JP5775979B1 - アルコール飲料、及びアルコール飲料の香味改善方法 - Google Patents
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(1)ステビアの含有量が10〜1500ppmであり、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料を含有し、前記酸味料の含有量がクエン酸換算量で0.005〜2.000g/100mLであることを特徴とするアルコール飲料。
(2)ステビアの含有量が10〜1500ppmであり、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料を含有し、前記酸味料の含有量がクエン酸換算量で0.060〜0.201g/100mLであることを特徴とするアルコール飲料。
(3)人工甘味料を含有しないことを特徴とする前記1又は前記2に記載のアルコール飲料。
(4)糖質の含有量が0.5mg/100mL未満であることを特徴とする前記1から前記3のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(5)発泡性であることを特徴とする前記1から前記4のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(6)アルコール度数が1〜10v/v%であることを特徴とする前記1から前記5のいずれか1つに記載のアルコール飲料。
(7)アルコール飲料の香味改善方法であって、前記アルコール飲料について、ステビアの含有量と、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料の含有量とを、以下の範囲に調整することを特徴とするアルコール飲料の香味改善方法。
(1)前記ステビアの含有量:10〜1500ppmであり、(2)前記酸味料の含有量(クエン酸換算量):0.005〜2.000g/100mLである。
本実施形態に係るアルコール飲料は、ステビアの含有量が所定の範囲内であり、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料を含有し、酸味料の含有量がクエン酸換算量で所定の範囲内であることを特徴とする。
本実施形態に係るアルコール飲料は、ステビアの含有量が10〜1500ppm(詳細には、0.001〜0.15w/v%)である。
ここで、ステビアは、例えば、南米原産のキク科多年生植物であるステビアレバウディアナ・ベルトニの葉や茎などから、水又は有機溶媒を用いて抽出・精製して製造することができる甘味料(言い換えると、ステビアから抽出・精製されるステビア抽出物)であり、ステビオサイド及びレバウディオサイドAを、甘味の主成分として含有するものである。さらに、このステビアには、α−グルコシルトランスフェラーゼなどを用いて、前記のように抽出・精製されたステビア抽出物にグルコースやフルクトースなどの糖を転移した酵素処理ステビアも含まれる。なお、本実施形態におけるステビアは、上述した方法により抽出したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
一方、ステビアの含有量が1500ppmを超えると、甘味が強過ぎアルコール飲料として適さなくなる。そして、アルコール飲料として甘味をより好適なものとするために、ステビアの含有量は、1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。
なお、アルコール飲料のステビアの含有量は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定することができる。
よって、本実施形態に係るアルコール飲料は、ステビアを含有させることにより、砂糖(ショ糖)を含有させる場合と比較し、低カロリーかつ低糖質の飲料とすることができる。また、本実施形態に係るアルコール飲料は、ステビアを含有させることにより、高甘味度甘味料の中でも人工甘味料(例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、アドバンテーム、ネオテームなど)の使用を回避することができる、言い換えると、人工甘味料を含まないアルコール飲料とすることができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料を含有し、当該酸味料の含有量がクエン酸換算量(以下、適宜「所定の酸味料のクエン酸換算量」という)で0.005〜2.000g/100mLである。
ここで、所定の酸味料のクエン酸換算量は、「滴定酸度」を基に算出している。「滴定酸度」とは、食品中の遊離酸の含有量を調べるものである。一定量の飲料をとり、炭酸飲料の場合はガス抜きを十分に行い、フェノールフタレインを指示薬として0.1NNaOH溶液で滴定し、中和に要したNaOH溶液の滴定値mLを読む。0.1NNaOH1mL=0.0064g(クエン酸として)、0.0067g(リンゴ酸として)、0.0090g(乳酸として)にそれぞれ相当する(「新版・ソフトドリンクス 昭和56年10月25日発行」)。
したがって、アルコール飲料の所定の酸味料のクエン酸換算量は、まず、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により所定の酸味料の含有量(ppm)を測定した後、リンゴ酸については「64/67」を、乳酸については「64/90」を乗じ、それぞれ「1/10000」をさらに乗じることにより「所定の酸味料のクエン酸換算量(g/100mL)」を求めることができる。
一方、所定の酸味料のクエン酸換算量が2.000g/100mLを超えると、甘味の後引きや苦味を抑制する効果が飽和するとともに、酸味が強過ぎアルコール飲料として適さなくなる。そして、アルコール飲料として酸味をより好適なものとするために、所定の酸味料のクエン酸換算量は、1.000g/100mL以下が好ましく、0.800g/100mL以下がより好ましく、0.501g/100mL以下がさらに好ましく、0.201以下が特に好ましい。
ただし、本実施形態に係るアルコール飲料は、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料を所定の範囲で含有していればよく、乳酸やリンゴ酸に加えて、その他の酸味料を含有することを妨げるものではない。
本実施形態に係るアルコール飲料は、糖質の含有量が0.5mg/100mL未満であることが好ましい。
甘味料(高甘味度甘味料)としてステビアを使用することにより、糖質の含有量を0.5mg/100mL未満とすることが可能であり、その結果、低糖質(糖質0.5mg/100mL未満)のアルコール飲料として提供することができる。
ここで、糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものであり、アルコール飲料全体の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分及び水分の量を控除することにより算定することができる(食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号))。
本実施形態に係るアルコール飲料は、アルコール度数が1〜10v/v%であることが好ましい。
アルコール度数を前記の範囲内とすることにより、飲料中にステビアとアルコールが併存することによって発生する「甘味の後引き」や「苦味」という解決すべき課題が明確に現れるとともに、アルコール飲料として飲用するのに好適なものとなる。
そして、本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、3v/v%以上であることがより好ましく、4v/v%以上であることがさらに好ましい。また、本実施形態に係るアルコール飲料のアルコール度数は、9v/v%以下であることがより好ましく、8v/v%以下であることがさらに好ましい。
なお、アルコール飲料のアルコール度数は、国税庁所定分析法に基づき測定することができる。
飲用アルコールは飲用することができるアルコールであればよく、種類、製法、原料などに限定されることがないが、蒸留酒であることが好ましい。蒸留酒としては、例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカなどの各種スピリッツ、原料用アルコールなどを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、非発泡性であってもよいが、発泡性とするのが好ましい。ここで、本実施形態における発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm2)未満であることをいう。
本実施形態に係るアルコール飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される着色料、酸味料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、塩類、香料など(以下、単に「添加剤」という)を添加することもできる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などを用いることができる。酸味料としては、前記した乳酸、リンゴ酸以外にも、例えば、クエン酸、リン酸、コハク酸などを用いることができる。甘味料としては、例えば、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、前記したステビア以外にも、例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、アドバンテーム、ネオテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンEなどを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。
そして、前記したステビア、乳酸、リンゴ酸、飲用アルコール、添加剤は、一般に市販されているものを使用することができる。
本実施形態に係るアルコール飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にアルコール飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含む。
なお、混合工程S1において、ステビア、乳酸、リンゴ酸などを混合する量については、各材料が前記した含有量となるように決定すればよい。
なお、後処理工程S2のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。
次に、本実施形態に係るアルコール飲料の香味改善方法について説明する。
本実施形態に係るアルコール飲料の香味改善方法は、アルコール飲料について、ステビアの含有量と、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料の含有量(所定の酸味料のクエン酸換算量)とを、所定の範囲に調整することを特徴とする。
ステビアの含有量の下限については、30ppm以上が好ましく、50ppm以上がより好ましく、80ppm以上がさらに好ましい。一方、ステビアの含有量の上限については、1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がより好ましい。
所定の酸味料のクエン酸換算量の下限については、0.020g/100mL以上が好ましく、0.050g/100mL以上がより好ましく、0.060g/100mL以上がさらに好ましい。
一方、所定の酸味料のクエン酸換算量の上限については、1.000g/100mL以下が好ましく、0.800g/100mL以下がより好ましく、0.501g/100mL以下がさらに好ましく、0.201g/100mL以下が特に好ましい。
まず、参考例1では、アルコール飲料に添加するステビアの量が「甘味の後引き」や「苦味」に与える影響について確認する。
表1に示す配合量となるように、原料用アルコール、ステビア(守田化学工業社製「レバウディオJ−100」)、水を混合後、缶容器に充填してサンプル液を準備した。
前記の方法により準備したサンプルの甘味の後引きについて、訓練された専門のパネル4名が下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、甘味の後引きの評価は、サンプルを飲んで実施した。
5点:後に残る甘味が非常に強い。
4点:後に残る甘味が強い。
3点:後に残る甘味がある。
2点:後に残る甘味が少し感じられる。
1点:後に残る甘味が感じられない。
前記の方法により準備したサンプルの苦味について、訓練された専門のパネル4名が下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、苦味の評価は、サンプルを飲んで実施した。
5点:ステビアとアルコールとが混じり合った特有の苦味が非常に強い。
4点:ステビアとアルコールとが混じり合った特有の苦味が強い。
3点:ステビアとアルコールとが混じり合った特有の苦味がある。
2点:ステビアとアルコールとが混じり合った特有の苦味が少し感じられる。
1点:ステビアとアルコールとが混じり合った特有の苦味が感じられない。
サンプル1−2は、アルコール飲料にステビアが含有していたものの、ステビアの含有量が少なかったことから、「甘味の後引き」及び「苦味」については、許容できる範囲内であった。
一方、サンプル1−3〜1−6は、ステビアの含有量が10ppm以上であったことから、「甘味の後引き」及び「苦味」がアルコール飲料として許容できないレベルとなった。
なお、サンプル1−7は、アルコールを含有していなかったことから、ステビアとアルコールとが混じり合った特有の苦味が感じられなかった。
以上の結果から、所定量以上のステビアを含有するアルコール飲料において、「甘味の後引き」及び「苦味」の抑制という解決すべき課題が明確に現れることが確認できた。
次に、実施例1では、リンゴ酸の含有量が、各評価に与える影響について確認する。
表2に示す配合量となるように、原料用アルコール、ステビア(守田化学工業社製「レバウディオJ−100」)、リンゴ酸(和光純薬工業社製「DL−リンゴ酸」)、水を混合後、缶容器に充填してサンプル液を準備した。
実施例1における「甘味の後引き」・「苦み」の評価方法、及び評価基準は、参考例1と同じである。
前記の方法により準備したサンプルの総合評価について、訓練された専門のパネル4名が下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、総合評価は、サンプルを飲んで実施した。
5点:アルコール飲料として非常に好適な香味である。
4点:アルコール飲料としてかなり好適な香味である。
3点:アルコール飲料として好適な香味である。
2点:アルコール飲料として許容できる香味である。
1点:アルコール飲料として不適な香味である。
サンプル2−2〜2−6は、リンゴ酸を含有していたことから、「甘味の後引き」と「苦味」が抑制されていた。
特に、サンプル2−3〜2−6は、所定量以上のリンゴ酸を含有していたことから、「甘味の後引き」と「苦味」の抑制の顕著な効果が確認できた。
以上の結果から、アルコール飲料にリンゴ酸を含有させることによって、「甘味の後引き」と「苦味」を抑制する効果が得られ、リンゴ酸の含有量を所定量以上とすることで、効果が顕著に現れることが確認できた。
次に、実施例2では、乳酸の含有量が、各評価に与える影響について確認する。
表3に示す配合量となるように、原料用アルコール、ステビア(守田化学工業社製「レバウディオJ−100」)、乳酸(武蔵野化学研究所製「ムサシノ乳酸50」)、水を混合後、缶容器に充填してサンプル液を準備した。
実施例2における「甘味の後引き」・「苦み」・「総合評価」の評価方法、及び評価基準は、参考例1、実施例1と同じである。
サンプル3−2〜3−6は、乳酸を含有していたことから、「甘味の後引き」と「苦味」が抑制されていた。
特に、サンプル3−3〜3−6は、所定量以上の乳酸を含有していたことから、「甘味の後引き」と「苦味」の抑制の顕著な効果が確認できた。
以上の結果から、アルコール飲料に乳酸を含有させることによって、「甘味の後引き」と「苦味」を抑制する効果が得られ、乳酸の含有量を所定量以上とすることで、効果が顕著に現れることが確認できた。
次に、参考例2では、クエン酸が、各評価に与える影響について確認する。
表4に示す配合量となるように、原料用アルコール、ステビア(守田化学工業社製「レバウディオJ−100」)、クエン酸(和光純薬工業社製「クエン酸(結晶物)」)、水を混合後、缶容器に充填してサンプル液を準備した。
参考例2における「甘味の後引き」・「苦み」・「総合評価」の評価方法、及び評価基準は、参考例1、実施例1と同じである。
サンプル4−2は、2000ppm(クエン酸換算量としては、0.2g/100mL)という比較的多い含有量のクエン酸を含有させたにもかかわらず、「甘味の後引き」と「苦味」を抑制する効果があまり確認できなかった。また、「総合評価」においても、クエン酸を添加しないサンプル4−1よりも劣っているという結果であった。
以上の結果から、クエン酸の添加のみでは、「甘味の後引き」と「苦味」の抑制の効果が得られないことが確認できた。
S2 後処理工程
Claims (7)
- ステビアの含有量が10〜1500ppmであり、
乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料を含有し、前記酸味料の含有量がクエン酸換算量で0.005〜2.000g/100mLであることを特徴とするアルコール飲料。 - ステビアの含有量が10〜1500ppmであり、
乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料を含有し、前記酸味料の含有量がクエン酸換算量で0.060〜0.201g/100mLであることを特徴とするアルコール飲料。 - 人工甘味料を含有しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルコール飲料。
- 糖質の含有量が0.5mg/100mL未満であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- 発泡性であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- アルコール度数が1〜10v/v%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルコール飲料。
- アルコール飲料の香味改善方法であって、
前記アルコール飲料について、ステビアの含有量と、乳酸及びリンゴ酸の少なくとも1種の酸味料の含有量とを、以下の範囲に調整することを特徴とするアルコール飲料の香味改善方法。
(1)前記ステビアの含有量:10〜1500ppm
(2)前記酸味料の含有量(クエン酸換算量):0.005〜2.000g/100mL
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