JP5764614B2 - 果実輸送用包装体 - Google Patents

Description

本発明は、傷みやすいイチゴのような果実を遠方に出荷輸送する際に使用するイチゴ輸送用包装体に関するものである。

果実の出荷に際しては、当該果実に対応した包装を施して輸送されるものであるが、イチゴのような表面が柔らかい果実は、輸送中に果実同士がぶつかり、或いは果実と包装部材の接触によって、果実表面に擦り傷、押し傷が生じたり或いは一部が潰れてしまう虞が多く、従前よりその対応手段が提案されている。

例えば特許文献１（特開２００４−６７１４１号公報）には、エンボス加工が施された繊維集合体シートで包装する手段が開示されており、特許文献２（特開２００８−２５４７４６号公報）には、果実を並べた樹脂パックを、包装箱の底面から浮かせた状態で収納して輸送する手段が開示されている。

また特許文献３（特開２０１０−２５３０３号公報）には、包装箱内の上方に軸部材を横架し、ブドウの房を宙づり状態で包装する手段が開示されている。

特開２００４−６７１４１号公報。 特開２００８−２５４７４６号公報。 特開２０１０−２５３０３号公報。

果実のうちイチゴは、果実同士の僅かな擦れ、果実と包装部材との僅かな擦れがあっても、その表面が非常に傷つきやすい。特許文献１，２は、包装時に果実同士や果実と包装部材が接触しているので、輸送中に瞬間的に外力が加わるような状況では、果実同士や包装部材との僅かな擦れが生ずる虞がある。また特許文献３記載のように複数の果実を並列して吊下げていると、果実自体の揺れによって互いに接触する虞がある。

そこで本発明は、果実（主としてイチゴ）を個別に包装する新規な包装容器を提案したものである。

本発明（請求項１）に係る果実輸送用包装体は、適宜な弾性力を有する材質で形成され、所定の間隔で対向する薄樹脂板の上端側方に、切り込み溝と差込係止片で構成される対向板連結部を備え、前記上端中央一方側に設けた果実茎を挟持装着する茎装着細溝と、対向薄樹脂板の上端を連結した際に前記茎装着細溝に挟持装着された果実茎を抑える茎抑え部とで構成される果実茎保持部を備えてなることを特徴とするものである。

而して前記容器は、果実（イチゴ）の茎を茎装着溝に差し入れると共に、茎抑え部が茎装着溝に挟持装着された果実茎を抑え込む状態で対向薄樹脂板を連結すると、果実はその茎部分のみが果実茎保持部で保持され、吊り下げられた状態となる。この吊り下げ状態で、適宜な包装箱に単数或いは複数を収納して輸送するもので、果実（イチゴ）は単独で吊り下げられ、他の果実と接触することも、また対向薄樹脂板に接触することもないので、輸送中に擦れによる果実表面の損傷が生じない。

本発明（請求項２）に係る果実輸送用包装体は、対向板連結部を、薄樹脂板に設けた切り込み溝と、前記切り込み溝に差し入れて係止する差込係止片で構成したもので、切り込み溝に他方側の差込係止片を差し込んで係止することで、他の連結部材（例えばステープラーによる連結）を必要としない。

また本発明（請求項３）に係る果実輸送用包装体は、底板の両側を折曲起立させて対向樹脂板を形成してなるもので、1枚の樹脂板から形成される製造上の利点がある。

また本発明（請求項４）に係る果実輸送用包装体は、対向樹脂板に大開口の刳り抜き孔を形成して、対向樹脂板を対向連結部及び果実茎保持部を設けた上辺板部と、上辺板部の両側から垂設される側辺板部で構成してなるもので、刳り抜き孔を設けることで、包装体の軽量化を実現すると共に、輸送中に果実が大きく振れた際にも果実表面が包装体と接触し難くしたものである。

また本発明（請求項５）に係る果実輸送用包装体は、対向樹脂板の下方部分を内装する扁平箱を備えてなるもので、対向薄樹脂板の対向間隔を安定させて折曲起立させるもので、包装体を包装箱に収納する際に、並べやすくするものである。

本発明の構成は上記のとおり果実を吊り下げ状態で個別包装するもので、輸送中に果実表面の擦れによって生ずる果実の損傷を防止することができたものである。

本発明の実施形態の薄樹脂板の展開平面図。 同包装体の全体斜視図。 同使用状態（包装状態）の全体斜視図。 同平面図。 同正面図。

次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した包装体は、越後姫（イチゴ）を輸送する際の個別包装体の例を示したもので、扁平箱０１と所定の形状に展開板に形成した薄樹脂板０２からなるものである。

扁平箱０１は、５０×６０ｍｍで高さ２０ｍｍの扁平の矩形紙箱であり、薄樹脂板０２は、０．５ｍｍ以下の厚さで、適宜な弾性力を有する材質で形成されるもので、前記扁平箱０１の幅（６０ｍｍ）に対応する幅と、全長２４０ｍｍ程度としたものである。

前記の薄樹脂版０２は、底板１と左右の対向樹脂板２ａ，２ｂからなり、底板１は、前記扁平箱０１の大きさと一致するもので、対向樹脂板２ａ，２ｂとの境界に折曲線（凹線）１１を設けたものである。

対向樹脂板２ａ，２ｂは、大開口の刳り抜き孔２１を形成して、上辺板部２２と、幅８ｍｍ程度の側辺板部２３を設けたもので、上辺板部２２には、対向板連結部２４と果実茎保持部２５を設けているものである。

対向板連結部２４は、一方の対向樹脂板２ａの上辺板部２２に設けた切り込み溝２４１と、他方の対向樹脂板２ｂの上辺板部２２に設けた差込係止片２４２で構成され、切り込み溝２４１は、上辺板部２２の側面から切り込みを入れて形成するもので、差込係止片２４２は、上辺板部２２の側方を前記の切り込み深さと対応する幅で突出させると共に、先端に抜け止めとなる鉤状部２４３を連設したものである。

果実茎保持部２５は、上辺板部２２の中央部分が互いに噛み合う様に台形状の突部２５１と台形凹部２５２を設け、当該箇所に茎装着細溝２５３と茎抑え部２５４を形成したものである。

茎装着細溝２５３は、前記突部２５１の先端辺から果実の茎Ａが挟持装着できる幅の細溝としたものであり、茎抑え部２５４は、台形凹部２５２の縁辺の小さな三角凹部として設けたものである。

而して包装体は、薄樹脂板０２の底板１の両側を折曲線１１で折り曲げて対向樹脂板２ａ，２ｂを起立させ、底板１を扁平箱０１の底に嵌めて形成するものである（図２）。

果実（越後姫：イチゴ）Ｂは、茎Ａを残して収穫されるので、茎Ａを茎装着細溝２５３に差し入れると共に、茎抑え部２５４が茎装着溝に挟持装着された果実茎Ｂを抑え込む状態となるように突部２５１と台形凹部２５２を噛み合わせる。

同時に対向薄樹脂板２ａ，２ｂを連結するもので、前記の連結は、切り込み溝２４１に差込係止片２４２を差し入れ、鉤状部２４３が切り込み溝２４１より中央側に突出して抜け止めとなって実現するものである。

これによって果実Ｂは、アーチ状に連結された対向樹脂板２ａ，２ｂに茎Ａが保持され、果実Ｂが吊り下げられた状態で個別包装されることになる。

この包装処理した果実Ｂの輸送は、別に用意した適宜な包装箱に単数或いは複数を収納して行われるもので、果実Ｂは、他の果実と接触することも、また対向薄樹脂板２ａ，２ｂに接触することもないので、輸送中に擦れによる果実表面の損傷が生じないものである。

尚前記実施形態は、対向樹脂板２ａ，２ｂを１枚の薄樹脂板で形成したが、各別に形成して、扁平箱０１の内側に貼着するようにしても良い。また底板１の前後辺を起立して扁平箱状に形成する等して扁平箱０１を採用しなくとも良い。

０１ 扁平箱
０２ 薄樹脂版
１ 底板
１１ 折曲線（凹線）
２ａ，２ｂ 対向樹脂板
２１ 刳り抜き孔
２２ 上辺板部
２３ 側辺板部
２４ 対向板連結部
２４１ 切り込み溝
２４２ 差込係止片
２４３ 鉤状部
２５ 果実茎保持部
２５１ 突部
２５２ 台形凹部
２５３ 茎装着細溝
２５４ 茎抑え部

Claims (5)

1. 適宜な弾性力を有する材質で形成され、所定の間隔で対向する薄樹脂板の上端側方に対向する薄樹脂板を連結する対向板連結部を備え、前記上端中央に、果実茎を挟持装着する茎装着細溝と、対向薄樹脂板の上端を連結した際に前記茎装着細溝に挟持装着された果実茎を抑える茎抑え部とで構成される果実茎保持部を備えてなることを特徴とする果実輸送用包装体。
2. 対向板連結部を、薄樹脂板に設けた切り込み溝と、前記切り込み溝に差し入れて係止する差込係止片で構成してなる請求項１記載の果実輸送用包装体。
3. 底板の両側を折曲起立させて対向樹脂板を形成してなる請求項１又は２記載の果実輸送用包装体。
4. 対向樹脂板に大開口の刳り抜き孔を形成して、対向樹脂板を対向連結部及び果実茎保持部を設けた上辺板部と、上辺板部の両側から垂設される側辺板部で構成してなる請求項１乃至３記載の何れかの果実輸送用包装体。
5. 対向樹脂板の下方部分を内装する扁平箱を備えてなる請求項１乃至４記載の何れかの果実輸送用包装体。

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