JP5348558B2 - 適正トナー付着量特定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中間転写体上に形成したトナー像の多次色部に対する単位面積あたりのトナー付着量の適正値である適正トナー付着量を特定するための適正トナー付着量特定方法に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体や中間転写体などの像担持体上に形成したトナー像を記録紙などの記録部材に転写する際に、トナー像の周囲の非画像部にトナーを飛び散らせる転写チリという現象を発生させることがある。この転写チリは、像担持体上における単位面積あたりのトナー付着量が多くなるほど発生し易くなることが知られている。互いに異なる1次色の単色トナー像を重ね合わせて転写して多次色のトナー像を得るカラー機は、モノクロ画像だけを形成するモノクロ機に比べてトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量が多くなるため、転写チリを発生させ易い。また、100〜300[μm]程度の幅のライン画像は、いわゆるエッジ効果により、幅広のベタ画像に比べて単位面積あたりのトナー付着量が多くなることから、転写チリをより発生させ易くなる。
転写チリの量が多くなると、転写チリによる画質劣化が容易に視認されるようになってしまうので、転写チリの量については許容範囲内に留める必要がある。そして、そのためには、トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を、顕著な転写チリを引き起こすことのない適正トナー付着量の範囲内に留める必要がある。
特許文献1には、トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量を、次の数1で表される条件を具備する量に留めることで、転写チリの量を許容範囲内に留め得ることが開示されている。なお、数1の式中におけるVt[V]は、中間転写体の表面上に形成されたトナー層の表面電位を示している。また、Vn[V]は、中間転写体の非画像部の表面電位を示している。また、C[%]は、トナーの凝集度を示している。
Figure 0005348558
しかしながら、上記数1の式で示される条件は、以下に説明する理由により、転写チリの量を許容範囲内に留め得る条件を正確に反映していない可能性が高いと考えられる。即ち、上記数1の式は、次の数2の式に対して、次の数3の式を代入ことによって導かれたものである。
Figure 0005348558
Figure 0005348558
ここで、数2で示される式は、幅200[μm]のライン画像を形成するテストプリントにおいて測定された、ライン画像に対するトナー付着量M、トナー帯電量Q、凝集度Cなどに基づいて導き出されたものである。上述したように、転写チリはベタ画像よりもライン画像で発生し易いため、テストプリントとして、ライン画像を形成するプリントを行ったのである。これに対し、数3で示される式は、15[mm]×34[mm]の大きさのベタ画像を形成するテストプリントにおいて測定された中間転写体上のベタ画像の表面電位Vt、中間転写体の非画像部の表面電位Vn、ベタ画像に対するトナー付着量M、トナー帯電量Qなどに基づいて導き出されたものである。つまり、数1の式は、ライン画像のテストプリントの結果に基づいて導き出された数2の式に対して、ベタ画像のテストプリントの結果に基づいて導き出された数3の式を代入して得られたものである。上述したように、同一の作像条件の下では、ライン画像に対するトナー付着量がベタ画像に対するトナー付着量よりも多くなるので、数2の式におけるトナー付着量Mと、数3の式におけるトナー付着量Mとは、互いにかけ離れた値になるのが一般的である。にもかかわらず、両者を同一の値であるとみなして、数2の式に数3の式を代入して得た数1の式は、転写チリの量を許容範囲内に留め得る条件を正確に反映していない可能性が高いのである。なお、数3の式を導出するためのテストプリントとして、ベタ画像を形成するプリントが行われたのは、次に説明する理由からだと考えられる。即ち、市場に出回っている表面電位計の電位検知部は、ある程度の平面積を有する物体を被検対象とするものであり、幅200[μm]という非常に細いライン画像を被検対象とすることができないのが一般的である。ライン画像の表面電位だけを検知させたいにもかかわらず、ライン画像の周囲に存在する非画像部の表面電位も検知してしまうのである。このため、数3の式を導出するためのテストプリントでは、表面電位計の被検対象となり得るベタ画像をプリントしたと考えられる。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、転写チリの量を許容範囲内に留め得る適正トナー付着量を正確に特定することができる適正トナー付着量特定方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体に担持した潜像を互いに異なる1次色のトナーによって現像する所定数の現像手段を有し、これら現像手段によって潜像担持体の表面上で現像した互いに異なる色の単色トナー像を重ね合わせて転写体に転写することで、互いに異なる1次色の重ね合わせによる多次色トナー像を該転写体の表面上に形成する画像形成装置と、該所定数の現像手段にセットする互いに異なる色のトナーとの組合せによって該転写体上に形成したベタ状の多次色トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量の適正値である適正トナー付着量を特定するための適正トナー付着量特定方法において、トナー間付着力F[nN]に関する関数式である下記数4、数5の式で求められる変数α、βと、ベタ状の多次色トナー像の表面電位V[V]と、ベタ状の多次色トナー像のトナー付着量に対するライン状の多次色トナー像のトナー付着量の比であるベタライン比γとに対して下記数6の式で表される条件を具備させる上記トナー付着量を、上記適正トナー付着量として特定することを特徴とするものである。
Figure 0005348558
Figure 0005348558
Figure 0005348558
また、請求項2の発明は、請求項1の適正トナー付着量特定方法において、被検対象となる画像形成装置の適正使用温湿度範囲を決定し、該適正使用温湿度範囲のうち、転写チリを最も発生し易い温湿度にて測定した上記表面電位V、及びベタライン比γに基づいて上記適正トナー付着量を特定することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の適正トナー付着量特定方法において、試料基板の表面にトナーを接着剤で固定して固定トナー層を形成し、この固定トナー層にトナーを付着させ、且つ、このトナーに所定の間隙を介して対向するトナー受け基板を配設した状態で、固定トナー層に付着しているトナーに対してトナー付着面とは垂直な方向の遠心力を作用させるように試料基板及びトナー受け基板を所定の回転数f[rpm]で回転させ、遠心力によって固定トナー層から分離してトナー受け基板に付着した各トナーの粒径Dを計測する操作を、回転数fの設定を異ならせながら複数回実施した後、その過程で粒径を計測した全てのトナーについて、それぞれ次の数7の式によって求められる遠心力Fを算出し、それら遠心力Fcの常用対数に関する算術平均値Aを算出した後、次の数8の式によってトナー間付着力Fを求めることを特徴とするものである。
Figure 0005348558
Figure 0005348558
これらの発明においては、以下に説明する理由により、転写チリの量を許容範囲内に留め得る適正トナー付着量を正確に特定することができる。即ち、本発明者は、幅100[μm]の多次色のライン画像(ライン状の多次色トナー像)を形成するテストプリントを行って、転写チリトナー数などの各種のパラメータを測定した。そして、その結果、次の数9の条件を具備させるように中間転写体上におけるライン画像に対するトナー付着量を調整すれば、ライン画像周囲に発生する転写チリを許容範囲内に留め得ることを見出した。
Figure 0005348558
詳細については後述するが、同一の作像条件の下では、この数9の式におけるライン画像の表面電位VtLと、ベタ画像(ベタ状の多次色トナー像)の表面電位Vとの間に、次の数10の関係式が成立する。
Figure 0005348558
この式で示されるように、ライン画像の表面電位tLは、そのライン画像と同一の作像条件で形成されたベタ画像の表面電位VSに対してベタライン比γの二乗を乗じた値になる。数9の式において、ライン画像の表面電位tLを、これと同じ値である「γ×V」に置き換えると、上述した数6の式が得られる。この式は、ベタ画像に対するトナー付着量を、この式によって示される条件を満たす量(適正トナー付着量)に設定することで、ベタ画像周囲の転写チリのみならず、ライン画像周囲の転写チリをも許容範囲内に留め得ることを表している。そして、この式は、上述した数1の式とは異なり、互いにかけはなれた2つの数値を同一の値であるとみなして導出したものではないので、数1の式に比べて、適正トナー付着量を正確に特定することができる。
実施形態に係る適正トナー付着量特定方法の被検対象となる画像形成装置を示す要部構成図。 同画像形成装置におけるY用の現像装置をY用の感光体とともに示す拡大構成図。 転写実験装置を示す概略構成図。 同転写実験装置における透明電極を示す平面図。 チリトナー数Nと、ライン状の2次色の転写トナー層に対する単位面積あたりのトナー付着量M/Aとの関係を示すグラフ。 チリトナー数Nと、(Q/M)(M/A)との関係を示すグラフ。 チリトナー数Nと、表面電位VtLとの関係を示すグラフ。 トナー付着力測定装置の測定セルを示す斜視図。 遠心分離装置を示す断面図。 変数αと、トナー間付着力Fの逆数との関係を示すグラフ。 変数βと、トナー間付着力Fの二乗との関係を示すグラフ。
まず、実施形態に係る適正トナー付着量特定方法について説明する前に、同適正トナー付着量特定方法の被検対象となる画像形成装置について説明する。
図1は、実施形態に係る適正トナー付着量特定方法の被検対象となる画像形成装置を示す要部構成図である。この画像形成装置は、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),黒(K)の各色のトナー像を形成するための4組のトナー像形成部51Y,M,C,Kを備えている。また、転写ユニット70や、図示しない光書込ユニット、給紙カセット、給紙路、レジストローラ対、定着装置なども備えている。なお、以下、各符号の添字Y,M,C,Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。
光書込ユニットは、Y,M,C,Kの各色に対応する4つのレーザーダイオードからなる光源、正六面体のポリゴンミラー、これを回転駆動するためのポリゴンモータ、fθレンズ、レンズ、反射ミラー等を有している。レーザーダイオードから射出されたレーザー光Lは、ポリゴンミラーの何れか1つの面で反射してポリゴンミラーの回転に伴って偏向せしめられながら、後述する4つの感光体のうちの何れかに到達する。4つのレーザーダイオードからそれぞれ射出されるレーザー光Lにより、4つの感光体の表面がそれぞれ光走査される。
Y,M,C,K用のトナー像形成部51Y,M,C,Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体52Y,M,C,Kの周りに、それぞれ現像装置や帯電装置等を具備している。ドラム状の感光体52Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によって所定の線速で図中反時計回りに回転駆動せしめられる。そして、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて変調したレーザー光Lを発する上述の光書込ユニットにより、暗中にて光走査されて、Y,M,C,K用の静電潜像を担持する。
Y,M,C,K用のトナー像形成部51Y,M,C,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成であるので、以下、Y用のトナー像形成部51Yだけについて詳述する。Y用のトナー像形成部51Yは、感光体52Yの他、現像スリーブ54Yを具備する現像装置、帯電手段60Y、ドラムクリーニングブレード61Y、除電手段62Yなどを有している。
Y用の感光体52Yは、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられながら、Y用の帯電装置60Yによってその周面がトナーと同極性であるマイナス極性に一様に帯電せしめられる。このように一様に帯電せしめられたY用の感光体52Yの表面には、上述した光書込ユニットによる光走査でY用の静電潜像が形成され、この静電潜像はY用の現像装置によってYトナー像に現像される。
図2は、Y用の現像装置53YをY用の感光体52Yとともに示す拡大構成図である。同図において、現像装置53Yは、Yトナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いて現像を行うものである。内部に収容している二成分現像剤をスクリュウ55Yによって攪拌・搬送しながら、現像スリーブ54Yの表面に供給する。現像スリーブ54Yは、非磁性パイプからなる回転可能なスリーブ部材の中に、マグネットロールを回転不能に内包している。そして、スクリュウ55Yから供給される二成分現像剤をマグネットロールの発する磁力によってスリーブ部材の表面に担持する。このスリーブ部材は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体からなるパイプであり、図示しない駆動手段によって回転される。
現像スリーブ54Yのスリーブ部材の表面に担持された二成分現像剤は、スリーブ部材の回転に伴ってドクターブレード56Yとの対向位置を通過する際に、スリーブ上における層厚が規制される。スリーブ部材とドクターブレード56Yとの間の間隙であるドクターギャップが小さすぎると、スリーブ上の現像剤量が少なすぎて画像濃度不足になり、逆にドクターギャップが大きすぎると、現像剤量が過剰に供給されて感光体52Y上にキャリア付着が発生するという問題が生じる。
上述したマグネットロールは、スリーブ部材の表面上の二成分現像剤を法線方向に沿って穂立ちさせて磁気ブラシを形成する。現像スリーブ54Yと感光体52Yとは、一定の間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。
磁気ブラシは、現像スリーブ54Yの回転によって現像領域に移送される。現像スリーブ54Yには図示しない現像用電源から現像電圧が印加され、磁気ブラシ上のトナーが現像スリーブ54Yと感光体52Yとの間に形成された現像電界によってキャリアから分離し、感光体52Y上の静電潜像上に付着する。これにより、静電潜像がYトナー像に現像される。なお、現像電圧には交流を重畳させても良い。また、現像ギャップは、現像剤粒径の5〜30倍程度、現像剤粒径が50[μm]であれば0.5[mm]〜1.5[mm]に設定することが可能である。これより広くすると、望ましいとされる画像濃度が出にくくなる。
また、ドクターギャップは、現像ギャップと同程度かやや大きくする必要がある。感光体52Yのドラム径やドラム線速、現像スリーブ54Yのスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にする必要がある。現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御するようにしてもよい。
二成分現像剤中の磁性キャリアには、鉄紛、フェライト紛、磁性粒子を分散した樹脂粒子等の磁性を有する粉体、及び電気特性を制御するために樹脂などで表面を被覆した磁性粉体が好ましく使用される。磁気ブラシを構成するキャリアとしては、感光体52Y表面へのダメージを軽減するために球形の粒子を用いるのが好ましく、平均粒径は150[μm]以下のものが好ましい。キャリアの平均粒径が大きすぎると最密状態に配置してあっても曲率半径が大きく、感光体52Yと接触していない面積が増え、トナー像のかけや抜けが発生する。逆に平均粒径があまり小さすぎると、交流電圧を印加する場合には、粒子が動きやすくなって粒子間の磁力を上回り、粒子が飛散してキャリア付着の原因となってしまう。キャリアの平均粒径は、特に30[μm]以上、100[μm]以下であることが好ましい。さらに、キャリアの体積抵抗率が低すぎると、現像電圧の印加時にキャリアに電荷が注入され、感光体52Yへのキャリア付着を起こしたり、感光体の絶縁破壊を起こしたりするため、体積抵抗率が10[Ωcm]以上のキャリアを使用する必要がある。
図示の例では、現像装置53Yとして二成分現像装置を用いているが、二成分現像装置に限定されるものではなく、現像ローラ上に形成したトナー薄層を電界で感光体上に現像する一成分現像装置を用いてもよい。
先に示した図1において、各色のトナー像形成部51Y,M,C,Kの図中下方には、転写ユニット70が配設されている。この転写ユニット70は、無端状の中間転写ベルト71を、複数の張架ローラによって張架しながら、図中時計回り方向に無端移動せしめる。この複数の張架ローラとは、具体的には、駆動ローラ72、2次転写対向ローラ73、テンションローラ74、4つの1次転写ローラ75Y,M,C,Kである。転写ユニット70は、これらの他、2次転写ローラ76や、ベルトクリーニングブレード77なども有している。
4つの1次転写ローラ75Y,M,C,Kは、中間転写ベルト71のループ内において、Y,M,C,K用の感光体52Y,M,C,Kに向けて押圧されて、感光体52Y,M,C,Kとの間に中間転写ベルト71を挟み込むようになっている。この押圧により、4つの感光体52Y,M,C,Kと中間転写ベルト71とがベルト移動方向において所定の長さで接触するY,M,C,K用の4つの1次転写ニップが形成されている。4つの1次転写ローラ75Y,M,C,Kの芯金には、それぞれ図示しない転写バイアス電源によって定電流制御される転写バイアスが印加されている。これにより、4つの1次転写ローラ75Y,M,C,Kを介して中間転写ベルト71の裏面に転写電荷が付与され、各1次転写ニップにおいて中間転写ベルト71と感光体52Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。
感光体52Y,M,C,Kの表面に形成されたY,M,C,Kトナー像は、各1次転写ニップで中間転写ベルト71の表面に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト71の表面には、1次色であるY,M,C,Kの重ね合わせによる多次色トナー像が形成される。
1次転写ニップを通過した後の感光体52Yの表面には、中間転写ベルト71に1次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニングブレード61Yによって感光体52Y表面から除去される。その後、感光体52の表面は除電手段62Yによって除電された後、帯電手段60Yによって再び一様帯電せしめられる。
中間転写ベルト71の下方には、2次転写ローラ76が配設されている。この2次転写ローラ76は、中間転写ベルト71における2次転写対向ローラ73に対する掛け回し箇所に当接して2次転写ニップを形成している。2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ76と、接地された2次転写対向ローラ73との間に存在する2次転写ニップ内には、2次転写電界が形成される。
画像形成装置の筺体内には、図示しない給紙カセットが配設されている。この給紙カセットは、記録紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容しており、一番上の記録紙Pに給紙コロを押し当てている。そして、所定のタイミングで給紙コロを回転させて、記録紙Pを給紙路に送り出す。この給紙路末端には、図示しないレジストローラ対が配設されている。レジストローラ対は、給紙カセットから送られてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むために両ローラを回転駆動させているが、記録紙Pの先端を挟み込むとすぐに両ローラの回転駆動を停止させる。そして、記録紙Pを後述する2次転写ニップで中間転写ベルト71上の多次色トナー像に同期させ得るタイミングを見計らって、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト71上の多次色トナー像が記録紙Pの表面に一括2次転写される。
なお、この画像形成装置においては、Y,M,C,Kの1次色を重ね合わせて多次色を形成するが、その重ね合わせの最大数を2色としている。よって、多次色として2色の重ね合わせによる2次色だけを形成し、3次色や4次色を形成することはない。
また、実施形態に係る適正トナー付着量特定方法の被検対象となる画像形成装置として、図示のような複数の感光体を並べたいわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置について説明したが、感光体を1つだけ備えるカラー画像形成装置を被検対象とすることもできる。1つの感光体上でY,M,C,Kトナー像を順次現像して中間転写ベルトに重ね合わせていく方式のカラー画像形成装置である。
図示の画像形成装置においては、2次色トナー像として、2色のトナー画像を積層して形成するものであり、2色目のトナー画像を積層する際に転写チリを発生させ易い。
転写ニップ前で発生する転写チリは、転写ニップ前でトナーを転写する(以下、「プレ転写」とする)際に、トナー間の静電反発力や放電等によって、トナーを画像周辺部に飛び散らせることによって発生する。この転写ニップ前の転写チリを抑制するには、プレ転写が生じないようにすることが有効である。そこで、特開2000−206804号公報では、転写ニップ後に転写電圧を印加し、転写ニップの中央部に中間転写ベルトと接触する接地電極を設けている。これにより、転写電圧によって帯電した中間転写ベルトが、接地電極によって除電され、転写ニップ前の電界を小さくすることができ、転写ニップ前の転写チリを抑制している。また、特開2004−286851号公報では、転写ニップの上流側近傍に、転写電界としてトナーが転写する向きと逆向きの電界を形成して、転写ニップ前の転写チリを抑制している。このように、転写ニップ前における転写チリは、特開2004−286851号公報や、特開2000−206804号公報に開示されているように、転写ニップ前の電界を制御することで、抑制することができる。
一方、転写ニップ後に発生する転写チリは、中間転写ベルト上のトナー層からトナーが周辺部に飛散して発生する。転写電圧により中間転写ベルト上のトナー層に作用する電界は、転写ニップから離れるに従って低下する。この転写電圧による電界の影響が低下すると、トナー層の電荷によって形成される電界の影響が大きくなり、この電界によるクーロン力によりトナーがトナー層周辺部に飛翔して転写チリが発生すると考えられる。トナー層電荷による電界は、トナー層の電荷量の増加と共に増大し、トナー層の付着量が多いほど、またトナーの帯電量が高いほど大きくなる。カラー画像は、複数色のトナー画像が積層されており、付着量が多いために転写チリが発生しやすい。また、トナー層からトナーが飛翔しないための作用力としてトナー間の付着力があり、トナー間付着力が大きいほど転写チリが発生しにくくなる。しかし、トナーの付着力が大きいと、転写率の低下や、画像の一部、特に細線中央部が転写しない「中抜け」が発生しやすくなる。また、付着力が大きなトナーは、一度付着すると分離しにくいことから、現像の際に像担持体の地肌部に残りやすく、「地肌汚れ」の画像が発生しやすくなる。このため、転写ニップ後に発生する転写チリを抑制するためには、トナーの付着力に応じて、付着量や帯電量を適正範囲に制御することが必要である。
特許第3670134号公報には、トナー間付着力を適正な範囲にすることにより転写ニップ後に発生する転写チリを抑制している。しかし、トナーの付着量、帯電量、トナー間付着力を適正な範囲にしても、長期に渡りトナー間付着力が維持できず、長期に亘り転写ニップ後に発生する転写チリを抑制することができない場合があった。
次に、実施形態に係る適正トナー付着量について説明する。
本発明者は、環境等によって現像剤特性が変動しても安定的に転写チリの発生量を抑制することができる条件を把握するために、トナー層を積層した場合に発生する転写チリに関与する様々な要因について転写チリ発生量との定量的な関係について検討を行った。カラー画像形成装置においては、1次色の最大重ね合わせ数を2色とするものが主流であるので、2次色画像を形成する場合を例にして試験を実施した。
その検討のために、トナーの転写特性を容易に評価することができる図3に示す転写実験装置を用意した。この転写実験装置は、平板状のガラス板11の表面上に透明電極12と絶縁膜13とを順次積層した基板10、現像装置31、ステージ21などを備えている。
基板10は、図示しない支持手段によって所定の高さ位置で支持されている。この支持手段は、図示しない移動機構によって図中左右方向に移動する。図示の例では、この基板10は、金属板15を載置したステージ21の真上に位置しているが、支持手段の移動により、現像装置31の真上に移動することも可能である。
基板10の透明電極12は、図4に示すように、櫛歯状の第1透明電極12aと、櫛歯状の第2透明電極12bとが、相手の櫛歯の歯間に自らの歯部を介在させる姿勢で配設されたものである。第1透明電極12aには、第1電源17によってバイアスが印加される一方で、第2透明電極12bには、第2電源18によってバイアスが印加されるようになっている。透明電極12の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)等を用いることができる。
現像装置31は、先に説明した画像形成装置の現像装置と同様の構成になっており、スクリュウ32、現像スリーブ33、ドクターブレード34などを備えている。そして、基板10の表面上にトナー像を現像することができる。具体的には、第1透明電極12aと第2透明電極12bとに互いに異なるバイアスを印加しながら、電源35によって現像バイアスを印加している現像スリーブ33を回転させる。そして、現像装置31の上を現像スリーブ33と所定のギャップを保持するように基板10を一定の速度で平行移動すると、基板10の表面上に、第1透明電極12aあるいは第2透明電極12bの櫛歯と同じ形状のラインパターントナー像16が現像される。このラインパターントナー像16に対する単位面積あたりのトナー付着量は、現像剤のトナー濃度、トナーの帯電量、各透明電極へのバイアス値、基板10と現像スリーブ33との間隔、基板10の移動速度などによって調整することができる。
ラインパターントナー像16が形成された基板10は、平面状の金属板15上に設置された転写体14との対向位置まで平行移動せしめられる。金属板15は、ステージ21の昇降台20の上に設置されている。この金属板15には、電源19によって転写バイアスが印加される。昇降台20を上昇させると、転写体14がラインパターントナー像16と接触する。さらに昇降台20を上昇させると、ラインパターントナー像16への圧力が増加する。昇降台20に設けられた図示しない加重センサからの出力が所定の値になるように昇降台20の上昇量が制御されることで、ラインパターントナー像16への圧力が所定値に調整される。圧力が所定値に達すると、金属板15に転写バイアスを印加した後に、昇降台20を下降させて、転写体14を基板10から離間させる。これにより、基板10上のラインパターントナー像16が転写体14上に転写される。
このようにして転写処理を実施したら、基板10を装置から取り出す。そして、基板10上に付着している転写残トナーを圧縮空気で飛ばして除去した後、基板10を装置に再セットする。次に、現像装置31を2色目の現像を行うものに交換した後、先の手順と同様にして、2色目のラインパターントナー像の現像と、転写体14上の1色目のラインパターントナー像への重ね合わせ転写とを行う。
2色目のラインパターントナー像を転写する際に転写チリを観察する。この観察については、基板10の上部に設置した照明41及び観察装置42によって実施する。転写後に発生する転写チリを定量化するために、金属板15に転写バイアスを印加しながら転写体14を基板10に密着させている状態と、転写体14を金属板10から十分に離間させた状態とでそれぞれ、転写体14の表面を観察装置42によって撮影した。撮影の際には、ラインパターントナー像16における複数のライン(歯部)のうちの1本のみを撮影するように、観察倍率を調整した。観察装置42で撮影された画像のデータは、画像評価装置43に出力される。出力された画像データを画像計測ソフトウェアによって解析することにより、転写チリを定量的に評価することができる。この解析では、ライン像に接触していないトナーの数を計測し、基板10と転写体14が分離する前後の非接触トナー数の差を、ライン長さ1[mm]当たりに換算したチリトナー数Nとして求めた。
図示の転写実験装置を用いて、チリトナー数Nと、様々なパラメータとの関係について調査した。この調査では、基板10において、トナーを付着させる画像部に相当する領域を第1透明電極12aの櫛歯領域とし、トナーを付着させない非画像部に相当する領域を第2透明電極12bの櫛歯領域とした。第1透明電極12aにおける歯部の幅が100[μm]であるのに対し、第2透明電極12bにおける歯部の幅が1000[μm]弱である。このような条件により、幅100[μm]の複数のライン像を1000[μm]の間隔で配設したラインパターン像が形成される。絶縁膜16としては、ポリカーボネートからなる厚さ6[μm]の膜を採用した。また、転写体14としては、カーボンを分散したポリイミドベルトを用いた。
シアントナーによるラインパターントナー像を現像して転写体14上に転写した後、マゼンタトナーによるラインパターントナー像を現像して転写体14上のシアンパターンの上に重ね合わせて転写した。これにより、シアンとマゼンタとによる2次色のラインパターントナー像を転写体14上に形成した。そして、転写体14上の2次色ラインパターントナー像について、単位面積あたりのトナー付着量、帯電量、及び周囲のチリトナー数Nを計測した。トナー付着量や帯電量の計測については、吸引式ファラデーケージ法を用いて行った。吸引式ファラデーケージ法は、トナーが通過せずに空気のみ通過するようなフィルターを有するファラデーケージ内にトナーを真空ポンプで吸引し、同時に帯電量Qを計測し、吸引前後のファラデーケージの重量から吸引したトナーの重量Mを計測する方法である。トナーの帯電量Q及び重量Mを第1透明電極12aの面積Aで割り、単位面積当たりのトナー帯電量Q/M及びトナー付着量M/Aを求める。
現像装置31を6つ用意した。第1〜第3の現像装置31は、何れもシアントナーを用いるものであるが、二成分現像剤中の磁性キャリアのトナー帯電能力が互いに異なっている。これにより、第1〜第3の現像装置31は、互いにシアントナーの帯電量を異ならせた状態で現像を行う。また、第4〜第6の現像装置31は、何れもマゼンタトナーを用いるものであるが、二成分現像剤中の磁性キャリアのトナー帯電能力が互いに異なっている。これにより、第4〜第6の現像装置31は、互いにマゼンタトナーの帯電量を異ならせた状態で現像を行う。これらの現像装置31を用いて、互いにQ/M及びM/Aの異なる複数の2次色ラインパターントナー像を形成し、それぞれについてチリトナー数Nを測定した。この測定によって得られたチリトナー数Nとトナー付着量との関係を図5に示す。図示のように、チリトナー数Nはトナー帯電量Q/Mや、単位面積あたりのトナー付着量M/Aに依存することがわかる。
チリトナー数Nと、トナー帯電量Q/Mと、トナー付着量M/Aとについて更に検討してみたところ、図6に示すように、チリトナー数Nが(Q/M)(M/A)に比例して増加することがわかった。ここで、2次色ラインパターントナー像におけるライン部の転写トナー層の電荷密度ρは、トナー帯電量Q/Mに比例し、ライン状の転写トナー層の厚みdは、トナー付着量M/Aに比例する。このため、チリトナー数Nはρ×d に比例することになるが、転写トナー層の表面電位VtLが次の数11の式で表わされることから、チリトナー数Nがライン状の転写トナー層の表面電位VtLに比例して増加することがわかる。なお、数11の式において、εは、真空の誘電率を示している。また、εは、中間転写体上でライン画像を構成している転写トナー層の比誘電率を示している。また、ρは、同転写トナー層の電荷密度を示している。また、dは、同トナー層の厚みを示している。
Figure 0005348558
電荷密度ρ、比誘電率ε、厚みdについては、数12、数13、数14の式によってそれぞれ求めることが可能である。なお、M/Vはトナー層の嵩密度を示している。また、δはトナーの真比重を示している。また、εはトナーの比誘電率を示している。
Figure 0005348558

Figure 0005348558

Figure 0005348558
嵩密度M/Vについては、JIS規格で定められた方法により測定した。また、トナーの真比重δについては、圧力比較法(ベックマン法)により測定した。また、トナーの比誘電率εについては容量法により測定した。数11〜数14の式に基づいて、ライン状の転写トナー層の表面電位VtLを求めた。チリトナー数Nとライン状の転写トナー層の表面電位VtLとの関係を図7に示す。図示のように、チリトナー数Nは、表面電位VtLが変数β以上になると、表面電位VtLに比例して増加する。この比例係数を変数αとすると、チリトナー数Nは次の数15の式によって表わされる。
Figure 0005348558
様々なトナーについて同様の測定を実施した。また、各トナーについて、トナー間付着力F[nN]を測定した。転写トナー層からのトナー飛翔を抑制しているのはトナー間付着力Fなので、トナーの特性値としてトナー間付着力Fを評価することは有効である。特許第3670134号では、トナー層を形成した基板に遠心力を作用させる方法でトナー間の非静電的付着力を測定している。しかし、この測定法では、遠心力が大きくなるとトナーが基板からも分離するため、トナー間の付着力とトナー基板間の付着力の両方を測定してしまう可能性がある。
本発明者が実施したトナー間付着力Fの測定方法について説明する。図8は、トナー付着力測定装置の測定セルを示す斜視図である。同図において、測定セル1は、トナーを付着させた試料面2aを有する試料基板2と、試料基板2から分離したトナーを付着させる付着面3aを有する受け基板3と、試料基板2の試料面2aと受け基板3の付着面3aとの間に設けられたスペーサ4とを有している。
図9は、遠心分離装置を示す断面図である。同図において、遠心分離装置5は、測定セル1を回転させるロータ6と、保持部材7とを備えている。ロータ6は、自身の回転中心軸9に対して垂直な断面で穴形状であり保持部材7を設置する試料設置部8を有している。保持部材7は、棒状部7aと、棒状部7aに設けられ測定セル1を保持するセル保持部7b、測定セル1をセル保持部7bから押し出すための穴部7c、棒状部7aを試料設置部8に固定する設置固定部7dを備えている。セル保持部7bは、測定セル1を設置したときに、測定セル1の垂直方向がロータの回転中心軸9に垂直となるように構成されている。
これらの装置を用いてトナー間付着力Fを測定する。まず、試料基板2上の試料面2a上に接着剤を塗布した後、その接着剤の上にトナーを付着させて固定する。未帯電のトナーを空気で吹き飛ばしながら、先に接着剤の上に固定しておいたトナーの上に自然落下させて付着させる。次に、試料基板2、受け基板3及びスペーサ4を用いて測定セル1を組み立てる。測定セル1を、保持部材7をロータ6の試料設置部8に設置したときに、試料基板2が受け基板3とロータ6の回転中心軸9との間になるように、保持部材7のセル保持部7bに設置する。保持部材7を、測定セル1の垂直方向がロータの回転中心軸9に垂直となるように、ロータ6の試料設置部8に設置する。遠心分離装置5を稼働してロータ6を一定の回転数で回転させる。試料基板2に固定されたトナーに付着したトナーは回転数に応じた遠心力を受け、トナーの受ける遠心力がトナー間付着力Fよりも大きい場合は、固定トナー上のトナーが固定トナーからから分離し、付着面aに付着する。
トナーの受ける遠心力Fは、トナーの重量m、ロータの回転数f[rpm]、ロータの中心軸から試料基板のトナー付着面までの距離rを用いて、次の数16の式によって求められる。
Figure 0005348558
トナーの重量mは、トナーの真比重δ、円相当径Dを用いた次の数17の式によって求められる。
Figure 0005348558
また、数16の式、及び数17の式より、トナーの受ける遠心力Fは、次の数18の式によって求められる。
Figure 0005348558
遠心分離終了後、保持部材7をロータ6の試料設置部8から取り出し、保持部材7のセル保持部7bから測定セル1を取り出す。受け基板3を交換し、測定セル1を保持部材7に設置し、保持部材7をロータ6に設置し、ロータ6を前回よりも高回転数で回転させる。トナーの受ける遠心力が前回よりも大きくなり、付着力の大きなトナーが、試料基板2表面に固定された固定トナーから分離して付着面3aに付着する。付着した各トナーの粒径を測定する。遠心分離装置の設定回転数を低回転数から高回転数へ変えながら同様の操作を繰り返すことにより、各回転数で受ける遠心力と付着力の大小関係に応じて、試料面2a上のトナーが付着面3aに移動する。
全ての設定回転数についての遠心分離と付着トナーの粒径測定とを実施した後、トナー間付着力Ftを求める。具体的には、トナー粒径の測定は、光学顕微鏡で付着面3a上のトナーを観察し、CCDカメラを通して付着面の画像を画像処理装置に入力し、画像処理装置を用いて各トナーの粒径測定をおこなうことができる。ある回転数で分離したトナーの付着力は、トナーが分離した回転数における遠心力よりも小さく、分離する前の回転数における遠心力よりも大きいので、数18の式によって両者の遠心力を計算し、その平均値を付着力とした。トナー間付着力Fについては、全ての回転数における受け基板3上での粒径を計測した全トナーの付着力の常用対数について算術平均値Aを算出した後、Ft=10という式から求めた。
様々なトナーについて、チリトナー数Nと、転写トナー層(ライン像)の表面電位VtLとの関係式(数15)における比例係数である変数αと、N=0となる表面電位VtLに対向している変数βとを求めた。各トナーについて計測したトナー間付着力Fと、変数αと、変数βとの関係を図10、図11に示す。図10のように、比例係数である変数αはトナー間付着力Fの逆数に比例し、トナー間付着力Fが大きくなるほど変数αは小さくなる。また、図11に示すように、変数βはトナー間付着力Fの二乗に比例して増加することがわかった。図10及び図11から、変数α、変数βに対するトナー間付着力Fは、先に示した数4の式、数5の式のように表わされる。なお、トナー間付着力F、変数α、変数βの単位は、[nN]、[1/V]、[V]である。
以上の実験により、転写実験装置におけるチリトナー数Nとは、ライン状の転写トナー層の表面電位VtLとは、次の数19のような関係になることがわかった。
Figure 0005348558
また、変数α、変数βと、トナー間付着力Fとは、先に示した数4、数5のような関係になることもわかった。以上のことから、チリトナー数Nを一定の値より少なくするには、トナー間付着力Fに応じて、ライン状の転写トナー層の表面電位VtLを一定の値より小さくなるように制御する必要があることがわかる。
現像プロセスにおいて、画像部と非画像部の境界領域でのトナー付着量は、両者の電位差に起因する電界の影響によって、画像部の境界領域以外の領域でのトナー付着量よりも多くなる場合がある。ライン画像はベタ画像よりも画像に占める画像部と非画像部の境界領域の割合が多いため、ライン画像はベタ画像よりも単位画像面積当たりのトナー付着量が多くなる場合がある。現像されたライン画像がベタ画像よりも単位画像面積当たりのトナー付着量が多いと、中間転写体上に転写されたトナー画像も同様にライン画像のトナー付着量が多くなる。複数色のトナー画像が重なるように転写した中間転写体上において、ライン画像の単位画像面積当たりのトナー付着量(M/A)をベタ画像の単位画像面積当たりのトナー付着量(M/A)で割った値をベタライン比γとすると、(M/A)はγ×(M/A)により求められる。トナー層表面電位は、数11の式のようにトナー層の厚みdの二乗に比例し、数14の式のように厚みdは単位面積当たりのトナー付着量M/Aに比例するので、M/Aの二乗に比例する。このため、転写チリが問題となるライン画像の転写トナー層の表面電位VtLは、正確に計測できるベタ画像の転写トナー層の表面電位Vと、ベタライン比γの二乗との積である「γ×V」で求められることがわかる。
転写チリ発生量の異なる様々な2次色ラインパターントナー像を形成して、転写チリのランクを評価した。また、各ランクの2次色ラインパターントナー像について、ライン長さ1[mm]当たりのチリトナー数Nをマイクロスコープによって計測した。転写チリのランクとチリトナー数Nの関係を表1に示す。
Figure 0005348558
数19の式におけるチリトナー数Nについて、転写チリが問題とならないランク3に相当する400[個/mm]を上限とすると、「γ×V」が数6の式を満足するように現像トナー付着量を制御することにより、転写チリが問題のないカラー画像が得られることになる。数6の式は、上述したように、数1の式とは異なり、互いにかけはなれた2つの数値を同一の値であるとみなして導出したものではないので、数1の式に比べて、適正トナー付着量を正確に特定することができる。
特許文献1に記載の発明においては、中間転写体上のトナー層表面電位と、非画像部電位の差及びトナー凝集度とに関する式が一定の関係を満足するように画像形成条件を設定することにより、転写チリを抑制している。しかしながら、温湿度等の使用環境条件によってトナー帯電量が変化すると、現像条件が同じ場合は現像量が変化してしまう。画像濃度センサ等の情報に基づいたプロセス制御により、現像量が一定になるように現像条件を制御することはできるが、帯電量の変化に応じてトナー層表面電位は変化してしまう。このため、通常の使用環境条件でトナー付着量、帯電量、またはトナー層表面電位と非画像部電位の差を適正範囲に設定しても、使用環境条件の違いによって適正範囲から外れてしまう場合がある。
また、使用環境条件が変化するとトナー帯電量が変化するとトナーの現像量が変化するが、特にトナー帯電量が大きくなると、ライン状の転写トナー層の表面電位である「γ×V」が増大し、転写チリ発生量が増加する。そこで、実施形態に係る適正トナー付着量特定方法では、画像形成装置の使用にあたって指定される使用環境範囲(取り扱い説明書などに明記)内で、トナー帯電量が最大となる条件(最大の低温低湿条件=以下、帯電量最大環境という)において、転写チリを許容範囲内に留めることができるようにトナー付着量を設定し、使用環境範囲内で環境が変動したとしても、転写チリを許容範囲内に留め続けることができるようにした。
次に、画像形成装置におけるトナー付着量の設定方法について説明する。
現像量を設定するためには、中間転写ベルト上のベタ画像の表面電位を計測する必要がある。このため、中間転写ベルト上のベタ画像の表面電位を検知する表面電位計を画像形成装置に配設した。表面電位計としては、市販の振動容量型の電位センサ等を用いることができる。中間転写ベルト上でベタ画像を構成する転写トナー層の表面電位Vを正確に計測するために、測定位置の付近で中間転写ベルトを接地した。また、中間転写ベルトとしては、体積抵抗率が10〜1011[Ωcm]であるものを用いた。中間転写ベルトの体積抵抗率が1011[Ωcm]以上ではトナー層表面電位が計測できず、一方体積抵抗率が10[Ωcm]以下では転写電圧がリークしてしまい転写不良が発生しまう。
画像形成装置は、所定の時間間隔や、所定枚数のプリントを行う毎に、周知のプロセスコントロールと呼ばれる処理を実施して、各色についてそれぞれ、現像ポテンシャル等の作像条件を補正する。これにより、環境変動にかかわらず、中間転写ベルト上の各色のベタ画像の画像濃度(単位面積あたりのトナー付着量)が一定になるようにする。そのプロセスコントロール処理においては、各色についてそれぞれベタ状のパッチを形成し、そのパッチに対する単位面積あたりのトナー付着量を反射型フォトセンサによって検知する。そして、その検知結果に基づいて、目標トナー付着量を実現し得る作像条件を特定して、以降の作像条件を特定値に更新する。その目標トナー付着量として、帯電量最大環境で数6の条件を具備し得る適正トナー付着量を採用すれば、使用環境範囲内で環境が変動したとしても、転写チリを許容範囲内に留めることができる。そこで、帯電量最大環境における適正トナー付着量を、前述の目標トナー付着量として設定する。
本発明者は、次のようなトナーを用意した。即ち、80重量部のポリエステル樹脂と、20重量部のスチレン−メチルメタアクリレート共重合体と、5重量部の酸価ライスワックスと、10重量部のカーボンブラックと、3重量部の含金属モノアゾ染料とをヘンシェルミキサー中で十分撹拌混合する。その後、ロールミルで130〜140[℃]の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、ハンマーミルを用いて得られた混練物を約1[mm]〜2[mm]に粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕し、得られた微粉末を分級し、体積平均粒径が6.8[μm]のブラックトナー母粒子を得た。なお、トナー母粒子の体積平均粒径の測定は、コールター社製粒径測定装置TA−2型(II型)を用いて実施した。
次に、カーボンブラックの代わりに、4重量部の銅フタロシアニンブルー顔料を入れ、同様にして体積平均粒径が6.8[μm]のシアントナー母粒子を得た。また、カーボンブラックの代わりに8重量部のキナクリドン系マゼンタ顔料を入れ、同様にして体積平均粒径が6.8[μm]のマゼンタトナー母粒子を得た。また、カーボンブラックの代わりに10重量部のジスアゾ系イエロー顔料を入れ、同様にして体積平均粒径が6.8[μm]のイエロートナー母粒子を得た。
各色のトナーに対して、外添剤として一次粒子径の平均値が14[nm]の疎水性シリカAと一次粒子径の平均値が15nmの疎水性酸化チタンAとを用い、シリカAの添加量がトナー重量の0.8重量%、酸化チタンAの添加量がトナー重量の0.75重量%となるようにトナー母粒子とシリカを配合し、ヘンシェルミキサーによって混合処理して、ブラックトナーA、シアントナーA、マゼンタトナーA、イエロートナーAを作製した。ヘンシェルミキサーの混合羽根の回転数は1500[rpm]で、回転時間は5分間とした。
また、各色のトナー母粒子に対して、シリカAの添加量がトナー重量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって混合処理して、ブラックトナーB、シアントナーB、マゼンタトナーB、イエロートナーBを作製した。
各トナーについて、トナー間付着力Fを計測した。遠心分離に使用する試料基板2上にプラスチック用接着剤を塗布した上に、トナーを付着させて固定した。次に、未帯電トナーを圧縮空気で飛翔させて、接着剤によって固定したトナーの上に付着させた。そして、上述した遠心分離法を用いてトナー間付着力Fを測定した。各色のトナーAのトナー間付着力Fは、ブラックトナーAが1.43[nN]、シアントナーAが1.41[nN]、マゼンタトナーAが1.39[nN]、イエロートナーAが1.41[nN]で、カラートナーAについての平均値は1.43[nN]となった。また、各色のトナーBのトナー間付着力Fは、ブラックトナーBが2.78[nN]、シアントナーAが2.74[nN]、マゼンタトナーAが2.73[nN]、イエロートナーAが2.75[nN]で、カラートナーBについての平均値は2.75[nN]となった。なお、付着力測定に使用した装置及び測定条件は以下のとおりである。
・遠心分離装置:日立工機製CP100α(最高回転数:100、000rpm、最大加速度:800、000g)
・ロータ:日立工機製アングルロータP100AT
・画像処理装置:インタークエスト製Hyper700
・試料基板と受け基板:直径8mm、厚み1.5mmの円板で、材料はアルミニウム
・スペーサ:外径8mm、内径5.2mm、厚み1mmでのリングで、材料はアルミニウム
・保持部材:直径13mm、長さ59mmの円筒で、材料はアルミニウム
・ロータの中心軸から試料基板のトナー付着面までの距離:64.5mm
・設定回転数f:1000、1600、2200、2700、3200、5000、7100、8700、10000、15800、22400、31600、50000、70700、86600、100000[rpm]
各トナーと、リコー製カラー複写機Imagio Neo C600に使用している磁性キャリアを混合して、二成分現像剤を作製した。なお、現像剤に対する各トナーの比率は7重量%となるように混合した。
実験に使用したトナーは高湿度では帯電量が低く、低湿度では帯電量が高くなるため、低湿度の環境で現像量の設定を行う必要がある。そこで、図1の画像形成装置を環境試験室に設置し、環境試験室の温度を10[℃]、湿度を15[%]に設定した。
まず、Y,M,C,Kの各色のトナーAを用いた現像剤を現像装置にセットした。各色のトナーについて、幅が100[μm]のライン画像と、表面電位の検知が可能な面積のベタ画像とを現像し、感光体上のライン画像、ベタ画像のそれぞれにおける単位画像面積当たりのトナー付着量M/Aを計測し、ベタライン比γを求めた。また、単位重量当たりのトナー帯電量Q/Mも計測した。トナー付着量M/Aや、トナー帯電量Q/Mの計測については、画像形成プロセスを途中で止め、画像形成要素を取り出し、感光体上のトナーについて吸引式ファラデーゲージ法で実施した。各色のトナーのベタライン比γの平均値は1.18であった。また、トナー帯電量のQ/Mの平均値は−30[μC/g]であった。また、Y,M,C,Kの各色のトナーAについてのトナー間付着力Fの平均値(以下、トナー間付着力Fの全色平均値という)を求め、その全色平均値で変数α及び変数βを計算するとα=3.86、β=98.7になった。よって、「γ×V」の上限値は201[V]となる。なお、全色平均値で変数αや変数βを計算する代わりに、各色のトナー間付着力Fのうち、最小値を用いて変数α及び変数βを計算してもよい。トナー間付着力Fが小さくなるほど、転写チリが発生し易くなるからである。
一例として、マゼンタトナーAとシアントナーAを重ねる場合について説明する。マゼンタとシアンの最初の目標現像量を設定する。マゼンタ、シアンのベタパッチ画像をそれぞれ現像して、中間転写ベルト上に個別に転写する。そして、それぞれに対するトナー付着量を反射型フォトセンサで検知する。それぞれのトナー付着量について、目標付着量であるか否かを判定し、目標付着量でない場合には、現像ポテンシャルを変更して再度ベタパッチ画像を現像し、トナー付着量を検知する。この処理を繰り返し行って、マゼンタのベタパッチ画像、シアンのベタパッチ画像についてそれぞれ、中間転写ベルト上の単位面積あたりのトナー付着量が目標付着量になるようにする。その後、マゼンタのベタパッチ画像と、シアンのベタパッチ画像とを重ね合わせた2次色ベタパッチ画像を形成するように現像処理、転写処理を行う。そして、中間転写ベルト上における2次色ベタパッチ画像の表面電位Vを表面電位計によって検知した後、「γ×V」について、201[V]以上であるか否かを判定する。そして、201[V]以上である場合は、目標付着量の設定値をより小さい値に更新した後に、同様の処理を行った。「γ×V」が201[V]未満になるまで、同じ処理を繰り返した。
画像形成装置は、2次色として、YとMとの重ね合わせによるもの、YとCとの重ね合わせによるもの、MとCとの重ね合わせによるもの、の3通りを実現するようになっている。そこで、この3通りについてそれぞれ、「γ×V」が201[V]以下になるように、目標付着量を設定した結果、各色の単色ベタ画像に対する目標付着量はそれぞれ0.42[mg/cm]となった。この目標付着量(M/A)で2次色ライン画像を形成して転写チリをランク評価したところ、ランク3となり、転写チリを許容範囲内に留めることができた。このときの環境条件は、温度10[℃]、湿度15[%]である。
次に、各色の単色ベタ画像に対する目標付着量を0.44[mg/cm]に更新した後、同様にして2次色ライン画像を形成した場合の転写チリを評価した。評価結果はランク2で、転写チリがやや問題となるレベルになった。
次に、環境試験室の温度を23[℃]、湿度を50[%]に設定して、テストプリントを行った直後に、各色のトナー帯電量Q/Mを測定したところ、各色の平均値は−23[μC/g]であった。この状態で、先と同様にして2次色ライン画像を形成した場合の転写チリを評価したところ、ランク4で転写チリを許容範囲内に留めることができた。
次に、各色の単色ベタ画像に対する目標付着量を0.44[mg/cm]に更新した後、同様にして2次色ライン画像を形成した場合の転写チリを評価した。各色のトナー帯電量Q/Mの平均値は−23[μC/g]であった。転写チリは、ランク4で許容範囲内に留めることができた。
次に、環境試験室の温度を27[℃]、湿度を80[%]に設定した後、同様にして転写チリをランク評価した。各色のトナー帯電量の平均値は−18[μC/g]であった。転写チリは、ランク4で許容範囲内に留めることができた。環境が転写チリをより発生させ難い高温多湿側に変化したので、変化前と同じ目標付着量で対応できたのである。
次に、環境試験室の温度を23[℃]、湿度を50[%]に設定した状態で、「γ×V」が201[V]以下になるベタ画像の目標現像量を調べたところ、0.48[mg/cm]であることがわかった。その条件にて、同様にして転写チリをランク評価したところ、転写チリはランク3で許容範囲内に留めることができた。
次に、環境試験室の温度を10[℃]、湿度を15[%]に設定した後、同様にして転写チリをランク評価したところ、転写チリはランク1で問題のあるレベルになった。環境が転写チリをより発生させ易い低温低湿側に変化したので、変化前と同じ目標付着量では転写チリが悪化してしまったのである。
次に、各色のトナーBを用いた現像剤をそれぞれの現像装置に投入し、環境試験室の温度を10[℃]、湿度を15%に設定した状態で、トナーAと同様にして各色のベタ画像の目標付着量を適正トナー付着量に設定した。各色のトナーのベタライン比γの平均値は1.18であった。また、トナー帯電量Q/Mの平均値は−36[μC/g]であった。トナーBのトナー間付着力Fの全色平均値から、数6の式のα及びβを計算するとα=1.99、β=103.5となった。また、「γ×V」の上限値は300[V]であった。そこで、「γ×V」が300[V]以下になるように目標付着量を調べたところ、0.47[mg/cm]であった。この目標付着量で同様にして転写チリをランク評価したところ、転写チリはランク3で許容範囲内に留めることができた。
次に、環境試験室の温度を23[℃]、湿度を50[%]に設定した後、同様にして転写チリをランク評価した。各色のトナーのQ/Mの平均値は−25[μC/g]であった。転写チリは、ランク4で許容範囲内に留めることができた。環境が転写チリをより発生させ難い高温多湿側に変化したので、変化前と同じ目標付着量で対応できたのである。
次に、環境試験室の温度を27[℃]、湿度を80[%]に設定した後、同様にして転写チリをランク評価した。各色のトナーのQ/Mの平均値は−15[μC/g]であった。転写チリは、ランク4で許容範囲内に留めることができた。環境が転写チリをより発生させ難い高温多湿側に変化したので、変化前と同じ目標付着量で対応できたのである。
また、環境試験室の温度を23[℃]、湿度を50[%]に設定して、「γ×V」が300[V]以下になる目標付着量を調べたところ、0.56[mg/cm]であった。その条件にて、同様にして転写チリをランク評価したところ、転写チリはランク3で許容範囲内に留めることができた。前々回と同じ環境に変化したので、前々回と同じ評価結果になったのである。
次に、環境試験室の温度を10[℃]、湿度を15[%]に設定した後、同様にして転写チリをランク評価したところ、転写チリはランク1で問題となるレベルになった。前々回よりも環境が低温低湿側に変化した結果、転写チリが前々回よりも悪化したからである。
以上の結果から、帯電量最大環境で数4〜数6の式を満足させ得る値に、目標現像量を設定することにより、使用環境によらず転写チリを許容範囲内に留め得ることが裏付けられた。
以上、実施形態に係る適正トナー付着量特定方法においては、適正トナー付着量を調べる被検対象となる画像形成装置の適正使用温湿度範囲を決定し、その適正使用温湿度範囲のうち、転写チリを最も発生し易い温湿度にて測定した表面電位V、及びベタライン比γに基づいて適正トナー付着量を特定する。かかる構成では、適正使用温湿度範囲の中で環境条件が変化しても、転写チリ量を許容範囲内に留め得ることができる。これに対し、特許文献1や特許第3670134号公報に記載の発明では、通常の使用環境条件でトナー付着量、帯電量、またはトナー層表面電位と非画像部電位の差を適正範囲に設定しても、使用環境条件の変化に伴ってトナー帯電量や付着量が変動することにより、転写チリ量が適正範囲から外れてしまうことになる。
また、試料基板2の表面にトナーを接着剤で固定して固定トナー層を形成し、この固定トナー層にトナーを付着させ、且つ、このトナーに所定の間隙を介して対向するトナー受け基板3を配設した状態で、固定トナー層に付着しているトナーに対してトナー付着面とは垂直な方向の遠心力を作用させるように試料基板2及びトナー受け基板3を所定の回転数f[rpm]で回転させ、遠心力によって固定トナー層から分離してトナー受け基板に付着した各トナーの粒径Dを計測する操作を、回転数fの設定を異ならせながら複数回実施した後、その過程で粒径を計測した全てのトナーについて、それぞれ上記数18の式によって求められる遠心力Fを算出し、それら遠心力Fcを算出平均した値の常用対数に関する算術平均値Aを算出した後、「F=10」という式によってトナー間付着力Fを求めている。かかる構成では、次の点で、特許第3670134号公報に記載の発明よりも優れている。即ち、特許第3670134号公報に記載の発明では、トナー層に遠心力を作用させると、遠心力が小さい場合にはトナー層からトナーが分離するが、遠心力が大きくなるとトナーが基板からも分離し、トナー間の付着力とトナー基板間の付着力の両方を測定してしまうため、正確なトナー間付着力Fを測定することができない。これに対し、実施形態に係る適正トナー付着量特定方法では、トナー間付着力Fをトナーと基板との間の付着力とは別に完全に独立して測定することが可能であるので、適正トナー付着量をより正確に特定することができる。
52Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
53Y:現像装置(現像手段)
71:中間転写ベルト(中間転写体)
特許第3759534号公報

Claims (3)

  1. 潜像担持体に担持した潜像を互いに異なる1次色のトナーによって現像する所定数の現像手段を有し、これら現像手段によって潜像担持体の表面上で現像した互いに異なる色の単色トナー像を重ね合わせて転写体に転写することで、互いに異なる1次色の重ね合わせによる多次色トナー像を該転写体の表面上に形成する画像形成装置と、該所定数の現像手段にセットする互いに異なる色のトナーとの組合せによって該転写体上に形成したベタ状の多次色トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量の適正値である適正トナー付着量を特定するための適正トナー付着量特定方法において、
    トナー間付着力F[nN]に関する関数式である下記数1、数2の式で求められる変数α、βと、ベタ状の多次色トナー像の表面電位V[V]と、ベタ状の多次色トナー像のトナー付着量に対するライン状の多次色トナー像のトナー付着量の比であるベタライン比γとに対して下記数3の式で表される条件を具備させる上記トナー付着量を、上記適正トナー付着量として特定することを特徴とする適正トナー付着量特定方法。
    Figure 0005348558
    Figure 0005348558
    Figure 0005348558
  2. 請求項1の適正トナー付着量特定方法において、
    被検対象となる画像形成装置の適正使用温湿度範囲を決定し、該適正使用温湿度範囲のうち、転写チリを最も発生し易い温湿度にて測定した上記表面電位V、及びベタライン比γに基づいて上記適正トナー付着量を特定することを特徴とする適正トナー付着量特定方法。
  3. 請求項1又は2の適正トナー付着量特定方法において、
    試料基板の表面にトナーを接着剤で固定して固定トナー層を形成し、この固定トナー層にトナーを付着させ、且つ、このトナーに所定の間隙を介して対向するトナー受け基板を配設した状態で、固定トナー層に付着しているトナーに対してトナー付着面とは垂直な方向の遠心力を作用させるように試料基板及びトナー受け基板を所定の回転数f[rpm]で回転させ、遠心力によって固定トナー層から分離してトナー受け基板に付着した各トナーの粒径Dを計測する操作を、回転数fの設定を異ならせながら複数回実施した後、その過程で粒径を計測した全てのトナーについて、それぞれ次の数4の式によって求められる遠心力Fを算出し、それら遠心力Fcの常用対数に関する算術平均値Aを算出した後、次の数5の式によってトナー間付着力Fを求めることを特徴とする適正トナー付着量特定方法。
    Figure 0005348558
    Figure 0005348558
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