以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<作業車両(苗移植機)1の全体構成>
図1を参照して実施形態に係る作業車両(苗移植機)1の全体構成について説明する。図1は、作業車両(苗移植機)1を示す概略左側面図である。なお、以下では、実施形態に係る作業車両1として、圃場を走行しながら圃場の表土面(圃場面)に苗を植え付ける苗移植機を例に説明する。
また、以下の説明において、前後方向とは、作業車両である苗移植機1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定している。苗移植機1の進行方向とは、直進時において、後述する操縦席9からステアリングハンドル10に向かう方向である(図1参照)。
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下では、「前」側へ向けて左右を規定している。すなわち、作業者(操縦者ともいう)が操縦席9に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。また、上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。
なお、これらの方向は、説明をわかりやすくするために便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、苗移植機1を指して「機体」という場合がある。
図1に示すように、苗移植機1は、圃場を走行可能な走行車体2を備える。走行車体2は、左右一対の前輪3と、左右一対の後輪4とを備える。なお、走行車体2は、たとえば、前輪3および後輪4が駆動する四輪駆動となる。走行車体2の後部には、昇降装置20によって昇降駆動される苗植付部30が設けられる。
走行車体2は、機体フレームとなるメインフレーム5と、メインフレーム5上に設けられたエンジンと、エンジンで発生した動力を駆動輪および苗植付部30に伝達する動力伝達装置6とを備える。すなわち、動力源であるエンジンで発生した動力は、走行車体2を前進または後進させるために使用されるだけでなく、苗植付部30を駆動するためにも使用される。
エンジンは、左右方向における走行車体2の中央部で、走行車体2に搭乗した作業者が足を載せるフロアステップ7よりも上方に突出した位置に配置される。エンジンとしては、たとえば、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関が用いられる。フロアステップ7は、前後方向において、走行車体2の前部に設けられる。フロアステップ7は、走行車体2の前端部からエンジンの後部にかけて設けられる。
フロアステップ7は、メインフレーム5上に取り付けられる。フロアステップ7のうち、後述する操縦席9付近の少なくとも一部は、作業者の靴などに付着した泥などを圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。なお、フロアステップ7の後部には、後輪4のフェンダを兼ねるリヤステップ7a(図6参照)が設けられてもよい。
この場合、リヤステップ7aは、左右方向において、エンジンを挟むように、エンジンの左右の両側部に配置される。また、エンジンは、エンジンカバー8に覆われている。エンジンカバー8の上方には操縦席9が設けられる。なお、フロアステップ7におけるリヤステップ7aは、昇降可能に設けられる。リヤステップ7aの昇降構造については、図6〜図9を用いて後述する。
動力伝達装置6は、エンジンから動力が伝達されるベルト式動力伝達装置と、エンジンからベルト式動力伝達装置を介して伝達される動力を変速する変速装置である油圧式無段変速機と、ミッションケースとを備える。
油圧式無段変速機は、たとえば、HST(Hydro Static Transmission)といわれる静油圧式無段変速機である。油圧式無段変速機は、主変速レバーが操作されることで、出力(回転速度)と出力方向(回転方向)とを変更可能である。すなわち、油圧式無段変速機は、回転速度や回転方向を変更することで、走行車体2の前後進や走行速度を変更可能である。
ミッションケースには、油圧式無段変速機によって変速されたエンジンからの動力を各部に伝達する伝動装置が設けられる。ミッションケースは、走行時や作業時における走行速度を切り替える副変速機構を備える。ミッションケースは、副変速レバーが操作されると、走行車体2の走行速度を、たとえば、植付作業時の走行速度よりも高速な走行速度、植付作業時における苗植付速度などに切り替え可能である。
図1に示すように、走行車体2は、フロアステップ7上に操縦席9を備える。操縦席9は、作業者が操縦時に着席する座席である。走行車体2は、操縦席9の前方に、ステアリングハンドル10と、植付昇降レバー11とを備える。ステアリングハンドル10は、後述するボンネット12に設けられ、作業者に操作されることで、走行車体2を操舵するものである。植付昇降レバー11は、クラッチレバーであり、ボンネット12に設けられ、苗植付部30を昇降させたり、苗植付部30による苗の植え付けを開始および停止させるために操作するレバーである。
また、走行車体2は、主変速レバーと、副変速レバーとを備える。主変速レバー(HSTレバー)は、走行車体2の前後進および走行速度を変更する場合に操作されるレバーである。副変速レバーは、走行車体2の走行速度を、走行する場所(圃場や路上)に応じた速度に切り替える場合に操作されるレバーである。
走行車体2は、操縦席9の前方に、ボンネット12を備える。ボンネット12は、フロアステップ7から上方に突出して設けられ、フロントカバー12aに覆われている。ボンネット12には、表示部(メータパネル)が設けられる。表示部は、操縦席9に着席して前方を向いた作業者と対面するように、後下がりに傾斜した表示面を有する。
表示部は、たとえば、圃場面に直進の目安とする線を引くための左右のマーカ13が機体の側方に出ていることを検知するマーカセンサ、植付昇降レバー11が、たとえば「植える」の位置にあるなど、植付昇降レバー11の操作位置を検知する植付レバー位置センサ、後述する施肥装置40の貯留ホッパ42に貯留された肥料が所定量を下回ったことを検知する肥料切れセンサ、貯留ホッパ42から送られた肥料が供給経路に詰まったことを検知する肥料詰まりセンサなどの各種センサ類からの情報を表示する。
図1に示すように、苗移植機1は、昇降装置20と、苗植付部30とを備える。昇降装置20は、昇降リンク21を備える。昇降リンク21は、走行車体2の後部と苗植付部30とを連結する平行リンクであり、走行車体2の後部のリンクフレームと苗植付部30とのそれぞれに対して上下方向に回動自在に連結されることで、走行車体2に対して苗植付部30を昇降可能に連結する。
また、昇降装置20は、油圧式の昇降シリンダ22を備える。昇降シリンダ22は、植付昇降レバー11が操作されて油圧バルブが切り替えられることで伸縮動作する。昇降シリンダ22は、伸縮動作することで昇降リンク21を駆動して、苗植付部30を昇降させる。すなわち、昇降シリンダ22は、植付昇降レバー11が操作されることで、苗植付部30を上昇させた非作業位置、苗植付部30を下降させた対地作業位置(植付位置)に切り替える。
苗植付部30は、上記したように、昇降リンク21を介して走行車体2の後部に取り付けられる。苗植付部30は、たとえば、複数の列(条)で苗を植え付けることが可能である。苗植付部30は、苗載置台31と、フロート32と、植付装置33とを備える。
苗載置台31は、機体の左右方向において、植付条数分の苗載せ面を有する。各苗載せ面は、上下方向に複数枚の土付きマット苗を載置可能な後下がりの傾斜面である。フロート32は、走行車体2の移動に伴い圃場面上を滑走しながら整地する。フロート32は、機体の左右方向において、機体中央部に配置されるセンターフロートと、センターフロートを挟んで左右方向の外側に配置されるサイドフロートとを備える。なお、苗移植機1は、整地ロータなどの整地装置を備えてもよい。
フロート32の各フロート(センターフロートおよびサイドフロート)は、圃場面の凹凸に応じて前部が上下動するように、走行車体2に回動自在に取り付けられる。植付装置33は、たとえば、センターフロートの上下動を迎角制御用の回動センサで検知する。苗植付部30では、植付作業時にはセンターフロートの前部の上下動が回動センサによって検知され、回動センサの検知結果に応じて制御部によって昇降シリンダ22の伸縮動作を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部30を昇降させ、苗の植え付け深さを調節することができる。
植付装置33は、苗載置台31の植付支持フレームによって支持されることで、苗載置台31の下方に配置される。植付装置33は、苗載置台31に載置された苗を圃場に植え付ける。植付装置33は、植込杆と、ロータリーケースと、植付伝動ケースとを備える。植込杆は、苗載置台31に載置されたマット苗から苗をとって圃場面に植え付ける。植込杆は、植付伝動ケースに対して回転可能に連結される。
ロータリーケースは、植込杆を回転可能に支持するとともに、植付伝動ケースに対して回転可能に連結される。ロータリーケースには、植込杆の回転速度を変化させながら植込杆を回転させることが可能な不等速伝動機構が設けられる。植込杆は、ロータリーケースに対する回転角度によって回転速度を変えながら回転する。植付伝動ケースは、エンジンから苗植付部30に伝達された動力を、植込杆に伝達する。
図1に示すように、苗移植機1は、施肥装置40を備える。施肥装置40は、圃場に肥料を散布する装置である。苗移植機1においては、苗植付部30によって圃場に苗を植え付けながら、施肥装置40によって圃場に肥料を散布する。施肥装置40は、走行車体2の後部上方であり操縦席9の後方に設けられる。施肥装置40は、ホッパユニット41と、蓋部43とを備える。
<施肥装置40の一例(施肥装置40A)>
次に、図2および図3を参照して施肥装置40の一例(施肥装置40A)について説明する。図2および図3はいずれも、施肥装置40の一例(施肥装置40A)を示す概略斜視図である。なお、図3には、投入部45における肥料Fの搬送状態を示している。苗移植機1(図1参照)において施肥装置40Aは、複数の貯留ホッパ42に貯留された粒状の肥料Fを設定量ずつ圃場に散布する。なお、施肥装置40Aは、制御部に接続された施肥量調節モータなどを備えることで、肥料Fの散布量である施肥量を調節する、いわゆる可変施肥が可能となる。
図2に示すように、施肥装置40Aは、ホッパユニット41と、投入部45とを備える。ホッパユニット41は、苗移植機1(図1参照)に設置された状態において機体の左右方向に並んで設けられた複数の貯留ホッパ42を有する。複数の貯留ホッパ42は、それぞれの上面開口42aから投入される肥料F(図3参照)を貯留する。なお、図示の例では、ホッパユニット41は、2つの貯留ホッパ42が一体形成されたものである。ホッパユニット41は、左右方向に並んだ2つの貯留ホッパ42がさらに左右方向に並ぶように、左右方向に複数(2つ)並んで配置される。図示の例では、2つのホッパユニット41が左右方向に直列に配置されるとともに、2つのホッパユニット41が一体形成されている。
また、ホッパユニット41は、蓋部43を備える。蓋部43は、各ホッパユニット41における(複数の貯留ホッパ42の)上面開口42aの後部において左右方向に沿って設けられた回動軸44を中心に回動可能に設けられる。なお、蓋部43は、たとえば、ヒンジによって貯留ホッパ42に回動可能に接続されてもよい。ヒンジを用いた場合、回動軸44はヒンジの軸である。蓋部43は、閉じた状態で上面開口42aを閉塞し、開いた状態、すなわち、後方に回動させた状態で上面開口42aを開放する。図示の例では、蓋部43は、左右方向に2つ並んで配置されるとともに、2つが一体形成されたものである。
投入部45は、蓋部43の裏面43aに設けられる。投入部45は、蓋部43を開いた状態で、左右方向のいずれか一方の端部から供給された肥料Fを、左右方向の他方の端部に向けて搬送する。図示の例では、図中の向かって左側(左右方向では、右側)に配置されたホッパユニット41においては、矢線A1で示すように、右端部(一方の端部)から左端部(他方の端部)に向けて肥料Fを搬送する。また、図中の向かって右側(左右方向では、左側)に配置されたホッパユニット41においては、矢線A2で示すように、左端部(一方の端部)から右端部(他方の端部)に向けて肥料Fを搬送する。投入部45は、肥料Fを搬送しながら複数の貯留ホッパ42のそれぞれに肥料を投入する。
かかる構成によれば、投入部45に肥料Fを供給することで、左右方向に並んでいる複数の貯留ホッパ42に対して、左右方向の一端側に配置されたものから他端側に配置されたものまで順に肥料Fが投入される。すなわち、左右方向のいずれか一方の端部から肥料Fを供給することで、左右方向に並んでいる複数の貯留ホッパ42のそれぞれに肥料Fが投入される。また、各貯留ホッパ42に肥料Fを投入する作業では左右方向の一方に肥料Fを投入すればよいため、作業者が機体上を左右方向に移動しながら肥料Fを投入する必要がない。また、作業者が操縦席9を跨いで左右方向に移動する必要もない。このように、施肥装置40(施肥装置40A)において複数の貯留ホッパ42に対する肥料Fの投入性が高まるため、作業性を向上させることができる。
また、ホッパユニット41が左右方向に直列に並んで複数(2つ)配置されることで、たとえば、4条、6条および8条といった多条に対して肥料Fを散布するタイプ(多条植えタイプ)の機体に対応させることができる。
図2に示すように、投入部45は、搬送コンベア451と、モータ452と、仕切板453と、角度調節装置454とを備える。搬送コンベア451は、駆動源であるモータ452によって駆動されることで循環して搬送路451aとなるベルト面上の被搬送物を所定方向に搬送するベルトコンベアである。搬送コンベア451は、蓋部43の裏面に設けられ、蓋部43を開けた状態で、左右方向のいずれか一方の端部から他方の端部に向けて肥料F(図3参照)を搬送する。
仕切板453は、搬送コンベア451の搬送路451a上に複数(2つ)設けられる。仕切板453は、搬送路451aを形成しているベルト面に接触することなく、搬送路451aの一部を遮るように設けられる。2つの仕切板453は、搬送路451aの幅方向(前後方向)の長さが異なる。仕切板453は、たとえば、図中の向かって左側(左右方向では、右側)に位置するホッパユニット41においては、一方の端部である右端部よりも他方の端部である左端部が前後方向に長い。また、仕切板453は、たとえば、図中の向かって右側(左右方向では、左側)に位置するホッパユニット41においては、一方の端部である左端部よりも他方の端部である右端部が前後方向に長い。
仕切板453は、搬送路451a上において肥料F(図3参照)の搬送を遮ることで、搬送コンベア451によって搬送される肥料Fを複数(2つ)の貯留ホッパ42のそれぞれの上面開口42aに向けて搬送路451a上から所定量ずつ脱落させる。
角度調節装置454は、蓋部43の回動角度を調節する装置である。なお、角度調節装置454は、回動角度検知のために、たとえば、ポテンショメータを備える。角度調節装置454は、蓋部43の回動角度(開度)を調節することで、搬送コンベア451の搬送路451aの傾斜角が調節可能となる。これにより、搬送コンベア451による肥料Fの搬送状態に応じて搬送路451aの傾斜角を調節することができ、たとえば、搬送路451aからの肥料の落ちが悪い場合には傾斜を急にすることで、肥料Fの均一な投入が可能となる。
図3に示すように、施肥装置40Aでは、投入部45の左右方向のいずれか一方の端部(左右方向の左側に配置されたものの場合は左端部、左右方向の右側に配置されたものの場合は右端部)から投入された肥料Fが搬送コンベア451によって搬送路451a上を左右方向の他方の端部に向けて搬送される。図示の例では、施肥装置40Aにおいて、肥料Fの一部が1つ目の仕切板453に搬送を遮られ、搬送路451aから脱落して一方の端部側の貯留ホッパ42に投入される。また、1つ目の仕切板453に遮られなかった肥料Fの一部が2つ目の仕切板453に搬送を遮られ、搬送路451aから脱落して一方の端部側の貯留ホッパ42および他方の端部側の貯留ホッパ42に投入される。さらに、2つ目の仕切板453に遮られなかった肥料Fが蓋部43の側板に搬送を遮られ、搬送路451aから脱落して他方の端部側の貯留ホッパ42に投入される。
かかる構成によれば、蓋部43を開けた状態で、蓋部43の裏面43aに設けられた搬送コンベア451の左右方向のいずれか一方の端部に肥料Fを供給することで、肥料Fが左右方向の一方から他方に向けて搬送される。このとき、搬送コンベア451によって搬送される肥料Fは、複数(2つ)の仕切板453によって段階的に所定量ずつ搬送路451a上から脱落され、複数(2つ)の貯留ホッパ42に対して、左右方向の一端側に配置されたものから他端側に配置されたものまで順に投入される。これにより、複数(2つ)の貯留ホッパ42に対する肥料の投入性が高まり、作業性を向上させることができる。
<施肥装置40の他の例(施肥装置40B)>
次に、図4および図5を参照して施肥装置40の他の例(施肥装置40B)について説明する。図4および図5はいずれも、施肥装置40の他の例(施肥装置40B)を示す概略斜視図である。なお、図4には、蓋部47を開けた状態を示し、図5には、蓋部47を閉じた状態を示している。また、以下で説明する施肥装置40の他の例(施肥装置40B)において上記した施肥装置40Aと同等または同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図4に示すように、施肥装置40Bは、ホッパユニット41と、投入部46とを備える。投入部46は、複数の貯留ホッパ42の上面開口42aに、2つが背中合わせとなって左右対称に設けられる。投入部46は、左右方向の中央部に投入された肥料Fを、左右方向のいずれか一方の端部から他方の端部に向けて搬送する。図示の例では、図中の向かって左側(左右方向では、右側)の投入部46においては、矢線B1で示すように、左右方向の一方の端部である左端部から他方の端部である右端部に向けて肥料Fを搬送する。また、図中の向かって右側(左右方向では、左側)の投入部46においては、矢線B2で示すように、左右方向の一方の端部である右端部から他方の端部である左端部に向けて肥料Fを搬送する。
投入部46は、搬送コンベア461と、モータ463とを備える。搬送コンベア461は、肥料Fの搬送方向(左右方向)に長さの異なる複数(5つ)のコンベア462a〜462eを備える。複数のコンベア462a〜462eは、搬送コンベア461の幅方向(前後方向)に並列に配置され、複数のコンベア462a〜462eのベルト面により肥料Fの搬送路461aが形成される。図示の例では、複数のコンベア462a〜462eは、前後方向の最も前側に第1コンベア462aが配置され、第1コンベア462aの後側に第2コンベア462b、第3コンベア462c、第4コンベア462dが順に配置され、最も後側に第5コンベア462eが配置される。
第1〜第5コンベア462a〜462eのうち、前後方向の中央部に配置される第3コンベア462cは、最も短い。第1〜第5コンベア462a〜462eのうち、前後方向の最も前側の第1コンベア462aと、最も後側の第5コンベア462eとは、同等の長さであり、最も長い。また、第3コンベア462cの前後両隣りに配置される第2コンベア462bおよび第4コンベア462dは、同等の長さであり、第3コンベア462cよりも長く、第1コンベア462aおよび第5コンベア462eよりも短い。第1〜第5コンベア462a〜462eは、肥料Fが複数の貯留ホッパ42に均等に投入されるように、それぞれの長さが適宜設定されている。
搬送コンベア461の駆動源であるモータ463は、1つの投入部46に対して1つ設けられる。すなわち、モータ463は、第1〜第5コンベア462a〜462eの共通の駆動源である。モータ463は、第1コンベア462aおよび第5コンベア462eの共通の駆動軸464を回転させることで、第1コンベア462aおよび第5コンベア462eを駆動し、これに伴い各従動軸を順次回転させ、第3コンベア462c、第2コンベア462bおよび第4コンベア462dを駆動する。第1〜第5コンベア462a〜462eは、左右方向に肥料Fを搬送しながら、肥料Fを段階的に所定量ずつ搬送路461a上から脱落させる。
かかる構成によれば、各投入部46に対して、左右方向のいずれか一方の端部から搬送コンベア461の搬送路461a上に肥料を供給することで、肥料Fが左右方向の一方から他方に向けて搬送される。このとき、搬送コンベア461の複数のコンベア(第1〜第5コンベア)462a〜462eによって搬送される肥料Fは、段階的に搬送路461a上から脱落され、複数の貯留ホッパ42に対して、左右方向の一端側に配置されたものから他端側に配置されたものまで順に投入される。これにより、複数の貯留ホッパ42に対する肥料Fの投入性が高まり、作業性を向上させることができる。
また、ホッパユニット41は、蓋部47を備える。蓋部47は、各ホッパユニット41における(複数の貯留ホッパ42の)上面開口42aの後部において左右方向に沿って設けられた回動軸44を中心に回動可能に設けられる。なお、蓋部47は、たとえば、ヒンジによって貯留ホッパ42に回動可能に接続されてもよい。ヒンジを用いた場合、回動軸44はヒンジの軸である。蓋部47は、閉じた状態で上面開口42aを閉塞し、開いた状態、すなわち、後方に回動させた状態で上面開口42aを開放する。図示の例では、蓋部47は、左右方向に2つ並んで配置されるとともに、2つが一体形成されたものである。
図4に示すように、蓋部47は、投入口471を備える。投入口471は、蓋部47の左右方向のいずれか一方の端部(左右方向の左側に配置されたものの場合は右端部、左右方向の右側に配置されたものの場合は左端部)に形成される。これにより、投入部46における搬送上流側に肥料Fを供給することができる。図示の例では、蓋部47が複数(2つ)のホッパユニット41に対して共通しているため、投入口471は、複数(2つ)のホッパユニット41に対して共通する1つが形成される。
図5に示すように、投入口471は、投入部46に肥料Fを供給する場合に肥料袋FBを受ける受部(じょうご)48が取り付けられるように構成されてもよい。
かかる構成によれば、蓋部47を閉じたまま肥料Fを投入することができる。これにより、たとえば、雨天時の作業において肥料Fを濡らすことなく、各ホッパユニット41の複数の貯留ホッパ42に肥料Fを投入することができる。
なお、投入部46の搬送コンベア461は、蓋部47のように回動可能に設けられてもよい。この場合、搬送コンベア461は、モータ463が取り付けられたまま回動可能となるように構成されることが好ましい。これにより、たとえば、各ホッパユニット41の複数の貯留ホッパ42に対するアクセス性を向上させることができる。
<フロアステップ7(リヤステップ7a)の昇降構造>
次に、図6〜図9を参照してフロアステップ7(リヤステップ7a)の昇降構造について説明する。図6は、フロアステップ7(リヤステップ7a)を示す概略斜視図である。図7は、フロアステップ7(リヤステップ7a)の上昇動作の説明図である。図8は、フロアステップ7(リヤステップ7a)の昇降構造を示す概略斜視図である。図9は、フロアステップ7(リヤステップ7a)の上昇後の規制構造を示す概略斜視図である。図6に示すように、フロアステップ7は、走行車体2におけるエンジンカバー8およびフロントカバー12aの左右方向の両側部を含む領域に水平状に形成される。フロアステップ7は、作業者が機体上で施肥装置40に肥料Fを供給するなどの作業を行う場合には、作業者の足場となる場合がある。
図6および図7に示すように、フロアステップ7は、施肥装置40の前方を含む領域に形成される。フロアステップ7は、少なくとも施肥装置40の前方領域(リヤステップ7a)においてホッパユニット41の貯留ホッパ42の上面開口42aと同等の高さまで上昇可能に設けられる。図示の例では、リヤステップ7aの一部が上昇可能に設けられる。これにより、作業者が肥料袋FBを持ち上げることなく、肥料Fの投入が可能となる。また、リヤステップ7aには、下降した状態で面一となるように、昇降する部位(昇降部7b)が嵌入可能な凹状の嵌入部7cが形成される。これにより、作業者が肥料袋FBを昇降部まで移動させる場合に、突出した部位がないため、肥料袋FBの移動がスムーズとなる。なお、昇降部7bを昇降させる昇降構造については、図8を用いて後述する。
かかる構成によれば、複数の貯留ホッパ42に肥料Fを投入する場合、一般的に重量物である肥料袋FBを作業者が持ち上げる必要がなくなる。これにより、複数の貯留ホッパ42に対する肥料Fの投入性が高まり、作業性を向上させることができる。
また、リヤステップ7aは、フロアステップ7におけるリヤステップ7aの前方領域である水平部7d(図6参照)から後方に向かうにつれてなだらかな上り傾斜となるスロープ状に形成される。これにより、作業者がフロアステップ7上で肥料袋FBを移動させる場合に肥料袋FBの移動がスムーズとなる。
図6に示すように、昇降部7bを上昇させる場合には、リヤステップ7aに設けられた操作ペダル51を作業者が後方に向けて踏み込み操作することで昇降部7bが上昇する。また、作業者が操作ペダル51の踏み込みをやめて操作ペダル51が前方に戻ることで、昇降部7bが下降して元の高さに戻る。
図8に示すように、昇降部7bを昇降させる昇降構造は、上記した操作ペダル51と、支点部52と、リンク部53と、ストッパ部54とにより構成される。操作ペダル51は、L字状の支持部材511の先端部に設けられる。支持部材511の基端部は、リンク部53の後述するリンク構成部材531に溶接などで固着される。操作ペダル51は、支持部材511に支持されることで、リヤステップ7a上に突出している。操作ペダル51は、作業者の踏み込み操作によって、矢線C1で示すように、後方に移動する。なお、操作ペダル51が前方にある場合には昇降部7bは下降している。すなわち、操作ペダル51が前方にある場合には昇降部7bはリヤステップ7aの嵌入部7c(いずれも、図6参照)に入り込んでいる。操作ペダル51が後方にある場合には昇降部7bは上昇している。
ここで、リヤステップ7a(図6参照)の昇降部7bは、左右方向の両側部が前後方向に沿って設けられた各パイプなどの支持部材7eによって支持される。支持部材7eは、昇降部7bの補強部材としての機能も兼ねる。左右の支持部材7eは、昇降部7bの左右方向の両側面を形成する。支点部52は、昇降部7bの支持部材7eとメインフレーム5の後部(突出部)5aとにそれぞれ設けられる。支点部52は、昇降部7bとメインフレーム5の突出部5aとの間で、リンク部53を上下方向に伸縮可能に連結させる。支点部52は、前後方向の前側支点となる穴(長穴)521と、後側支点となる穴522とを備える。支点部52は、長穴521および穴522にリンク部53のリンク構成部材531がそれぞれ連結(挿通)されることで、昇降部7bを昇降させるためのリンク支点を形成する。
長穴521は、昇降部7bの左右方向の両側面の前側、およびメインフレーム5の突出部5aの左右方向の両側面の前側の上下方向について同じ位置となるようにそれぞれ設けられる。長穴521は、前後方向に長い穴であり、前後方向に移動する可動支点を形成する。穴522は、昇降部7bの左右方向の両側面の後側、およびメインフレーム5の突出部5aの左右方向の両側面の後側の上下方向について同じ位置となるようにそれぞれ設けられる。穴522は、円形状の穴であり、固定支点を形成する。
リンク部53は、左右一対で設けられる。リンク部53は、ロッドの両端部が直角に屈曲された、コ字状のリンク構成部材531を備える。リンク構成部材531は、一方の端部532が支点部52の前側支点となる長穴521に挿通され、他方の端部533が支点部52の後側支点となる穴522に挿通される。リンク構成部材531は、一方の端部532が長穴521に挿通されることで、長穴521に対して回転自在に連結され、他方の端部533が穴522に挿通されることで、穴522に対して回転自在に連結される。リンク構成部材531は、左右それぞれにおいて、2つを交差させるとともに、交差部534において2つが回転自在に連結される。
リンク構成部材531は、長穴521および穴522に挿通された一方の端部532および他方の端部533に、抜止ピン535が取り付けられる。抜止ピン535は、長穴521および穴522に挿通された各端部532,533を規制(抜け止め)する。また、ストッパ部54は、昇降部を上昇させた後、昇降部を上昇位置に止める規制構造を有する。ストッパ部54の規制構造については、図9を用いて後述する。
図8に示すように、操作ペダル51が作業者によって踏み込み操作されて後方(矢線C1で示す方向)に移動すると、左右方向の右側に配置された、支持部材511が固着されている一方のリンク構成部材531の一方の端部532(可動支点)が押されて後方(矢線C2で示す方向)に移動する。かかる一方のリンク構成部材531の一方の端部532の移動に連動して他方のリンク構成部材の一方の端部532(可動支点)も後方(矢線C2で示す方向)に移動する。なお、リンク構成部材531の他方の端部533は、いずれも固定支点であるため、位置はそのままで回動する。
左右方向の右側に配置された2つのリンク構成部材351は、一方の端部532が後方に移動しながら回動することで、昇降部7bの右側部を上昇させる。昇降部7bの右側部が上昇することで昇降部7bの左側部が上昇する。昇降部7bの左側部が上昇することで、左右方向の左側に配置されたリンク構成部材531が連動して昇降部7bの左側部を補助的に上昇させる。
図9に示すように、ストッパ部54は、操作部541と、穴部542と、規制部543と、付勢部544とを備える。操作部541は、ロッド状の部材であり、一方の端部が上方に向けて屈曲される。すなわち、操作部541は、L字状に形成される。操作部541の屈曲部分は、リヤステップ7a(図6参照)上に突出して操作レバーとして機能する。穴部542は、メインフレーム5(図8参照)の突出部5aにおける長穴521の下方に形成され、操作部541が挿通される穴である。規制部543は、略直角三角形の板状の部材であり、操作部541の他方の端部に設けられる。なお、規制部543は、操作部541の他方の端部に溶接などによって固着される。付勢部544は、操作部541と突出部5aとの間に設けられる。付勢部544は、たとえば、トルクスプリングであり、操作部541を操作方向(矢線C3で示す方向)とは反対方向、すなわち、前方側に回転するように常時付勢している。
ストッパ部54は、昇降部7b(図8参照)が上昇してリンク構成部材531の一方の端部532が長穴521の後方に移動している場合に、一方の端部532を規制部543の後方側の辺部543aで押えることで、一方の端部532が前方に移動すること、すなわち、戻ることを規制する。なお、一方の端部532が後方に移動する場合には、一方の端部532が付勢部544の付勢力に抗して規制部543の斜辺部543bを押し下げながら移動する。
ストッパ部54において規制解除する場合は、操作部541の屈曲された一方の端部を付勢部544の付勢力に抗して後方(矢線C3で示す方向)側に回転操作することで、操作部541が矢線C31で示すように回転し、規制部543が矢線C32で示すように下方に向けて回動する。これにより、リンク構成部材531の一方の端部532は、前方に移動可能となる。
<左右の手すり61,62>
次に、図10〜図13を参照して左右の手すり61,62について説明する。図10は、手すり61,62の配置を示す概略斜視図である。図11は、(a)左側の手すり61を示す概略正面図、(b)左側の手すり61を示す概略平面図、(c)左側の手すり61を示す概略右側面図である。図12は、(a)右側の手すり62を示す概略正面図、(b)右側の手すり62を示す概略平面図、(c)右側の手すり62を示す概略左側面図である。図13は、手すり61(62)のマーカ保持構造を示す概略斜視図である。
図10に示すように、苗移植機1においては、走行車体2のフロアステップ7の後部であり、施肥装置40付近となる施肥装置40の前方に配置されたリヤステップ7aの左右方向の両外側にそれぞれ設けられた手すり61,62を備える場合がある。左右の手すり61,62が施肥装置40付近に配置されることで、作業者がリヤステップ7a上で肥料を供給する場合に、左右の手すり61,62が囲い(柵)の機能を兼ねることで、作業者が機体上から転落するのを防ぐことができる。
図11に示すように、左側の手すり61は、機体右方から見た場合において、すなわち、右側面視においてコ字状に形成された手すり本体611の両端部に前後の脚部612a,612bが設けられる。なお、前側の脚部612aは、リヤステップ7a(図10参照)の外側部に取り付けられるため、後側の脚部612bよりも短い。また、左側の手すり61は、手すり本体611に矩形状の補強板613が設けられる。補強板613には、上辺に切欠き613aが形成され、切欠き613aの下方に小孔613bが形成される。なお、補強板613の切欠き613aおよび小孔613bは、後述するマーカ保持構造を構成する。
図12に示すように、右側の手すり62は、機体左方から見た場合において、すなわち、左側面視においてコ字状に形成された手すり本体621の両端部に前後の脚部622a,622bが設けられる。なお、前側の脚部622aは、リヤステップ7a(図10参照)の外側部に取り付けられるため、後側の脚部622bよりも短い。また、後側の脚部622bは、平面視において前側の脚部622aよりも手すり62の設置状態で機体内側となる左方にオフセットされている。また、右側の手すり62は、手すり本体621に矩形状の補強板623が設けられる。補強板623には、上辺に切欠き623aが形成され、切欠き623aの下方に小孔623bが形成される。なお、補強板623の切欠き623aおよび小孔623bは、上記した左側の手すり61と同様、後述するマーカ保持構造を構成する。
左側の手すり61は、前後の脚部612a,612bによりリヤステップ7aから間隔をあけて配置されるため、施肥装置40の貯留ホッパ42(図10参照)との干渉を防止することができる。右側の手すり62も同様に、前後の脚部622a,622bによりリヤステップ7aから間隔をあけて配置されるため、施肥装置40の貯留ホッパ42との干渉を防止することができる。また、右側の手すり62は、後方に向かうにつれて機体内側にオフセットされているため、たとえば、機体右側に配置された施肥装置40の肥料繰出ハンドルと干渉しない。
また、左右の手すり61,62はいずれも、マーカ13の不使用時にマーカ13の先端部(水車部)を保持するマーカ保持構造を有する。ここで、図13を参照してマーカ保持構造について説明する。なお、以下では、左側の手すり61におけるマーカ保持構造について説明し、右側の手すり62におけるマーカ保持構造については左側の手すり61と同様のため省略する。図13に示すように、左側の手すり61におけるマーカ保持構造は、上記したように、補強板613の切欠き613aおよび小孔613bによって構成される。なお、補強板613の小孔613bには、クリップ63が取り付けられる。マーカ保持構造では、マーカ13は、ロッド131の屈曲部131aが切欠き613aに嵌入された状態で小孔613bに取り付けられたクリップ63によってロッド131が固定される。このように、不使用時のマーカ13を機体に保管することでマーカ13の紛失を防止することができる。
<アンテナステー73>
次に、図14および図15を参照してアンテナステー73について説明する。図14は、サンバイザ70およびアンテナステー73を示す概略左側面図である。図15は、アンテナステー73を示す概略斜視図である。図14に示すように、苗移植機1においては、機体を操縦している作業者を太陽の直射から守るために、走行車体2にサンバイザ70を備える場合がある。サンバイザ(ルーフともいう)70は、たとえば、走行車体2の左右両側部からそれぞれ上方に延びたフレーム71によって操縦席9やステアリングハンドル10の上方に位置するように支持される。
サンバイザ70の上部には、たとえば、直進アシストモードにおいて走行車体2の位置測定のためのアンテナ72が取り付けられる。なお、アンテナ72は、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナであり、上空を周回している航法衛星からの電波を受信して測位および計時する。
ステアリングハンドル10付近(たとえば、前方)には、直進アシストモードにおいて作業者に直進補助のための情報を表示する直進アシストモニタが設けられる場合がある。この場合、直進アシストモニタを取り付けるステー(直進アシストモニタステー)は、ボンネット12およびハイマウントモニタステー74を支点として設けられる。これにより、サンバイザ70をオプション追加しても直進アシストモニタ分のスペースが確保され、直進アシストモニタもこれまでどおり使用することができる。なお、直進アシストモニタステーを、ボンネット12において2点で支持するとともに、ハイマウントモニタステー74を支点として直進アシストモニタステーを左側からまわり止めするように構成してもよい。また、たとえば、直進アシストモニタステーの右側に汎用モニタを取り付けるステーを追加で設けてもよい。
図14に示すように、サンバイザ70の上部には、アンテナ72を支持するアンテナステー73が設けられる。アンテナステー73は、前輪3の左右方向の中心、かつ、走行車体2の中心である中心線L上にアンテナ72が位置するように設けられることが好ましい。この場合、アンテナステー73は、アンテナ72を、たとえば、2650mmの高さ(h=2650mm)に位置させるように支持するとより好ましい。
図14および図15に示すように、アンテナステー73は、フレーム部731と、アンテナ載置部732と、側板733と、取付部734とを備える。フレーム部731は、左右方向に延びたフレームである。アンテナ載置部732は、フレーム部731の左右方向における中央部に設けられる。アンテナ載置部732には、アンテナ72が載置されるとともに、載置されたアンテナ72が固定される。側板733は、フレーム部731の左右の両端部にそれぞれ設けられる。左右の側板733の下部には、互いに近づくように左右方向に延びた延出部733aが設けられる。取付部734は、矩形板状の部材であり、左右の側板733の延出部733aの先端部に設けられる。取付部734には、サンバイザ70に対して取り付けるためにネジなどが挿通される小孔734aが形成される。このように、サンバイザ70にアンテナステー73を取り付けることで、サンバイザ70上における所望の位置(高さも含む)にアンテナ72を配置することができる。
<サイドガード81>
次に、図16〜図19を参照してサイドガード81について説明する。図16は、サイドガード81の説明図である。図17は、サイドガード81の傾倒構造の説明図である。図18は、サイドガード81(81A)の前後調節構造の説明図である。図19は、サイドガード81(81B)の上下調節構造の説明図である。なお、図16には、走行車体2の模式的な左側面図を示している。また、図17は、図16におけるD部の拡大図である。図17には、サイドガード81の傾倒構造を示している。さらに、図18には、サイドガード81(81A)の前後調節構造、図19には、サイドガード81(81B)の前後調節構造の概略斜視図をそれぞれ示している。
図16に示すように、苗移植機1においては、走行車体2の両側部に作業者の転落防止のためのサイドガード81を備える場合がある。サイドガード81は、本体が左右方向の外側に向けて広がるように傾倒可能に設けられる。サイドガード81は、走行車体2に対する取付部となる基端部81aに傾倒構造を有する。図17に示すように、サイドガード81の傾倒構造は、サイドガード受部82を備える。サイドガード受部82は、有底筒状の部材であり、たとえば、左側のサイドガード受部82の場合には、左右方向の外側となる左側の外周面83に上下方向に沿ったスリット83aが形成される。
図17に示すように、サイドガード81本体の基端部81aを受けるサイドガード受部82は、本体(基端部81a)が前方に移動している場合には、本体を直立させた状態で保持する。サイドガード受部82は、本体(基端部81a)を後方(矢線E1で示す方向)に移動させると、基端部81aがスリット83aに入り込むことで、本体を、矢線E2で示すように、外側(左側)に向けて傾倒させる。このように、サイドガード81は、傾倒可能に設けられることで、本体を傾倒させて肥料F(図7参照)を載せるための台として用いることができる。また、傾倒させた本体に容器を配置して施肥装置40(図1参照)から排出される残留肥料を受けることができる。また、傾倒させた本体を座席として使用することも可能である。
また、サイドガード81(81A)は、前後方向の位置を調節するための前後調節構造を有してもよい。図18に示すように、サイドガード81Aの前後調節構造は、サイドガード受部84を備える。サイドガード受部84は、サイドガード81Aの基端部81aが挿通される円筒状の受部84aが前後方向に複数並んで構成される。前後調節構造においては、基端部81aを、受部84aを代えてサイドガード受部84に取り付けることで、前後方向の位置を変えて本体を配置する。このように、サイドガード81Aでは、前後調節可能に設けられることで、たとえば、作業者の体型にあわせてサイドガード81Aを配置することができる。
また、サイドガード81(81B)は、上下方向の位置を調節するための上下調節構造を有してもよい。図19に示すように、サイドガード81Bの上下調節構造は、本体の基端部81aに長手方向に並んで形成された複数の小孔85を備える。上下調節構造においては、複数の小孔85のいずれかにネジなどの留め具を挿通させることで、上下方向の位置を変えて本体を配置する。このように、サイドガード81Bは、上下調節可能に設けられることで、たとえば、作業者の体型にあわせてサイドガード81Bを配置することができる。
<燃料タンク91のキャップ被覆構造>
次に、図20〜図22を参照して燃料タンク91のキャップ被覆構造について説明する。図20は、燃料タンク91の配置を示す概略左側面図である。図21は、燃料タンク91の配置を示す概略平面図である。図22は、燃料タンク91のキャップ被覆構造を示す概略斜視図である。なお、図20には、苗移植機1(走行車体2)の左側面を示し、図21には、苗移植機1(走行車体2)の平面を示している。
図20および図21に示すように、燃料タンク91は、走行車体2のフロアステップ7上、かつ、操縦席9の下方に配置される。燃料タンク91は、操縦席9の台座であるエンジンカバー8によって周囲が覆われている。燃料タンク91は、給油口がキャップ92により閉じられている。また、図20〜図22に示すように、エンジンカバー8の上面には、穴部93と、蓋部94とが設けられる。穴部93および蓋部94は、エンジンカバー8の上面において燃料タンク91のキャップ92の直上に位置している。蓋部94は、開いた状態で穴部93からキャップ92を露出させる。このように、苗移植機1においては、燃料タンク91のキャップ92を給油する場合など使用時にのみ露出させ未使用時にはキャップ92を被覆することが可能なキャップ被覆構造を有する。かかるキャップ被覆構造によれば、洗車時などにキャップ92から燃料タンク91内に水が浸入するのを防止することができる。
<苗レール100>
次に、図23〜図28を参照して苗レール100について説明する。図23は、苗レール100を示す概略左側面図である。図24は、苗レール100を示す概略底面図である。図25は、苗レール100のステー105を示す概略斜視図である。図26は、苗レール100(100A)の円滑搬送構造を示す概略斜視図である。図27は、苗レール100(100A)の円滑搬送構造を示す概略左側面図である。図28は、苗レール100(100A)の円滑搬送構造の他の例を示す概略斜視図である。
苗移植機1(図1参照)においては、フロアステップ7(図1参照)前部の左右のうち少なくとも一方に補給用の苗を載せておく予備苗の載置台(苗レールという)100を備える場合がある。苗レール100は、フロアステップ7から突出した支持軸(鉛直軸)によって回転自在に支持される。苗レール100は、たとえば、作業者の手によって自由に回動させることができる。図23および図24に示すように、苗レール100は、たとえば、前側苗枠101と、後側苗枠102とを備える。なお、苗レール100は、苗枠を直列させた状態で、3つ以上の苗枠が並ぶものであってもよい。
図22および図23に示すように、前側苗枠101の苗搬送面101aの後部、および後側苗枠102の苗搬送面102aの前部(先端部)には、複数(2つ)のローラ103が左右方向に並んで設けられる。各ローラ103は、回転軸103aの向きが苗(マット苗)の搬送方向(前後方向)と直交して設けられる。すわなち、複数のローラ103は、各苗搬送面101a,102aにおいて並列に配置される。このように、前側苗枠101の後部、および後側苗枠102の先端部にローラ103が設けられることで、前側苗枠101から後側苗枠102にかけて苗搬送面101a,102a上を苗が前から後に搬送される場合に、ローラ103上に苗が常に位置するようになり、苗の搬送負荷が低減され、苗の円滑な搬送が可能となる。
また、各ローラ103は、苗搬送面101a,102aから上部を、苗が行き過ぎないように搬送規制するストッパ104の高さと同程度(たとえば、7mm)突出して設けられる。このように、各ローラ103が苗搬送面101a,102aから上方に突出していることで、搬送中の苗の接触部分が少なくなり、苗の搬送負荷が低減され、苗の円滑な搬送が可能となる。なお、苗レール100、すなわち、前側苗枠101および後側苗枠102は、従来の苗枠フレームに後付け可能に構成されることが好ましい。かかる構成とすることで、たとえば、苗の重量が軽い場合には、苗レール100を外して従来のものを使用することができる。
図25に示すように、苗レール100においては、後側苗枠102の苗搬送面102aの下方にステー105が設けられてもよい。ステー105は、前後方向にスライド可能に設けられ、後側苗枠102の後方に向けて所定量d(d=100〜200mm)引き出すことができる。このように、ステー105を引き出し可能に設けることで、苗レール100を作業者により近づけることができる。これにより、苗レール100のハンドリング性を向上させることができる。
また、図25に示すように、ステー105は、後端部がコ字状に屈曲形成されている。かかる屈曲部分は、ステー105を後方に引き出す場合に把手部105aとなる。なお、把手部105aの立ち上がりは、後側苗枠102と同程度の高さに設定されることが好ましい。このように、把手部105aの立ち上がりを後側苗枠102の高さとあわせることで、作業者が肥料を取りやすくなる。
図26に示すように、苗レール100(100A)においては、の前側苗枠および後側苗枠のうち少なくともいずれか一方(たとえば、前側苗枠101)の苗搬送面(たとえば、苗搬送面101a)に、苗の円滑搬送構造(円滑搬送部106)を有する構成としてもよい。円滑搬送部106は、操作部107と、ローラ部108と、リンク部111とを備える。操作部107は、ロッド状の操作レバーであり、前側苗枠101の外側部において前後方向に沿って設けられる。操作部107は、上下に揺動可能である。
ローラ部108は、ローラ支持部材109と、ローラ110とを備える。ローラ支持部材109は、ロッド状の部材であり、操作部107の基端部からこの操作部107と直交して左右方向に延びて設けられる。ローラ支持部材109は、操作部107の揺動に伴い軸まわりに回動する。ローラ110は、ローラ支持部材109に回転可能に支持される。ローラ110は、ローラ支持部材109の軸方向に複数(2つ)並んで設けられる。ローラ部108は、搬送方向(前後方向)に沿って複数(2つ)設けられる。
リンク部111は、ロッド状の部材であり、複数のローラ部108の間を連結する。円滑搬送部106は、操作部107を下方に押し下げることで、ローラ部108のローラ支持部材109が軸まわりに回動する。また、円滑搬送部106は、ローラ支持部材109の軸まわりの回動に伴いローラ110がローラ支持部材109を支点に回動して苗搬送面101a上に突出する。
円滑搬送部106では、ローラ110が収納式であるため、たとえば、苗箱SBを搬送する場合には苗搬送面101a下に収納され、肥料Fが入った肥料袋FBを搬送する場合には操作部107の操作によってローラ110を苗搬送面101a上に突出させることで円滑な搬送が可能となる。また、苗箱SBに肥料袋FBを載せて搬送する場合があるが、樹脂製の苗搬送面101aに対して苗箱SBが滑りにくい。このような場合においても、ローラ110を苗搬送面101a上に突出させることで円滑な搬送が可能となる。
また、図27に示すように、円滑搬送部106は、前後に並んだローラ部108のうち、操作部107を操作してローラ110を突出させた場合に前側のローラ110よりも後側のローラ110の方が突出量が小さくなるように構成されることが好ましい。かかる構成によれば、ローラ110に搬送される苗箱SBなどの被搬送物は、搬送方向の先端側(後側)が下がった状態で搬送されるため、搬送負荷をさらに低減することができる。
なお、苗レール100(100A)における円滑搬送構造の他の例として、図28に示すような円滑搬送部206を有する構成としてもよい。円滑搬送部206は、円滑搬送部106におけるローラ110の代わりに、搬送方向に延びたスライドピン210を備える。また、スライドピン210においても、上記したローラ110と同様に収納式であり、操作部207の操作で苗搬送面101a(図26参照)上に突出する。かかる構成としても、たとえば、苗箱SB(図26参照)を搬送する場合にはスライドピン210が苗搬送面101a下に収納され、肥料F(図26参照)を搬送する場合にはスライドピン210を苗搬送面101a上に突出させることで円滑な搬送が可能となる。
また、円滑搬送部206においても、前後に並んだスライドピン210のうち、スライドピン210を突出させた場合に前側のスライドピン210よりも後側のスライドピン210の方が突出量が小さくなるように構成されることが好ましい。かかる構成によれば、スライドピン210に搬送される苗箱SBなどの被搬送物は、搬送方向の先端側(後側)が下がった状態で搬送されるため、搬送負荷をさらに低減することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。