JP2008268241A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写チリ等の転写不良が生じず、良好な画像が得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体1a〜4a上に静電潜像を形成する静電潜像形成手6a〜6dと、静電潜像を反転現像してトナー像を形成する現像手段1d〜4dと、トナー像を転写体5に転写する転写手段1e〜4eと、静電潜像担持体の帯電電位をV1、その絶対値が最大となるときの現像後のトナー層の表面電位をV3、転写体に転写する際の転写体の表面電位をV4としたとき、V5=V1−2×V3+V4と計算される値V5が、負帯電トナーの場合は600V以下で、正帯電トナーの場合は−600V以上とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリやこれらの複数機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置及び画像形成方法に関する。
従来、電子写真方式には多様な方法が知られており、一般的には像担持体表面を帯電させ、帯電させた像担持体を露光して静電潜像を形成する。次いで、静電潜像にトナーを現像し、像担持体上にトナー像を形成する。さらに、転写体となる中間転写体を介して、または直接的に像担持体上のトナー像を転写体となる記録材上に転写し、この転写されたトナー像を加熱、圧力もしくはこれらの併用によって定着することにより、記録材上に画像が形成された記録物が得られる。なお、トナー像転写後の像担持体上に残ったトナーは、ブレード、ブラシ、ローラ等の既知の方法によりクリーニングされる。
近年の電子写真技術の動向として、高画質化、デジタル化、カラー化、高速化、高耐久化、高安定化が要求されている。例えば解像度は1200dpi以上の高解像のものが検討されており、これを実現するために従来以上に高精細の画像形成方式が望まれている。潜像を可視化するトナー及び現像剤に対しても、高精細画像を形成するためにさらなる小粒径化が検討され実現化されつつある。
画像のデジタル化に対応するために、画像を形成するドットの均一性が要求されており、ドットを形成するトナーに均一性が求められている。このため、従来から主に用いられてきた機械的な粉砕方式によって作製された形状が不均一な粉砕トナーよりも、熱気流、流動造粒法により粉砕トナーに球形処理を施したトナーや、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などによる重合トナー等の球形トナーの方が有利である。この球形トナーは、不定形トナーに較べて転写性に優れており、高転写率が実現可能とされている。
カラー画像の出力を高速化するために、複数の像担持体と現像装置を用いて、各像担持体上に形成したカラートナー画像を、中間転写体を介して、または直接的に記録材上に転写するタンデム型の電子写真方式が用いられている。特に、中間転写体を用いた転写方式は、記録材の搬送が簡単であり、多様な記録材を使用できる利点が有るため様々な画像形成装置に採用されている。
装置を高耐久化するには、部品の長寿命化する必要があり、これら部品の中でも潜像担持体として用いられる感光体を長寿命化する必要が有る。感光体を長寿命化には、特許文献1に記載されているように、感光体の帯電電位を400V以下程度に抑えた低電位システムが有効であり、感光体の帯電・露光という繰り返しによる静電疲労を低減することができる。
ところで、従来、文字やライン等の周辺部にトナーが飛び散る現象(以下、「転写チリ」とする)が問題となっている。この転写チリは、上記のトナー小粒径化,トナー球形化,低電位システム化により悪化する傾向にある。すなわち、トナーを小粒径化しつつ高耐久を実現しようとすると、経時におけるトナーへの添加剤埋没現象に対応するため、トナー添加剤を大量に添加する必要が出てくる。その結果、トナーの流動性が全体として上がる傾向になってきている。これに加えて、トナー球形化が行われると、更にトナー流動性が上がる。トナー流動性の向上は、トナーが動きやすくなることを意味しており、従来に比べて転写チリが増加する結果を招いてしまうことになる。
また、感光体の帯電電位が高い場合には、画像部と非画像部の電位差を大きくできるため、非画像部から画像部へトナーを閉じ込める向きの電界が大きく、転写する際にトナーが非画像部に飛翔しにくい。ところが、低電位システムでは、画像部と非画像部の電位差が小さいため、トナーを閉じ込める向きの電界が小さく、転写する際にトナーが非画像部に飛翔しやすい。こうして、近年、転写チリに対する対策を如何にするかの重要性がましてきている。このような課題は特許文献1でも同様である。
転写チリに対する対策として、特許文献2では、転写ニップ前後に電極を設け、転写ニップの上流側近傍において、転写電界としてトナーが転写する向きと逆向きの電界が形成されるように中間転写体に転写電圧を印加し、ニップ前でトナーが転写しないようにする方法が提示されている。しかし、近年、装置の小型化が要求されており、特にタンデム型の装置では、転写ニップ近傍に複数の電極を設けるのがスペース的に困難である。
特開2004−109703 特開2004−286851
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、転写チリ等の転写不良が生じず、良好な画像が得られる画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、トナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写体に転写する転写手段とを有する画像形成装置であって、静電潜像担持体の帯電電位をV1、その絶対値が最大となるときの現像後のトナー層の表面電位をV3、転写体に転写する際の転写体の表面電位をV4としたとき、V5=V1−2×V3+V4と計算される値V5が、負帯電トナーの場合は600V以下で、正帯電トナーの場合は−600V以上あることを特徴とする画像形成装置とするものである。
このように、帯電電位V1,トナー層の表面電位V3,転写体の表面電位V4から計算される特性値V5の絶対値を600V以下とすると、転写チリがほぼ問題無いレベルに抑えられることを本願発明者は見出したものである。詳細は後述する。
上記のように、帯電電位,トナー層の表面電位等を設定することは可能ではあるが、画像形成装置の使用環境を広範囲に設定したい場合には難しい場合もある。かかる場合に対して請求項2に記載の発明は、現像後の静電潜像担持体の表面電位を計測する電位計測手段と、電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づきV5の値を所定の値に制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置とするものである。このような制御手段を設けることにより、画像形成装置の使用環境を広範囲に設定しても転写チリを抑える事が可能となる。具体的な制御手段を規定した発明が、請求項3〜5の発明である。
請求項3に記載の発明は、制御手段を用いて、電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づき、表面電位V4を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。トナー層形成後に転写が行われるので、トナー層表面電位を計測し、その値に応じて転写体表面電位を制御すれば、作像されたトナー層に対応してきめ細かく転写ちりが発生しないように制御することが可能である。
請求項4に記載の発明は、制御手段を用いて、電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づき、帯電電位V1を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。帯電電位を過度に上げることは感光体寿命に影響するが、適切に露光量等調整すれば、転写体表面電位や後述の現像トナー量,潜像電位にくらべて制御範囲は広いメリットがある。
請求項5に記載の発明は、制御手段を用いて、電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づき、現像手段による現像トナー量または静電潜像電位V2を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。このような構成の場合、帯電電位や転写体表面電位で調整しきれない場合などに有効である。
請求項6に記載の発明は、帯電電位V1の絶対値を400V以下としたことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の画像形成装置である。従来技術の所で述べたように、本願発明は、帯電電位400V以下とした低電位の現像システムにおいて、特に有効である。帯電電位を低く抑えることにより、感光体の長寿命化が可能となる一方、低電位にすることにより顕著となる転写チリの発生を防止することができる。
請求項7に記載の発明は、トナー像を形成するトナーの帯電量の絶対値を10μc/g以上としたことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置である。
本願発明における特性値V5の式からは、トナー帯電量は低いほど望ましいことになるが、現実には限界が存在する。本発明者らの検討においては、トナー帯電量は絶対値にして10μc/gを下回るとトナー飛散が顕著になる現象が見られた。そこで、請求項7においては、トナー帯電量下限を10μc/gとし、トナー飛散などの不具合を防止しつつ転写チリを抑えることができる。
請求項8に記載の発明は、トナー像を形成するトナーの粒径を3〜7.5μmとしたことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の画像形成装置である。
このように現像剤となるトナーを小粒径にすることにより、従来に比べて画像の滑らかさが向上する事は知られていたが、本発明とあわせることにより転写チリがなくなる結果、大幅な画質向上を図ることができる。
請求項9に記載の発明は、表面電位V4−静電潜像電位V2の絶対値を300V以上としたことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の画像形成装置である。
本発明における特性値V5の式からは、V2,V4の絶対値は小さいほど望ましいことになるが、現実には限界が存在する。本発明者らの検討においては、V4−V2の絶対値が300Vを下回ると転写率が低下することが判明した。そこで、本願請求項9に記載の発明においては、V5≦600Vに加え、V4−V2の絶対値を300V以上として転写率と転写チリの両立を図っている。
請求項10に記載の発明は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写体に転写する画像形成方法において、前記静電潜像担持体の帯電電位をV1、その絶対値が最大となるときの現像後のトナー層の表面電位をV3、前記転写体に転写する際の転写体の表面電位をV4としたとき、V5=V1−2×V3+V4と計算される値V5が、負帯電トナーの場合は600V以下で、正帯電トナーの場合は−600V以上であるような条件下で転写を行うことを特徴とする画像形成方法である。
上記のように、帯電電位V1,トナー層の表面電位V3,転写体の表面電位V4から計算される特性値V5の絶対値を600V以下とすると転写チリがほぼ問題無いレベルに抑えられることを本願発明者は見出したものである。
本発明によれば、帯電電位V1,トナー層の表面電位V3,転写体の表面電位V4から計算されるパラメータ値V5の絶対値を600V以下とすると、転写チリがほぼ問題無いレベルに抑えられることので、低電位システムにおける転写チリの発生を抑制することができ、良好な画像が得られる。
本発明によれば、電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づきV5の値を所定の値に制御するので、画像形成装置の使用環境を広範囲に設定しても転写チリを抑える事が可能となり、良好な画像が得られる。
本発明によれば、帯電電位V1の絶対値を400V以下としたので、帯電電位を低く抑えることにより、感光体の長寿命化が可能となる一方、低電位システムにすることにより顕著となる転写チリの発生を防止することができ、良好な画像が得られる。
本発明によれば、トナー像を形成するトナーの帯電量の絶対値を10μc/g以上としたので、トナー飛散などの不具合を防止しつつ転写チリを抑えることができ、良好な画像が得られる。
本発明によれば、トナー像を形成するトナーの粒径を3〜7.5μmとしたので、従来に比べて画像の滑らかさを向上させながら転写チリの発生を防止することができるので、大幅な画質向上を図ることができる。
本発明によれば、V5≦600Vに加え、V4−V2の絶対値を300V以上とすることで、転写率を維持しながらもの転写チリの発生を防止することができ、良好な画像が得られる。
以下、本願発明に至った経過を説明した後、本願発明を画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
(本願発明にいたる経過)
像担持体の帯電電位の絶対値を400V以下に抑えた低電位システムにおいて、環境等によって現像剤特性が変動しても安定的に転写チリの発生量を抑制できるシステムを構成するために、転写チリに関与する様々なプロセス要因について転写チリとの定量的な関係を検討した。このために、様々なプロセス要因を容易に制御できる図1に示すような転写実験装置100を用い、転写チリとプロセス要因との定量的関係を検討した。
図1に示す転写実験装置100の構成と実験方法について説明する。平板状のガラス板11上に透明電極12、絶縁膜13が形成された基板10上に、現像装置31によりトナー像16が形成される。透明電極12は、図2に示すように領域1,2の二つの領域に分割され、装置に基板10を設置することによって各領域に電源17、電源18から電圧を印加できるように構成している。透明電極12の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)等を用いることができる。
図1に示す試験用の現像装置31内には、現像剤となるトナーとキャリアが収納され、スクリュー等により構成される撹拌手段32によって混合・撹拌される。混合・撹拌されたトナーは摩擦帯電し、キャリアに付着した状態で現像部材となる現像スリーブ33に供給される。現像スリーブ33内部には磁石が備えられていて、スリーブ表面が回転できるように構成されており、
スリーブ表面にキャリアがチェーン状に穂立ちされて磁気ブラシが形成される。現像スリーブ33上に形成された磁気ブラシは、規制部材となる規制板34によってその高さが規制され、基板10に近接する領域に搬送される。現像スリーブ33と基板10は、一定の間隔を挟んで近接するように配置されて現像領域を形成し、基板10に接続された電源17と電源18、及び現像スリーブ33に接続された電源35から電圧が印加されることで、トナーがキャリアから分離して基板10に移動するような電界が発生する。図示されていない移動機構により、基板10は現像領域を一定の速度で平行移動し、基板10の表面にトナーが像として現像(付着)される。電源17、電源18、電源35の電圧を調整することにより、領域1のみ、または領域2のみにトナーを現像することができ、図2の例ではライン画像が形成される。各領域のトナー付着量は、トナーやキャリアの量、トナーの帯電量、各電源の印加電圧、基板10とスリーブの間隔、スリーブや基板10の速度等により制御することができる。
現像トナー像が形成された基板10は、図示されていない移動機構により、平面状の金属板15上に設置された転写体14に対峙する位置に移動する。金属板15は図1において上下に移動するステージ21上に設置され、金属板15を装置に設置すると電源19と接続するように構成されている。金属板15は転電源19から電圧を印加されて、ステージ21を上昇させると転写電界が増大し、転写体14上に転写するトナーが増加する。基板10と転写体14の間隔はトナー像16のために一定以下にはならないが、さらにステージ21を上昇させようとすると、トナー像16への圧力が増加する。トナー像16へ一定の圧力を印加後にステージ21を下降させると、トナー像16は基板10が分離して転写体14上に転写する。転写性評価の再現性を確保するために、トナー像16への圧力は、基板10とステージ21の間に設けた加重センサー20の計測値を参照しながら制御している。
基板10の上部には照明41及びカメラ等の観察装置42が設置され、これら照明41及び観察装置42によりトナー像16を観察し、観察装置42で得られた画像は観察装置42と接続された画像評価装置43に出力される。画像評価装置43は、所謂コンピュータであって、出力された画像を画像計測ソフトウェアによって解析することにより、転写チリを定量的に評価することができる。この解析では、ライン画像から分離したトナーの数を計測し、転写前と転写後の分離トナー数の差をチリトナー数Nとした。
このような転写実験装置100を用いて、チリトナー数と様々なプロセス要因との関係について検討した実験結果について説明する。本実験では、領域2の線幅が100μm、領域1の線幅が1000μmのITO電極上にポリカーボネート(膜厚6μm)を塗布したガラス基板11を用いた。また、転写体14としてはカーボンを分散したポリイミドベルトを用いた。トナーを付着させる画像部に相当する領域を領域2、トナーを付着させない非画像部に相当する領域を領域1とし、領域2に印加する電圧V2は−100Vで一定とした。また、ラインを一本のみ観察するように観察装置42の観察倍率を調整した。トナーは、単位重量当たりの帯電量Q/Mが−27μC/gの負帯電トナーを用いた。
まず、基板10に現像されたトナー付着重量Mを領域1の面積Aで割った、単位画像面積当たりのトナー付着量M/Aが0.6mg/cmとなるように現像条件を調整し、領域1に印加する電圧V1と金属板15に印加する転写電圧V4を変えてチリトナー数Nを計測した。ただし、電圧V1の絶対値は400V以下に設定した。
図3に示すように、チリトナー数Nは転写電圧V4と画像部電圧V2の差(V4−V2)に比例して増加し、また、画像部電圧V2と非画像部電圧V1の差(V2−V1)が小さいほど、チリトナー数Nが多くなった。なお、図3のチリトナー数Nは、ラインの単位長さ(1mm)当たりの値を示している。
図3に示すように、チリトナー数Nは(V4−V2)及び(V2−V1)に依存するが、両者の関係について更に検討した結果、図4に示すように、チリトナー数Nが(V4−V2)と(V2−V1)の差、つまり(V4−V2)−(V2−V1)=(V1−2×V2+V4)に比例して増加することを見出した。
次に、トナー付着量M/Aが0.3mg/cmとなるように現像条件を調整し、電圧V1と電圧V4を変えてチリトナー数Nを計測した。更に、トナー付着量M/Aが0.9mg/cmとなるように現像条件を調整し、電圧V1と電圧V4を変えてチリトナー数Nを計測した。図5に示すように、トナー付着量M/Aが多いほどチリトナー数Nが増加した。
また、ITO電極の全面にトナーが付着するように、電圧V1を電圧V2と同じ−100Vに設定し、トナー付着量M/Aが0.3、0.6、0.9mg/cmとなるように現像条件を調整し、現像後のトナー層の表面電位V3を計測した。トナーが負帯電で、画像部電圧V2が−100Vなのでトナー層の表面電位V3は負で、トナー付着量M/Aが0.3、0.6、0.9mg/cmのV3は、それぞれ−131.2、−200.4、−288.7Vとなった。
図5の結果とトナー層の表面電位V3の計測値に基づいて検討した結果、図6に示すように、チリトナー数Nが(V4−V3)と(V3−V1)の差、つまり(V4−V3)−(V3−V1)=(V1−2×V3+V4)に比例して増加することを見出した。パラメータ値となる特性値(V1−2×V3+V4)をV5とするが、V5が小さいほどチリ発生量を抑制できることがわかった。
現像後のトナー層の表面電位V3は、トナー層の電荷密度及び厚みに依存し、電荷密度が大きいほど、厚みが厚いほど大きくなる。トナー層の電荷密度は、トナー粒子の帯電量、トナー層の充填率に依存し、トナー粒子の帯電量が大きいほど、トナー層の充填率が高いほど大きくなる。トナー層の厚みは、トナー付着量、トナー層充填率に依存し、トナー付着量が多いほど、トナー層充填率が低いほど厚くなる。従来、筆者らは、中間転写体上のトナー層電位から感光体上のトナー層電位を推定できると考えていたが、現実には、実際と符合しない場合があることが判明した。実際の画像形成装置においては、実験的検討が不可欠となる。詳細は後述の実施形態にて説明する。
トナー層の表面電位V3は負なので、V3の絶対値が大きいほどパラメータ値V5=(V1−2×V3+V4)が大きくなる。このため、V3の絶対値が最大になる場合に合わせてV1やV4を制御すれば、V3の絶対値が最大値以下の場合はチリ発生量を抑制できる。V3の絶対値が最大になる場合は、トナー付着量M/Aが最大になる場合で、最も濃い画像を形成した場合に対応する。このため、低電位システムにおいて転写チリを抑制するには、最も濃い画像(電位の絶対値が大きい画像)を形成した場合の現像後のトナー層表面電位V3に合わせて、パラメータV5が一定値以下となるように制御する必要がある。
また、例えば、環境等によりトナー粒子の帯電量が変化すると、トナー層の電荷密度が変化して、トナー層の表面電位V3が変化する。トナー層の表面電位V3が変化すると、パラメータ値V5の値が変化するため、チリトナー数Nが変化する。このため、環境等による現像剤特性が変化しても安定して転写チリを抑制するには、トナー層表面電位V3の変化に合わせて非画像部電圧V1や転写電圧V4を制御する必要がある。
(本願発明を画像形成装置に適用した実施形態)
次に、転写実験装置100を用いた実験により得られた転写チリ発生量とプロセス要因の関係に基づいて、転写チリを安定的に抑制した本発明の画像形成装置及画像形成方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の画像形成装置は、図7に示すように、黒,シアン,マゼンタ,イエローの各色に対応する4つの作像ユニット1,2,3,4を有している。各作像ユニットは、静電潜像担持体であるドラム状の感光体1a,2a,3a,4aを一様に帯電電位V1に帯電する帯電手段となる帯電ローラ1b,2b,3b,4bと各感光体上に画像を露光する露光装置1c,2c,3c,4cからなる静電潜像を形成する静電潜像形成手段6a,6b,6c,6d、各感光体上の潜像上にトナー像を形成する反転現像手段1d,2d,3d,4d、各感光体上に形成されたトナー像を転写体であるベルト状の中間転体5に転写する1次転写手段1e,2e,3e,4e、各感光体上の電荷を除電する除電手段1g,2g,3g,4g、転写されずに各感光体上に残ったトナーを除去・回収するためのクリーニング手段1h,2h,3h,4hを有する。1f,2f,3f,4fは、各感光体上の表面電位を計測する電位計測手段である。各電位計測手段は、通常、帯電電位V1や画像露光後の電位V2を計測し、各帯電手段や露光装置の出力調整をするために用いられる。各転写手段には、不図示の高圧電源が接続されている。その電圧は、感光体上トナーと逆極性の電圧である。よって、転写体である中間転写体5の転写体表面電位V4の極性は、トナーと逆極性となる。各感光体上の帯電電位は、反転現像方式のため、トナーと同極性であり、現像後のトナー層の表面電位V3もトナーと同極性である。よって、各感光体と中間転写体5の間には、トナーが中間転写体5へ転写されるような電界が発生して転写が行われる。各感光体上に形成されたトナー像は、順次、各1次転写手段の作用により中間転写体5上に転写される。中間転写体5上に形成されたカラー画像は、中間転写体5の内外に配置されたローラ部材で構成した2次転写手段6,7により転写体となる記録材7に転写され、定着手段8へ搬送されることで記録材7上に定着される。転写されずに中間転写体5上に残ったトナーは、クリーニング手段9により中間転写体5上から除去・回収される。なお、上記カラー画像を構成する各色トナー像の形成順序は特定されるものではなく、どのような順序に形成されても構わない。
このような構成の画像形成装置では、まず、各感光体は各帯電ローラによって表面を一様に帯電電位V1となるように帯電される。図7の例では、帯電手段として帯電ローラを用いて感光体を帯電しているが、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電方式の帯電手段を用いても良い。本形態で用いる帯電ローラを用いた帯電は、コロナ帯電を用いた場合よりもオゾン発量が少ない利点がある。帯電した感光体の表面には画像情報に応じて各露光装置からレーザー光線が照射され、静電潜像が形成される。
次に、各現像装置によって、静電潜像が形成された各感光体上に各色のトナー像が形成される。ここで各現像装置の構成を、図8を用いて説明する。各現像装置はトナーの色が異なる以外は同一構成であるので、ここでは現像装置1dを代表として説明する。現像装置1dは、トナーとキャリアから成る二成分現像剤が装置内に収納されていて、この収納されている現像剤が第一搬送スクリュー51d,第二搬送スクリュー52dによって攪拌・搬送され、現像部材となる現像ローラ53dに供給される。現像ローラ53dに供給される現像剤は現像剤規制部材となる現像ドクタ54dによって規制される。現像ローラ53dは、感光体1aと対向している。感光体1aと現像ローラ53d間に供給される現像剤量は、現像ドクタ54dと現像ローラ53の表面との間隔であるドクターギャップによって制御される。ドクターギャップが小さすぎると、現像剤量が少な過ぎて画像濃度不足になり、逆にドクターギャップが大きすぎると、現像剤量が過剰に供給されて感光体1a上にキャリア付着が発生するという問題が生じる。現像ローラ53dには、その外周面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する図示しない磁石が備えられており、この磁石から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤が現像ローラ上にチェーン状に穂立ちされて磁気ブラシが形成される。
現像ローラ53dと感光体1aは、一定の間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。現像ローラ53dは、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に形成しており、不図示の回転駆動機構によって回転されるようになっている。磁気ブラシは、現像ローラ53dの回転によって現像領域に移送される。現像ローラには不図示の現像用電源から現像電圧が印加され、磁気ブラシ上のトナーが現像ローラ53dと感光体1a間に形成された現像電界によってキャリアから分離し、感光体上の静電潜像上に現像される。なお、現像電圧には交流を重畳させても良い。現像ギャップは、現像剤粒径の5〜30倍程度、現像剤粒径が50μmであれば0.5mm〜1.5mmに設定することが可能である。これより広くすると、望ましいとされる画像濃度が出難くなる。また、ドクターギャップは、現像ギャップと同程度かやや大きくする必要がある。感光体1aのドラム径やドラム線速、現像ローラ53dのローラ径や線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するローラ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にする必要がある。
磁気ブラシを構成するキャリアには、鉄紛、フェライト紛、磁性粒子を分散した樹脂粒子等の磁性を有する粉体、及び電気特性を制御するために樹脂などで表面を被覆した磁性粉体が好ましく使用される。磁気ブラシを構成するキャリアとしては、感光体表面へのダメージを軽減するために球形の粒子を用いるのが好ましく、平均粒径は150μm以下のものが好ましい。キャリアの平均粒径が大きすぎると最密状態に配置してあっても曲率半径が大きく、感光体1aと接触していない面積が増え、トナー像のかけや抜けが発生する。逆に平均粒径があまり小さすぎると、交流電圧を印加する場合には、粒子が動きやすくなって粒子間の磁力を上回り、粒子が飛散してキャリア付着の原因となってしまう。キャリアの平均粒径は、特に30μm以上、100μm以下であることが好ましい。さらに、キャリアの体積抵抗率が低すぎると、現像電圧の印加時にキャリアに電荷が注入され、感光体1aへのキャリア付着を起こしたり、感光体の絶縁破壊を起こしたりするため、体積抵抗率が10Ωcm以上のキャリアを使用する必要がある。このような現像装置1dの構成や現像剤の特性は、現像装置2d,3d,4dにも適用されている。
図8では現像装置として二成分現像剤を用いる装置構成を説明したが、本発明に用いる現像装置は二成分現像剤を用いるものに限定されるものではなく、現像スリーブ上に形成したトナー薄層を電界で感光体上に現像する一成分現像装置を現像装置1d〜4dに適用しても無論構わない。
次に、本発明に使用するトナーについて説明する。
トナーは、結着樹脂に着色剤、及び、帯電制御剤、離型剤等の他の材料を含有させた母体粒子に、さらに、添加剤等を外添させてなる。また、現像剤中のトナー帯電量は、帯電制御剤の量などにより調整できる。
トナーに使用される結着樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリブチラール、シリコーン樹脂等が挙げられ,これらは、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、特に、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂が好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に、
(1)2価のカルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物のいずれかから選ばれる少なくとも一種、
(2)下記一般式(I)で示されるジオール成分、
Figure 2008268241
(式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4のアルキレン基であり、またx、yは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、x+y=2〜16である。)
(3)3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物、及び、3価以上の多価アルコールのいずれかから選ばれる少なくとも一種、
上記(1)、(2)、(3)を反応させてなるポリエステル樹脂であることが好ましい。
ここで、(1)の2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル及びジエチルエステル、及び無水フタル酸、無水マレイン酸等があり、特にテレフタル酸、イソフタル酸及びこれらのジメチルエステルが耐ブロッキング性及びコストの点で好ましい。これらの2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物はトナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響する。すなわち、縮合度にもよるが、芳香族系のテレフタル酸、イソフタル酸等を多く用いると耐ブロッキング性は向上するが、定着性が低下する。逆に、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸等を多く用いると定着性は向上するが、耐ブロッキング性が低下する。従って、他のモノマー組成や比率、縮合度に合わせてこれらの2価カルボン酸類が適宜選定され、単独又は組み合わせて使用される。
(2)の前記一般式(I)で示されるジオール成分の一例としては、ポリオキシプロピレン−(n)−ポリオキシエチレン−(n′)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられるが、特に、2.1≦n≦2.5であるポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2.0≦n≦2.5であるポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。このようなジオール成分は、ガラス転移温度を向上させ、反応を制御し易くするという利点がある。
なお、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールを使用することも可能である。
(3)の3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフトレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチルおよびジエチルエステル等が挙げられる。
又、(3)の3価以上の多価アルコールの一例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
ここで、3価以上の多価単量体の配合割合は、単量体組成物全体の1〜30モル%程度が適当である。1モル%以下の時には、トナーの耐オフセット性が低下し、また、耐久性も悪化しやすい。一方、30モル%以上の時には、トナーの定着性が悪化しやすい。
これらの3価以上の多価単量体のうち、特にベンゼントリカルボン酸、これらの酸の無水物又はエステル等のベンゼントリカルボン酸類が好ましい。すなわち、ベンゼントリカルボン酸類を用いることにより、定着性と耐オフセット性の両立を図ることができる。
又、ポリオール樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に、(a1)エポキシ樹脂と、(a2)2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、(a3)エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、(a4)エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオール樹脂を用いることが好ましい。
ここで、(a1)のエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。特に、エポキシ樹脂が安定した定着特性や光沢を得るために数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。さらに低分子量成分が20〜50重量%、高分子量成分が5〜40重量%であることが好ましい。低分子量成分が多すぎたり、分子量が360よりさらに低分子の場合は、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。また、高分子量成分が多すぎたり、分子量10000よりさらに高分子の場合は、光沢が不足したり、さらには定着性の悪化の可能性がある。
又、(a2)の化合物としての、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては、以下のものが例示される。即ち、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリン等でグリシジル化して用いてもよい。特に下記(II)式で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
Figure 2008268241
(式中、Rは−CH2−CH2−、−CH2−CH(CH3)−又は−CH2−CH2−CH2−基であり、またn、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜6である。)
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40重量%含まれていることが好ましい。ここで量が少ないとカールが増すなどの不具合が生じ、また、n+mが7以上であったり量が多すぎると、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。
又、(a3)のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。1価フェノール類としては以下のものが例示される。即ち、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
又、(a4)のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノール類としてはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸が例示される。
また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなるため、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分が5%以下)であることが好ましい。また、これらの結着樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等のいずれも用いることが出来る。
次に、トナーに用いられる着色剤としては、従来公知の染料及び顔料が使用できる。
黄色系着色剤としては、例えば、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R),ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。
赤色系着色剤としては、例えば、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッド(F5R、FBB)、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パ−マネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が挙げられる。
青色系着色剤としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB,ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が挙げられる。
黒色系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネル ブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。
その他の着色剤としては、チタニア、亜鉛華、リトボン、ニグロシン染料、鉄黒等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。また、本発明に用いられるトナーには、必要とする帯電能力を付与すべく、帯電制御剤を添加することや離型剤等の他の材料を添加することが出来る。
ここで、帯電制御剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ニグロシン染料、含クロム錯体、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらはトナー粒子の極性により使い分ける。特に、カラートナーの場合、トナーの色調に影響を与えない無色又は淡色のものが好ましく、例えば、サリチル酸金属塩又はサリチル酸誘導体の金属塩(ボントロンE84、オリエント社製)等が挙げられる。
これらの帯電制御剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常0.5〜8重量部、好ましくは1〜5重量部である。
また、定着時における定着装置8の定着部材からのトナーの離型性を向上させ、またトナーの定着性を向上させるために、離型剤をトナー中に含有させることも可能である。
ここで、離型剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックス等が挙げられる。
これらの離型剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができるが、特にカルナウバワックスを使用することにより良好な離型性を得ることができる。
又、離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜15重量部、好ましくは、2〜10重量部である。1重量部以下ではオフセット防止効果等が不十分であり、15重量部以上では転写性、耐久性等が低下する。
更に、本発明に用いられるトナーは、磁性体を含有させ、磁性トナーとして用いることもできる。具体的な磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あるいはこれら金属とアルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金およびその混合物等が挙げられる。
これらの磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが好ましく、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部である。
次に、本発明に用いられるトナーの製造例の一例を以下に述べる。
(1)前述した結着樹脂、着色剤、又は必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分に混合する。
(2)バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等の熱混練機を用いて構成材料を十分に混練する。
(3)混練物を冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級し、母体粒子を得る。
又、その他の製造法として、重合法、カプセル法等を用いることも可能である。これらの製造法の概略を以下に述べる。
(重合法)
(1)重合性モノマー、必要に応じて重合開始剤、着色剤等を水性分散媒中で造粒する。
(2)造粒されたモノマー組成物粒子を適当な粒子径に分級する。
(3)上記分級により得た規定内粒径のモノマー組成物粒子を重合させる。
(4)適当な処理をして分散剤を取り除いた後、上記により得た重合生成物をろ過、
水洗、乾燥して母体粒子を得る。
(カプセル法)
(1)樹脂、必要に応じて着色剤等を混練機等で混練し、溶融状態のトナー芯材を得る。
(2)トナー芯材を水中に入れて強く撹拌し、微粒子状の芯材を作成する。
(3)シェル材溶液中に上記芯材微粒子を入れ、撹拌しながら、貧溶媒を滴下し、芯材表面をシェル材で覆うことによりカプセル化する。
(4)上記により得たカプセルをろ過後、乾燥して母体粒子を得る。
ついで、該母体粒子と添加剤をヘンシェルミキサー(三井三池社製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等の混合機により十分混合し、必要に応じて、150μm程度以下の目開きの篩を通過させ、凝集物や粗大粒子等の除去を行う。
ここで、添加剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、Si,Ti,Al,Mg,Ca,Sr,Ba,In,Ga,Ni,Mn,W,Fe,Co,Zn,Cr,Mo,Cu,Ag,V,Zr等の酸化物や複合酸化物等が挙げられ、特にSi,Ti,Alの酸化物であるシリカ、チタニア、アルミナが好適に用いられる。
また、このときの添加剤の添加量は、母体粒子100重量部に対して、0.6〜4.0重量部であることが好ましく、特に好ましくは、1.0〜3.6重量部である。
添加剤の添加量が、0.6重量部未満であると、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、また、転写性や耐熱保存性も不十分となり、また、地汚れやトナー飛散の原因にもなりやすい。
また4.0重量部より多いと、流動性は向上するものの、ビビリ、ブレードめくれ等の感光体クリーニング不良や、トナーから遊離した添加剤による感光体等へのフィルミングが生じやすくなり、クリーニングブレードや感光体等の耐久性が低下し、定着性も悪化する。
ここで、添加剤の含有量の測定には種々の方法があるが、蛍光X線分析法で求めるのが一般的である。すなわち、添加剤の含有量既知のトナーについて、蛍光X線分析法で検量線を作成し、この検量線を用いて、添加剤の含有量を求めることができる。さらに、添加剤は、必要に応じ、疎水化、流動性向上、帯電性制御等の目的で、表面処理を施されていることが好ましい。
ここで、表面処理に用いる処理剤としては、有機系シラン化合物等が好ましく、例えば、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等が挙げられる。
又、処理方法としては、有機シラン化合物を含有する溶液中に添加剤を浸積し乾燥させる方法、添加剤に有機シラン化合物を含有する溶液を噴霧し乾燥させる方法等があるが、本発明においては、いずれの方法も好適に用いることができる。
さらに、母体粒子に添加される添加剤の粒径は、流動性付与等の点から、平均一次粒子径で0.002〜0.2μmであることが好ましく、特に好ましくは、0.005〜0.05μmである。
平均一次粒子径が0.002μmより小さい添加剤は、母体粒子表面に添加剤が埋め込まれやすくなるため、凝集を生じやすく、又、流動性も十分に得られない。さらに、感光体等へのフィルミングも発生しやすくなり、これらの傾向は特に高温高湿下において顕著である。加えて、平均一次粒子径が0.002μmより小さいと、どうしても添加剤同士の凝集が生じやすくなるため、これによっても、十分な流動性が得られにくくなる。
又、平均一次粒子径が0.2μmより大きい添加剤は、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、地汚れやトナー飛散の原因になりやすい。又、平均一次粒子径が0.1μmより大きい添加剤は、感光体表面を傷つけやすく、フィルミング等の原因にもなりやすい。なお、添加剤の粒径は、透過型電子顕微鏡により測定して求めることが出来る。
本発明に用いられるトナーには、前記の添加剤の他に、さらに他の添加剤を添加させることもできる。このような添加剤としては、例えば、滑剤として、テフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛及びポリ弗化ビニリデン等が、研磨剤として、酸化セリウム、炭化ケイ素及びチタン酸ストロンチウム等が、導電性付与材として、酸化亜鉛、酸化アンチモン及び酸化スズ等が、それぞれ挙げられる。
また、本発明に用いられるトナーの粒径は、体積平均径で3〜7.5μmであることが好ましく、特に好ましくは、3〜5μmである。
このような小粒径にすることにより、従来に比べて画像の滑らかさが向上する事は知られていたが、本発明とあわせることにより転写チリがなくなる結果、大幅な画質向上を図ることができる。
本発明に用いられるトナーは、一成分トナー及び二成分トナーの双方に適用可能である。二成分トナーの場合にはキャリアと混合されて二成分現像剤として使用される。
ここで、キャリアとしては、従来公知のものが使用でき、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、及び、ガラスビーズ等が挙げられ、特に、これらの表面を樹脂等で被覆することが好ましい。
この場合、使用される樹脂としては、ポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
又、この樹脂層の形成法としては、従来と同様、キャリアの表面に噴霧法、浸漬法等の手段で樹脂を塗布すればよい。なお、樹脂の使用量としては、通常キャリア100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
また、樹脂の膜厚としては、0.02〜2μmであることが好ましく、特に好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは、0.1〜0.6μmであり、膜厚が厚いとキャリア及び現像剤の流動性が低下する傾向にあり、膜厚が薄いと経時での膜削れ等の影響を受けやすい傾向にある。
ここで、これらのキャリアの平均粒径は通常10〜100μm、好ましくは30〜60μmである。
さらに、トナーとキャリアとの混合割合は、一般にキャリア100重量部に対しトナー0.5〜7.0重量部程度が適当である。
上記のような構成を有する画像形成装置において、本願請求項1にかかる発明は、
静電潜像担持体の帯電電位をV1、その絶対値が最大となるときの現像後のトナー層表面電位をV3、転写体に転写する際の転写体表面電位をV4としたとき、
V5=V1−2×V3+V4と計算される値の絶対値[V5]が600V以下となるように設定される。
具体的には、以下のように設定する。
帯電電位V1は、各帯電手段(例えば帯電手段1b)に印加する高圧出力の出力調整により容易に調整することができる。
転写体表面電位V4も各転写手段(例えば転写手段1e)に印加する高圧電源出力の調整により調整できる。
トナー層の表面電位は、画像露光後の表面電位と現像剤中のトナー帯電量を調整することにより調節することができる。但し、トナー層表面電位は、トナー層の電荷密度,厚み,環境に依存し、実験的に決定する必要がある。前述のトナー作成において極性制御剤の量等を変えて、帯電量を変えた現像剤を数種作成し、マシン性能保証環境の低温低湿側と高温高湿側で各電位測定手段(例えば電位測定手段1f)を利用して、現実のトナー層表面電位を測定し、最適値を決定する。実際には、画像濃度等の総合的な品質が確保できる条件を決定し、その条件下における上下限でのトナー層表面電位を測定し、帯電出力,転写出力を決定するのが、請求項1の画像形成装置を設計する上では比較的容易である。
ここでは、感光体1aの帯電手段1b、転写手段1e、電位測定手段1fを用いた例を説明したが、感光体2a〜4aの帯電手段2b〜4b、転写手段2e〜4e、電位測定手段2f〜4fをそれぞれ用いて設計することは言うまでもない。
上記のように画像形成装置を設計すれば、転写チリを防止できる。ただ、画像形成装置の使用環境が広い範囲にある場合や、他の特性との設計の自由度を得たい時などは、トナー層表面電位を検知し、制御することが望ましい。
そこで、請求項2に係る発明は、そのような制御に関するものである。
具体的には、従来、帯電電位等を検知するのに使用していた電位計測手段1f〜4fによりトナー層の表面電位を検知し、請求項3〜5記載のように帯電電位V1,転写体表面電位V4,トナー層の表面電位V3を制御する。この制御について、以下説明する。
本発明にかかる画像形成装置は、図9に示すように制御手段60を備えている。制御手段60は記憶部となるROM61とRAM62、中央演算部となるCPU63およびタイマ64を備えた周知のコンピータで構成されている。制御手段60の入力側には各電位計測手段が信号線を介して接続され、出力側には帯電手段の電源、転写手段の高圧電源、現像装置の駆動源が信号線を介して接続されている。制御手段60には、V5=V1−2×V3+V4の式や所定の判断値が記憶されている。
一般的な画像形成装置においては、画像濃度の制御や各色の色ズレ調整のためのプロセスコントロールが、電源オン時や所定枚数の出力後、環境変化が検知された場合などに行われる。この既存の制御終了に続けて図10に示すような制御を行う。
ここでは、まずステップS1で、プロセスコントロール制御の最後に続けて、帯電手段の電源を制御して帯電出力をオンし、ステップS2で通常の画像出力に用いる最大光量で基準パターンを各感光体上に書き込み、ステップS3において、その基本画像パターンを現像する。ステップS4では、現像後の帯電電位V1とトナー層の表面電位V3を各電位計測手段で測定する。そして、ステップS5において、その時点の転写体表面電位V4とあわせて、V5=V1−2×V3+V4を計算する。転写体表面電位V4は、そのときの各転写手段への印加電圧で代用しても良いし、転写出力と転写体表面電位の関係を予めルックアップテーブルの形にして用意して求めても良い。ステップS6では、計測した表面電位をもとに特性値[V5]≦600V(所定の判断値)であるか否かを判断し、特性値[V5]≦600Vの条件を満たしている場合には、この制御を終了し、特性値[V5]≦600Vの条件を満たしていなければ、ステップS7において、この条件となるように転写出力設定値V4を変更して、この制御を終える。
以上の制御フローは、既存のプロセス制御の後にするとして記載したが、通常の画像濃度制御や位置ズレ補正制御においても同様なパターンを作成することがある。そのとき、同時にトナー層の表面電位を各電位計測手段で計測し、転写出力を切り替えるようにしても良い。
次に請求項4に係る実施形態について説明する。
上記実施形態は、転写出力をフィードバック対象にしていたが、これを各帯電手段への印加電圧に置き換えることも可能である。この場合、帯電出力を上げる場合は、書き込み後の電位が変化してしまうことがあり得るので、帯電出力の変更量を不具合が出ない範囲に抑える必要がある。具体的には、帯電電位の変更量を50V(所定の判断値)以下とすると、書き込み後の電位変化量は画質に影響するほどの変化にはならない。
次に請求項5に係る実施形態について説明する。
帯電電位,転写体表面電位だけでなく、トナー層の表面電位を制御することも可能である。トナー層の表面電位の制御は、帯電,転写と比べて、トナー帯電量を調節する場合は難しい。しかし、画像形成装置の長期間の放置などにより現像剤帯電量が低下している場合には、帯電・転写での調整では補正しきれないことがあり、有効である。例えば、図11に示す制御を行うことが考えられる。
図11に制御フローでは、ステップS11において画像形成装置の図示しないメインスイッチ投入時に、ステップS12において帯電、現像等を通常の作像シーケンスに基づいてオンし、ステップS13で基本画像パターンを書き込み、ステップS14で基本画像パターンを現像する。そして、ステップS15において帯電電位V1、トナー層の表面電位V3を電位計測手段で測定し、ステップS16でその時点の転写体表面電位V4とあわせて、V5=V1−2×V3+V4を計算する。
ステップS17は、計測した表面電位をもとに特性値[V5]≦600V(所定の判断値)であるか否かを判断し、特性値[V5]≦600Vの条件を満たしている場合には、ステップS19において通常のプロセス制御を開始する。特性値[V5]≦600Vの条件を満たしていなければ、ステップS18に進んでこの条件となるように各現像装置を駆動しつづけ、現像装置内で現像剤を所定時間攪拌し、トナー帯電量を調節したのち、通常のプロセス制御を開始する。
つまり、画像形成装置が長期間放置され、現像剤帯電量が低下した結果、所定値よりトナー層の表面電位V3が小さい場合は、各現像装置を駆動しつづけ、現像装置内で現像剤を攪拌し、トナー帯電量を立ち上げる。このときの現像剤攪拌時間は、現像装置と現像剤の種類や組み合わせにより異なるが、実験的に攪拌時間と帯電量の関係を求め、帯電量が飽和する時間に設定する。しかる後に、通常のプロセス制御を実施する。図11の制御フローでは記載していないが、再度、トナー層の表面電位を測定し、帯電出力等の補正を組あわせることが望ましい。
次に請求項6に係る実施形態について説明する。
以上に記載した画像形成装置の何れにおいても、帯電電位絶対値を400V以下とすることは感光体寿命の長寿命化に有効である。従来、帯電電位を400V以下とすると、転写チリが増加する問題があったが、本願発明を適用することにより、転写チリの増加を抑えつつ、低帯電電位化を図ることが可能となる。このため、帯電電位を400Vにすることについては、帯電出力を設定することにより電位設定することができる。また、図7に示すようなカラーの画像形成装置においては、使用頻度の激しい黒作像ユニットのみ帯電電位400V以下とするようにしても良い。
次に請求項7に係る実施形態について説明する。
本願発明の特性値V5の計算式であるV5=V1−2×V3+V4においては、実際上、トナー帯電量は小さいほど望ましい。これは、定性的には、トナー像におけるトナー間の反発力が小さくなるからと理解できる。しかし、現実には、二成分現像剤中のトナー帯電量は絶対値にして10μc/gは必要である。10μc/gを下回るとキャリアとの間の静電力が落ちる結果、現像装置からトナーが飛散してしまう現象が見られるようになったからである。そこで請求項7における発明では、トナーの極性制御剤の添加量等によりトナー帯電量を絶対値にして10μc/g以上を確保し、かつ、V5≦600Vとなるようにした。このように画像形成装置を構成すれば、トナー飛散を抑えつつ、転写チリも抑えることができる。
次に請求項8に係る実施形態について説明する。
本願発明において、トナー粒径を3〜7.5μm、望ましくは3〜5μmとすることにより画質の大幅な改善を図ることができた。従来からトナー粒径を小さくすることにより粒状度が改善することが知られていたが、本願発明と組み合わせることにより、転写チリが減少した結果、相乗効果で画質改善につながったものと思われる。トナー粒径は、前述のトナー製造の説明において、分級条件を変更することにより調整できる。
次に請求項9に係る実施形態について説明する。
本願発明においては、V5=V1−2×V3+V4の式からは転写体表面電位は小さいほど転写チリが少なくなることとなるが、現実には、転写性能確保の観点から限界が存在する。図1に示す転写実験装置100を用いた転写体表面電位―画像部電位と転写率の実験結果を図12に示す。図12に示すように、転写率として必要とされる80%以上を得るには転写体表面電位V4と画像部の電位V2の差が300v以上、望ましい転写率90%以上を得るには350v以上であることが必要であると判明した。
そこで、本願請求項9にかかる画像形成装置では、転写体表面電位と画像部電位の差が300V以上でかつ、V5=V1−2×V3+V4が600V以下である装置とした。係る条件が成立するよう帯電電位,トナー層表面電位,画像部の電位,転写体表面電位を設定することにより転写性能を確保しつつ転写チリを抑えることが可能である。
以上の説明では、負帯電トナーを用いる画像形成装置を基にして説明してきたが、本願発明は、その性質からして正帯電トナーにしても、感光体電位,転写体表面電位が、同様に極性が変われば正立し得るものである。また、画像形成装置の形態は、カラーでなくとも、V5=V1−2×V3+V4と計算される値V5を−600V以上とすることにより転写チリを抑える方法を用いることは可能である。
次に、本願発明の効果を、図7に示した画像形成装置にて確認した結果を述べる。
各感光体上に画像を形成してトナー層の表面電位V3を計測し、ベルト状の中間転写体5上にトナー像を転写し、この状態でプロセスが停止するように設定した。まず、画像濃度を最も濃くした場合のベタ画像について、感光体1a上に画像を形成してトナー層の表面電位V3を計測した。次に、様々な画像濃度の線や文字の混在した画像を感光体1aに画像を形成して、中間転写体5上に画像を転写し、画像形成装置から中間転写体を含む中間転写体ユニットを取り出し、画像を目視及びCCD顕微鏡カメラで観察し、転写チリの発生状態を以下に示す4段階に評価した。
4:問題が無い、3:ほぼ問題が無い、2:やや問題がある、1:問題がある
感光体1aの帯電電位V1、中間転写体5上の表面電位V4の様々な組み合わせについて、トナー層の表面電位V3の計測と転写チリの評価を実施した。なお、中間転写体5上の表面電位V4は、転写ローラ1eへの印加電圧との対応を確認してあり、印加電圧を変更した。各組み合わせのV1、V3、V4、パラメータ値(特性値)V5、転写チリの評価結果を表1に示す。
Figure 2008268241
表1に示すように、V5が600V以上の場合はやや問題がある、または問題があるが、V5が600V以下の場合はほぼ転写チリが問題ない程度に抑制され、さらにV5が500V以下の場合はほぼ問題が無いから問題が無い程度に抑制され、さらにV5が400V以下の場合は転写チリが減少した。
また、温湿度を設定できる環境試験室内に本発明の画像形成装置を設置し、様々な温湿度にした場合の画像評価を実施した。各温湿度において、まず感光体1a上に最も濃いベタ画像を形成して現像後のトナー層の表面電位V3を計測し、この表面電位V3の計測値を用いてパラメータV5が600V以下になるように制御し、次に感光体1a上に様々な画像濃度の線や文字の混在した画像を形成し、中間転写体5上の転写チリ発生状態を評価した。その結果、各温湿度において、ほぼ転写チリが問題ない程度に抑制された。一方、23℃、55%において計測したトナー層の表面電位V3を用いてパラメータV5が600V以下になるように制御し、温湿度によらず同条件で制御した場合は、転写チリがやや問題がある程度からほぼ問題無い程度となった。
以上のように、トナー層の表面電位V3の計測値に合わせて、パラメータV5が600V以下となるように制御することにより、転写チリを安定的に抑制することができた。なお、本評価では最も濃いベタ画像のトナー層の表面電位を計測後と画像出力を連続して実施したが、通常使用する際には、装置の電源入力時、または一定の出力枚数毎等、定期的にトナー層表面電位を計測し、プロセス条件を制御すればよい。
本発明の特性を証明するのに用いた転写実験装置の概略構成図である。 図1の転写実験装置に用いる透明電極の説明図である。 チリトナー数と転写電圧の関係を示す図である。 チリトナー数と転写電圧及び画像部/非画像部電位差の関係を示す図である。 チリトナー数と転写電圧及び画像部/非画像部電位差の関係を示す図である。 チリトナー数と転写電圧、画像部/非画像部電位差及びトナー層表面電位の関係を示す図である。 本発明の一形態である画像形成装置の概略構成図である。 本発明の画像形成装置に用いる現像装置の一構成例を示す概略構成図である。 本発明にかかる制御系の一構成例を示すブロック図である。 制御手段による制御の一形態を示すフローチャートである。 制御手段による制御の別な形態を示すフローチャートである。 転写体表面電位―画像部電位と転写率の関係を示す図である。
符号の説明
1a〜4a 静電潜像担持体
1d〜4d 現像手段
1e〜4e 転写手段
1f〜4f 電位計測手段
5,7 転写体
6a〜6d 静電潜像形成手段
6A,6B 転写手段
60 制御手段
T トナー像
V1 静電潜像担持体の帯電電位
V2 静電潜像電位
V3 トナー層の表面電位
V4 転写体の表面電位

Claims (10)

  1. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像を反転現像してトナー像を形成する現像手段と、該トナー像を転写体に転写する転写手段とを有する画像形成装置であって、
    前記静電潜像担持体の帯電電位をV1、その絶対値が最大となるときの現像後のトナー層の表面電位をV3、前記転写体に転写する際の転写体の表面電位をV4としたとき、
    V5=V1−2×V3+V4と計算される値V5が、
    負帯電トナーの場合は600V以下で、
    正帯電トナーの場合は−600V以上あることを特徴とする画像形成装置。
  2. 現像後の静電潜像担持体の表面電位を計測する電位計測手段と、
    該電位計測手段による前記表面電位V3の計測結果に基づき前記V5の値を所定の値に制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づき、前記表面電位V4を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づき、前記帯電電位V1を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、前記電位計測手段による表面電位V3の計測結果に基づき、前記現像手段による現像トナー量または静電潜像電位V2を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  6. 前記帯電電位V1の絶対値を400V以下としたことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の画像形成装置。
  7. 前記トナー像を形成するトナーの帯電量の絶対値を10μc/g以上としたことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置。
  8. 前記トナー像を形成するトナーの粒径を3〜7.5μmとしたことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の画像形成装置。
  9. 表面電位V4−静電潜像電位V2の絶対値を300V以上としたことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の画像形成装置。
  10. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を反転現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写体に転写する画像形成方法において、
    前記静電潜像担持体の帯電電位をV1、その絶対値が最大となるときの現像後のトナー層の表面電位をV3、前記転写体に転写する際の転写体の表面電位をV4としたとき、
    V5=V1−2×V3+V4と計算される値V5が、
    負帯電トナーの場合は600V以下で、
    正帯電トナーの場合は−600V以上であるような条件下で転写をおこなうことを特徴とする画像形成方法。
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