここで、出力部213からの出力を切替1とし、出力部213からの出力によってリレー221がランプ203の未接続側に切り替えられ、リレー222がランプ204側に切替られている状態が『OFF』として示されている。一方、出力部213からの出力によってリレー221がランプ203の接続側に切り替えられ、リレー222がランプ205側に切替られている状態が『ON』として示されている。
又、出力部214からの出力を切替2とし、出力部214からの出力によってリレー223が、リレー221側に切り替えられている状態が『OFF』として示され、リレー222側に切り替えられている状態が『ON』として示されている。
このような構成においてランプ203、204、205を消灯する際には、切替1が『OFF』にされ、切替2が『OFF』にされる。
また、ランプ203を点灯し、ランプ204、205を消灯する際には、図21(b)に示すように、切替1が『ON』状態にされ、切替2が『OFF』状態にされる。
また、ランプ203、204を点灯し、ランプ205を消灯する際には、図21(c)に示すように、切替1が『OFF』状態にされ、切替2が『ON』状態にされる。
また、ランプ203、204、205を点灯する際には、図21(d)に示すように、切替1が『ON』状態にされ、切替2が『ON』状態にされる。
図21(e)にリレーの切替状態とランプの点灯の関係についての表を示す。
尚、ランプ202、203については出力部211、212からのコントロールすることが出来る。
従来は、5つのランプに対して5つの出力を用いて点灯が行われていたが、上述したように、コントローラ側の回路において、出力数が足りなくなった場合に限られた出力数で複数のランプを点灯させることが出来る。すなわち、3つのリレーとダイオードを用いることによりコントローラ側からの4つの出力の組み合わせにより5つのランプの点灯を制御することが出来る。
尚、図22(a)〜(e)に示すように、ランプ203とリレー221の間から、ランプ205とリレー222の間に向けて、整流素子233が追加されていてもよい。このように整流素子233を追加することにより、図22(d)に示すように、ランプ201、202、203、204、205の全部を点灯した時のランプ203に対する電圧降下を抑えることが出来る。尚、図22(a)は、ランプ203、ランプ204、205を消灯させるときのリレーの状態を示す図であり、図22(b)は、ランプ203を点灯させ、ランプ204、205を消灯させるときのリレーの状態を示す図であり、図22(c)は、ランプ203、204を点灯させ、ランプ205を消灯させるときのリレーの状態を示す図であり、図22(d)は、ランプ203、204、205を点灯させるときのリレーの状態を示す図である。図22(e)は、リレーの切替状態とランプの点灯の関係についての表を示す図である。
又、図23(a)〜(e)に示すランプの制御構成では、図22(a)〜(e)の構成に対し、出力部214からの出力によって切り替えられ、リレー221とリレー223の間に配置されているリレー224が設けられている。このリレー224は、切替2が『ON』の時に、リレー221とリレー224の間の接続を絶った状態とし、切替2が『OFF』の時に、リレー221とリレー224の間を接続した状態とする。尚、図23(a)は、ランプ203、ランプ204、205を消灯させるときのリレーの状態を示す図であり、図23(b)は、ランプ203を点灯させ、ランプ204、205を消灯させるときのリレーの状態を示す図であり、図23(c)は、ランプ203、204を点灯させ、ランプ205を消灯させるときのリレーの状態を示す図であり、図23(d)は、ランプ203、204、205を点灯させるときのリレーの状態を示す図である。図23(e)は、リレーの切替状態とランプの点灯の関係についての表を示す図である。
このように構成することにより、図23(a)〜(e)に示す構成は、図22(a)〜(e)に示す構成に対し、切替1、2の組み合わせとランプの点灯パターンを変更し、ランプ203点灯からランプ203、204点灯に移る際に、切替1、2の同時反転を逃れることで、突入電流の重複を防ぐことが出来る。
図24(a)、(b)に示すように、植え付け装置4の後端上部に薬剤散布装置300が設けられていても良い。図24(a)は、植え付け装置4近傍の側面構成図である。図24(b)は、薬剤散布装置300の拡大図である。図24(a)、(b)に示すように、薬剤散布装置300は、薬剤等の粉粒体を貯留する粉粒体貯留タンク315と、粉粒体を所定量ずつ繰り出す繰り出し部317と、粉粒体が吐出される粉粒体吐出口318と、粉粒体貯留タンク315に開閉可能に設けられた蓋部316とを備えている。尚、繰り出し部317は、2条分ずつ設けられ、2条分の苗載置部にわたる左右に長いローラによって粉粒体が、粉粒体吐出口318から下方に繰り出される構成となっている。粉粒体貯留タンク315は、その後側に上下方向に配置された支持部材319と、苗載置台の枠に疎って配置された支持部材320とによって支持されている。支持部材319は、その上部で粉粒体貯留タンク315と固定されており、その下部で支持部材320と固定されている。このような構成によって、薬剤散布装置300は、植え付け装置4の後端上部に支持されている。また、支持部剤319の途中には、サスペンション321が設けられている。このサスペンションによって、田植機1の振動に関係なく安定して薬剤が落下する。また、支持部材319と粉粒体吐出口318の間には、防泥板322が設けられている。この防泥板322は、粉粒体吐出口318の下端よりも低い位置まで設けられている方が好ましい。このような構成によって、粉粒体吐出口318の出口に泥が付着することを防止することが出来る。