しかしながら、特許文献1記載のような従来技術では、次のような問題があった。即ち、搬送ローラがR1周し排紙ローラがR2周する期間でエンコーダの夫々から出力されるエンコーダ信号の立上りエッジが揃うように、スリット位置を正確に揃えて、各エンコーダを取り付けなければ、絶対位置の特定をすることができないといった問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、エンコーダ取付時にスリット位置を高精度に調整しなくても、ローラの絶対位置を特定可能な技術を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた本発明の回転制御装置は、第一及び第二のローラと、駆動手段と、第一及び第二のエンコーダと、位置検出手段と、制御手段と、を備える。駆動手段は、第一及び第二のローラを回転駆動する手段であり、第一及び第二のローラに共通して設けられる。
第一のエンコーダは、インクリメンタル型エンコーダであり、第一のローラと同期して回転する第一の回転板を有し、第一の回転板に形成されたスリットを読み取って、読取結果に応じた第一のエンコーダ信号を出力する。また、第二のエンコーダは、インクリメンタル型エンコーダであり、第二のローラと同期して回転する第二の回転板を有し、第二の回転板に形成されたスリットを読み取って、読取結果に応じた第二のエンコーダ信号を出力する。この第一の回転板のスリット数L1及び第二の回転板のスリット数L2及び第一のローラと第二のローラとの回転比R1:R2は、値(R1×L1)と値(R2×L2)とが互いに素となるように設定される。
位置検出手段は、このように構成される第一のエンコーダから出力される第一のエンコーダ信号、及び、第二のエンコーダから出力される第二のエンコーダ信号に基づき、第一及び第二のローラの回転位置を検出する。そして、制御手段は、位置検出手段により検出された第一及び第二のローラの回転位置に基づき、駆動手段を通じた第一及び第二のローラの回転制御を行う。
更に、本発明の回転制御装置は、記憶手段と、設定手段とを備える。記憶手段は、第一のローラがR1周し第二のローラがR2周する周期である特定周期内で、第一及び第二のエンコーダ信号が特定周期内の他領域とは異なる特異な相互関係を示す一つの地点での当該相互関係を表す情報を記憶する。
一方、設定手段は、上記第一及び第二のローラの回転制御時に、第一及び第二のエンコーダから出力される第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係が記憶手段に記憶された相互関係と一致するかを判断し、この判断結果に従って、第一及び第二のエンコーダから出力される第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係が記憶手段に記憶された相互関係と一致する地点において位置検出手段により検出される第一及び第二のローラの回転位置が、この地点に対して予め定められた値となるように、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を調整する。これによって、設定手段は、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を所定の絶対座標系に設定する。
この回転制御装置によれば、第一の回転板のスリット数L1及び第二の回転板のスリット数L2及び第一のローラと第二のローラとの回転比R1:R2が、上述のような関係にある。従って、第一のエンコーダ信号及び第二のエンコーダ信号の組合せ信号は、第一のローラがR1周し第二のローラがR2周する周期である特定周期において周期性のないパターンを採る。このため、上記特定周期内には、第一及び第二のエンコーダ信号が特定周期内の他領域とは異なる特異な相互関係を示す地点が存在する。そして、このような地点に対応する第一及び第二ローラの機械的な位置は、一つに定まる。
従って、このような特異な相互関係を表す一つの地点での位置検出手段による検出値が一定の値を示すように、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を調整すれば、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を、第一及び第二ローラの機械的に位置に対応した絶対座標系に設定することができるのである。
よって、この発明によれば、従来技術のように、各ローラに取り付けるエンコーダのスリットを正確に揃えなくとも、各ローラの絶対位置を正確に特定可能に、回転制御装置を構成することができる。
特に、この発明によれば、記憶手段に上記相互関係を表す情報を記憶しているので、第一のローラがR1周し第二のローラがR2周するまで待たなくても、迅速に絶対位置を特定することができるといった利点がある。即ち、第一及び第二のエンコーダ信号が記憶手段に記憶される特異な相互関係を示した時点で、上記座標系の設定を行うことができ、絶対位置に基づいた第一及び第二のローラの回転制御を迅速に実行することができる。
ところで、記憶手段には、第一及び第二のエンコーダ信号が特定周期内の他領域とは異なる特異な相互関係を示す地点での当該相互関係を表す情報を、この地点での回転位置を表す情報と対応付けて記憶させることができる。
この場合、設定手段は、位置検出手段により検出される第一及び第二のローラの回転位置であって、第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係が記憶手段に記憶された相互関係と一致する地点での第一及び第二のローラの回転位置が、上記一致した相互関係を表す情報に対応付けられて記憶手段で記憶される回転位置を表す情報に対応した値となるように、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を調整する。この調整によって、位置検出手段により検出される回転位置の座標系は、上記記憶手段で記憶される回転位置を表す情報によって定まる絶対座標系に設定される。
このような構成は、 第一及び第二のエンコーダ信号が特定周期内の他領域とは異なる
特異な相互関係を示す地点の複数に関し、地点毎に、この地点での相互関係を表す情報を記憶手段に記憶させる場合に、特に有効である。
即ち、記憶手段には、上記地点毎に、この地点での相互関係を表す情報を、この地点での回転位置を表す情報と対応付けて記憶させることができる。そして、この場合の設定手段は、第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係が記憶手段に記憶された相互関係のいずれかと一致すると、当該一致した地点で位置検出手段により検出された第一及び第二のローラの回転位置が、上記一致した相互関係を表す情報に対応付けられて記憶手段で記憶される上記回転位置を表す情報に対応した値となるように、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を調整する構成にすることができる。
この構成によれば、地点毎の上記回転位置を表す情報として、第一及び第二のローラの絶対位置に対応する回転位置を表す情報を、記憶手段に記憶させておくことで、上記複数地点のいずれの地点でも、回転位置を表す情報に基づく座標系の調整により、共通の絶対座標系を設定することができ、このような絶対座標系の設定を迅速に行うことができる。
上記記憶手段に相互関係を表す情報として単一地点の情報を記憶させる場合は、記憶手段に上記回転位置を表す情報を記憶させなくても、第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係が記憶手段に記憶された相互関係を一致したことを条件に位置検出手段による検出値をゼロにリセット等することで、上記回転位置の座標系を絶対座標系に設定することができる。しかしながら、上記記憶手段に相互関係を表す情報として単一地点の情報を記憶させる程度では、第一及び第二のローラの初期角度を原因として、上記単一地点に到達するまでに時間を要する場合がある。ここで言う「初期角度」とは、第一及び第二のエンコーダ信号を監視して、絶対座標系の設定に必要な処理を開始する際の初期のローラ回転角のことである。
即ち、初期角度によっては、記憶手段に上記相互関係を表す情報が登録された地点までの角度差が大きく、第一及び第二のローラが回転により上記登録された地点まで回転するのに時間を要する。従って、記憶手段に上記単一地点の情報を記憶させる程度では、初期角度に応じて、絶対座標系の設定に要するまでの時間にばらつきが生じる。
一方、複数地点についての上記相互関係を表す情報を記憶手段に記憶させておくと、第一及び第二のローラが回転により初期角度から、これら複数地点のいずれかの地点まで回転した際に、絶対座標系の設定を行うことができる。
従って、複数地点についての上記相互関係を表す情報を記憶手段に記憶させると、絶対座標系の設定に要するまでの時間にばらつきが生じるのを抑えることができ、初期角度の影響を抑えて、迅速に絶対座標系に設定することができる。また、この発明によれば、複数地点の夫々に対応する上記相互関係を表す情報に、この地点に対応する回転位置を表す情報を対応付けているので、第一及び第二のローラが、これら複数地点のいずれの地点に到達した場合でも、対応する地点の上記回転位置を表す情報から、各地点に共通する唯一の絶対座標系を設定することができる。
但し、複数地点の上記相互関係を表す情報を上記記憶手段に記憶させても、これら複数地点が上記特定周期における一部領域に集中して存在する場合には、上記ばらつきを十分に抑制することができない可能性がある。
そこで、記憶手段には、上記特定周期を複数区間に等分割して定められる区間毎に、この区間内の上記特異な相互関係を示す地点に対応する相互関係を表す情報を、この地点での回転位置を表す情報と対応付けて記憶させるとよい。このように分散する複数地点の上記相互関係を表す情報を記憶手段に記憶させれば、初期角度に応じて絶対座標系の設定に要するまでの時間にばらつきが生じるのを効果的に抑制することができる。
また、第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係は、第一及び第二のエンコーダ信号のパルスエッジを共通の時間軸に配置した際のパルスエッジ間の間隔により定量化することができる。具体的には、第一及び第二のエンコーダ信号のパルスエッジを共通の時間軸に配置した際のパルスエッジ間の間隔であって特定種類のパルスエッジの組合せに対応するパルスエッジ間の間隔を「エッジ間隔」として定義し、この「エッジ間隔」により、第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係を定量化することができる。「特定種類のパルスエッジの組合せに対応するパルスエッジ間の間隔」としては、第一のエンコーダ信号の立上りエッジから第二のエンコーダ信号の立上りエッジまでの間隔や、第二のエンコーダ信号の立上りエッジから第一のエンコーダ信号の立下りエッジまでの間隔等が挙げられる。
この他、上記時間軸において隣接するパルスエッジ間の間隔(換言すれば、始点とするパルスエッジから時間的に1つ後のパルスエッジまでの間隔)や、始点とするパルスエッジから時間的に2つ後のパルスエッジまでの間隔や、始点とするパルスエッジから時間的に3つ後のパルスエッジまでの間隔等についても、「エッジ間隔」として定義することができる。また、ここで言う「特定種類」は、一種類に限らず、複数種類のパルスエッジの組合せについて、これを「エッジ間隔」として定義してもよい。
そして、このように相互関係を定量表現する場合、上記特定周期内の特異な相互関係を示す地点としては、上記エッジ間隔が特定周期内で特異なエッジ間隔となる地点やエッジ間隔の時系列パターンが特定周期内で特異なパターンとなる地点を挙げることができる。
即ち、記憶手段には、上記特異なエッジ間隔となる地点に対応する上記相互関係を表す情報として、この地点でのエッジ間隔を記憶させることができる。この他、記憶手段には、上記特異なパターンとなる地点に対応する上記相互関係を表す情報として、このパターンに対応するエッジ間隔の時系列データを記憶させることができる。
また、この回転制御装置には、第一のエンコーダから出力される第一のエンコーダ信号のパルスエッジ及び第二のエンコーダから出力される第二のエンコーダ信号のパルスエッジに基づき、上記エッジ間隔を計測する間隔計測手段を設けることができる。
この場合、設定手段は、上記間隔計測手段により計測されたエッジ間隔に基づき、第一及び第二のエンコーダから出力される第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係と、上記記憶手段に記憶された相互関係との一致を判断することができる。
例えば、設定手段は、間隔計測手段により計測されたエッジ間隔が、上記記憶手段に相互関係を表す情報として記憶されたエッジ間隔と一致すると、この地点での第一及び第二のローラの回転位置が、記憶手段で記憶される上記回転位置を表す情報に対応した値となるように、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を調整する構成にすることができる。この他、設定手段は、間隔計測手段により計測されたエッジ間隔の時系列パターンが、上記記憶手段に相互関係を表す情報として記憶されたエッジ間隔の時系列データと一致すると、この地点での第一及び第二のローラの回転位置が、記憶手段で記憶される上記回転位置を表す情報に対応した値となるように、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を調整する構成にすることができる。
このように、相互関係をエッジ間隔により定量化し、単一のエッジ間隔又は、エッジ間隔の時系列パターンに基づき、第一及び第二のエンコーダ信号の相互関係が特異な相互関係となる地点を検知して、座標系の調整を行えば、簡単な処理で位置検出手段により検出される回転位置の座標系を、絶対座標系に調整することができる。
この他、回転制御装置の記憶手段には、上記特定周期内のエッジ間隔の夫々を、このエッジ間隔が計測される地点での回転位置を表す情報と対応付けて記憶させてもよい。この場合、回転制御装置には、次のような構成の設定手段を設けることができる。
即ち、設定手段は、第一及び第二のローラの回転制御時に、記憶手段が記憶するエッジ間隔の一群の中で特異なエッジ間隔が間隔計測手段により計測されたこと、又は、記億手段が記憶するエッジ間隔の一群が示すエッジ間隔の時系列パターンの中で、特異な時系列パターンに対応するエッジ間隔の組が間隔計測手段により計測されたことを検知する構成にすることができる。更に、設定手段は、上記検知された事象の発生地点(上記特異なエッジ間隔が計測された地点又は上記特異な時系列パターンに対応するエッジ間隔の組が計測された地点)での位置検出手段による検出値(第一及び第二のローラの回転位置)が、記憶手段で記憶されるこの地点での回転位置を表す情報に対応した値となるように、位置検出手段にて検出される回転位置の座標系を調整することによって、この回転位置の座標系を絶対座標系に設定する構成にすることができる。このように回転制御装置を構成しても、位置検出手段により検出される回転位置の座標系を、絶対座標系に調整する処理を迅速に実行することができる。
ところで、間隔計測手段によりエッジ間隔を計測する場合には、エッジ間隔としてパルスエッジ間の時間間隔を計測することが考えられる。但し、エッジ間隔として時間間隔を計測する場合には、計測時の第一及び第二のローラの回転速度を考慮して、計測された時間間隔と記憶手段に記憶されているエッジ間隔との一致判断を行う必要がある。
本発明では、第一及び第二のローラの位置関係がエッジ間隔に表れること考慮して、このエッジ間隔に基づき、第一及び第二のローラの機械的位置(絶対位置)を特定する。従って、一致判断の際には、エッジ間隔を、パルスエッジ間の位相間隔(又は距離間隔)として評価する必要がある。ここで言う位相は、上記特定周期を1周期として位相の概念を導入した際の位相のことを言う。
しかしながら、第一及び第二のローラの回転速度が安定していない場合には、第一及び第二のローラの回転速度を考慮して、計測されたエッジ間隔を、記憶手段に記憶されたエッジ間隔と比較するのが難しい。そこで、設定手段は、第一及び第二のローラが定速回転制御されている期間に計測されたエッジ間隔を選択的に用いて、上記一致判断を行い、上記絶対座標系の設定を行う構成にされるとよい。
この他、上記記憶手段に、上記エッジ間隔として、第一及び第二のローラが所定速度で回転する際のパルスエッジ間の時間間隔を記憶させる場合には、回転制御装置に、第一のエンコーダから出力される第一のエンコーダ信号及び第二のエンコーダから出力される第二のエンコーダ信号の少なくとも一方に基づき、第一及び第二のローラの回転速度を検出する速度検出手段を設ける一方、間隔計測手段を、次のように構成されるとよい。
即ち、間隔計測手段は、第一のエンコーダから出力される第一のエンコーダ信号のパルスエッジ及び第二のエンコーダから出力される第二のエンコーダ信号のパルスエッジに基づき、上記エッジ間隔に対応するパルスエッジ間の時間間隔を計測する時間間隔計測手段を備え、記憶手段で記憶されるエッジ間隔が前提とする上記所定速度としての第一及び第二のローラの回転速度と、速度検出手段により検出された第一及び第二のローラの回転速度との比に基づき、時間間隔計測手段により計測された時間間隔を、上記前提とする回転速度に応じた時間間隔に変換し、変換後の時間間隔を、エッジ間隔の計測値として出力する構成にされるとよい。このように間隔計測手段を構成すれば、座標系の設定の際に、回転速度の変動による悪影響を抑えることができる。
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。本実施例の画像形成装置1は、インクジェットプリンタであり、図1に示すように、給紙機構10と、用紙搬送機構20と、印字機構30と、装置全体を統括制御する制御部50と、給紙機構10に動力を付与する直流モータであるASFモータM1と、ASFモータM1を駆動する駆動回路DR1と、用紙搬送機構20に動力を付与する直流モータであるLFモータM2と、LFモータM2を駆動する駆動回路DR2と、印字機構30に動力を付与する直流モータであるCRモータM3と、CRモータM3を駆動する駆動回路DR3と、記録ヘッド31を駆動する駆動回路DR4と、を備える。
給紙機構10は、図1及び図2に示すように、給紙トレイ101に収容された用紙Pを一枚ずつ分離して用紙搬送機構20に供給するものであり、複数枚の用紙Pが積層された給紙トレイ101と、給紙トレイ101最上部の用紙Pに当接される給紙ローラ103と、給紙ローラ103の回転に伴ってエンコーダ信号を出力するロータリエンコーダ105と、を備える。給紙機構10は、ASFモータM1の動力を受ける給紙ローラ103の回転により、給紙トレイ101最上部の用紙Pを分離し、これを用紙搬送機構20に繋がる用紙搬送路に送出する。用紙搬送機構20に繋がる用紙搬送路は、Uターンパス111等から構成され、給紙トレイ101から送出される用紙Pは、Uターンパス111等により移動を規制されて、用紙搬送機構20が有する搬送ローラ201と搬送ローラ201に対向配置されるピンチローラ202との間に搬送される。
用紙搬送機構20は、搬送ローラ201及びピンチローラ202の他、搬送ローラ201の回転に伴ってエンコーダ信号を出力するロータリエンコーダ205(以下「第一エンコーダ205」と言う。)と、排紙ローラ211と、排紙ローラ211に対向配置されるピンチローラ212と、排紙ローラ211の回転に伴ってエンコーダ信号を出力するロータリエンコーダ215(以下「第二エンコーダ215」と言う。)と、を備える。
第一エンコーダ205は、搬送ローラ201の回転軸上に取り付けられて搬送ローラ201に同期するように回転するL1個のスリットが形成された回転板205a、及び、発光素子と受光素子とで回転板205aを挟むセンサ本体205bを備え、回転板205aに形成されたスリットを周知のロータリエンコーダと同手法で読み取って、読取結果に応じたエンコーダ信号(以下「第一エンコーダ信号」と言う。)を出力する。尚、第一エンコーダ205は、インクリメンタル型エンコーダであり、エンコーダ信号として位相が互いにπ/2異なるパルス信号であるA相信号及びB相信号を出力する。
一方、第二エンコーダ215は、排紙ローラ211の回転軸上に取り付けられて排紙ローラ211に同期するように回転するL2個のスリットが形成された回転板215a、及び、発光素子と受光素子とで回転板215aを挟むセンサ本体215bを備え、回転板205aに形成されたスリットを周知のロータリエンコーダと同手法で読み取って、読取結果に応じたエンコーダ信号(以下「第二エンコーダ信号」と言う。)を出力する。第二エンコーダ215についても、第一エンコーダ205と同様インクリメンタル型エンコーダとして構成され、エンコーダ信号としてA相信号及びB相信号を出力する。
この用紙搬送機構20において、排紙ローラ211は、搬送ローラ201よりも所定距離用紙搬送路下流に設けられ、搬送ローラ201及び排紙ローラ211は、例えば各ローラ201,211をベルトで連結する動力伝達機構220(図1参照)を通じてLFモータM2からの動力を同時に受けて、所定の回転比R1:R2で連動するように回転する。搬送ローラ201及び排紙ローラ211は、この回転により協働して、給紙機構10から供給された用紙Pを、排紙ローラ211下流の図示しない排紙トレイまで搬送する。
即ち、搬送ローラ201及び排紙ローラ211は、互いに周方向に同量回転する。ピンチローラ202は、搬送ローラ201との間に用紙Pを挟んだ状態で、搬送ローラ201の回転運動に従動するように回転し、ピンチローラ212は、排紙ローラ211との間に用紙を挟んだ状態で、排紙ローラ211の回転運動に従動するように回転する。用紙Pは、このように挟持された状態で、搬送ローラ201及び排紙ローラ211の回転により用紙搬送路下流に搬送される。
また、搬送ローラ201と排紙ローラ211との間には、搬送ローラ201から搬送されてくる用紙Pを下方から支持して排紙ローラ211側へ導くためのプラテン240が設けられている。搬送ローラ201から排紙ローラ211側へと搬送される用紙Pには、プラテン240上を通過する際に、印字機構30を構成する記録ヘッド31から吐出されるインク液滴により画像が形成される。
印字機構30は、プラテン240に対向するノズル面からインク液滴を吐出する記録ヘッド31、記録ヘッド31を主走査方向(図1における用紙の法線方向)に搬送するキャリッジ33、キャリッジ33の主走査方向への移動に伴ってエンコーダ信号を出力するリニアエンコーダ35、及び、図示しないキャリッジ搬送機構等を備える。キャリッジ33は、CRモータM3に接続されたキャリッジ搬送機構に取り付けられ、CRモータM3の回転に伴って発生するキャリッジ搬送機構からの動力を受けて、主走査方向に移動する。記録ヘッド31は、このようにして主走査方向に移動するキャリッジ33に搭載され、キャリッジ33の移動と共に、プラテン240上において主走査方向に移動する。また、記録ヘッド31は、この移動期間中に、駆動回路DR4からの駆動信号を受けて、当該駆動信号に応じたインク液滴をノズル面から吐出する。
また、制御部50は、図1に示すように、給紙トレイ101からの給紙制御を行う給紙制御部60と、給紙トレイ101から用紙搬送機構20に供給された用紙Pを記録ヘッド31による画像形成位置に所定量ずつ間欠的に搬送するように用紙Pの搬送制御を行う用紙搬送制御部70と、キャリッジ33の搬送制御及び記録ヘッド31によるインク液滴の吐出制御を行う印字制御部80と、外部のパーソナルコンピュータ(PC)3と通信可能なインタフェース90とを備える。
印字制御部80は、用紙搬送機構20により用紙が所定量搬送される度、CRモータM3を制御することにより、記録ヘッド31を主走査方向に片道分搬送し、その搬送中に、記録ヘッド31を制御することにより、記録ヘッド31に、インタフェース90を通じてPC3から入力された印刷対象の画像データに対応するインク液滴を吐出させて、用紙Pに所定幅のライン画像を形成させる。このようにして印字制御部80は、用紙搬送機構20による用紙Pの搬送動作に合わせて記録ヘッド31を往復動させると共に、インク液滴を用紙Pに吐出させることにより、用紙Pに一連の画像を形成する。尚、印字制御部80は、リニアエンコーダ35から入力されるエンコーダ信号に基づき、キャリッジ33ひいては記録ヘッド31の搬送速度を検出し、記録ヘッド31にインク液滴を吐出させる期間には記録ヘッド31を定速搬送する。
一方、給紙制御部60は、ロータリエンコーダ105から入力されるエンコーダ信号に基づき、給紙ローラ103の回転位置を検出し、この検出結果に基づき駆動回路DR1からASFモータM1に印加する駆動電流/電圧を調整することにより給紙制御して、給紙トレイ101から用紙搬送機構20に一枚ずつ所定態様にて用紙Pを供給する。
この他、用紙搬送制御部70は、第一エンコーダ205から入力される第一エンコーダ信号に基づき、搬送ローラ201の回転位置を検出し、第二エンコーダ215から入力される第二エンコーダ信号に基づき、排紙ローラ211の回転位置を検出して、用紙Pの後端(用紙搬送路上流側の用紙端)が搬送ローラ201を通過するまでは、搬送ローラ201の回転位置(検出位置)に基づいて、LFモータM2を制御し、用紙P後端が搬送ローラ201を通過した後には、排紙ローラ211の回転位置(検出位置)に基づいて、LFモータM2を制御するといった態様で、用紙Pの搬送制御を行い、用紙Pを所定量ずつ(具体的には、記録ヘッド31が形成するライン画像の幅に対応する量ずつ)間欠的に主走査方向とは垂直な副走査方向に搬送する。
図3(a)は、用紙搬送制御部70の構成を表すブロック図である。用紙搬送制御部70は、第一信号処理部71と、第二信号処理部72と、AD変換部73と、主駆動制御部75と、絶対座標設定部77とを備える。第一信号処理部71は、第一エンコーダ205から入力される第一エンコーダ信号に基づき搬送ローラ201の回転位置を検出し、この検出位置Xuを出力する。一方、第二信号処理部72は、第二エンコーダ215から入力される第二エンコーダ信号に基づき排紙ローラ211の回転位置を検出し、この検出位置Xdを出力する。この検出位置Xu,Xdは、主駆動制御部75に入力される。
例えば、第一信号処理部71は、第一エンコーダ205から入力されるA相信号及びB相信号の位相差に基づき搬送ローラ201の回転方向を検出し、A相信号の立上りエッジの入力毎に検出位置Xuを更新することにより、搬送ローラ201の回転位置を検出する。また、第二信号処理部72も同様の手法で排紙ローラ211の回転位置を検出する。
但し、検出位置Xu,Xdは、距離尺度が同一となるように各信号処理部71,72で更新される。第一エンコーダ205のスリット数はL1、第二エンコーダ215のスリット数はL2、搬送ローラ201と排紙ローラ211との回転比はR1:R2であるので、第一エンコーダ205から第一エンコーダ信号としてR1×L1個のパルスが出力される時の搬送ローラ201の回転量と、第二エンコーダ215から第二エンコーダ信号としてR2×L2個のパルスが出力される時の排紙ローラ211の回転量は、同じである。従って、第一エンコーダ信号としてR1×L1個のパルスが出力される時の検出位置Xuの変化量と、第二エンコーダ信号としてR2×L2個のパルスが出力される時の検出位置Xdの変化量とが同じになるように、検出位置Xu,Xdは、更新される。
この他、検出位置Xu,Xdは、画像形成装置1の電源オフによりリセットされ、画像形成装置1の再起動時には、搬送ローラ201及び排紙ローラ211の電源投入時の初期位置を基準(ゼロ)とした値で表現される。但し、検出位置Xu,Xdは、絶対座標設定部77による絶対座標系の設定動作によって、搬送ローラ201及び排紙ローラ211の機械的位置(絶対位置)に対応した絶対座標系上の値に補正される(詳細後述)。主駆動制御部75は、このような絶対座標設定部77による絶対座標系の設定動作完了後に起動し、周期外乱を抑制するようなLFモータM2に対する操作量を算出し、これを駆動回路DR2に入力することにより、駆動回路DR2を通じて上記操作量に対応した駆動電流/電圧でLFモータM2を駆動し、周期外乱を抑制したモータ制御を実現する。
続いて、主駆動制御部75の構成について説明する。図3(b)は、主駆動制御部75の構成を表すブロック図である。同図に示すように、主駆動制御部75は、切替出力部751と、制御器753と、補正部755と、特性データ記憶部757と、位相算出部759とを備える。
切替出力部751は、第一エンコーダ205の検出位置Xu及び第二エンコーダ215の検出位置Xdのいずれか一方を選択的に制御器753に入力する。具体的に、切替出力部751は、用紙Pの後端が搬送ローラ201を通過するまでは、第一エンコーダ205の検出位置Xuを制御器753に入力し、用紙Pの後端が搬送ローラ201を通過した状態では、第二エンコーダ215の検出位置Xdを制御器753に入力する。
一方、制御器753は、このように入力される検出位置Xu又は検出位置Xdに基づき、LFモータM2に対する操作量を演算することにより、用紙Pが用紙搬送路下流に所定量搬送されるように、LFモータM2を駆動制御する。但し、制御器753から出力されるLFモータM2に対する操作量は、補正部755によって周期外乱を抑制する方向に補正された後、駆動回路DR2に入力される。
補正部755は、位相算出部759から入力される位相θと、特性データ記憶部757が記憶する特性データとに基づき、位相θに対応する量、制御器753から入力される操作量を補正して駆動回路DR2に入力する。搬送ローラ201及び排紙ローラ211は回転比R1:R2で連動するが、位相算出部759から入力される位相θは、搬送ローラ201がR1周し排紙ローラ211がR2周して、搬送ローラ201の回転角θ1と排紙ローラ211の回転角θ2の組合せ(θ1,θ2)が元に戻る状態変化の一周期(以下「ローラ対回転周期」とも言う。)を2πとした時の位相である。
特性データは、ローラ対回転周期におけるローラ対(搬送ローラ201及び排紙ローラ211)の特性データであり、絶対座標設定部77により設定される絶対座標系の原点位置を位相θ=0の地点として位相0≦θ<2πの各位相θでの上記操作量に対する補正量を導出可能なデータとして予め画像形成装置1に組み込まれる。
また、位相算出部759は、切替出力部751から入力される検出位置Xu,Xdとローラ対回転周期当りの検出位置Xu,Xdの増分Xeとに基づき位相θを算出し、これを補正部755に入力する。補正部755は、この位相θに基づいた操作量の補正により、周期外乱を抑制する方向に操作量を補正し、これを駆動回路DR2に入力することにより、外乱を抑制した高精度な用紙Pの搬送制御を実現する。
続いて、絶対座標設定部77について説明する。図4(a)は、絶対座標設定部77の構成を表すブロック図である。同図に示すように、絶対座標設定部77は、定速駆動制御部771と、速度検出部773と、信号状態記録部775と、主設定部777と、を備える。定速駆動制御部771は、速度検出部773により検出された搬送ローラ201及び排紙ローラ211の回転速度Vに基づき、駆動回路DR2を通じて、LFモータM2を制御するものである。定速駆動制御部771は、LFモータM2の制御により、搬送ローラ201及び排紙ローラ211を設定速度VCで定速回転させる。
一方、速度検出部773は、上記回転速度Vを次のように検出する。例えば、第一の検出方法によれば、速度検出部773は、第一エンコーダ205から入力される第一エンコーダ信号のA相信号(以下「第一エンコーダ信号A」と言う。)の立上りエッジの入力時点から第一エンコーダ信号Aの次の立上りエッジの入力時点までの経過時間TW1を計測し、第一エンコーダ信号Aの1周期に対応する搬送ローラ201の回転量を、この経過時間TW1を除算して、搬送ローラ201の回転速度V(周速度)を検出する。設計上、搬送ローラ201及び排紙ローラ211は同速度(周速度)で回転するので、ここで検出される回転速度Vは、排紙ローラ211の回転速度Vとしても解釈できる。
また、第二の検出方法によれば、速度検出部773は、第一エンコーダ205から入力される第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ215から入力される第二エンコーダ信号のA相信号(以下「第二エンコーダ信号A」と言う。)に基づき、次のように回転速度Vを検出する。即ち、速度検出部773は、第一エンコーダ信号Aに基づき、上記第一の検出方法と同手法で搬送ローラ201の回転速度Vu(周速度)を検出するのと並行して、第二エンコーダ信号Aの立上りエッジの入力時点から第二エンコーダ信号Aの次の立上りエッジの入力時点までの経過時間TW2を計測し、第二エンコーダ信号Aの1周期に対応する排紙ローラ211の回転量を、この経過時間TW2を除算して、排紙ローラ211の回転速度Vd(周速度)を検出する。そして、これら回転速度Vu,Vdの内、最新の検出値を、搬送ローラ201及び排紙ローラ211の回転速度Vとして検出する。
また、信号状態記録部775は、第一エンコーダ205から入力される第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ215から入力される第二エンコーダ信号Aに基づき、第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ信号Aの各パルスエッジを共通する時間軸上に配置した場合に隣接するパルスエッジ間の時間間隔であるエッジ間隔Dvを計測する。この信号状態記録部775は、計測されたエッジ間隔Dvを、搬送ローラ201及び排紙ローラ211の回転速度Vが規定速度VPである場合のエッジ間隔Dに補正し、補正後のエッジ間隔Dを、このエッジ間隔の種類、エッジ間隔Dが計測された地点の搬送ローラ201及び排紙ローラ211の回転位置XMu,XMdと共に、データメモリ775cに記録する。
具体的に、信号状態記録部775は、エッジ間隔計測部775a、エッジ間隔補正部775b及びデータメモリ775cを備える。
エッジ間隔計測部775aは、第一エンコーダ205から入力される第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ215から入力される第二エンコーダ信号Aに基づき、上述したエッジ間隔Dv(図4(b)参照)を計測するものである。即ち、エッジ間隔計測部775aは、第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ信号Aのいずれか一方においてパルスエッジが生じると、その時点からその次に第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ信号Aのいずれか一方においてパルスエッジが生じる時点までの時間間隔を、エッジ間隔Dvとして計測し、計測されたエッジ間隔Dvをエッジ間隔補正部775bに入力する。
但し、エッジ間隔計測部775aは、エッジ間隔Dvの計測時に、このエッジ間隔の種類を特定し、特定したエッジ間隔の種類の情報もエッジ間隔補正部775bに入力する。エッジ間隔の種類は、エッジ間隔Dvに対応する始点側パルスエッジ(図4(b)参照)の種類と、エッジ間隔Dvに対応する終点側パルスエッジの種類との組合せにて定められるものである。始点側パルスエッジ及び終点側パルスエッジの種類としては、第一エンコーダ信号Aの立上りエッジ及び立下りエッジ、並びに、第二エンコーダ信号Aの立上りエッジ及び立下りエッジの4種類を挙げることができる。図4(b)に示す例において、始点側パルスエッジは、第一エンコーダ信号Aの立上りエッジであり、終点側パルスエッジは、第二エンコーダ信号Aの立上りエッジである。
エッジ間隔計測部775aは、データメモリ775cに記録されたエッジ間隔Dが、どのような種類のパルスエッジによるものであるのかを識別可能とするために、エッジ間隔Dvの計測時に、始点側パルスエッジ及び終点側パルスエッジの種類を識別し、これらの組合せを表すエッジ間隔の種類の情報を、エッジ間隔補正部775bに入力する。図5には、第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ信号Aの一例と共に、エッジ間隔計測部775aで計測されるエッジ間隔D1〜D30を、エッジ間隔の種類毎に示す。以下、エッジ間隔の種類を、「エッジ種類」とも言う。図5には、エッジ種類G1〜G9を示す。
また、エッジ間隔計測部775aは、上記エッジ間隔の種類の情報の他に、このエッジ間隔Dvに対応する終点側パルスエッジの発生時点での検出位置Xuの最新値及び検出位置Xdの最新値の情報を、エッジ間隔Dvが計測された地点での搬送ローラ201の回転位置XMu及び排紙ローラ211の回転位置XMdの情報として、エッジ間隔補正部775bに入力する。更に、エッジ間隔計測部775aは、上記終点側パルスエッジの発生時点での速度検出部773による検出速度(上記回転速度V)の最新値の情報を、エッジ間隔Dvが計測された地点での搬送ローラ201及び排紙ローラ211の回転速度VMの情報として、エッジ間隔補正部775bに入力する。但し、エッジ間隔Dvが計測された地点での上記回転位置XMu,XMd及び回転速度VMは、終点側パルスエッジではなく、始点側パルスエッジの発生時点での値に設定されてもよい。
一方、エッジ間隔計測部775aからエッジ間隔Dv及びその付随情報(エッジ種類並びにエッジ間隔Dvの計測地点での回転位置XMu,XMd及び回転速度VMの情報)の入力を受けるエッジ間隔補正部775bは、エッジ間隔計測部775aから入力されたエッジ間隔Dvと付随情報が示す回転速度VMとに基づき、エッジ間隔Dvを搬送ローラ201及び排紙ローラ211が規定速度VPで回転する場合のエッジ間隔Dに補正する。具体的には、式D=Dv×VM/VPにより、エッジ間隔Dvをエッジ間隔Dに補正する。
エッジ間隔補正部775bは、このようにしてエッジ間隔Dvを規定速度VPに対応したエッジ間隔Dに補正した後、補正後のエッジ間隔D及びこのエッジ種類及びこのエッジ間隔Dの計測地点での回転位置XMu,XMdを記述した計測データを、データメモリ775cに書き込む。図4(a)の右下には、計測データの構成を示す。
このようなエッジ間隔補正部775bの動作により、データメモリ775cには、第一エンコーダ信号A又は第二エンコーダ信号Aにおいてパルスエッジが生じる度、新規計測データが記録される。尚、本実施例においては、ローラ対回転周期分の計測データを蓄積する必要性はないので、データメモリ775cの記憶容量は、それより少ない所定個の計測データを蓄積可能な程度の記憶容量に設定されるとよい。この場合には、古い計測データを削除しつつ、新規計測データを書き込むことになる。
続いて、主設定部777の構成について説明する。主設定部777は、上述した絶対座標系の設定動作を行うものであり、自己のメモリに保持する条件テーブル777aの内容と、データメモリ775cに記録された計測データとに基づき、検出位置Xu,Xdと絶対座標との誤差δu,δdを特定し、この誤差分、第一信号処理部71が保持する検出位置Xu及び第二信号処理部72が保持する検出位置Xdを補正することにより、検出位置Xu,Xdの座標系を、絶対座標系に設定する。
条件テーブル777aは、絶対座標系の設定条件が登録されてなるテーブルであり、図6に示すように、複数の設定条件レコードを有する。各設定条件レコードは、絶対位置データとエッジパターンデータとを有する。絶対位置データは、同レコードのエッジパターンデータに示されるエッジ間隔が計測される地点での搬送ローラ201の絶対位置XBu及び排紙ローラ211の絶対位置XBdが記述されたデータである。一方、エッジパターンデータは、エッジ間隔及びそのエッジ間隔の種類の情報が記述されたデータである。この設定条件レコードは、エッジパターンデータに記されるエッジ種類のエッジ間隔Dが計測されたことを条件に、その計測地点の回転位置XMu,XMdと絶対位置データが示す絶対位置XBu,XBdとに基づく絶対座標系の設定動作を実行してもよいことを示す。
このような構成の条件テーブル777aは、次の手順で製品出荷前に作成される。条件テーブル777aを作成するに当っては、まず画像形成装置1を組み立てた状態で、搬送ローラ201及び排紙ローラ211を回転させ、第一エンコーダ信号A及び第二エンコーダ信号Aの上記隣接するパルスエッジ間のエッジ間隔であって規定速度VPでのエッジ間隔Dを、ローラ対回転周期分特定する(図5参照)。
その後、ローラ対回転周期を等時間間隔に分割することで、ローラ対回転周期に対し複数区間を定義する。そして、これら各区間に対応する設定条件レコードを作成する。図5に示す例では、ローラ対回転周期を、第一エンコーダ信号Aの立上りエッジに合わせて、4等分し、第1区間から第4区間を定義している。具体的には、各区間の設定条件レコードを、次のように作成する。
手順1:ローラ対回転周期内において一度のみ現れるエッジ種類及びエッジ間隔の組合せであって、該当区間内に現れるエッジ種類及びエッジ間隔の組合せの一つを選択する。
手順2:選択したエッジ間隔についてのエッジ種類及びエッジ間隔を記述したエッジパターンデータを作成すると共に、このエッジ間隔に対応する絶対位置データを作成し、絶対位置データ及びエッジパターンデータを組み合わせて、該当区間の設定条件レコードを作成する。尚、エッジパターンデータに記述するエッジ間隔は、上記規定速度VPで搬送ローラ201及び排紙ローラ211が回転した場合のエッジ間隔(時間間隔)である。
本実施例では、このようにして各区間の設定条件レコードを作成し、これら各区間の設定条件レコードをまとめて条件テーブル777aを作成する。そして、この条件テーブル777aを、主設定部777に搭載する。
例えば、図5に示す例によれば、第1区間に対してエッジ間隔D2に対応するエッジパターンデータを格納した設定条件レコードを作成し、第2区間に対してエッジ間隔D11に対応するエッジパターンデータを格納した第2の設定条件レコードを作成し、第3区間に対してエッジ間隔D17に対応するエッジパターンデータを格納した第3の設定条件レコードを作成し、第4区間に対してエッジ間隔D26に対応するエッジパターンデータを格納した第4の設定条件レコードを作成する。エッジ間隔D13,D28については、ローラ対回転周期の間に、同じエッジ種類及びエッジ間隔の組合せが2度生じるので、エッジパターンデータに記述するエッジ間隔にはなりえない。
主設定部777は、画像形成装置1の電源が投入されると、図7に示す処理を開始し、条件テーブル777aに基づいて、上述の絶対座標系の設定動作を行う。具体的に、図7に示す処理を開始すると、主設定部777は、定速駆動制御部771に対して定速区間の速度VCを設定し(S110)、定速駆動制御部771に、搬送ローラ201を速度VCで定速回転させる(S120)。尚、搬送ローラ201を速度VCで定速回転させると排紙ローラ211についても基本的に同速度VCで定速回転する。
また、搬送ローラ201が定速回転した状態になると、主設定部777は、データメモリ775cに、新規計測データが記録されるまで待機し(S130)、新規計測データが記録されると(S130でYes)、この新規計測データに基づき、条件テーブル777aに登録された設定条件のいずれかが満足されたか否かを判断する(S140)。
S140では、条件テーブル777aに登録された設定条件レコードを順に参照し、参照対象の設定条件レコードのエッジパターンデータが示すエッジ種類及びエッジ間隔と新規計測データが示すエッジ種類及びエッジ間隔とが一致している否かを判断する。この一致判断にて肯定判断すると、主設定部777は、参照対象の設定条件レコードに基づく絶対座標系の設定条件が満足されたと判断し(S140でYes)、S150に移行する。
一方、上記一致判断にて否定判断すると、主設定部777は、次の設定条件レコードを参照し、同様の一致判断を行う。このような設定条件レコード毎の上記一致判断により、いずれかの設定条件レコードに基づく絶対座標系の設定条件が満足されている場合には(S140でYes)、S150に移行する。これに対し、全ての設定条件レコードに基づく一致判断に関して否定判断すると、いずれの設定条件も満足されていないと判断し(S140でNo)、S130に移行する。そして、新規計測データがデータメモリ775cに書き込まれた後、S140以降の処理を再度行う。
この処理(S130〜S140)を経て、S150に移行すると、主設定部777は、設定条件が満足されたと判断された設定条件レコードの絶対位置データが示す絶対位置XBu,XBdと、新規計測データが示す計測地点の回転位置XMu,XMdとに基づき、第一信号処理部71で検出される回転位置(検出位置Xu)の座標系と絶対座標系との誤差δu、及び、第二信号処理部72で検出される回転位置(検出位置Xd)の座標系と絶対座標系との誤差δdを算出する。その後、主設定部777は、S160に移行し、上記誤差δu分、第一信号処理部71が保持する検出位置Xuを補正して、検出位置Xuの座標系を絶対座標系に調整(設定)する。同様に、誤差δd分、第二信号処理部72が保持する検出位置Xdを補正して、検出位置Xdの座標系を絶対座標系に調整する。その後、主設定部777は、休止し、絶対座標系の設定動作を完了する。
ここで、誤差δu,δdに基づく座標系の調整方法について詳述する。本実施例では、搬送ローラ201がR1周し排紙ローラ211がR2周すると、搬送ローラ201及び排紙ローラ211の位置関係が元に戻る。このため、絶対位置としては、この1周期における搬送ローラ201及び排紙ローラ211の絶対位置がわかればよい。従って、絶対位置データには、絶対位置XBu,XBdを値0〜値Xeの範囲で記述する。ここで、値Xeは、上述したように、搬送ローラ201がR1周し排紙ローラ211がR2周した際の検出位置Xu,Xdの増分Xeである。そして、本実施例では、計測地点の回転位置XMuを値Xeで割り算して得られる余りQuと絶対位置XBuとを用いて誤差δu=Qu−XBuを算出し、第一信号処理部71が保持する検出位置Xuをδu減算した値に更新する。また、計測地点の回転位置XMdを値Xeで割り算して得られる余りQdと絶対位置XBdとの誤差δd=Qd−XBdを算出し、第二信号処理部72が保持する検出位置Xdをδd減算した値に更新する。これにより検出位置Xu,Xdの座標系は、絶対座標系に調整される。
以上、本実施例の画像形成装置1について説明したが、本実施例によれば、第一のエンコーダ205及び第二のエンコーダ215を装置に組み込む際、従来技術のように精度よくスリットを合わせる作業を省くことができ、検出位置Xu,Xdを簡単に絶対位置化することができる。
<第一変形例>
以上には、エッジパターンデータに単一のエッジ間隔を記述する例を説明したが、エッジパターンデータは、エッジ間隔及びこのエッジ間隔の種類(エッジ種類)を記述したデータ(以下、パターン定義データという。)の複数からなるデータとして構成されてもよい(図8参照)。エッジ間隔が計測される順に、対応するエッジ間隔及びエッジ種類を記述したパターン定義データを配列することにより、エッジパターンデータを、エッジ間隔の時系列パターンを記したデータとするのである。但し、エッジパターンデータは、単一のパターン定義データからなる構成とすることを妨げない。パターン定義データが一つのみである場合のエッジパターンデータの構成は、上記実施例に説明したエッジパターンデータの構成と一致する。
以下には、第一変形例として、図8に示すように、エッジパターンデータがパターン定義データの一つ又は複数(具体的には2つ)から構成される場合の条件テーブル777bの構成及び主設定部777の処理動作を説明する。
エッジパターンデータが上記パターン定義データの複数からなる設定条件レコードは、パターン定義データの配列順に、このパターン定義データに対応するエッジ種類のエッジ間隔Dが計測されたことを条件に、絶対座標系の設定を行うためのレコードである。この設定条件レコードには、絶対座標系の設定のために、上記エッジパターンデータとして、ローラ対回転周期内で一度のみ現れるエッジ間隔の時系列パターンを構成する各エッジ間隔についての上記パターン定義データが格納される。本変形例では、このような特異なパターンをエッジパターンデータに記述し、このパターンを検知して、絶対座標系の設定動作を行う。
また、この設定条件レコードには、上記絶対位置データとして、同レコードのエッジパターンデータに示されるエッジ間隔の内、時系列において最後に計測されるエッジ間隔の当該計測地点での搬送ローラ201の絶対位置XBu及び排紙ローラ211の絶対位置XBdが記述される。本変形例では、この設定条件レコードの上記エッジパターンデータが有する配列末尾のパターン定義データに対応するエッジ種類のエッジ間隔Dが計測された地点の回転位置XMu,XMdと絶対位置データが示す絶対位置XBu,XBdとの誤差δu,δvに基づき絶対座標系の設定を行う。
尚、本変形例においても、設定条件レコードについては、上述した区間毎に設けることができるが、各設定条件レコードに、複数のパターン定義データからなるエッジパターンデータ、及び、一つのパターン定義データからなるエッジパターンデータのいずれを格納するかについては、単一のエッジ間隔によって計測データと設定条件レコードとの一致判断をした際の誤判断率を考慮して、区間毎に、条件テーブル777bの作成者が決定することができる。複数のパターン定義データからなるエッジパターンデータを設定条件レコードに格納する場合には、ローラ対回転周期内で一度のみ現れる特異なエッジ間隔の時系列パターンの内、該当区間内で現れるエッジ間隔の時系列パターンに対応するパターン定義データを配列したエッジパターンデータを、設定条件レコードに格納する。一方、単一のパターン定義データからなるエッジパターンデータを格納した設定条件レコードについては、上記実施例と同手法により作成することができる。
このような構成の設定条件レコードを有する主設定部777は、図7のS140において、次のような処理を行う。即ち、S140では、条件テーブル777bに登録された設定条件レコードを順に参照し、参照対象の設定条件レコードが、複数の上記パターン定義データを有するものである場合には、参照対象の設定条件レコードのエッジパターンデータにおいて配列順が最後のパターン定義データが示すエッジ種類及びエッジ間隔と、新規計測データが示すエッジ種類及びエッジ間隔とを比較し、これらが一致している否かを判断する。そして、この一致判断が肯定判断である場合には、エッジパターンデータにおいて配列順が一つ前のパターン定義データが示すエッジ種類及びエッジ間隔と、新規計測データよりも時間的に一つ前の計測データが示すエッジ種類及びエッジ間隔とを比較し、これらが一致しているか否かを判断する。本実施例では、このようにして、パターン定義データ毎に、計測データとパターン定義データとの一致判断を行い、エッジパターンデータに記された全てのパターン定義データについて、肯定判断すると、参照対象の設定条件レコードに基づく絶対座標系の設定条件が満足されたと判断する。
一方、エッジパターンデータに記されたパターン定義データの一つについて否定判断すると、参照対象の設定条件レコードに基づく絶対座標系の設定条件が満足されていないと判断する。このようにして主設定部777は、条件テーブル777bに登録された設定条件レコードのいずれかに対応する設定条件が満足されたか否かを判断する。
第一変形例では、このように設定条件が満足されたか否かを判断するので、高精度に設定条件が満足されたか否かの判断を行うことができる。また、複数のパターン定義データからなるエッジパターンデータを作成する場合には、図5に示す例におけるエッジ間隔D13,D28のように、単独では特異性を示さないエッジ間隔D13,D38についてもパターン定義データに記述することができる。
<第二変形例>
以上には、区間毎に設定条件レコードを格納した条件テーブル777a,777bを主設定部777に搭載する例について説明したが、主設定部777には、図9に示す条件テーブル777cを搭載してもよい。
第二変形例の主設定部777は、図9に示す条件テーブル777cを備える。条件テーブル777cは、上記実施例で採用された区間毎の設定条件レコードに代えて、ローラ対回転周期内にて計測されるエッジ間隔毎の設定条件レコードを備える。即ち、条件テーブル777cは、区間単位の設定条件レコードではなく、エッジ間隔単位の設定条件レコードが登録された構成にされる。具体的に、この条件テーブル777cは、エッジ間隔単位の設定条件レコードが、計測されるエッジ間隔の順に時系列に配列された構成にされる。
この条件テーブル777cに登録される設定条件レコードは、エッジ間隔、このエッジ間隔の種類(エッジ種類)、及び、このエッジ間隔が計測される地点の絶対位置XBu,XBdの情報と共に、条件タイプ情報を有する。条件タイプ情報は、この設定条件レコードに基づく絶対座標系の設定動作を行ってもよいか否かの判断(換言すれば、設定条件レコードに対応する設定条件が満足されたか否かの判断)の手法を、「タイプ1」及び「タイプ2」のいずれかで指定する情報である。
具体的に、条件タイプ情報が「タイプ1」を示す設定条件レコードは、この設定条件レコード単独で、設定条件が満足されたか否かの判断をしてもよいことを示すレコードである。即ち、条件タイプ情報が「タイプ1」である設定条件レコードは、この設定条件レコードに記されるエッジ種類のエッジ間隔Dが計測されたことを条件に、その計測地点の回転位置XMu,XMdと、この設定条件レコードが示す絶対位置XBu,XBdとに基づいて、絶対座標系の設定動作を実行してもよいことを示す。
一方、条件タイプ情報が「タイプ2」を示す設定条件レコードは、この設定条件レコードによって示されるエッジ間隔及び配列順が一つ前の設定条件レコードによって示されるエッジ間隔の時系列パターンと、計測されたエッジ間隔の時系列パターンとが一致したことを条件に、その計測地点の回転位置XMu,XMdと、この設定条件レコードが示す絶対位置XBu,XBdとに基づく絶対座標系の設定動作を実行してもよいことを示す。上述したように条件テーブル777cは、設定条件レコードが、計測されるエッジ間隔の時系列で配列された構成にされるので、「配列順が一つ前の設定条件レコード」は、時間的に一つ前に計測されるエッジ間隔について記述した設定条件レコードとなる。
各エッジ間隔に対応する設定条件レコードを「タイプ1」とするか「タイプ2」とするかは、上記実施例に説明した手法に従って、条件テーブル777cの作成段階で定めることができる。即ち、エッジ間隔及びエッジ種類の組合せが、ローラ対回転周期内で唯一の組合せであり、この組合せで絶対座標系を設定しても誤設定が生じない場合には、このエッジ間隔に対応する設定条件レコードを「タイプ1」とする。一方、これに該当しないエッジ間隔の設定条件レコードについては「タイプ2」とする。本変形例によれば、二つのエッジ間隔により定められる時系列パターンに関しては、ローラ対回転周期内のいずれの時系列パターンについても、そのパターンがローラ対回転周期内で一度のみ発生するものとなる。従って、このように条件テーブル777cを構成すれば、原理上では絶対座標系の誤設定は発生しない。
一方、上記構成の条件テーブル777cを有する主設定部777は、図7のS140において、次のような処理を実行する。即ち、S140では、条件テーブル777cに登録された設定条件レコードを順に参照し、参照対象の設定条件レコードの条件タイプ情報が「タイプ1」を示す場合には、この参照対象の設定条件レコードが示すエッジ種類及びエッジ間隔と、新規計測データが示すエッジ種類及びエッジ間隔とを比較し、これらが一致している否かを判断する。そして、この一致判断にて肯定判断すると、この設定条件レコードに基づく絶対座標系の設定条件が満足されたと判断して(S140でYes)、S150に移行する。
一方、参照対象の設定条件レコードの条件タイプ情報が「タイプ2」を示す場合には、参照対象の設定条件レコードが示すエッジ種類及びエッジ間隔と、新規計測データが示すエッジ種類及びエッジ間隔とを比較し、これらが一致している否かを判断する。そして、この一致判断が肯定判断であると、更に、この参照対象の設定条件レコードよりも配列順が一つ前の設定条件データが示すエッジ種類及びエッジ間隔と、新規計測データよりも時間的に一つ前の計測データが示すエッジ種類及びエッジ間隔とを比較し、これらが一致しているか否かを判断する。そして、この一致判断が肯定判断であると、上記参照対象の設定条件レコード(上記配列順が一つ前の設定条件レコードではない。)に基づく絶対座標系の設定条件が満足されたと判断して(S140でYes)、S150に移行する。一方、一致判断が否定判断である場合や、一致判断にて用いられるべき計測データ(特に新規計測データよりも時間的に一つ前の計測データ)が存在しない場合には、参照対象の設定条件レコードに基づく絶対座標系の設定条件が満足されていないと判断し、参照対象の設定条件レコードを次のものに切り替えて同様の判断を行う。そして、条件テーブル777cに登録された全ての設定条件データに対応する設定条件が満足しないと判断した場合には(S140でNo)、S130に移行する。
以上、第二変形例について説明したが、第二変形例によれば、条件テーブル777cの容量が大きくなるものの、より迅速に、絶対座標系の設定動作を完了することができる。<用語間の対応関係>
以上に、変形例を含む本発明の実施例について説明したが、用語間の対応関係は、次の通りである。本実施例の搬送ローラ201及び排紙ローラ211は、第一及び第二のローラの一例に対応し、LFモータM2は、駆動手段の一例に対応し、第一信号処理部71及び第二信号処理部72は、位置検出手段の一例に対応し、速度検出部773は、速度検出手段の一例に対応し、主駆動制御部75及び定速駆動制御部771は、制御手段の一例に対応する。
また、条件テーブル777a,b,cが格納される主設定部777のメモリは、記憶手段の一例に対応し、信号状態記録部775は、間隔計測手段の一例に対応し、主設定部777は、設定手段の一例に対応する。
<最後に>
本発明は、上記実施例(変形例を含む。)に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例では、搬送ローラ201を定速回転させている期間の計測データに基づき、絶対座標系の設定動作を行うようにしたが、搬送ローラ201が加速回転している期間等、定速回転ではない期間の計測データに基づき、絶対座標系の設定動作を行うようにしてもよい。
また、上記第一変形例では、パターン定義データを2つまでとしたが、3つ以上とされても構わない。図5に示す例では、ローラ対回転周期内のパルスが高々7,8個であるが、この例は説明を簡単にするためのものであり、実際の装置環境では、ローラ対回転周期内において、上記の例よりも大幅に多いパルスが生じる。よって、パターン定義データを3つ以上とすることについても何ら問題ない。また、ローラ対回転周期を分割して区間を定義する場合においても、上記実施例ではローラ対回転周期を4分割して区間を定義したが、これより大きい分割数でローラ対回転周期を分割して区間を定義しても構わない(勿論、少なく分割数で区間を定義しても構わない。)。また、エッジ種類の定義の仕方についても上記実施例に限定されない。例えば、始点側パルスエッジの種類のみ又は終点側パルスエッジの種類のみでエッジ種類を定義してもよい。また、設定条件データは、エッジ種類G1〜G9の内の一部の種類のみで作成することも可能である。例えば、エッジ種類G2,G7のみやエッジ種類G4,G9のみで作成することも可能である。この他、本発明は、画像形成装置に限らず、種々の装置に適用することが可能である。