(第1の実施形態)
図1は本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態では、各色成分のトナー像を形成する4つの像形成部StY、StM、StC、StKが1列に配列された画像形成装置を用いる。
各像形成部は、StYがイエローのトナー像を形成し、StMがマゼンタのトナー像を形成し、StCがシアンのトナー像を形成し、StKがブラックのトナー像を形成する。
各像形成部StY、StM、StC、StKは同様の構成であるため、以下ではイエローのトナー像を形成する像形成部StYについて説明し、他の像形成部StM、StC、StKの構成の説明を省略する。
像形成部StYは、イエローの色成分のトナー像を担持する感光ドラム1Yと、この感光ドラム1Yを帯電する帯電器2Yと、感光ドラム1Yにイエローの色成分に対応した静電潜像を形成するため、感光ドラム1Yを露光する露光装置3Yを有している。さらに、像形成部StYは、感光ドラム1Y上に形成された静電潜像を、トナーを有する現像剤を用いてトナー像として顕像化する現像器4Yと、感光ドラム1Y上のトナー像を後述の中間転写ベルト6に転写する一次転写ローラ7Yを有している。また、像形成部StYは、トナー像を転写した後に感光ドラム1Y上に残留したトナーを除去するドラムクリーナ8Yも有している。
前述の中間転写ベルト6は、トナー像が担持される像担持体であり、各像形成部StY、StM、StC、StKで形成された各色成分のトナー像を重ねて担持することでフルカラーのトナー像が形成される。また、中間転写ベルト6は、この中間転写ベルト6を回転駆動させる駆動ローラ13、および、従動ローラ14に掛け回されている。
また、中間転写ベルト6の周囲には、この中間転写ベルト6上のトナー像を紙などの記録材Pへ転写するための二次転写ローラ9、および、二次転写対向ローラ12が配設されている。さらに、この中間転写ベルト6に担持されたトナー像の高さを検知する後述のトナー高さセンサユニット5と、中間転写ベルト6から記録材Pへと転写されずに残留したトナーを除去するベルトクリーナ11が配設されている。
次に、本実施形態の画像形成装置100が、不図示の読取装置やPC等から入力される原稿に応じた画像を出力する画像形成動作について説明する。
各像形成部StY、StM、StC、StKにおいて、先ず、帯電器2Y、2M、2C、2Kが感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを一様に帯電する。次いで、露光装置3Y、3M、3C、3Kが各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに原稿の各色成分の画像データに応じた露光光を照射することで、この原稿の各色成分の静電潜像が形成される。その後、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の静電潜像は現像器4Y、4M、4C、4Kによって各色成分のトナー像として顕像化される。
感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色成分のトナー像は、この感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの回転に伴い一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kが中間転写ベルト6を介して感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを押圧する一次転写ニップ部へ搬送される。この一次転写ニップ部において、感光ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色成分のトナー像は一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kから一次転写電圧が印加され、中間転写ベルト6上に順次重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト6上にはフルカラーのトナー像が形成される。また、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに残留したトナーは、ドラムクリーナ8Y、8M、8C、8Kによって除去される。
中間転写ベルト6に転写されたトナー像は、二次転写ローラ9が中間転写ベルト6を介して二次転写対向ローラ12を押圧する二次転写ニップ部に搬送される。一方、記録材Pはタイミングを調整されてフルカラーのトナー像と接触するように二次転写ニップ部へと搬送されると、二次転写電圧が印加された二次転写ローラ9により、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が記録材P上に転写される。また、二次転写ニップ部で記録材Pに転写されずに中間転写ベルト6に残留したトナーは、ベルトクリーナ11によって除去される。
トナー像を担持した記録材Pは定着器10へと搬送され、このトナー像が熱と圧力によって定着される。
また、本実施形態の画像形成装置100は、露光装置3Y、3M、3C、3Kが感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを露光することで、濃度を測定するためのトナー像(以降、パッチ像と称す。)に対応した静電潜像を形成する。この静電潜像が現像器4Y、4M、4C、4Kによって顕像化されると、この顕像化されたパッチ像が一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより中間転写ベルト6上に転写される。中間転写ベルト6上に形成されたパッチ像は、前述のトナー高さセンサユニット5によって、濃度に相当するトナー高さが検知される。つまり、トナー像の濃度はトナー付着量によって決まり、トナー付着量が増えると、それはトナー高さとして検知できることによるものである。なお、トナー高さとは、中間転写ベルト6の表面に垂直な方向のパッチ像の高さである。
次に、図2と図3と図4を用いて、図1のトナー高さセンサユニット5が中間転写ベルト6上に形成されたパッチ像のトナー高さを検知する方法について説明する。
図2(a)、および、図2(b)は、図1に示したトナー高さセンサユニット5の要部概略図である。中間転写ベルト6は図面に向かって手前側から奥側へ移動する。
トナー高さセンサユニット5は、照射手段としてのレーザ発振器501、集光レンズ502、受光レンズ503、受光手段としてのラインセンサ504から構成される。
レーザ発振器501は、測定光(波長850[nm])を集光レンズ502を介して中間転写ベルト6上にスポット径が50[μm]となるように照射する。
ラインセンサ504は、多数の受光素子を一列に並べた受光面を有する構成となっている。また、本実施形態のラインセンサ504の各受光素子は、光を受光すると光強度に応じた電圧を出力する構成となっている。また、各受光素子のピッチは、平均粒径のトナー1個分、パッチ像のトナー高さが変化した場合にも、受光位置の変化を検出できる構成とすればよい。
図2(a)は、パッチ像710が、レーザ発振器501から光が照射される照射位置に到達する前の状態を示した図である。レーザ発振器501から照射された測定光が中間転写ベルト6で反射され、ラインセンサ504で受光された様子を示している。
図2(b)は、中間転写ベルト6が図面に向かって手前側から奥側へ移動し、パッチ像710が照射位置へと搬送された状態を示した図である。レーザ発振器501から照射された測定光がパッチ像710で反射され、ラインセンサ504で受光された様子を示している。
次に、トナー高さセンサユニット5が中間転写ベルト6からの反射光と、パッチ像710からの反射光とを受光する方法について説明する。
先ず、図2(a)のように、レーザ発振器501から測定光を照射させると、測定光はレーザ発振器501から集光レンズ502を介して中間転写ベルト6上に照射される。この測定光は、中間転写ベルト6の表面で反射され、反射光Gのように受光レンズ503を介してラインセンサ504上の受光位置Poに結像される。ここで、反射光Gは、中間転写ベルト6からの反射光の内、受光レンズ503の中心を通過する光の重心位置を表したものである。また、受光レンズ503に入射できなかった反射光は、不図示の遮蔽板によって遮られる構成となっている。
次に、測定光を照射させた状態で、中間転写ベルト6が図面に向かって手前側から奥側に移動すると、図2(b)のように、中間転写ベルト6に担持されたパッチ像710が照射位置へと到達する。このとき、レーザ発振器501から照射される測定光は、パッチ像710で反射され、反射光Tのように受光レンズ503を介してラインセンサ504上の受光位置Ptに結像される。ここで、反射光Tは、パッチ像710からの反射光の内、受光レンズ503の中心を通過する光の重心位置を表したものである。また、受光レンズ503に入射できなかった反射光は、不図示の遮蔽板によって遮られる構成となっている。
次に、この中間転写ベルト6からの反射光の受光位置Poと、パッチ像710からの反射光の受光位置Ptとの受光位置差ΔPtを求める方法について説明する。
図3(a)は、図2(a)のラインセンサ504で測定される中間転写ベルト6の表面で反射された光の光強度Doの分布(強度分布)である。本実施形態において、中間転写ベルト6からの反射光の受光位置Poは、この反射光の光強度Doが最大値となる受光面上の位置となっている。
図3(b)は、図2(b)のラインセンサ504で測定されるパッチ像710の表面で反射された光の光強度Dtの分布(強度分布)である。本実施形態において、パッチ像710からの反射光の受光位置Ptは、この反射光の光強度Dtが最大値となる受光面上の位置となっている。なお、図3(b)には、図2(a)の中間転写ベルト6の表面で反射された光の光強度Doの分布を破線で示した。
図3(b)より、中間転写ベルト6からの反射光の受光位置Poと、パッチ像710からの反射光の受光位置Ptとは、パッチ像710のトナー高さ分異なることとなる。そのため、本実施形態では、CPU800(図7)がトナー高さセンサユニット5により、中間転写ベルト6からの反射光の受光位置Poと、パッチ像710からの反射光の受光位置Ptを夫々検出する。次いで、CPU800(図7)が、トナー高さセンサユニット5により検出した受光位置Poと受光位置Ptとの差分(受光位置差ΔPt)から、パッチ像710のトナー高さHtを特定する。
図4は、受光位置差ΔPtとトナー高さとの対応関係を示すデータを示した図である。パッチ像710からの反射光の受光位置Ptと、中間転写ベルト6からの反射光の受光位置Poとの差分(受光位置差ΔPt)から、図4の受光位置差ΔPtとトナー高さとの対応関係を示すデータを参照することで、パッチ像710のトナー高さHtを求める。なお、受光位置差ΔPtとトナー高さとの対応関係を示すデータは、後述のROM910(図7)に予め格納されている。
CPU(図7)は、このようにして求めたトナー高さHtが、任意の濃度の目標値に対応するトナー高さとなるように画像形成条件を調整することで、任意の濃度のトナー像を形成するための画像形成条件を決定することができる。
また、本実施形態では、中間転写ベルト6からの反射光の受光位置と、パッチ像710からの反射光の受光位置とを検出する構成としてラインセンサ504を用いたが、受光素子が2次元に配列された受光面を有するエリアセンサを用いる構成としてもよい。
本実施形態では、所定の幅よりも太いトナー像のトナー高さに基づきトナーの飛び散りが発生しないときの画像形成条件が決定され、所定の幅以下のトナー像のトナー高さに基づきトナーの飛び散りを発生させないための画像形成条件が決定される。なお、本実施形態において所定の幅とは、1[mm]の幅を指している。また、画像形成条件とは、帯電電圧、現像バイアス、転写電圧、露光光量、露光時間などである。記録材1枚分の領域における所定の幅以下の領域のトナー高さだけを制御する方法としては、帯電電圧、現像バイアス、転写電圧を制御するよりも、露光光量や露光時間を制御する方が容易である。ここで、露光時間と露光光量を制御する方法としては、図1の露光装置3Y、3M、3C、3Kに入力される信号レベルを補正する処理がある。
この信号レベルを補正する処理とは、各色成分のトナー像を重ねて形成するときの信号レベルの合計が、トナーの飛び散りが発生する信号レベルの上限値よりも大きい場合、各色成分の信号レベルの合計が上限値以下となるように補正する処理である。これにより、画像データに応じたトナー像を形成したときのトナー高さをトナーの飛び散りが抑制される目標高さ以下に制限することができる。なお、信号レベルとは、画像データに応じたトナー像を形成するときの各画素における階調に相当しており、トナー像における単位面積当たりのトナーの量(以降、トナー載り量と称す。)を変化させるパラメータである。
実験によれば、各色成分のトナー像を重ねたトナー高さが35[μm]より高くなるトナー像を定着した場合、トナーの飛び散りが発生した。また、1色のトナー像を最大信号レベルで形成したときのトナー高さは14[μm]となる。つまり、最大濃度のトナー像を2.5色分より多く重ねたときにトナーの飛び散りが発生していることが分かる。
本実施形態では、信号レベルを0から100の100段階で表し、1色のトナー像が最大濃度で形成されるときの信号レベルを100とする。つまり、最大濃度のトナー像を4色分重ねたときの信号レベルが400となる。
本実施形態では、各色成分のトナー像を重ねた状態での信号レベルの合計が250以下となるように、各色成分の信号レベルを式1から式4を用いて補正する。この式1から式4は、各色成分の信号レベルの合計が上限値以下となるように、各色成分の信号レベルの合計と上限値との比率を、色成分毎の信号レベルに乗じている。
式1から式4において、Trは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色成分のトナー像を重ねて形成するための信号レベルの上限値である。式1から式4において、複数のトナー像を重ねた状態でのトナー高さを2.5色分に抑える場合、Trは250となる。
また、式1から式4において、Y0は補正前のイエローのトナー像を形成するときの信号レベルであり、M0は補正前のマゼンタの信号レベルであり、C0は補正前のシアンの信号レベルであり、K0は補正前のブラックの信号レベルである。
さらに、式1において、Y1は補正後のイエローのトナー像の信号レベルであり、上限値Trを各色成分の補正前の信号レベルの合計値で除した値に、補正前のイエローの信号レベルを乗ずることで算出される。
同様に、式2において、M1は補正後のマゼンタのトナー像の信号レベルであり、上限値Trを各色成分の補正前の信号レベルの合計値で除した値に、補正前のマゼンタの信号レベルを乗ずることで算出される。
また、式3において、C1は補正後のシアンのトナー像の信号レベルであり、上限値Trを各色成分の補正前の信号レベルの合計値で除した値に、補正前のシアンの信号レベルを乗ずることで算出される。
また、式4において、K1は補正後のブラックのトナー像の信号レベルであり、上限値Trを各色成分の補正前の信号レベルの合計値で除した値に、補正前のブラックの信号レベルを乗ずることで算出される。
ここで、信号レベルがイエロー90、マゼンタ80、シアン70、ブラック30(信号レベルの合計が270)で、線幅が0.3[mm]の細線のトナー像を形成する場合を例に説明する。このトナー像の信号レベルの上限値を250とすると、信号レベルの上限値Trは250となる。各色成分の信号レベルは、式1から式4を用いて、イエローの信号レベルが83、マゼンタの信号レベルが74、シアンの信号レベルが65、ブラックの信号レベルが28に補正される。
なお、本実施形態では、各色成分の信号レベルの合計が250以下となるような場合、信号レベルの補正を実施しないものとする。
しかしながら、各色成分の信号レベルを、その合計が上限値以下となるように補正しても、文字や線画のトナー像において、トナーの飛び散りが発生してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、1[mm]以下の幅でトナーを担持するトナー像を形成する場合、このトナー像のトナー載り量をトナーの飛散が抑制される量に制限するため、信号レベルの上限値を変更している。
図5は、中間転写ベルト6の移動方向(搬送方向)の長さが夫々異なる複数のトナー像から検知したトナー高さの結果を示した図である。これらトナー像は、記録解像度が600[dpi]の画像形成装置により、中間転写ベルト6の移動方向に直交する方向に600画素分の長さの直線のトナー像を、この移動方向に1画素から50画素まで1画素刻みに変化させて形成されたものである。なお、記録解像度が600[dpi]の画像形成装置は、1画素が約42.3[μm]となる。
図5より、3画素(約0.13[mm])から8画素(約0.34[mm])の細線のトナー像は、ベタのトナー像に比べて20[%]程度、トナー高さが増加していることがわかる。また、このトナー像のトナー高さは、温度や湿度、トナーの帯電量によって変化してしまう。
そこで、本実施形態では、各色成分のパッチ像から検知されるトナー高さに応じて、複数のトナー像を重ねて形成する際、信号レベルの合計の上限値を変化させる構成とする。
具体的には、色成分毎にベタのパッチ像を形成し、このベタのパッチ像のトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kが最大濃度に相当するトナー高さとなるように画像形成条件を制御する。なお、Ht1yはイエローのベタのパッチ像のトナー高さであり、Ht1mはマゼンタのベタのパッチ像のトナー高さであり、Ht1cはシアンのベタのパッチ像のトナー高さであり、Ht1kはブラックのベタのパッチ像のトナー高さである。
次いで、ベタのパッチ像のトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kが最大濃度に対応するトナー高さとなる画像形成条件で色成分毎に細線のパッチ像を形成し、各色成分の細線のパッチ像のトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kを求める。なお、Ht2yはイエローの細線のパッチ像のトナー高さであり、Ht2mはマゼンタの細線のパッチ像のトナー高さであり、Ht2cはシアンの細線のパッチ像のトナー高さであり、Ht2kはブラックの細線のパッチ像のトナー高さである。
次いで、式5から式8により、ベタのパッチ像のトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kを基準とした細線のパッチ像のトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kの割合を算出する。
Ry=Ht2y/Ht1y …(式5)
Rm=Ht2m/Ht1m …(式6)
Rc=Ht2c/Ht1c …(式7)
Rk=Ht2k/Ht1k …(式8)
なお、式5において、Ryはイエローのトナー高さ比であり、イエローのベタのパッチ像のトナー高さHt1yに対するイエローの細線のパッチ像のトナー高さHt2yの比率である。また、式6において、Rmはマゼンタのトナー高さ比であり、マゼンタのベタのパッチ像のトナー高さHt1mに対するマゼンタの細線のパッチ像のトナー高さHt2mの比率である。式7において、Rcはシアンのトナー高さ比であり、シアンのベタのパッチ像のトナー高さHt1cに対するシアンの細線のパッチ像のトナー高さHt2cの比率である。式8において、Rkはブラックのトナー高さ比であり、ブラックのベタのパッチ像のトナー高さHt1kに対するブラックの細線のパッチ像のトナー高さHt2kの比率である。また、実験によれば、各色成分のトナー高さ比Ry、Rm、Rc、Rkは、1から2.5の間で変化する。
式9に示すように、イエローのトナー高さ比Ryと、マゼンタのトナー高さ比Rmと、シアンのトナー高さ比Rcと、ブラックのトナー高さ比Rkとの平均値を求める。このトナー高さ比の平均値は後述の説明において、各色成分のトナー像を重ねて形成するときの信号レベルの上限値Trを特定するために用いられる。以降、前述の平均値を平均トナー高さ比Raveと称す。
Rave=(Ry+Rm+Rc+Rk)/4 ・・・(式9)
なお、トナーの飛び散りは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色成分のトナー像を重ねた状態で発生する。そのため、本実施形態では、信号レベルの上限値Trを各色成分のトナー高さ比Ry、Rm、Rc、Rkの平均値Raveから求めている。
表1は、本願発明者達が実験により決定したトナーの飛び散りを発生させないための細線領域の信号レベルの上限値Trと平均トナー高さ比Raveとの対応関係を示したデータである。
ここで、細線領域とは、所定の幅以下でトナーを担持する文字や線画の領域である。なお、本実施形態では、細線領域と判定される文字を文字サイズが32ポイント以下とし、細線領域と判定される線画を線の太さを1[mm]以下の線とした。
また、本実施形態では、1[mm]よりも広い幅でトナーを担持する領域の信号レベルの上限値Trを250とした。1[mm]よりも広い幅でトナーを担持する領域の信号レベルの上限値Trを250とした理由は、環境変動や現像剤の劣化によっても、1[mm]よりも広い幅のトナー像のトナー高さがトナーの飛散を発生させるほど高くならないためである。
本実施形態では、表1のデータに則って、平均トナー高さ比Raveに応じた細線領域の信号レベルの上限値Trを設定する。
例えば、トナー高さ比Raveが1.0より大きく1.2以下の場合、細線領域の信号レベルの上限値Trは240に設定され、トナー高さ比Raveが1.2より大きく1.4以下の場合、細線領域の信号レベルの上限値Trは230に設定される。
次に、図6を用いて、本実施形態の画像形成装置が、平均トナー高さ比Raveを求める場合に形成するベタのパッチ像と細線のパッチ像について説明する。
図6は、像担持体としての中間転写ベルト6上に形成されたベタのパッチ像601y、601m、601c、601kと、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kを示した図である。なお、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kは、第1のトナー像に相当し、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kは、第2のトナー像に相当する。
ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kは、中間転写ベルト6の移動方向の長さが5[mm]、この移動方向に直交する方向の長さが10[mm]で形成されている。なお、中間転写ベルト6に担持されたベタのパッチ像601y、601m、601c、601kは、中間転写ベルト6の移動方向の長さと、中間転写ベルト6の移動方向に直交する方向の長さの両方が1[mm]よりも長いパッチ像となっている。
また、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kは、中間転写ベルト6の移動方向の長さが0.25[mm]、この移動方向に直交する方向の長さが10[mm]で形成される。なお、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kの中間転写ベルト6の移動方向の幅(0.25[mm])は、記録解像度が600[dpi]の画像形成装置において6画素分の幅に等しい。
また、本実施形態において、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kの短手方向の幅を6画素分の幅としたが、この細線のパッチ像602y、602m、602c、602kの幅は、この寸法に限定されない。
細線のパッチ像602y、602m、602c、602kの幅は、トナーの飛び散りが発生しやすい1[mm]以下の幅であれば、どのような幅であってもよい。ただし、この場合、各色成分の信号レベルの合計を上限値Tr以下となるように補正して形成される6画素分の幅の細線のトナー像がトナーの飛散の発生しないトナー高さとなるように、上限値Trと平均トナー高さ比Raveとの対応関係を設定する必要がある。なお、6画素分の幅の細線のトナー像を基準とした理由は、細線のトナー像を同じ画像形成条件で幅を変えて形成した場合、6画素分の幅の細線のトナー像が最もトナー高さが高くなり、トナーの飛散が発生しやすいことが実験結果により判明したためである。
また、好ましくは、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kと細線のパッチ像602y、602m、602c、602kを最大濃度で形成する。中間転写ベルト6上に面積階調法で形成されたトナー像は、その濃度が高くなるに従い、つまり、信号レベルが大きくなるに従い、その表面が平滑な状態となる。そのため、信号レベルが100で形成されたパッチ像は、信号レベルが100よりも低い値で形成されたパッチ像に比べて、前述の受光位置を精度良く特定することができる。これにより、ベタのパッチ像のトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kと、細線のパッチ像のトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kとから平均トナー高さ比Raveを精度良く算出することができる。
図7は、本実施形態の画像形成装置の制御ブロック図である。また、図8は本実施形態の画像形成装置が画像を形成する際のCPUの動作を説明するフローチャートである。
図7において、CPU800は画像形成装置全体を制御する制御回路である。ROM910には、画像形成装置で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。また、ROM910は記憶部であり、測定された前述の平均トナー高さ比Raveと細線領域の信号レベルの上限値Trとの対応関係を示すデータ(表1)が予め工場出荷時に記憶されている。また、RAM920は、CPU800が処理のために使用するシステムワークメモリである。
レーザ発振器501は、CPU800からの信号に応じて中間転写ベルト6上に測定光を照射する。ラインセンサ504は、中間転写ベルト6からの反射光を受光することで、又は、パッチ像からの反射光を受光することで、各受光素子から光強度に応じた電流を出力する。なお、CPU800は、このラインセンサ504の各受光素子から出力される光強度に応じた電流の値から、最大電流値を出力する受光素子の位置を反射光の受光位置として検知する。
像形成部StYは、図1の感光ドラム1Y、帯電器2Y、露光装置3Y、現像器4Y、一次転写ローラ7Yから構成される。この像形成部StYは、CPU800からの指示により、ROM910、又は、RAM920に格納された画像形成条件を用いて、前述のイエローのベタのパッチ像601yと、イエローの細線のパッチ像602yを中間転写ベルト6上に形成する。なお、感光ドラム1Y、帯電器2Y、露光装置3Y、現像器4Y、一次転写ローラ7Yは、図1と同様であるため、その構成の説明を省略する。
像形成部StMは、図1の感光ドラム1M、帯電器2M、露光装置3M、現像器4M、一次転写ローラ7Mから構成される。この像形成部StMは、CPU800からの指示により、ROM910、又は、RAM920に格納された画像形成条件を用いて、前述のマゼンタのベタのパッチ像601mと、マゼンタの細線のパッチ像602mを中間転写ベルト6上に形成する。なお、感光ドラム1M、帯電器2M、露光装置3M、現像器4M、一次転写ローラ7Mは、図1と同様であるため、その構成の説明を省略する。
像形成部StCは、図1の感光ドラム1C、帯電器2C、露光装置3C、現像器4C、一次転写ローラ7Cから構成される。この像形成部StCは、CPU800からの指示により、ROM910、又は、RAM920に格納された画像形成条件を用いて、前述のシアンのベタのパッチ像601cと、シアンの細線のパッチ像602cを中間転写ベルト6上形成する。なお、感光ドラム1C、帯電器2C、露光装置3C、現像器4C、一次転写ローラ7Cは、図1と同様であるため、その構成の説明を省略する。
像形成部StKは、図1の感光ドラム1K、帯電器2K、露光装置3K、現像器4K、一次転写ローラ7Kから構成される。また、像形成部StKは、CPU800からの指示により、ROM910、又は、RAM920に格納された画像形成条件を用いて、前述のブラックのベタのパッチ像601kと、ブラックの細線のパッチ像602kを中間転写ベルト6上に形成する。なお、感光ドラム1K、帯電器2K、露光装置3K、現像器4K、一次転写ローラ7Kは、図1と同様であるため、その構成の説明を省略する。
ここで、前述の画像形成条件とは、帯電器2Y、2M、2C、2Kの帯電電圧、露光装置3Y、3M、3C、3Kの露光光量や露光時間、現像器4Y、4M、4C、4Kの現像バイアス、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kに印加する転写電圧などである。
表示パネル930は、画像形成装置の異常を報知するための液晶画面を有する。CPU800から異常を報知する信号が入力されることにより、異常の内容を表示する構成となっている。
駆動モータ130は、ステッピングモータであり、CPU800からの信号に応じた電流が印加されると図1の駆動ローラ13を回転させる。この駆動ローラ13が回転することにより、図1の中間転写ベルト6を矢印C方向へ駆動させる。
以下、本実施形態の画像形成装置が画像を形成する画像形成処理を図8に表すフローチャートを用いて詳細に説明する。
なお、図8のフローチャートの処理はCPU800がROM910に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
先ず、CPU800は、画像形成装置の主電源がオンされると、上限値Trを特定する処理を行い(S100)、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを特定した後、枚数カウント値pを0にリセットする(S101)。なお、ステップS100の上限値Trを特定する処理は図9を用いて後述するため、詳細な説明を省略する。
次いで、CPU800は、コピーを開始する信号が入力されるまで待機しており(S102)、PCなどの外部装置から画像データが入力されると、後述の信号レベルを補正する処理を行う(S103)。ステップS103の信号レベルを補正する処理は図13を用いて後述するため、詳細な説明を省略する。
次いで、CPU800は、枚数カウント値pを1増加させ(S104)、像形成部StY、StM、StC、StKにより画像形成動作を行う(S105)。ステップS104において、1枚分の画像形成を行う度に枚数カウント値pが1増加される。また、ステップS105では、CPU800が像形成部StY、StM、StC、StKにより、ステップS103において補正された信号レベルに基づいたトナー像を形成する。各色成分のトナー像は中間転写ベルト6(図1)上で重ねて形成される。ステップS105において、像形成部StY、StM、StC、StKは、複数の色成分のトナー像を重ねた重畳トナー像を形成する像形成手段として機能する。
次いで、CPU800は、枚数カウント値pが1000以上であるか否かを判定する(S106)。つまり、ステップS100において上限値Trを特定してから形成した画像の枚数が1000枚に達したか否かを判定している。ここで、本実施形態では枚数カウント値pの目標値を1000としたが、この目標値は現像剤の劣化によって細線のトナー高さが高くなる画像形成枚数の目標値であればどのような値であってもよく、また、ユーザが設定できる構成としてもよい。
ステップS106において、枚数カウント値pが1000以上でない場合、ステップS102へ移行する。
一方、ステップS106において、枚数カウント値pが1000以上である場合、ステップS100へ移行し、上限値Trを特定する処理を再度行う。
本実施形態では、ステップS100からステップS106を繰り返すことにより、画像形成枚数が1000枚毎に各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを更新している。
次に、図8のステップS100において実行される各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを特定する処理について説明する。
図9は、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを特定するサブルーチンを示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理はCPU800がROM910に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
先ず、CPU800は、画像形成条件の特定処理を行い、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kのトナー高さが目標高さになるときの画像形成条件を、色成分毎に特定する(S200)。この特定された画像形成条件は、各色成分に対応付けてRAM920に格納される。なお、ステップS200のベタのパッチ像601y、601m、601c、601kのトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kが目標高さになるときの画像形成条件を特定する処理は図10を用いて後述するため、詳細な説明を省略する。
次いで、CPU800は、ステップS200によりRAM920に格納された画像形成条件を用いて、像形成部StY、StM、StC、StKに各色成分の細線のパッチ像602y、602m、602c、602kを形成させる(S201)。ステップS201において、各色成分の細線のパッチ像602y、602m、602c、602kは、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kと同じ信号レベルで形成される。なお、本実施形態では、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kのトナー高さが所定の高さとなるときの信号レベルを100(最大濃度)しており、この信号レベルで細線のパッチ像602y、602m、602c、602kが形成される。
次いで、CPU800は、レーザ発振器501から光を照射させ、ラインセンサ504からの出力電流から、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kのトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kを検知する(S202)。
このとき、CPU800は、レーザ発振器501から光を照射させ、各細線のパッチ像602y、602m、602c、602kが照射位置に到達するタイミングで、ラインセンサ504から出力される電流値が最大となる受光素子の位置を受光位置として特定する。また、CPU800は、レーザ発振器501から光を照射させ、中間転写ベルト6が照射位置に位置するタイミングで、ラインセンサ504から出力される電流値が最大となる受光素子の位置を受光位置として特定する。
このようにして特定された各細線のパッチ像602y、602m、602c、602kから反射された光の受光位置と、中間転写ベルト6で反射された光の受光位置とから、前述の方法を用いてトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kを求める。
ステップS202においてラインセンサ504の各受光素子から出力される光強度に応じた電流値は、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kのトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kに応じた第2の信号である。また、ステップS202において、レーザ発振器501は、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kに光を照射する第2の照射部として機能する。また、ステップS202において、ラインセンサ504は細線のパッチ像602y、602m、602c、602kから反射された光を受光する第2の受光面を有する第2の受光部として機能する。つまり、ラインセンサ504は、第2の受光面上の受光位置を特定するため、受光される光の光強度に応じた電流値を出力する。これにより、ステップS202において、トナー高さセンサユニット5は、細線のパッチ像のトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kを検知する第2の検知手段として機能する。
次いで、CPU800は、ステップS202で検知した各色成分のベタのトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kと、細線のトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kとから、平均トナー高さ比Raveを算出する(S203)。なお、平均トナー高さ比Raveは、前述の式5から式8により各色のトナー高さ比Ry、Rm、Rc、及びRkを算出し、前述の式9により、これらトナー高さ比Ry、Rm、Rc、Rkを平均することで求まる。
ここで、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kのトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kは、最大濃度で形成されたベタのパッチ像601y、601m、601c、601kの目標高さとなる。なお、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kのトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kが目標高さとなる理由は、後述の図10において説明する。
次いで、CPU800は、ステップS203で求めた平均トナー高さ比Raveが1.0以下であるか否かを判定する(S204)。ステップS204において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.0以下であれば、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを250とし(S205)、この値をRAM920に格納する。
一方、ステップS204において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.0より大きいと判定した場合、平均トナー高さ比Raveが1.2以下であるか否かを判定する(S206)。ステップS206において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.2以下であれば、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを240とし(S207)、この値をRAM920に格納する。
一方、ステップS206において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.2より大きいと判定した場合、平均トナー高さ比Raveが1.4以下であるか否かを判定する(S208)。ステップS208において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.4以下であれば、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを230とし(S209)、この値をRAM920に格納する。
一方、ステップS208において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.4より大きいと判定した場合、平均トナー高さ比Raveが1.6以下であるか否かを判定する(S210)。ステップS210において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.6以下であれば、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを220とし(S211)、この値をRAM920に格納する。
一方、ステップS210において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.6より大きいと判定した場合、平均トナー高さ比Raveが1.8以下であるか否かを判定する(S212)。ステップS212において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.8以下であれば、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを210とし(S213)、この値をRAM920に格納する。
一方、ステップS212において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが1.8より大きいと判定した場合、平均トナー高さ比Raveが2.0以下であるか否かを判定する(S214)。ステップS214において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが2.0以下であれば、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを200とし(S215)、この値をRAM920に格納する。
ここで、平均トナー高さ比Raveが2.0より大きい場合、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kは、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kに比べて、そのトナー高さが2倍の高さよりも高くなっていることになる。
そのため、ステップS214において、CPU800は、平均トナー高さ比Raveが2.0よりも大きい場合、細線のパッチ像のトナー高さが高くなり過ぎていることを報知するための信号を表示パネル930へ出力する(S216)。この信号によって表示パネル930は、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kのトナー高さHt2y、Ht2m、Ht2c、Ht2kが高くなり過ぎていることを報知する表示を行う。
次いで、CPU800は、像形成部StY、StM、StC、StKによる画像形成動作の実行を禁止し(S217)、上限値Trを特定する処理と、図8の画像形成処理を終了させる。これは、信号レベルの上限値を200よりも小さい値としてしまうと、形成するトナー像の濃度が許容できる濃度よりも低くなってしまうためである。
次に図9のステップS200において実行される画像形成条件を特定する処理について説明する。
本実施形態では、各色成分のベタのパッチ像601y、601m、601c、601kを形成し、そのトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kを前述のトナー高さセンサユニット5で検知する。次いで、このトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kが目標高さとなったときの、像形成部StY、StM、StC、StKの画像形成条件を特定する。この特定された画像形成条件は、前述の図9で、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kを形成する際の画像形成条件として用いられる。
ここで、目標高さとは、X−rite社製分光濃度計504型で測定した濃度が1.6(最大濃度に相当。)となるトナー像を形成し、このトナー像をトナー高さセンサユニット5で検知したときトナー高さであり、予めROM910に記憶されている。
以下、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kを形成する際の画像形成条件を特定する方法を、各色成分の画像形成条件を特定するサブルーチンを示す図10のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートの処理はCPU800がROM910に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
先ず、CPU800は、像形成部StKにより、ROM910に格納されている画像形成条件を用いてブラックのベタのパッチ像601kを、中間転写ベルト6上に形成する(S300)。
次いで、CPU800は、レーザ発振器501とラインセンサ504により、中間転写ベルト6上に形成されるブラックのベタのパッチ像601kから、トナー高さHt1kを検知する(S301)。
次いで、CPU800は、ステップS301で検知したトナー高さHt1kが、予めROM910に記憶されているブラックのベタのパッチ像601kの目標高さであるか否かを判定する(S302)。本実施形態では、ブラックのベタのパッチ像601kの目標高さを14[μm]とする。
ステップS302において、トナー高さHt1kが目標高さとならなければ、CPU800は、像形成部StKの画像形成条件を変更し(S303)、ステップS300へ移行する。なお、ステップS300では、CPU800が、像形成部StKにより、ステップS303で変更した像形成部StKの画像形成条件を用いて、ブラックのベタのパッチ像601kを再度形成する。
ステップS300からステップS303を繰り返すことにより、CPU800は、トナー高さHt1kが目標高さとなるまで、画像形成条件を変更しながらブラックのベタのパッチ像601kを形成し続ける。
一方、ステップS302において、トナー高さHt1kが目標高さとなると、CPU800は、トナー高さHt1kが目標高さとなるときの画像形成条件を、ブラックの細線のパッチ像602kを形成する際の画像形成条件としてRAM920に格納する。これによって、トナー高さHt1kが目標高さとなったときの画像形成条件が、ブラックの細線のパッチ像602kを形成する際の画像形成条件として特定される。
ステップS302において、トナー高さHt1kが目標高さとなった際にラインセンサ504の各受光素子から出力される光強度に応じた電流値は、ブラックのベタのパッチ像601kのトナー高さHt1kに応じた第1の信号である。
次いで、CPU800は、ブラックの細線のパッチ像602kを形成する際の画像形成条件を特定した後、シアンの細線のパッチ像602cを形成する際の画像形成条件を特定する処理を開始する。
CPU800は、像形成部StCにより、ROM910に格納されている画像形成条件を用いてシアンのベタのパッチ像601cを、中間転写ベルト6上に形成する(S304)。
次いで、CPU800は、レーザ発振器501とラインセンサ504により、中間転写ベルト6上に形成されるシアンのベタのパッチ像601cから、トナー高さHt1cを検知する(S305)。
次いで、CPU800は、ステップS305で検知したトナー高さHt1cが、予めROM910に記憶されているシアンのベタのパッチ像601cの目標高さであるか否かを判定する(S306)。本実施形態では、シアンのベタのパッチ像601cの目標高さを14[μm]とする。
ステップS306において、トナー高さHt1cが目標高さとならなければ、CPU800は、像形成部StCの画像形成条件を変更し(S307)、ステップS304へ移行する。なお、ステップS304では、CPU800が、像形成部StCにより、ステップS307で変更した像形成部StCの画像形成条件を用いて、シアンのベタのパッチ像601cを再度形成する。
ステップS304からステップS307を繰り返すことにより、CPU800は、トナー高さHt1cが目標高さとなるまで、画像形成条件を変更しながらシアンのベタのパッチ像601cを形成し続ける。
一方、ステップS306において、トナー高さHt1cが目標高さとなると、CPU800は、トナー高さHt1cが目標高さとなるときの画像形成条件を、シアンの細線のパッチ像602cを形成する際の画像形成条件としてRAM920に格納する。これによって、トナー高さHt1cが目標高さとなったときの画像形成条件が、シアンの細線のパッチ像602cを形成する際の画像形成条件として特定される。
ステップS306において、トナー高さHt1cが目標高さとなった際にラインセンサ504の各受光素子から出力される光強度に応じた電流値は、シアンのベタのパッチ像601cのトナー高さHt1cに応じた第1の信号である。
次いで、CPU800は、シアンの細線のパッチ像602cを形成する際の画像形成条件を特定した後、マゼンタの細線のパッチ像602mを形成する際の画像形成条件を特定する処理を開始する。
以降、ステップS308からステップS311において、CPU800は、像形成部StMにより、トナー高さHt1mが目標高さとなるまで、画像形成条件を変更しながらマゼンタのベタのパッチ像601mを形成し続ける。なお、ステップS308からステップS311は、前述のブラックの細線のパッチ像602kを形成する際の画像形成条件を特定する処理や、前述のシアンの細線のパッチ像602cを形成する際の画像形成条件を特定する処理と同様のため、詳細な説明を省略する。
また、ステップS310において、トナー高さHt1mが目標高さとなった際にラインセンサ504の各受光素子から出力される光強度に応じた電流値は、マゼンタのベタのパッチ像601mのトナー高さHt1mに応じた第1の信号である。
次いで、CPU800は、マゼンタの細線のパッチ像602mを形成する際の画像形成条件を特定した後、イエローの細線のパッチ像602yを形成する際の画像形成条件を特定する処理を開始する。
以降、ステップS312からステップS315において、CPU800は、像形成部StYにより、トナー高さHt1yが目標高さとなるまで、画像形成条件を変更しながらイエローのベタのパッチ像601yを形成し続ける。なお、ステップS312からステップS315は、前述のブラックの細線のパッチ像602kを形成する際の画像形成条件を特定する処理や、前述のシアンの細線のパッチ像602cを形成する際の画像形成条件を特定する処理と同様のため、詳細な説明を省略する。
また、ステップS314において、トナー高さHt1yが目標高さとなった際にラインセンサ504の各受光素子から出力される光強度に応じた電流値は、イエローのベタのパッチ像601yのトナー高さHt1yに応じた第1の信号である。
CPU800は、各色成分の細線のパッチ像602y、602m、602c、602kを形成する際の画像形成条件を特定すると、画像形成条件の特定処理を終了し、前述の上限値Trを特定する処理(図9)のステップS201へ移行する。なお、ステップS301、ステップS305、ステップS309、ステップS313において、レーザ発振器501は、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kに光を照射する第1の照射部として機能する。また、ステップS301、ステップS305、ステップS309、ステップS313において、ラインセンサ504はベタのパッチ像601y、601m、601c、601kから反射された光を受光する第1の受光面を有する第1の受光部として機能する。つまり、ラインセンサ504は、第1の受光面上の受光位置を特定するため、受光される光の光強度に応じた電流値を出力する。これにより、ステップS301、ステップS305、ステップS309、ステップS313において、トナー高さセンサユニット5は、ベタのパッチ像のトナー高さHt1y、Ht1m、Ht1c、Ht1kを検知する第1の検知手段として機能する。
次に図8のステップS103において実行される信号レベルを補正する処理について説明する。
本実施形態のCPU800(図7)は、画像データをビットマップデータに展開し、文字と線画と写真画像を形成する各色成分の信号レベルの合計が、上限値Trを特定する処理(図9)で特定された上限値Tr以下となるように各色成分の信号レベルを補正する。
図11は、ページ記述言語により記述された画像データの例である。ページ記述言語で記述された画像データは、(a)テキストデータと、(b)グラフィックスデータと、(c)ラスタイメージデータに大別される。
画像データの91は、ビットマップデータへ展開すると文字に変換されるテキストデータを記述したコマンドである。このテキストデータ91は、文字の内容、文字の色とその信号レベル(濃度)、記録材P上の配置する位置、文字サイズ、文字間隔を指定している。
画像データの92は、ビットマップデータへ展開すると線画に変換されるグラフィックスデータを記述したコマンドである。このグラフィックスデータ92は、線の色とその信号レベル(濃度)、線の始点と終点の座標、線の太さを指定している。
画像データの93は、ビットマップデータへ展開すると写真画像に変換されるラスタイメージデータを記述したコマンドである。このラスタイメージデータ93は、写真画像の色成分数、各ドットの信号レベル(濃度)、写真画像をレイアウトする位置などが指示されている。
このように、ページ記述言語で記載された画像データは、文字と線画と写真画像とに、そのコマンドによって識別することができる。
図12は図11の画像データをビットマップデータに展開した様子を示した概略図である。なお、図12の80は、記録材1枚分の領域を示している。
文字オブジェクト81は、テキストデータ91(図11)を展開した様子を表したものである。また、線画オブジェクト82は、グラフィックスデータ92(図11)を展開した様子を表したものである。また、写真画像オブジェクト83は、ラスタイメージデータ93(図11)を展開した様子を表したものである。
本実施形態では、画像データが入力されると、CPU800(図7)が画像データの各コマンドを順次、ビットマップデータに展開しながら、オブジェクト(文字オブジェクト、線画オブジェクト、写真画像オブジェクト)毎に信号レベルの補正を行う。
以下、図8のステップS103に示した信号レベルを補正する処理を図13に表すフローチャートに基づいて説明する。なお、このフローチャートの処理はCPU800がROM910に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
先ず、CPU800は、画像データを読み取り、この画像データを展開した結果が線画オブジェクトであるか否かを判定する(S400)。ここで、CPU800は、読み取った画像データの展開中のコマンドがグラフィックスデータである場合、このコマンドを展開した結果が線画オブジェクトであると判定する。
ステップS400において、画像データを展開した結果が線画オブジェクトである場合、CPU800は、後述のステップS402へ移行する。
一方、ステップS400において、画像データを展開した結果が線画オブジェクトでない場合、CPU800は、この画像データを展開した結果が文字オブジェクトであるか否かを判定する(S401)。ここで、CPU800は、展開中のコマンドがテキストデータである場合、このコマンドを展開した結果が文字オブジェクトであると判定する。
ステップS401において、画像データを展開した結果が文字オブジェクトでない場合、CPU800は、この画像データを展開した結果が写真画像オブジェクトであると判定し、後述のステップS406へ移行する。
一方、ステップS401において、画像データを展開した結果が文字オブジェクトである場合、CPU800は、この文字オブジェクトが細線領域を有しているか否かを判定する(S402)。このとき、CPU800は、画像データのコマンドによって指定される文字サイズが所定の文字サイズ以下であるか否かを判定する。なお、本実施形態では、所定の文字サイズを32[ポイント]とする。ここで、CPU800は、入力される画像データから所定の文字サイズ以下の文字を識別する文字識別手段として機能する。
また、前述のステップS400において、画像データを展開した結果が線画オブジェクトである場合、CPU800は、この線画オブジェクトが細線領域を有しているか否かを判定する(S402)。このとき、CPU800は、画像データのコマンドによって指定される線の太さが所定の線の太さ以下であるか否かを判定する。なお、本実施形態では、所定の線の太さを1[mm]とする。ここで、CPU800は、入力される画像データから所定の太さ以下の線画を識別する線画識別手段として機能する。
ステップS402において、展開した文字オブジェクト、又は、展開した線画オブジェクトが細線領域を有している場合、CPU800は、信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する(S403)。
ステップS403において、CPU800は、画像データがテキストデータである場合、指定される文字の色とその信号レベル(濃度)から、各色成分の信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する。また、ステップS403において、CPU800は、画像データがグラフィックスデータである場合、指定される線の色とその信号レベル(濃度)から、各色成分の信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する。
ステップS403において、信号レベルの合計が250より大きい場合、CPU800は、前述の式1から式4により、各色成分の信号レベルを補正し(S404)、後述のステップS409へ移行する。ステップS404において、前述の式1から式4の上限値Trは、前述の上限値Trを特定する処理(図9)においてRAM920に格納された上限値Trを用いる。ステップS404において、CPU800は、形成されるトナー像の幅に応じて信号レベルを変更する変更手段として機能する。
一方、ステップS403において、信号レベルの合計が250以下である場合、CPU800は、以下の式10から式13により、各色成分の信号レベルを補正し(S405)、後述のステップS409へ移行する。ステップS405において、各色成分の信号レベルの合計が250以下のトナー像は、信号レベルの合計が250より大きい値となるために信号レベルが補正されたトナー像よりも濃い濃度で形成されないように、各色成分の信号レベルが補正される。なお、式10から式13では、前述のステップS100において特定された上限値Trと、細線のトナー像のトナー高さがベタのトナー像のトナー高さと同じ場合の信号レベルの上限値(本実施形態では250)との割合を、色成分毎の信号レベルに乗じている。
なお、式10から式13の上限値Trは、前述の上限値Trを特定する処理(図9)においてRAM920に格納された上限値Trを用いる。
式10から式13において、Y0は補正前のイエローのトナー像を形成するときの信号レベルであり、M0は補正前のマゼンタの信号レベルであり、C0は補正前のシアンの信号レベルであり、K0は補正前のブラックの信号レベルである。
また、式10から式13において、Y1は補正後のイエローのトナー像を形成するときの信号レベルであり、M1は補正後のマゼンタの信号レベルであり、C1は補正後のシアンの信号レベルであり、K1は補正後のブラックの信号レベルである。
ステップS401において、画像データを展開した結果が文字オブジェクトでない場合、CPU800は、信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する(S406)。このとき、CPU800は、画像データによって指定される各ドットの信号レベル(濃度)から、各色成分の信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する。
また、ステップS402において、展開した文字オブジェクト、又は、線画オブジェクトが細線領域を有していない場合、CPU800は、信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する(S406)。
ステップS406において、CPU800は、画像データがテキストデータである場合、指定される文字の色とその信号レベル(濃度)から、各色成分の信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する。また、ステップS406において、CPU800は、画像データがグラフィックスデータである場合、指定される線の色とその信号レベル(濃度)から、各色成分の信号レベルの合計が250より大きいか否かを判定する。
ステップS406において、信号レベルの合計が250より大きい場合、CPU800は、前述の式1から式4の上限値Trを250として、各色成分の信号レベルを補正し(S407)、後述のステップS409へ移行する。
一方、ステップS406において、信号レベルの合計が250以下である場合、CPU800は、信号レベルの補正を行わず(S408)、後述のステップS409へ移行する。
次いで、CPU800は、前述のステップS400からステップS408によって、展開中のコマンドの信号レベルを変換すると、画像データに記述された全てのコマンドの信号レベルを変換したか否かを判定する(S409)。
ステップS409において、全てのコマンドの信号レベルを変換している場合、CPU800は、信号レベルを補正する処理を終了し、前述の画像形成処理(図8)のステップS104へ移行する。
一方、ステップS409において、全てのコマンドの信号レベルを変換していない場合、CPU800は、ステップS400へ移行し、全てのコマンドの信号レベルを変換するまで、信号レベルを補正する処理を続ける。
これにより、本実施形態では、入力される画像データに対応する画像を形成する際に、所定のサイズ以下となる文字と、所定の太さ以下の線画とを、トナーの飛び散りが抑制されるトナー載り量で形成することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態は、前述した第1の実施形態に対して下記に示す点において相違する。本実施形態のその他の要素は、前述の第1の実施形態に対応するものと同一なので説明を省略する。
第1の実施形態では、環境の変化や現像剤の劣化などによって発生するトナーの飛び散りを抑制している。そのため、ベタのパッチ像601y、601m、601c、601kと、細線のパッチ像602y、602m、602c、602kとを形成し、これらのトナー高さから平均トナー高さ比Raveを求めて、上限値Trを特定している。
本実施形態では、平均トナー高さ比Raveに加え、トナー像が転写される記録材の材質に応じて、各色成分のトナー像を重ねるときの信号レベルの上限値Trを特定する構成とした。
表面の平滑性が普通紙よりも高いコート紙などは、定着部において圧力が加わると、このコート紙に担持されたトナー像のトナーが飛散しやすい。これは、トナーを担持した普通紙が定着部において圧力を加えられると、この普通紙の表面の凹凸にトナーが入り込むため、トナーを担持しようとする力が働く。一方、トナーを担持したコート紙が定着部において圧力を加えられると、コート紙の表面にトナーが入り込めるような凹凸が少ないため,トナーを担持しようとする力が普通紙に比べて小さく、担持しきれなくなったトナーが飛散してしまう。
そのため、本実施形態では、コート紙にトナー像を定着させる場合には、細線領域におけるトナー載り量を、普通紙にトナー像を定着させる場合に比べて少なくするため、形成するトナー像の信号レベルの上限値を普通紙に定着させる場合よりも小さくする。
表2は、本実施形態で用いる平均トナー高さ比Raveと、普通紙におけるトナーの飛び散りを発生させないための信号レベルの上限値Trと、コート紙におけるトナーの飛び散りを発生させないための信号レベルの上限値Trcとの対応関係を示したデータである。
本実施形態は、ユーザがPCなどの外部装置から画像データを送信する際に、記録材の材質が普通紙であるか、コート紙であるかを選択することで、画像データと共に記録材の材質の情報が画像形成装置のCPU800(図7)に入力される構成となっている。また、表2に示すデータは予めROM910(図7)に格納されている。なお、平均トナー高さ比Raveと細線領域におけるコート紙用の信号レベルの上限値Trcとの対応関係は、予め測定されたコート紙に形成される細線のトナー像が飛び散りを発生させるトナー高さのデータに基づき決定すればよい。
また、本実施形態では、平均トナー高さ比Raveを算出した後、この平均トナー高さ比Raveの値がRAM920(図7)に記憶される。そのため、細線領域の信号レベルの上限値は、記録材の種類に関する情報が入力されてから特定する構成となっている。
本実施形態の信号レベルを補正する処理では、選択された記録材の種類が普通紙である場合、CPU800(図7)が、平均トナー高さ比Raveに基づいた普通紙用の信号レベルの上限値Tr以下となるように、各色成分の信号レベルを補正する。また、選択された記録材の種類がコート紙である場合、CPU800(図7)が、平均トナー高さ比Raveに基づいたコート紙用の信号レベルの上限値Trc以下となるように、各色成分の信号レベルを補正する。
ここで、コート紙用の信号レベルの上限値Trcを用いて信号レベルを補正する方法は、前述の式1から式4と、式10から式13の信号レベルの上限値Trを、コート紙用の信号レベルの上限値Trcに置き換えた式を用いて算出する構成とすればよい。
本実施形態では、記録材がコート紙である場合であっても、このコート紙に定着されるトナー像を形成する際の信号レベルを、トナーの飛び散りを抑制した信号レベルに変換することができる。
また、本実施形態では、ユーザによって選択される記録材が普通紙であるか、コート紙であるかに応じて、細線領域における普通紙用の信号レベルの上限値Trと、細線領域におけるコート紙用の信号レベルの上限値Trcを切り替える構成とした。しかしながら、平均トナー高さ比と信号レベルの上限値との対応関係を示したデータを、記録材の材質毎にROM910に記憶させた構成としてもよい。この構成とすれば、ユーザによって選択された記録材の材質に応じて信号レベルの上限値を特定することができる。
また、第1の本実施形態と第2の実施形態では、ページ記述言語で記述された画像データから、所定のサイズ以下の文字と、所定の太さ以下の線画を抽出する構成としたが、公知の像域分離処理により、形成するトナー像の細線領域を抽出する構成とすればよい。例えば、特開2007−67932号公報に記載の像域分離処理によって、主走査方向又は副走査方向に1[mm](25画素)以下となる細線領域を特定し、この細線領域を有する文字や線画の信号レベルを変換する構成とすればよい。