以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
本発明を適用する第1実施形態を以下に説明する。第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯装置100(以下、単に、給湯装置100と称する)の構成について図1を参照して説明する。図1は給湯装置100の構成を示した模式図である。
図1に示すように、給湯装置100は、タンク10内の最下部とタンク10内上部とをつなぐ回路21を流れるタンク10内の下部の水を加熱するヒートポンプ式加熱装置としてのヒートポンプユニット20と、導入管11によってその最下部に水が供給されるタンク10、各種配管12,17,18、及び各種弁等を含むタンクユニットと、給湯装置100の作動を制御する制御装置40と、を備えている。タンクユニットとヒートポンプユニット20は、設置現場において一体化または離間して設置可能なように構成されている。また、浴槽82内の浴槽水とタンク10内の湯との間で熱交換するように構成される追い焚き装置70により、追い焚き運転が行われる。
タンク10は、給湯に用いる給湯用水を貯える容器であって、耐食性に優れた金属製、例えばステンレス製の容器であり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、給湯用の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。
タンク10は略円筒形形状であり、その底面に導入口10aが形成されている。この導入口10aにはタンク10内に水道水を供給する導入用流路としての導入管11が接続されている。この導入管11には給水サーミスタ51、減圧弁22及び流量カウンタ(図示せず)が設けられている。給水サーミスタ51は導入管11内の温度を検出するための電気信号を制御装置40に出力する。減圧弁22は、導入される水道水の水圧が所定圧となるように調節するとともに、断水などにおける湯の逆流を防止する。流量カウンタは導入管11内の流量を検出するための電気信号を制御装置40に出力する。
また、導入管11には、導入口10aの上流側の部位から分岐する給水管11aが設けられている。給水管11aの下流端は、給湯用混合弁15及び風呂用混合弁16に繋がれている。
タンク10の最上部には高温導出口10bが設けられ、この高温導出口10bにはタンク10内に貯えられた給湯用の湯のうち、高温の湯を導出するための給湯用流路としての高温取出管12が接続されている。また、高温取出管12の経路途中には、逃がし弁23が配設された排出配管が接続されており、タンク10内の圧力が所定圧以上に上昇した場合には、タンク10内の湯を外部に排出して、タンク10等にダメージを与えないようになっている。
タンクの中間部には、中間部配管10cの一端が接続されている。タンクの中間部は、浴槽82内の浴槽水を加熱するためのタンク10内に配設される追い焚き用熱交換器72よりも下方の位置であって、図1に示すタンク10内における一点鎖線間の中温領域に配置されている。
タンク10の外壁面には、給湯用水の貯湯量及び貯湯温度を検出するための貯湯温度検出手段としての複数(本例では7つ)のタンク水温サーミスタ55a〜55gが縦方向(タンク10の高さ方向)に並ぶように所定位置に配置されている。タンク水温サーミスタ55a〜55gはタンク10内に満たされた給湯用水の各水位レベルでの温度信号を制御装置40に出力するようになっている。
タンク水温サーミスタ55a〜55gから送信される温度情報に基づいて、タンク10内上方の沸き上げられた温水とタンク内下方の沸き上げられる前の水との温度境界位置を検出することができ、これにより貯湯量が検出できるようになっている。例えば、あるタンク水温サーミスタの検出温度が貯湯熱量として使用できる所定温度を超えていた場合は、タンク10内の最上部からそのタンク水温サーミスタの位置までは給湯に使用できる湯が貯まっていることになる。
また、これらのタンク水温サーミスタ55a〜55gのうち、タンク水温サーミスタ55aは、タンク10内に設置されている追い焚き用熱交換器72よりも上方となる位置に設けられており、高温取出管12に吸入される高温の湯の温度であるタンク10内最上部の湯温を検出する出湯サーミスタの機能も有している。タンク水温サーミスタ55bは追い焚き用熱交換器72の上端とほぼ同じ高さ、もしくはより上方の高さに配置されている。タンク水温サーミスタ55cは追い焚き用熱交換器72の高さ方向中央部とほぼ同じ高さに配置されている。タンク水温サーミスタ55dは追い焚き用熱交換器72の下端とほぼ同じ高さ、もしくはより下方の高さに配置されている。
タンク10の下部には、タンク10内の最下部の給湯用水をヒートポンプユニット20側に吸入するための吸入口10dが設けられている。タンク10の上部には、ヒートポンプユニット20側から吐出された湯が内部に流入するための吐出口10eが設けられている。吸入口10dと吐出口10eとは回路21で接続されており、この回路21の一部はヒートポンプユニット20における水・冷媒熱交換器の水側通路となっている。回路21のうち、ヒートポンプユニット20内を通過した部分は、ヒートポンプユニット20で加熱された高温の湯をタンク10内に流入させる上部流入管として機能する。
ヒートポンプユニット20は、冷媒として臨界温度の低い二酸化炭素を使用するヒートポンプサイクルと、回路21中に設置された給水ポンプ24とから構成されている。ヒートポンプユニット20には、外気温度を検出する外気温度センサ25が取り付けられている。超臨界のヒートポンプサイクルによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温、例えば、85℃〜90℃程度の湯をタンク10内に貯えることができる。
ヒートポンプサイクルは、例えば、電動式の圧縮機、加熱用熱交換器である水・冷媒熱交換器、電気式の膨張弁、空気熱交換器、及びアキュムレータの冷凍サイクル機能部品が配管で環状に接続されることにより形成されている。さらに、空気熱交換器の近傍には、空気熱交換器に対して強制風を提供する送風機が設けられている。
ヒートポンプユニット20は制御装置40からの制御信号により作動するとともに、その作動状態を操作盤41に表示するように構成されている。ヒートポンプユニット20は、主に料金設定の安価な深夜時間帯の深夜電力を利用した圧縮機の回転数制御により、タンク10内の給湯用水を沸き上げる沸き上げ運転を行うとともに、深夜時間帯以外の時間帯においても、タンク10内の貯湯熱量が不足してくると沸き上げ運転を行う。また、圧縮機の回転数は、種々の運転条件下において規定の能力が出るように制御装置40により制御される。
膨張弁は、水・冷媒熱交換器から流出する高圧の冷媒を減圧する減圧手段であり、制御装置によって弁開度が電気的に制御される。空気熱交換器は、膨張弁で減圧された冷媒を送風機によって送風される室外空気との熱交換によって蒸発気化させ、圧縮機にガス冷媒を供給する。その送風機は、空気熱交換器の熱交換性能を確保するように制御装置40によって回転数が制御される。アキュムレータは、空気熱交換器から流出する冷媒を気液分離して、気相冷媒のみ圧縮機に吸引させるとともに、サイクル中の余剰冷媒を貯える。
水・冷媒熱交換器は、圧縮機の吐出口より吐出された高温・高圧の冷媒によって水を加熱して湯とする熱交換器である。水・冷媒熱交換器の冷媒側通路は、圧縮機の吐出口より吐出された高圧のガス冷媒と水側通路を流れる給湯用水とを熱交換する冷媒流路管により構成されている。水・冷媒熱交換器は、冷媒側通路と水側通路の対向する面とが熱交換可能に密着するように配置された二層構造となっている。水側通路は、冷媒側通路の冷媒入口部から冷媒出口部に至る冷媒流路の全長で冷媒と回路を流通する水との熱交換が行われるように構成されている。そして、水側通路の出口部から所定の沸き上げ温度(65℃〜90℃程度)相当の温水を取り出した場合に、規定の熱交換性能を出せるように構成されている。
回路21の吸入口10dと水側通路との間には、給水ポンプ24が配設されている。給水ポンプ24は、内蔵される電動モータによって回転駆動されて、沸き上げ運転時に、タンク10内の給湯用水を吸入口10dから吸入し、水側通路内で加熱した後タンク10の吐出口10eに還流させるように作動する。給水ポンプ24は、水側通路の出口側水温が、種々の運転条件下において決定される所定の目標沸き上げ温度となるように制御装置40によって回転数が制御される。
入水温度サーミスタ31は水・冷媒熱交換器に供給される給湯用水の温度を検出するための電気信号を出力する。沸き上げ温度サーミスタ32は水・冷媒熱交換器出口での沸き上げ温度を検出するための電気信号を出力する。吐出冷媒温度サーミスタは圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出するための電気信号を出力する。出口冷媒温度サーミスタは水・冷媒熱交換器出口での冷媒温度を検出するための電気信号を出力する。いずれのサーミスタも電気信号を制御装置40に出力する。また、圧力センサは冷媒側通路出口での冷媒圧力を検出するための電気信号を制御装置40に出力する。
中温用混合弁14は、高温取出管12と中間部配管10cとの合流部位に設けられている。中温用混合弁14は、高温側の高温取出管12と、中温側の中間部配管10cとのそれぞれの開口面積比を調節して、高温取出管12から取り出した高温の湯と中間部配管10cから取り出した中温の湯との混合比を調節することにより、給湯用配管17、給湯用混合弁15、風呂用混合弁16、風呂用配管18等に流通させる湯の温度を調節する温度調節弁である。
中温用混合弁14は、タンク水温サーミスタ55a〜55g、湯温サーミスタ52により検出される温度信号に基づいて制御装置40によって制御される。湯温サーミスタ52は、中温用混合弁14の出口側に設けられて、中温用混合弁14で混合された湯の温度を検出し、ここでは、湯温サーミスタ52で検出された温度が所定温度、例えば、操作盤41で使用者が設定する設定温度+2〜5℃程度となるように、中間部配管10cから取り出した中温の湯をタンク10内の高温湯に混合させて当該所定温度に温度調節している。
湯温サーミスタ52は、中温用混合弁14の出口側に設けられて、中温用混合弁14で混合された湯の温度を検出する。中温用混合弁14の出口側には、給湯用流路としての給湯用配管17と、給湯用配管17から分岐する湯張り配管としての風呂用配管18とが接続されている。
給湯用配管17は、その下流端の端末としての給湯水栓81(例えばカラン、シャワー等)へ設定温度に温度調節された湯を導く配管である。その流路の中途には温度調節手段としての給湯用混合弁15と温度検出手段としての給湯サーミスタ53とが設けられている。給湯サーミスタ53は給湯用混合弁15の下流側で給湯用配管17内の温度を検出するための電気信号を制御装置40に出力する。
風呂用配管18は、その下流端が浴槽82のアダプタ82aに接続されて、浴槽82内に湯張り、差し湯、たし湯等を行う時に、設定温度に温度調節された湯を導く配管である。その流路の途中には、風呂用混合弁16、風呂用サーミスタ54、湯張り用電磁弁61、湯張り用流量カウンタ62、逆止弁63、循環温サーミスタ56、フロースイッチ64、風呂三方弁65、追い焚きサーミスタ57が設けられている。
給湯用混合弁15、風呂用混合弁16は、それぞれ給湯用配管17、風呂用配管18の末端で出湯される湯の温度を調節する温度調節弁であり、それぞれの開口面積比(すなわち中温用混合弁14で温度調節された給湯用水側の開度と給水管11aから供給される給湯水側の開度の比率)を調節することで出湯される湯温を設定温度に調節する。
給湯用混合弁15、風呂用混合弁16の作動は、給水サーミスタ51、湯温サーミスタ52、給湯サーミスタ53、風呂用サーミスタ54が検出する温度に係る電気信号に基づいて、制御装置40で制御される。
風呂用サーミスタ54は、風呂用混合弁16下流側で風呂用配管18内の温度を検出するための電気信号を制御装置40に出力する。湯張り用電磁弁61は、風呂用配管18の流路を開閉する弁であり、浴槽82内への湯張り、差し湯、たし湯等を行う時に制御装置40により制御される。湯張り用流量カウンタ62は、風呂用配管18内の給湯用水の流れを検出し検出信号を制御装置40に出力する。湯張り用流量カウンタ62が風呂用配管18内の湯の流れを検出した時は、風呂用配管18の湯張り用電磁弁61が開弁されて出湯されていることを示す。
逆止弁63は、往き管66を通って流れてくる浴槽水を風呂用混合弁16側に逆流させないための弁である。循環温サーミスタ56は、浴槽82のアダプタ82aに接続されている風呂用配管18、浴槽82、及び往き管66を循環する浴槽水の温度を検出するための電気信号を制御装置40に出力する。フロースイッチ64は、風呂三方弁65側の方向に湯あるいは浴槽水が流通しているか否かを検出可能な流水センサであり、また、アダプタ82aが浸水状態である場合、水流を検知することにより、浴槽82内に追い焚き運転可能な湯量の浴槽水があることを検出できる。
風呂三方弁65は、浴槽82、往き管66からの浴槽水を追い焚き用熱交換器72側あるいは浴槽82側のいずれかに流す流路切り換え弁であり、制御装置40によって制御される。追い焚きサーミスタ57は、往き管66、風呂用配管18、浴槽水循環回路71、追い焚き用熱交換器72によって形成される回路を循環して、追い焚き用熱交換器72で加熱された後の水温を検出するための電気信号を制御装置40に出力する。
追い焚き装置70は、風呂三方弁65からタンク10の上部を通り風呂用配管18のアダプタ82a側に接続される浴槽水循環回路71と、この浴槽水循環回路71の途中に接続される追い焚き用熱交換器72と、アダプタ82aから逆止弁63及びフロースイッチ64の間に接続される往き管66と、から構成されている。本実施形態の追い焚き用熱交換器72は、コイル状に形成され、タンク10内の中ほどよりも上方となる部位に配設されて、内部を流通する浴槽水をタンク10内に貯えられた高温の湯、例えば、図1に示すタンク10内における一点鎖線間の領域に貯えられる湯によって加熱する熱交換器である。
追い焚き用熱交換器72の流入部及び流出部は、タンク10の同じ側の壁面に接続されており、追い焚き用熱交換器72はタンク10の軸中心からずれた位置に配されている。中間部配管10cは、追い焚き用熱交換器72が配された側のタンク10の壁面に接続されている。また、中間部配管10cは追い焚き用熱交換器72の下端よりも下方位置のタンク10の側壁に接続されている。
往き管66には、アダプタ82a側から循環する浴槽水の下流側に向けて順に、水位センサ67、風呂循環電動弁68、風呂循環ポンプ69が設けられている。水位センサ67は、浴槽82内に湯張りされた浴槽水の湯量、言い換えれば浴槽82内の水位レベルを求めるための水圧を検出するセンサであり、水圧信号を制御装置40に出力するようになっている。つまり、制御装置40は、当該水圧信号に基づいて浴槽82内の水位を求める。風呂循環電動弁68は往き管66を開閉する電動弁である。風呂循環ポンプ69は浴槽82内の浴槽水を追い焚き用熱交換器72に圧送する流量可変式の電動ポンプであり、両者は制御装置40によってその作動が制御されるようになっている。風呂循環ポンプ69は、出力を可変することにより駆動する流量を可変することができ、例えば、直流モータを駆動源とするポンプによって構成することができる。
湯張り時あるいは湯張り後に浴槽82内の浴槽水温度を検出する時は、風呂三方弁65を風呂用配管18側に切り換えて追い焚き循環側を閉じるとともに、風呂循環ポンプ69を作動させることで、浴槽82内の浴槽水が往き管66、風呂用配管18、浴槽82の順に循環され、循環温サーミスタ56により浴槽水の温度が検出される。
追い焚き運転を行う時は、風呂三方弁65を浴槽水循環回路71側に切り換えて追い焚き循環側を開くことで、浴槽82内の浴槽水が往き管66、浴槽水循環回路71、追い焚き用熱交換器72、浴槽水循環回路71、風呂用配管18、浴槽82の順に循環されて、循環温サーミスタ56により検出される浴槽水温度が所定温度になるまで循環の制御が継続される。
制御装置40は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵のROMには、予め制御プログラムが記憶されており、各サーミスタ31,32,51〜57、外気温度センサ25からの温度信号、圧力センサからの圧力信号、湯張り用流量カウンタ62からの流量信号、フロースイッチ64からの浴槽水流通信号、水位センサ67からの水位信号、ユーザーが入力する操作盤41(例えば、風呂設置リモコン、台所設置リモコン)からの入力信号等に基づいて、各種混合弁14〜16、ヒートポンプユニット20、給水ポンプ24、湯張り用電磁弁61、風呂三方弁65、風呂循環電動弁68、風呂循環ポンプ69を制御するように構成されている。
また、制御装置40は、温水として使用された使用熱量の実績、例えば、ヒートポンプユニット20の運転実績、給湯や湯張りに相当する給湯実績等を、毎日継続して記憶手段に記憶する。記憶手段は、例えば、フラッシュメモリやRAMで構成され、記憶されているデータの読み出しや書き込みを行うものである。当該記憶手段は、例えば、ヒートポンプユニット20の運転実績を含む過去の使用熱量の実績を所定期間分記憶しておくことができ、当該所定期間からはみ出た古い実績は新しい実績に随時書き換えられる。本実施形態では、所定期間の一例として過去1週間分の使用熱量の実績を記憶するようにしている。そして、1週間分の使用熱量の実績は、直近の1日の実績が記憶されるタイミングになると、最も古い1日の実績が記憶手段から消去され、直近の1日の実績が書き込まれることになる。
操作盤41には、操作スイッチとして、給湯設定温度スイッチ、風呂自動スイッチ、湯張り設定温度スイッチ、追い焚きスイッチ、追い焚き設定温度スイッチ等が設けられている。また、操作盤41は、浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置され、操作盤41以外は、屋外等の適所に設置されている。
給湯装置100は、風呂自動スイッチがされた場合の風呂自動制御において学習機能を備える。給湯装置100は、この学習機能により、設定湯量、設定温度のみならず、水位センサ67による湯張り水位を記憶することで、湯張り水位、浴槽水温を常に一定に保つ風呂保温自動制御を行うことができる。
続いて、給湯使用時の運転について述べる。昼間などに給湯を使用する場合、中温用混合弁14の中間部配管10cを開き、タンクの中間部に貯湯された湯を優先的に取り出して設定温度と一致するように給湯用混合弁15、風呂用混合弁16の弁開度調節により給湯水と混合して使用する。また、ヒートポンプユニット20が加熱した湯の流量が足りない場合には、タンクの中間部の湯も混合されて同時に使用される。さらに、タンク中間部からの湯で設定温度に調節できない場合には、中温用混合弁14の高温取出管12側の開度を大きくすることにより、タンク10上部の高温湯も用い、出湯温度を確保する。
続いて、追い焚き運転について説明する。例えば保温自動運転中に、循環温サーミスタ56によって検出される浴槽水温度が設定温度よりも低くなった場合や、使用者が操作盤41を操作して追い焚き操作を指示した場合、追い焚き運転を実施する。制御装置40は、追い焚き運転実施のための指令があると、タンク水温サーミスタ55dの検出温度が、所定時間内で浴槽水を設定された温度となるように追い焚きが可能な温度である場合は、タンク10の上部に貯留された湯で追い焚き運転を行うことができると判断する。
そして、風呂三方弁65を浴槽水循環回路71側が開いた状態とし、風呂循環ポンプ69を作動させ、浴槽82内の浴槽水を浴槽水循環回路71に浴槽水を流入させる。浴槽水循環回路71に流入した浴槽水は追い焚き用熱交換器72の流入部を介してタンク10内に流入し、タンク10内に貯留された湯と熱交換して加熱される。加熱された浴槽水は、追い焚き用熱交換器72の流出部を介してタンク10から流出し、浴槽水循環回路71、風呂用配管18を介して浴槽82へと戻される。循環温サーミスタ56の検出温度が追い焚きの設定温度より高温となると、風呂三方弁65は浴槽水循環回路71側が閉となるように切り換えられ、風呂循環ポンプ69が停止される。
次に給湯装置100における追い焚きスイッチが操作された場合の追い焚き運転や、風呂自動が設定された場合の風呂保温自動制御時に行われる追い焚き制御について図2〜図5を参照して説明する。図2は、第1実施形態における追い焚き運転の処理手順を示したフローチャートである。図3は図2に示すステップ40で実行する風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンを示したフローチャートである。
本フローチャートは、制御装置40によって実行される。制御装置40は、追い焚き運転、風呂保温自動制御の開始の指令があると、まずステップ10において風呂循環ポンプ69をONし、さらに風呂三方弁65を風呂用配管18側に切り換えて追い焚き循環側を閉じる。これにより、浴槽82内の浴槽水は、往き管66、風呂用配管18、浴槽82の順に循環する。次にステップ20で、浴槽82内に追い焚き制御を実施可能な残湯があるか否かを判定する。このステップでは、循環する浴槽水によってフロースイッチ64が所定時間以上ON状態を継続するか否かにより残湯の有無を判定することができる。また、水位センサ67により検出される水位信号によっても残湯の有無を判定してもよい。
ステップ20で残湯有りと判定できない場合には、追い焚き運転等ができない状態であると考えられるため、ステップ21で風呂循環ポンプ69をOFFし、浴槽水の循環を停止する。さらに、浴槽82の栓が止まっていないことが考えられるため、ステップ22で「浴槽栓抜け」を報知し、本フローを終了する。この報知は、操作盤41の表示画面にメッセージとして表示したり、ランプ点灯、点滅等により表示したり、音声による警報音や言葉によりユーザーに知らせたりするようにしてもよい。
ステップ20で残湯有りと判定した場合は、次に追い焚き運転の目標湯温(浴槽水の目標温度)を設定する(ステップ30)。この目標湯温は、操作盤41の操作によりユーザーが設定した温度に設定してもよいし、現在の浴槽水温よりも所定温度α(℃)高い温度に設定してもよい。次にステップ40で風呂循環ポンプ69の出力を制御するルーチンを実行する。
この風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンは、図3に示すように、まずステップ41で循環温サーミスタ56により検出する浴槽水温TBrと操作盤41等により設定された浴槽水の設定温度TBsetとを読み込む。次にステップ42で、設定温度TBsetと浴槽水温TBrとの差(TBset−TBr)と図4に示す所定のマップとから風呂循環ポンプ69の出力を演算する。そして、制御装置40は、演算結果にしたがった当該ポンプ出力で風呂循環ポンプ69を制御する(ステップ43)。図4は、図3に示すステップ42の演算に用いるマップであり、制御装置40に予め記憶されている。
また、このマップは、実機を用いた実験等により予め作成された、TBset−TBr(℃)と最大出力に対する風呂循環ポンプ69の出力の比率(%)との関係を示した特性図である。ここでは、実際の浴槽水温TBrが低く、設定温度TBsetとの温度差(TBset−TBr)が大きいほど、風呂循環ポンプ69を高出力で運転して急速に追い焚き能力を上げてユーザーの湯当たりを強くし高い温熱感を提供する。また、実際の浴槽水温TBrが高く、設定温度TBsetとの温度差(TBset−TBr)が小さいほど、入浴者の期待する温熱感をそれほど大きいものではないため、風呂循環ポンプ69を低出力で運転し、入浴者の湯当たりを弱くして、やわらかい温熱感を提供する。
また、このマップは、図4に示す風呂循環ポンプ69の出力の比率が(TBset−TBr)に比例する線形関係のものの他、図5に示す、風呂循環ポンプ69の出力の比率が(TBset−TBr)に対して段階状に変化する他の形態を採用してもよい。特に、図5に示す他の形態のマップを採用した場合には、(TBset−TBr)に応じて当該ポンプ出力が段階的に変化するため、浴槽82に入っているユーザーに対して、(TBset−TBr)が大きい場合には明確な温かさ感を提供することができる。また、(TBset−TBr)が小さい場合にはユーザーに対して湯当たりを明確に弱くしてマイルド感を提供することができる。
次に、ステップ50で風呂三方弁65について、浴槽水循環回路71側を開くように追い焚き循環側を開く。この処理と、ステップ740でのポンプ出力の制御とにより、浴槽82内の浴槽水が、制御された流量で往き管66、浴槽水循環回路71、追い焚き用熱交換器72、浴槽水循環回路71、風呂用配管18、浴槽82の順に循環される。そして、この追い焚きのための循環は、ステップ60で循環温サーミスタ56により検出される浴槽水温度が目標湯温以上になったと判定されるまでが継続される。
ステップ60で、追い焚きサーミスタ57の検出温度が目標湯温以上になったと判定すると、追い焚き運転を完了する浴槽水温に追い焚きされたと判断し、ステップ70で風呂循環ポンプ69をOFFするとともに、ステップ80で、風呂三方弁65について、浴槽水循環回路71側を閉じるに追い焚き循環側を閉じる。これにより、本フローチャートの追い焚き運転を終了する。
以下に、本実施形態のヒートポンプ式給湯装置100がもたらす作用効果について説明する。ヒートポンプ式給湯装置100の制御装置40は、追い焚き運転において風呂循環ポンプ69の出力を浴槽水温を用いたパラメータに応じて可変する制御を実施する。
これによれば、例えば浴槽82内にユーザーがいる場合に、ユーザーのフィーリングに大いに関与する浴槽水温の状態に応じて、風呂循環ポンプ69の出力を可変することにより、浴槽水の循環流量を可変制御する。このため、ユーザーに対して、浴槽水温に適した高い温熱感、あるいは柔らかい湯当たりを提供することができるので、ユーザーのフィーリング悪化の抑止が図れる。
また、制御装置40は、ステップ42により、風呂循環ポンプ69の出力を、浴槽水温の設定温度TBsetと浴槽水温TBrとの温度差が大きくなるにつれて段階的に増加させるように決定する。これによれば、入浴するユーザーのフィーリングに大きく関与する浴槽水温が設定温度と大きく乖離するにつれて風呂循環ポンプの出力を段階的に増加させるため、ユーザーは温熱感向上効果をより明確に把握することができる。これにより、ユーザーのフィーリングを一層向上できる。
また、ヒートポンプ式給湯装置100は、可変流量式の風呂循環ポンプ69、例えば、直流モータを駆動源とする風呂循環ポンプ69を備えるため、従来の固定流量式のポンプ(例えば、高流モータを駆動源とするACポンプ)と流量調整弁等を組み合わせる必要がない。したがって、部品点数の低減が図れ、低コスト化、部品管理の低減、部品点数削減による製品信頼性の向上が得られる。
(第2実施形態)
第2実施形態は、ステップ40の風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンについて、第1実施形態とは異なる他の形態を図6〜図8を参照して説明する。以下、第2実施形態について、第1実施形態と異なる形態についてのみ説明する。図6は第2実施形態の追い焚き運転における、風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンで用いる浴槽水位を図示した模式図である。図7は第2実施形態における風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンを示したフローチャートである。図8は図7のステップ42Aの演算に用いるマップである。
本サブルーチンは、制御装置40によって実行される。図7に示すように、制御装置40は、まずステップ41Aで水位センサ67の検出する水位信号を読み込む。ステップ42Aで、この水位信号に基づいて、操作盤41で設定された設定水位h0から浴槽内に人が入ることによる水位上昇値を加えた浴槽水位hを検出し、浴槽水位hと図8に示す所定のマップとから風呂循環ポンプ69の出力可変値ΔPO2を演算する。そして、制御装置40は、演算結果にしたがった当該出力可変値に基づいて風呂循環ポンプ69出力を加減して制御する(ステップ43A)。
図8に示すマップは、制御装置40に予め記憶されている。この出力可変値ΔPO2は、検出した浴槽水位hが入浴水位h1以上であるときには出力を10%増加し、入浴水位h1未満であるときには出力を10%低減するように設定する。つまり、ステップ42Aでは、検出された浴槽水位hが入浴水位h1以上の高い水位である場合はユーザーが入浴していることが考えられるため、風呂循環ポンプ69の出力を所定量増加する制御を行い、浴槽水位hが入浴水位h1未満の低い水位である場合は、風呂循環ポンプ69の出力を低下させる制御を行う。増加または低下させる前の出力は、予め設定された出力、またはユーザーが使用する給湯装置毎に学習記憶された出力とすることができる。
また、図8のマップ示す入浴水位h1は、ユーザーが使用する給湯装置毎に学習記憶された水位上昇度に基づいて決定してもよいし、ユーザーが浴槽82内に入浴する際に操作盤41等で入力した設定値にしてもよい。
本実施形態によれば、制御装置40は、追い焚き運転において、浴槽82内に人がいるか否かの判定に基づいて風呂循環ポンプ69の出力を可変する。
これによれば、追い焚き運転における風呂循環ポンプ69の出力を、浴槽82内の人の有無判定によって可変することにより、浴槽82に人がいる場合には人のフィーリングを考慮または優先するポンプ出力にし、浴槽に人がいない場合には、人のフィーリングを考慮せず、他を優先する出力、例えば装置の効率性を優先するポンプ出力に決定する制御を実施することができる。したがって、タンク10の熱量消費の抑制とユーザーのフィーリング向上との両立を図るヒートポンプ式給湯装置100が得られる。
制御装置40は、追い焚き運転において、浴槽水位が所定の入浴水位h1以上である場合には風呂循環ポンプ69の出力を所定量増加する制御を実施し、浴槽水位が所定の入浴水位h1未満である場合には風呂循環ポンプ69の出力を所定量低下させる制御を実施する。
これによれば、浴槽水位が所定の入浴水位h1以上である場合は人が浴槽82に入浴しているとして、ユーザーに対して追い焚き運転時の温熱感を優先した制御を実施できる。また、浴槽水位が所定の入浴水位h1未満である場合は人が浴槽82に入浴していないとして、ユーザーに対して追い焚き運転時の温熱感を優先する必要がなく、タンク10内の熱量消費の抑制を優先した効率的な制御を実施することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、ステップ40の風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンについて、第1実施形態のサブルーチンに記載の処理と第2実施形態のサブルーチンに記載の処理とを組み合わせた場合の形態について図9を参照して説明する。以下、第3実施形態について、第1実施形態と異なる形態についてのみ説明する。図9は第3実施形態の追い焚き運転における、風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンを示したフローチャートである。
本サブルーチンは、制御装置40によって実行される。図9に示すように、制御装置40は、まずステップ41で循環温サーミスタ56により検出する浴槽水温TBrと操作盤41等により設定された浴槽水の設定温度TBsetとを読み込む。次にステップ41Aで水位センサ67の検出する水位信号を読み込む。次にステップ42で、設定温度TBsetと浴槽水温TBrとの差(TBset−TBr)と図4に示す所定のマップとから風呂循環ポンプ69の出力PO1を演算する。さらにステップ42Aで、この水位信号に基づいて検出した浴槽水位hと図8に示す所定のマップとから風呂循環ポンプ69の出力可変値ΔPO2を演算する。そして、制御装置40は、ステップ44で風呂循環ポンプ69の出力をPO1とΔPO2を加算した値に設定する。制御装置40は、PO1+ΔPO2にしたがったポンプ出力で風呂循環ポンプ69を制御する(ステップ45)。
本実施形態によれば、制御装置40は、ステップ41〜45によって、追い焚き運転において、パラメータに応じて求めた風呂循環ポンプ69の出力を、浴槽82内に人がいるか否かの判定に基づき増減することにより、風呂循環ポンプ69の出力を決定する。
これによれば、浴槽水温を用いたパラメータに応じて決定した風呂循環ポンプ69の出力を、浴槽82内の人の有無によって増減するようにさらに制御する。これにより、浴槽82に人がいる場合には人のフィーリングを考慮または優先するポンプ出力に決定し、浴槽82に人がいない場合には、人のフィーリングを考慮せず、他を優先する出力、例えば装置の効率性を優先するポンプ出力に決定することができる。
制御装置40は、ステップ42で求めたポンプ出力を、浴槽水位が所定の入浴水位h1以上である場合には所定量増加し、浴槽水位が所定の入浴水位h1未満である場合には低下させる制御を実施する。
これによれば、浴槽水位が所定の入浴水位h1以上である場合は人が浴槽82に入浴しているとして、さらに浴槽水温を上げるように、ユーザーに対して追い焚き運転時の温熱感を優先した制御を実施できる。また、浴槽水位が所定の入浴水位h1未満である場合は人が浴槽82に入浴していないとして、ユーザーに対して追い焚き運転時の温熱感を優先する必要がなく、さらにタンク10内の熱量消費の抑制を優先した効率的な制御を実施することができる。したがって、ユーザーのフィーリング向上とエネルギー効率と両立するヒートポンプ式給湯装置100を提供できる。
(第4実施形態)
第4実施形態は、ステップ40の風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンについて、第1実施形態とは異なる他の形態を図10〜図12を参照して説明する。以下、第4実施形態について、第1実施形態と異なる形態についてのみ説明する。図10は第4実施形態における風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンを示したフローチャートである。図11は、図10のステップ42Bの演算に用いるマップである。図12は、図10のステップ42Bの演算に用いるマップの他の形態である。
本サブルーチンは、制御装置40によって実行される。この風呂循環ポンプ出力制御のサブルーチンは、図10に示すように、まずステップ41Bで外気温度センサ25により検出する外気温度を読み込む。次にステップ42Bでは、検出した外気温度と図11に示す所定のマップとから風呂循環ポンプ69の出力を演算する。そして、制御装置40は、演算結果にしたがった当該ポンプ出力で風呂循環ポンプ69を制御する(ステップ43B)。図11は、図10に示すステップ42Bの演算に用いるマップであり、制御装置40に予め記憶されている。
また、このマップは、実機を用いた実験等により予め作成された、外気温度(℃)と最大出力に対する風呂循環ポンプ69の出力の比率(%)との関係を示した特性図である。ここでは、外気温度が低いほど、浴室内も気温が低いと想定されるため、風呂循環ポンプ69を高出力で運転して急速に追い焚き能力を上げてユーザーの湯当たりを強くし高い温熱感を提供する。また、外気温度が高いほど、浴室内も気温が低くないと想定されるため、入浴者の期待する温熱感をそれほど大きいものではなく、風呂循環ポンプ69を低出力で運転し、入浴者の湯当たりを弱くしてやわらかい温熱感を提供する。また、このような制御により、消費熱量の抑制が図れる。
また、このマップは、図11に示す風呂循環ポンプ69の出力の比率が外気温度の増加に伴い減少する線形関係のものの他、図12に示す、風呂循環ポンプ69の出力の比率が外気温度に対して段階状に変化する他の形態を採用してもよい。特に、図12に示す他の形態のマップを採用した場合には、外気温度に応じて当該ポンプ出力が段階的に変化するため、浴槽82に入っているユーザーに対して、外気温度が低い場合には明確な温かさ感を提供することができる。また、外気温度が低い場合にはユーザーに対して湯当たりを明確に弱くしてマイルド感を提供することができる。
本実施形態によれば、制御装置40は、追い焚き運転において、風呂循環ポンプ69の出力を外気温度に応じて可変する(ステップ42B)。
これによれば、浴槽82内にユーザーがいる場合、ユーザーのフィーリングに大いに関与する外気温度の状況に応じて、風呂循環ポンプ69の出力を可変することにより、浴槽水の循環流量を可変制御する。このため、ユーザーに対して、寒いと感じる可能性がある場合には高い温熱感を提供し、そうでない場合には柔らかい湯当たりを提供することが可能であるため、ユーザーのフィーリング悪化の抑止することができる。
また、外気温度に応じて風呂循環ポンプ69の出力の比率を制御するため、季節に応じたポンプ能力の変更により、消費熱量の抑制とユーザーのフィーリング向上とを両立させることが可能になる。
(第5実施形態)
第5実施形態は、ステップ30の目標湯温設定のサブルーチンについて、第1実施形態とは異なる他の形態を図13及び図14を参照して説明する。以下、第5実施形態について、第1実施形態と異なる形態についてのみ説明する。図13は第5実施形態における追い焚き目標湯温設定のサブルーチンを示したフローチャートである。図14は図13のステップ32Aの演算に用いるマップである。
本サブルーチンは、制御装置40によって実行される。図13に示すように、制御装置40は、まずステップ31で循環温サーミスタ56により検出する浴槽水温TBrと操作盤41等により設定された浴槽水の設定温度TBsetとを読み込む。次にステップ32で、設定温度TBsetと浴槽水温TBrとの差(TBset−TBr)と図14に示す所定のマップとから目標湯温(℃)を算出する。そして、制御装置40は、演算結果にしたがった目標湯温を設定する(ステップ33)。図14は、図13に示すステップ32の演算に用いるマップであり、制御装置40に予め記憶されている。
この目標湯温(℃)は、TBsetとTBrの差が0℃以上であるときには追い焚きの設定温度に算出され、0℃未満であるときには当該設定温度にα℃を加算した温度に算出される。つまり、ステップ32では、追い焚き運転開始前の実際の浴槽水温が設定温度よりも高いときは、浴槽水温が高い温度であるにもかかわらずユーザーが追い焚き運転を要求しているため、追い焚き目標湯温を設定温度よりもさらに高い温度に設定する。これにより、ユーザーの追い焚き運転要求を的確に充足する制御を提供できる。
本実施形態によれば、制御装置40は、ステップ30において、追い焚き運転を終了する条件として設定する浴槽水の目標湯温を追い焚き運転開始前の浴槽水温に応じて決定する。これにより、追い焚き運転実施のタイミングでの浴槽水温によって、目標湯温を変更させる制御を行うことができるため、ユーザーの追い焚き要求に適合した温熱感をユーザーに提供することができる。
また、ステップ32では、追い焚き運転要求があった場合に、追い焚き運転前の浴槽水温に応じて、設定温度TBsetになるまで昇温する追い焚き運転を実施するか、設定温度TBsetよりも所定温度α分高い温度になるまで昇温する追い焚き運転を実施するかを決定する。例えば、浴槽水温が設定温度TBsetよりも高いときに、ユーザーが追い焚き運転要求のための操作を行った場合には、ユーザーには浴槽水温をさら上げて温まりたいという要求があり、これを的確に満たす制御を実施できる。また、設定温度TBsetの方が浴槽水温よりも高いときに、ユーザーが追い焚き運転要求のための操作を行った場合には、設定温度TBsetまでに抑えた追い焚き運転を実施して、ユーザーの温まりたいという要求を満たしつつ、消費熱量の抑制することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
追い焚き運転において風呂循環ポンプの出力を決定するときに、第1実施形態の浴槽水温の計測値と第4実施形態の外気温度の計測値とを使用する場合には、それぞれのパラメータと所定のマップを用いて得られたポンプ出力値のそれぞれについて、所定の係数を乗算しこれらを足し合わせることにより得られた結果を最終的なポンプ出力値に決定する。
また、追い焚き運転において風呂循環ポンプの出力を決定するときに、第3実施形態の浴槽水温及び浴槽水位の計測値と第4実施形態の外気温度の計測値とを使用する場合には、それぞれのフローチャートによって得られたポンプ出力値のそれぞれについて、所定の係数を乗算しこれらを足し合わせることにより得られた結果を最終的なポンプ出力値に決定する。
また、追い焚き運転において風呂循環ポンプの出力を決定するときに、第2実施形態の浴槽水位の計測値と第4実施形態の外気温度の計測値とを使用する場合には、第3実施形態で説明したポンプ出力の制御ルーチンにおいて、ステップ41をステップ41Bに、ステップ42をステップ42Bにそれぞれ置き換えたフローチャートにしたがって最終的なポンプ出力値に決定することができる。
制御装置40は、追い焚き運転において、上記の第1実施形態〜第3実施形態のそれぞれで決定した風呂循環ポンプ69の出力と、第4実施形態で外気温度に応じて決定した風呂循環ポンプ69の出力とを用いて、最終的な風呂循環ポンプ69の出力を決定してもよい。
これによれば、複数のパラメータを用いて風呂循環ポンプ69の出力を決定するため、ユーザーのフィーリングに影響を与える様々な因子を考慮した追い焚き運転を実施することができる。したがって、幅広い状況に対応可能で、ユーザーのフィーリング悪化の抑止に寄与する制御が得られる。
上記の第5実施形態に記載の追い焚き目標湯温の設定ルーチンは、上記の第1実施形態からの第3実施形態の少なくとも一つの形態と組み合わせて追い焚き運転の制御フローを構築することができることはいうまでもない。
上記実施形態において、制御装置40に記憶される所定期間(例えば1週間)の運転実績は、装置の工場出荷時においてあらかじめ記憶させていた所定の運転情報(モデル運転情報)を更新することにより、ユーザーの使用実態に適合させていくものであってもよい。
また、ヒートポンプユニット20のヒートポンプサイクルを流れる作動冷媒は、二酸化炭素に限定されるものではなく、フロン等の他の冷媒であってもよい。