JP5279009B2 - 植物の保持部材 - Google Patents
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Description
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、容器との接触及び互いの接触を回避しつつ、果実、野菜、草花等の植物を搬送、陳列することのできる保持部材を提供することを目的とする。
そこで本発明者等は、弾性体にスリットを形成して、そのスリットにイチゴの茎を挿入して保持することを検討したところ、茎の外周に傷をつけずに、かつ茎を安定して保持できることを知見した。
本発明における植物は、果物、野菜及び草花を含む概念を有している。また、茎とは、一般に、実、葉あるいは花等の有用な部分を支える部位であって、その内部には根から吸収した水分や栄養素を植物体の各所へ運ぶためのしくみが備わっているものをいうが、本願発明では具体的な名称に拘わらず、茎に相当するものを広く包含する。
また、本発明の保持部材は、茎の径にばらつきがあっても、確実に茎を保持できる。
この保持部材において、第1の挟持片と第2の挟持片の間において、茎が挿入される手前側から奥側に向けて、第1の挟持片及び第2の挟持片に生ずる与圧が大きくなるか、又は、第1の挟持片と第2の挟持片の間隔が狭くなる、ことが好ましい。
<第1実施形態>
図1〜図3は、本発明の第1実施形態における果物・野菜の保持部材1によりイチゴを吊り下げた様子を示す斜視図である。また、図4は保持部材1を構成する保持板2の平面図、図5は保持部材1を構成する支持板3の平面図である。
これら図に示されるように、保持部材1は、保持板2と支持板3とをボルトB及びナットNで固定することにより構成される。
平面形状が矩形の保持板2は、弾性体、例えば発泡ウレタン、ネオプレーンゴム、発泡スチレン、樹脂、好ましくはシリコンゴムから一体的に構成される。
図4に示されるように、保持板2は、幅方向の一方側に、長手方向に連続して連なった基部20を備えている。基部20から幅方向の他方側に向けて挟持片21が形成されている。台形状の挟持片21は、長手方向に複数形成されている。隣接する挟持片21の間には、イチゴSの茎stを挿入するスリット22が形成されている。スリット22は、手前から奥に向かって狭くなっている。スリット22を挟んで、隣接する一方の挟持片21が本発明の第1の挟持片をなし、他方の挟持片21が本発明の第2の挟持片をなす。イチゴSの茎stをこのスリット22に押し込むことにより、隣接する二つの挟持片21により茎stを挟持し、イチゴSを吊り下げる。
保持板2には、支持板3と固定するためのボルトBが貫通される貫通孔23が複数形成されている。また、スリット22の根元には、応力集中を避けるための貫通孔24が形成されている。
支持板3を保持板2に対して正規の位置に設置すると、支持板3のスリット32は保持板2のスリット22と位置が対応する。また、支持板3を保持板2に対して正規の位置に設置すると、支持板3の各支持片31は、対応する保持板2の挟持片21と積層される。
支持板3には、保持板2と固定するためのボルトBが貫通される貫通孔33が複数形成されている。支持板3を保持板2に対して正規の位置に配設すると、支持板3の貫通孔33は保持板2の貫通孔23と位置が対応する。
なお、本発明は、茎stを水平方向に押し込むことももちろん許容する。その場合、茎stが奥に行くに従い負荷が増大し、アーム5がつかんだ位置より茎stが斜め後方に遅れる。そうすると、茎stには軸方向への引っ張りが発生し、結果、挟持片21には上側への撓みが誘発され、自動的に押し込み負荷を軽減させる。
また、図7(b)において、挟持片21が水平な位置まで復帰した例を示しているが、茎stの径によっては、挟持片21が上側にわずかに撓んだ状態で茎stを把持することもある。
第1実施形態の保持部材1は、上向きの撓みは許容されているが、下向きの撓みは制限されている。したがって、図8(b)に示すように、第1実施形態の保持部材1は、最大の圧縮応力で茎stを保持することができる。
ここで、例えば特許文献5に記載されるロボットは、イチゴSを正確に認識し、かつ正確に茎stを狙ってイチゴSを摘み取ることができるので、保持部材1への保持が可能である。このロボットがイチゴの摘み取りを行なう場合、5cm程度うねりのある地面(イチゴ棚の間)を移動する。このため搬送による振動が生じてもイチゴSが落下しないことが要求される、保持部材1はこの要求を十分に満足できる。
挟持片21は、保持板2と一体に形成されているが、本発明はこれに限らない。挟持片21に相当する部材を複数作製し、支持板3の所定位置にボルト、ナット等の適宜な手段で固定してもよい。
保持板2は、ボルトB、ナットNで固定されているが、コーティングによって同様の部材を支持板3に設けても、同様の効果を得ることができる。
また、ここではイチゴSについて述べたが、イチゴS以外であっても茎を有する果物、野菜、草花を保持できることは言うまでもない。
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照して説明する。
第2実施形態は、第1実施形態に対して、上側にも支持板を設けた構造を有している点で相違する。つまり、第2実施形態に係る保持部材101は、複数の挟持片121と、第1の支持板103と、第2の支持板104とから構成される。
挟持片121は、図9(c)に示されるように、単体としての平面形状が台形をなしている。挟持片121は、図9(a)、(b)に示されるように、平面形状が矩形となるように幅方向に圧縮された状態で、第1の支持板103と第2の支持板104の間に挟みこまれる。なお、茎stが押し込まれる手前側に挟持片121の上底aが配置され、この上底aの長さは、第1の支持板103と第2の支持板104の間に挟みこまれた後も維持される。したがって、茎stが押し込まれて奥にいくに従って、挟持片121に生ずる圧力(与圧)は大きくなる。挟持片121は、第1実施形態で説明したものと同様の材料で構成することができる。
第2実施形態では、隣接する挟持片121の間に隙間を設けることなく、複数の挟持片121長手方向に配列される。隣接する一方の挟持片121が本発明の第1の挟持片をなし、他方の挟持片121が本発明の第2の挟持片をなす。イチゴSの茎stを隣接する二つの挟持片121の間に押し込んで茎stを挟持することにより、イチゴSを吊り下げる。
各挟持片121には、第1の支持板103及び第2の支持板104と固定するためのボルトBが貫通される貫通孔123が複数形成されている。
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。
第2実施形態の保持部材101は、挟持片121の与圧を手前から奥に向けて大きくすることにより、太さにばらつきのある茎stでも同じ力で保持できるが、第3実施形態による保持部材201は、隣接する挟持片21間の間隔を手前から奥に向けて狭くすることにより、太さにばらつきのある茎stでも同じ力で保持できるようにする。
保持部材201は、保持板202、第1の支持板203及び第2の支持板204とをボルトB及びナットN(図示せず)で固定することにより構成される。
以上説明した保持部材1(101、201)を用いて包装容器300にイチゴSを収容する例を図11、図12を参照して説明する。
包装容器300は、透明な樹脂、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート:Polyethylene Terephthalate)で作製され、蓋301を有する箱状の容器である。包装容器300の上壁にはスリット302が形成されている。包装容器300の上壁の上面には、スリット302に対応する位置にスリット402が形成された保持部材401が設置される。なお、図11、図12では構造を簡略化しているが、保持部材401には、第1実施形態〜第3実施形態で示した保持部材1〜201を用いることができる。
保持部材401が設置された包装容器300の内部に、保持部材401で茎stを保持してイチゴSを吊り下げる。
イチゴSを吊り下げた後、蓋301を閉じて、包装容器300にイチゴSを収容する。イチゴSは、包装容器300に収容された状態で流通され、小売店に陳列される。
第5実施形態も包装容器に関するものであるが、第5実施形態による包装容器500は、保持部材1(101,201)を別途設けることなく、イチゴSを吊り下げ、かつ収容できる。
図13(a)は包装容器500の展開図、図13(b)は包装容器500の組み立て途中の状態を示す図である。また、図14は、包装容器500が組み立てられた状態を示す。
包装容器500は、透明な樹脂、例えばPETで一体的に作製されるものであり、図13(a)に示すように、底壁501に連なって第1側壁502、第2側壁503、第3側壁504及び第4側壁505が形成されている。なお、底壁501、第1側壁502、第2側壁503、第3側壁504及び第4側壁505の紙面上面側を内側と言うことにする。
第1側壁502の内側を基準にして第1上壁506を谷折りし、次いで、第1上壁506の内側を基準にして第1立壁508を山折りする。なお、以下では、内側を基準にすることを、単に基準にする、ということにする。同様にして、第2側壁503を基準にして第2上壁507を谷折りし、次いで、第2上壁507を基準にして第2立壁509を山折りする。
第3側壁504を基準にして、耳部504a、504bを谷折りする。また、第3側壁504に連なる第1剛体形成部510を順次谷折りして、断面がロ字状の剛体形成部510とする。同様にして、第4側壁505を基準にして、耳部505a、505bを谷折りする。また、第4側壁505に連なる第2剛体形成部511を順次谷折りして、断面がロ字状の第2剛体形成部511とする。
次に、底壁501を基準にして、第1側壁502、第2側壁503及び第3側壁504を谷折りすることにより、図14に示す箱状の包装容器500が構成される。この包装容器500は、谷折りされて第4側壁505が配置される部分がイチゴSの挿入口となる。
図15は、第1上壁506と第2上壁507とで茎stを挟持する様子を模式的に示す図である。
図15(a)は、茎stを挟持する前の状態を示している。第1上壁506は、一端が第1側壁502と連なるが、立壁508が形成され、かつスリット512に臨む他端は自由端と見做せる。同様に、第2上壁507は、一端が第2側壁503と連なるが、立壁509が形成され、かつスリット512に臨む他端は自由端と見做せる。しかるに、包装容器500の奥において、第1上壁506及び第2上壁507の下面を本発明の支持体である第1剛体形成部510が支える構造となっている。したがって、第1上壁506及び第2上壁507は、図中矢印で示すように上向きに撓むことはできるが、下向きの撓みは規制される。第1上壁506と第1立壁508とで本発明の第1の挟持片を構成し、第2上壁507と第2立壁509とで本発明の第2の挟持片を構成する。なお、スリット512の幅をwとする。
2…保持板、20…基部、21,121…挟持片、22…スリット、
3…支持板、30…基部、31…支持片、32…スリット、
5…アーム、
103…第1の支持板、104…第2の支持板、
300,500…包装容器、301…蓋、302…スリット、
S…イチゴ、st…茎
Claims (3)
- 植物の茎を保持して前記植物を吊り下げる保持部材であって、
隣接して配置され、各々が弾性体から構成される第1の挟持片と第2の挟持片を備え、
前記第1の挟持片と前記第2の挟持片とで前記茎を挟持して、前記植物を吊り下げ、
前記植物が吊り下げられる側を下側とすると、
前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片の下側に支持体を設置し、
前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片は、上側への撓みは許容されるが、下側への撓みが前記支持体により規制される
ことを特徴とする植物の保持部材。 - 植物の茎を保持して前記植物を吊り下げる保持部材であって、
隣接して配置され、各々が弾性体から構成される第1の挟持片と第2の挟持片を備え、
前記第1の挟持片と前記第2の挟持片とで前記茎を挟持して、前記植物を吊り下げ、
前記植物が吊り下げられる側を下側とすると、
前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片の下側に設置される第1の支持体と、
前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片の上側に設置される第2の支持体と、を備え、
前記第1の支持体と前記第2の支持体により、前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片を挟み込むことを特徴とする植物の保持部材。 - 前記第1の挟持片と前記第2の挟持片の間において、前記茎が挿入される手前側から奥側に向けて、
前記第1の挟持片及び前記第2の挟持片により生ずる与圧が大きくなるか、又は、
前記第1の挟持片と前記第2の挟持片の間隔が狭くなる、
請求項2に記載の植物の保持部材。
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