以下に、本発明の実施形態に係る作業車両を、自走型の苗移植機として図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図1は、実施形態に係る作業車両としての苗移植機1の側面図である。図2は、苗移植機1の平面図である。なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、苗移植機1の操縦座席28からみて、走行車体2の走行方向を基準とする。また、以下では、苗移植機1を指して機体と記す場合がある。
苗移植機1は、作業者が搭乗することができ、圃場で対地作業を行う作業部としての苗植付部50と施肥装置70とを後部に取り付け可能な走行車体2を有している。走行車体2は、左右一対の前輪4と、左右一対の後輪5とを有する。本実施形態に係る苗移植機1は、走行時には前輪4、後輪5が共に駆動する四輪駆動車としており、圃場や道路を走行することが可能である。また、対地作業として植付作業を行う苗植付部50は、苗植付部昇降機構40によって走行車体2の後部に昇降可能に取付けられる。なお、施肥装置70については後に詳述する。
走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム7と、メインフレーム7の上に搭載されたエンジン10と、エンジン10の動力を駆動輪と苗植付部50とに伝える動力伝達装置15とを有する。また、本実施形態に係る苗移植機1では、動力源であるエンジン10には、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられ、発生した動力は、走行車体2を前進や後進させるために用いるのみでなく、苗植付部50などを駆動させるためにも使用される。
また、エンジン10は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ26よりも上方に突出させた状態で配置される。フロアステップ26は、走行車体2の前部とエンジン10の後部との間に亘ってメインフレーム7上に取り付けられており、その一部が格子状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とすことができる。また、フロアステップ26の後方には、後輪5のフェンダを兼ねたリアステップ27が設けられる。リアステップ27は、後方に向うに従って上方に向う方向に傾斜した傾斜面を有し、エンジン10の左右それぞれの側方に配置される。
エンジン10は、フロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出しており、これらのステップ26、27から突出している部分には、エンジン10を覆うエンジンカバー11が設けられる。すなわち、エンジンカバー11は、フロアステップ26とリアステップ27とから上方に突出した状態で、エンジン10を覆っている。
また、走行車体2には、エンジンカバー11の上部に、作業者が着席する操縦座席28が設置され、かかる操縦座席28の前方で、且つ走行車体2の前側中央部に操縦部30が配設される。操縦部30は、フロアステップ26の床面から上方に突出した状態で配置されており、フロアステップ26の前部側を左右に分断している。
操縦部30の前部には、開閉可能なフロントカバー31が設けられる。また、操縦部30の上部には、変速レバー35や副変速レバー38などの操作レバーや計器類、ハンドル32などが配設される。ハンドル32は、作業者が前輪4を操舵操作することにより、操縦部30内の操作装置等を介して前輪4を操舵することができ、図示しないステアリングアームに連動連結している。変速レバー35は、走行車体2の前後進と走行出力を切替操作する。また、副変速レバー38は、走行車体2の走行速度を、走行する場所に応じた速度に切り替えることができる。変速レバー35および副変速レバー38は、ハンドル32を挟んで機体左右側にそれぞれ独立して配設される。
また、フロアステップ26における操縦部30の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく補助苗枠65が配置される。補助苗枠65は、フロアステップ26の床面から突出した支持軸(鉛直軸)によって回転自在に支持され、作業者により回動させることが可能である。
エンジン10の動力を、前輪4、後輪5を含む走行装置と苗植付部50とに伝える動力伝達装置15は、エンジン10から伝達される駆動力を変速する変速装置としての油圧式無段変速機16と、油圧式無段変速機16にエンジン10からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構17とを有する。
油圧式無段変速機16は、いわゆる、HST(Hydro Static Transmission)と云われる静油圧式の無段変速装置である。すなわち、油圧式無段変速機16は、可変容量型の油圧ポンプと固定容量型の油圧モータで構成され、油圧ポンプの可動斜板の傾きを変えることで油圧モータの回転を変更する。可動斜板の傾きは、操作手段の動きを検出して作動する油圧シリンダなどのアクチュエータによって変更される。このように、油圧式無段変速機16は、エンジン10からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変換して出力する。
こうして、油圧式無段変速機16は、エンジン10で発生する動力を、走行車体2を走行させる力に変換することができ、回転力の方向や回転速度を変更することにより、走行車体2の前後進及び走行速度を変更することが可能である。したがって、例えば、変速レバー35を操作して油圧式無段変速機16の出力及び出力方向を変更することにより、走行車体2の前後進及び走行速度を操作することができる。
かかる油圧式無段変速機16は、エンジン10よりも前方で、且つ、フロアステップ26の床面よりも下方に配置されており、本実施形態に係る苗移植機1では、走行車体2の上面から見て、エンジン10の前方に配置されている。
また、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速機16の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けたベルトと、さらには、ベルトの張力を調整するテンションプーリとを有する。これにより、ベルト式動力伝達機構17は、エンジン10で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速機16に伝達することができる。
また、動力伝達装置15は、エンジン10からの駆動力を各部に伝達する伝動装置であるミッションケース18をさらに有する。ミッションケース18は、副変速機構(図示省略)を内設している。副変速機構は、油圧式無段変速機16で変速したエンジン10からの駆動力を各部に伝達する。副変速機構は、路上走行時や植付時等における走行車体2の作業速度を切り替える。副変速レバー38は、ミッションケース18内の副変速機構を操作することにより、走行車体2の走行速度を切り替えることが可能である。ミッションケース18は、ベルト式動力伝達機構17と油圧式無段変速機16とを介して伝達されたエンジン10からの出力を、当該ミッションケース18内の副変速機構で変速して、前輪4と後輪5への走行用動力と、苗植付部50への駆動用動力とに分けて出力する。
このうち、走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース13を介して前輪4に伝達可能であり、残りが左右の後輪ギヤケース22を介して後輪5に伝達可能である。左右それぞれの前輪ファイナルケース13は、ミッションケース18の左右それぞれの側方に配設される。左右の前輪4は、車軸を介して左右の前輪ファイナルケース13に連結されており、かかる前輪ファイナルケース13は、ハンドル32の操舵操作に応じて駆動し、前輪4を転舵させることが可能である。同様に、左右それぞれの後輪ギヤケース22には、車軸を介して後輪5が連結されている。一方、駆動用動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ(図示省略)に伝達され、かかる植付クラッチの係合時に植付伝動軸(図示省略)によって苗植付部50へ伝達される。
また、走行車体2に取付けられた苗植付部50を昇降させる苗植付部昇降機構40は、昇降リンク機構41を有する。苗植付部50は、走行車体2の後部に設けた昇降リンク機構41を介して取り付けられる。昇降リンク機構41は、走行車体2の後部と苗植付部50とを連結させる平行リンク機構を有する。かかる平行リンク機構は、上リンク42aと下リンク42bとを有し、これらのリンク42a、42bが、メインフレーム7の後部端に立設した背面視門型のリンクベースフレーム43に回動自在に連結される。そして、リンク42a、42bの他端側が苗植付部50に回転自在に連結されることによって、苗植付部50は昇降可能に走行車体2に連結される。
また、苗植付部昇降機構40は、油圧によって伸縮する油圧式の昇降シリンダ44を有し、昇降シリンダ44の伸縮動作によって、苗植付部50を昇降させることができる。苗植付部昇降機構40は、その昇降動作によって、昇降リンク機構41を昇降動作させ、苗植付部50を非作業位置まで上昇させたり、植付作業位置まで下降させたりすることができる。
また、苗植付部50は、苗を植え付ける範囲を複数の区画、あるいは複数の列で植え付けることができる。本実施形態に係る作業車両は、苗を6つの区画で植え付ける、いわゆる6条植の苗移植機1である。
苗植付部50は、苗植付装置60と、苗載置台51及びフロート47(48、49)とを有する。このうち、苗載置台51は、走行車体2の後部に複数条の苗を積載する苗載置部材として設けられており、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面52を有し、それぞれの苗載せ面52に土付きのマット状苗を載置することが可能である。
また、苗植付装置60は、苗載置台51の下部に配設されており、苗載置台51の前面側に配設される植付支持フレーム55によって支持される。苗植付装置60は、苗載置台51に載置された苗を取って圃場に植え付ける装置であり、植付伝動ケース64と植付体61とを有する。このうち、植付体61は、苗載置台51から苗を取って圃場に植え付けることができるように構成されており、植付伝動ケース64は、植付体61に駆動力を供給することが可能である。
また、植付伝動ケース64は、エンジン10から苗植付部50に伝達された動力を、植付体61に供給可能に構成されており、植付体61は、植付伝動ケース64に対して回転可能に連結される。また、植付体61は、苗載置台51から苗を取って圃場に植え付ける植込杆62と、植込杆62を回転可能に支持すると共に植付伝動ケース64に対して回転可能に連結されるロータリケース63とを有する。ロータリケース63は、植付伝動ケース64から伝達された駆動力によって植込杆62を回転させる際に、回転速度を変化させながら回転させることのできる不等速伝動機構(図示省略)を内装している。これにより、植付体61の回転時には、植込杆62は、ロータリケース63に対する回転角度によって回転速度が変化しながら回転することができる。
このように構成される苗植付装置60は、2条毎に1つずつ配設されている。すなわち、複数の苗植付装置60は、それぞれ植付条が割り当てられている。また、各植付伝動ケース64は、2条分の植付体61を回転可能に有している。つまり、1つの植付伝動ケース64には、2つのロータリケース63が、機体左右方向の両側に連結される。本実施形態に係る苗移植機1が有する苗植付装置60は、植付伝動ケース64を3つ有しており、6条分の植付体61を有している。
また、フロート47は、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して整地するものであり、走行車体2の左右方向における苗植付部50の中央に位置するセンターフロート48と、左右方向における苗植付部50の両側に位置するサイドフロート49、49とを有する。
各フロート48、49は、圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられる。苗植付装置60は、センターフロート48の上下動を検知する迎角制御用の回動センサ114(図4参照)を有する。苗植付装置60は、植付作業時にはセンターフロート48の前部の上下動が回動センサ114により検知され、その検知結果に応じて制御装置150を構成するコントローラ150a(図4参照)により昇降シリンダ44の伸縮動作を制御する油圧制御弁104(図4参照)を切り替えて苗植付部50を昇降させ、苗の植付深さを常に一定に維持することができる。
また、苗植付部50の下方側の位置における前側には、圃場の整地を行う整地装置80が走行車体2に支持された状態で設けられる。整地装置80は、苗植付面の凹凸を均すことによって、凹凸を検知して苗植付部50が頻繁に昇降動作を繰り返し、結果的に苗の植付深さが不均一になることを防止するものであり、前ロータ81、後ロータ82を有する。なお、本実施形態においては、整地装置80への動力は、エンジン10からの出力を伝達軸を介して後輪ギヤケース22から伝達するようにしているが、例えばモータなどから直接伝達されるように構成してもよい。
また、図1および図2に示すように、苗植付部50の左右両側には、次の植付条に進行方向の目安になる線を形成する線引きマーカ68が、機体の外方向へ出退自在に設けられる。線引きマーカ68は、苗移植機1が圃場内における直進前進時に、圃場の畦際で転回した後に直進前進する際の目印を圃場上に線引きする。また、走行車体2の操縦部30には、切替スイッチ(図示省略)が設けられており、切替スイッチによるスイッチ操作により、線引きマーカ68を作業に合わせて出退させる作動状態と、使用しない非作動状態とに切り替えることができる。
なお、圃場の土質によっては、左右の線引きマーカ68により形成したガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。そこで、走行車体2の前側左右にサイドマーカ19を設けている。ガイド線が消えてしまうような場合、左右のサイドマーカ19を機体外側方向に移動させ、植え付けられた苗の上方にサイドマーカ19を位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能になる。
走行車体2と苗植付部50との間、すなわち、走行車体2における操縦座席28の後方には施肥装置70が搭載される。
施肥装置70は、肥料を貯留する貯留ホッパ71と、貯留ホッパ71から肥料を繰り出す繰出部72と、繰出部72により繰り出された肥料を圃場に供給する施肥通路である施肥ホース74と、施肥ホース74に移送風を供給するブロア73と、電動モータ77によって繰出部72により繰り出された肥料を重量計90に移送する案内通路である案内ホース78と、繰り出された肥料の移送経路を施肥ホース74または案内ホース78に切り替える切替弁(図示省略)とを有する。なお、案内通路は、剛性が高い材質で構成されてもよい。
さらに、施肥装置70は、苗植付部50の下方に配設されると共に、施肥ホース74によって肥料が移送される施肥ガイド75と、施肥ガイド75の前側に設けられるとともに、施肥ホース74によって移送された肥料を苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む作溝器76とを有する。施肥ホース74や施肥ガイド75は、条数に応じて6本設けられる。
貯留ホッパ71は、左右方向に延設され、下方で6つの室に分岐される。各室の底部には、繰出部72が設けられる。貯留ホッパ71の上端は、開口しており、肥料を上方から投入することができる。また、貯留ホッパ71の上端には、開閉可能な蓋(図示省略)が取り付けられる。
繰出部72は、苗移植機1の条数に応じて設けられる。本実施形態に係る苗移植機1は、6条植の構成であるため、6つの繰出部72が設けられる。繰出部72は、円柱状部材の外周部に複数の凹部(図示省略)を有する。繰出部72は、円柱状部材の中心軸を回転軸として回転する。凹部は、回転方向に沿って複数形成され、円柱状部材の径方向に向けて開口する。
繰出部72は、上方および下方で露出するように貯留ホッパ71に保持される。繰出部72は、上方に位置する凹部に肥料を流入させ、肥料が入った凹部を回転により下方に移動させることで、肥料を凹部から落下させる。これにより、肥料が貯留ホッパ71から繰り出される。
また、繰出部72の一部、具体的には、左右方向の右端に位置する繰出部72Aは、電動モータ77によって回転可能となっている。電動モータ77から伝達される駆動力によって繰出部72Aを回転させることで、肥料の比重を算出するための試し繰り出しを行うことができる。なお、繰出部72Aと電動モータ77から伝達される駆動力の伝達経路との間、および繰出部72Aとエンジン10から伝達される駆動力の伝達経路との間には、クラッチ(図示省略)がそれぞれ設けられ、駆動力の伝達を遮断可能となっている。
繰出部72は、圃場に肥料を供給する場合には、エンジン10から伝達される駆動力によって回転し、肥料を繰り出す。その際、繰出部72は、施肥量調節モータ101(図4参照)により回転速度が調整されることで、苗移植機1の走行距離に対する施肥量を調整することができる。
圃場に肥料を供給する場合には、繰出部72によって繰り出された肥料が施肥ホース74に流入するように切替弁が操作される。施肥ホース74に流入した肥料は、ブロア73によって発生された移送風によって施肥ホース74、施肥ガイド75を通り、圃場に供給される。なお、繰出部72Aとエンジン10から伝達される駆動力の伝達経路との間に設けられたクラッチは締結され、繰出部72Aは、他の繰出部72と同じ回転速度で回転する。また、繰出部72Aと電動モータ77から伝達される駆動力の伝達経路との間に設けられたクラッチは解放され、繰出部72Aと電動モータ77との動力伝達は遮断される。
また、試し繰り出しを行う場合には、繰出部72によって繰り出された肥料が案内ホース78に流入するように切替弁が操作される。また、繰出部72Aと電動モータ77から伝達される駆動力の伝達経路との間に設けられたクラッチは締結され、繰出部72Aは、電動モータ77から伝達される駆動力によって回転する。また、繰出部72Aとエンジン10から伝達される駆動力の伝達経路との間に設けられたクラッチは解放され、繰出部72Aは、他の繰出部72とは異なり、単独で回転することができる。案内ホース78に流入した肥料は、重量計90内に移送される。なお、案内ホース78および重量計90は、肥料が自重により重量計90まで移送されるように、繰出部72よりも下方に設けられる。
ブロア73は、走行車体2の左側方に配置される。また、電動モータ77および重量計90は、走行車体2の右側方に配置される。すなわち、ブロア73と、電動モータ77および重量計90とは、走行車体2の反対側の側方に配置される。なお、ブロア73を右側方に配置し、電動モータ77および重量計90を左側方に配置してもよい。
重量計90は、図3に示すように、開閉可能な扉91と、案内ホース78によって移送された肥料が載置される受け皿92と、重量センサ93とを有する。重量計90は、試し繰り出しにより繰り出された肥料の重量(以下、「試し繰り出し量」という。)を重量センサ93によって計測する。受け皿92は、脱着可能である。そのため、受け皿92を取り外すことで、重量を計測した肥料を容易に貯留ホッパ71に戻すことができる。図3は、重量計90を右側方から見た概略図である。なお、図3は、扉91を開いた状態を示している。
重量計90は、試し繰り出し量を計測し、計測した試し繰り出し量に関する情報(信号)を後述する情報処理端末150bに転送する。すなわち、重量計90は情報処理端末150bと通信可能であり、試し繰り出し量に関する情報は、自動的に情報処理端末150bに入力される。
次に、苗移植機1の制御系について説明する。図4は、苗移植機1の制御装置150を中心としたブロック図である。本実施形態に係る苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能になっており、苗移植機1は、各部を制御する制御装置150を有する。制御装置150は、走行車体2に設けられるコントローラ150aと、脱着自在な情報処理端末150bとを有する。
コントローラ150a、および情報処理端末150bは、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶部、さらには入出力部が設けられ、これらは互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能である。記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムなどが格納される。コントローラ150a、および情報処理端末150bは、記憶部に格納されたコンピュータプログラムなどを読み出すことで、各機能を発揮させる。
例えば、コントローラ150aは、深度センサ111や回動センサ114により取得した情報に基づいて、苗植付部50などを昇降させる自動昇降処理を行う。
例えば、コントローラ150aには、アクチュエータ類として、エンジン10の吸気量を調節するスロットル(図示省略)を作動させることにより、エンジン10の回転速度を増減させるスロットルモータ100、繰出部72の回転速度を制御し、圃場への施肥量を調節する施肥量調節モータ101、ブロア73を駆動するブロアモータ102、深度センサ111を回動させる回動モータ103、昇降シリンダ44の伸縮動作を制御する油圧制御弁104などが接続される。
また、コントローラ150aには、センサ類としては、肥料濃度センサ110、深度センサ111、水温センサ112、傾斜センサ113、回動センサ114、重量センサ93などが接続される。
肥料濃度センサ110は、左右の前輪4にそれぞれ設けられ、左右の前輪4間の肥料濃度を検出する。例えば、肥料濃度センサ110は、環状の電極板で構成され、前輪4の機体内側または外側で、且つ土壌や水中に近い外周縁部付近に配置される。
深度センサ111は、取付軸などを介して走行車体2に回動自在となるように複数取り付けられている。例えば、深度センサ111は、超音波やレーザー光の反射により水面、または土壌表面までの深さを測定する。
水温センサ112は、肥料濃度センサ110を構成する電極板に取り付けられ、水温を検出する。
肥料濃度センサ110、深度センサ111、および水温センサ112は、圃場の状態、つまり土壌肥沃度を検出するセンサである。
傾斜センサ113は、走行車体2のピッチングすなわち上下方向への傾斜を検出する。コントローラ150aは、傾斜センサ113が検出する走行車体2の傾斜角度に合わせて深度センサ111が常時鉛直方向に向くように、回動モータ103を駆動して深度センサ111を取付軸まわりに回動させる。
情報処理端末150bは、タッチパネル式のディスプレイによって構成されたタブレット端末である。情報処理端末150bは、文字、数字、記号などの情報を読み取ることができるスキャナ機能を有している。情報処理端末150bは、例えば、肥料の袋などに印刷されたバーコードを読み取り、肥料の種類などを読み取ることができる。
また、情報処理端末150bは、コントローラ150aと協働しながら苗植付部50、施肥装置70などの作動を制御することができる。なお、情報処理端末150bは、他の作業車両に接続された状態で記憶された情報などに基づいて苗植付部50、施肥装置70などの作動を制御することができる。
情報処理端末150bには、操作画面に、例えば、図5に示すような操作ボタンが表示され、操作ボタンをタッチすることで、施肥装置70などの作動を制御することができる。図5は、情報処理端末150bにおける表示例を示す図である。
情報処理端末150bには、操作ボタンとして、施肥量(圃場に供給する肥料の全重量)を入力するためのボタン200、減肥率を選択するためのボタン201、田植を開始するためのボタン202、比重などが表示される。例えば、施肥量を入力するためのボタン200がタッチされると、施肥量を入力する画面が表示され、施肥量を入力することができる。また、田植を開始するためのボタン202がタッチされると、田植が開始される。
なお、情報処理端末150bには、上記するボタン200〜202の他にも、苗植付部50や、施肥装置70などの作動を制御するための操作ボタンなどが表示される。
苗移植機1は、上記構成により、肥料を圃場に供給しながら苗を圃場に植え付けることができる。ここで、施肥装置70による肥料の供給動作について、詳しく説明する。
肥料を圃場に供給する場合には、まず、圃場に供給する肥料の施肥量が情報処理端末150bに入力される。施肥量は、圃場の広さ、および使用する肥料の種類に応じて入力される。
次に、繰出部72Aから繰り出された肥料の移送経路が案内ホース78側となるように切替弁が切り替えられる。そして、繰出部72が電動モータ77によって所定回数(例えば、30回)回転され、試し繰り出しが行われる。試し繰り出しによって繰り出された肥料は、案内ホース78を介して重量計90の受け皿92に載置される。そして、重量計90によって、試し繰り出し量が計測される。重量計90によって計測された、試し繰り出し量に関する情報は、情報処理端末150bに転送される。
情報処理端末150bは、試し繰り出し量に関する情報を受信すると、以下の式に基づいて、比重を算出する。
比重=試し繰り出し量×補正係数
補正係数は、案内ホース78などの抵抗等に応じて設定される値であり、苗移植機1の種類に応じて予め実験などにより設定された値である。
情報処理端末150bは、算出した比重と施肥量とに基づいて、繰出部72の回転速度を設定する。
情報処理端末150bは、算出した比重と標準比重とを比較し、標準比重に対する比重のずれを算出する。標準比重は、使用する肥料の種類や、苗移植機1の種類に応じて設定される値である。使用する肥料の種類は、例えば、使用する肥料のケースに印刷されたバーコードを、情報処理端末150bで読み取ることで得ることができる。
圃場に供給される肥料は、使用する時の天候(温度や、湿度)に応じて、繰出部72の凹部に流入する量が異なる場合がある。そのため、繰出部72から繰り出される肥料の繰り出し量は、圃場に肥料を供給する時の天候に応じて変化する。
例えば、比重が大きい場合には、繰出部72の凹部に流入する肥料が多く、繰出部72による繰り出し量が多くなり、圃場に供給される施肥量が多くなる。一方、比重が小さい場合には、繰出部72の凹部に流入する肥料が少なく、繰出部72による繰り出し量が小さくなり、圃場に供給される施肥量が少なくなる。
このように、比重が変わることで、設定された施肥量よりも多くの肥料が圃場に供給されたり、設定された施肥量よりも少ない肥料が圃場に供給されたりするおそれがある。
そのため、情報処理端末150bは、算出した比重と標準比重とのずれを算出し、算出したずれに基づいて、繰出部72の回転速度を設定する。
算出した比重が、標準比重よりも大きい場合には、圃場への施肥量が設定された施肥量となるように、繰出部72の回転速度を所定回転速度よりも低くする。また、算出した比重が、標準比重よりも小さい場合には、圃場への施肥量が設定された施肥量となるように、繰出部72の回転速度を所定回転速度よりも高くする。所定回転速度は、予め設定された回転速度であり、施肥量に応じて設定される。
情報処理端末150bは、比重と施肥量とに基づいて、繰出部72の回転速度を設定することで、繰出部72の繰り出し量を調整する。これにより、設定された施肥量の肥料が圃場に供給される。
試し繰り出しを行った後は、繰出部72Aから繰り出された肥料の移送経路が施肥ホース74側となるように切替弁が切り替えられる。
その後、情報処理端末150bに表示された田植を開始するためのボタン202がタッチされると、繰出部72の回転速度が、設定された回転速度となるように施肥量調節モータ101が制御され、繰出部72から肥料が繰り出され、肥料が圃場に供給される。
なお、圃場の土壌肥沃度に応じて、圃場に供給する肥料の量を調整する可変施肥を実行する場合には、肥料濃度センサ110、深度センサ111、および水温センサ112からの信号に基づいて、施肥量調節モータ101が制御され、繰出部72の回転速度が自動的に変更される。
また、情報処理端末150bの減肥率を選択するためのボタン201がタッチされると、減肥率に応じて、施肥量調節モータ101が制御され、繰出部72の回転速度が自動的に変更される。
次に、繰り出し量設定制御について、図6のフローチャートを用いて説明する。図6は繰り出し量設定制御を説明するフローチャートである。
情報処理端末150bに施肥量が入力され(ステップS10)、試し繰り出しが行われ(ステップS11)、試し繰り出し量に関する情報が重量計90から転送されると(ステップS12)、情報処理端末150bは、比重を算出する(ステップS13)。
そして、情報処理端末150bは、算出した比重と施肥量とに基づいて繰出部72の回転速度を設定する(ステップS14)。
このような繰り出し量の設定は、作業開始時、例えば、植え付けを行う日時が変更された場合や、使用する肥料が変更された場合に行われる。
次に本実施形態の効果について説明する。
苗移植機1は、電動モータ77によって繰出部72を回転させて肥料の試し繰り出しを行い、試し繰り出しによって繰り出された肥料を案内ホース78によって重量計90まで移送し、試し繰り出し量を重量計90によって計測する。これにより、作業者は、試し繰り出しのために手動で繰出部72を回転させる必要がなく、試し繰り出しに掛かる手間を低減することができ、作業性を向上させることができる。また、作業者は、試し繰り出しによって繰り出された肥料を苗移植機1から取り出し、重量を計測する必要がなく、試し繰り出しに掛かる手間を低減することができ、作業性を向上させることができる。また、雨が降っている場合や、風が強い場合でも、これらの影響を低減した試し繰り出しを行うことができ、肥料の比重を算出することができる。そのため、適切な量の肥料を圃場に供給することができ、肥料過多、または肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。
重量計90は、脱着可能な受け皿92を有する。これにより、受け皿92を取り外すことで、重量計90によって計測した肥料を容易に貯留ホッパ71に戻すことができる。
重量計90は、走行車体2の側方に設けられる。これにより、受け皿92の取り外しなどを容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。
電動モータ77および重量計90は、走行車体2の一方の側方に設けられる。また、ブロア73は、走行車体2の他方の側方に設けられる。これにより、左右方向で重量のバランスが偏ることを抑制し、電動モータ77および重量計90を設けた場合でも、苗移植機1の走行性能が低下することを抑制することができる。
電動モータ77は、繰出部72Aを回転させ、試し繰り出しを行う。これにより、試し繰り出し後に貯留ホッパ71に戻す肥料の量を少なくし、作業性を向上させることができる。
情報処理端末150bは、重量計90によって計測された試し繰り出し量に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて肥料の比重を算出する。これにより、比重を算出する際に、作業者の手間を低減することができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、貯留ホッパ71を左右方向の延設された1つのタンクとしたが、これに限られることはない。貯留ホッパ71を、走行車体2の左右に一対配設してもよい。
また、電動モータ77によって複数の繰出部72を駆動させてもよい。これにより、各繰出部72により、繰り出し量の誤差がある場合でも、これらの誤差の影響を小さくした試し繰り出し量を計測することができる。そのため、より適切に肥料を圃場に供給することができ、作物の生育をより向上させることができる。なお、情報処理端末150bは、繰出部72の数に応じて比重を算出する式を変更する。情報処理端末150bは、試し繰り出し量を繰出部72の数によって除算して比重を算出する。
また、この場合、案内ホース78は、複数の繰出部72から繰り出された肥料をまとめて重量計90まで移送する。これにより、1つの重量計90によって試し繰り出し量を計測することができ、重量計90の数が増加することを抑制し、コストを抑制することができる。また、苗移植機1の重量が大きくなることを抑制することができる。
また、重量計90を後輪ギヤケース22の後方に設けてもよい。これにより、重量計90から肥料を貯留ホッパ71に戻す際の作業性を向上させることができる。
また、試し繰り出しを行う場合に、電動モータ77による繰出部72の回転速度を変更可能としてもよい。例えば、試し繰り出し時の回転速度を低速とすることで、繰出部72からの試し繰り出し量を安定させ、正確な比重を算出することができる。また、例えば、試し繰り出し時の回転速度を高速とすることで、試し繰り出しを早期に終了させることができる。なお、回転速度は、作業者の好みの回転速度に設定可能としてもよい。
また、電動モータ77は、回転数を設定可能としてもよい。これにより、設定した回転数で試し繰り出しを行うことができ、試し繰り出し量を正確に計測することができ、正確な比重を算出することができる。また、試し繰り出しにおける回転数を増加させた場合でも試し繰り出し量を正確に計測することができ、正確な比重を算出することができる。
なお、上記したように、回転数が設定された場合には、情報処理端末150bは、設定された回転数に応じて比重を算出する式を変更する。また、電動モータ77の回転数に関する情報(信号)を情報処理端末150bに転送し、情報処理端末150bは、回転数に基づいて自動的に比重を算出する式を変更してもよい。
また、重量計90の受け皿92から貯留ホッパ71に肥料を戻すためのホースや、肥料を吸引するブロアを設けてもよい。これにより、作業者が肥料を貯留ホッパ71に戻す手間を省くことができる。なお、切替弁などを設け、肥料を吸引するブロアとして、ブロア73を用いてもよい。これにより、コストを低減することができる。
また、圃場に肥料を供給し、苗移植機1の走行速度が高い場合に、走行速度に対する繰り出し量を少なく、すなわち繰出部72の回転速度を小さくしてもよい。これは、繰出部72が慣性により、多く回転することがあるためである。これにより、施肥装置70は、適切な施肥量を圃場に供給することができる。なお、苗移植機1の走行速度が、例えば、0.6m/s以下となるような低速の場合には、繰出部72が多く回転することがないため、このような調整を行わなくてもよい。
また、繰出部72の凹部における回転方向後方の壁部が、径方向に沿うように形成されてもよい。これにより、繰出部72が回転した際に、凹部に入った肥料が押し出されることを抑制することができる。
また、重量センサを、施肥装置70に設け、貯留ホッパ71内の肥料の重量を計測してもよい。重量センサは、例えば、各繰出部72付近に配置される。貯留ホッパ71内の肥料が多い場合には、少ない場合よりも繰出部72の1回転当たりの繰り出し量が多くなる。そのため、情報処理端末150bは、重量センサによって計測した貯留ホッパ71内の重量に関する情報に基づいて、貯留ホッパ71内の肥料が重いほど、比重が大きくなるように補正係数を設定し、算出した比重に基づいて、施肥開始時の繰出部72の回転速度を低くする。そして、施肥開始からの時間が長くなるにつれて、繰出部72の回転速度を高くする。すなわち、情報処理端末150bは、貯留ホッパ71内の肥料の重量に基づいて、繰出部72の回転速度を制御する。これにより、貯留ホッパ71内の肥料の重量に関わらず、圃場に供給する施肥量を設定された量にすることができ、肥料過多、または肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。また、情報処理端末150bは、苗移植機1の走行距離に基づいて、同様に繰出部72の回転速度を制御してもよい。なお、貯留ホッパ71内に肥料の量を検知するスイッチを設け、スイッチの信号に基づいて、同様に繰出部72の回転速度を制御してもよい。
さらに、貯留ホッパ71の蓋の開閉を検知するスイッチを設け、貯留ホッパ71の蓋が開かれた場合に、算出した比重をリセットしてもよい。貯留ホッパ71の蓋が開かれた場合には、肥料の補充が行われることがある。そのため、上記のように算出した比重をリセットし、貯留ホッパ71の蓋が閉じられた場合に、再度、比重を算出する。これにより、圃場に供給する施肥量を設定された量にすることができ、肥料過多、または肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。
また、貯留ホッパ71内に湿度計を設け、湿度計によって貯留ホッパ71内の湿度を計測してもよい。湿度が高くなると、1回転当たりの繰り出し量が少なくなる。そのため、情報処理端末150bは、湿度に関する情報に基づいて、湿度が高いほど、繰出部72の回転速度を高くする。すなわち、情報処理端末150bは、湿度に基づいて繰出部72の回転速度を制御する。これにより、圃場に供給する施肥量を設定された量にすることができ、肥料過多、または肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。
また、情報処理端末150bは、肥料の種類に基づいて、繰出部72の回転速度を制御してもよい。例えば、粉が多い肥料は、繰出部72への付着が増えるため、1回転当たりの繰り出し量が少なくなる。そのため、情報処理端末150bは、粉が多い肥料の場合には、繰出部72の回転速度を高くする。これにより、圃場に供給する施肥量を設定された量にすることができ、肥料過多、または肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。
また、貯留ホッパ71内にカメラを設け、情報処理端末150bは、カメラによって撮影して取得した画像に基づいて、繰出部72の回転速度を制御してもよい。例えば、肥料の形状が丸いほど、肥料の形状が揃っているほど、または肥料の粒が小さいほど、1回転当たりの繰り出し量が多くなる。そのため、情報処理端末150bは、これらの場合には、繰出部72の回転速度を低くする。これにより、圃場に供給する施肥量を設定された量にすることができ、肥料過多、または肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。
また、情報処理端末150bは、深度センサ111によって検出した圃場の水深に基づいて、繰出部72の回転速度を制御してもよい。例えば、水深が深い場合には、肥料が流され易い。そのため、情報処理端末150bは、水深が深いほど、繰出部72の回転速度を高くする。これにより、肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。
また、情報処理端末150bは、苗移植機1の走行速度に基づいて、繰出部72の回転速度を制御してもよい。例えば、走行速度が高くなるほど、肥料が流されやすい。そのため、情報処理端末150bは、走行速度が高くなるほど、繰出部72の回転速度を高くする。これにより、肥料不足による作物の生育不良を抑制することができる。
また、情報処理端末150bは、苗移植機1の前後方向の傾きに基づいて、繰出部72の回転速度を制御してもよい。例えば、苗移植機1が前上がりで走行している場合には、施肥ガイド75の先端が土壌内に入っていることがあり、肥料が流され難くなる。そのため、情報処理端末150bは、苗移植機1が前上がりで走行している場合には、繰出部72の回転速度を低くする。これにより、肥料過多による作物の育成不良を抑制することができる。
また、情報処理端末150bは、電動モータ77を操作する操作部(操作ボタン)を設けてもよい。これにより、例えば、作業者は、操縦座席28に座った状態で試し繰り出しを行うことができる。そのため、試し繰り出しに掛かる作業者の手間を低減し、作業性を向上させることができる。
また、田植を開始するためのボタン202がタッチされた場合には、情報処理端末150bは算出した比重を記憶してもよい。そして、圃場を移動し、再度、田植を開始するためのボタン202がタッチされた場合には、記憶した比重に基づいて繰出部72の回転速度を設定してもよい。これにより、圃場を移動し、同じ肥料を圃場に供給する場合に、再度、試し繰り出しを行わずに、設定された施肥量の肥料を圃場に供給することができ、作業性を向上させることができる。
また、情報処理端末150bは、同じ種類(同一銘柄)の肥料の比重の平均値を計算し、記憶してもよい。これにより、同じ種類の肥料を使用する際に、試し繰り出しを行わずに、記憶した平均値を用いて肥料を圃場に供給することができ、作業性を向上させることができる。また、試し繰り出しを行って計算した比重と、記憶している比重との偏差の絶対値が予め設定された値よりも大きくなった場合には、情報処理端末150bは、エラー(警告)表示を行ってもよい。これにより、例えば、作業者が、間違った種類の肥料を貯留ホッパ71に投入した場合に、作業者にその旨を報知することができる。
また、情報処理端末150bは、タブレット端末を一例として説明したが、これに限られることはない。情報処理端末150bは、走行パネルに設けられてもよい。
なお、上記実施形態では、繰出部72、施肥ホース74などを、条数に応じて設ける場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2条に対し、1つの繰出部72、および1本の施肥ホース74などを設けてもよい。この場合、例えば、隣接する2条間の中間付近に施肥ガイド75によって肥料を供給する。
なお、コントローラ150aは、複数のコントローラによって構成されてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細、および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲、およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。