JP5769505B2 - カッタ部材 - Google Patents

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Description

本発明は、流体管に密封状に取り付けられた筐体内において、流体管の径方向に向けて進行させることで流体管を不断流状態で切断するカッタ部材に関する。
従来のホールカッター(カッタ部材)は、円筒形状の筒体と、筒体の先端部において筒体の周方向に沿って複数形成された切削チップ(刃部)と、を有しており、ホールカッターを回転させながら水道管(流体管)に向けて進行させることで、切削チップにより水道管の切断を不断流状態で行いつつ、ホールカッター内に水道管を切断したことで生じた切片を保持するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−321022号公報(第5頁、第1図)
しかしながら、特許文献1に記載のカッタ部材にあっては、ホールカッター(カッタ部材)が水道管(流体管)を切断する際に、ホールカッターが水道管内の流体の流路を遮ってしまうばかりか、ホールカッターの回転によって流体の流路に乱流が生じてしまうため、これらホールカッターが流体の流路を遮ることによりホールカッターが流体から受ける抗力が大きく増加し、ホールカッターによる水道管の切断を妨げるとともに、ホールカッターを変形させ、正確に流体管の切断を行うことができない場合があるという問題がある。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、流体管をスムーズ且つ正確に切断することができるカッタ部材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のカッタ部材は、
流体管に密封状に取り付けられた筐体内において、流体管の径方向に向けて進行させることで流体管を不断流状態で切断するカッタ部材であって、
流体管側の外径よりも大径の筒状体と、該筒状体の端部に全周に亘って形成される流体管を切断するための刃部と、を備えるとともに、前記筒状体には流体管内の流体を流通させる一対の流通部が互いに流体管の管軸方向の対向する位置に形成され、流体管前記刃部を非回転で押圧することで前記流通部により流体の流路を確保しつつ流体管を切断することを特徴としている。
この特徴によれば、カッタ部材が刃部により流体管を切断する際に、流通部が流体管内に位置することで流体管内を流れる流体の流路が確保されるので、流体管内の流体による乱流の発生を抑えることができる上、流体管を切断中のカッタ部材に及ぼす流体圧が低減され、カッタ部材による流体管のスムーズな切断を行うことができるばかりか、流体の乱流と流体がカッタ部材に及ぼす流体圧とによるカッタ部材の変形が抑制され、流体管の正確な切断を行うことができる。
本発明のカッタ部材は、
前記流通部は、前記刃部近傍から前記カッタ部材の進行方向に向けて、流体管の内径よりも長寸に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、流体管の切断開始時から流体管の切断完了時にかけて、絶えずカッタ部材内に流体の流路が確保されるので、カッタ部材が流体管の切断中に流体から受ける圧力を継続して低減させることができる。
本発明のカッタ部材は、
前記カッタ部材の強度を向上させる補強部材を前記流通部に備えることを特徴としている。
この特徴によれば、カッタ部材における強度的に弱い流通部が形成された箇所が、補強部材によって補強されるため、カッタ部材全体の強度が向上し、刃部が流体管を押圧する力によるカッタ部材の変形が防止され、流体管の切断をより正確に行うことができる。
本発明のカッタ部材は、
流体管側の端部における前記刃部と干渉しない位置に、流体管を切断することで生じる流体管の切片を保持するための保持手段を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、カッタ部材の流体管側の端部を有効利用して、カッタ部材が流体管を切断したことにより生じた切片を、カッタ部材とともに筐体内から回収することができる。
実施例における流体管の上方にカッタ部材が配置された状態を示す一部破断断面図である。 流体管の上方にカッタ部材が配置された状態を示す一部破断側断面図である。 図2におけるカッタ部材のA−A断面図である。 カッタ部材により流体管を切断する状態を示す一部破断断面図である。 カッタ部材により流体管を切断する状態を示す側断面図である。 流体管を切断したカッタ部材を示す正面図である。 カッタ部材及び切片を上方に向けて引き戻す状態を示す一部破断断面図である。 カッタ部材及び切片を上方に向けて引き戻す状態を示す一部破断側断面図である。 筐体内へ制流体を挿入配置する状態を示す側断面図である。 筐体内に制流体を挿入配置した状態を示す側断面図である。 (a)は、本実施例における変形例としてのカッタ部材と流体管とを示す正面断面図であり、(b)は、流体管を切断したカッタ部材を示す正面図である。
本発明に係るカッタ部材を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
実施例に係るカッタ部材につき、図1から図11を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施例の流体管1は、略円筒形状に形成された高密度ポリエチレン等の樹脂製管から成り、略水平方向に延設され、内部には流体としての上水が流れている。この流体管1は、例えば、図7及び図10に示すように、新規のバイパス管12を流体管1と連通させるための筐体2を所定箇所に密封状に取り付けられるようになっており、筐体2内に挿入配置された制流体11を回動操作することで、流体の流路を流体管1とバイパス管12とで切り替え可能となっている。
尚、流体管1の材質は高密度ポリエチレンに限らずその他ポリオレフィン樹脂等であってもよい。また、本実施例では流体管1内の流体は上水であるが、流体管1の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水や下水等であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
図1及び図2に示すように、流体管1の外周面1aに固定に取り付けられる筐体2は、流体管1に対して上方から配設され、流体管1の外周の上側を被覆する第1ケース3と、流体管1に対して下方から配設され、流体管1の外周の下側を被覆する第2ケース4と、から構成されている。これら第1ケース3及び第2ケース4は、鋳鉄等の金属材により構成されている。
また、第1ケース3は、流体管1の管軸方向に向けて流体管1の外周面1aの略半周に亘り当接する当接部3aを管軸方向に沿って一対に備えている。各当接部3aの流体管1の外周面1aに対向する内壁には、第1ケース3の周方向の略全長に沿って流体管1の外周面1aに当接する止水部材20aが、流体管1の管軸方向に沿って一対設けられている。
第1ケース3の当接部3a,3a間には、第1ケース3の内方を向く平面視で略円形状の円周面3hが形成されている。この円周面3hの上部には、流体管1の管軸と略直交するように、流体管1における管軸方向に沿って上方に向けて分岐口3gが形成されている。分岐口3g内は、垂直方向に向けて貫通形成されており、分岐口3gの上端部には、上フランジ3iが形成されている。更に、第1ケース3における流体管1の管軸方向側の両端部には、流体管1の外径方向に向けて突出形成したフランジ3nが第1ケース3の周方向の略全周に亘って延設されている。
図1に示すように、第1ケース3の流体管1における管軸方向の略中央部には、側断面視半円弧形状の半筒部3eが、流体管1の外径方向である水平方向に向けて突出形成されている。半筒部3eの内壁には、周方向の略全長に沿って後述するようにバイパス管12の外周面12aに当接する止水部材20bが、設けられている。また、半筒部3eの端部には、半筒部3eの外径方向に向けて突出形成したフランジ3rが半筒部3eの周方向の略全周に亘って延設されている。
図1及び図8に示すように、第1ケース3内での半筒部3eの流体管1における管軸方向の両端側部には、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面3j,3kが、円周面3hから第1ケース3の下端部にかけて膨出形成されている。更に、図1に示すように、第1ケース3内での半筒部3eに対向する内壁には、平坦面3j,3kと同様に、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面3mが、円周面3hから第1ケース3の下端部にかけて膨出形成されている。
図1及び図2に示すように、第1ケース3には、当接部3aに連続して流体管1の外径方向に向けて対向する一対のフランジ3c,3c(一方は図示せず)が流体管1の管軸方向に沿って突出形成されている。図示しない他方のフランジ3cは、第1ケース3の流体管1における管軸方向の両端部から半筒部3eに沿って平面視で一対の略L字状を成すように形成されている。
第2ケース4には、第1ケース3と略同一の流体管1における管軸方向の幅寸法を有し、流体管1の下部における外周面1aに当接する当接部4aを備えている。当接部4aの流体管1の外周面1aに対向する内壁には、第2ケース4の周方向の略全長に沿って流体管1の外周面1aに当接する止水部材20cが、流体管1の管軸方向に沿って一対設けられている。更に、第2ケース4における流体管1の管軸方向側の両端部には、流体管1の外径方向に向けて突出形成したフランジ4nが第1ケース3の周方向の略全周に亘って延設されている。
また、第2ケース4の流体管1における管軸方向の略中央部には、側断面視半円弧形状の半筒部4eが、流体管1の外径方向である水平方向に向けて突出形成されている。半筒部4eの内壁には、周方向の略全長に沿って後述するようにバイパス管12の外周面12aに当接する止水部材20dが、設けられている。この止水部材20dと、止水部材20c,20cとは、後述する止水部材24を介して連続して一体に形成されている。
半筒部4eの端部には、半筒部4eの外径方向に向けて突出形成したフランジ4rが半筒部4eの周方向の略全周に亘って延設されている。尚、前述したフランジ3n,3r,4n,4rの各当接部3a,4a及び半筒部3e,4eからの突出寸法は全て同一に形成されている。
図1及び図8に示すように、第2ケース4内での半筒部4eの流体管1における管軸方向の両端側部には、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面4j,4kが、第2ケース4の上端部から下部にかけて膨出形成されている。
更に、第2ケース4内での半筒部4eに対向する内壁には、平坦面4j,4kと同様に、制流体11を筐体2内に挿入し易い様に下方に向けて傾斜をなす平坦面4mが、第2ケース4の上端部から下部にかけて膨出形成されている。更に、これら平坦面4j,4k,4mは、第2ケース4の内底部に延設され、水平を成して交差している。
また、図1及び図2に示すように、第2ケース4には、当接部4aに連続して流体管1の外径方向に向けて対向する一対のフランジ4c,4c(一方は図示せず)が流体管1の管軸方向に沿って突出形成されている。また、図示しない他方のフランジ4cは、第2ケース4の流体管1における管軸方向の両端部から半筒部4eに沿って平面視で一対の略L字状を成すように形成されている。
このように第1ケース3と第2ケース4とから構成される筐体2は、本実施例においては、筐体2における流体管1の管軸方向側の端部であるフランジ3n,4n及びフランジ3n,4nと、半筒部3e,4eの端部であるフランジ3r,4rに取り付けられる樹脂材から構成された取付部材22によって流体管1に対して移動不能に固定されるようになっている。尚、各フランジ3n,4n,3r,4rに取り付けられる取付部材22は同一構成につき、フランジ3nに取り付けられる取付部材22についてのみ説明する。
図2に示すように、取付部材22は、流体管1及びバイパス管12の外径と略同一の内径を有する略半円弧形状に形成されている。この取付部材22は、内部に電流が流れることで発熱する本発明における加熱部としての電熱線22bが取付部材22の周方向の略全長に亘って配設された融着部22aを有している。電熱線22bの各端部は、外部電源と電気的に接続可能に取付部材22の外面に設けた接続部23に接続されている。更に、取付部材22には、フランジ3nと略同一形状の嵌合空間22e(図1参照)が形成されている。
図3及び図6に示すように、カッタ部材52は、流体管1の外径よりも大径の筒状体53と、流体管1を切断する際に流体管1の外周面1aに底面が当接する当接板54と、流体管1を切断することで生じる切片1bを筒状体53内に保持する本発明における保持手段としての一対のストッパー55,55と、を備えている。
このうち、筒状体53の流体管1側の先端部には、筒状体53の周方向の全周に亘って流体管1を切断するための刃部53aが形成されている。また、筒状体53における流体管1の管軸方向側の両端部には、本発明における流通部として、流体管1の管軸方向側に向けて筒状体53の周壁を貫通する一対の開口部53b,53bが、下端部が刃部53aの上部近傍に位置するように形成されている。図6に示すように、これら開口部53bの垂直幅寸法及び流体管1の径方向である水平方向の幅寸法は、流体管1の内径よりも長寸に形成されている。
当接板54は、下端部が流体管1の外周面1aに当接する水平面に形成されており、流体管1の切断前の状態では、下端部が刃部53aの先端部と略同一高さ位置となるように筒状体53内に配置されている。当接板54の上端部には、カッタ部材52の上方まで貫通するガイド棒54aが立設されており、このガイド棒54aの周囲には、当接板54を流体管1に向けて付勢するコイルバネ54bが配置されている。また、当接板54における流体管1の径方向である水平方向側の両端部には、後述するストッパー55を挿通可能な一対の切欠54c,54cが形成されている。
ストッパー55は、刃部53aと干渉しないように、筒状体53の下部における内周面の流体管1の径方向である水平方向側の両端部に設けられている。これらストッパー55は、筒状体53の内周面に流体管1の管軸方向を向いて取り付けられている枢軸55aと、この枢軸55aに回動可能に枢支されている保持板55bと、から構成されている。この保持板55bの筒状体53の水平方向側を向く端部には、下方に向けて偏荷重がかかっている。
更に、図3及び図6に示すように、筒状体53の内周面には、保持板55bの端部に当接することで、保持板55bを水平方向を向く状態に維持し、保持板55bの下方への回動を規制するための回動規制部53cが突出形成されている。このため、保持板55bは、枢軸55a周りに上方に向けての回動を許容されながら、水平方向を向く状態を下限として、偏荷重による枢軸55a周りの下方に向けての回動が規制されている。尚、両保持板55b,55b間の幅寸法は、流体管1の外径よりも僅かに短寸となるように形成されている。
このように構成された筐体2及びカッタ部材52を用いて流体管1を切断するには、先ず、第1ケース3において、取付部材22の嵌合空間22eをフランジ3nに対して凹凸嵌合させる。更に、取付部材22とフランジ3nとを係止ピン21によって係止することで、取付部材22をフランジ3nに対して相対移動不能に取り付ける。以下、第1ケース3及び第2ケース4のその他のフランジ3r,4n,4rにおいても同様に取付部材22の取り付けを行う。
次に、図1に示すように、取付部材22を取り付けた第1ケース3を流体管1及びバイパス管12の一端側の上部に配設する。そして、フランジ3c,4c間に止水部材24を配した状態で第2ケース4を流体管1に対して下方から配設することで、図2に示すように、第1ケース3のフランジ3c,3cと第2ケース4のフランジ4c,4cとをそれぞれ対向させるとともに、対向した各フランジ3c,4cをボルト・ナット25により緊締することで、筐体2を流体管1及びバイパス管12に対して仮固定する。
このとき、各止水部材20a,20c及び止水部材20b,20dは、止水部材20a,20bの周方向の両端部が止水部材20c,20dの周方向の両端部に密接することで、各止水部材20a,20cと止水部材20b,20dとが環状に形成されるとともに、流体管1の外周面1aと当接部3a,3a間及びバイパス管12の外周面12aと分岐部2a間を密封する。
更に、筐体2と流体管1及びバイパス管12との間は、フランジ3c,4c間で止水部材24が弾性変形することで、フランジ3c,4cが略全長に亘って止水部材24に密着するとともに、各止水部材20aが当接部3a,4aと流体管1の外周面1a及び半筒部3e,4eとバイパス管12の外周面12aとの間で当接部3a,4aと流体管1の外周面1a及び半筒部3e,4eとバイパス管12の外周面12aとの略全長に亘って密着することで密封される。
また、平坦面3j,4j間は、突起や段差等の非連続面を有さない連続面2bとして構成される。同様に、平坦面3k、4k間及び平坦面3m,4m間も、それぞれ連続面2c,2dとして構成される。
各フランジ3n,4nに取り付けられている取付部材22の融着部22aは、流体管1の外周面1aに、流体管1の周方向の略全長に亘って当接する。同様に、フランジ3r,4rに取り付けられている取付部材22の融着部22aは、バイパス管12の外周面12aに、バイパス管12の周方向の略全長に亘って当接する。また、両半筒部3e,4eは、フランジ3c,3cとフランジ4c,4cが対向配置されることで、筐体2の側方に向けて分岐する分岐部2aを構成する。
次に、図示しない外部電源に接続されている電源ケーブルをフランジ3n,4nに取り付けられている各取付部材22の接続部23に接続し、前記外部電源から所定時間電力を供給する。電力供給された電熱線22bが高温に発熱することで、樹脂材からなる融着部22aと流体管1の外周面1aとを加熱し次第に溶融する。
溶融された融着部22aと流体管1の外周面1aとは、互いに混ぜ合わされ、電熱線22bによる発熱を停止し常温に下がることで一体化して凝固し、筐体2が流体管1に対して移動不能に固定される。
更に、フランジ3n,4nに取り付けられた取付部材22の融着部22aと流体管1の外周面1a間と同様に、フランジ3r,4rに取り付けられた取付部材22の接続部23に前記外部電源と接続部23を接続して電熱線22bを発熱させることで、融着部22aとバイパス管12の外周面12aとを溶融させるとともに、電熱線22bの発熱を停止させて溶融された融着部22aとバイパス管12の外周面12aとを一体化させて凝固させる。以上により流体管1への筐体2の取り付けを終了する。
次いで、図1及び図2に示すように、分岐口3gの上フランジ3iに、内部に作業弁36及び切断装置50を配設した上部ケース35を水密に接続する。切断装置50は、図示しない駆動手段に接続され分岐口3g内を流体管1に向け軸方向に進出する軸部材51と、前述のカッタ部材52と、から主として構成されている。このうち、上部ケース35には、図示しない空気抜きのための注水弁が設けられている。
このように構成された切断装置50は、図4及び図5に示すように、前記注水弁を介し注水することで筐体2及び上部ケース35内の空気を水で置換した後に、軸部材51を流体管1に向けて進出させることで、カッタ部材52の刃部53a及び当接板54の下端部を流体管1の外周面1aに当接させる。
そして、継続してカッタ部材52が軸部材51の軸方向に進出されることで、カッタ部材52は、当接板54によって流体管1の外周面1aを継続して押圧し、当接板54の下端部と流体管1の外周面1aとの間で生じている摩擦力により、カッタ部材52の流体管1に対しての位置固定を行う。
以降、当接板54は、更にカッタ部材52が軸部材51の軸方向に伸出されることで、ガイド棒54aに沿って圧縮されるコイルバネ54bから付勢力を受けながら流体管1の外周面1aに当接した位置で留まる。この間、筒状体53は、ストッパー55,55を当接板54の切欠54c,54cに挿通させながら、刃部53aにより順次流体管1を下方に向けて切断していく。
この流体管1の切断が進行していくにつれて、両開口部53b,53bが下部から上部にかけて流体管1内に配置されていく。このため、カッタ部材52により切断中の流体管1内に開口部53b,53bにより流体の流路が確保されるようになっているため、流体管1内を流れる流体の一部が開口部53b,53bを介して筒状体53内を通過して流下していき、流体が筒状体53に当接することで生じる乱流と、筒状体53が流体から受ける流体圧とを、小さく抑えることができる。
同時に、筒状体53内に配置されている両保持板55b,55bは、流体管1の切断が進行していくにつれて、流体管1の外周面1aに当接し、次第に上方に向けて回動していく。そして、流体管の切断が所定量進行した時点で、両保持板55b,55bは、元の水平方向を向く位置に復帰する。
そして、刃部53aによる流体管1の切断が完了することで、流体管1の流下断面の大部分が開口部53b,53b内に配置され、流体から筒状体53が受ける流体圧が最小となる。更に、流体管1の切断が完了することで刃部53aにより切断された箇所は、流体管1から分断されて切片1bとなる。
この切片1bは、筒状体53内においてコイルバネ54bによる付勢力によって当接板54に下方に向けて押圧される。当接板54に下方に向けて押圧された切片1bは、筒状体53内を僅かに落下した後、下部に両保持板55b,55bが当接する。このため、切片1bは筒状体53内にて、コイルバネ54bの付勢力によって当接板54と両保持板55b,55bとの間で上下に保持され、筒状体53内から脱落することが防止される。
次に、図7及び図8に示すように、軸部材51を退行させ、切片1bを保持した状態のカッタ部材52を筐体2内から上部ケース35内に向けて移動させる。軸部材51の退行によって上部ケース35内にカッタ部材52を収納した後は、作業弁36をスライド移動させることで筐体2を水密に閉塞するとともに、上部ケース35内からカッタ部材52を取り外し、切断装置50による流体管1の切断を終了する。
以上により、筒状体53に流体管1の管軸方向に向けて開口部53b,53bが形成されているため、流体管1を切断中のカッタ部材52に及ぼす流体圧が低減され、カッタ部材52による流体管1のスムーズな切断を行うことができるばかりか、流体の乱流と流体がカッタ部材52に及ぼす流体圧によるカッタ部材52の変形が抑制され、流体管1の正確な切断を行うことができる。
上部ケース35内からカッタ部材52を取り外した後は、図9及び図10に示すように、筐体2に制流体設置装置60を取り付け、筐体2内に制流体11を設置する。制流体設置装置60は、前述したように流体管1に取り付けられている筐体2と、軸部材51と、軸部材51の先端に固設され筐体2内に挿入配置される制流体11と、この制流体11を収納する上部ケース35と、から主に構成されている。
このうち、制流体11は、弁箱13と、この弁箱13内で垂直方向を向く枢軸15によって回動自在に枢支される図示しない弁本体と、から主に構成されている。弁箱13の上部には、筐体2の円周面3hの全周に亘って密着可能な環状の環状シール部16aが形成されている。また、弁箱13には、平坦面3j,4jの全長に亘って密着可能なシール部16bが環状シール部16aから下方に向けて延設されている。
弁箱13には、シール部16bと同様に、平坦面3k,4kの全長に亘って密着可能なシール部16c及び平坦面3m,4mの全長に亘って密着可能なシール部16dがそれぞれ環状シール部16aから下方に向けて延設されている。そして、これらシール部16b,16c,16dは、弁箱13の底部にて水平をなして交差している。
一方、前記弁本体は、枢軸15を回動操作することで、弁箱13内を弁箱13の内壁に摺接しながら、流体管1の上流側と下流側、または流体管1の上流側とバイパス管12とを選択的に連通させることが可能となっている。
このように構成された制流体11を筐体2内に挿入配置するには、図9及び図10に示すように、作業弁36をスライド移動させることで筐体2を開放し、筐体2内及び上部ケース35内に流体を満たす。そして、前記注水弁を閉塞した後に先端部に制流体11が固設された軸部材51を筐体2内に向けて進出させていく。尚、このとき、枢軸操作部15aは、軸部材51の先端部内に挿入配置されている。
軸部材51を筐体2内に向けて進出させていくことで、環状シール部16aを筐体2の円周面3hの全周に亘って密着させる。同時に、平坦面3j,4jとシール部16b、平坦面3k,4kとシール部16c及び平坦面3m,4mとシール部16dをそれぞれ密着させ、弁箱13と筐体2との間を水密に保持することで筐体2内に制流体11を挿入配置する。
筐体2内に制流体11を挿入配置した後は、上部ケース35内の流体を排水した後、上部ケース35に設けられた図示しない操作口から作業者が手を入れることで、軸部材51から制流体11を取り外す。最後に、上部ケース35を筐体2から取り外した後、上フランジ3i上に蓋体17を配置するとともに、蓋体17と上フランジ3iとをボルト・ナット18により緊締する。尚、蓋体17には、垂直方向に貫通する貫通孔17aが形成されており、この貫通孔17aに枢軸操作部15aが挿入されることで、枢軸操作部15aは、蓋体17の上方に突出して配置される。
この蓋体17と上フランジ3iとをボルト・ナット18により緊締することで、制流体11を蓋体17によって下方に向けて押圧し、円周面3hと環状シール部16a、平坦面3j,4jとシール部16b、平坦面3k,4kとシール部16c及び平坦面3m,4mとシール部16dとをより確実に密着させ、制流体11を筐体2内において固定し、制流体11の筐体2内への挿入配置を終了する。
以後、作業者が枢軸操作部15aにハンドル等を取り付けて前記弁本体を回動操作することで、制流体11は、流体管1の上流側から下流側にかけて形成されている流体の流路を、流体管1の上流側からバイパス管12に連通するように切り替えることができる。
尚、本実施例におけるカッタ部材52は、筒状体53に流通部として流体管1の管軸方向を向く一対の開口部53b,53bを形成したが、本実施例の変形例として、図11(a)及び図11(b)に示すように、筒状体53の周壁にパンチング加工を施すことで、流体管1の管軸方向側の両端部(一方は図示せず)に無数のパンチ孔53dから構成される流通部56を形成するようにしてもよい。尚、本発明の流通部は、例えば切削工具等を用いた機械加工により穿設されて構成されるものでもよいし、あるいは筒状体の周壁の材料となる板部材が予め備えた貫通孔で構成されても構わない。
流通部56を形成する範囲は、図11(b)に示すように、カッタ部材52による流体管1の切断完了時に、流体管1の内径側の全体をカバー可能なように広範囲に亘って形成する。更にこの場合は、流通部56におけるパンチ孔53dが形成されていない筒状体53の壁部53eが本発明における補強部材として機能するため、一対の流体管1の内径よりも垂直方向及び水平方向に長寸の開口部53b,53bを筒状体53に形成するよりも、筒状体53の強度を向上させることができる。
尚、本変形例では、前述のように筒状体53の流通部56におけるパンチ孔53dが形成されていない壁部53eを補強部材として構成したが、筒状体53における流体管1の管軸方向側の両端部に流通部として一対の開口部を形成するとともに、該開口部の水平方向側の両端部または垂直方向側の両端部間に補強部材として梁材等を渡すことで、筒状体53の強度の向上を図るようにしてもよい。
以上、本実施例におけるカッタ部材52は、流体管1側の端部に流体管1を切断するための刃部53aを備えるとともに、流体管1内の流体を流通させる開口部53b,53bを備え、流体管1を刃部53aで押圧することで開口部53b,53bにより流体の流路を確保しつつ流体管1を切断するので、カッタ部材52が刃部53aにより流体管1を切断する際に、開口部53b,53bが流体管1内に位置することで流体管1内を流れる流体の流路が確保されるので、流体管1内の流体による乱流の発生を抑えることができる上、流体管1を切断中のカッタ部材52に及ぼす流体圧が低減され、カッタ部材52による流体管1のスムーズな切断を行うことができるばかりか、流体の乱流と流体がカッタ部材52に及ぼす流体圧とによるカッタ部材52の変形が抑制され、流体管1の正確な切断を行うことができる。
また、開口部53b,53bは、刃部53a近傍からカッタ部材52の進行方向に向けて、流体管1の内径よりも長寸に形成されているので、流体管1の切断開始時から流体管1の切断完了時にかけて、絶えずカッタ部材52内に流体の流路が確保されるので、カッタ部材52が流体管1の切断中に流体から受ける圧力を継続して低減させることができる。
また、カッタ部材52の強度を向上させる補強部材を流通部56に備えることで、カッタ部材52における強度的に弱い流通部56が形成された箇所が、補強部材によって補強されるため、カッタ部材52全体の強度が向上し、刃部53aが流体管1を押圧する力によるカッタ部材52の変形が防止され、流体管1の切断をより正確に行うことができる。
また、流体管1側の端部における刃部53aと干渉しない位置に、流体管1を切断することで生じる流体管1の切片1bを保持するためのストッパー55,55を設けたので、カッタ部材52の流体管1側の端部を有効利用して、カッタ部材52が流体管1を切断したことにより生じた切片1bを、カッタ部材52とともに筐体内から回収することができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、流体管1に対して流体管1よりも大径の筒状体53を備えるカッタ部材52を進行させることで流体管1の切断を行ったが、流体管1に対して流体管1よりも小径の筒状体を備えるカッタ部材を進行させることで、流体管1を部分的に切断して流体管1に穿孔を穿設し、該穿孔を介して流体管1内に制流体等を挿入配置してもよく、この場合には、流体管1の上部に第1ケース3のみを取り付けることで筐体を構成するようにしてもよい。
また、制流体11を弁箱13と図示しない弁本体とで構成し、弁本体を弁箱13内で移動させることで流体の流路の切り替えを行うようにしたが、制流体は、例えばゲート弁、緊急遮断弁、あるいはプラグ等で構成されていてもよく、流体管1の上流側または下流側の一方のみを閉塞することで流体の流路のみを閉塞するようにしてもよい。
また、前記実施例では、流体管1に対して取付部材22を熱融着することで筐体2を流体管1に取り付けたが、筐体2に流体管1の内径側を向く刃部を有する係止体を複数配置し、該係止体を押圧することで刃部を流体管1の外周面1aに食い込ませることで、筐体2を流体管1に取り付けるようにしてもよい。
1 流体管
1a 外周面
1b 切片
2 筐体
50 切断装置
52 カッタ部材
53a 刃部
53b 開口部(流通部)
53e 壁部(補強部材)
55 ストッパー(保持手段)
56 連通部

Claims (4)

  1. 流体管に密封状に取り付けられた筐体内において、流体管の径方向に向けて進行させることで流体管を不断流状態で切断するカッタ部材であって、
    流体管側の外径よりも大径の筒状体と、該筒状体の端部に全周に亘って形成される流体管を切断するための刃部と、を備えるとともに、前記筒状体には流体管内の流体を流通させる一対の流通部が互いに流体管の管軸方向の対向する位置に形成され、流体管前記刃部を非回転で押圧することで前記流通部により流体の流路を確保しつつ流体管を切断することを特徴とするカッタ部材。
  2. 前記流通部は、前記刃部近傍から前記カッタ部材の進行方向に向けて、流体管の内径よりも長寸に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカッタ部材。
  3. 前記カッタ部材の強度を向上させる補強部材を前記流通部に備えることを特徴とする請求項1または2に記載のカッタ部材。
  4. 流体管側の端部における前記刃部と干渉しない位置に、流体管を切断することで生じる流体管の切片を保持するための保持手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカッタ部材。
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