JP5765109B2 - サーバー用CPU向け無鉛In基はんだ合金及びその製造方法 - Google Patents

サーバー用CPU向け無鉛In基はんだ合金及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、はんだ付け温度が260℃以下で接合可能なはんだ合金に関するものであり、更に詳しくは、サーバー用CPU向けとして接合後に表面実装に耐え且つ軟質特性を有する無鉛In基はんだ合金に関するものである。
電子部品の接続用材料として、従来から錫(Sn)や鉛(Pb)を主成分とするSn−Pb基はんだが用いられてきた。例えば、Sn−37重量%Pb共晶はんだは、融点が183℃と低く、260℃以下のはんだ付け温度で接合可能であるため、電子部品の実装用はんだとして広く使用されてきた。
また、Sn−Ag系、Sn−Sb系のようなSn基はんだは、耐クリープ特性に優れているため、半導体の低温接合用として用いられている。これらのSn基はんだは融点が200〜230℃程度であるため、Sn−37重量%Pb共晶はんだに代わる無鉛はんだとしても着目され、Sn−Ag−Cu系のはんだが実用されている。
一方、Pbを主成分とするPb基はんだは、一般に軟質であるため、基板に半導体を接合する場合のように、熱膨張係数の差によって発生する機械的ストレスを吸収することができる。そのためPb基はんだは、はんだ付けの熱疲労強さが優れ、パワートランジスタのように大きなシリコンチップをCu母材に接合する場合に適している。
このように電子部品の接続用材料としては、用途に応じて様々な種類のはんだが使い分けられている。しかし、サーバー用CPUの分野では、チップとパッケージを接合する際に、熱ダメージを極力抑えるため低いはんだ付け温度で接合でき、且つ接合後のはんだ層に一定の厚みを持たせ、チップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収するという複数の特性が求められるため、1種類のはんだで対応することは難しい状況であった。
そこで、発明者らは、特許文献1に開示されているように、低融点はんだであるSn基はんだやIn基はんだと、高融点はんだであるPb基はんだを機械的に接合することで、260℃の低い温度で接合でき且つPb基はんだのようにチップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収することができる積層はんだ材を提案した。尚、かかる積層はんだ材におけるSn基はんだやIn基はんだは、接合時に溶融して薄く濡れ広がるため、チップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスの吸収には寄与せず、接合時未溶融のPb基はんだが熱膨張係数の差による機械的ストレスの吸収する。
一方、近年では環境に有害な化学物質に関する規制が厳しくなってきており、電子部品を基板に接合するなどの目的で使用さる各種はんだ材料に関しても例外ではない。このため、サーバー用CPU向けはんだにおいても、260℃の低い温度で接合でき且つチップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収する無鉛はんだ合金が求められている。
かかる無鉛はんだ合金の候補として、Snを主成分とするものがあげられる。例えば、特許文献2には、Agが1.0〜4.0重量%、Cuが2.0重量%以下、Niが0.5重量%以下、Pが0.2重量%以下の無鉛Sn基はんだ合金が記載されている。特許文献3には、Agが0.5〜3.5重量%、Cuが0.5〜2.0重量%、残部がSnからなる無鉛はんだが記載されている。また、特許文献4には、Cuが10.0〜24.9重量%、Sbが5.0重量%以上、Snが70.0重量%以上の無鉛はんだが記載されている。
しかしながら、上記のSnを主成分とする無鉛はんだは、はんだ自体がビッカース硬度で16Hv程度と従来のPb基はんだ(約8〜9Hv)に比べると硬く、チップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収する能力に乏しい。そのため、チップサイズ3mm未満のようなパッケージには使用できても、チップサイズが15mm以上になるサーバー用CPU向けでは熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収することができない。
一方、Inを主成分とする無鉛はんだは、はんだ自体が軟らかいことから、はんだ接合後に一定の厚みを保持することができれば、チップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収する能力を有すると考えられる。しかしながら、Inの融点は156℃と低く、更にIn基はんだの融点は、代表例であるIn−48重量%Snで117℃及びIn−3重量%Agで141℃とIn単体よりも低くなるため、表面実装時(260℃)に再溶融してしまい、機械的ストレスを吸収可能なはんだ厚み(50μm以上)を維持することができない。
このような事情から、無鉛In基はんだを表面実装に耐え得るようにする手段として、主成分であるIn内に酸化ケイ素のフィラーや高融点層(金属間化合物層又は初晶層)を分散して存在させ、表面実装時に溶融したInの濡れ広がりを抑える方法が考えられる。かかるフィラー入りはんだに関しては、特許文献5等に有効性は示されている。しかしながら、フィラー入りはんだは、フィラーが導通性や熱伝導性の障害物となるため、はんだ層の導通性や熱伝導性がパッケージ特性に大きく影響するサーバー向けCPU用として適用することは難しい。
特開2009−269075号公報 特開1999−077366号公報 特開平08−215880号公報 特開2006−035310号公報 特開平08−174276号公報
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、260℃以下のはんだ付け温度で接合でき、チップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収できると共に、表面実装時にも機械的ストレスの吸収が可能なはんだ厚みを維持し得る、サーバー用CPU向けとして好適な無鉛In基はんだ合金を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、Inを主成分とする無鉛In基はんだ合金について、表面実装時にもチップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収する厚みを維持できるように、金属間化合物又は初晶を分散させることを検討した結果、溶融したInを保持する量の金属間化合物や初晶を入れようとすると、粗大な金属間化合物や初晶がダイボンディングの際にはんだの濡れ不具合やチップ傾きなどの不良を引き起こすことが分かった。
この知見に基づいて、金属間化合物や初晶の粒径を微細にし且つ分布を均一化する方法について更に検討を重ね、主成分のInにAu、Ag、Cu、Sb、Znのいずれか1元素を添加して、急冷鋳造法と温間押出加工を併用することにより、具体的には溶解鋳造時の熔湯温度と鋳型温度との温度差ΔTを300℃以上に設定し、得られた鋳塊を30〜100℃で温間押出加工することにより、高融点相である金属間化合物や初晶が微細化且つ均一化することを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明が提供するサーバー用CPU向け無鉛In基はんだ合金の製造方法は、Inを主成分とし、Pbを含まず、Au、Ag、Cu、Sb、Znのいずれか1元素以上を添加した無鉛In基はんだ合金の製造方法において、溶解鋳造時の熔湯温度と鋳型温度との温度差ΔTを300℃以上に設定して鋳造し、得られた鋳塊を30〜100℃にて温間押出加工することにより、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径を25μm以下に制御することを特徴とする。
また、本発明は上記方法により製造された無鉛In基はんだ合金を提供するものであり、そのサーバー用CPU向け無鉛In基はんだ合金は、Pbを含まず、Inと、Au、Ag、Cu、Sb、Znから選ばれた少なくとも1元素と、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とする。
更に、本発明は下記第1〜5のサーバー用CPU向け無鉛In基はんだ合金を提供するものである。具体的には、第1の無鉛In基はんだ合金は、Inを主成分とし、Pbを含まず、3.4〜9.7重量%のAuと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とする。
本発明の第2の無鉛In基はんだ合金は、Inを主成分とし、Pbを含まず、10.0〜23.0重量%のAgと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とする。
また、第3の無鉛In基はんだ合金は、Inを主成分とし、Pbを含まず、1.7〜4.0重量%のCuと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とする。
本発明の第4の無鉛In基はんだ合金は、Inを主成分とし、Pbを含まず、4.2〜12.0重量%のSbと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とする。
また、本発明の第5の無鉛In基はんだ合金は、Inを主成分とし、Pbを含まず、8.5〜33.5重量%のZnと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とする。
上記した本発明の第1〜5の無鉛In基はんだ合金については、主成分(第1元素)のIn及び第2元素のAu、Ag、Cu、Sb、Znから選ばれた少なくとも1元素に加えて、第3元素として0.001〜0.050重量%のGe及びPの少なくとも1元素を添加含有させることができる。
本発明によれば、260℃以下のはんだ付け温度で接合でき、ダイボンディング時にはんだの濡れ不具合やチップ傾きなどの不良が発生せず、表面実装時には溶融したInの濡れ広がりを抑えてはんだ厚みを維持して、熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収することが可能な、サーバー用CPU向けとして好適な無鉛In基はんだ合金を提供することができる。
はんだ合金の母相に分散した化合物(初晶)の粒径の測定方法を示す概略の説明図である。 実施例で作製した試料b1〜b4と比較例で作製した比較試料3における化合物(初晶)の粒径を示すグラフであり、縦線は化合物(初晶)の横軸Xと縦軸Yの長さの最大値と最小値の幅を示し、黒丸(●)は横軸Xと縦軸Yの長さの平均値、即ち粒径を示している。
本発明の無鉛In基はんだ合金は、主成分(第1元素)であるInに、第2元素としてAu、Ag、Cu、Sb、Znのいずれか1元素を添加し、急冷鋳造法及び温間押出加工により製造することで、主成分とのInと添加した第2元素とで構成される高融点相(金属間化合物あるいは初晶)を微細化且つ均一化させたものである。また、本発明の上記無鉛In基はんだ合金は、更に特性の特性を向上させる場合に、第3元素としてGeとPの少なくとも1元素を添加含有させることができる。
本発明の無鉛In基はんだ合金における主成分はInである。この第1元素のInは、チップ及びパッケージの接合面と反応して両者の接合に寄与する。Inは軟らかい特性を有し、従来のPb基はんだと同様にチップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収する能力を備えているものの、Inの融点は156℃と低く表面実装温度(260℃)に耐える融点を有していない。
第2元素であるAu、Ag、Cu、Sb、Znは、本発明の無鉛In基はんだ合金に必須の添加元素である。これら第2元素の少なくともいずれか1元素を主成分であるInに添加することによって、高融点相である金属間化合物あるいは初晶を形成して液相線を上げるため、表面実装時に溶融したInの濡れ広がりを抑え、はんだ厚みを維持して熱膨張係数差による機械的ストレスを吸収することが可能となる。
上記第2元素の含有量については、Auは3.4〜9.7重量%、Agは10.0〜23.0重量%、Cuは1.7〜4.0重量%、Sbは4.2〜12.0重量%、及びZnは8.5〜33.5重量%の範囲とする。尚、本発明において、無鉛In基はんだ合金中の各元素の含有量は、製造時に配合した原料全体に対する各元素の量(即ち、添加量)で表している。従って、はんだ合金を分析して得られる各元素の含有量は、製造上不可避的に含まれる不純物元素の量によって若干変動するが、高純度の原料を使用することで実質的な差異はないものと考えられる。
上記第2元素の含有量が各元素における下限よりも少ない場合には、In基はんだ合金中の金属間化合物あるいは初晶の量が過少となるため、表面実装時に溶融したInの濡れ広がりを充分に抑えることができない。一方、含有量が各元素におけるの上限を超えると、In基はんだ合金中の金属間化合物あるいは初晶の量が過多となるため、はんだの基本特性である濡れ性が著しく低下する。
ただし、主成分であるInに上記第2元素のいずれか1元素を添加しても、はんだ合金を製造する際に従来一般的に用いられている鋳造条件や押出条件では、高融点相である金属間化合物あるいは初晶が粗大化したり、はんだ合金内に偏在したりするため、はんだの基本特性である濡れ性を阻害することがある。そのため、水冷モールドを用いた急冷鋳造により金属間化合物あるいは初晶の粗大化を防止し、更に温間押出加工により金属間化合物あるいは初晶を均一に分布させることが必要である。
次に、本発明の無鉛In基はんだ合金の製造方法について説明する。まず、主成分であるInと、第2元素であるAu、Ag、Cu、Sb、Znのいずれか1元素を所定量秤量し、これらの原料を高周波溶解炉用のグラファイト製るつぼに入れる。このグラファイト製るつぼを高周波溶解炉に装入し、酸化を抑制するために窒素ガスを流しながら、原料を加熱溶融させる。金属が溶融しはじめたら、局所的な組成のばらつきが起きないように石英製混合棒でよく撹拌して均一に混合する。
原料が十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出して、るつぼ内の溶湯を水冷式鋳型に流し込む。この溶解鋳造工程において、熔湯温度と鋳型温度との温度差ΔTを300℃以上に設定することが重要である。熔湯温度と鋳型温度との温度差ΔTが300℃未満では、高融点相である金属間化合物あるいは初晶が粗大化してしまう。
上記溶解鋳造工程で得られた無鉛In基はんだ合金の鋳塊は、次の押出加工工程において30〜100℃の温度にて温間押出加工して、所定形状の無鉛In基はんだ合金とする。この温間押出加工によって、微細化された高融点相の金属間化合物や初晶がはんだ合金中に均一に分散され、本発明の無鉛In基はんだ合金を製造することができる。この押出加工工程における温度が30℃未満では、高融点相である金属間化合物や初晶をはんだ合金中に十分均一に分散させることが難しくなる。逆に100℃を超えると押出後の半田表面が荒れやすくなるため、酸化による濡れ性の低下が懸念される。
上記本発明方法によれば、260℃以下のはんだ付け温度で接合できるように主成分であるInに第2元素のいずれか1元素を添加した組成であれば、高融点相である金属間化合物あるいは初晶の粗大化や偏在を防止することができる。即ち、製造された無鉛In基はんだ合金は、Pbを含まず、第2元素のAu、Ag、Cu、Sb、Znから選ばれた少なくとも1元素と、残部の主成分(第1元素)であるInとからなり、金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下となる。
本発明の無鉛In基はんだ合金は、任意の添加元素としてGe及びPの第3元素を添加することができる。第3元素のGeとPは、はんだ合金の濡れ性を向上させ、接合時にボイドの発生を低減させる効果がある。即ち、GeとPは自らが酸化しやすいため、接合時にはんだの主成分であるInよりも優先的に酸化が進み、はんだ母相の酸化を防ぎ、濡れ性を確保する作用がある。この作用により良好な接合が可能となり、ボイドの生成も起こり難くなる。
上記第3元素の含有量は、Ge及びP共に、0.001〜0.050質量%の範囲が好ましい。Ge又はPが0.050質量%を超えると、これらの酸化物がはんだ合金の表面を覆うことによって、逆に濡れ性を低下させるため好ましくない。更に、Pの場合はInへの固溶量が非常に少ないため、含有量が多いと脆いリン酸化物が偏析するなどして信頼性を低下させてしまう。また、Ge又はPが下限値の0.001未満では、上記した母相の還元効果が得られない。
原料として、それぞれ純度99.99質量%以上のIn、Au、Ag、Cu、Sb、Zn、Ge及びPを準備した。これらの原料を、In−Au、In−Ag、In−Cu、In−Sb、In−Zn、In−Geなどの各系ごとに、下記表1の各試料a1〜a4、b1〜b4、c1〜c4、d1〜d4及びe−1〜e−4、更にIn−Ag−Cu系の試料f1とIn−Ag−Ge系の試料f2に示す組成となるように秤量し、高周波溶解炉用のグラファイト製るつぼに投入した。
Figure 0005765109
上記原料の入ったグラファイト製るつぼを高周波溶解炉に入れ、窒素ガスを原料1kg当たり0.7リットル/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融しはじめたら石英製混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混合した。
原料が十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出して、るつぼ内の溶湯を水冷式鋳型に流し込み、流し込んだ熔湯が凝固して常温になるまで鋳型内で空冷冷却を行って、上記各試料のはんだ母合金を作製した。尚、このとき熔湯温度と鋳型の温度差ΔTが300℃以上となるように、溶湯温度を500℃及び鋳型温度を25℃に設定した。
このようにして得られた各試料のはんだ母合金を、押出圧力300トンの熱間押出機により、加工温度30〜100℃の範囲内で、板幅25mm×板厚3mm×板長1500mmの板状に加工した。得られた各試料の板状はんだに対して、ワークロール径3インチの2段ロールを使用して、厚さ3.0mm→2.4mm→1.5mm→1.0mm→0.75mm→0.35mm→0.3mmのパススケジュールで冷間圧延を行い、板厚0.300mmのフープ(帯)状のはんだを作製した。更に、このフープ状サンプルをフォイルカット機により幅25mmに切り出し、縦25mm×横25mm×厚さ0.300mmの個片状はんだサンプルを作製した。
得られた各試料の個片状はんだサンプルについて、化合物(初晶)の粒径測定と共に、はんだ濡れ性試験による濡れ性の評価、接合後のチップ傾き、再溶融試験による再溶融後はんだ厚みを下記の各測定方法及び評価方法により測定評価して、得られた結果を下記表2に示した。尚、各試料の個片状はんだサンプルの厚みは0.300mmであり、接合後のはんだ厚みは試料a1〜e4で0.200mm(但し、試料d4は0.230mm及び試料e4は0.24mm)、試料f1とf2は共に0.150mm以上であった。
<はんだ濡れ性試験>
上記各はんだサンプルについて、窒素雰囲気下にて加熱温度260℃、加熱時間1分でCu基盤(40mm×40mm×0.300mm)との接合(濡れ性)試験を実施した。試験後の各はんだサンプルについて、平型ピンセットを用いてはんだとCu基盤を剥離させ、剥離できなかった場合を「○」、部分的に剥離できた場合を「△」、容易に剥離できた場合を「×」とした。
<チップ傾き評価>
上記はんだ濡れ性試験で用いた装置を使用し、窒素雰囲気下にて加熱温度260℃及び加熱時間1分で、Cu基盤(20mm×20mm×0.300mm)/はんだサンプル/Cu基盤(40mm×40mm×0.300mm)の順に積層接合した。本試験ではチップ傾きに対するCu基盤の反りの影響を極力抑えるため、使用するCu基盤の反りは0.005mm未満とした。接合後の各サンプルについて、4角をマイクロメーターにより測定し、最大値と最小値の差をチップ傾きとして算出した。チップ傾きが0.015mm未満を「○」、0.015〜0.030mmを「△」、0.030mmより大きい場合を「×」とした。
<再溶融試験>
上記はんだ濡れ性試験で用いた装置を使用し、窒素雰囲気下にて加熱温度260℃及び加熱時間1分で、Cu基盤(20mm×20mm×0.300mm)/はんだサンプル/Cu基盤(40mm×40mm×0.300mm)の順に積層接合した。その後、同じ装置を用い窒素雰囲気下にて、加熱温度260℃及び加熱時間10分で再溶融試験を実施した。再溶融試験後のはんだ層の厚みについて、積層接合時のはんだ層の厚みに対し、3/4以上の場合を「○」、1/4〜3/4の場合を「△」、1/4未満の場合を「×」とした。
<化合物(初晶)の粒径測定>
各はんだサンプルについて、樹脂埋め後断面研磨を行い、マイクロスコープ((株)キーエンス製、VHX−9000)により化合物(初晶)の粒径を測定した。具体的には、図1に示すように、ハンダ合金の母相に分散した化合物(初晶)の横軸X及び縦軸Yの長さを各々測定し、その全測定値の平均を化合物の粒径とした。化合物の粒径が25μm未満の場合を「○」、25〜50μmの場合を「△」、50μmを超える場合を「×」とした。測定結果の一例として、試料b1〜b4の評価結果を図2に示す。
Figure 0005765109
[比較例]
原料として、それぞれ純度99.99質量%以上のIn、Ag、Snを準備し、これらの原料を下記表3に示すように、比較試料1ではIn単独、比較試料2ではSn−3.5重量%Ag、比較試料3ではIn−10重量%Agの組成となるように秤量し、高周波溶解炉用のグラファイト製るつぼに投入して、上記実施例と同様に高周波溶解炉で加熱溶融させた。
原料が十分溶融したことを確認した後、高周波溶解炉から速やかにるつぼを取り出して、るつぼ内の溶湯を水冷式鋳型に流し込み、流し込んだ熔湯が凝固して常温になるまで鋳型内で空冷冷却を行って、比較試料1〜3の各はんだ母合金を作製した。尚、このとき比較試料1と2は上記実施例と同じ条件で急冷鋳造したが、比較試料3では溶湯温度を400℃及び鋳型温度を150℃に設定し、熔湯温度と鋳型の温度差ΔTを250℃(徐冷品)とした。
得られた各比較試料のはんだ母合金を、押出圧力300トンの熱間押出機により、加工温度50℃にて、板幅25mm×板厚3mm×板長1500mmの板状に加工した。得られた各試料の板状はんだに対して、ワークロール径3インチの2段ロールを使用して、上記実施例と同様のパススケジュールで冷間圧延を行い、板厚0.300mmのフープ(帯)状のはんだを作製した。更に、このフープ状サンプルをフォイルカット機により幅25mmに切り出し、縦25mm×横25mm×厚さ0.300mmの個片状はんだサンプルを作製した。
得られた比較試料1〜3の各個片状はんだサンプルについて、上記実施例と同様にして、化合物(初晶)の粒径測定並びに分布調査、はんだ濡れ性試験による接合後のはんだ厚み、接合後のチップ傾き、再溶融試験によるはんだ厚みを測定して評価した。得られた結果を下記表3に示した。また、その一例として比較試料3の評価結果を試料b1〜b4の結果と共に図2に示した。
Figure 0005765109
上記表2及び表3において、各評価項目の評価が「○」あるいは「△」であれば実用上問題なく使用できるが、一項目でも「×」の評価があるものは実用上使用することはできない。上記の結果から分かるように、試料a2とa3、試料b2とb3、試料c2とc3、試料d2とd3、試料e2とe3、及び試料f1とf2は、全ての項目について良好な評価が得られた。
一方、試料a1、b1、c1、d1、e1及び比較試料1、2においては再溶融試験後のはんだ層の厚みが著しく低下していることから、これらの試料では再溶融試験時にはんだが溶融するため、再溶融後に厚みを保持できていないことが分かる。従って、これらの試料のはんだは、チップとパッケージの熱膨張係数差による機械的ストレスの吸収できず、サーバー用CPU向けとして実用不可能であると考えられる。
また、試料a4、b4、c4、d4、e4及び比較試料3では、再溶融後厚みは問題ないが、0.030mm以上のチップ傾きが発生した。即ち、はんだ中に粗大な金属間化合物や初晶が存在するため、チップ傾きを起こしていると考えられる。このことは、化合物の粒径測定結果が他の試料より大きいことからも裏付けられる。従って、これらの試料のはんだも、サーバー用CPU向けとして実用不可能である考えられる。

Claims (12)

  1. Inを主成分とし、Pbを含まず、3.4〜9.7重量%のAu、10.0〜23.0重量%のAg、1.7〜4.0重量%のCu、4.2〜12.0重量%のSb、8.5〜33.5重量%のZnのいずれか1元素以上と、残部のInとからなる無鉛In基はんだ合金の製造方法において、溶解鋳造時の熔湯温度と鋳型温度との温度差ΔTを300℃以上に設定して鋳造し、得られた鋳塊を30〜100℃にて温間押出加工することにより、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径を25μm以下に制御することを特徴とするサーバー用のCPU接合用無鉛In基はんだ合金の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法により製造された無鉛In基はんだ合金であってはんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用のCPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  3. Inを主成分とし、Pbを含まず、3.4〜9.7重量%のAuと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  4. Inを主成分とし、Pbを含まず、10.0〜23.0重量%のAgと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  5. Inを主成分とし、Pbを含まず、1.7〜4.0重量%のCuと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用のCPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  6. Inを主成分とし、Pbを含まず、4.2〜12.0重量%のSbと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  7. Inを主成分とし、Pbを含まず、8.5〜33.5重量%のZnと、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  8. Inを主成分とし、Pbを含まず、3.4〜9.7重量%のAuと、0.001〜0.050重量%のGe及びPの少なくとも1元素と、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  9. Inを主成分とし、Pbを含まず、10.0〜23.0重量%のAgと、0.001〜0.050重量%のGe及びPの少なくとも1元素と、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  10. Inを主成分とし、Pbを含まず、1.7〜4.0重量%のCuと、0.001〜0.050重量%のGe及びPの少なくとも1元素と、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  11. Inを主成分とし、Pbを含まず、4.2〜12.0重量%のSbと、0.001〜0.050重量%のGe及びPの少なくとも1元素と、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
  12. Inを主成分とし、Pbを含まず、8.5〜33.5重量%のZnと、0.001〜0.050重量%のGe及びPの少なくとも1元素と、残部のInとからなり、はんだ合金内の金属間化合物あるいは初晶の平均粒径が25μm以下であることを特徴とするサーバー用CPU接合用無鉛In基はんだ合金。
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