JP5775980B1 - アルコール飲料、及びアルコール飲料の香味改善方法 - Google Patents
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(1)レモン果汁の含有量が果汁率換算で0.3〜4.0%であり、ステビアの含有量が20〜500ppmであることを特徴とするアルコール飲料。
(2)人工甘味料を含有しないことを特徴とする前記1に記載のアルコール飲料。
(3)発泡性であることを特徴とする前記1又は前記2に記載のアルコール飲料。
(4)アルコール度数が1〜10v/v%であることを特徴とする前記1から前記3のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(5)アルコール飲料の香味改善方法であって、前記アルコール飲料について、レモン果汁の含有量と、ステビアの含有量とを、以下の範囲に調整することを特徴とするアルコール飲料の香味改善方法。
(1)前記レモン果汁の含有量(果汁率換算):0.3〜4.0%であり、(2)前記ステビアの含有量:20〜500ppmである。
本実施形態に係るアルコール飲料は、レモン果汁の含有量が所定の範囲内であり、ステビアの含有量が所定の範囲内であることを特徴とする。
本実施形態に係るアルコール飲料は、レモン果汁の含有量(果汁率換算)が0.3〜4.0%である。
ここで、レモン果汁とは、レモンの搾汁液であり、ストレート果汁、濃縮果汁、濃縮還元果汁といった形態のものだけでなく、これらの希釈液、濃縮液、混合液なども含まれる。さらに、搾汁後に清澄化処理(精密濾過法、酵素処理法、限外濾過法など)を施した透明果汁又はセミクリア果汁という形態であっても、搾汁後に清澄化処理を施していない混濁果汁という形態であってもよい。
なお、ストレート果汁とは、果実の搾汁に対し、濃縮や希釈などを行っていない果汁をいう。また、濃縮果汁とは、ストレート果汁に対し、加熱濃縮法や冷凍濃縮法などによって果汁中の水分を取り除き、果汁の濃度を高めたものをいう。また、濃縮還元果汁とは、濃縮果汁に対し、計算上、ストレート果汁と同等の濃度となるように水等で希釈した果汁をいう。
一方、レモン果汁の含有量が4.0%を超えると、雑味が確認できなくなるとともに、アルコールに由来する不快な香味も感じられず、解決すべき課題がなくなってしまう。そして、課題をより明確にするために、レモン果汁の含有量は、3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましい。
加えて、本実施形態に係るアルコール飲料は、レモン果汁の含有量が所定の値以下であることから、果汁を多く含有させる場合と比較し、低プリン体の飲料とすることができる。
ここで、「濃縮倍率」(ストレート果汁を100%としたときの果汁の相対的濃縮倍率)を算出するにあたり、JAS規格に準ずるものとし、果汁に加えられた糖類、はちみつ等の糖用屈折計示度を除くものとする。
詳細には、ストレート果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度の値は、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)によって、各果実に固有の基準値が定められている(果実飲料品質表示基準(平成23年9月30日消費者庁告示第10号)の別表3において「糖用屈折計示度の基準(Bx)」、別表4において「酸度の基準(%)」)。したがって、使用する果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度を測定し、その果実に固有の糖用屈折計示度あるいは酸度の基準値で割れば、果汁の濃縮倍率を求めることができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、ステビアの含有量が20〜500ppm(詳細には、0.002〜0.05w/v%)である。
ここで、ステビアは、例えば、南米原産のキク科多年生植物であるステビアレバウディアナ・ベルトニの葉や茎などから、水又は有機溶媒を用いて抽出・精製して製造することができる甘味料(言い換えると、ステビアから抽出・精製されるステビア抽出物)であり、ステビオサイド及びレバウディオサイドAを、甘味の主成分として含有するものである。さらに、このステビアには、α−グルコシルトランスフェラーゼなどを用いて、前記のように抽出・精製されたステビア抽出物にグルコースやフルクトースなどの糖を転移した酵素処理ステビアも含まれる。なお、本実施形態におけるステビア抽出物は、上述した方法により抽出したものを用いても良く、市販のものを用いても良い。
一方、ステビアの含有量が500ppmを超えると、雑味やアルコールに由来する不快な香味を抑制する効果が飽和するとともに、甘味が若干強くアルコール飲料として適さなくなる。そして、アルコール飲料として甘味をより好適なものとするために、ステビアの含有量は、400ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましく、250ppm以下がさらに好ましい。
なお、アルコール飲料のステビアの含有量は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定することができる。
よって、本実施形態に係るアルコール飲料は、ステビアを含有させることにより、砂糖(ショ糖)を含有させる場合と比較し、低カロリーかつ低糖質の飲料とすることができる。また、本実施形態に係るアルコール飲料は、ステビアを含有させることにより、高甘味度甘味料の中でも人工甘味料(例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、アドバンテーム、ネオテームなど)の使用を回避することができる、言い換えると、人工甘味料を含まないアルコール飲料とすることができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、プリン体の含有量が0.005mg/100mL未満であることが好ましい。
レモン果汁の含有量を低い値に設定していることにより、プリン体の含有量を0.005mg/100mL未満とすることが可能であり、その結果、低プリン体(プリン体0.00mg/100mL)のアルコール飲料として提供することができる。
ここで、プリン体とは、アデニン、キサンチン、グアニン、ヒポキサンチンのプリン体塩基4種のことである。
なお、アルコール飲料のプリン体の含有量は、アデニン、キサンチン、グアニン及びヒポキサンチンの含有量をそれぞれ高速液体クロマトグラフ(HPLC)で測定し、得られた4つの含有量を合算すればよい。
本実施形態に係るアルコール飲料は、糖質の含有量が0.5mg/100mL未満であることが好ましい。
甘味料(高甘味度甘味料)としてステビアを使用することにより、糖質の含有量を0.5mg/100mL未満とすることが可能であり、その結果、低糖質(糖質0.5mg/100mL未満)のアルコール飲料として提供することができる。
ここで、糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものであり、アルコール飲料全体の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分及び水分の量を控除することにより算定できる(食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号))。
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコール度数が1〜10v/v%であることが好ましい。
アルコール度数を前記の範囲内とすることにより、アルコール飲料中のレモン果汁の含有量を低く設定することによって発生する「雑味」や「アルコールに由来する不快な香味」という解決すべき課題が明確に現れるとともに、アルコール飲料として飲用するのに好適なものとなる。
そして、本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、3v/v%以上であることがより好ましく、4v/v%以上であることがさらに好ましい。また、本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、9v/v%以下であることがより好ましく、8v/v%以下であることがさらに好ましい。
なお、アルコール飲料のアルコール度数は、国税庁所定分析法に基づき測定することができる。
飲用アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカなどの各種スピリッツ、原料用アルコールなどを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、非発泡性であってもよいが、発泡性とするのが好ましい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)未満であることをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される着色料、酸味料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、塩類、香料など(以下、単に「添加剤」という)を添加することもできる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。酸味料としては、例えば、クエン酸、リン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸などを用いることができる。甘味料としては、例えば、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、前記したステビア以外にも、例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、アドバンテーム、ネオテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンEなどを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。
そして、前記したレモン果汁、ステビア、飲用アルコール、添加剤は、一般に市販されているものを使用することができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含む。
なお、混合工程S1において、レモン果汁、ステビアなどを混合する量については、各材料が前記した含有量となるように決定すればよい。
なお、後処理工程S2のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の香味改善方法について説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の香味改善方法は、アルコール飲料について、レモン果汁の含有量と、ステビアの含有量とを、所定の範囲に調整することを特徴とする。
レモン果汁の含有量の下限については、0.4%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましい。一方、レモン果汁の含有量の上限については、3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましい。
ステビアの含有量の下限については、30ppm以上が好ましく、40ppm以上がより好ましく、50ppm以上がさらに好ましい。
一方、ステビアの含有量の上限については、400ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましく、250ppm以下がさらに好ましい。
まず、参考例1では、アルコール飲料に添加するレモン果汁の量が「雑味」や「アルコールに由来する不快な香味」に与える影響について確認する。
表1に示す配合量となるように、原料用アルコール、レモン果汁(濃縮セミクリア果汁)、水を混合後、缶容器に充填してサンプル液を準備した。
前記の方法により準備したサンプルの雑味について、訓練された専門のパネル4名が下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、雑味の評価は、サンプルを飲んで実施した。
5点:雑味が非常に強い。
4点:雑味が強い。
3点:雑味がある。
2点:雑味が少し感じられる。
1点:雑味が感じられない。
前記の方法により準備したサンプルのアルコールに由来する不快な香味について、訓練された専門のパネル4名が下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、アルコールに由来する不快な香味の評価は、サンプルを飲んで実施した。
5点:アルコールに由来する不快な香味が非常に強い。
4点:アルコールに由来する不快な香味が強い。
3点:アルコールに由来する不快な香味がある。
2点:アルコールに由来する不快な香味が少し感じられる。
1点:アルコールに由来する不快な香味が感じられない。
サンプル1−2は、アルコール飲料にレモン果汁が含有していたものの、レモン果汁の含有量が少な過ぎたことから、「雑味」については感じにくかった。
サンプル1−8は、アルコール飲料にレモン果汁が含有していたものの、レモン果汁の含有量が多かったことから、雑味を感じにくいとともに、レモン果汁によりアルコールに由来する不快な香味がある程度マスキングされていた。
一方、サンプル1−3〜1−7は、レモン果汁の含有量が所定の範囲内であったことから、「雑味」や「アルコールに由来する不快な香味」がアルコール飲料として許容できないレベルとなった。
以上の結果から、所定量以下のレモン果汁を含有するアルコール飲料において、「雑味」や「アルコールに由来する不快な香味」の抑制という解決すべき課題が明確に現れることが確認できた。また、レモン果汁の含有量が少なすぎると、「雑味」の抑制という解決すべき課題が若干不明確になることも確認できた。
次に、実施例1では、レモン果汁の含有量が、各評価に与える影響について確認する。
表2に示す配合量となるように、原料用アルコール、レモン果汁(濃縮セミクリア果汁)、ステビア(守田化学工業社製「レバウディオJ−100」)、水を混合後、缶容器に充填してサンプル液を準備した。
実施例1における「雑味」・「アルコールに由来する不快な香味」の評価方法、及び評価基準は、参考例1と同じである。
サンプル2−2〜2−7は、所定量のステビアを含有していたことから、参考例1のサンプル1−2〜1−7とそれぞれ比較すると、いずれのサンプルも「雑味」と「アルコールに由来する不快な香味」が抑制されていた。
以上の結果から、アルコール飲料にステビアを含有させることによって、「雑味」と「アルコールに由来する不快な香味」を抑制する効果が得られることが確認できた。
次に、実施例2では、ステビアの含有量が、各評価に与える影響について確認する。
表3に示す配合量となるように、原料用アルコール、レモン果汁(濃縮セミクリア果汁)、ステビア(守田化学工業社製「レバウディオJ−100」)、水を混合後、缶容器に充填してサンプル液を準備した。
実施例2における「雑味」・「アルコールに由来する不快な香味」の評価方法、及び評価基準は、参考例1と同じである。
前記の方法により準備したサンプルの総合評価について、訓練された専門のパネル4名が下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、総合評価は、サンプルを飲んで実施した。
5点:アルコール飲料として非常に好適な香味である。
4点:アルコール飲料としてかなり好適な香味である。
3点:アルコール飲料として好適な香味である。
2点:アルコール飲料として許容できる香味である。
1点:アルコール飲料として不適な香味である。
サンプル3−2〜3−6は、ステビアを含有していたことから、「雑味」と「アルコールに由来する不快な香味」が抑制されていた。
特に、サンプル3−3〜3−6は、所定量以上のステビアを含有していたことから、「雑味」と「アルコールに由来する不快な香味」の抑制の顕著な効果が確認できた。ただし、サンプル3−6は、ステビアの含有量が多かったことから、総合評価が若干低下するという結果となった。
以上の結果から、アルコール飲料にステビアを含有させることによって、「雑味」と「アルコールに由来する不快な香味」を抑制する効果が得られ、ステビアの含有量を所定量以上とすることで、効果が顕著に現れることが確認できた。
S2 後処理工程
Claims (5)
- レモン果汁の含有量が果汁率換算で0.3〜4.0%であり、
ステビアの含有量が20〜500ppmであることを特徴とするアルコール飲料。 - 人工甘味料を含有しないことを特徴とする請求項1に記載のアルコール飲料。
- 発泡性であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルコール飲料。
- アルコール度数が1〜10v/v%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- アルコール飲料の香味改善方法であって、
前記アルコール飲料について、レモン果汁の含有量と、ステビアの含有量とを、以下の範囲に調整することを特徴とするアルコール飲料の香味改善方法。
(1)前記レモン果汁の含有量(果汁率換算):0.3〜4.0%
(2)前記ステビアの含有量:20〜500ppm
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