JP5774462B2 - ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法 - Google Patents

ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法に関する。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの末端をカルボキシル基とした化合物であり、化粧品、乳化剤、可溶化剤、分散剤、ゲル化剤、洗浄基剤等に使用することができる界面活性剤として知られている。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩は、pHを変化させることによりその性質を調整することができる。耐硬水性に優れ、水溶液はアルミニウム等の各種多価金属イオンに対して安定であり、皮膚に対する作用が穏和であり、酵素阻害性も少ないため、各種用途での応用が期待される。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造方法は種々知られているが、その一つに、貴金属触媒の存在下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる方法が知られている(特許文献1〜3)。
また、反応装置や混合装置として、攪拌型の反応装置や混合装置も知られており、その際、種々の攪拌翼を用いて内容物を攪拌することも知られている(特許文献4〜7)。
特開昭56−169644号公報 特開昭62−198641号公報 特開昭62−269746号公報 特開平8−311186号公報 特開2002−37808号公報 特開平6−292558号公報 特開2002−214836号公報
一般に、貴金属触媒の存在下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる方法では、ある程度の反応率(例えば60%程度)を得るために比較的長時間を要する。とりわけ、攪拌槽型反応器等、工業的な製法で使用し得る装置を用いて、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する場合に、色相の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を効率よく製造できる方法については特段の示唆はない。
本発明の課題は、色相等、品質の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を、攪拌槽型反応器を用いて効率良く製造できる方法を提供することである。
本発明は、有底円筒状の攪拌槽と、該攪拌槽の中心近傍に配置された回転駆動するシャフトと、該シャフトに連結された攪拌翼(切り欠き部を有する平板状部材を含んで構成されるものを除く)とを備えた攪拌槽型反応器を用いて、貴金属触媒、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び、アルカリ物質を含有する液相部に、酸素を供給して前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を製造するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法であって、
前記攪拌槽中で前記液相部が占める領域の垂直面の最大断面積(S1)と、前記攪拌翼の前記シャフトの回転軸に対して直角の方向からみた最大投影面積(S2)との比率(S2/S1)を、0.20以上0.90以下とする、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法に関する。
本発明によれば、色相等、品質の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を、攪拌槽型反応器を用いて効率良く製造できる方法が提供される。
本発明に用いる攪拌槽型反応器の概略を示す断面概略図 本発明に用いる攪拌槽型反応器の攪拌翼の一例を示す概略図 本発明に用いる攪拌槽型反応器の攪拌翼の他の例を示す概略図 本発明に用いる攪拌槽型反応器の攪拌翼の他の例を示す概略図 比較例で用いた攪拌槽型反応器の攪拌翼を示す概略図 実施例及び比較例で用いた攪拌槽を示す概略図 比較例で用いた攪拌槽を示す概略図
本発明に用いられるポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
RO−(AO)n−H (I)
〔式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、nはAOの平均付加モル数であり、1〜100の数である。〕
式中の構造は、目的とするカルボン酸の性能、用途等に応じて適宜決定できるが洗浄基剤としての性能の観点からは、Rの炭素数は8〜22が好ましく、10〜14がより好ましい。Rの炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。また、Rは直鎖でも分岐鎖でもよく、1級、2級でもよい。原料としての汎用性や経済性の観点からは、AOは炭素数2のエチレンオキシ基が好ましく、全AOのうち80モル%以上がエチレンオキシ基であることが好ましい。反応液中における流動性の観点からは、nは1〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。尚、勿論一般式(I)で表される複数の構造の原料を混合した状態で反応することもできる。
液相部中のポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、1〜30質量%、更に5〜28質量%が好ましく、特に10〜25質量%が好ましい。
本発明に用いられる貴金属触媒は、白金族元素から選ばれる1種以上の元素を含有することが好ましい。具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することが好ましく、パラジウム及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することがより好ましい。
また、貴金属触媒が、白金族元素から選ばれる1種以上の元素(以下、触媒第1成分という)を含有する場合、更に、触媒成分として、スズ、ビスマス、セレン、テルル及びアンチモンから選ばれる1種以上の元素(以下、触媒第2成分という)を含有することが好ましい。
更に、貴金属触媒が、触媒第1成分及び触媒第2成分を含有する場合、更に、触媒成分として、希土類元素から選ばれる1種以上の元素(以下、触媒第3成分という)を含有することができる。
貴金属触媒は、担体に担持させた担持触媒として用いられるのが好ましい。担体は無機担体が好ましく、例えば、活性炭、アルミナ、シリカゲル、活性白土、珪藻土等が挙げられる。なかでも共存するアルカリ物質に対する耐久性の観点で活性炭が好ましい。触媒第1成分の担持量は、担持触媒全体の0.1〜20質量%、更に1〜15質量%、更に2〜13質量%が好ましい。
本発明に用いられる貴金属触媒は、特開昭62−269746号公報等、公知の方法で製造することができる。例えば、触媒第1成分の元素を含む化合物(塩化パラジウム、塩化白金酸等)の水溶液、触媒第2成分の元素を含む化合物(塩化ビスマス、五塩化アンチモン等)の水溶液、必要に応じて触媒第3成分の元素を含む化合物(塩化セリウム、塩化ランタン等)の水溶液を、水中で、活性炭等の担体に吸着させた後、触媒成分の還元処理を行う方法で製造できる。
貴金属触媒は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対して0.1〜20%(質量比)用いることが好ましく、更に0.1〜10%、より更に0.5〜10%が反応性と経済性の観点から好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化は、アルカリ物質を含有する液相部で行われる。アルカリ物質は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属水酸化物が好ましい。液相部は水を含むことが好ましく、アルカリ物質は、液相部のpHが10〜14となるような量で用いることが好ましい。
液相部となる液体としては、水が好ましく、有機溶媒(エタノール等の低級アルコール等)を使用することもできる。通常、水は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対して、2〜100質量倍の量で用いるのが好ましく、3〜100質量倍の量で用いるのがより好ましい。
液相部の粘度は、反応率や温度によって変化し、かつ流体に与えるせん断速度を増加させると見かけ粘度が減少する擬塑性流体であるため、反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)での粘度が反応性すなわち反応終了時間に影響する。そのため、反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)で、1mPa・s以上、更に10mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上において、また、上限値は10000mPa・s以下、更に5000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下が本発明による色相等の改善効果をより好適に得ることができる。
粘度の測定はレオメータ(ARES−100FRTNI、TA instrument社製)を用いて、Couette 34mmを取付け、70℃、せん断速度1s-1の条件において静的粘度を測定した値である。
本発明では、有底円筒状の攪拌槽と、該攪拌槽の中心近傍に配置された回転駆動するシャフトと、該シャフトに連結された攪拌翼(切り欠き部を有する平板状部材を含んで構成されるものを除く)とを備えた攪拌槽型反応器を用いて、貴金属触媒、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び、アルカリ物質を含有する液相部に、酸素を供給して前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を製造する。その際、攪拌槽中で液相部が占める領域の垂直面の最大断面積(S1)と、前記攪拌翼の前記シャフトの回転軸に対して直角の方向(すなわち、シャフトの回転軸の半径方向)からみた最大投影面積(S2)との比率(S2/S1)を、0.20以上0.90以下とする。
S2/S1が0.20以上の場合、本発明の液相部は擬塑性流体であるために攪拌の混合作用が槽全体に伝わる。一方、S2/S1が0.90以下の場合、攪拌による液相部の流れは旋回流が支配的とはならないために攪拌の混合作用が酸素の分散および微細化に使われる。よって、本発明では、S2/S1が前記所定範囲にあることで、色相等、品質の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を、攪拌槽型反応器を用いて効率良く製造できる。
図1(a)は、シャフト13に連結された攪拌翼11が、攪拌槽12の液相部14に挿入された状態を示す断面概略図である。また、図1(b)は図1(a)から攪拌翼11及びシャフト13を除いた状態の概略図、図1(c)は図1(a)の攪拌翼11及びシャフト13の概略図である。図1(a)中、シャフト13は、図示しない回転駆動源に連結されている。攪拌翼11は、攪拌槽12内部に、垂直方向に攪拌槽12底部に近接して設置され、シャフト13の回転と連動して回転して攪拌槽12内の液相部14を攪拌する。通常、攪拌槽12は円筒形であり、シャフト13の中心が攪拌槽12の中心近傍に位置するように設置される。さらに、図1(a)中、ガス吹込み手段15から液相部14内に酸素ガスまたは酸素含有混合ガス(空気等)を供給できる。ガス吹込み手段15は、単孔ノズル、多孔ノズル、リング状ノズルなどの形態から任意に選定できる。
攪拌槽12中で液相部14が占める領域の垂直面の最大断面積(S1)は、図1(b)の斜線部である。また、攪拌翼11のシャフト13の回転軸に対して直角の方向からみた最大投影面積(S2)は、図1(c)の斜線部である。本発明では、品質の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を効率良く製造するために、これらの比率S2/S1を0.20以上0.90以下とする。この比率の下限値は、0.22以上、更に0.30以上、更に0.40以上が好ましく、上限値は、0.80以下、更に0.70以下、更に0.65以下が好ましい。
本発明では、攪拌槽の攪拌領域において、シャフトの回転軸の半径方向からみた攪拌槽の内径と(D)と、前記シャフトの回転軸の半径方向からみた攪拌翼の翼径(d)との比率(d/D)を、0.50以上0.95以下とすることが反応性および色相などの品質の観点から好ましい。d/Dの下限値は0.50以上、更に0.60以上が好ましく、上限値は0.95以下、更に0.90以下が好ましい。D、dはそれぞれ図1(a)を参照できる。攪拌翼の翼径(d)は、シャフトの回転軸の半径方向からみた攪拌翼の最大の長さ(最大径)であってよい。また、シャフトの径の長さを含んだ長さであってもよい。
また、本発明では、円筒形の攪拌槽を用いる場合、攪拌槽の底部から液面までの距離(Z)と、攪拌翼の垂直方向での最大長さ(h)との比率(h/Z)を、0.50以上0.99以下とすることが反応性および色相などの品質の観点から好ましい。h/Zの下限値は0.50以上、更に0.60以上が好ましく、上限値は0.99以下、更に0.97以下が好ましい。Z、hはそれぞれ図1(a)を参照できる。
本発明では攪拌翼として、アンカー翼などの他、株式会社神鋼環境ソリューションから市販されているフルゾーン翼、佐竹化学機械工業株式会社から市販されているスーパーミックスMR203(SuperMix MR203)等を使用することができる。なお、撹拌の混合作用を撹拌槽全体に伝え、品質の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を製造する観点より、本発明で用いる攪拌翼からは、切り欠き部を有する平板状部材を含んで構成されるもの(例えば、マックスブレンド翼)は除かれる。
ここで切り欠き部とは、平板状部材にその外周全てを囲まれた空隙、すなわち平板状部材の開口部をいう。本発明では、切り欠き部の前記シャフトの回転軸に対して直角の方向から見た最大投影面積の合計(S3)とS2との比率(S3/S2)が0.5未満である場合は、切り欠き部を有する平板状部材を含んで構成される攪拌翼を使用していないとみなしてよい。従って、本発明では撹拌の混合作用を撹拌槽全体に伝え、品質の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を製造できるならば、S3/S2は0以上0.5未満、更に0〜0.1、より更に0〜0.01であってよく、実質的には0である。
なお、切り欠き部を有する平板状部材の具体的態様としては、例えば平板状部材に穴、窓等が空いた態様、平板状部材の構成部分自体の一部が格子状の構成を成している態様が挙げられる。したがって、上記開口部が平板状部材にその外周の全てを囲まれていない態様は、切り欠き部を有する平板状部材の態様には含まれない。
本発明の攪拌翼は、上記S1/S2比を達成できるものであればよく、攪拌槽の形状、大きさ、本発明に供される内容物の量によって適宜決めることができる。図2〜4に、本発明で使用できる攪拌翼の具体的な形状の例を示す。図中の寸法単位はmmであるが、反応のスケール等により変更される。図2は、シャフト22に鋸状の平板21a、21bが連結された2枚翼型の攪拌翼21であり、攪拌槽底部に向かう台形型形状を有することもできる。スーパーミックスMR203(SuperMix MR203)は図2の攪拌翼に該当する。また、図3(a)は、シャフト34に、2枚の平板31a、31bと平板32a、32bとが、上下2段に交差して連結された2枚翼連結型の攪拌翼31である。2枚の平板31a、31bは、図3(b)に示すように、シャフト34の上方から見て45°の角度を付けてシャフト34に上下に固定されており、このように組み合わせることで、隙間33a、33bが形成される。フルゾーン翼は図3の攪拌翼に該当する。また、図4は、シャフト42に、2枚組み合わせることでシャフト42の回転軸の半径方向からみた投影形状が略U字形状となるような形状を有する平板41a、41bが連結された2枚翼型の攪拌翼41であり、アンカー翼はこれに該当する。攪拌翼はシャフトを通すインペラボスを有する平板状のインペラであってよい。
攪拌翼としては、2枚翼型の攪拌翼が好ましい。2枚翼型の攪拌翼とは、攪拌翼11のシャフト13の回転軸を上から見て、シャフト13に固定される独立した平板2枚から構成されるものであり、図1(a)の攪拌翼11は2枚翼型の攪拌翼である。2枚翼型の攪拌翼は、シャフトを含んで同一直線上に設置されることが好ましい。本発明では、攪拌翼として、2枚の平板がシャフトを含んで同一直線上に設置された2枚翼型の攪拌翼を少なくとも1つ用いることが好ましい。
攪拌槽型反応器における液相部への酸素の供給は、液相部への酸素ガスもしくは酸素含有混合ガス(空気等)の吹き込みによって行うことができる。吹き込み気体中の酸素濃度は特に限定されるものではないが、10体積%以上、さらに20体積%以上、さらに90体積%以上が反応性の観点から好ましい。酸素による触媒の失活を防止して反応速度を維持する観点から、酸素吹込速度は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル1モルに対して、0.5モル/hr以下、0.3モル/hr以下、0.2モル/hr以下が好ましい。
本発明においては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際の反応温度は、20〜100℃、更に40〜90℃、更に50〜80℃が好ましい。また、反応圧力は、酸素の反応液への溶解度を高める観点及び装置の耐圧性の観点から、ゲージ圧力として0(標準気圧)〜1.0MPa、更に0(標準気圧)〜0.5MPa、より更に0(標準気圧)〜0.3MPaが好ましい。
本発明においては、攪拌槽型反応器を用い、且つ攪拌翼を特定の条件で用いて液相部を撹拌しながらポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う。攪拌効率の指標として、PV値が0.1〜10、更に0.5〜5、更に1〜2であることが好ましい。ここでPV値とは流体単位体積当たりの撹拌所要動力を意味し、撹拌機の撹拌動力から攪拌による摩擦損失を差し引いた、即ち真の液相部に伝えられる攪拌動力(kW)/反応液の体積(m3)で定義される。
本発明では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルカリ物質、液相部、貴金属触媒は、それぞれ、連続的もしくは断続的に、攪拌槽型反応器に仕込むことができる。アルカリ物質は一般に水溶液として使用できるが、この仕込み方法としては、液相部のpHが所定の値を維持するよう、連続的又は断続的に仕込んでもよい。
粉末状態の貴金属触媒を用いた場合には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を含有する攪拌槽型反応器内の液相部には、貴金属触媒が含まれているので、該液相部からろ過等の方法で貴金属触媒を除去する。貴金属触媒を除いた液相部には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸が塩の形で溶解しているので、pH調整をした後、そのまま界面活性剤溶液として使用するか、或いは、塩酸等の鉱酸で酸分解して抽出工程を経て、遊離のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を得ることができる。尚、触媒を固定床形式で攪拌槽型反応器に用いた場合には、先の触媒の除去は省略することも可能となる。
本発明において、反応を速やかに進行させる為に、反応原料にポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を予め仕込んでおくことができる。すなわち、本発明では、液相部にポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を供給しておくことが好ましく、酸素を供給する前に、液相部にポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を供給しておくことが好ましい。例えば、所定の攪拌槽型反応器に、貴金属触媒、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、及び、アルカリ物質を仕込んで液相部を調製し、該液相部に酸素を供給して前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を製造することができる。反応原料と共に液相部に仕込むポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩は、反応原料であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸化により得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸の塩と同じ構造(アルキル基の種類、アルキレンオキサイドの種類及び平均付加モル数、塩の種類等)であるものが好ましい。
本発明の反応である酸素酸化は、原料であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸化させるものであるが、反応初期では相分離が生じることにより反応が遅く、酸化反応によって生成するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の比率が高くなり反応系が均一になるに従って反応速度が速くなる。そのため、生成物の色相、反応速度等の観点から、反応初期の反応遅延組成を回避する為に反応原料を含む液相部中にポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を予め仕込んでおくことが効果的であるものと考えられる。液相部に供給するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩は水溶液で用いるのが好適であるが、供給量は、生成物の色相、反応速度等の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の量として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに対して0.1質量倍以上、更に0.2質量倍以上、更に0.6質量倍であることが好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を効率良く製造できる観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の量として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに対して2.0質量倍以下、より1.0質量倍以下、更に0.7質量倍以下であることが好ましい。
本発明においては、攪拌槽型反応器を用い、且つ攪拌翼を特定の条件で用いて、触媒存在下、液相部を撹拌し酸素を供給しながら、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う。一般的に気液固で反応を行う場合、攪拌において気液界面積の増大を狙ってディスクタービンを多段で使用する例が工業的に多くみられるが、本反応においては、ディスクタービンを用いても反応の進行は遅い。本発明は、攪拌翼の使用条件を検討した結果、驚くべきことに、特定形状の攪拌翼が、攪拌槽との関係において、本発明のS1/S2比の範囲の時に、色相等、品質の良いポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を、効率良く製造できることを見出したものである。本発明の効果発現機作の詳細は解明されているわけではないが、本願の反応に供される組成物が非ニュートン性の高粘度流体であることに起因しているものと推測している。一方、こうした反応に工業的に多用されているディスクタービン翼(多段使用)は、一般的な使用条件ではS1/S2比が本発明の範囲には入らず、本発明のような効果は得られない。
実施例1〜4及び比較例1〜2
原料、触媒等の仕込み量、反応装置、S2/S1、d/D、h/Z等を表1の通りとして、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩を製造した。それぞれの反応速度(5時間平均)及び反応開始から1時間ごとの反応率を表1に示した。なお、用いた原料及び反応条件を以下に示す。
攪拌翼は、図2〜5のものを用いた。図2は特殊大型幅広翼(スーパーミックスMR203)、図3はフルゾーン翼、図4はアンカー翼、図5はタービン型翼の概略図である。図5は、ディスク51にブレード52a、52bが等間隔に配置されたディスクタービン53、57がシャフト54に2段に配置された状態を示す概略図である。ディスクタービン53では、ブレードは52a、52b以外に図示しない4枚があり、合計6枚のブレードがディスク51に等間隔に設置されている。ディスクタービン57も同様に、ブレードは56a、56b以外に図示しない4枚があり、合計6枚のブレードがディスク55に等間隔に設置されている。
攪拌槽は、容量1L又は2L又は3Lのものと容量30Lを用いた。図6は、容量1L又は2L又は3Lの攪拌槽の概略図であり、この攪拌槽は、円筒形の本体と丸みを帯びた底部とを有している。図7は、容量30Lの攪拌槽の概略図であり、この攪拌槽は、円筒形の本体と平らな底部とを有している。
<反応原料>
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル:ラウリルアルコールにエチレンオキサイドを平均で4モル付加したもの(以下、POEアルキルエーテルと表記する)
・アルキルエーテルカルボン酸ナトリウム塩:エチレンオキサイド平均付加モル数が3のポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム(以下、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムと表記する)
<触媒>
・担持触媒:Pd含有量4質量%、Pt含有量1質量%、Bi含有量5質量%の活性炭担持触媒(エボニックデグサ社、固形分率42.8質量%、含水率57.2質量%)
<反応条件>
・温度:70℃
・圧力:0MPa(ゲージ圧)
・酸素供給速度:仕込んだPOEアルキルエーテルのモルに対して0.15当量/hr
・酸素含有混合ガス中の酸素濃度:90体積%
・酸素含有混合ガス中の窒素濃度:10体積%
・NaOH:仕込んだPOEアルキルエーテルのモルに対して100モル%
<攪拌槽>
・攪拌槽:SUS304製攪拌槽(容量1L、2L、3L又は30L)
実施例1
図6の3L攪拌槽(D=150mm、Z=95mm)に図2の攪拌翼スーパーミックスMR203を攪拌槽の中心にシャフト22がくるように取り付けて210rpmにて1時間回転させた後にトルクを測定し、このトルク値が0.000N・mとなるようにゼロ点を調整した。その後、POEアルキルエーテル230.0g、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液710.8g(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液中のPOEアルキエルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度は19.75質量%)、48%水酸化ナトリウム水溶液55.7g、担持触媒43.3g、イオン交換水460.3gを仕込み、210rpmで攪拌させながら70℃まで昇温させた。内容物が70℃に到達した時点から窒素ガスを内径2mmφのSUS316管よりマスフローコントローラーを用いて50.0mL/minで15分間供給した。このとき、攪拌軸にかかるトルクは0.068N・mであった。その後、窒素ガスの供給を止めて、酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)をマスフローコントローラーを用いて67.0mL/minで5時間供給した。1時間ごとに内容物を採取して、EPTON(METTLER TOLEDO社製)を用いて目的とする酸化物の濃度を測定し、反応率に換算した。0.0時間(開始時)は35.9%、1.0時間後は47.5%、2.0時間後は61.4%、3.0時間後は72.0%、4.0時間後は82.7%、5.0時間後は93.7%であり、開始から5時間の平均反応速度は11.56mol%/hrであった。5時間後酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)の供給をやめ、ポア径0.2μmのPTFEメンブレンろ紙を用いて担持触媒とPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを含有する反応物をろ別し、該反応物の色相(APHA)を測定したところ25であった。
実施例2
図6の1L攪拌槽(D=83mm、Z=128mm)に図4の攪拌翼アンカーを攪拌槽の中心にシャフト42がくるように取り付けて290rpmにて1時間回転させた後にトルクを測定し、このトルク値が0.000N・mとなるようにゼロ点を調整した。その後、POEアルキルエーテル96.1g、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液258.7g(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液中のPOEアルキエルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度は25.5質量%)、48%水酸化ナトリウム水溶液23.3g、担持触媒18.9g、イオン交換水259.4gを仕込み、290rpmで攪拌させながら70℃まで昇温させた。内容物が70℃に到達した時点から窒素ガスを内径2mmφのSUS316管よりマスフローコントローラーを用いて21.9mL/minで15分間供給した。このとき、攪拌軸にかかるトルクは0.022N・mであった。その後、窒素ガスの供給を止めて、酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)をマスフローコントローラーを用いて29.3mL/minで7時間供給した。1時間ごとに内容物を採取して、EPTON(METTLER TOLEDO社製)を用いて目的とする酸化物の濃度を測定し、反応率に換算した。0.0時間(開始時)は35.6%、1.0時間後は42.8%、2.0時間後は50.3%、3.0時間後は58.0%、4.0時間後は63.5%、5.0時間後は70.0%であり、6.0時間後は76.6%であり、7.0時間後は85.4%であり、開始から5時間の平均反応速度は6.88mol%/hrであった。7時間後酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)の供給をやめ、ポア径0.2μmのPTFEメンブレンろ紙を用いて担持触媒とPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを含有する反応物をろ別し、該反応物の色相(APHA)を測定したところ80であった。
実施例3
図6の2L攪拌槽(D=120mm、Z=95mm)に図2の攪拌翼スーパーミックスMR203を攪拌槽の中心にシャフト22がくるように取り付けて165rpmにて1時間回転させた後にトルクを測定し、このトルク値が0.000N・mとなるようにゼロ点を調整した。その後、POEアルキルエーテル147.4g、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液455.5g(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液中のPOEアルキエルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度は19.75質量%)、48%水酸化ナトリウム水溶液35.7g、担持触媒27.7g、イオン交換水295.0gを仕込み、165rpmで攪拌させながら70℃まで昇温させた。内容物が70℃に到達した時点から窒素ガスを内径2mmφのSUS316管よりマスフローコントローラーを用いて32.0mL/minで15分間供給した。このとき、攪拌軸にかかるトルクは0.060N・mであった。その後、窒素ガスの供給を止めて、酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)をマスフローコントローラーを用いて42.9mL/minで5時間供給した。1時間ごとに内容物を採取して、EPTON(METTLER TOLEDO社製)を用いて目的とする酸化物の濃度を測定し、反応率に換算した。0.0時間(開始時)は35.9%、1.0時間後は46.4%、2.0時間後は55.5%、3.0時間後は66.9%、4.0時間後は78.6%、5.0時間後は87.5%であり、開始から5時間の平均反応速度は10.32mol%/hrであった。5時間後酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)の供給をやめ、ポア径0.2μmのPTFEメンブレンろ紙を用いて担持触媒とPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを含有する反応物をろ別し、該反応物の色相(APHA)を測定したところ30であった。
実施例4
図6の1L攪拌槽(D=83mm、Z=128mm)に図3の攪拌翼フルゾーンを攪拌槽の中心にシャフト34がくるように取り付けて230rpmにて1時間回転させた後にトルクを測定し、このトルク値が0.000N・mとなるようにゼロ点を調整した。その後、POEアルキルエーテル100.6g、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液311.0g(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液中のPOEアルキエルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度は19.75質量%)、48%水酸化ナトリウム水溶液24.4g、担持触媒18.9g、イオン交換水201.4gを仕込み、230rpmで攪拌させながら70℃まで昇温させた。内容物が70℃に到達した時点から窒素ガスを内径2mmφのSUS316管よりマスフローコントローラーを用いて21.9mL/minで15分間供給した。このとき、攪拌軸にかかるトルクは0.030N・mであった。その後、窒素ガスの供給を止めて、酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)をマスフローコントローラーを用いて29.3mL/minで5時間供給した。1時間ごとに内容物を採取して、EPTON(METTLER TOLEDO社製)を用いて目的とする酸化物の濃度を測定し、反応率に換算した。0.0時間(開始時)は35.1%、1.0時間後は37.0%、2.0時間後は43.2%、3.0時間後は51.4%、4.0時間後は60.8%、5.0時間後は68.9%であり、開始から5時間の平均反応速度は6.76mol%/hrであった。5時間後酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)の供給をやめ、ポア径0.2μmのPTFEメンブレンろ紙を用いて担持触媒とPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを含有する反応物をろ別し、該反応物の色相(APHA)を測定したところ80であった。
比較例1
図6の1L攪拌槽(D=83mm、Z=128mm)に図5の攪拌翼ディスクタービンを攪拌槽の中心にシャフト52がくるように取り付けて510rpmにて1時間回転させた後にトルクを測定し、このトルク値が0.000N・mとなるようにゼロ点を調整した。その後、POEアルキルエーテル96.1g、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液258.7g(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液中のPOEアルキエルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度は25.5質量%)、48%水酸化ナトリウム水溶液23.3g、担持触媒18.9g、イオン交換水259.4gを仕込み、510rpmで攪拌させながら70℃まで昇温させた。内容物が70℃に到達した時点から窒素ガスを内径2mmφのSUS316管よりマスフローコントローラーを用いて21.9mL/minで15分間供給した。このとき、攪拌軸にかかるトルクは0.013N・mであった。その後、窒素ガスの供給を止めて、酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)をマスフローコントローラーを用いて29.3mL/minで8時間供給した。1時間ごとに内容物を採取して、EPTON(METTLER TOLEDO社製)を用いて目的とする酸化物の濃度を測定し、反応率に換算した。0.0時間(開始時)は37.8%、1.0時間後は43.6%、2.0時間後は48.3%、3.0時間後は53.6%、4.0時間後は60.0%、5.0時間後は63.4%であり、6.0時間後は69.2%であり、7.0時間後は73.9%であり、8.0時間後は78.3%であり、開始から5時間の平均反応速度は5.12mol%/hrであった。8時間後酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)の供給をやめ、ポア径0.2μmのPTFEメンブレンろ紙を用いて担持触媒とPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを含有する反応物をろ別し、該反応物の色相(APHA)を測定したところ200であった。
比較例2
図7の30L攪拌槽(D=300mm、Z=230mm)に図2の攪拌翼スーパーミックスMR203を攪拌槽の中心にシャフト22がくるように取り付けて415rpmにて1時間回転させた後にトルクを測定し、このトルク値が0.000N・mとなるようにゼロ点を調整した。その後、POEアルキルエーテル2492.7g、POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液7703.0g(POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液中のPOEアルキエルエーテルカルボン酸ナトリウムの濃度は19.75質量%)、48%水酸化ナトリウム水溶液604.0g、担持触媒468.9g、イオン交換水4988.3gを仕込み、415rpmで攪拌させながら70℃まで昇温させた。内容物が70℃に到達した時点から窒素ガスを内径2mmφのSUS316管よりマスフローコントローラーを用いて542.0mL/minで15分間供給した。このとき、攪拌軸にかかるトルクは0.400N・mであった。その後、窒素ガスの供給を止めて、酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)をマスフローコントローラーを用いて726.3mL/minで5時間供給した。1時間ごとに内容物を採取して、EPTON(METTLER TOLEDO社製)を用いて目的とする酸化物の濃度を測定し、反応率に換算した。0.0時間(開始時)は34.5%、1.0時間後は35.6%、2.0時間後は36.7%、3.0時間後は40.4%、4.0時間後は43.5%、5.0時間後は47.0%であり、開始から5時間の平均反応速度は2.50mol%/hrであった。5時間後酸素含有混合ガス(酸素濃度90体積%、窒素濃度10体積%)の供給をやめ、ポア径0.2μmのPTFEメンブレンろ紙を用いて担持触媒とPOEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウムを含有する反応物をろ別し、該反応物の色相(APHA)を測定したところ300であった。
Figure 0005774462
(*1):液相部中の(I)の濃度(質量%)は、下記式により算出した。
液相部中の(I)の濃度(質量%)=〔(I)+(II)×(III)/379.9×343.9〕/〔(I)+(II)+(IV)+(V)×0.572+(VI)〕×100
ここで、(I)〜(VI)は以下の意味である。
(I):POEアルキルエーテルの使用量(g)
(II):POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液の使用量(g)
(III):POEアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム水溶液中のアルキルエーテル
カルボン酸ナトリウムの濃度(質量%)
(IV):48%水酸化ナトリウム水溶液の使用量(g)
(V):担持触媒の使用量(g)
(VI):イオン交換水の使用量(g)
11 攪拌翼
12 攪拌槽
13 シャフト
14 液相部
15 ガス吹き込み手段

Claims (7)

  1. 有底円筒状の攪拌槽と、該攪拌槽の中心近傍に配置された回転駆動するシャフトと、該シャフトに連結された攪拌翼(切り欠き部を有する平板状部材を含んで構成されるものを除く)とを備えた攪拌槽型反応器を用いて、貴金属触媒、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び、アルカリ物質を含有する液相部に、酸素を供給して前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を製造するポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法であって、
    前記攪拌槽中で前記液相部が占める領域の垂直面の最大断面積(S1)と、前記攪拌翼の前記シャフトの回転軸に対して直角の方向からみた最大投影面積(S2)との比率(S2/S1)を、0.20以上0.90以下とし、
    反応原料を含む液相部中にポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を予め仕込んでおく
    ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法。
  2. 前記攪拌翼として、2枚の平板がシャフトを含んで同一直線上に設置された2枚翼型の攪拌翼を少なくとも1つ用いる、請求項1記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法。
  3. 前記攪拌槽の攪拌領域において、前記シャフトの回転軸の半径方向からみた前記攪拌槽の内径と(D)と、前記シャフトの回転軸の半径方向からみた前記攪拌翼の翼径(d)との比率(d/D)を、0.50以上0.95以下とする、請求項1又は2記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法。
  4. 前記攪拌槽が略円筒形であり、該攪拌槽の底部から液面までの距離(Z)と、前記攪拌翼の垂直方向での最大長さ(h)との比率(h/Z)を、0.50以上0.99以下とする、請求項1〜3の何れか1項記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法。
  5. ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが、下記一般式(I)で表される化合物である、請求項1〜4の何れか1項記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法。
    RO−(AO)n−H (I)
    〔式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、nはAOの平均付加モル数であり、1〜100の数である。〕
  6. 貴金属触媒が、白金族元素から選ばれる1種以上の元素を含有する、請求項1〜5の何れか1項記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法。
  7. 液相部中に予め仕込む前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボンの酸化により得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸の塩と同じ構造の化合物である、請求項1〜6のいずれか1項記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩の製造方法。
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