JP5226632B2 - 分岐用仕切弁 - Google Patents

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本発明は、既設管の上部にサドルを介して接続される分岐用仕切弁に関する。
地中に埋設された水道本管に不断水の状態で分岐管を接続するに際し、分岐管と他の既設管との干渉を避けられるように、その水道本管に装着した割T字管の上部に仕切弁を取り付け、その仕切弁から横方向に分岐管を設ける方法がある(例えば特許文献1の第1図、特許文献2の図6)。また、その類においては、分岐管の地面からの土被りを確保するべく、既設管の上部にサドルを介して仕切弁を接続し、仕切弁の水道本管からの立ち上がりを低くする手法が知られている(例えば特許文献2の図1)。
上記の如き分岐用仕切弁では、弁体の移動方向に対して横向きとなる左右の両側に分岐管を接続できることが望ましく、それによって流量の確保が容易になるうえ、配管の自由度が増し、一回の仕切弁操作にて二方向への分岐を同時に行えるようになる。但し、仕切弁から横方向への流れを制御する必要があるため、求められる封止性能(水道管が対象であれば止水性能)がシビアとなり、弁体を適正な姿勢で精度良く位置決めすることが重要になる。
特許文献1には、既設管に装着した円弧状部材の上部に開閉弁を取り付け、弁体の移動方向に対して横向きとなる左右の両側に、分岐管を接続するための分岐接続口(第4図の分岐接続口42,44)を設けた不断水分岐装置が記載されている。この弁体は、両側部に突設した係止縁を弁箱の内面に形成された案内溝に嵌め入れており、弁棒の回転操作に応じて移動するに際して、案内溝によってガイドされるように構成されている。
ところが、上記の不断水分岐装置では、係止縁と案内溝との嵌め合いを阻害しないように、分岐接続口の大きさを制約する必要があるため、分岐管への流量を確保し難い。その一方で、嵌め合いによる弁体のガイド構造を無くすと、弁棒の回転に伴って弁体のブレや捻じれを引き起こし、弁体の横方向に隙間を生じて封止性能が損なわれたり、弁体を弁ケースに引っ掛けて移動が妨げられたりするという問題を生じる。
特許文献2には、既設管の上部にサドルを介して接続される分岐用仕切弁が記載されている。この仕切弁は、弁体が当接する堰を設けて、その堰の上方に形成した流出口を分岐管に連通させたもので、弁体の移動方向に対して横向きとなる左右の両側に分岐管が設けられるものではない。また、流出口を大きくすると、分岐管の位置が高くなって土被りを確保し難いことから、流出口の大きさを制約する必要があり、それ故に流量を確保し難い場合がある。
実開平1−102593号公報 特許第3716022号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、弁体の移動方向に対して横向きとなる左右の両側に分岐管を設けられ、流量を確保しやすい構造でありながら、弁体を適正な姿勢で精度良く位置決めできる分岐用仕切弁を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明に係る分岐用仕切弁は、既設管の上部にサドルを介して接続される分岐用仕切弁において、前記サドルに接続されるサドル接続口と対向する端部に、穿孔装置を取り付けるための取付口が設けられた直管と、前記直管と十字状に交差し、分岐管を接続するための分岐接続口が両端部に設けられた枝管と、前記直管の横方向に前記枝管と高さを揃えて設けられ、弁棒の回転に伴って前記直管の軸方向と交差する方向に移動し、前記サドル接続口から前記分岐接続口への連通を遮断可能な弁体と、前記弁棒を取り囲むように前記枝管から前記弁体の移動方向に延設された弁ケースとを備え、前記弁体の正面側に前記弁体の移動方向から見て湾曲した湾曲面が形成され、その湾曲面に対向する前記弁ケースの内面に、前記湾曲面に沿って湾曲した案内面が設けられていることを特徴とするものである。
この分岐用仕切弁では、直管と十字状に交差する枝管の両端部に分岐接続口を設け、その枝管と高さを揃えて、直管の軸方向と交差する方向に移動し、サドル接続口から分岐接続口への連通を遮断可能な弁体を設けているため、弁体の移動方向に対して横向きとなる左右の両側に分岐管が設けられる。それでいて、弁体の正面側に弁体の移動方向から見て湾曲した湾曲面を形成し、その湾曲面に対向する弁ケースの内面に、湾曲面に沿って湾曲した案内面を設けていることから、流量を確保しやすい構造としながらも、弁棒の回転に伴う弁体のブレや捻じれを防止できる。その結果、弁体を適正な姿勢で精度良く位置決めして、弁体から横方向への流れを的確に制御することができる。
本発明の分岐用仕切弁では、前記湾曲面と前記案内面とが常に対向するように、前記案内面が前記弁体の移動方向に沿って延在するものが好ましい。かかる構成によれば、弁体の位置に関係なく、湾曲面と案内面とが常に対向した状態となり、弁棒の回転に伴う弁体のブレや捻じれを確実に防止することができる。
本発明の分岐用仕切弁では、前記弁体が、前記弁棒に連結された芯金具と、その先端側に設けられたゴムライニングとで構成され、前記芯金具には、前記湾曲面を有する肩部が前記ゴムライニングよりも張り出して形成されているものが好ましい。かかる構成によれば、比較的に堅固な湾曲面が、ゴムライニングよりも張り出した箇所に形成されることから、弁体のブレや捻じれを的確に防止して封止性能を向上できる。
本発明の分岐用仕切弁では、前記弁体を受け止めるための弁座が、前記分岐接続口に対向する壁部を有し、前記壁部と前記弁ケースの内面との間に形成された流出口を介して、前記サドル接続口から前記分岐接続口に連通するものが好ましい。かかる構成によれば、弁座で受け止められた弁体の横方向に壁部が位置するため、弁体から横方向への流れを的確に封止するうえで有益である。それでいて、仕切弁を開いてサドル接続口と分岐接続口とを連通させたときには、壁部の横方向から流出口を通って分岐接続口に流体が流れるため、分岐管の高さをより低く設定できる。
本発明の分岐用仕切弁では、前記弁ケースが前記枝管に向かって内部を拡幅させているものが好ましい。これにより、サドル接続口から分岐接続口に向かう横方向への流路が大きくなるため、分岐管への流量を確保するうえで効果的である。特に前述した壁部を弁座が有する場合には、流出口が狭くなりがちであるため、かかる構成が有用である。
本発明に係る分岐用仕切弁の一例を示す正面図 分岐用仕切弁の側面図 図1のA−A矢視断面図 図1のB−B矢視断面図 (a)弁体を側方から見た図、及び、(b)弁体を移動方向から見た図 閉状態における図1のA−A矢視断面図 閉状態における図1のB−B矢視断面図 弁体と弁棒と蓋体を取り外したときの仕切弁の正面図 図8のC−C矢視断面図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る分岐用仕切弁の一例を示す正面図である。図2は、その分岐用仕切弁を左側から見た側面図である。図3は、図1のA−A矢視断面図であり、図4は、図1のB−B矢視断面図である。尚、弁体7と弁棒9については、断面ではなく外観により表示している。
既設管である水道本管1には、二つ割り構造を有する外嵌筒体2が装着されている。外嵌筒体2は、互いのフランジ21a,22aをボルト23とナット24により連結した一対の円弧状部材21,22からなり、上方の円弧状部材21には、分岐用仕切弁4(以下、単に「仕切弁4」と呼ぶ場合がある。)を接続したサドル3が設けられている。水道本管1と円弧状部材21との間には、水密性を保持するべく、後述する穿孔箇所を取り囲んでOリング(不図示)が装着されている。
仕切弁4は、サドル3に接続されるサドル接続口51と対向する端部に、穿孔装置を取り付けるための取付口52が設けられた直管5と、直管5と十字状に交差し、分岐管を接続するための分岐接続口61が両端部に設けられた枝管6と、直管5の横方向に枝管6と高さを揃えて設けられ、弁棒9の回転に伴って直管5の軸方向と交差する方向に移動し、サドル接続口51から分岐接続口61への連通を遮断可能な弁体7と、弁棒9を取り囲むように枝管6から弁体7の移動方向に延設された弁ケース8とを備え、水道本管1の上部にサドル3を介して接続されている。
直管5は、サドル3から立ち上がるように軸方向を上下に向けており、その下端部に形成された雄ねじを、サドル3の接続口31に螺入して取り付けられている。取付口52が形成された上端部の外周にも雄ねじが形成されていて、後述する穿孔装置を取り付け可能になっている。枝管6は、軸方向を略水平にして直管5に直交しており、互いに対向する端部にて開口した二つの分岐接続口61を直管5の真横に向けている。図3,4のように仕切弁4を開いた状態では、各分岐接続口61がサドル接続口51と連通する。枝管6の両端部の外周には雄ねじが形成されており、分岐管(不図示)を接続可能になっている。
弁体7は、正面視にてキノコ形状をなしており、弁体7の移動方向に沿って見ると、図5(b)に示すような扁平形状をしている。弁体7の正面側には、弁体7の移動方向から見て湾曲した湾曲面70が形成されている。ここで、弁体7の正面側とは、サドル接続口51に対向する側又はその反対側を指す。本実施形態では、外向きに凸となる円弧状の湾曲面70が、弁体7の上下両側にて全幅に亘って形成されている。弁体7は、湾曲面70を上下に向けた状態で、枝管6と略同一水平面内に配置されている。
弁ケース8は、直管5及び枝管6と一体的に形成された本体81と、本体81にボルト83で固定された蓋体82とで構成されている。弁棒9は、操作軸91を突出させるようにして蓋体82を貫通し、軸受け92に回動自在に枢着されている。尚、図1,2では、操作軸91に弁体操作用の六角キャップ93を装着している。弁棒9の先端部は弁体7に螺合されており、弁棒9の回転に応じて弁体7が直管5の軸方向と直交する方向に移動し、仕切弁4の開閉が行われる。本実施形態では、弁体7の移動方向が枝管6の軸方向に直交する。
仕切弁4を閉じた状態では、図6,7に示すように、弁座10に密着した弁体7がサドル接続口51の上方を閉塞し、サドル接続口51から分岐接続口61への連通が遮断される。このとき、直管5の軸方向から見て、分岐接続口61がサドル接続口51の真横に配置されているため、弁体7は横方向への流れを止水する必要がある。また、この仕切弁4では、分岐管への流量を十分に確保するべく、各分岐接続口61の内径をサドル接続口51と同等に設定している。そのため、弁体7の側方に大きい開口が存在し、従来のように弁体の側方部を弁ケースに嵌合する構造は採用し難い。
図8は、弁体7と弁棒9と蓋体82を取り外したときの仕切弁4の正面図であり、図9は、図8のC−C矢視断面図である。弁体7の湾曲面70に対向する弁ケース8の内面には、湾曲面70に沿って湾曲した案内面80が設けられている。案内面80は、湾曲面70に対応した曲率を有し、これが湾曲面70をガイドすることで、弁棒9の回転に伴う弁体7の横方向のブレや捻じれを防止できる。その結果、流量を確保しやすい構造でありながら、弁体7を適正な姿勢で精度良く位置決めできる。
案内面80は、湾曲面70と常に対向するように、弁体7の移動方向に沿って延在している。即ち、図3,4の閉状態と図6,7の開状態、並びにそれらを移行する過程では、湾曲面70と案内面80とが少なくとも一部で対向する。したがって、弁体7は常に芯出しされた状態となり、移動中にブレたり捻じれたりすることがない。本実施形態では、案内面80をT字状に形成し、湾曲面70と案内面80とが弁体7の全幅に亘って対向する箇所を設けてある。
図5に示すように、弁体7は、金属製の芯金具71と、その先端側に設けられたゴムライニング72(斜線を付した部分が相当)とで構成されている。弁棒9の先端部は、芯金具71に設けた雌ねじ部71bに螺入して連結されている。仕切弁4を閉じた状態では、弁座10に押圧されたゴムライニング72が圧縮され、サドル接続口51と分岐接続口61との間が水密に遮断される。芯金具71は、ゴムライニング72よりも厚み方向に張り出した肩部71aを有し、この肩部71aに湾曲面70が形成されている。
弁座10は、分岐接続口61に対向する壁部11と、その壁部11の間に介在し、弁体7の正面側に位置する円弧状の隆起部12とを有する。壁部11は、直管5の軸方向から見てV字状をなし、隆起部12と共にサドル接続口51を囲むように配置される。仕切弁4を閉じた状態では、壁部11が側方から弁体7を受け止めるため、弁体7から横方向への流れを効果的に封止できる。隆起部12は、弁体7を正面側から受け止める。
壁部11と弁ケース8の内面との間には流出口84が形成され、図4に示すように仕切弁4を開いた状態では、サドル接続口51が流出口84を介して分岐接続口61に連通した状態となり、水道本管1から流れてきた水が壁部11の横を通って分岐接続口61に流れ込む。壁部11の先端11aは隆起部12よりも突出し、弁体7の側方を広く受け止めて止水性能を高めるようにしている。隆起部12の弁体7に対向する面は、ゴムライニング72に沿って湾曲している。
サドル接続口51から分岐接続口61に向かう横方向への流路が大きくなるように、弁ケース8は枝管6に向かって内部を拡幅させている。本実施形態では、図4に示すように、弁ケース8の内部をテーパ状に傾斜させて流出口84を大きく確保しており、壁部11のような障壁を設けながらも、分岐管への流量を確保できるようにしている。
この仕切弁4を用いて水道本管1に分岐管を接続する手順は、例えば次の通りである。まず、地面を掘削して水道本管1の必要部位を露出させ、水道本管1に外嵌筒体2を装着する。次に、外嵌筒体2の上部に設けたサドル3に仕切弁4を接続し、図1,2に示した状態とする。続いて、取付口52に穿孔装置を取り付け、仕切弁4を開いた状態とし、穿孔装置の切削刃を直管5に挿入して水道本管1を穿孔する。分岐接続口61には、前もってキャップを装着しておき、水密に施蓋する。
穿孔後、直管5から切削刃を引き抜いて仕切弁4を閉じ、穿孔装置を取り外した取付口52にキャップを装着する。そして、分岐接続口61に装着していたキャップを取り外し、所要の分岐管を接続する。この仕切弁4では、弁体7の移動方向に対して横向きとなる左右の両側に分岐管を設けることができる。仕切弁4を開くと、図4の破線矢印で示すように、水道本管1内の水が壁部11の横の流出口84を通って分岐接続口61に流れ、分岐管への分水が行われる
仕切弁4の開閉は、弁棒9の回転操作により弁体7を移動させることで行う。弁体7の側方部を弁ケース8に嵌め合わせる構造は有していないが、芯金具71の湾曲面70を弁ケース8の案内面80に対向させているため、弁体7の横方向のブレや捻じれを防止できる。これにより、弁体7の側方の開口を大きくして流量を確保しながらも、弁体7の姿勢を保持して精度良く位置決めでき、横方向への流れを適切に制御できる。
この仕切弁4では、分岐接続口61が弁体7と同じ高さ位置に設けられていることから、分岐管の地面からの土被りを確保しやすい。また、壁部11の横方向から水が流れる構成であるため、分岐管の高さをより低く設定でき、流量も十分に確保できる。二つの分岐接続口61の両方に分岐管を接続してあれば、一回の仕切弁操作により二方向への分岐が同時に行われる。取付口52に分岐管を分岐することも可能である。二つの分岐接続口61と取付口52のうち、何れに分岐管を接続するかは任意である。
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、外嵌筒体が二つの円弧状部材により構成された例を示したが、本発明では、外嵌筒体が三つ以上の円弧状部材からなるものでも構わない。また、弁体は、上記で示した以外の形状も採用可能である。
(2)本発明に係る分岐用仕切弁は、水道管に適用できるものであるが、これに限られず、水以外の各種の液体・気体などの流体に用いる流体管に幅広く適用できる。
1 水道本管
3 サドル
4 分岐用仕切弁
5 直管
6 枝管
7 弁体
8 弁ケース
9 弁棒
10 弁座
11 壁部
51 サドル接続口
52 取付口
61 分岐接続口
70 湾曲面
71 芯金具
71a 肩部
72 ゴムライニング
80 案内面
84 流出口

Claims (5)

  1. 既設管の上部にサドルを介して接続される分岐用仕切弁において、
    前記サドルに接続されるサドル接続口と対向する端部に、穿孔装置を取り付けるための取付口が設けられた直管と、
    前記直管と十字状に交差し、分岐管を接続するための分岐接続口が両端部に設けられた枝管と、
    前記直管の横方向に前記枝管と高さを揃えて設けられ、弁棒の回転に伴って前記直管の軸方向と交差する方向に移動し、前記サドル接続口から前記分岐接続口への連通を遮断可能な弁体と、
    前記弁棒を取り囲むように前記枝管から前記弁体の移動方向に延設された弁ケースとを備え、
    前記弁体の正面側に前記弁体の移動方向から見て湾曲した湾曲面が形成され、その湾曲面に対向する前記弁ケースの内面に、前記湾曲面に沿って湾曲した案内面が設けられていることを特徴とする分岐用仕切弁。
  2. 前記湾曲面と前記案内面とが常に対向するように、前記案内面が前記弁体の移動方向に沿って延在する請求項1に記載の分岐用仕切弁。
  3. 前記弁体が、前記弁棒に連結された芯金具と、その先端側に設けられたゴムライニングとで構成され、前記芯金具には、前記湾曲面を有する肩部が前記ゴムライニングよりも張り出して形成されている請求項1又は2に記載の分岐用仕切弁。
  4. 前記弁体を受け止めるための弁座が、前記分岐接続口に対向する壁部を有し、前記壁部と前記弁ケースの内面との間に形成された流出口を介して、前記サドル接続口から前記分岐接続口に連通する請求項1〜3いずれか1項に記載の分岐用仕切弁。
  5. 前記弁ケースが前記枝管に向かって内部を拡幅させている請求項1〜4いずれか1項に記載の分岐用仕切弁。
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