以下、実施形態を図面を用いて説明する。図中の二重の四角印は、外部端子を示している。外部端子は、例えば、半導体チップ上のパッド、あるいは半導体チップが収納されるパッケージのリードである。外部端子を介して供給される信号には、端子名と同じ符号を使用する。
図1は、一実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。例えば、半導体メモリMEMは、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリである。半導体メモリMEMは、メモリセルMC、プリチャージトランジスタPT、センスアンプSAおよびタイミング生成部TGENを有している。メモリセルMCは、フローティングゲートFGとコントロールゲートCGを含むリアルセルトランジスタCTを有している。コントロールゲートCGは、ワード線WLに接続されている。例えば、リアルセルトランジスタCTのドレインはビット線BLに接続され、リアルセルトランジスタCTのソースはソース線SLに接続されている。
なお、図2に示すように、半導体メモリMEMはメモリセルアレイ32を有していてもよい。このとき、センスアンプSAは、複数のビット線BLに対応してそれぞれ形成される。ビット線が階層構造を有するとき、センスアンプSAは、所定数のビット線BLに対応して形成されるグローバルビット線毎に形成されてもよい。
プリチャージトランジスタPTは、例えば、pMOSトランジスタであり、ゲートで低 レベルのプリチャージ信号PREXを受けているときにオンし、ビット線BLに電源電圧VDDより低いプリチャージ電圧VPRを供給する。例えば、電源電圧VDDは1.2Vであり、プリチャージ電圧VPRは、0.9Vである。センスアンプSAは、読み出し動作において、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化に応答して動作し、ビット線BLの電圧に応じてメモリセルMCに保持されている論理を判定する。センスアンプSAは、判定した論理を示すデータ信号DTを出力する。
タイミング生成部TGENは、直列に接続されたCMOSインバータIV1、IV2と、CMOSインバータIV1の出力ノードN01および接地線VSSの間に接続された容量C1とを有している。CMOSインバータIV1の入力は、読み出し動作時に高レベルに活性化される動作イネーブル信号RDENを受けている。CMOSインバータIV1は、pMOSトランジスタPMとnMOSトランジスタNMの間に配置されたレプリカセルトランジスタRCTを有している。すなわち、pMOSトランジスタPMのドレインは、レプリカセルトランジスタRCTを介してnMOSトランジスタNMのドレインに接続されている。nMOSトランジスタNMは、動作イネーブル信号RDENが高レベルに活性化されているときに、レプリカセルトランジスタRCTのソースを接地線VSSに接続するスイッチトランジスタとして動作する。CMOSインバータIV2は、出力ノードN01の高レベルから低レベルへの変化に応答して、電源電圧VDDと等しい高レベルを有するセンスアンプイネーブル信号SAEを生成するバッファ回路として動作する。
レプリカセルトランジスタRCTは、コントロールゲートとフローティングゲートとが互いに接続されている。レプリカセルトランジスタRCTの構造の例は図10に示す。レプリカセルトランジスタRCTは、コントロールゲートで受ける制御電圧VSAに応じてソース、ドレイン間抵抗が変化する高抵抗として機能する。制御電圧VSAは、定電圧であり、半導体メモリMEMの動作に拘わりなくレプリカセルトランジスタRCTのコントロールゲートCGに供給される。容量C1は、ビット線BLの負荷容量に対応する容量値を有している。
この実施形態では、読み出し動作において、ワード線WLが高レベルに活性化され、プリチャージ信号PREXが高レベルに非活性化される。プリチャージ信号PREXの非活性化により、ビット線BLのプリチャージ動作は停止する。リアルセルトランジスタCTの閾値電圧が低いとき(例えば、論理1を保持)、ワード線WLの活性化に応答して、リアルセルトランジスタCTを介してビット線BLからソース線SLにセル電流が流れ、ビット線BLの電圧は徐々に下がる。リアルセルトランジスタCTの閾値電圧が高いとき(例えば、論理0を保持)、セル電流は流れず、ビット線BLの電圧はプリチャージされた電圧を維持する。
一方、動作イネーブル信号RDENは、ワード線WLの活性化タイミングまたはプリチャージ信号PREXの非活性化タイミングのうち遅いタイミングに合わせて高レベルに活性化される。動作イネーブル信号RDENの活性化により、pMOSトランジスタPMによるノードN01のプリチャージ動作が停止し、nMOSトランジスタNMはオンする。nMOSトランジスタNMのオンにより、ノードN01は、レプリカセルトランジスタRCTを介して接地線VSSに接続され、ノードN01の電圧は徐々に下がる。この際、制御電圧VSAは、コントロールゲートCGだけでなくフローティングゲートFGにも供給されている。このため、レプリカセルトランジスタRCTの動作を、通常のトランジスタと同等の精度で制御できる。反対に、フローティングゲートFGが介在するとき、フローティングゲートFGは容量して作用するため、コントロールゲートCGの電圧によりチャネル領域の状態を制御することは難しい。
さらに、ノードN01の負荷容量をビット線BLの負荷容量に合わせているため、ノードN01の低下速度をビット線BLの低下速度に合わせることができる。また、ノードN01のプリチャージ電圧を電源電圧VDDにしているため、インバータIV2に電源電圧VDDを供給でき、レベルシフタ等を介在させることなくセンスアンプイネーブル信号SAEを生成できる。一方、ノードN01をビット線BLと同じプリチャージ電圧VPRに設定するとき、インバータIV2の電源リークを防止するために、電源電圧VDDの代わりにプリチャージ電圧VPRを供給する必要がある。この結果、センスアンプイネーブル信号SAEの高レベルをプリチャージ電圧VPRから電源電圧VDDに変換するためのレベルシフタが必要になり、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングのばらつきを抑えることが困難になる。以上より、本実施形態では、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを高い精度で制御できる。
タイミング生成部TGENは、ノードND01が高レベルから低レベルに変化するときに、センスアンプイネーブル信号SAEを高レベルに活性化する。センスアンプSAは、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化に応答して動作し、ビット線BL上に現れた論理レベルを反転し、データ線DTに出力する。そして、読み出し動作が完了する。なお、半導体メモリMEMは、書き込み動作時のプログラムベリファイ動作および消去動作時の消去ベリファイ動作において、上述した読み出し動作と同じ動作を実施する。すなわち、プログラムベリファイ動作および消去ベリファイ動作は、読み出し動作の一種である。
以上、この実施形態では、半導体メモリMEMの製造条件の変動に拘わりなく、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを常に最適に生成できる。特に、レプリカセルトランジスタRCTのフローティングゲートFGをコントロールゲートCGとショートすることで、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを高い精度で制御できる。この結果、半導体メモリMEMの読み出しマージンを向上できる。
図2は、別の実施形態における半導体メモリMEMの例を示している。例えば、半導体メモリMEMは、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリである。半導体メモリMEMは、コマンド生成回路10、テストモード制御回路12、データ入出力回路14、内部電圧生成回路16、CAMアクセス制御回路18、CAM(Content Addressable Memory)、動作制御回路22、内部アドレス生成回路24、アドレス選択回路26、メモリコア28およびバス制御回路30を有している。
コマンド生成回路10は、クロック信号CLKに同期して、チップイネーブル信号CEX、ライトイネーブル信号WEXおよびデータ信号DIN00−15等をコマンド信号として受ける。なお、半導体メモリMEMは、クロック信号CLKに非同期で動作してもよい。コマンド信号が読み出しコマンドを示すとき、コマンド生成回路10は、読み出し動作を実行するために読み出し制御信号RDを出力する。コマンド信号が書き込みコマンドを示すとき、コマンド生成回路10は、書き込み動作を実行するためにプログラム制御信号PGMを出力する。コマンド信号が消去コマンドを示すとき、コマンド生成回路10は、消去動作を実行するために消去制御信号ERSを出力する。コマンド信号がテストコマンドを示すとき、コマンド生成回路10はテストモード信号TMを出力する。
テストモード制御回路12は、テストコマンドとともに供給されるアドレス信号FA(FA00−FA20)に応じて、半導体メモリMEMの内部状態(初期値)を設定するために複数のテスト制御信号TCNTを出力する。例えば、テスト制御信号TCNTにより、CAMに保持される値が変更され、内部電圧生成回路16により生成される内部電圧の値が変更される。
データ入出力回路14は、書き込み動作時にデータ入力端子DIN(DIN00−DIN15)を介して書き込みデータを受け、受けたデータを入力データ線DTINに出力する。データ入出力回路14は、読み出し動作時に出力データ線DTOUTを介してメモリコア28からの読み出しデータを受け、受けたデータをデータ出力端子DO(DO00−DO15)に出力する。なお、データ入力端子DINおよびデータ出力端子DOは、16ビットに限定されない。また、データ入力端子DINとデータ出力端子DOのビット数が相違してもよい。例えば、データ出力端子DOのビット数をデータ入力端子DINのビット数の4倍にしてもよい。
内部電圧生成回路16は、電源電圧VDDおよび接地電圧VSSに基づいて内部電圧HV1、HV2、HV3、VPR、NV等を生成する。内部電圧HV1、HV2、HV3は、電源電圧VDDより高く、それらの値はHV1>HV2>HV3である。内部電圧VPRは電源電圧VDDより低い正の値であり、内部電圧VNは負電圧である。以降の説明では、内部電圧HV1、HV2、HV3およびVPRを、それぞれ高電圧HV1、HV2、HV3およびプリチャージ電圧VPRとも称する。例えば、高電圧HV1は、書き込み動作時にワード線WL(図4および図11等に示す)の高レベル電圧(プログラム電圧)に使用される。高電圧HV2は、読み出し動作時に、ワード線WLの高レベル電圧(読み出し電圧)に使用される。高電圧HV3は、書き込み動作中の書き込みベリファイ動作時および消去動作中の消去ベリファイ動作時に、ワード線WLの高レベル電圧(ベリファイ電圧)に使用される。プリチャージ電圧VPRは、図11に示すローカルビット線BLおよびグローバルビット線GBLをプリチャージするために使用される。負電圧NVは、消去動作時にワード線WLの低レベル電圧(消去電圧)に使用される。
また、内部電圧生成回路16は、タイミング生成部TGENに供給する制御電圧VSAEV、VSARDを生成するモニタ電圧生成部MVGENを有している。制御電圧VSAEV、VSARDは、図11に示すセンスアンプSAの動作タイミングを決めるために使用される。モニタ電圧生成部MVGENの例は図3に示す。内部電圧生成回路16により生成される制御電圧VSAEV、VSARDの値は、テスト制御信号TCNT(トリミング信号)またはCAMから読み出される設定情報SINFに応じて変更可能である。なお、電源電圧VDDは、半導体メモリMEMの他の回路にも供給される。電源電圧VDDがチップ温度等により変動することが想定されるとき、電源電圧VDDの変動に追従しない一定の電源電圧を、電源電圧VDDを用いて内部電圧生成回路16により生成してもよい。
CAMアクセス制御回路18は、制御電圧VSAEV、VSARDの値を設定するための設定情報SINFをCAMに書き込むために、テスト制御信号TCNTに応じて、CAM書き込みコマンドをCAMに出力する。CAMは、図4に示すメモリセルアレイ32と同様に、フローティングゲートを有する複数の不揮発性のメモリセルを有しており、設定情報SINFを記憶する。CAMは、コマンド生成回路10からの読み出し要求に応答して、メモリセルに記憶している設定情報SINFを内部電圧生成回路16に出力する。内部電圧生成回路16は、CAMからの設定情報SINFをラッチし、設定情報SINFに応じた制御電圧VSAEV、VSARDを生成する。
この実施形態では、半導体メモリMEMの製造工程において、テスト制御信号TCNTが内部電圧生成回路16に供給され、半導体メモリMEMのテストが制御電圧VSAEV、VSARDの値を変更しながら実施される。そして、最適な制御電圧VSAEV、VSARDの値が判明する。最適な制御電圧VSAEV、VSARDの値を示す設定情報SINFは、テスト制御信号TCNTとしてCAMアクセス制御回路18に供給され、CAMに書き込まれる。この際、アドレス端子FAから供給されるアドレスは、設定情報SINFを書き込む位置を示す。CAMへの設定情報SINFの書き込みにより、モニタ電圧生成部MVGENは、各半導体メモリチップMEMの動作マージンを大きくするために、半導体メモリチップMEM毎に最適な制御電圧VSAEV、VSARDを生成する。そして、半導体メモリMEMは出荷される。
この後、システムSYS(図16)等に搭載された半導体メモリMEMは、システムSYSのパワーオンシーケンス中に初期設定コマンドを受ける。コマンド生成回路10は、初期設定コマンドに応答してCAMに読み出し要求を出力する。そして、CAMに保持されている設定情報SINFに基づいて、制御電圧VSAEV、VSARDは最適な値に設定される。
動作制御回路22は、コマンド生成回路10からの読み出し制御信号RD、プログラム制御信号PGMおよび消去制御信号ERSに応じてメモリコア28を動作させるための複数の動作制御信号(タイミング信号)を出力する。動作制御回路22は、タイミング生成部TGENを有している。タイミング生成部TGENは、読み出し動作時に、制御電圧VSARDを用いてセンスアンプSA(図11)の活性化タイミングを生成する。また、タイミング生成部TGENは、書き込み動作中のプログラムベリファイ動作時および消去動作中の消去ベリファイ動作時に、制御電圧VSAEVを用いてセンスアンプSAの活性化タイミングを生成する。タイミング生成部TGENの例は図3に示す。
内部アドレス生成回路24は、消去動作中の消去ベリファイ動作時に、複数のグローバルビット線GBLを選択するための内部アドレス信号IA(コラムアドレス信号)を順次に生成する。アドレス選択回路26は、アドレス端子(FA00−FA20)を介して供給されるアドレス信号または内部アドレス信号IAを、ロウアドレス信号RAおよびコラムアドレス信号CAとして出力する。ロウアドレス信号RAは、セクタSECの選択および選択されたセクタSEC内のワード線WLの選択に使用される。コラムアドレス信号CAは、選択されたセクタSEC内のビット線BL(図4および図11等)の選択に使用される。なお、この例では、21ビットのアドレス信号FA00−20が半導体メモリMEMに供給されるが、アドレス信号FAのビット数は21ビットに限定されない。
メモリコア28は、メモリセルアレイ32、X制御回路34、Y制御回路36、レプリカ部REP、リードアンプRAおよびライトアンプWAを有している。メモリセルアレイ32は、複数のセクタSEC(例えば、16個)を有している。各セクタSECは、セクタアドレスが異なることを除き同じ構成である。セクタSECの例は、図4および図11に示す。レプリカ部REPは、メモリセルアレイ32内に形成されるメモリセルのリアルセルトランジスタと同じ素子構造を有するレプリカセルトランジスタRCT(図10)を有している。図2では、レプリカ部REPは、メモリセルアレイ32に隣接して形成されているが、メモリセルアレイ32から離れた位置に形成されてもよい。レプリカ部REPの例は、図8−図10に示す。
X制御回路34は、動作制御回路22からの動作制御信号およびロウアドレス信号RAを受け、図4および図11に示すワード線WLおよびソース線SLを所定の電圧に設定する。X制御回路34により生成される信号の例は、図11に示す。Y制御回路46は、動作制御回路22からの動作制御信号およびコラムアドレス信号CAを受け、図4および図11に示すビット線BLを選択するための選択信号SECYを生成するデコーダYDECを有している。また、Y制御回路46は、コラムアドレス信号CAが示すグローバルビット線GBLをリードアンプRAに接続する読み出しコラムスイッチRCSW(図11)を有している。さらに、Y制御回路46は、コラムアドレス信号CAが示すグローバルビット線GBLをライトアンプWAに接続する書き込みコラムスイッチWCSW(図11)を有している。
リードアンプRAは、読み出し動作時に動作し、グローバルビット線GBLを介して受ける読み出しデータを共通データバスCDBに出力する。ライトアンプWAは、書き込み動作時に動作し、共通データバスCDBを介して受ける書き込みデータをグローバルビット線GBLのいずれかに出力する。バス制御回路30は、読み出し動作時に共通データバスCDBを介して受ける読み出しデータを出力データ線DTOUTに出力する。バス制御回路30は、書き込み動作時に、入力データ線DTINを介して受ける書き込みデータを共通データバスCDBに出力する。
図3は、図2に示したモニタ電圧生成部MVGENおよびタイミング生成部TGENの例を示している。モニタ電圧生成部MVGENは、電圧線HVDDと接地線VSSの間に直列に接続されたpMOSトランジスタPM1および抵抗R1−R4と、pMOSトランジスタPM1のゲートに接続されたコンパレータCMPとを有している。電圧HVDDは、内部電圧生成回路16により生成され、電源電圧VDDより高い。モニタ電圧生成部MVGENは、抵抗R1、R2の接続ノードから、読み出し動作で使用される制御電圧VSARDを生成する。モニタ電圧生成部MVGENは、抵抗R2、R3の接続ノードからプログラムベリファイ動作および消去ベリファイ動作で使用される制御電圧VSAEVを生成する。制御電圧VSAEVは、制御電圧VSARDより低い。例えば、制御電圧VSARD、VSAEVは、半導体メモリMEMに電源電圧VDDが供給されている間で、スリープモード等にエントリーしていない間は、常に生成される。
コンパレータCMPは、抵抗R3、R4の接続ノードND1に生成される分圧電圧VND1と参照電圧VREFとを比較し、pMOSトランジスタPM1のゲートに供給する制御電圧を生成する。例えば、参照電圧VREFは、図2に示した内部電圧生成回路16により生成される。コンパレータCMPは、分圧電圧VND1が参照電圧VREFより低いとき制御電圧を下げる。これにより、pMOSトランジスタPM1のソース、ドレイン間抵抗は下がり、電圧VND1は上がる。コンパレータCMPは、電圧VND1が参照電圧VREFより高いとき制御電圧を上げる。これにより、pMOSトランジスタPM1のソース、ドレイン間抵抗は上がり、電圧VND1は下がる。以上の動作により、制御電圧VSARD、VSAEVは、それぞれ一定の値に保持される。
なお、上述したように、制御電圧VSARD、VSAEVはトリミング可能である。このため、実際の回路では、抵抗R1は、直列に接続された多数のサブ抵抗を含み、設定情報SINFに応じて選択された1つのサブ抵抗対の接続ノードから制御電圧VSARDが生成される。同様に、抵抗R3は、直列に接続された多数のサブ抵抗を含み、設定情報SINFに応じて選択された1つのサブ抵抗対の接続ノードから制御電圧VSAEVが生成される。
タイミング生成部TGENは、読み出し動作時に使用される第1生成部TGEN1と、プログラムベリファイ動作時および消去ベリファイ動作時に使用される第2生成部TGEN2と、OR回路とを有している。タイミング生成部TGENは、電源電圧VDDを受けて動作する。第1生成部TGEN1および第2生成部TGEN2は、互いに同じ回路であるため、主に第1生成部TGEN1について説明する。
第1生成部TGEN1は、直列に接続されたCMOSインバータIV1(R)、IV2(R)と、CMOSインバータIV1(R)の出力ノードN01(R)および接地線VSSの間に接続された容量C1(R)とを有している。CMOSインバータIV1(R)の入力は、読み出し動作時に高レベルに活性化される動作イネーブル信号RDENを受けている。動作イネーブル信号RDENは、図2に示した動作制御回路22により生成される。CMOSインバータIV1(R)において、pMOSトランジスタPM2のドレインは、レプリカセルトランジスタRCT(R)を介してnMOSトランジスタNM2のドレインに接続されている。レプリカセルトランジスタRCT(R)は、コントロールゲートとフローティングゲートとが互いに接続されており、図2に示したレプリカ部REPに形成されている。レプリカセルトランジスタRCT(R)の構造の例は図10に示す。レプリカセルトランジスタRCT(R)は、コントロールゲートで受ける制御電圧VSARDに応じてソース、ドレイン間抵抗が変化する高抵抗として機能する。
第1生成部TGEN1は、動作イネーブル信号RDENが低レベルに非活性化されている期間に、pMOSトランジスタPM2を介して容量C1(R)を充電する。また、第1生成部TGEN1は、動作イネーブル信号RDENの高レベルへの変化に応答して、レプリカセルトランジスタRCT(R)およびnMOSトランジスタNM2を介して容量C1(R)を放電する。そして、第1生成部TGEN1は、出力ノードN01(R)が放電により低レベルに変化したときに、出力信号OUT(R)を高レベルに設定する。すなわち、出力信号OUT(R)は、動作イネーブル信号RDENの高レベルへの変化から所定の遅延時間後に高レベルに変化する。
第2生成部TGEN2は、CMOSインバータIV1の入力でプログラムベリファイ動作時および消去ベリファイ動作時に高レベルに変化する動作イネーブル信号EVENを受けている。動作イネーブル信号EVENは、図2に示した動作制御回路22により生成される。レプリカセルトランジスタRCT(EV)は、コントロールゲートとフローティングゲートとが互いに接続されており、図2に示したレプリカ部REPに形成されている。レプリカセルトランジスタRCT(EV)の構造の例は図10に示す。レプリカセルトランジスタRCT(EV)は、レプリカセルトランジスタRCT(R)と同様に、コントロールゲートで受ける制御電圧VSAEVに応じてソース、ドレイン間抵抗が変化する高抵抗として機能する。
第2生成部TGEN2は、第1生成部TGEN1と同様に、動作イネーブル信号EVENの非活性化中に容量C1(EV)を充電し、動作イネーブル信号EVENの高レベルへの活性化に応答して容量C1(EV)を放電する。そして、第2生成部TGEN2は、動作イネーブル信号EVENの高レベルへの変化から所定の遅延時間後に、出力信号OUT(EV)を高レベルに変化する。OR回路は、出力信号OUT(R)または出力信号OUT(EV)をセンスアンプイネーブル信号SAEとして出力する。
図4は、図2に示したメモリセルアレイ32の例を示している。図4は、メモリセルアレイ32内のセクタSECの一部の領域を示している。メモリセルアレイ32は、マトリックス状に配置されたメモリセルMC(その1つを太い一点鎖線の枠で示す)、図4の横方向に配線されたワード線WLおよびソース線SL、および図4の縦方向に配線されたビット線BLを有している。各メモリセルMCは、フローティングゲートFGとコントロールゲートCGを含むリアルセルトランジスタCTを有している。
各ワード線WLは、図4の横方向に並ぶリアルセルトランジスタCTのコントロールゲートCGに共通に接続されている。以降の説明では、ワード線WLをコントロールゲート線CGとも称する。各ソース線SLは、図4の横方向に並ぶリアルセルトランジスタCTのソース、ドレインの一方に共通に接続されている。各ビット線BLは、図4の縦方向に並ぶリアルセルトランジスタCTのソース、ドレインの他方に共通に接続されている。このように、メモリセルアレイ32は、いわゆるNOR型のフラッシュメモリと同様の構造を有している。
図5は、図4に示したメモリセルアレイ32のレイアウトの例を示している。図5に示した範囲は、図4に示した範囲と同じである。図5において、太い一点鎖線の枠は、1つのメモリセルMCが形成される領域を示している。破線のパターンは、拡散層DLを示している。網掛けのパターンは、メモリセルMCのフローティングゲートFGが形成される第1ポリシリコン配線層P1を示している。二点鎖線のパターンは、ワード線WLおよびメモリセルMCのコントロールゲートCGが形成される第2ポリシリコン配線層P2を示している。細い実線のパターンは、ソース線SL等が形成される第1金属配線層M1を示している。太い実線のパターンは、第1金属配線層M1の上方(半導体基板から遠い側)に形成され、ビット線BL等が形成される第2金属配線層M2を示している。
X印を付けた四角は、配線層間または配線層と拡散層DLの間を接続するコンタクト領域を示している。ソース線SL上のコンタクト領域は、第1金属配線層M1を拡散層DLに接続する。ビット線BL上に形成されソース線SL上から外れたコンタクト領域は、第2金属配線層M2(ビット線BL)を拡散層DLに接続する。なお、図5では、線が重なることを防止し見やすくするために、拡散層DLの幅を第2金属配線層M2の幅より大きくしている。
図6は、図4に示したリアルセルトランジスタCTの構造の例を示している。リアルセルトランジスタCTは、半導体基板SS上に第1絶縁膜INS1、フローティングゲートFG、第2絶縁膜INS2およびコントロールゲートCGを積層して形成されている。半導体基板SSは、p形ウエル領域PWELL(p−)と、p形ウエル領域PWELL(p−)の表面に選択的に形成されたn形拡散層領域DL(n+)を有している。フローティングゲートFGに対向するp形ウエル領域PWELL(p−)は、リアルセルトランジスタCTのチャネル領域として機能する。2つのn形拡散層領域DL(n+)は、リアルセルトランジスタCTのソース領域およびドレイン領域として機能する。
図7は、通常のトランジスタの構造の例を示している。通常のトランジスタは、図3に示したnMOSトランジスタNM2等である。半導体基板SSは、図6と同様である。通常のトランジスタは、絶縁膜INSと、ポリシリコン配線層PLを用いて形成されたゲート配線G1とを半導体基板SS上に積層している。
図8は、図2に示したレプリカ部REPのレイアウトの例を示している。図8は、図3に示したレプリカセルトランジスタRCT(EV)を形成するためのレイアウトを示している。レプリカセルトランジスタRCT(R)を形成するためのレイアウトは、制御電圧VSAEVのパターンの代わりに制御電圧VSARDのパターンが形成されることを除き、図8と同様である。各レイアウトパターンを識別するための線の種類は、図5と同じである。
レプリカ部REPは、図5に示したメモリセルアレイ32と同様のレイアウトを有している。レプリカ部REPとメモリセルアレイ32との違いは、レプリカセルトランジスタRCTを除いてソース線SLにコンタクトが形成されないこと、フローティングゲートFGが図5に示したコントロールゲート線CGと同様に細長いパターンであること、およびレプリカビット線RBLが蛇行していることである。
例えば、レプリカ部REPが形成される半導体基板上に繰り返し配置されるソース領域、ドレイン領域およびチャネル領域のサイズは、メモリセルアレイ32が形成される半導体基板上に繰り返し配置されるソース領域、ドレイン領域およびチャネル領域のサイズとそれぞれ同じである。これにより、半導体メモリMEMの製造条件の変動によりリアルセルトランジスタCTの電気的特性が変化するとき、レプリカセルトランジスタRCTの電気的特性も同様に変化させることができる。また、半導体メモリMEMの温度の変動によりリアルセルトランジスタCTの電気的特性が変化するとき、レプリカセルトランジスタRCTの電気的特性も同様に変化させることができる。
蛇行しているレプリカビット線RBLの負荷容量は、図3に示した容量C1(EV)に対応する。蛇行しているレプリカビット線RBLの配線幅および長さは、各セクタSEC内に配線される1本のビット線BL(図4)の配線幅および長さと同じに設定される。また、蛇行しているレプリカビット線RBLに形成されるコンタクトの間隔は、各セクタSEC内に配線される1本のビット線BLに形成されるコンタクトの間隔と等しい。これにより、蛇行しているレプリカビット線RBLの負荷容量は、各セクタSEC内に配線される1本のビット線BLの負荷容量と同じに設定される。以上より、半導体メモリMEMの製造時に、レプリカビット線RBLとビット線BLとの配線幅等の変動を互いに同じにでき、負荷容量の変動を互いに同じにできる。したがって、レプリカビット線RBLおよびビット線BLの電気的特性を、製造条件の変動に拘わりなくほぼ同じにできる。蛇行しているレプリカビット線RBLに挟まれているビット線BLは、ダミーの対抗電極線として機能する。図8の上側と下側のフローティングゲートFGのパターンは、半導体メモリMEMを製造するときのハレーション等の影響を防ぐために太く形成されている。
なお、レプリカセルトランジスタRCTのフローティングゲートFGは、パターン長が長いため、抵抗および負荷容量が大きい。しかし、レプリカセルトランジスタRCTのフローティングゲートFGに供給される制御電圧VSAEVは、半導体メモリMEMに電源電圧VDDが供給されている間、一定値に維持される。このため、フローティングゲートFGのパターンが長くなることによる遅延時間は考慮する必要がない。
太い一点鎖線の枠で示すレプリカセルトランジスタRCTは、レプリカ部REPのほぼ中央に形成される。レプリカセルトランジスタRCTのフローティングゲートFGは、制御電圧線VSAEVの接続領域CNAまで延びている。フローティングゲートFGは、接続領域CNAでコンタクトを介して制御電圧線VSAEV(第1金属配線層M1)に接続されている。また、制御電圧線VSAEVは、コンタクトを介してコントロールゲート線CG(第2ポリシリコン層P2)に接続されている。すなわち、レプリカセルトランジスタRCTのフローティングゲートFGとコントロールゲートCGは互いに接続されている。フローティングゲートFGとコントロールゲートCGとをレプリカセルトランジスタRCTから離れた場所で接続することにより、レプリカセルトランジスタRCTの形状をリアルセルトランジスタCTの形状とほぼ同じにできる。この結果、レプリカセルトランジスタRCTの電気的特性をリアルセルトランジスタCTの電気的特性とほぼ同じにできる。
図9は、図8からフローティングゲートFGのパターンを除いたレプリカ部REPのレイアウトの例を示している。図9では、フローティングゲートFGに接続されるコンタクトも削除している。コントロールゲート線CGのパターンは、図5に示したメモリセルアレイ32のワード線WLのパターンと同様に形成されている。
図10は、図3および図8に示したレプリカセルトランジスタRCT(RCT(R)、RCT(EV))の構造の例を示している。レプリカセルトランジスタRCTの構造は、フローティングゲートFGおよび第1絶縁膜INS1がコントロールゲートCGとともに長く形成されることを除き、図6に示したリアルセルトランジスタCTの構造と同じである。これにより、レプリカセルトランジスタRCTのソース、ドレイン間を流れるセル電流の電気的特性を、リアルセルトランジスタCTのソース、ドレイン間に流れるセル電流の電気的特性と同じにできる。例えば、半導体メモリMEMの製造条件の変動により、リアルセルトランジスタCTの閾値電圧が標準値に比べて高くなるとき、レプリカセルトランジスタRCTの閾値電圧も同様に高くなる。
一般に、閾値電圧が高くなると、トランジスタを流れる電流は少なくなる。メモリセルMCに流れるセル電流が少なくなると、セル電流の大きさをセンスアンプSA(図11)で検出するまでの時間を長くする必要がある。この実施形態では、レプリカセルトランジスタRCTに流れるセル電流は、メモリセルMCに流れるセル電流の変化と同様に変化する。したがって、図12および図13で説明するように、センスアンプSAの活性化タイミングを、製造条件の変動によるメモリセルMCのセル電流のばらつきに合わせて、常に最適に設定できる。
図11は、図2に示したメモリセルアレイ32およびY制御回路36に形成されるバッファ回路BUF、読み出しコラムスイッチRCSW、書き込みコラムスイッチWCSWの例を示している。図11では、セクタSEC0内の2つのワード線WL0−WL1および8つのビット線BL0−BL7に接続されたメモリセルMCにアクセスするための回路を示している。選択信号SECY(選択信号SECY0−SECY7)は、図2に示したY制御回路36により生成される。プリチャージ信号PR(PR0−PR1)、PREX、読み出し信号RD(RD0−RD1)、リセット信号RST、センスアンプイネーブル信号SAEおよびワード線信号WLの活性化期間は、図2に示した動作制御回路22により生成されるタイミング信号に応じて設定される。
選択信号SECY0−SECY7をゲートで受けるnMOSトランジスタは、ビット線BL0−BL7のいずれかを選択するための選択スイッチSSWとして動作する。プリチャージ信号PREXをゲートで受けるpMOSトランジスタは、グローバルビット線GBLをプリチャージ電圧VPRにプリチャージするプリチャージ回路として動作する。プリチャージ信号PREXを受けるpMOSトランジスタは、プリチャージ信号PREXが低レベルのときにオンする。なお、プリチャージ信号PREXを受けるプリチャージ回路は、セクタSEC0の外側に配置されてもよい。プリチャージ信号PR0−PR1をゲートで受けるnMOSトランジスタは、グローバルビット線GBLをビット線BL0−BL7に接続し、プリチャージトランジスタまたは書き込みトランジスタとして動作する。nMOSトランジスタがプリチャージトランジスタとして動作するとき、グローバルビット線GBLは、プリチャージ信号PREXを受けるプリチャージ回路を介してプリチャージ電圧VPRにプリチャージされている。nMOSトランジスタが書き込みトランジスタとして動作するとき、グローバルビット線GBLは、ライトアンプWAおよび書き込みコラムスイッチWCSWを介して書き込みデータの論理を示す電圧に設定されている。
読み出し信号RD0−RD1をゲートで受けるnMOSトランジスタは、メモリセルMCに保持されているデータの論理を読み出すときにオンする読み出しスイッチとして動作する。読み出しスイッチは、読み出し動作時、プログラムベリファイ動作時および消去ベリファイ動作時にオンする。リセット信号RSTをゲートで受けるnMOSトランジスタは、半導体メモリMEMがアクセスされないスタンバイ期間に、共通ノードCOMを接地線VSSに接続するリセットスイッチとして動作する。リセットスイッチにより、ビット線BL0−BL7は、スタンバイ期間に低レベル(VSS)にクランプされる。
共通ノードCOMがゲートに接続されているnMOSトランジスタNM3は、メモリセルMCの記憶状態により変化する共通ノードCOMの電圧に応じて、ドレイン電圧を生成するセンスアンプSAとして動作する。すなわち、センスアンプSAは、ビット線BL0−7のいずれかを介してメモリセルMCから共通ノードCOMに読み出されるデータの論理を判定する。センスアンプネーブル信号SAEをゲートで受けるnMOSトランジスタNM4は、センスアンプSAによる増幅結果をグローバルビット線GBLに伝達する。この例では、センスアンプ領域SAAは、2つのメモリセル部MCUの間に配置される。しかし、センスアンプ領域SAAは、セクタSEC0の一端(図11のセクタSEC0の左端または右端)に配置してもよい。
バッファ回路BUFは、読み出しデータ線RDATAとデータ線DTの間に直列に接続されたCMOS伝達ゲートTG、ラッチ回路LTCおよびインバータIV3を有している。ラッチ回路LTCおよびインバータIV3は、電源電圧VDDを受けて動作する。CMOS伝達ゲートTGは、ラッチ信号LTが低レベルのときに、グローバルビット線GBLを読み出しデータ線RDATAに接続する。ラッチ信号LTXは、ラッチ信号LTと逆論理の信号である。ラッチ回路LTCは、ラッチ信号LTが低レベルのときにインバータとして動作し、ラッチ信号LTの立ち上がりエッジに同期してグローバルビット線GBLの電圧に対応する論理レベルをラッチする。インバータIV3は、ラッチ回路LTCの入力に供給され、ラッチ回路LTCに保持されている論理レベルをデータ線DTに出力する。
読み出しコラムスイッチRCSWは、高レベルの読み出しコラム選択信号RYSEL0をゲートで受けているときにオンし、グローバルビット線GBLをバッファ回路BUFの読み出しデータ線RDATAに接続するnMOSトランジスタである。書き込みコラムスイッチWCSWは、高レベルの書き込みコラム選択信号WYSEL0を受けているときにオンし、ライトアンプWAからの書き込みデータWDATAをグローバルビット線GBLに供給するCMOS伝達ゲートを有している。
なお、図11は、1つのグローバルビット線GBLに対応する回路を示している。例えば、メモリセルアレイ32が128本のグローバルビット線GBLを有するとき、図11に示した回路が128個形成される。そして、グローバルビット線GBLは、コラムアドレス信号CAに応じてオンする読み出しコラムスイッチRCSWまたは書き込みコラムスイッチWCSWにより選択される。
図12は、図2に示した半導体メモリMEMの消去ベリファイ動作および読み出し動作(論理1読み出し)の例を示している。消去ベリファイ動作と読み出し動作の波形が異なるとき、読み出し動作の波形は破線で示している。読み出し動作では、データの読み出しを高速に実施するために、ワード線WLの活性化電圧は、消去ベリファイ動作時より高くされる。これにより、リアルセルトランジスタCTに流れる電流は増すことができ、センスアンプイネーブル信号SAEおよびラッチ信号LTの活性化タイミングを早くできる。この結果、読み出しデータをデータ出力端子DOに早く出力でき、アクセス時間を短縮できる。
この例では、図11に示したセクタSEC0のワード線WL0とビット線BL1に接続されたメモリセルMCがアクセスされる。このため、図12の右上に示すように、アクセスされるメモリセルMCに対応する選択信号SECY1は高レベルVDD(例えば、1.2V)に維持される。アクセスされるメモリセルMCに接続されたワード線WL0に接続されていないメモリセルMCに対応する選択信号SECY4−7も高レベルVDDに維持される。なお、選択信号SECY0−7の高論理レベルの電圧は、電源電圧VDDに限定されない。アクセスされるメモリセルMCに関係する読み出し信号RD0は高レベルVDDに維持され、アクセスされるメモリセルMCに関係ないワード線WL1およびプリチャージ信号PR1は低レベルVSSに維持される。なお、読み出し信号RDの高論理レベルの電圧は、電源電圧VDDに限定されない。ソース線SL0−SL1は低レベルVSSに設定される。図11に示した読み出しコラム選択信号RYSEL0は高レベルに設定され、書き込みコラム選択信号WYSEL0は低レベルに設定される。
まず、消去ベリファイ動作または読み出し動作が開始される前のスタンバイ期間STBYでは、リセット信号RST、読み出し信号RD0−1および選択信号SECY0−7は高レベルVDDに維持され、図11に示したリセットスイッチ、読み出しスイッチおよびビット線BL0−7に接続された選択スイッチSSWはオンする(図12(a))。全ての選択信号SECY0−7が高レベルに活性化されるため、ビット線BL0−BL7は、リセットスイッチ、読み出しスイッチおよび選択スイッチSSWを介して低レベルVSSにクランプされる。
グローバルビット線GBLは、スタンバイ期間STBYに低レベルに活性化されるプリチャージ信号PREXにより高レベルVPR(例えば、0.9V)にプリチャージされている(図12(b))。動作イネーブル信号EVEN、RDENは、低レベルに非活性化されている。このため、図3に示したタイミング生成部TGENのノードN01(EV)、N01(R)は、高レベルVDDに設定され、出力信号OUT(EV)、OUT(R)は低レベルVSSに設定されている(図12(c))。図11に示したバッファ回路BUFの出力DTは、グローバルビット線GBLの高レベルVPRを受けて、高レベルVDDに設定されている(図12(d))。
次に、リセット信号RST、読み出し信号RD1および選択信号SECY0、2−3は低レベルVSSに非活性化され、ビット線BL1のみが共通ノードCOMに接続される。(図12(e))。次に、プリチャージ信号PR0が高レベルVDDに活性化され、ビット線BL1のみがグローバルビット線GBLを介してプリチャージされる(図12(f、g))。プリチャージ信号PR0が低レベルVSSに非活性化される前に、ワード線WL0が高レベルに活性化される(図12(h))。
ワード線WL0が活性化された後、プリチャージ信号PR0が非活性化され、ビット線BL1はプリチャージされた状態でフローティング状態に設定される(図12(i))。消去対象または読み出し対象のメモリセルMCの閾値電圧が低いとき、リアルセルトランジスタCTにセル電流が流れるため、ビット線BL1の電圧は低レベルVSSまで低下する。
また、プリチャージ信号PR0の非活性化に応答して動作イネーブル信号EVENまたはRDENが高レベルに活性化される(図12(j))。なお、図2に示した動作制御回路22は、ワード線WL0を活性化するタイミング信号を、プリチャージ信号PR0を非活性化した後に生成してもよい。このとき、動作イネーブル信号EVENまたはRDENは、ワード線WL0の活性化に応答して活性化される。すなわち、動作イネーブル信号EVENまたはRDENは、プリチャージ信号PR0の非活性化タイミングおよびワード線WL0の活性化タイミングのうち、おそいタイミングに応答して活性化される。
図3に示したタイミング生成部TGENは、動作イネーブル信号EVENまたはRDENの活性化に応答して、ノードN01(EV)またはN01(R)をレプリカセルトランジスタRCT(EV)またはRCT(R)を介して接地線VSSに接続する。これにより、ノードN01(EV)またはN01(R)の電荷は、レプリカセルトランジスタRCT(EV)またはRCT(R)を介して放電される。すなわち、レプリカセルトランジスタRCT(EV)またはRCT(R)はレプリカセル電流を流す。
ノードN01(EV)またはN01(R)の電圧の低下により、出力信号OUT(EV)またはOUT(R)が高レベルVDDに変化し、センスアンプイネーブル信号SAEが高レベルVDDに活性化される(図12(k、l、m))。レプリカセルトランジスタRCT(EV)およびRCT(R)は、リアルセルトランジスタCTと同じ製造条件を用いて形成される。このため、リアルセルトランジスタCTに流れるセル電流の分布が製造条件の変動によりシフトするとき、レプリカセル電流は同じ向きにシフトする。したがって、セル電流が相対的に少なく、ビット線BL1の低下速度が低い半導体メモリチップMEMでは、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングも遅くなる。セル電流が相対的に多く、ビット線BL1の低下速度が高い半導体メモリチップMEMでは、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングも早くなる。この結果、半導体メモリMEMの製造条件の変動に拘わりなく、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを常に最適に生成できる。
この実施形態では、レプリカセルトランジスタRCT(EV)およびRCT(R)のコントロールゲートCGとフローティングゲートFGとは互いに接続されている。このため、レプリカセルトランジスタRCT(EV)およびRCT(R)のチャネル領域の状態を、コントロールゲートCGの電圧だけでなく、フローティングゲートFGの電圧により制御できる。フローティングゲートFGをコントロールゲートCGに接続しないとき、図10に示した絶縁膜INS2およびフローティングゲートFGは容量として作用する。このとき、コントロールゲートCGの電圧によりチャネル領域の状態を制御することは難しい。さらに、コントロールゲートCGとフローティングゲートFGとがショートされているため、半導体メモリMEMが長期間使用されても、フローティングゲートFGに電荷が蓄積されることはない。以上より、レプリカセルトランジスタRCT(EV)およびRCT(R)の動作を、通常のトランジスタと同等の精度で制御できる。換言すれば、センスアンプイネーブル信号SAEの活性化タイミングを高い精度で制御できる。
センスアンプイネーブル信号SAEの活性化により、図11に示したnMOSトランジスタNM4は、増幅トランジスタNM3をグローバルビット線GBLに接続する。しかし、増幅トランジスタNM3は、ビット線BL0の低レベルをゲートで受けてオフしているため、グローバルビット線GBLの電圧は変化しない(図12(n))。この後、ラッチ信号LTが高レベルに活性化され、データ線DTの論理レベル(VDD)が確定する(図12(o、p))。
消去ベリファイ動作では、データ線DTの高レベルVDDにより、消去対象のメモリトランジスタCTの閾値電圧が、消去状態まで下がったと判断される。メモリセルMCが消去状態になっていないとき、メモリトランジスタCTの閾値電圧は高く、十分なセル電流が流れない。このため、図12に一点鎖線で示したように、ビット線BL1の電圧は下がりにくい(図12(q))。これにより、増幅トランジスタNM3がオンし、グローバルビット線GBLの電圧は低レベルVSSに変化し、データ線DTは低レベルVSSに設定される。このとき、消去動作と消去ベリファイ動作が再度実施される。
ラッチ信号LTの活性化後、センスアンプイネーブル信号SAEおよびワード線WL0は順次に非活性化され、リセット信号RST、読み出し信号RD1および選択信号SECY1は活性化される(図12(r、s))。リセット信号RSTの非活性化に応答して、半導体メモリMEMはスタンバイ期間STBYになり、動作イネーブル信号EVENまたはRDENが非活性化される(図12(t))。動作イネーブル信号EVENまたはRDENの非活性化により、ノードN01(EV)、N01(R)は高レベルに変化し、出力信号OUT(EV)、OUT(R)は低レベルVSSに変化する。そして、消去ベリファイ動作または読み出し動作が完了する(図12(u、v))。
図13は、図2に示した半導体メモリのプログラムベリファイ動作および読み出し動作(論理0読み出し)の例を示している。図12と同じ動作については、詳細な説明は省略する。プログラムベリファイ動作と読み出し動作の波形が異なるとき、読み出し動作の波形は破線で示している。図13では、図12と同様に、セクタSEC0のワード線WL0とビット線BL1に接続されたメモリセルMCがアクセスされる。ビット線BL1、グローバルビット線GBL、データ線DTの波形以外は、図12と同様である。
プログラムベリファイ動作および論理0の読み出し動作では、アクセスされるリアルセルトランジスタCTの閾値電圧は高い。このため、セル電流は流れず、ビット線BL1はプリチャージ電圧に保持される(図13(a))。図11に示した増幅トランジスタNM3(すなわち、センスアンプSA)は、ビット線BL1の高レベルを受ける。このため、センスアンプイネーブル信号SAEが活性化されると、グローバルビット線GBLは、接地線VSSに接続され、低レベルに変化する(図13(b))。図11に示したバッファ回路BUFは、グローバルビット線GBLの低レベルの変化に応答して、データ線DTに低レベルを出力する(図13(c))。そして、グローバルビット線GBLの低レベルは、ラッチ信号LTに同期してラッチされる(図13(d))。
この後、リセット信号RSTの活性化に応答して、図11に示したプリチャージ信号PREXが低レベルに活性化され、グローバルビット線GBLは、スタンバイ期間STBYにプリチャージ電圧VPRに設定される(図13(e))。バッファ回路BUFは、ラッチ信号LTの非活性化に応答して、グローバルビット線GBLの低レベルを取り込み、データ線DTに高レベルを出力する(図13(f))。
図14は、図2に示した半導体メモリMEMの読み出し動作RDOPの例を示している。ここで、読み出し動作RDOPは、読み出しコマンドに伴う読み出し動作だけでなく、プログラム動作時のプログラムベリファイ動作および消去動作時の消去ベリファイ動作を含む。図14では、図13に示した読み出し動作において、アクセスされるメモリセルMCに接続されたビット線BL1以外のビット線BL0、BL2−7の波形を示している。図14では、図13に示していないプリチャージ信号PREX、読み出しコラム選択信号RYSEL0および読み出しデータRDATAの波形も示している。なお、図14に示した電圧は一例であり、これらの値に限定されるものではない。
読み出し動作RDOPでは、ワード線WL0の活性化に応答してプリチャージ信号PREXが高レベルに非活性化され、グローバルビット線GBLとプリチャージ電圧線VPRの接続が解除される(図14(a))。読み出しコラム選択信号RYSEL0は、リセット信号RSTの非活性化に応答して活性化され、リセット信号RSTの活性化された後に非活性化される(図14(b))。全ての選択信号SECY0−7は、スタンバイ期間STBYに高レベルに活性化されている(図14(c))。このとき、全てのビット線BL0−7は、選択スイッチSSWおよび共通のリセットスイッチを介して接地線VSSに接続されている。データの読み書きに使用する選択スイッチSSWを利用し、共通のリセットスイッチを用いてビット線BL0−7を接地電圧VSSに設定することで、ビット線BL0−7をリセットするために半導体メモリMEMに形成されるトランジスタの数を削減できる。これにより、回路サイズを削減でき、半導体メモリMEMのチップサイズを削減できる。
データを読み出すメモリセルMCを含むメモリセル部MCUに対応する選択信号SECY0−3のうち、データを読み出さないメモリセルMCに対応する選択信号SECY0、2−3は、リセット信号RSTの非活性化に応答して非活性化される(図14(d))。これにより、ビット線BL0、2−3は、低レベルのフローティング状態に設定される(図14(e))。選択信号SECY0、2−3の非活性化期間は、図2に示した動作制御回路22により生成されるタイミング信号に応じて設定される。
この後、図13と同様に、プリチャージ信号PR0の活性化に応答して、ビット線BL1がプリチャージされ、読み出し動作が実行される(図14(f))。このとき、ビット線BL1に隣接するビット線BL0、BL2は、低レベルに維持されている。隣接するビット線BL0、BL2の電圧が変化しないため、ビット線BL1の電圧は、カップリングノイズ等の影響を受けない。この結果、半導体メモリMEMが読み出し動作中に誤動作することを防止できる。
図15は、図2に示した半導体メモリMEMの書き込み動作WROPの例を示している。この例では、図12−図14と同様に、セクタSEC0のワード線WL0とビット線BL1に接続されたメモリセルMCがアクセスされ、論理0が書き込まれる。なお、図15に示した電圧は一例であり、これらの値に限定されるものではない。
書き込み動作WROPでは、まず、データを書き込むメモリセルMCを含むメモリセル部MCUに対応する選択信号SECY0−7が、低レベルに非活性化される(図15(a))。次に、ワード線WL0が活性化され、プリチャージ信号PREXおよびリセット信号RSTが非活性化され、プリチャージ信号PR0が活性化され、書き込みコラム選択信号WYSEL0が活性化される(図15(b、c、d、e、f))。さらに、データを書き込むメモリセルMCに対応する選択信号SECY1が活性化される(図15(g))。
ここで、プリチャージ信号PR0は、グローバルビット線GBL上の書き込みデータをビット線BL1に伝達するために活性化され、プリチャージ信号PR0をゲートで受けるnMOSトランジスタは書き込みトランジスタとして動作する。書き込みトランジスタのオンにより、グローバルビット線GBLは、低レベルのビット線BL1に接続され、グローバルビット線GBLの電圧は低下する(図15(h))。
次に、書き込みデータWDATAが書き込みコラムスイッチWCSWを介してグローバルビット線GBLに伝達され、さらにビット線BL1に伝達される(図15(i、j、k))。これにより、ビット線BL1に接続されたセルトランジスタCTのフローティングゲートFGに電子が注入され、セルトランジスタCTの閾値電圧が上昇する。すなわち、論理0の書き込みが実施される。
この後、ライトアンプWAからの書き込みデータの供給が停止され、グローバルビット線GBLおよびビット線BL1の電圧は下がる(図15(l、m、n))。次に、ワード線WL0が非活性化され、プリチャージ信号PREXおよびリセット信号RSTが活性化され、プリチャージ信号PR0が非活性化され、書き込みコラム選択信号WYSEL0が非活性化され、選択信号SECY1が非活性化される(図15(o、p、q、r、s、t))。プリチャージ信号PREXの活性化により、グローバルビット線GBLはプリチャージ電圧VPRに設定される(図15(u))。この後、選択信号SECY0−7が活性化されて、ビット線BL0−7が低レベルにリセットされ、書き込み動作WROPは終了する(図15(v))。
以上、この実施形態においても上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、メモリセルアレイ32と同様の素子が形成されるレプリカ部REPにレプリカセルトランジスタRCTを形成することで、リアルセルトランジスタCTとレプリカセルトランジスタRCTの電気的特性の変動の傾向を同じにできる。フローティングゲートFGとコントロールゲートCGとをレプリカセルトランジスタRCTから離れた場所で接続することにより、レプリカセルトランジスタRCTの電気的特性をリアルセルトランジスタCTの電気的特性とほぼ同じにできる。
タイミング生成部TGENに形成される容量C1をビット線BLの負荷容量に合わせているため、ノードND01の低下速度をビット線BLの低下速度に合わせることができる。ノードN01のプリチャージ電圧を電源電圧VDDにしているため、レベルシフタを介在させることなくセンスアンプイネーブル信号SAEを生成できる。
ビット線BL0−7を接地電圧VSSにリセットする動作を、データの読み書きに使用する選択スイッチSSWと共通のリセットスイッチとを用いて実施することで、半導体メモリMEMに形成されるトランジスタの数を削減でき、半導体メモリMEMのチップサイズを削減できる。
図16は、上述した半導体メモリMEMが搭載されるシステムの例を示している。システムSYS(ユーザシステム)は、例えば、携帯機器等のマイクロコンピュータシステムの少なくとも一部を構成する。システムSYSは、シリコン基板上に複数のマクロが集積されたシステムオンチップSoCを有している。あるいは、システムSYSは、パッケージ基板上に複数のチップが積層されたマルチチップパッケージMCPを有している。あるいは、システムSYSは、リードフレーム等のパッケージ基板上に複数のチップが搭載されたシステムインパッケージSiPを有している。さらに、システムSYSは、チップオンチップCoCあるいはパッケージオンパッケージPoPの形態で構成されてもよい。
例えば、システムSYSは、CPU、ROM、RAM、メモリ制御回路MCNTおよび図1または図2に示した半導体メモリMEMを有している。CPU、ROM、RAMおよびメモリ制御回路MCNTは、システムバスSBUSにより互いに接続されている。メモリ制御回路MCNTと半導体メモリMEMとは専用バスにより互いに接続されている。なお、メモリ制御回路MCNTの機能をCPUに持たせて、メモリ制御回路MCNTを介することなくCPUにより半導体メモリMEMを直接アクセスしてもよい。
CPUは、ROM、RAMにアクセスするとともに、メモリ制御回路MCNTを介して半導体メモリMEMにアクセスし、システム全体の動作を制御する。半導体メモリMEMは、CPUからの指示により動作するメモリ制御回路MCNTからのアクセス要求に応じて、書き込み動作、読み出し動作および消去動作を実行する。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。