以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るスイッチング電源装置であるDC−DCコンバータ100の構成を説明する斜視図であり、図2は、図1のDC−DCコンバータ100の回路図である。図1,2に示すDC−DCコンバータ100は、例えば100Vから500V程度の電圧を蓄電する高圧バッテリ等から供給される高圧の直流入力電圧Vinを低圧の直流出力電圧Voutに変換し、12〜16V程度の電圧を蓄電する低圧バッテリ等へ供給する機能を有する。
DC−DCコンバータ10は、図1に示すように、筺体101の底面を構成するベースプレート102に対して、スイッチング回路120と、入力平滑回路(入力フィルタ)130と、トランス140と、整流回路150と、チョークコイル161及び出力平滑回路(出力フィルタ)162からなる平滑回路160と、が固定されている。
このDC−DCコンバータ100の回路構成としては、図2に示すように、1次側高圧ライン121と1次側低圧ライン122との間に設けられたスイッチング回路120及び入力平滑回路130と、1次側及び2次側コイル141,142(142A,142B)を有するトランス140と、2次側コイル142に接続された整流回路150と、整流回路150に接続された平滑回路160と、を備えている。
スイッチング回路120は、スイッチング素子S1〜S4(これら4つのスイッチング素子S1〜S4をスイッチング素子124とする)で構成されたフルブリッジ型の回路により構成され、例えば駆動回路(不図示)から供給される駆動信号に応じて、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを入力交流電圧に変換する。このスイッチング素子S1〜S4としては、例えば電界効果型トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が用いられる。また、DC−DCコンバータ100の回路には、スイッチング回路120のスイッチング素子124と直列接続する共振コイル125がさらに設けられる。この共振コイル125は、トランス140の1次側コイル導体141とも直列接続し、自コイルのインダクタンス分と、スイッチング回路120を構成するスイッチング素子124のそれぞれ(S1〜S4)に並列接続するキャパシタンス(図示せず)分と、が共振することにより、スイッチング素子のスイッチング損失を小さくするように機能する。
入力平滑コンデンサ130は、入力端子T1、T2から入力された直流入力電圧Vinを平滑化する。トランス140は、スイッチング回路120で生成された入力交流電圧を変圧し、出力交流電圧を出力する。なお、1次側及び2次側コイル141,142の巻数比は、変圧比によって適宜設定される。本実施形態に係るDC−DCコンバータ100では、1次側コイル導体141の巻数は2次側コイル142の巻数よりも多い。なお、本実施形態に係るDC−DCコンバータ100の2次側コイル142はセンタータップ型のものであり、整流ダイオード151A側の2次側コイル142Aと、整流ダイオード151B側の2次側コイル142Bとの間に接続部Cが設けられ、この接続部Cから出力ラインLOを介して出力端子T3に導かれている。
整流回路150は、整流ダイオード151A,151Bからなる単相全波整流型のものである。各整流ダイオード151A,151Bのカソードは、それぞれ2次側コイル142A,142Bに接続されている一方、アノードは、接地ラインLGに接続され、出力端子T4に導かれている。これにより、整流回路150は、トランス140からの出力交流を、個別に整流して直流電圧を生成する。
平滑回路160は、チョークコイル161と出力平滑コンデンサ162とを含んで構成される。チョークコイル161は、出力ラインLOに挿入配置されている。出力平滑コンデンサ162は、出力ラインLOにおいてチョークコイル161と接地ラインLGとの間に接続されている。これにより、平滑回路160は、整流回路150で整流された直流電圧を平滑化して直流出力電圧Voutを生成し、この直流出力電圧Voutを出力端子T3,T4から低圧バッテリ等へ供給する。
以上のように構成されたDC−DCコンバータ100において、1次側の入力端子T1,T2から供給される直流入力電圧Vinがスイッチングされて入力交流電圧が生成され、トランス140の1次側コイル導体141へと供給される。そして、生成された入力交流電圧が変圧され、2次側コイル142から出力交流電圧として出力される。そして、この出力交流電圧が整流回路150によって整流されると共に平滑回路160によって平滑化され、2次側の出力端子T3,T4から直流出力電圧Voutとして出力されることとなる。
上記のDC−DCコンバータ100が固定される筺体101のベースプレート102は、ベースプレート102上の各素子及びこれらを連結する導線や回線基板等を冷却する放熱部材としての機能を有する。具体的には、ベースプレート102を含む筐体101はアルミニウム等の金属からなり、ベースプレート102の裏面側(図1の下側:各素子や基板が固定される面とは逆の面側)には放熱用のフィンが取り付けられる。そして、この放熱用のフィンが空冷されてベースプレート102の裏面側が冷却されることで、ベースプレート102の表面側に固定されたDC−DCコンバータ100の各素子に対して高電流が流れることによって各素子で発生する熱がベースプレート102に吸収され、ベースプレート102の裏面側から外部に放熱される。このように、ベースプレート102はヒートシンクとして機能する。なお、ベースプレート102と放熱用のフィンとは上記のように互いに異なる部材から構成されていてもよいし、同一の部材から構成されていてもよい。また、空冷による放熱用のフィンを取り付ける構成に代えて、ベースプレート102の裏面側に水冷用の冷却液流路を設けて、ベースプレート102の裏面側を水冷することで、ベースプレート102の裏面側から外部に放熱する構成としてもよい。
このほか、本実施形態に係るDC−DCコンバータ100は、筺体101を覆う外装カバー、外部の機器と電気的に接続するための入力側及び出力側の端子台、及び、上記の各素子に対して駆動信号を送信して各素子の駆動を制御する駆動回路を備える。そして、DC−DCコンバータ100では、上記の各回路が機能することによって、入力側の端子から入力された高圧の直流入力電圧Vinを低圧の直流出力電圧Voutに変換し出力側の端子から出力する機能を有する。
次に、図1,2に示すDC−DCコンバータ100を構成するコイル部品10について説明する。
図3は、図1のDC−DCコンバータ100を構成するコイル部品10の構造を示す斜視図であり、図4は、図3のコイル部品10の分解斜視図であり、図5は、図4のコイル部品10のうち第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80を除く構成の分解斜視図である。図3〜図5に示すように、コイル部品10は、1次側コイル基板20と、2次側コイル30,40と、第1の磁性体コア70と、第2の磁性体コア80と、を備えており、これらは、図1,図2に示すDC−DCコンバータ100の共振コイル125及びトランス140として機能する(機能の詳細については後述する)。
1次側コイル基板20は平板状の基板であって、電気絶縁性を有する樹脂等の絶縁部材からなる基板の内部に銅等の金属からなる導体が埋め込まれたものである。この1次側コイル基板20は、絶縁部材とコイル及び導体配線となる導体とが交互に積層されることによって作成され、これらの導体は、1次側コイル基板20の上面側に設けられた第1端子部21及び第2端子部22において外部の装置等と電気的に接続することができる。
また、1次側コイル基板20は、共振コイル125を形成するための厚さ方向(図4に示すZ軸方向)に貫通する円形の開口23を備える。そしてこの開口23の周囲には厚さ方向に沿って円弧状の絶縁体により形成された円弧部23Aが設けられる。また、この円弧部23Aの外周部分のうち、開口23の中心からY軸の負方向に延びる領域には、円弧部23Aの外周部分に沿って開口24が設けられると共に、円弧部23Aの外周部分のうち開口23の中心からY軸の正方向に延びる領域は外部に露出する露出部25となり、この露出部25は1次側コイル基板20の側壁の一部を形成している。さらに、図5に示すように、1次側コイル基板20は、トランス140を形成するための厚さ方向に貫通する円形の開口26,27を備える。この開口26,27は、図4に示すX軸方向に沿って並設される。
ここで、図6を用いて、1次側コイル基板20の内部の導体の配置について説明する。図6は、1次側コイル基板20内の導体の配置を模式的に示す図である。1次側コイル基板20は、エポキシ樹脂等の樹脂からなる3層の絶縁層と、それらを挟む4層の導体層が厚さ方向(Z軸方向)に積層された4層基板である。そして、1次側コイル基板20では、表面側と裏面側とにある導体層を除いた多層基板内部の2層の導体層(表面側の導体層を第1層として、第2層と第3層)がそれぞれコイルを形成するための導体配線層として用いられていて、1次側コイル基板20内の導体が形成されている。上記の4層基板では、3層の絶縁層のうちの表面側の絶縁層の厚みと裏面側の絶縁層の厚みが等しく、4層の導体層のうち第1層の厚みと第4層の厚みが等しく、また、第2層の厚みと第3層の厚みが等しい。また、表面側及び裏面側の導体層のうち第1端子部21及び第2端子部22の周囲以外の導体は取り除かれている。したがって、本実施形態に係る1次側コイル基板20の表面側及び裏面側は、第1端子部21及び第2端子部22の周囲を除く領域が絶縁層により覆われている。
図6に示すように、1次側コイル基板20の内部の2層の導体配線層には、開口23の周囲を巻回する第1コイル部212と、開口26の周囲を巻回する第2コイル部214と、開口27の周囲を巻回する第3コイル部216と、が導体パターン等によって形成されている。また、1次側コイル基板20の内部には、第1端子部21と第1コイル部212の一端との間、第1コイル部212の他端と第2コイル部214の一端との間、第2コイル部214の他端と第3コイル部216の一端との間、そして、第3コイル部216の他端と第2端子部22とをそれぞれ接続する接続部211,213,215及び217が導体パターン等によって形成されている。なお、図6は導体の配置及びその接続関係を模式的に示す図であり、第1コイル部212、第2コイル部214、第3コイル部216を構成する導体は、図5において破線で示すように、開口23,26,27の周囲に設けられた第1コイル部領域212A、第2コイル部領域214A,第3コイル部領域216A内を占めるように設けられる。また、図6では、第1コイル部212、第2コイル部214及び第3コイル部216は、2層の導体配線層の各層において導体が開口の周囲をそれぞれ1周ずつ巻回することで各開口の周囲を2周ずつ巻回する構成について説明しているが、2層の導体配線層の各層において開口を複数周巻回する構成とすることもできる。
上記の構成を有する1次側コイル基板20では、1次側コイル基板20の第1端子部21から1次側コイル基板20に入力した電流は、接続部211を経て円弧部23Aの内部に到達し1次側コイル基板20を厚さ方向上部から見たときに、上方から下方に向かって右回りで開口23の周囲を巻回する第1コイル部212を流れ、第1コイル部212から接続部213を経て第2コイル部214に到達する。そして、第2コイル部214の一端に到達した電流は、1次側コイル基板20を厚さ方向上部から見たときに、下方から上方に向かって右回りで開口26の周囲を巻回する第2コイル部214を流れて、第2コイル部214から接続部215を経て第3コイル部216に到達する。そして、第3コイル部216の一端に到達した電流は、1次側コイル基板20を厚さ方向上部から見たときの方から上方に向かって右回りで開口26の周囲を巻回する第2コイル部214を流れて、第2コイル部214から接続部215を経て第3コイル部216に到達する。
図3,4に戻って、2次側コイル30,40は、銅等の導体板をそれぞれ打ち抜くこと等によって形成され、1次側コイル基板20の厚さ方向に沿って両側から1次側コイル基板20の一部を挟むように配置される。具体的には、2次側コイル30は、1次側コイル基板20の上方側(Z軸の正方向)に設けられ、2次側コイル40は、1次側コイル基板20の下方側(Z軸の負方向)に設けられる。
2次側コイル30は、図5の上方から見たときにいわゆるS字状を呈しており、X軸方向に沿って並設される2つの開口36,37を有する。これらの開口36,37は、1次側コイル基板20に設けられた開口26,27よりもその内径が大きく、1次側コイル基板20と2次側コイル30とを重ねたときに、1次側コイル基板20の開口26,27とそれぞれ連通するように設けられる。そして、2次側コイル30は開口36,37をC字状に互いに異なる方向へ周回するような形状とされている。そして、開口36から2次側コイル30の外周までY軸の負方向に延びるスリット38と開口37から2次側コイル30の外周までX軸の正方向に延びるスリット39が設けられている。
また、S字状の2次側コイル30の一端部には、開口37の中心軸線Bに対して外側へ突出する第1端子部31が設けられており、2次側コイル30の他端部には、開口36の中心軸線Aに対して外側へ突出する第2端子部32が設けられている。このような2次側コイル30では、第1端子部31を2次側コイル30の始端とし、第2端子部32を2次側コイル30の終端とした場合、第1端子部31に入力された電流は、開口37の周囲を図5の上方から見たときに左回りとなるように流れた後、開口36の周囲を図5の上方から見たときに右回りとなるように流れ、第2端子部32から出力される。
2次側コイル40は、図5の上方から見たときにいわゆるS字状に対して線対称な形状(逆S字状)を呈しており、X軸方向に沿って並設される2つの開口46,47を有する。これらの開口46,47は、1次側コイル基板20の開口26,27よりもその内径が大きく、1次側コイル基板20と2次側コイル40とを重ねたときに、1次側コイル基板20の開口26,27とそれぞれ連通するように設けられる。そして、2次側コイル40は開口46,47の周囲をC字状に互いに異なる方向へ周回するような形状とされている。そして、開口46から2次側コイル40の外周までX軸の負方向に延びるスリット48と開口47から2次側コイル40の外周までY軸の負方向に延びるスリット49が設けられている。
また、逆S字状の2次側コイル40の一端部には、開口46の中心軸線Aに対して外側へ突出する第1端子部41が設けられており、2次側コイル40の他端部には、開口47の中心軸線Bに対して外側へ突出する第2端子部42が設けられている。このような2次側コイル巻線40では、第1端子部41を2次側コイル40の始端とし、第2端子部42を2次側コイル40の終端とした場合、第1端子部41に入力された電流は、開口46の周囲を図5の上方から見たときに右回りとなるように流れた後、開口47の周囲を図5の上方から見たときに左回りとなるように流れ、第2端子部42から出力される。
さらに、2次側コイル41は、第1端子側41側にチョークコイル161と電気的に接続するための接続端子43を備える。また、2次側コイル30の第2端子部32と2次側コイル40の第1端子部41とが電気的に接続するように、ネジ60によって固定される。すなわち、ネジ60によって固定された2次側コイル30の第1端子部32及び2次側コイル40の第1端子部41は、図2に示す2次側コイル142Aと2次側コイル142Bとの間の接続部Cに対応する。そして、2次側コイル30,40は、それぞれ図2に示す2次側コイル142A,142Bに対応する。
上記の2次側コイル30,40は、図5に示すように、1次側コイル基板20を挟むように1次側基板20に対して固定される。このとき、2次側コイル30の開口36と、1次側コイル基板20の開口26と、2次側コイル40の開口46と、が同軸上で連通し(すなわち、それぞれの開口26,36,46の中心がそれぞれZ軸方向に延びる中心軸線A上となり)、且つ、2次側コイル30の開口37と、1次側コイル基板20の開口27と、2次側コイル40の開口47と、が同軸上で連通する(すなわち、それぞれの開口27,37,47の中心がそれぞれZ軸方向に延びる中心軸線B上となる)ように、1次側基板20及び2次側コイル30,40が配置される。
そして、上記の2次側コイル30,40と1次側コイル基板20とは、リベットにより固定される。具体的には、図5の上方から見て、2次側コイル30、1次側コイル基板20、及び2次側コイル40をこの順序に重ねた後、2次側コイル30の位置決め孔301、1次側コイル基板20の位置決め孔201及び2次側コイル40の位置決め孔401を貫通するリベット501によってこれらが固定される。また、2次側コイル30と1次側コイル基板20とは、2次側コイル30の位置決め孔302及び1次側コイル基板20の位置決め孔202を貫通するリベット502により固定される。さらに、1次側コイル基板20と2次側コイル40とは、1次側コイル基板20の位置決め孔203及び2次側コイル40の位置決め孔403及びを貫通するリベット503により固定される。これにより、2次側コイル30,40と1次側コイル基板20とが密着して固定される。このとき、1次側コイル基板20の表面及び裏面に露出する絶縁部材により、1次側コイル基板20の内部に埋め込まれた導体と2次側コイル30,40との間の電気絶縁性が保たれている。
このように、1次側コイル基板20と2次側コイル30,40とがリベット501〜503によって一体化されることによって、ネジによって一体化する場合と比較して、振動によってネジが取れることを防止でき、耐久性が高められる。また、一体化する際の精度が高められるため、製造時のバラつきを小さくすることができる。さらに、ネジを用いて一体化する場合にはナットやワッシャー等の追加部材を必要とするが、リベットを用いる場合には追加部材を必要としないため、リベットによる固定はネジによる固定と比較して、作業性やコストの面でも優位である。なお、リベットに代えてネジを用いて2次側コイル30,40と1次側コイル基板20とを固定した場合であっても、リベットを用いてこれらを固定した場合と同様に、2次側コイル30,40と1次側コイル基板20との間はそれぞれ熱的に接続されることから、Z軸方向の熱伝達が効果的になされる。
図3,4に戻って、一体化された1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40には、第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80が取り付けられる。
第1の磁性体コア70は、1次側コイル基板20内の第2コイル部214及び第3コイル部216と、2次側コイル30,40とを磁気的に接続するためのものである。すなわち、トランス140は、1次側コイル基板20内の第2コイル部214及び第3コイル部216からなる1次側コイル導体と、2次側コイル30,40とを含んで構成され、第1の磁性体コア70はこのトランス140に用いられる磁性体コアである。この第1の磁性体コア70は、例えばフェライト等の磁性材料で形成される。また、第1の磁性体コア70は、2つの円柱状の脚部71A,71Bを備えたいわゆるU型コアである上部コア71と、いわゆるI型コアである下部コア73とを含んでおり、これらが固定部材によって互いに連結されることによって固定される。すなわち、第1の磁性体コア70はいわゆるUI型の磁性体コアである。
この第1の磁性体コア70の上部コア71の脚部71Aは、図5で示す中心軸線Aに沿って1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40の開口26,36,46に挿入される。また、上部コア71の脚部71Bは、図5で示す中心軸線Bに沿って1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40の開口27,37,47に挿入される。そして、この上部コア71及び下部コア73が、1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40の一部を覆うと共に第1の磁性体コア70がX軸方向に延在するようにして、1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40に対して取り付けられる。
このとき、1次側コイル基板20の開口26の径は、2次側コイル30,40の開口36,46の径よりも小さくされていて、上部コア71の脚部71Aの外径は開口26の径と同等とされている。同様に、1次側コイル基板20の開口27の径は、2次側コイル30,40の開口37,47の径よりも小さくされていて、上部コア71の脚部71Bの外径は開口27の径と同等とされている。したがって、脚部71A及び脚部71Bは、開口26及び開口27を用いて高い精度で位置決めをできると共に、取り付けた際の左右方向への移動が抑制される。また、導体板からなる2次側コイル30,40の開口径が1次側コイル基板20の開口径よりも小さくされていることで、脚部71A,71Bが挿入された場合に、この脚部71A,71Bと2次側コイル30,40とが離間した状態で保持される。したがって、従来のトランスのように導体板からなるコイルと第1の磁性体コア70の脚部71A,71Bとの間に電気絶縁性を保つためのボビン等の部品を新たに用いる必要が無く、1次側コイル導体(第2コイル部124及び第3コイル部126)及び2次側コイル30,40と第1の磁性体コア70との間の電気絶縁性を達成することができる。
上記のように、一体化された1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40に対して第1の磁性体コア70が固定されて、1次側コイル基板20の内部に設けられた導体からなる配線に電流が流れることで、第2コイル部214及び第3コイル部216の開口内を通る磁束が発生し、中心軸線Aを流れる方向と中心軸線Bを流れる方向とが互いに逆となるように第1の磁性体コア70の内部を磁束が通る磁気回路が形成される。これにより、1次側コイル導体141と2次側コイル142A,142Bとが磁気的に接続する。すなわち、このトランス140では、1次側コイル基板20の第2コイル部214及び第3コイル部216が巻数4ターンの1次側コイル導体141として機能する。一方、2次側コイル30,40は、それぞれが巻数1ターンの2次側コイル142A,142Bとして機能する。
第2の磁性体コア80は、1次側コイル基板20内の第1コイル部212に対して取り付けられる。この第2の磁性体コア80が取り付けられる第1コイル部212は、共振コイル125に相当し、第2の磁性体コア80はこの共振コイル125に用いられる磁性体コアである。第2の磁性体コア80は、例えばフェライト等の磁性材料で形成される。また、第2の磁性体コア80は、3つの脚部81A〜81Cを備えたいわゆるE型コアである上部コア81と、いわゆるI型コアである下部コア83とを含んでおり、これらが固定部材によって互いに連結されることによって固定される。すなわち、第2の磁性体コア80はいわゆるEI型の磁性体コアである。
この第2の磁性体コア80の上部コア81の脚部81Aは、1次側コイル基板20の開口23に挿入される。また、上部コア81の脚部81Bは、1次側コイル基板20の円弧部23Aの外周部分に沿って設けられた開口24に挿入される。また、上部コア81の脚部81Bは、円弧部23Aの外周部分のうち1次側コイル基板20の側面を構成する露出部25に沿うように配置される。そして、この上部コア81及び下部コア83が、1次側コイル基板20の一部を覆うと共に第2の磁性体コア80がY軸方向に延在するようにして、1次側コイル基板20に対して取り付けられる。上記のように第2の磁性体コア80が固定されて、1次側コイル基板20の内部に設けられた導線に電流が流れることで、共振コイル125に相当する第1コイル部212の開口部を通る磁束が発生し、第2の磁性体コア80の内部を磁束が通る磁路が形成される。
次に、上述の1次側コイル基板20、2次側コイル30,40、第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80を含むコイル部品10を収容する筺体101の形状について図7〜図9を用いて説明する。図7は、筺体101のうちコイル部品10を収容する部分の形状を示す斜視図であり、図8は、図7の筐体101に対してコイル部品10及び1次側回路基板90が収容された状態のVIII−VIII矢視図であり、図9は、図7の筐体101に対してコイル部品10が収容された状態のIX−IX矢視図である。
図7に示すように、筺体101の底面を構成するベースプレート102は、コイル部品10の形状に対応した凹凸がつけられている。具体的には、第1の磁性体コア70の下部コア73が配置される位置には第1の磁性体コア70の下部コア73の形状に対応した凹部111が設けられて、コイル部品10は、下部コア73の底面と側面とがそれぞれ凹部111及びこの凹部111の側壁111Aと接するようにベースプレート102に対して取り付けられる。このように、ベースプレート102の側壁111Aが下部コア73の側面に対応する位置に設けられることで、下部コア73がベースプレート102に対して固定されると共に、下部コア73とベースプレート102とが接する面積が大きくなり、下部コア73からベースプレート102に対して好適に放熱することができるため、ベースプレート102による冷却効果が高められる。同様に、第2の磁性体コア80の下部コア83が配置される位置にも下部コア83の形状に対応した凹部112が設けられて、コイル部品10は、第2の磁性体コア80の下部コア83の底面と側面とがそれぞれ凹部112及びこの凹部112の側壁112Aと接するようにベースプレート102に対して取り付けられる。これによって、下部コア83がベースプレート102に対して固定されると共に、下部コア83とベースプレート102とが接する面積が大きくなり、下部コア83からベースプレート102に対して好適に放熱することができるため、ベースプレート102による冷却効果が高められる。
また、上記のコイル部品10を構成する1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40は、ネジ止めによってベースプレート102に対して固定される。具体的には、ベースプレート102に対して固定するために、2次側コイル30にはネジ穴311,312が設けられ、2次側コイル40にはネジ穴411,412が設けられる。そしてこれらのネジ穴にそれぞれ挿入されたネジ(図1に示すネジ511A〜511D)がベースプレート102に設けられたネジ穴115A〜115Dに対して締結されることによって、1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40がベースプレート102に対して固定される。これにより、2次側コイル30,40は、それぞれベースプレート102と熱的に接続されている。
なお、このネジ止めの際には、1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40とベースプレート102との間で電気絶縁性が保たれるように、1次側コイル基板20及び2次側コイル30,40とネジとの間に、必要に応じてシリコーン等からなる絶縁シートが配置される。また、第1の磁性体コア70や第2の磁性体コア80とベースプレート102との間にも必要に応じて絶縁シートを挟み込む態様としてもよい。
さらに、ベースプレート102には、コイル部品10がベースプレート102上に配置された際に1次側コイル基板20の裏面側の伝熱領域29と熱的に接続する凸部113が形成されている。このベースプレート102の凸部113と接する1次側コイル基板20の伝熱領域29は、図3に示すように図示上部から見たときに2次側コイル30,40、第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80のいずれとも重ならない領域である。ここで、ベースプレート102と1次側コイル基板20との電気絶縁性を高めるために、図7〜図9に示すように、ベースプレート102と1次側コイル基板20との間にはシリコーン等からなる絶縁シート114が設けられる。また、図8、図9に示すように、ベースプレート102側の2次側コイル40とベースプレート102にも電気絶縁性を高めるためにシリコーン等からなる絶縁シート116が設けられる。1次側回路基板90と1次側コイル基板20との熱的接続性の点から、絶縁シート114の厚みは、絶縁シート116よりも大きいことが好ましく、また、粘着性を有する材料であることが好ましい。この絶縁シート114が粘着性を有している場合には、絶縁シート114に対してベースプレート102と1次側コイル基板20とが密着し、また、絶縁シート116が粘着性を有している場合には、絶縁シート116に対してベースプレート102と2次側コイル40とが密着することから、振動等による衝撃を吸収する効果をさらに有する。また、絶縁シート116を介してベースプレート102側の2次側コイル40はベースプレート102と熱的に接続されるため、2次側コイル40で発生した熱は、1次側コイル基板20の伝熱領域29を経由せずベースプレート102に対して直接放熱される。なお、2次側コイル30で発生した熱は、2次側コイル30のネジ穴311,312に挿入されたネジ511A,511Bを介してベースプレート102に対して放熱可能であることに加えて、2次側コイル30から1次側コイル基板20へ伝熱し、1次側コイル基板20の伝熱領域29を介してベースプレート102に対して放熱することもできる。
なお、伝熱領域29の上部には、図6に示すように1次側コイル基板20内の導体配線のうち接続部211,213,217の一部が伝熱領域29に対応する位置(すなわち、上方から見たときに伝熱領域29に対して重なる位置)に設けられていて、導体配線と伝熱領域29とがより近接するように配置されている。さらに、この伝熱領域29は、トランス140の一部を構成する第2コイル部214及び第3コイル部216と、共振コイル125に相当する第1コイル部212との間に設けられている。すなわち、伝熱領域29は、第1コイル部212と、第2コイル部214と、第3コイル部216とで近接して囲まれる領域に設けられている。具体的には、第1コイル部212及び開口23と、第3コイル部216及び開口27とが、伝熱領域29の二方向(図6の−X方向と−Y方向)に個別に隣接配置され、第2コイル部214及び開口26が、伝熱領域29の二方向に挟まれた方向に隣接配置されている。また、伝熱領域29は、第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80がコイル部品10に対して取り付けられたときに、第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80のいずれとも隣接する領域に設けられている。なお、1次側コイル基板20に含まれる導体配線のうち、伝熱領域29に対応する位置に設けられる導体配線の割合を高くすることで伝熱領域29による放熱効果が高くすることができるが、本実施形態では接続部211,213,217の一部が伝熱領域29の上部に設けられている場合であっても、伝熱領域29を介した放熱効果が高められる。また、伝熱領域29は、本実施形態のように第1コイル部212と、第2コイル部214と、第3コイル部216とで近接して囲まれる領域でなくてもよく、例えば、コイル部の一部が伝熱領域29に対応する位置に設けられる構成であってもよい。
次に、図10及び図11を参照しながら、コイル部品10の1次側コイル基板20と電気的に接続し、スイッチング回路120が接続された1次側回路基板90について説明する。図10は、コイル部品10及び1次側回路基板90の構成を説明する分解斜視図であり、図11は、図10のコイル部品10及び1次側回路基板を裏面側から見た斜視図である。なお、図10,図11では、コイル部品10に含まれる第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80は図示していない。
1次側回路基板90は、エポキシ樹脂等の樹脂からなる3層の絶縁層と、それらを挟む4層の導体層が厚さ方向(Z軸方向)に積層された4層基板である。その表面には、スイッチング電源装置の1次側の回路を形成する入力平滑回路130と、スイッチング回路120を構成するスイッチング素子124が設けられると共に、スイッチング回路120の出力と共振コイル125及びトランス140とを電気的に接続する第1端子部91及び第2端子部92を備えており、その裏面には、表面に設けられたスイッチング素子124等の端子を半田付けによって取り付けるためのランドが形成されている。そして、1次側回路基板90では、表面側と裏面側とにある導体層を除いた多層基板内部の2層の導体層が配線層として用いられている。なお、1次側回路基板90において、スイッチング回路120を構成するスイッチング素子124は、スイッチング素子端子部が1次側回路基板90に接続され、スイッチング素子本体部がベースプレート102に熱的に接続するように搭載されているが、1次側回路基板90とスイッチング素子124の本体部とが熱的に接続するように、スイッチング素子本体部が1次側回路基板90上に搭載されていてもよい。
そして、1次側回路基板90と、トランス140及び共振コイル125として機能するコイル部品10との間は、接続用バスバー95及びリベット223A,223Bによって接続されている。この接続用バスバー95は、具体的には1次側コイル基板10の第1端子部21と1次側回路基板90の第1端子部91とを接続するバスバー95Aと、1次側コイル基板10の第2端子部22と1次側回路基板90の第2端子部92とを接続するバスバー95Bと、を備える。このバスバー95A及びバスバー95Bのそれぞれはコの字形状であって、両端のリード端子部が基板間接続部により接続されている。このバスバー95A及びバスバー95Bの両端のリード端子部は、それぞれ1次側コイル基板20と1次側回路基板90とを貫通している。また、バスバー95A及びバスバー95Bのうち両端のリード端子部を繋ぐ基板間接続部は、1次側コイル基板20及び1次側回路基板90とは離間して設けられる。また、リベット223Aを1次側コイル基板20の位置決め孔204と1次側回路基板90の位置決め孔904とを貫通させて固定し、リベット223Bを1次側コイル基板20の位置決め孔205と1次側回路基板90の位置決め孔905とを貫通させて固定する。このように1次側回路基板90とコイル部品10との間についてもリベット223A,223Bで固定することにより、頑強性が高められている。また、1次側回路基板90とコイル部品10とが一体化された状態で筐体101に対して固定されていることで、DC−DCコンバータ100本体の振動による影響を少なくすることができ、信頼性の向上が図られている。
なお、上記の1次側回路基板90は、コイル部品10と接続する際に1次側コイル基板20と対向する側面のうち、1次側コイル基板20の円弧部23Aが露出する露出部25と対向する位置に切り欠き部93を有する。これは、第2の磁性体コア80の上部コア81の脚部81Cを挿入するためのものである。具体的には、1次側回路基板90と1次側コイル基板20とが接続用バスバー95及びリベット223A,Bによって接続されたときに露出部25と切り欠き部93によって形成される空間に対して脚部81Cが挿入されることで、共振コイル125に相当する第1コイル部212により発生した磁束を通すための第2の磁性体コア80が形成される。このように、1次側回路基板90と1次側コイル基板20によって形成された空間を上部コア81の脚部81Cを挿入する領域として利用することで、1次側回路基板90及び1次側コイル基板20の小型化が図られている。
上述した本実施形態に係るDC−DCコンバータ100は、例えば以下の工程によって製造される。すなわち、まず1次側コイル基板20に対して、2次側コイル30,40をリベットにより固定することで一体化しておく。次に、1次側回路基板90に対して入力平滑回路130やスイッチング素子124等を半田付けによって取り付け、その際に、接続用バスバー95を半田付けすることで、2次側コイル30,40と一体化された1次側コイル基板20と1次側回路基板90とを接続する。そして、2次側コイル30,40と一体化された1次側コイル基板20に対して第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80を取り付けると共にこれらを筺体101の所定の位置に載置して固定することで、コイル部品10及び1次側回路基板90がベースプレート102に対して取り付ける。このとき、コイル部品10の1次側コイル基板20とベースプレート102に設けられた凸部113との間及び2次側コイル40とベースプレート102との間にそれぞれ絶縁シート114,116を挟み込むように、コイル部品10及び1次側回路基板90がベースプレート102に対して取り付けられる。また、1次側回路基板90の裏面には、表面側に取り付けられた部品(平滑回路130,スイッチング素子124等)のリード型の接続端子が突き抜けているため、1次側回路基板90裏面とベースプレート102の表面とが離間するように所定の距離を隔てた状態で取り付けられる。さらに、2次側の回路に係る部品(チョークコイル161等)を筺体101に対して固定すると共に、先に取り付けた他の部品と互いに電気的に接続することによって、DC−DCコンバータ100を製造することができる。このように、接続用バスバー95を1次側コイル基板と1次側回路基板90とに対して半田付けすることで、トランス140と1次側の回路基板とを一度に接続することができるため、従来のようにそれぞれの回路基板を個別にベースプレート102に対して取り付ける場合と比較して作業性が向上されている。
以上説明したように、本実施形態に係るDC−DCコンバータ100のトランス140を構成するコイル部品10では、1次側コイル基板20に伝熱領域29が設けられ、この伝熱領域29と、放熱部材であるベースプレート102の凸部113とが熱的に接続されることによって、1次側コイル基板20で発生した熱、具体的には、トランス140を形成する第2コイル部214及び第3コイル部216で発生する熱をベースプレート102に対して好適に伝熱させることができる。すなわち、1次側コイル基板20側のコイルで発生した熱を2次側コイル30,40を介さずにベースプレート102に対して放熱することができるため、1次側コイル基板20の放熱効果を高めることができる。
また、本実施形態のDC−DCコンバータ100において、コイル部品10の2次側コイル30,40はそれぞれベースプレート102に対してネジ止めされている。すなわち、2次側コイル30,40がそれぞれベースプレート102と熱的に接続するため、2次側コイル30,40で発生した熱はこの接続部分(ネジ止め部分)からベースプレート102に対して好適に放熱される。さらに、本実施形態のDC−DCコンバータ100では、2次側コイル40は絶縁シート116を介してベースプレート102と熱的に接続していて、2次側コイル40で発生した熱をベースプレート102に対して好適に放熱することができる一方、2次側コイル30で発生した熱は、2次側コイル30から1次側コイル基板20へ伝熱し1次側コイル基板20の伝熱領域29を介してベースプレート102に対して放熱することもできる。
また、上記のコイル部品10では、ベースプレート102の凸部113と熱的に接続する伝熱領域29は、1次側コイル基板20内の導体配線(接続部211,213,217)の下部に設けられる。したがって、1次側コイル基板20内の導体配線と伝熱領域29との距離をより近くすることができ、伝熱領域29を介した放熱効果がさらに高められる。また、1次側コイル基板20内の導体配線を通じて1次側回路基板90に対して熱が伝導することを抑えることができる。
さらに、上記のDC−DCコンバータ100では、スイッチング素子124を始めとする1次側の回路が接続された1次側回路基板90と、トランス140を構成する1次側コイル基板20とが異なる基板から構成されることで、1次側コイル基板20におけるコイル導体及び導体配線の厚さを1次側回路基板90の導体配線の厚さよりも厚くして、1次側回路基板90の導体配線の断面積よりも1次側コイル基板20のコイル導体及び導体配線の断面積を大きくしているが、1次側コイル基板20における導体配線の厚さを1次側回路基板90の導体配線の厚さよりも薄くする等のように、基板に接続する素子等の性質に応じて導体の厚さ等の大きさを容易に変更することができる。
また、上記のDC−DCコンバータ100では、コイル部品10の1次側コイル基板20内に、トランス140を構成する1次側コイル導体(第2コイル部214及び第3コイル部216)に対して直列接続する共振コイル125を構成する第1コイル部212が設けられている。これによって、共振コイル125において発生する熱についても伝熱領域29を介してベースプレート102に対して効果的に放熱することができる。
また、上記のDC−DCコンバータ100では、第1の磁性体コア70はX軸方向に延在すると共に第2の磁性体コア80はY軸方向に延在している。そして、Y軸方向に延在する第2磁性体コア80のX軸方向に沿った(短手方向の)長さは、X軸方向に延在する第1の磁性体コア70のX軸方向に沿った(長手方向の)長さよりも短くされている。このように、第1の磁性体コア70と第2の磁性体コア80とが互いに交差する方向に延在し、伝熱領域29が第1の磁性体コア70と第2の磁性体コア80との間に設けられる態様となっている。これにより、第1の磁性体コア70を含むトランス140と第2の磁性体コア80の周囲を巻回する共振コイル125の双方で発生した熱を、1次側コイル基板20からベースプレート102に対して効率よく放熱することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、スイッチング電源装置の一例としてDC−DCコンバータ100を用いて説明したが、上記実施形態に係るトランスはDC−DCコンバータ100以外のインバータ等のスイッチング電源装置にも適用することができる。また、上記実施形態では、トランス140がセンタータップ型である場合にについて詳細に説明したが、センタータップ型である必要はなく、他の形式のトランスにも適用可能である。
また、上記実施形態では、2次側コイル30,40が放熱部材であるベースプレート102に対してネジ止めされていることで熱的に接続されている構成について説明したが、2次側コイル30,40はベースプレート102に対して熱的に接続されていなくてもよい。2次側コイル30,40がベースプレート102と熱的に接続されていない場合であっても、1次側コイル基板20がベースプレート102に対して伝熱領域29において熱的に接続されていることで、1次側コイル導体で発生した熱はベースプレート102に対して効果的に放熱される。
また、上記実施形態では、1次側コイル基板20が共振コイル125を含んで構成されている場合について説明したが、共振コイル125は1次側コイル基板20に含まれていなくてもよい。共振コイル125が含まれていない場合でも、1次側コイル基板20の伝熱領域29においてベースプレート102と熱的に接続されていることで、1次側コイル導体で発生した熱をベースプレート102に対して効果的に放熱することができる。また、1次側コイル基板20が共振コイル125を含んで構成されている場合であっても、1次側コイル基板20の1次側コイル導体及び共振コイル(すなわち第1の磁性体コア70及び第2の磁性体コア80の配置)や伝熱領域29は上記実施形態に示された配置に限定されない。さらに、伝熱領域29と1次側コイル基板20の内部の導体配線の配置も上記実施形態に限定されず、例えば、厚さ方向から見たときに伝熱領域29に対応する位置に導体配線が配置されていない場合であっても、1次側コイル導体で発生した熱をベースプレート102に対して効果的に放熱することができる。
また、上記実施形態では、1次側コイル導体や共振コイルが1次側コイル基板20に埋め込まれている構成について説明しているが、1次側コイル導体及び共振コイルは、1次側コイル基板20の表面又は裏面に露出している構成であってもよい。また、1次側コイル基板20及び1次側回路基板90が4層基板である場合について説明したが、1次側コイル基板20及び1次側回路基板90は4層基板に限らず、他の層数の多層基板を用いることもできる。
また、トランス140を構成する第1の磁性体コア70の形状は、上記実施形態に示すように上部コア71のみが脚部を有するいわゆるUI型の形状に限られない。例えば、上部コア71及び下部コア72の双方が脚部を備えるいわゆるUU型の形状とすることもできる。また、第2の磁性体コア80のようにいわゆるEI型のコアを用いることもできる。同様に、第2の磁性体コア80の形状も上記実施形態に示す形状に限定されない。また、トランス140を構成する第1の磁性体コア70及び共振コイル125に挿入される第2の磁性体コア80の大きさについても上記実施形態に示した態様に限定されない。
また、トランス140を構成するコイルの形状についても上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、第1の磁性体コア70の2つの脚部71A,71Bに対してそれぞれ1次側コイル導体及び2次側コイルが巻回された構成について説明したが、1つの脚部に対してのみ1次側コイル導体及び2次側コイルが巻回された構成とすることもできる。また、導線が渦巻を描くように同一平面に巻回されたコイルをトランス140の1次側コイル導体や2次側コイルとして用いてもよい。
また、放熱部材であるベースプレート102の形状は、上記実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、上記実施形態では、裏面のフィンが空冷されるベースプレート102が放熱部材として機能する場合について説明したが、DC−DCコンバータ100の筺体101の底部を形成するベースプレート102が放熱部材でなくてもよく、例えば、ベースプレート102を含む筺体101と放熱部材とが別体であってもよい。さらに、伝熱領域29の形状は、上記実施形態の形状に限定されず、放熱部材の形状に応じて適宜変更することができる。