JP5610386B2 - 果実包装容器、この果実包装容器を用いた果実輸送方法、及びこの果実包装容器を用いた果実保管方法 - Google Patents
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Description
イチゴ果実の輸送時の損傷防止を目的として、果底部を下にして窪みに果実を設置する容器が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
また、果実を収容する凹部に果柄などの突起物を貫挿する挿通部を形成した果実用輸送パックが提案されている(特許文献3)。
また、イチゴの果柄をスリットに差し込んで吊すことで輸送や陳列を行う容器が提案されている(特許文献4、特許文献5)。
また、イチゴの果柄を保持するとともに果底部を下方に配置する果実保持部材が提案されている(特許文献6)。
また、特許文献3では、果柄を差し込む挿通部を形成しているが、この挿通部によって果柄などの突起物が他の果実に損傷を与えることを防止するものであり、必ずしも果実の動きを抑制するものではない。
また、特許文献4及び特許文献5では、イチゴを吊すことで果肉が容器に触れないというメリットはあるが、果柄に自重が加わるため、果柄の損傷によってイチゴが落下してしまう可能性が極めて高くなってしまう。
一方、特許文献6では、果柄による果実の動きを抑制し、更には果実硬度が高い果底部で自重を受けるため、損傷を少なくすることができるが、果柄の保持にスリット形状を用いているために、果柄の損傷を受けやすく、果実の動きを抑制しにくい。また、特許文献6の構成では、その製作に複数工程を要してしまい、またスリットの成形が難しく量産化しにくい。
また本発明は、果肉の包装容器への接触を防止して輸送や保管における損傷を少なくすることができる果実包装容器を用いた果実輸送方法、及び果実包装容器を用いた果実保管方法を提供することを目的とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の果実包装容器において、前記蓋体には凹部が形成され、前記容器本体の前記凹部と前記蓋体の前記凹部とによって前記果実の収容空間を形成し、前記容器本体と前記蓋体とがヒンジ部によって連接され、前記容器本体、前記蓋体、及び前記ヒンジ部をプレス加工によって一体成形したことを特徴とする。
請求項3記載の本発明の果実包装容器を用いた果実輸送方法は、請求項1又は請求項2に記載の果実包装容器を用いた果実輸送方法であって、前記果実がイチゴであり、前記果実を収容した状態で輸送することを特徴とする。
請求項4記載の本発明の果実包装容器を用いた果実保管方法は、請求項1又は請求項2に記載の果実包装容器を用いた果実保管方法であって、前記果実がイチゴであり、前記果実を収容した状態で保管することを特徴とする。
また、本発明によれば、イチゴの動きを果柄の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴの自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して輸送や保管における損傷を少なくすることができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による果実包装容器において、蓋体には凹部が形成され、容器本体の凹部と蓋体の凹部とによって果実の収容空間を形成し、容器本体と蓋体とがヒンジ部によって連接され、容器本体、蓋体、及びヒンジ部をプレス加工によって一体成形したものである。本実施の形態によれば、容器本体と蓋体との双方に凹部を形成することで、容器本体だけに凹部を形成する場合と比較して凹部の深さを浅くできるため、プレス加工を容易にでき、容器本体と蓋体とをヒンジ部で連接して一体成形することで、少ない加工工数で包装容器を製作することができる。更に、多くの果実は果肉の中央に果柄があるため、果肉の包装容器への接触を少なくすることができる。
本発明の第3の実施の形態による果実包装容器を用いた果実輸送方法は、第1又は第2の実施の形態による果実包装容器を用いた果実輸送方法において、果実がイチゴであり、果実を収容した状態で輸送するものである。本実施の形態によれば、イチゴの動きを果柄の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴの自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して輸送における損傷を少なくすることができる。
本発明の第4の実施の形態による果実包装容器を用いた果実保管方法は、第1又は第2の実施の形態による果実包装容器を用いた果実保管方法において、果実がイチゴであり、果実を収容した状態で保管するものである。本実施の形態によれば、イチゴの動きを果柄の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴの自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して陳列などの保管における損傷を少なくすることができる。
図1は本実施例による果実包装容器の開状態を示す平面図、図2は同果実包装容器の開状態を示す正面図、図3は同果実包装容器の閉状態を示す平面図、図4は同果実包装容器の閉状態を示す正面図、図5は同果実包装容器の開状態を示す斜視図である。
図に示すように、本実施例による果実包装容器は、凹部11が形成された容器本体10と、容器本体10の開口を覆う蓋体20とを備えている。容器材としては、透明のペット材を用いることが適している。
凹部11は図1に示すように平面視で外形形状が六角形に形成されており、土手12及び本体側フランジ13も六角形に形成され、外壁面12bの角部には外方突起12cが形成されている。これらの外方突起12cによって、容器本体10と蓋体20とが係合して蓋体20の容器本体10からの離脱を防止している。また、本体側フランジ13の一部には、舌部15が形成されている。なお、凹部11、土手12、及び本体側フランジ13は、本体側果柄挟持片14が形成された側の辺を六角形の辺の中で最も長い辺として構成している。
容器本体10と蓋体20とはヒンジ部30によって連接されている。
また本実施例による果実包装容器は、容器本体10の凹部11と蓋体20の凹部21とによって果実の収容空間を形成し、容器本体10と蓋体20とをヒンジ部30によって連接し、容器本体10、蓋体20、及びヒンジ部30をプレス加工によって一体成形したものである。このように本実施例によれば、容器本体10と蓋体20との双方に凹部11、21を形成することで、容器本体10だけに凹部11を形成する場合と比較して凹部11、21の深さを浅くできるため、プレス加工を容易にでき、容器本体10と蓋体20とをヒンジ部30で連接して一体成形することで、少ない加工工数で包装容器を製作することができる。更に、多くの果実は果肉の中央に果柄があるため、果肉の包装容器への接触を少なくすることができる。
また本実施例によれば、本体側果柄挟持片14は本体側フランジ13面よりも高く形成しているので果柄が本体側フランジ13に接触することを防止でき、また蓋体側果柄挟持片24の外方に位置する蓋体側フランジ23には他の箇所よりも低い逃がし部25を形成しているので果柄が蓋体側フランジ23に接触することを防止でき、本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24での果柄の挟持を確実に行うことができる。
図に示すように、イチゴを凹部11、21内に収容した状態では、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによってイチゴ40の果柄41を挟持しており、本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24を下方として陳列する。本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24が形成された側の辺を最も長い辺とする六角形状で構成しているため両側方への安定は保たれ、凹部11、21によって後方に所定の傾きを持って姿勢を保持することができる。
本実施例においても、イチゴを凹部11、21内に収容した状態では、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによってイチゴ40の果柄41を挟持しており、本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24を下方として保管又は輸送する。
図のように、凹部11、21の底面を平坦面とすることで、複数の果実包装容器を、それぞれの凹部11、21の底面を当接させて梱包することができる。
本実施例のように、イチゴ40を収容した状態では本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24を下方として輸送又は保管を行うことで、イチゴ40の動きを果柄41の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴ40の自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して輸送や保管における損傷を少なくすることができる。
図9から図12は、果実収容ステップを示す斜視図である。
まず、図9に示すように、収穫前のイチゴ40を手で触ることなく容器本体10の凹部11内に納める。そして図10及び図11に示すように、蓋体20を閉じる。蓋体20を閉じることにより、果柄41は、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによって挟持される。図11に示すように本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによって果柄41を挟持した状態で、本体側フランジ13及び蓋体側フランジ23よりも外方に位置する果柄41を切断することで図12の状態とすることができる。
以上のように本実施例による果実包装容器を用いることで、果実に触ることなく収容できるため、果肉への収穫時の損傷を防止することもできる。
図13は本実施例による果実包装容器を用いた場合の特性図、図14は比較例による既存の果実包装容器を用いた場合の特性図である。
ここで、比較例による既存の果実包装容器とは、イチゴの販売用に現在用いられている透明のペット部材からなるパック容器内に、イチゴを2段詰めしたものである。
図13及び図14では、貯蔵日数の経過に伴う質量減少率を示したもので、実線は常温で行い、破線は低温で行った。常温条件は、4月中旬から下旬にかけて行い、12.5℃から19.5℃の温度変化があり、平均温度は16.4℃であった。低温条件は4.5℃から14.5℃の温度変化の元で平均温度は5.3℃であった。
一般には質量減少率が5%を越えると商品価値が無くなると言われており、本実施例による果実包装容器の場合には、5%の質量減少率になるのに、常温では7日、低温では12日を経過しても2%程度の質量減少率であった。これに対して比較例による既存の果実包装容器の場合には、5%の質量減少率になるのに、常温では3日、低温では11日であった。
なお、本実施例では、容器本体10と蓋体20とをヒンジ部30によって連接した一体成形のもので説明したが、ヒンジ部30を備えることなく、容器本体10と蓋体20とを別部材で構成してもよい。また、複数の容器本体10を連接部によって接続してもよい。
11 凹部
12 土手
12a 土手面
13 本体側フランジ
14 本体側果柄挟持片
20 蓋体
21 凹部
22 受け部
22a 平面
23 蓋体側フランジ
24 蓋体側果柄挟持片
25 逃がし部
30 ヒンジ部
40 イチゴ
41 果柄
Claims (4)
- 凹部が形成された容器本体と、前記容器本体の開口を覆う蓋体とを備え、
前記容器本体の前記凹部周辺には本体側果柄挟持片が形成され、
前記蓋体には前記本体側果柄挟持片と当接する位置に蓋体側果柄挟持片が形成され、
前記容器本体には、前記容器本体の前記凹部を包囲する土手が形成されるとともに前記土手の外方に本体側フランジが形成され、
前記蓋体には、前記土手に当接する受け部が形成されるとともに前記受け部の外方に蓋体側フランジが形成され、
前記土手の一部を低くして前記本体側果柄挟持片が形成され、
前記受け部の一部を高くして前記蓋体側果柄挟持片が形成され、
前記本体側果柄挟持片は前記本体側フランジ面よりも高く形成し、
前記蓋体側果柄挟持片の外方に位置する蓋体側フランジには他の箇所よりも低い逃がし部を形成し、
果実を前記凹部に配置した状態で、前記本体側果柄挟持片と前記蓋体側果柄挟持片とによって前記果実の果柄を挟持して前記果実の動きを抑制することを特徴とする果実包装容器。 - 前記蓋体には凹部が形成され、
前記容器本体の前記凹部と前記蓋体の前記凹部とによって前記果実の収容空間を形成し、
前記容器本体と前記蓋体とがヒンジ部によって連接され、
前記容器本体、前記蓋体、及び前記ヒンジ部をプレス加工によって一体成形したことを特徴とする請求項1に記載の果実包装容器。 - 請求項1又は請求項2に記載の果実包装容器を用いた果実輸送方法であって、
前記果実がイチゴであり、
前記果実を収容した状態で輸送することを特徴とする果実包装容器を用いた果実輸送方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の果実包装容器を用いた果実保管方法であって、
前記果実がイチゴであり、
前記果実を収容した状態で保管することを特徴とする果実包装容器を用いた果実保管方法。
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