以下、本発明の車載用電力変換装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
まず、車載用電力変換装置としての絶縁型DC/DCコンバータ装置1の構成について図1を参照しつつ説明する。図1はこの発明に係る絶縁型DC/DCコンバータ装置の回路図である。
絶縁型DC/DCコンバータ装置1は、図1に示されるように、フルブリッジ回路100と、フルブリッジ回路100に並列接続される入力平滑コンデンサ110と、フルブリッジ回路100に直列に接続される共振コイル120と、高圧側コイル131と低圧側コイル132,133とを有するトランス130と、低圧側コイル132,133に接続された整流回路140と、整流回路140に接続された平滑回路150と、を備えている。なお、図示していないが、フルブリッジ回路100、入力平滑コンデンサ110、共振コイル120、トランス130、整流回路140および平滑回路150は、筐体の底面を構成するベースプレート(図示せず)に固定される。そして、ベースプレートが後述する出力端子T4や整流素子141、142のソースの接地ラインとして機能する。
フルブリッジ回路100は、スイッチング素子101〜104を有し、駆動回路(図示せず)から入力される駆動信号に基づいて、入力端子T1,T2間に印加される入力直流電圧を入力交流電圧に変換する。スイッチング素子101〜104には、MOSFET、IGBTなどのパワー半導体素子が用いられる。
入力平滑コンデンサ110は、フルブリッジ回路100の動作により発生する交流成分を吸収し、入力ラインに大きなノイズが発生することを抑えている。
共振コイル120は、トランス130の高圧側コイル131と直列接続され、スイッチング素子101〜104のそれぞれに並列接続するキャパシタンス(図示せず)と共振動作を起こし、スイッチング素子101〜104のスイッチング損失を小さくするように機能する。
トランス130は、フルブリッジ回路100で生成された入力交流電圧を変圧し、出力交流電圧を出力する。高圧側コイル131の巻き数は低圧側コイル132,133の巻き数より多く、高圧側コイル131と低圧側コイル132,133との巻き数比は、変圧比によって適宜設定される。このトランス130の低圧側コイル132,133はセンタータップ型であり、整流素子141側の低圧側コイル132と、整流素子142側の低圧側コイル133との間に接続部Cが設けられ、この接続部Cが出力端子T3に導かれている。
整流回路140は、整流素子141、142からなる単相全波整流型のものである。整流素子141,142のドレインは、それぞれ低圧側コイル132,133に接続され、ソースは、接地されて、出力端子T4に導かれている。これにより、整流回路140は、トランス130からの交流電圧を個別に整流して直流電圧を生成する。
平滑回路150は、チョークコイル151と出力平滑コンデンサ152を有している。チョークコイル151は接続部Cと出力端子T3とを結ぶ配線に挿入配置され、出力平滑コンデンサ152は当該配線と接地との間に配置されている。これにより、平滑回路150は、整流回路140で整流された直流電圧を平滑化して出力直流電圧を生成し、この出力直流電圧を出力端子T3,T4から低圧バッテリなどに供給する。
このように構成された絶縁型DC/DCコンバータ装置1では、入力直流電圧Vinが入力端子T1,T2から供給され、フルブリッジ回路100で入力交流電圧に変換される。この入力交流電圧は、トランス130の高圧側コイル131に供給され、変圧されて、低圧側コイル132,133から出力交流電圧として出力される。この出力交流電圧は、整流回路140により整流されるとともに、平滑回路150により平滑化され、出力端子T3,T4から出力直流電圧Voutとして出力される。例えば、絶縁型DC/DCコンバータ装置1は、例えば100V〜500Vの入力直流電圧Vinが入力端子T1,T2に供給され、車載補機系部品の電源電圧である12V〜16V程度の出力直流電圧Voutを出力端子T3,T4から出力する。
ここで、図示していないが、フルブリッジ回路100、入力平滑コンデンサ110、共振コイル120、トランス130、整流回路140および平滑回路150は、筐体の底面を構成するベースプレートに固定される。このベースプレートは、ベースプレート上に実装されている各素子の放熱部材として機能するとともに、接地ラインとしても機能する。さらに、絶縁型DC/DCコンバータ装置1は、図示していないが、筐体を覆う外装カバー、入出力の端子台、各素子に対して駆動信号を送信する駆動回路などを備えている。
つぎに、絶縁型DC/DCコンバータ装置1を構成する共振コイル120やトランス130などのコイル装置について具体的に説明する。
実施の形態1.
図2はこの発明の実施の形態1に係るトランスの構成を説明する分解斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係るトランスにおけるラミネートコイルの構成を説明する分解斜視図、図4はこの発明の実施の形態1に係るトランスにおけるラミネートコイルとプリント配線板との接続関係を説明する透視平面図、図5乃至図9はそれぞれこの発明の実施の形態1に係るトランスの実装状態を説明する要部断面図である。
図2において、コイル装置としてのトランス10は、ラミネートコイル11と、ラミネートコイル11の下部に配設され、ラミネートコイル11とともに高圧側コイル131を構成するプリント配線板15と、ラミネートコイル11およびプリント配線板15の両側に配設される低圧側コイル16,17と、E型コア18と、I型コア19と、を備えている。なお、ラミネートコイル11およびプリント配線板15がコイル部材である。
ラミネートコイル11は、図3に示されるように、例えば、所定厚みの銅、アルミなどのシート状金属導体をプレス成形して渦巻状に作製された第1導体配線12および第2導体配線13と、例えば絶縁性樹脂であるポリイミドで作製されたリング状の絶縁性フィルム14と、を有する。そして、ラミネートコイル11は、絶縁性フィルム14、第1導体配線12、絶縁性フィルム14、第2導体配線13、絶縁性フィルム14の順に重ね、絶縁性フィルム14の片面若しくは両面に塗布された接着剤により接着一体化して、中心穴11aが第1導体配線12および第2導体配線13内に形成されたリング状平板に作製される。
このように作製されたラミネートコイル11は、第1導体配線12の一端部に形成された端子部12aおよび第2導体配線13の一端部に形成された端子部13aが周方向に隣り合ってラミネートコイル11から径方向外方に延在し、第1導体配線12の他端部に形成された端子部12bおよび第2導体配線13の他端部に形成された端子部13bが絶縁性フィルム14から露出している。そして、図4に示されるように、第1導体配線12の端子部12bと第2導体配線13の端子部13bとが、例えば超音波接合により接続され、6ターンのラミネートコイル11が得られる。
プリント配線板15は、図4に示されるように、両面に張られた銅箔をエッチングして環状のコイルパターンを形成して構成されている。プリント配線板15のC面(Component Side)には、1ターンのコイルパターン15a、第1端子部15b、およびコイルパターン15aの他端に接続された第2端子部15cが形成され、S面(Soldering Side)には、1ターンのコイルパターン15dが形成されている。コイルパターン15aの一端とコイルパターン15dの他端とがビア15eにより電気的に接続され、スルーホール15fがランド15gとコイルパターン15dの一端とを電気的に接続するように形成されている。さらに、ソルダレジストなどの絶縁層がプリント配線板15のC面に、スルーホール15f、第1端子部15bおよび第2端子部15cを露出させるように被覆されている。また、ソルダレジストなどの絶縁層がプリント配線板15のS面の全面に被覆されている。なお、図2中、ランド15hは第1端子部15bの第1導体配線12の端子部12aとの接合部に相当している。
このプリント配線板15は、リング状のコイルパターン形成部をラミネートコイル11の下部に重ねて配設される。そして、第1導体配線12の端子部12aが第1端子部15b(ランド15h)に超音波接合により接続され、第2導体配線13の端子部13aがスルーホール15f(ランド15g)に超音波接合により接続されて、8ターンの高圧側コイルが構成される。
低圧側コイル16は、図2に示されるように、例えば銅、アルミなどの金属平板をプレス成形して作製され、1ターンのコイルパターン16aと、コイルパターン16aの両端から径方向外側に延設された端子部16b,16cと、を有する。低圧側コイル17は、図2に示されるように、例えば銅板をプレス成形して作製され、1ターンのコイルパターン17aと、コイルパターン17aの両端から径方向外側に延設された端子部17b,17cと、を有する。
E型コア18およびI型コア19は、例えばMn−Zn系フェライトからなる。
なお、トランス10が、図1におけるトランス130に相当し、ラミネートコイル11とプリント配線板15が、図1における高圧側コイル131に相当し、低圧側コイル16,17が、図1における低圧側コイル132,133に相当する。
トランス10を組み立てるには、ラミネートコイル11をプリント配線板15の上に重ね、第1導体配線12および第1導体配線13の端子部12a,13aとランド15g、15hとを接合する。ついで、低圧側コイル16,17をラミネートコイル11とプリント配線板15の積層体の両側に重ねる。そして、低圧側コイル16、ラミネートコイル11、プリント配線板15および低圧側コイル17の積層体の中心穴にE型コア18の中足18aを挿入し、I型コア19をE型コア18の中足18aおよび外足18b、18cの先端面に接するように配設し、トランス10が組み立てられる。なお、I型コア19は、外足18b,18cとともに中足18aの両端を磁気的に連結する外足を構成する。
このように組み立てられたトランス10は、筐体の底面を構成する金属製のベースプレート20上に配置される。そして、低圧側コイル16の端子部16bと低圧側コイル17の端子部17bが重ねられて、図5に示されるように、ベースプレート20に立設された端子台21に絶縁部材25を介装させて締着固定される。低圧側コイル17の端子部17cが、図6に示されるように、ベースプレート20に立設された端子台22に絶縁部材25を介装させて締着固定される。低圧側コイル16の端子部16cが、図7に示されるように、ベースプレート20に立設された端子台23に絶縁部材25を介装させて締着固定される。プリント配線板15が、図8に示されるように、ベースプレート20に立設された端子台24に締着固定される。I型コア19が、図9に示されるように、ベースプレート20に立設された端子台29に締着固定された第1押さえばねとしての板ばね26の付勢力によりE型コア18に押圧され、トランス10がベースプレート20に取り付けられる。
低圧側コイル16,17は、直列に接続されて、端子台21,22,23に電気的に絶縁状態に支持される。ラミネートコイル11は、低圧側コイル16,17の挟持力によりプリント配線板15に所定の接触圧力で押付けられて、プリント配線板15に支持される。そして、第1端子部15bが共振コイル120を介してスイッチング素子103,104の接続部に接続され、第2端子部15cがスイッチング素子101,102の接続部に接続される。低圧側コイル16の端子部16cが整流素子141のドレインに接続され、低圧側コイル17の端子部17cが整流素子142のドレインに接続される。さらに、低圧側コイル16,17の端子部16b、17bがチョークコイル151を介して出力端子T3に接続される。なお、低圧側コイル16,17の端子部16b、17bが接続部C、すなわちセンタータップとなる。
このトランス10は、ラミネートコイル11とプリント配線板15からなる高圧側コイルが8ターンであり、低圧側コイル16,17はそれぞれ1ターンで、直列接続されている。そこで、トランス10は、変圧比が8:1:1のセンタータップを持つトランスとして動作する。
この実施の形態1では、ラミネートコイル11が、絶縁性フィルム14、第1導体配線12、絶縁性フィルム14、第2導体配線13、絶縁性フィルム14の順に重ね、絶縁性フィルム14の片面若しくは両面に塗布された接着剤により接着一体化して作製されている。そこで、ラミネートコイル11の薄型化が可能となり、トランス10の小型化が図られる。
また、第1および第2導体配線12,13が、シート状金属導体をプレス成形して渦巻状に作製されているので、ラミネートコイル11の生産性を悪化させることなく、安価に第1および第2導体配線12,13の板厚を厚くすることができる。そこで、第1および第2導体配線12,13の低抵抗化が図られ、大電流が通電されても、ラミネートコイル11での発熱量の増加を抑えることができる。
ラミネートコイル11とコイルパターン15a、15dを有するプリント配線板15により高圧側コイルを構成しているので、プリント配線板15の積層枚数により高圧側コイルの巻き数を調整できる。そこで、高圧側コイルの巻き数に合わせたラミネートコイル11を作製する必要がなく、部品点数の増加が抑えられるとともに、低コスト化が図られる。
プリント配線板15の両面に形成されたコイルパターン15a,15dは、1ターンであるので、プリント配線板15に張られた銅箔の板厚がうすくても、コイルパターン15a,15dのパターン幅を広くすることができ、コイルパターン15a,15dでの発熱量の増大を抑えることができる。
ラミネートコイル11が、低圧側コイル16,17の挟持力によりプリント配線板15に押付けられているので、第1導体配線12および第2導体配線13での発熱が、プリント配線板15および低圧側コイル16,17を介して放熱される。そこで、ラミネートコイル11の過度の温度上昇が抑えられる。
ラミネートコイル11における第1導体配線12および第2導体配線13の端子部12b,13b同士の接合、および第1および第2導体配線12,13の端子部12a,13aとプリント配線板15のランド15g、15hとの接合が、超音波接合により行われている。そこで、絶縁性フィルム14および接着剤に耐熱温度の低い材料を用いることができ、低コスト化が図られる。
ここで、ラミネートコイル11における第1導体配線12および第2導体配線13の端子部12b,13b同士の接合、および第1および第2導体配線12,13の端子部12a,13aとプリント配線板15のランド15g、15hとの接合を、半田接合により行ってもよい。この場合、リフロー工程によりラミネートコイル11をプリント配線板15に実装でき、組立性が向上する。
また、第1および第2導体配線12,13の端子部12a,13aとプリント配線板15のランド15g、15hとの接合は、リベット接合により行ってもよい。この場合、ラミネートコイル11とプリント配線板15との接合部の耐振動性を向上させることができる。
実施の形態2.
図10はこの発明の実施の形態2に係るトランスにおけるラミネートコイルの構成を説明する分解斜視図、図11はこの発明の実施の形態2に係るトランスにおけるラミネートコイルとプリント配線板との接続関係を説明する透視平面図である。
図10および図11において、ラミネートコイル30は、例えば、所定厚みの銅、アルミなどのシート状金属導体をプレス成形して渦巻状に作製された導体配線31と、例えば、ポリイミドで作製されたリング状の絶縁性フィルム32と、を有する。そして、ラミネートコイル30は、絶縁性フィルム32、導体配線31、絶縁性フィルム32の順に重ね、絶縁性フィルム32の片面に塗布された接着剤により接着一体化して、中心穴30aが導体配線31内に形成されたリング状平板に作製される。
プリント配線板33は、両面に張られた銅箔をエッチングして所定のコイルパターンを形成して構成されている。プリント配線板33のC面には、1ターンのコイルパターン33a、第1端子部33b、およびコイルパターン33aの他端に接続された第2端子部33cが形成され、S面には、1ターンのコイルパターン33dが形成されている。コイルパターン33aの一端とコイルパターン33dの他端とがビア33eにより接続され、スルーホール33fがランド33gとコイルパターン33dの一端とを接続するように形成されている。さらに、ソルダレジストなどの絶縁層(図示せず)がプリント配線板33のC面に、第1端子部33bの導体配線31の端子部31aとの接合部、ランド33g、第1端子部33bおよび第2端子部33cを露出させるように被覆されている。また、ソルダレジストなどの絶縁層(図示せず)がプリント配線板33のS面の全面に被覆されている。
このプリント配線板33は、ラミネートコイル30の下部に重ねて配設される。そして、導体配線31の端子部31aが第1端子部33bに超音波接合により接続され、導体配線31の端子部31bがスルーホール33f(ランド33g)に超音波接合により接続されて、5ターンの高圧側コイルが構成される。ラミネートコイル30およびプリント配線板33がコイル部材である。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態2では、ラミネートコイル30が、絶縁性フィルム32、導体配線31、絶縁性フィルム32の順に重ね、絶縁性フィルム32の片面に塗布された接着剤により接着一体化して作製されている。
そこで、この実施の形態2においても、ラミネートコイル30の薄型化が可能となり、トランスの小型化が図られる。
また、また、導体配線31が、シート状金属導体をプレス成形して渦巻状に作製されているので、ラミネートコイル30の生産性を悪化させることなく、安価に導体配線31の板厚を厚くすることができる。そこで、大電流が通電されても、ラミネートコイル30での発熱量の増加を抑えることができる。
ラミネートコイル30とコイルパターン33a、33d有するプリント配線板33により高圧側コイルを構成しているので、プリント配線板33の積層枚数により高圧側コイルの巻き数を調整できる。そこで、高圧側コイルの巻き数に合わせたラミネートコイル30を作製する必要がなく、部品点数の増加が抑えられるとともに、低コスト化が図られる。
実施の形態3.
図12はこの発明の実施の形態3に係る共振コイルの構成を説明する分解斜視図、図13はこの発明の実施の形態3に係る共振コイルの実装状態を説明する要部断面図である。
図12において、共振コイル50は、ラミネートコイル11と、ラミネートコイル11の下部に配設され、ラミネートコイル11を支持するプリント配線板15と、ラミネートコイル11の上部に配設されるゴムなどのリング状の弾性部材51と、E型コア18と、I型コア19と、を備えている。なお、ラミネートコイル11およびプリント配線板15がコイル部材である。
ラミネートコイル11は、プリント配線板15のリング状のコイルパターン形成部上に配置され、端子部12a,13aをランド15g、15hに半田接合してプリント配線板15に取り付けられる。そして、弾性部材51、ラミネートコイル11およびプリント配線板15の積層体の中心穴にE型コア18の中足18aを挿入し、I型コア19をE型コア18の中足18aおよび外足18b、18cの先端面に接するように配設し、共振コイル50が組み立てられる。
なお、共振コイル50が、図1における共振コイル120に相当する。
このように組み立てられた共振コイル50は、筐体の底面を構成する金属製のベースプレート20上に配置される。そして、プリント配線板15が、図示していないが、上記実施の形態1と同様に、ベースプレート20に立設された端子台24に締着固定される。I型コア19が、図13に示されるように、ベースプレート20に立設された端子台29に締着固定された板ばね26によりE型コア18に押圧され、共振コイル50がベースプレート20に取り付けられる。このとき、板ばね26の押付力がI型コア19を介して弾性部材51に作用し、弾性部材51を弾性変形させる。ラミネートコイル11は、この弾性変形した弾性部材51の復元力によりプリント配線板15に押付けられる。
この実施の形態3では、ラミネートコイル11が、絶縁性フィルム14、第1導体配線12、絶縁性フィルム14、第2導体配線13、絶縁性フィルム14の順に重ね、絶縁性フィルム14の片面若しくは両面に塗布された接着剤により接着一体化して作製されている。そこで、ラミネートコイル11の薄型化が可能となり、共振コイル50の小型化が図られる。
また、第1および第2導体配線12,13が、シート状金属導体をプレス成形して渦巻状に作製されているので、ラミネートコイル11の生産性を悪化させることなく、安価に第1および第2導体配線12,13の板厚を厚くすることができる。そこで、第1および第2導体配線12,13の低抵抗化が図られ、大電流が通電されても、ラミネートコイル11での発熱量の増加を抑えることができる。
ラミネートコイル11とプリント配線板15により共振コイル50を構成しているので、プリント配線板15の積層枚数により共振コイル50の巻き数を調整できる。そこで、共振コイル50の巻き数に合わせたラミネートコイル11を作製する必要がなく、部品点数の増加が抑えられるとともに、低コスト化が図られる。
弾性部材51がI型コア19とラミネートコイル11との間に介装されているので、I型コア19を押圧する板ばね26の付勢力が弾性部材51を介してラミネートコイル11に作用し、ラミネートコイル11が所定の接触圧力でプリント配線板15に押付けられる。そこで、第1導体配線12および第2導体配線13での発熱が、プリント配線板15を介して放熱され、ラミネートコイル11の過度の温度上昇が抑えられる。
ラミネートコイル11とプリント配線板15との接触圧力がI型コア19をE型コア18に押圧する板ばね26により得られるので、ラミネートコイル11をプリント配線板15に押圧する専用の部材を用意する必要がなく、部品点数を削減できる。
なお、上記実施の形態3では、ラミネートコイル11を用いて共振コイルを作製するものとしているが、ラミネートコイル30を用いて共振コイルを作製してもよい。
実施の形態4.
図14はこの発明の実施の形態4に係るトランスにおけるラミネートコイルの導体配線パターンを示す平面図である。
図14において、重心位置調整部46が導体配線45の渦巻状のコイルパターンの最外部の一部を径方向外方に拡張させて形成されている。この重心位置調整部46は、銅、アルミなどのシート状金属導体をプレス成形により渦巻状の導体配線45を打ち抜く際に、同時に成形される。
なお、実施の形態4は、導体配線45を用いてラミネートコイルを作製している点を除いて上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態4では、重心位置調整部46が導体配線45の最外部の一部のパターン幅を径方向外方に拡張して形成されているので、この導体配線45を用いて作製されたラミネートコイルの重心位置がラミネートコイルの中心穴の外側にシフトされる。
この実施の形態4によれば、吸着型の部品自動実装機によりラミネートコイルを吸着してプリント配線板に装着する際に、ラミネートコイルの重心位置を直接吸着できるので、ラミネートコイルのプリント配線板への実装の自動化が容易となる。
実施の形態5.
図15はこの発明の実施の形態5に係るトランスにおけるラミネートコイルの導体配線パターンを示す平面図である。
図15において、重心位置調整部48が導体配線47の渦巻状のコイルパターンの一部を径方向外方に膨らまして形成されている。
なお、実施の形態5は、導体配線47を用いてラミネートコイルを作製している点を除いて上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態5では、重心位置調整部48が導体配線47のコイルパターンの一部を径方向外方に膨らまして形成されているので、この導体配線47を用いて作製されたラミネートコイルの重心位置がラミネートコイルの中心穴の外側にシフトされる。
この実施の形態5によれば、吸着型の部品自動実装機によりラミネートコイルを吸着してプリント配線板に装着する際に、ラミネートコイルの重心位置を吸着できるので、ラミネートコイルのプリント配線板への実装の自動化が容易となる。
なお、上記実施の形態4,5では、導体配線45,47を用いて実施の形態1におけるラミネートコイルを作製するものとしているが、導体配線45,47を用いて実施の形態2におけるラミネートコイルを作製しても、同様の効果を奏する。
実施の形態6.
図16はこの発明の実施の形態6に係る共振コイルにおけるラミネートコイルの構成を説明する分解斜視図、図17はこの発明の実施の形態6に係る共振コイルの実装状態を説明する要部断面図である。
図16および図17において、絶縁性フィルム14Aは、円環部14aと、円環部14aから径方向外方に延出する延出部14bと、を有する。ラミネートコイル11Aは、絶縁性フィルム14A、第1導体配線12、絶縁性フィルム14A、第2導体配線13、絶縁性フィルム14Aの順に重ね、絶縁性フィルム14Aの片面若しくは両面に塗布された接着剤により接着一体化して作製される。ラミネートコイル11Aは、円環部14a、第1導体配線12、円環部14a、第2導体配線13および円環部14aを積層一体化してなるリング状平板部と、リング状平板部から径方向外方に延出する延出部14bの積層体11bと、を有する。
共振コイル50Aは、ラミネートコイル11に代えてラミネートコイル11Aを用いて作製され、延出部14bの積層体11bを折り曲げてE型コア18とI型コア19との間に挟み込まれている。共振コイル50Aがベースプレート20に組み込まれると、延出部14bの積層体11bが板ばね26(図示せず)の付勢力により、E型コア18とI型コア19との間に加圧挟持され、E型コア18とI型コア19との間に磁気ギャップが形成される。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
この実施の形態6では、ラミネートコイル11Aを構成する絶縁性フィルム14Aの一部を延出させ、その延出部14bの積層体11bをE型コア18とI型コア19との間に挟み込ませている。そこで、新たな部材を用いることなく、コアを流れる磁束の飽和を緩和する磁気ギャップをE型コア18とI型コア19との間に簡易に形成できる。
実施の形態7.
図18はこの発明の実施の形態7に係るトランスにおけるラミネートコイルを示す斜視図、図19はこの発明の実施の形態7に係るトランスの実装状態を説明する要部断面図である。
図18および図19において、ラミネートコイル11Bは、中心穴11aがE型コア18の中足18aの外径より小径に形成され、切り欠き11cが絶縁性フィルム14の積層体の中心穴11a周りを周方向に分断するように複数形成されている。
トランス10Bは、ラミネートコイル11に代えてラミネートコイル11Bを用いて作製され、E型コア18の中足18aがラミネートコイル11Bの中心穴11a内に挿入されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態7では、ラミネートコイル11Bの中心穴11aの内径がE型コア18の中足18aの外径より小径に形成され、切り欠き11cがラミネートコイル11Bの内周縁部を周方向に複数に分断するように形成されている。そこで、中足18aは、ラミネートコイル11Bの内周側を弾性変形させつつ中心穴11aに挿入される。そして、ラミネートコイル11Bは、その内周側の復元力により中足18aに弾性支持されるので、ラミネートコイル11Bの支持構造が簡略化される。
実施の形態8.
図20はこの発明の実施の形態8に係る共振コイルに適用されるラミネートコイルの構成を説明する分解斜視図である。
図20において、ラミネートコイル60は、2つのラミネートコイル11を積層し、第1導体配線12の端子部12a同士を接続し、第2導体配線13の端子部13a同士を接続して構成されている。
このように構成されたラミネートコイル60は、2つのラミネートコイル11を並列接続して構成されており、大電流を流すことができるので、大電流が通電される用途に適した絶縁型DC/DCコンバータ装置に搭載される共振コイルを簡易に実現できる。
なお、上記実施の形態8では、ラミネートコイル60を共振コイルに適用するものとしているが、ラミネートコイル60をトランスに適用しても、同様の効果を奏する。
実施の形態9.
図21はこの発明の実施の形態9に係るトランスの構成を説明する分解斜視図である。
図21において、位置決め用突起としての一対の位置決め用端子41a,41bが、ラミネートコイル11Cの端子部12a,13aと反対側から径方向外方に延出している。位置決め用端子41a,41bは、例えば、シート状金属導体から渦巻状の第1および第2導体配線12,13をプレス成形する際に、第1および第2導体配線12,13の一部から径方向外方に延出するように同時に成形される。位置決め用ランド42a,42bが、プリント配線板15AのC面にコイルパターン15aと電気的に絶縁されて形成されている。
この実施の形態9では、ラミネートコイル11Cが、プリント配線板15Aのリング状のコイルパターン形成部上に配置され、端子部12a,13aをランド15g、15hに半田接合され、位置決め用端子41a,41bを位置決め用ランド42a,42bに半田接合されてプリント配線板15Aに取り付けられている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態9によれば、位置決め用端子41a,41bをラミネートコイル11Cに形成し、位置決め用ランド42a,42bをプリント配線板15Aに形成し、位置決め用端子41a,41bを位置決め用ランド42a,42bに半田接合しているので、簡易な構成でプリント配線板15Aに対するラミネートコイル11Cの位置決めが実現できる。さらに、ラミネートコイル11Cの中心穴11aに対して、位置決め用端子41a,41bをラミネートコイル11Cの電気的接続部である端子部12a,13aの反対側に配置しているので、ラミネートコイル11Cとプリント配線板15Aとがラミネートコイル11Cの中心穴11aの両側で接合され、ラミネートコイル11Cとプリント配線板15Aとの結合度が高められる。
実施の形態10.
図22はこの発明の実施の形態10に係るトランスの構成を説明する分解斜視図、図23はこの発明の実施の形態10に係るトランスにおけるラミネートコイルの位置決め構造を説明する断面図である。
図22および図23において、端子部12a,13aおよび位置決め用端子41a,41bはそれぞれL字状に曲げられている。そして、接続用穴43a,43bがランド15g、15hにプリント配線板15Bを貫通するように形成され、位置決め用穴44a,44bが位置決め用ランド42a,42bにプリント配線板15Bを貫通するように形成されている。
この実施の形態10では、ラミネートコイル11Dが、プリント配線板15Bのリング状のコイルパターン形成部上に配置され、端子部12a,13aが接続用穴43a,43bに挿入されてランド15g、15hに半田接合され、位置決め用端子41a,41bが位置決め用穴44a,44bに挿入されて位置決め用ランド42a,42bに半田接合されてプリント配線板15Bに取り付けられている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態10によれば、位置決め用端子41a,41bをL字状に曲げ成形し、位置決め用穴44a,44bを位置決め用ランド42a,42bを貫通するようにプリント配線板15Bに形成し、位置決め用端子41a,41bを位置決め用穴44a,44bに挿入して位置決め用ランド42a,42bに半田接合しているので、簡易な構成でプリント配線板15Bに対するラミネートコイル11Dの位置決めが実現できる。さらに、ラミネートコイル11Dの中心穴11aに対して、位置決め用端子41a,41bをラミネートコイル11Dの電気的接続部である端子部12a,13aの反対側に配置しているので、ラミネートコイル11Dとプリント配線板15Bとがラミネートコイル11Dの中心穴11aの両側で接合され、ラミネートコイル11Dとプリント配線板15Bとの結合度が高められる。
実施の形態11.
図24はこの発明の実施の形態11に係るトランスにおけるラミネートコイルの位置決め構造を説明する断面図である。
図24において、位置決め用穴70a,70bがラミネートコイル11Eとプリント配線板15Cの重なり部を貫通するように形成され、位置決め用穴70a,70bに挿入される位置決めピン71がベースプレート20に立設された端子台72に突設されている。
この実施の形態11では、ラミネートコイル11Eが、プリント配線板15Cのリング状のコイルパターン形成部上に配置され、位置決め用穴70aをプリント配線板15Cに形成された位置決め用穴70bに合わせて、端子台72に突設された位置決めピン71を挿入している。端子部12a,13aがランド15g、15hに半田接合されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態11によれば、位置決め用穴70a,70bをラミネートコイル11Eとプリント配線板15Cに形成し、ベースプレート20の端子台72に突設された位置決めピン71をラミネートコイル11Eとプリント配線板15Cの重ね合わされた位置決め用穴70a,70bに挿入している。そこで、プリント配線板15Cの筐体に対する位置決めと、プリント配線板15Cとラミネートコイル11Eとの位置決めとを同時に行うことができる。
なお、上記実施の形態11では、位置決めピン71をベースプレート20の端子台72に突設するものとしているが、位置決めピンは端子台と別部材で作製してもよい。
実施の形態12.
図25はこの発明の実施の形態12に係るトランスの構成を説明する分解斜視図、図26はこの発明の実施の形態12に係るトランスの固定方法を説明する要部断面図である。
図25において、プリント配線板35は、ラミネートコイル11の平面形状に略一致する環状部35aと、環状部35aの外周部から延設された支持腕部35bと、を有し、両面に張られた銅箔をエッチングして所定の導体パターンが形成されている。つまり、端子部36a,36bが支持腕部35bの一面に形成され、放熱部37が、端子部36a,36bと電気的に分離されて、環状部35aおよび支持腕部35bの一面のほぼ全面に形成されている。また、放熱部38が、環状部35aおよび支持腕部35bの他面の全面に形成されている。そして、放熱部37,38がプリント配線板35を貫通するビア39により熱的に接続されている。ソルダレジストなどの絶縁層40がプリント配線板35の他面の全面に、放熱部38の支持腕部35bの取付部の領域を露出させるように形成されている。
なお、実施の形態12は、プリント配線板15に代えてプリント配線板35を用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。
ラミネートコイル11は、環状部35a上に載置され、端子部12a,13aを端子部36a,36bに半田接合され、プリント配線板35に実装される。低圧側コイル16,17がラミネートコイル11とプリント配線板35の積層体を挟むように配置される。そして、低圧側コイル16、ラミネートコイル11、プリント配線板35および低圧側コイル17の積層体の中心穴にE型コア18の中足18aを挿入し、I型コア19をE型コア18の中足18aおよび外足18b、18cの先端面に接するように配設し、トランス10Fが組み立てられる。そして、プリント配線板35の支持腕部35bの取付部が、図26に示されるように、ベースプレート20に立設された端子台24に締着固定される。
この実施の形態12では、プリント配線板35の一面に形成された放熱部37が露出し、他面に形成された放熱部38が取付部で絶縁層40から露出している。そして、放熱部37が低圧側コイル16,17の挟持力により所定の接触圧力でラミネートコイル11に接し、放熱部38の絶縁層40からの露出部が取付ねじの締着力により端子台24に接している。低圧側コイル17とプリント配線板35の放熱部38との間に絶縁層40が介在し、両者の電気的絶縁が確保されている。
そこで、ラミネートコイル11での発熱は、放熱部37、ビア39および放熱部38を介して端子台24に伝達され、ベースプレート20から放熱されるので、ラミネートコイル11の温度上昇が抑制される。
また、低圧側コイル17での発熱が、絶縁層40および放熱部38を介して端子台24に伝達され、ベースプレート20から放熱されるので、低圧側コイル17の温度上昇が抑制される。
なお、上記実施の形態12では、放熱部37がプリント配線板35の一面に露出するように形成されているものとしているが、ソルダレジストなどの絶縁層をプリント配線板35の一面に形成してもよい。この場合、放熱部37が絶縁層を介してラミネートコイル11と熱的に接続状態となっており、ラミネートコイル11での発熱は、絶縁層を介して放熱部37に伝達され、ビア39、放熱部38および端子台24を介してベースプレート20から放熱される。
また、上記実施の形態12では、銅箔が両面に張られたプリント配線板35を用いるものとしているが、プリント配線板は、銅箔が一面に張られたプリント配線板を用いてもよいし、銅箔が3層以上に張られたプリント配線板を用いてもよい。例えば、銅箔が3層以上に張られたプリント配線板を用いる場合、ビアを形成して各層の銅箔を熱的に接続すればよい。
実施の形態13.
図27はこの発明の実施の形態13に係る共振コイルの実装状態を説明する要部断面図、図28は図27のXXVIII−XXVIII矢視断面図である。
図27および図28において、第2押さえばねとしての板ばね28が、先端側の二股部内にE型コア18の中足18aを入れるように配置され、その根元側を、ベースプレート20に立設された端子台29に板ばね26とともに締着固定されている。これにより、ラミネートコイル11が板ばね28の付勢力によりプリント配線板15に押付けられる。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
このように構成された共振コイル50Bにおいても、ラミネートコイル11が板ばね28の付勢力によりプリント配線板15に押付けられているので、第1導体配線12および第2導体配線13での発熱が、プリント配線板15を介して放熱され、ラミネートコイル11の過度の温度上昇が抑えられる。
また、ラミネートコイル11をプリント配線板15に押圧する板ばね28と、I型コア19をE型コア18に押圧する板ばね26とが、端子台29に共締めされているので、板ばね28専用の端子台が不要となる。
実施の形態14.
図29はこの発明の実施の形態14に係るラミネートコイルの構成を説明する分解斜視図、図30はこの発明の実施の形態14に係る共振コイルの実装状態を説明する要部断面図である。
図29および図30において、放熱板として機能する金属板56は銅、アルミなどの所定厚みの金属平板をプレス成形により打ち抜いて作製され、欠落部56bを有する不完全環状体56aと、不完全環状体56aの欠落部56bの反対側から径方向外方に突設された第1取付部56cと、を有する。ラミネートコイル55は、絶縁性フィルム14、第1導体配線12、絶縁性フィルム14、金属板56、絶縁性フィルム14、第2導体配線13、絶縁性フィルム14の順に重ね、絶縁性フィルム14の片面若しくは両面に塗布された接着剤により接着一体化してリング状平板に作製される。このラミネートコイル55は、上記実施の形態3と同様に、プリント配線板15に取り付けられる。
そして、弾性部材51、ラミネートコイル55およびプリント配線板15の積層体の中心穴にE型コア18の中足18aを挿入し、I型コア19をE型コア18の中足18aおよび外足18b、18cの先端面に接するように配設し、共振コイル50Cが組み立てられる。
このように組み立てられた共振コイル50Cは、筐体の底面を構成する金属製のベースプレート20上に配置される。そして、プリント配線板15が、図示していないが、ベースプレート20に立設された端子台24に締着固定される。ラミネートコイル55の金属板56の第1取付部56cが、ベースプレート20に立設された端子台27に締着固定される。さらに、I型コア19が、ベースプレート20に立設された端子台29に締着固定された板ばね26によりE型コア18に押圧され、共振コイル50Cがベースプレート20に取り付けられる。このとき、板ばね26の押付力がI型コア19を介して弾性部材51に作用し、ラミネートコイル55がプリント配線板15に押付けられる。
したがって、この実施の形態14においても、上記実施の形態3と同様の効果が得られる。
この実施の形態14によれば、金属板56の不完全環状体56aが第1導体配線12と第2導体配線13との間に絶縁性フィルム14を介して介装され、かつベースプレート20に熱的に接触状態となっているので、第1導体配線12と第2導体配線13での発熱が金属板56を介して端子台27に伝達され、ベースプレート20から放熱され、ラミネートコイル55の温度上昇が抑えられる。
なお、上記実施の形態14では、ラミネートコイル55を共振コイルに適用するものとしているが、ラミネートコイル55をトランスに適用しても同様の効果が得られる。そして、ラミネートコイル55内に配設されている金属板56が欠落部56bを有する不完全環状体56aに作製され、かつ第1取付部56cがベースプレート20と電気的に接続状態となっているので、トランスとして機能した場合に、不必要な電流が金属板56に流れることがなく、損失の発生が抑えられる。
実施の形態15.
図31はこの発明の実施の形態15に係るラミネートコイルの構成を説明する分解斜視図、図32はこの発明の実施の形態15に係る共振コイルを示す断面図である。
図31および図32において、放熱板として機能する金属板57は銅、アルミなどの所定厚みの金属平板をプレス成形により打ち抜いて作製され、欠落部57bを有する不完全環状体57aと、不完全環状体57aの欠落部57bの反対側から径方向外方に突設された第1取付部57cと、不完全環状体57aの欠落部57b側の両端から径方向外方に突設された第2取付部57dと、を有する。ラミネートコイル55Aは、絶縁性フィルム14、第1導体配線12、絶縁性フィルム14、金属板57、絶縁性フィルム14、第2導体配線13、絶縁性フィルム14の順に重ね、絶縁性フィルム14の片面若しくは両面に塗布された接着剤により接着一体化して作製される。このラミネートコイル55Aは、上記実施の形態14と同様に、プリント配線板15に取り付けられる。
そして、図示していないが、弾性部材51、ラミネートコイル55Aおよびプリント配線板15の積層体の中心穴にE型コア18の中足18aを挿入し、I型コア19をE型コア18の中足18aおよび外足18b、18cの先端面に接するように配設し、共振コイル50Dが組み立てられる。
このように組み立てられた共振コイル50Dは、上記実施の形態14と同様に、筐体の底面を構成する金属製のベースプレート20上に配置される。そして、プリント配線板15が、ベースプレート20に立設された端子台24に締着固定される。ラミネートコイル55Aの金属板57の第1取付部57cが、ベースプレート20に立設された端子台27に電気的に接続状態に締着固定される。また、第2取付部57dが、ベースプレート20に立設された端子台に電気的に絶縁状態に締着固定される。さらに、I型コア19が、ベースプレート20に立設された端子台29に締着固定された板ばね26によりE型コア18に押圧され、共振コイル50Dがベースプレート20に取り付けられる。このとき、板ばね26の押付力がI型コア19を介して弾性部材51に作用し、ラミネートコイル55Aがプリント配線板15に押付けられる。
したがって、この実施の形態15においても、金属板57が第1導体配線12と第2導体配線13との間に絶縁性フィルム14を介して介装されているので、第1導体配線12と第2導体配線13での発熱が金属板57を介して端子台27に伝達され、ベースプレート20から放熱され、ラミネートコイル55Aの温度上昇が抑えられる。
なお、上記実施の形態15では、ラミネートコイル55Aを共振コイルに適用するものとしているが、ラミネートコイル55Aをトランスに適用しても同様の効果が得られる。ラミネートコイル55A内に配設されている金属板57が欠落部57bを有する不完全環状体57aに作製され、かつ第1取付部57cがベースプレート20と電気的に接続状態となり、第2取付部57dがベースプレート20と電気的に絶縁状態となっているので、トランスとして機能した場合に、不必要な電流が金属板57に流れることがなく、損失の発生が抑えられる。
実施の形態16.
図33はこの発明の実施の形態16に係るラミネートコイルの構成を説明する分解斜視図、図34はこの発明の実施の形態16に係る共振コイルを示す断面図である。
図33および図34において、放熱板として機能する金属板58は銅、アルミなどの所定厚みの金属平板をプレス成形により打ち抜いて作製され、弧状体58aと、弧状体58aの一端から突設された第1取付部58bと、弧状体58aの他端から突設された第2取付部58cと、を有する。ラミネートコイル55Bは、絶縁性フィルム14、第1導体配線12、絶縁性フィルム14、2本の金属板58、絶縁性フィルム14、第2導体配線13、絶縁性フィルム14の順に重ね、絶縁性フィルム14の片面若しくは両面に塗布された接着剤により接着一体化して作製される。2本の金属板58は、弧状体58aが第1導体配線12および第2導体配線13と積層方向に重なるように、相対して配設されている。このラミネートコイル55Bは、上記実施の形態14と同様に、プリント配線板15に取り付けられる。
そして、図示していないが、弾性部材51、ラミネートコイル55Bおよびプリント配線板15の積層体の中心穴にE型コア18の中足18aを挿入し、I型コア19をE型コア18の中足18aおよび外足18b、18cの先端面に接するように配設し、共振コイル50Eが組み立てられる。このとき、2本の金属板58は、弧状体58aが中足18aを取り囲むように配置されている。
このように組み立てられた共振コイル50Eは、上記実施の形態14と同様に、筐体の底面を構成する金属製のベースプレート20上に配置される。そして、プリント配線板15が、ベースプレート20に立設された端子台24に締着固定される。ラミネートコイル55Bの各金属板58の第1取付部58bが、ベースプレート20に立設された端子台27に電気的に接続状態に締着固定される。また、第2取付部58cが、ベースプレート20に立設された端子台に電気的に絶縁状態に締着固定される。さらに、I型コア19が、ベースプレート20に立設された端子台29に締着固定された板ばね26によりE型コア18に押圧され、共振コイル50Eがベースプレート20に取り付けられる。このとき、板ばね26の押付力がI型コア19を介して弾性部材51に作用し、ラミネートコイル55Bがプリント配線板15に押付けられる。
したがって、この実施の形態16においても、金属板58が第1導体配線12と第2導体配線13との間に絶縁性フィルム14を介して介装されているので、第1導体配線12と第2導体配線13での発熱が金属板58を介して端子台27に伝達され、ベースプレート20から放熱され、ラミネートコイル55Bの温度上昇が抑えられる。
なお、上記実施の形態16では、ラミネートコイル55Bを共振コイルに適用するものとしているが、ラミネートコイル55Bをトランスに適用しても同様の効果が得られる。ラミネートコイル55B内に配設されている2本の金属板58が離間して配置され、かつ第1取付部58bがベースプレート20と電気的に接続状態となり、第2取付部58cがベースプレート20と電気的に絶縁状態となっているので、トランスとして機能した場合に、不必要な電流が金属板58に流れることがなく、損失の発生が抑えられる。