JP5762937B2 - 建物 - Google Patents

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Description

本発明は、住宅等の建物に関する。
住宅等の建物において、北側に配置された部屋には太陽光が届きにくく、日中の明るさや、冬期における日中の温度等の面で、南側に配置された部屋よりも良好な居住環境を形成しにくい。そこで、南側に配置されたバルコニーの床部や建物上階の南側の床部等を、光透過性を有する部材で構成することによって、比較的低い入射角を持った太陽光を、北側に配置された部屋に差し込ませる技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
このような建物の場合、南側に配置された部屋の採光性は極めて良好であることは言うまでもなく、北側に配置された部屋の採光性も向上できるので、建物全体を明るくすることができ、良好な居住環境を形成できる。
特開2010−281093号公報
しかしながら、上述の建物のように、空から降り注ぐ太陽光を直接的に建物内に差し込ませる場合には、例えば隣家との間隔が狭い時に、低層階への採光が困難となる場合がある。すなわち、たとえ南側に配置された部屋であっても、この部屋が低層階であれば太陽光が差し込みにくい場合がある。
そこで、北側に配置された部屋の採光性を向上させつつ、南側に配置された低層階の部屋の採光性も向上させることが可能な技術の開発が望まれていた。
本発明の課題は、太陽光を、北側に配置された部屋と、南側に配置された低層階の部屋の双方に差し込ませ、これら双方の部屋の居住環境を良好にすることが可能な建物を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図4に示すように、上部が開放された中庭32と、前記中庭32の北側に配置される北側部屋33と、前記中庭32の南側に配置される南側部屋34と、を備える建物31において、
前記中庭32は、下部に設けられる床32aと、この床32aの上方に設けられ歩行面を形成する床材32bと、を有しており、
前記北側部屋33は、この北側部屋33の上部の屋根33aと、下部の床33bと、前記中庭32に面する外壁33cと、この外壁33cに設けられる採光窓33dと、を有しており、
前記南側部屋34は、この南側部屋34の上部の屋根34aであり、前記中庭32側が高く前記中庭32と反対側が低い片流れ造りの屋根34aと、下部の床34bと、前記中庭32に面する外壁34cと、この外壁34cに設けられる採光窓34dと、を有しており、
前記北側部屋33の屋根33aの高さ位置は、前記南側部屋34の屋根34aの高さ位置よりも高く設定されており、
前記南側部屋34の床34bの高さ位置は、前記中庭32の床32aの高さ位置よりも低く設定されているとともに、
前記北側部屋33の床33bの高さ位置は、前記中庭32の床32aの高さ位置よりも高く設定され、前記北側部屋33の下方に下階部屋35が設けられており、
前記下階部屋35は、前記北側部屋33の床33bの直下に位置する天井35aと、前記中庭32に面する外壁35bと、この外壁35bに設けられる採光窓35cと、を有しており、
前記北側部屋33の採光窓33dは外壁33cの上部に設けられ、
前記下階部屋35の採光窓35cは外壁35bのうち、前記天井35aよりも低く、前記中庭32の床材32bよりも高い位置に、設けられ、
前記南側部屋34の採光窓34dは外壁34cの下部に設けられており、
前記北側部屋33の外壁33cには、太陽光を前記南側部屋34に向かって反射させる反射手段37が設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記北側部屋33の外壁33cおよび採光窓33dは南向きに設けられ、前記南側部屋34の外壁34cおよび採光窓34dは北向きに設けられることになる。また、前記北側部屋33の屋根33aおよび外壁33cは、前記南側部屋34に対して高い位置に配置され、前記南側部屋34は、前記北側部屋33および中庭32に対して低い位置に配置されることになる。したがって、南の空を通過する太陽の光を、前記南側部屋34の屋根34aに妨げられることなく、前記北側部屋33の採光窓33dから、この北側部屋33の内部に差し込ませることができる。さらに、太陽光は、前記南側部屋34の屋根34aに妨げられることなく、前記北側部屋33の外壁33cまで届きやすくなるので、この外壁33cに反射する太陽光を、前記南側部屋34の採光窓34dから、この南側部屋34の内部に差し込ませることができる。
また、前記南側部屋34の床34bの高さ位置は、前記中庭32の床32aの高さ位置よりも低く設定されているため、前記中庭32に面する前記南側部屋34の外壁34cおよび採光窓34dは、この南側部屋34の中では比較的高い位置に設けられることになる。したがって、前記北側部屋33の外壁33cに反射する太陽光は、前記南側部屋34の、例えば天井付近等の高い位置に差し込むことになるので、前記南側部屋34全体を効果的に明るくすることができる。
これによって、前記北側部屋33の採光性を向上させつつ、前記南側部屋34の採光性も向上させることができるので、日中の明るさや、冬期における日中の室温の面で、これら北側部屋33および南側部屋34の双方の部屋の居住環境を良好にすることが可能となる。
また、前記南側部屋34の屋根34aは片流れ造りとされているので、前記北側部屋33の外壁33cに反射する太陽光を、前記南側部屋34の屋根34aの軒先等に妨げられることなく、前記南側部屋34の内部にスムーズかつ確実に差し込ませることができる。
さらに、前記下階部屋35の外壁35bおよび採光窓35cは、前記北側部屋33の床33bと前記中庭32の床32aとの段差を利用して設けられているので、これら下階部屋35の外壁35bおよび採光窓35cは、この下階部屋35の中では比較的高い位置に設けられることになる。したがって、前記中庭32に差し込む太陽光は、前記下階部屋35の、例えば天井35a付近等の高い位置に差し込むことになるので、前記下階部屋35全体を効果的に明るくすることができる。
加えて、前記北側部屋33の外壁33cには、太陽光を前記南側部屋34に向かって反射させる反射手段37が設けられているので、例えば前記反射手段37を設けない場合に比して、太陽光を、前記南側部屋34の内部に確実かつ、より多く差し込ませることができる。
請求項に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項に記載の建物31において、
前記反射手段37は太陽電池モジュールであることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、前記反射手段37である太陽電池モジュールによって発電しながら、太陽光を反射させて、前記南側部屋34の内部に差し込ませることができるので、利便性が高い。
請求項に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項に記載の建物31において、
前記北側部屋33の外壁33cには、前記反射手段37を介して、シースルー型太陽電池モジュールが設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、前記シースルー型太陽電池モジュールによって発電しながら、このシースルー型太陽電池モジュールを通過する太陽光を前記反射手段37によって反射させて、前記南側部屋34の内部に差し込ませることができるので、利便性が高い。
本発明によれば、北側部屋および下階部屋の外壁、採光窓は南向きに設けられ、南側部屋の外壁および採光窓は北向きに設けられることになる。また、北側部屋の屋根および外壁は、南側部屋よりも高い位置に配置され、南側部屋は、北側部屋および中庭よりも低い位置に配置されることになる。したがって、南の空を通過する太陽の光を、南側部屋の屋根に妨げられることなく、北側部屋および下階部屋の採光窓から、この北側部屋および下階部屋の内部に差し込ませることができる。さらに、太陽光は、南側部屋の屋根に妨げられることなく、北側部屋の外壁まで届きやすくなるので、この外壁に反射する太陽光を、南側部屋の採光窓から、この南側部屋の内部に差し込ませることができる。
また、南側部屋の床の高さ位置は、中庭の床の高さ位置よりも低く設定されているため、南側部屋の外壁および採光窓は、この南側部屋の中では比較的高い位置に設けられることになる。したがって、北側部屋の外壁に反射する太陽光は、南側部屋の、例えば天井付近等の高い位置に差し込むことになるので、南側部屋全体を効果的に明るくすることができる。
これによって、北側部屋および下階部屋の採光性を向上させつつ、南側部屋の採光性も向上させることができるので、日中の明るさや、冬期における日中の室温の面で、これら北側部屋および下階部屋、南側部屋の三つの部屋の居住環境を良好にすることが可能となる。
本発明に係る建物を説明するために建物の参考例を示す縦断面図である。 図1の建物の一階部分を示す平断面図である。 図1の建物の中間階および二階部分を示す平断面図である。 本発明に係る建物の一例を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
お、図1〜図4において、左側は北の方角とされており、右側が南の方角とされている。
参考例
図1〜図3において符号1は、建物を示す。この建物1は、建物1の一階に該当する第一層1aと、この第一層1aよりも半階高い位置に設けられる第二層1bと、この第二層1bよりも半階高い位置に設けられ、建物1の二階に該当する第三層1cとからなる二階建て三層構造のスキップフロア型住宅とされている。また、この建物1の上部には屋根が設けられている。
また、建物1は、第三層1cに、上部が開放された中庭2と、前記中庭2の北側に配置される北側部屋3とを備えており、第二層1bに、前記中庭2の南側に配置される南側部屋4を備えている。
なお、本参考例の建物1は、いわゆる二世帯住宅とされており、第一層1aに、2つの玄関6,14が設けられている。
まず、前記第一層1aの間取りについて説明する。
図2に示すように、前記玄関6は、第一層1aの北側に配置されており、前記玄関14は、第一層1aの南側に配置されている。さらに、これら玄関6,14間には、第一層1aを南北に貫く廊下7が設けられている。
なお、前記玄関6は、建物1に居住する二世帯のうち、子世帯が主に利用する玄関とされており、前記玄関14は、親世帯が主に利用する玄関とされている。
前記玄関6の東側には浴室8が設けられている。また、この浴室8と並んで洗面所9とトイレ10とが設けられている。
前記玄関6の西側には略同様の構成の2つの部屋11,12が並設されている。
また、前記廊下7の中程には、第一層1aと第三層1cとを連絡する階段13が設けられている。この階段13は折返し階段とされている。
前記玄関14の東側には、玄関収納となるクローゼット15が設けられている。また、このクローゼット15の北側にはトイレ16が設けられている。
また、前記玄関14の西側には、収納室17が設けられている。この収納室17は、図1に示すように、第一層1aの床と第二層1bの床4bとの間に設けられており、その天井高は、0.9m〜1.4mに設定されている。
さらに、この収納室17の北側には部屋18が設けられており、これら収納室17と部屋18との間には戸が設けられた出入り口17aが形成されている。
また、前記廊下7の南側端部には、第一層1aと第二層1bとを連絡する階段19が設けられている。この階段19は、段数が少ないため、直階段とされている。
続いて、前記第二層1bおよび第三層1cの間取りについて説明する。
図3に示すように、前記第二層1bには、前記階段19の上った位置に前記南側部屋4が設けられている。この南側部屋4は、親世帯が主に利用し、リビングルームとダイニングルームとキッチンルームの機能を一室に併存させた部屋とされている。
前記第三層1cのうち、前記階段13を上った位置には、ダイニングルーム20が設けられている。また、このダイニングルーム20の北側には、カウンター付き流し台を介してキッチンルーム21が設けられている。また、このダイニングルーム20の東側にはトイレ22が設けられている。
このキッチンルーム21の北側には収納部21aが設けられており、このキッチンルーム21の北側外壁には窓21bが設けられている。
また、ダイニングルーム20およびキッチンルーム21の西側には前記北側部屋3が設けられている。この北側部屋3は、子世帯が主に利用するリビングルームとされている。
また、前記ダイニングルーム20の南側で、前記階段13の脇には廊下23が設けられている。そして、この廊下23と、前記北側部屋3と、前記南側部屋4とによって囲まれた位置に、前記中庭2が設けられている。また、廊下23は、前記中庭2に面する外壁に設けられた窓23aを有する。この窓23aは開閉自在に構成されており、採光だけでなく、通風も可能となっている。
また、前記廊下23の南側には、クローゼット24aを有する部屋24が設けられている。この部屋24は、子世帯が主に利用する部屋であり、前記南側部屋4と隣接していながら、この南側部屋4とは間仕切り壁によって直接的な行き来ができないように仕切られている。
前記第二層1bおよび第三層1cの上部には、前記屋根が設けられている。この屋根は、建物1の北側に設けられる屋根と、南側に設けられる屋根とを組み合わせて形成されている。
北側の屋根は、平面視矩形状に形成され、前記中庭2側が高く、前記中庭2と反対側が低い片流れ造りとされている。また、この北側の屋根は、図1および図3に示すように、前記北側部屋3と、前記ダイニングルーム20と、前記キッチンルーム21の上部に配置されている。
南側の屋根は、平面視略L字状に形成され、前記中庭2側が高く、前記中庭2と反対側が低い片流れ造りとされている。また、この南側の屋根は、前記南側部屋4と、前記階段13と、前記廊下23と、前記部屋24の上部に配置されている。
また、前記北側の屋根の中庭側端部は、前記南側の屋根の中庭側端部よりも高い位置に設けられている。また、前記南側の屋根の中庭側端部は、前記ダイニングルーム20の南側外壁に固定されている。
なお、前記南側の屋根の屋根面には、一面に、太陽電池モジュールが設置されている。
続いて、前記中庭2について説明する。
前記中庭2は、図1および図3に示すように、上部が上空に向かって開放されており、さらに、西側が外部に向かって開放された凹部として形成されている。したがって、第三層1cおよび第二層1bを含む建物1の二階部分は、平面視略凹型に形成されている。
また、この中庭2は、下部に設けられる床2aを有する。床2aは、建物1の第三層1cを構成する床そのものであり、この床2aの上方には、中庭2の歩行面を形成する床材2bが設けられている。なお、この床材2bと前記床2aとの間には隙間が形成されており、この隙間には、図示はしないが、排水システムや、植物を中庭2で栽培するための栽培システム等が設置される。
また、この中庭2の床2aの西側端部には、図3に示すように、手摺り2cが立設されている。
続いて、前記北側部屋3について説明する。
前記北側部屋3は、図1および図3に示すように、この北側部屋3の上部の屋根3aと、下部の床3bと、前記中庭2に面する外壁3cと、この外壁3cに設けられる採光窓3dと、を有する。
前記屋根3aは、前記北側の屋根のうち、特に前記北側部屋3の上部に位置する部位を指している。本参考例において北側の屋根は、上述のように平面視矩形状に形成され、前記中庭2側が高い片流れ造りとされているため、この北側部屋3の上部に設けられる屋根3aも、前記中庭2側が高い片流れ造りとされている。
また、この屋根3aの高さ位置は、後述する南側部屋4の屋根4aの高さ位置よりも高く設定されている。
前記床3bは、建物1の第三層1cを構成する床そのものであり、図1に示すように、前記中庭の床2aと一体に形成されている。
そして、この北側部屋3の床3bの高さと、前記中庭2の床2aの高さとは等しく、面一になるように設定されている。
前記外壁3cは、前記中庭2に面しており、前記床3bから前記屋根3aまでの高さに設定されている。また、この外壁3cは、前記ダイニングルーム20の南側外壁と一体に形成されている。
また、この外壁3cの下部に、前記採光窓3dが設けられている。この採光窓3dとしては、ガラス等の透光性を有する材料が用いられている。また、本参考例の採光窓3dは、開閉自在に構成されており、採光だけでなく、通風も可能となっている。
また、前記北側部屋3は、図1および図3に示すように、天井3eと、天窓3fと、収納部3gと、窓3hと、を有する。
前記天井3eは、前記屋根3a直下に設けられている。
前記天窓3fは、前記屋根3aに形成されており、この屋根3aのうち、前記天井3eが設けられていない部位に配置されている。また、この天窓は、開閉自在に構成されており、採光および通風が可能となっている。
前記収納部3gは、前記北側部屋3の北側に設けられており、この収納部3gの上方に位置する北側外壁に、前記窓3hが設けられている。この窓3hは、開閉自在に構成されており、採光および通風が可能となっている。
なお、この窓3hは、前記採光窓3dと対向するように配置されている。すなわち、この窓3hが設けられる北側部屋3の北側外壁と、前記採光窓3dが設けられる外壁3cとが対向して配置されている。
また、前記外壁3cの上部には、図1に示すように、太陽光を前記南側部屋4に向かって反射させる反射手段5が設けられている。
参考例の反射手段5は、光を反射しやすい性質を有するとともに前記外壁3cの表面を化粧する外壁材とされている。この反射手段5である外壁材は、白色等の光を反射しやすい色や、光沢のある表面加工に設定されており、太陽光を効果的に反射させることができるようになっている。すなわち、このような反射手段5を設けることにより、例えばこの反射手段5を設けない場合に比して、太陽光を、前記南側部屋4の内部に確実かつ、より多く差し込ませることができる。
なお、本参考例の反射手段5は外壁材としたが、これに限られるものではなく、例えば、光を反射しやすい性質を有するとともに前記外壁3cの表面を化粧する外壁塗装材でも良い。
その他、図示はしないが、前記反射手段5を太陽電池モジュールとしてもよい。これによって、太陽電池モジュールによって発電しながら、太陽光を反射させて、前記南側部屋4の内部に差し込ませることができるので、利便性が高い。
また、前記反射手段5として前記外壁材や外壁塗装材のように、外壁3cを形成するための建築材料を用いる場合には、これら外壁材や外壁塗装材等の建築材料からなる反射手段5を介して、シースルー型太陽電池モジュールを、前記外壁3cに設けるようにしてもよい。すなわち、シースルー型太陽電池モジュールの裏側に反射手段5が設けられた状態である。これによって、前記シースルー型太陽電池モジュールによって発電しながら、このシースルー型太陽電池モジュールを通過する太陽光を前記反射手段5によって反射させて、前記南側部屋4の内部に差し込ませることができるので、利便性が高い。
続いて、前記南側部屋4について説明する。
前記南側部屋4は、図1および図3に示すように、この南側部屋4の上部の屋根4aと、下部の床4bと、前記中庭2に面する外壁4cと、この外壁4cに設けられる採光窓4dと、を有する。
前記屋根4aは、前記南側の屋根のうち、特に前記南側部屋4の上部に位置する部位を指している。本参考例において南側の屋根は、上述のように平面視略L字状に形成され、前記中庭2側が高い片流れ造りとされているため、この南側部屋4の上部に設けられる屋根4aも、前記中庭2側が高い片流れ造りとされている。
また、この屋根4aの高さ位置は、前記北側部屋3の屋根3aの高さ位置よりも低く設定されている。
前記床4bは、建物1の第二層1bを構成する床そのものであり、前記第一層1aの床の上方に設けられている。
すなわち、前記第二層1bは、上述のように、前記第一層1aよりも半階高い位置に設けられているため、前記床4bも、前記第一層1aの床よりも半階高い位置に設けられている。より詳細には、この床4bは、前記第一層1aの床よりも、上述の0.9m〜1.4m分高い位置に設けられている。
さらに、前記第三層1cは、上述のように、前記第二層1bよりも半階高い位置に設けられているため、前記床4bも、前記第三層1cの床よりも半階低い位置に設けられている。すなわち、この南側部屋4の床4bの高さ位置は、前記中庭2の床2aおよび前記北側部屋3の床3bよりも低く設定されている。
前記外壁4cは、前記中庭2に面しており、前記第二層1bの床から前記屋根4aまでの高さに設定されている。より詳細には、前記中庭2の床2aの上方に設けられた床材2bの高さ位置から前記屋根4aまでの高さに設定されている。
そして、この外壁4cの略中央に、前記採光窓4dが設けられている。この採光窓4dとしては、ガラス等の透光性を有する材料が用いられている。また、本参考例の採光窓4dは、開閉自在に構成されており、採光だけでなく、通風も可能となっている。
また、前記南側部屋4は、図1に示すように、前記屋根4aの直下に設けられる天井4eと、この南側部屋4の南側外壁に設けられる窓4fと、を有する。前記天井4eは、前記屋根4aの傾斜角度と略等しい傾斜角度に設定されている。また、前記窓4fは、開閉自在に構成されており、採光および通風が可能となっている。
なお、この窓4fは、前記採光窓4dと対向するように配置されている。すなわち、この窓4fが設けられる南側部屋4の南側外壁と、前記採光窓4dが設けられる外壁4cとが対向して配置されている。
次に、以上のような建物1における採光方法等について説明する。
日本では、太陽は、東の方角から昇り、南の空を通過して西へと沈む軌道を描くようにして移動するため、太陽光は南側から直射日光として降り注がれる。また、太陽光としては、このように南側から降り注がれる直射日光だけでなく、天空のあらゆる方向から地上に到達する天空光もある。したがって、建物1には、南側からの直射日光と天空光とを含む太陽光が降り注がれることになる。
参考例においては、図1に示すように、太陽光を、前記北側部屋3の天窓3fや、前記中庭2の上部開放部、北側部屋3の採光窓3d等から建物1内部に差し込ませることができる。
また、建物1に向かって降り注がれる太陽光のうち、前記北側部屋3の外壁3cに当たって反射する太陽光を、前記南側部屋4の採光窓4dから、この南側部屋4の内部に差し込ませることができる。また、この外壁3cには、前記反射手段5が設けられているので、太陽光を、前記南側部屋4の内部に確実かつ、より多く差し込ませることができる。
この時、前記南側部屋4の屋根4aは、前記中庭2側が高い片流れ造りとされているので、前記外壁3cに反射する太陽光を、前記屋根4aの軒先等に妨げられることなく、前記南側部屋4の内部にスムーズかつ確実に差し込ませることができる。
また、前記北側部屋3の外壁3cと、前記南側部屋4の外壁4cとは、双方とも前記中庭2に面するので、互いに対向して配置されることになる。したがって、これら外壁3c,4cに設けられた採光窓3d,4dを開けるとともに、これら採光窓3d,4dと対向配置された関係にある窓3hおよび窓4fを開けることによって、建物1内に空気を取り込んで、前記北側部屋3と南側部屋4との間で通風させることが可能となる。
また、前記北側部屋3の屋根3aに設けられた天窓3fも開けることによって、上方に向かう空気の流れを作ることができる。
このように建物1内に空気を取り込んで通風させることにより、建物1内の換気を促進できるとともに、暖気の排出を行うことができるので、気温が高い日における日中の室温の面で、前記北側部屋3および南側部屋4の双方の部屋の居住環境を良好にすることができる。
参考例によれば、前記北側部屋3の外壁3cおよび採光窓3dは南向きに設けられ、前記南側部屋4の外壁4cおよび採光窓4dは北向きに設けられることになる。また、前記北側部屋3の屋根3aおよび外壁3cは、前記南側部屋4に対して高い位置に配置され、前記南側部屋4は、前記北側部屋3および中庭2に対して低い位置に配置されることになる。したがって、南の空を通過する太陽の光を、前記南側部屋4の屋根4aに妨げられることなく、前記北側部屋3の採光窓3dから、この北側部屋3の内部に差し込ませることができる。さらに、太陽光は、前記南側部屋4の屋根4aに妨げられることなく、前記北側部屋3の外壁3cまで届きやすくなるので、この外壁3cに反射する太陽光を、前記南側部屋4の採光窓4dから、この南側部屋4の内部に差し込ませることができる。
また、前記南側部屋4の床4bの高さ位置は、前記中庭2の床2aの高さ位置よりも低く設定されているため、前記中庭2に面する前記南側部屋4の外壁4cおよび採光窓4dは、この南側部屋4の中では比較的高い位置に設けられることになる。したがって、前記北側部屋3の外壁3cに反射する太陽光は、前記南側部屋4の、例えば天井4e付近等の高い位置に差し込むことになるので、前記南側部屋4全体を効果的に明るくすることができる。
これによって、前記北側部屋3の採光性を向上させつつ、前記南側部屋4の採光性も向上させることができるので、日中の明るさや、冬期における日中の室温の面で、これら北側部屋3および南側部屋4の双方の部屋の居住環境を良好にすることが可能となる。
施の形態>
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図4において符号31は、建物を示す。この建物31は、建物31の一階に該当する第一層31aと、この第一層31aよりも半階高い位置に設けられる第二層31bと、この第二層31bよりも半階高い位置に設けられ、建物31の二階に該当する第三層31cとからなる二階建て三層構造のスキップフロア型住宅とされている。また、この建物31の上部には屋根が設けられている。
また、本実施の形態の建物31は、図4に示すように、上部が開放された中庭32と、前記中庭32の北側に配置される北側部屋33と、前記中庭32の南側に配置される南側部屋34と、前記北側部屋33の下方に設けられる下階部屋35と、前記中庭2の下方に設けられる収納室36と、を備える。
前記建物31の上部の屋根は、北側が高く、南側が低い片流れ造りとされており、中央には、前記中庭32の上部開放部が形成されている。
また、この屋根は、前記中庭32を境にして北側に位置する北側の屋根と、南側に位置する南側の屋根とを有する。
なお、本実施の形態の建物31の屋根の屋根面には、一面に、太陽電池モジュールが設置されている。
前記中庭32は、図4に示すように、上部が上空に向かって開放されている。
また、この中庭32は、下部に設けられる床32aを有する。床32aは、建物31の第二層31bを構成する床そのものであり、この床32aの上方には、中庭32の歩行面を形成する床材32bが設けられている。なお、この床材32bと前記床32aとの間には隙間が形成されている。
前記北側部屋33は、この北側部屋33の上部の屋根33aと、下部の床33bと、前記中庭32に面する外壁33cと、この外壁33cに設けられる採光窓33dと、この北側部屋33の北側外壁に設けられる窓33eと、を有する。
前記屋根33aは、前記北側の屋根のうち、特に前記北側部屋33の上部に位置する部位を指している。この屋根33aの高さ位置は、後述する南側部屋34の屋根34aの高さ位置よりも高く設定されている。
前記床33bは、建物31の第三層31cを構成する床そのものであり、この第三層31cは、前記第二層31bよりも半階高い位置に設けられていることから、図4に示すように、前記中庭の床32aよりも半階高い位置に設けられている。
前記外壁33cは、前記中庭32に面しており、前記床33bから前記屋根33aまでの高さに設定されている。
また、この外壁33cの上部に、前記採光窓33dが設けられている。この採光窓33dとしては、ガラス等の透光性を有する材料が用いられている。また、本実施の形態の採光窓33dは、開閉自在に構成されており、採光だけでなく、通風も可能となっている。
前記窓33eは、開閉自在に構成されており、採光および通風が可能となっている。
なお、この窓33eは、前記採光窓33dと対向するように配置されている。すなわち、この窓33eが設けられる北側部屋33の北側外壁と、前記採光窓33dが設けられる外壁33cとが対向して配置されている。
また、前記外壁33cの下部には、図4に示すように、太陽光を前記南側部屋34に向かって反射させる反射手段37が設けられている。
本実施の形態の反射手段37は、光を反射しやすい性質を有するとともに前記外壁33cの表面を化粧する外壁材とされている。その他、外壁塗装材や太陽電池モジュール等を用いてもよいものとする。さらに、この反射手段37を介して、シースルー型太陽電池モジュールを、前記外壁33cに設けるようにしてもよい。
前記南側部屋34は、この南側部屋34の上部の屋根34aと、下部の床34bと、前記中庭32に面する外壁34cと、この外壁34cに設けられる採光窓34dと、この南側部屋34の南側外壁に設けられる窓34eと、を有する。
前記屋根34aは、前記南側の屋根のうち、特に前記南側部屋34の上部に位置する部位を指している。この屋根34aの高さ位置は、前記北側部屋33の屋根33aの高さ位置よりも低く設定されている。
前記床34bは、建物31の第一層31aを構成する床そのものであり、この第一層31aは、前記第二層31bよりも半階低い位置に設けられるものである。したがって、前記床34bは、図4に示すように、前記中庭の床32aよりも半階低い位置に設けられている。
前記外壁34cは、前記中庭32に面しており、前記第二層31bの床から前記屋根34aまでの高さに設定されている。より詳細には、前記中庭32の床32aの上方に設けられた床材32bの高さ位置から前記屋根34aまでの高さに設定されている。
また、この外壁34cの下部に、前記採光窓34dが設けられている。この採光窓34dとしては、ガラス等の透光性を有する材料が用いられている。また、本実施の形態の採光窓34dは、開閉自在に構成されており、採光だけでなく、通風も可能となっている。
前記窓34eは、開閉自在に構成されており、採光および通風が可能となっている。
なお、この窓34eは、前記採光窓34dと対向するように配置されている。すなわち、この窓34eが設けられる南側部屋34の南側外壁と、前記採光窓34dが設けられる外壁34cとが対向して配置されている。
前記下階部屋35は、前記北側部屋33の床33bの直下に位置する天井35aと、前記中庭32に面する外壁35bと、この外壁35bに設けられる採光窓35cと、この下階部屋35の北側外壁に設けられる窓35dと、を有する。
前記外壁35bは、前記中庭32に面しており、前記第二層31bの床から前記第三層31cまでの高さに設定されている。より詳細には、前記中庭32の床32aの上方に設けられた床材32bの高さ位置から前記北側部屋33の床33bまでの高さに設定されている。
この外壁35bのうち、前記天井35aよりも低く、前記中庭32の床材32bよりも高い位置に、前記採光窓35cが設けられている。この採光窓35cとしては、ガラス等の透光性を有する材料が用いられている。また、本実施の形態の採光窓35cは、開閉自在に構成されており、採光だけでなく、通風も可能となっている。
前記窓35dは、開閉自在に構成されており、採光および通風が可能となっている。
なお、この窓35dは、前記採光窓35cと対向するように配置されている。すなわち、この窓35dが設けられる下階部屋35の北側外壁と、前記採光窓35cが設けられる外壁35bとが対向して配置されている。
前記収納室36は、第一層31aの床と第二層31bの床32aとの間に設けられており、その天井高は、0.9m〜1.4mに設定されている。
さらに、この収納室36の北側には前記下階部屋35が設けられており、南側には前記南側部屋34が設けられている。また、これら収納室36と、前記下階部屋35および南側部屋34との間には、それぞれ、戸が設けられた出入り口36a,36bが形成されている。
次に、以上のような建物31における採光方法等について説明する。
前記建物31において、前記北側部屋33の屋根33aの高さ位置は、前記南側部屋34の屋根34aの高さ位置よりも高く設定されており、前記南側部屋34の床34bの高さ位置は、前記中庭32の床32aの高さ位置よりも低く設定されている。
したがって、本実施の形態においては、図4に示すように、太陽光を、前記中庭32の上部開放部や、前記北側部屋33の採光窓33d等から建物31内部に差し込ませることができる。また、前記下階部屋35の採光窓35cからも、太陽光を建物31内部に差し込ませることができる。
また、建物31に向かって降り注がれる太陽光のうち、前記北側部屋33の外壁33cに当たって反射する太陽光を、前記南側部屋34の採光窓34dから、この南側部屋34の内部に差し込ませることができる。また、この外壁33cには、前記反射手段37が設けられているので、太陽光を、前記南側部屋34の内部に確実かつ、より多く差し込ませることができる。
また、前記北側部屋33の外壁33cに設けられた採光窓33dを開けるとともに、この採光窓33dと対向配置された関係にある窓33eを開けることによって、北側部屋33内に空気を取り込んで通風させることが可能となる。
また、前記南側部屋34の外壁34cに設けられた採光窓34dを開けるとともに、この採光窓34dと対向配置された関係にある窓34eを開けることによって、南側部屋34内に空気を取り込んで通風させることが可能となる。
また、前記下階部屋35の外壁35bに設けられた採光窓35cを開けるとともに、この採光窓35cと対向配置された関係にある窓35dを開けることによって、下階部屋35内に空気を取り込んで通風させることが可能となる。
さらに、前記南側部屋34の窓34eと、前記下階部屋35の窓35dと、前記収納室36の出入り口36a,36bとを開けることによって、建物31の一階全体に空気を取り込んで通風させることが可能となる。
このように建物31内に空気を取り込んで通風させることにより、建物31内の換気を促進できるとともに、暖気の排出を行うことができるので、気温が高い日における日中の室温の面で、前記北側部屋33および南側部屋34の双方の部屋の居住環境を良好にすることができる。
本実施の形態によれば、参考例と同じ効果を得ることができる。さらに、前記下階部屋35の外壁35bおよび採光窓35cは、前記北側部屋33の床33bと前記中庭32の床32aとの段差を利用して設けられているので、これら下階部屋35の外壁35bおよび採光窓35cは、この下階部屋35の中では比較的高い位置に設けられることになる。したがって、前記中庭32に差し込む太陽光は、前記下階部屋35の、例えば天井35a付近等の高い位置に差し込むことになるので、前記下階部屋35全体を効果的に明るくすることができる。
1,31 建物
2,32 中庭
2a,32a 床
3,33 北側部屋
3a,33a 屋根
3b,33b 床
3c,33c 外壁
3d,33d 採光窓
4,34 南側部屋
4a,34a 屋根
4b,34b 床
4c,34c 外壁
4d,34d 採光窓

Claims (3)

  1. 上部が開放された中庭と、前記中庭の北側に配置される北側部屋と、前記中庭の南側に配置される南側部屋と、を備える建物において、
    前記中庭は、下部に設けられる床と、この床の上方に設けられ歩行面を形成する床材と、を有しており、
    前記北側部屋は、この北側部屋の上部の屋根と、下部の床と、前記中庭に面する外壁と、この外壁に設けられる採光窓と、を有しており、
    前記南側部屋は、この南側部屋の上部の屋根であり、前記中庭側が高く前記中庭と反対側が低い片流れ造りの屋根と、下部の床と、前記中庭に面する外壁と、この外壁に設けられる採光窓と、を有しており、
    前記北側部屋の屋根の高さ位置は、前記南側部屋の屋根の高さ位置よりも高く設定されており、
    前記南側部屋の床の高さ位置は、前記中庭の床の高さ位置よりも低く設定されているとともに、
    前記北側部屋の床の高さ位置は、前記中庭の床の高さ位置よりも高く設定され、前記北側部屋の下方に下階部屋が設けられており、
    前記下階部屋は、前記北側部屋の床の直下に位置する天井と、前記中庭に面する外壁と、この外壁に設けられる採光窓と、を有しており、
    前記北側部屋の採光窓は外壁の上部に設けられ、
    前記下階部屋の採光窓は外壁のうち、前記天井よりも低く、前記中庭の床材よりも高い位置に、設けられ、
    前記南側部屋の採光窓は外壁の下部に設けられており、
    前記北側部屋の外壁には、太陽光を前記南側部屋に向かって反射させる反射手段が設けられていることを特徴とする建物。
  2. 請求項に記載の建物において、
    前記反射手段は太陽電池モジュールであることを特徴とする建物。
  3. 請求項に記載の建物において、
    前記北側部屋の外壁には、前記反射手段を介して、シースルー型太陽電池モジュールが設けられていることを特徴とする建物。
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