JP5760524B2 - リチウム二次電池用正極活物質およびリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
特許文献2には、LiaMnbFecMdPO4(Mは、Mg,Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Znの中から選ばれる一種類以上の元素、0<a<2、0<b<0.8、0<d<0.2、b+c+d=1)で表される化合物が開示されており、Mnの一部及び/又はFeの一部を所定の元素で置換することにより、電子伝導性を高くすることができることが記載されている。
特許文献3には、オリビン型正極活物質の一次粒子間に、C、金属等の電子導電性物質を介在させた電極材料が記載されている。
特許文献4には、原料に有機物を混合して焼成することにより、オリビン型化合物の一次粒子内部に炭素からなる導電パスが組み込まれた粒子が記載されている。
さらに好ましくは、前記xが0.6≦x≦0.8であり、前記yが0.1≦y≦0.3であり、前記zが0≦z≦0.2であることを特徴とする。
また、前記zが0でない場合には、好ましくは、前記MがCoであることを特徴とする。
これにより、カーボンによって一次粒子間に広がる導電ネットワークが形成されるので、活物質の導電性をさらに向上させることができる。
図1は本実施形態に係る活物質粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。この活物質粒子の製造方法および特性は実施例1に後述する。図2は従来技術による活物質粒子のTEM写真である。この活物質粒子の製造方法および特性は比較例1に後述する。
従来技術による活物質粒子(図2)には、このような異相の存在は認められなかった。
ここで、Li濃度(wの値)は電池の充放電に伴って増減する。
前記活物質粒子がFeを含有する場合には、yの値は0.05〜0.5の範囲にあることが望ましく、0.1〜0.3の範囲にあることがさらに好ましい。
なお、通常LiMnPO4では、粒子サイズが小さい方が電極特性が優れる傾向がある。これは、導電性が低い活物質の利用率が高くなることで説明できる。しかし、本発明に係る活物質では、偏析相が形成されることによって電極特性が向上するので、従来のものほど粒子径を小さくする必要がない。その結果として、正極活物質粒子(粉末)のハンドリング性が向上するなどの効果が得られる。
水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)(株式会社ナカライテスク、以下同じ)を6.714g及びリン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)(株式会社ナカライテスク、以下同じ)を10.565g量り取り、それぞれ40mLのイオン交換水中に溶解した後に、両溶液を攪拌しながら混合した。この混合溶液に対して窒素ガスバブリング(流量0.5L/min)を約3分間行った。
次に、アスコルビン酸(株式会社ナカライテスク、以下同じ)1.409gを溶解させた80mLのイオン交換水に、金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)(株式会社ナカライテスク、以下同じ)を15.429g及び硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)(株式会社ナカライテスク、以下同じ)を4.448g量り取り、溶解させた。この混合溶液についても、窒素ガスバブリング(流量0.5L/min)を約3分間行った。この溶液を上記LiOH・H2Oと(NH4)2HPO4との混合溶液を撹拌しながら混合することによって、前駆体溶液を得た。前駆体溶液のpHは、本実施例および以下の実施例で8〜11の範囲にあった。
以上の操作は、すべて窒素置換したグローブボックス中で行った。
リン酸リチウム(Li3PO4)(株式会社ナカライテスク、以下同じ)を9.263g量り取り、40mLのイオン交換水中に分散させるとともに、溶存酸素を除去するために窒素ガスバブリング(流量0.5L/min)を約3分間行った。次に、アスコルビン酸1.409gを溶解させた80mLのイオン交換水に、金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を15.429g及び硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を4.448g量り取り、溶解させた。この混合溶液についても、窒素ガスバブリング(流量0.5L/min)を約3分間行った。この混合溶液を上記Li3PO4溶液と混合することにより前駆体溶液を得た。前駆体溶液のpHは、本比較例および以下の比較例(比較例4を除く)で4〜6の範囲にあった。
水熱合成以降は、実施例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.8Fe0.2PO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を13.501g及び硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を6.673g用いた以外は、実施例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.7Fe0.3PO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を13.501g及び硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を6.673g用いた以外は、比較例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.7Fe0.3PO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を13.501g、硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を4.448g及び硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)(株式会社ナカライテスク、以下同じ)を2.249g用いた以外は、実施例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.7Fe0.2Co0.1PO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を13.501g、硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を4.448g及び硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を2.249g用いた以外は、比較例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.7Fe0.2Co0.1PO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を15.043g、硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を4.448g及び硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を0.450g用いた以外は、実施例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.78Fe0.2Co0.02PO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を11.572g、硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を4.448g及び硫酸コバルト七水和物(CoSO4・7H2O)を4.498g用いた以外は、実施例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.6Fe0.2Co0.2PO4)粒子を作製した。
水熱合成を90℃で1時間行った後、170℃まで昇温して、170℃で14時間行った以外は実施例3と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガン鉄リチウム(LiMn0.7Fe0.2Co0.1PO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を19.286gのみを用いた以外は、実施例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)粒子を作製した。
金属源として硫酸マンガン五水和物(MnSO4・5H2O)を19.286gのみを用いた以外は、比較例1と同一の方法および条件を用いて、表面にカーボンを備えたリン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)粒子を作製した。
いくつかの正極活物質について、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)法により、金属元素の平均組成を求めた。
ICP−AES分析用には、水熱合成で得られた化合物粒子にポリビニルアルコールを加えずに焼成して、表面にカーボンを備えない試料を調製した。焼成等の条件は上記実施例・比較例と同じである。
ICP分析は、上記のように調製した試料0.2gを5mol/Lの塩酸水溶液20mL中で30分間煮沸処理したのち、この溶液を水で100mLに希釈し、測定用の溶液を調製した。次に、この溶液を、CID高周波プラズマ発光分光分析装置(日本ジャーレルアッシュ社製、IRIS−AP)を用い、プラズマ出力1150W、ネブライザー流量28.0psi、補助ガス流量0.51L/minの条件下で測定を行った。
結果は、原料の混合量から計算される値と分析誤差の範囲で一致した。
いくつかの正極活物質について、透過電子顕微鏡(TEM)観察を行った。装置は、電界放出型透過電子顕微鏡(FE−TEM、日本電子株式会社製、JEM2100F)を用いた。
また、いくつかの正極活物質について、電子エネルギー損失分光法(EELS)によって、母相および偏析相の組成分析を行った。装置は上記TEMとポストカラム型エネルギーフィルター(Gatan Inc.製、GIF Trideem)を用い、加速電圧200kV、ビーム径1nmの条件で行い、エネルギー分解能は約1.0eV(FWHM)であった。
(1)粒子の中心付近を通る直線上に5nm毎に測定点を設け、EELSによってMn、Fe、Co、それぞれのL3殻のピーク強度およびOのK殻のピーク強度を測定する。
(2)粒子内すべての測定点における各元素のピーク強度(PMn、PFe、PCo、PO)の単純平均を算出し、ICP分析結果から得られた各元素のモル比と一致するようにEELSピーク強度に対する補正係数を算出する。EELSおよびICPによって求めた粒子全体の組成比は一致するはずだからである。
(3)各測定点におけるEELSピーク強度(PMn、PFe、PCo、PO)に上記補正係数をかけることによって偏析相の元素比を算出する。
前記の正極活物質、導電助剤であるアセチレンブラック及び結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を(80:12:8)の質量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを調製した。該正極ペーストを、アルミ端子を取り付けたアルミニウムメッシュ集電体上の両面に塗布し、80℃でNMPを除去した後、塗布部分同士を二重に重ね、塗布部分の投影面積が半分になるように折り曲げ、折り曲げた後の厚みが400μmになるようにプレス加工を行い、正極とした。折り曲げた後の活物質の塗布面積は2.25cm2、塗布質量は0.07gである。正極は150℃で5時間以上の減圧乾燥を行った後に使用した。
上記のようにして作製された評価用電池は、25℃のArボックス環境下において充放電試験を実施した。電圧制御は全て正極電位に対して行った。充電は、電流0.1CmA、電圧4.3Vの定電流定電圧充電とし、充電時間は15時間とした。放電は、電流0.1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。さらに充電後に30分の休止時間を設定した。このときの充電時の電気量を「充電容量」、放電時の電気量を「放電容量」として記録した。
表1に実施例および比較例の一覧を示す。表1において、組成はすべてモル比で示した。「tMe」はMn、Fe、およびCoのすべての金属元素の合計を意味する。偏析相の有無はTEM観察によるものである。偏析相の組成は、EELS測定結果から前述の通り算出したものである。表1の平均組成のFe/tMeがLiwMnxFeyMzPO4のyに対応し、偏析相組成のFe/tMeがβ/(α+β+γ)、偏析相組成のtMe/Oが(α+β+γ)/σにそれぞれ対応している。
Claims (3)
- 平均組成がLiwMnxFeyMzPO4(ここで、MはMg,Ti,V,Cr,Co,Ni,Cu,Znの中から選ばれる1種以上の元素、0<w≦1、0.5≦x≦0.95、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、x+y+z=1)で表される粒子を含有し、
前記平均組成を有する粒子の内部には組成の異なる偏析相を有し、
前記偏析相中のMn,Fe,M,Oのモル比率が、
β/(α+β+γ)−y≧0.05またはγ/(α+β+γ)−z≧0.05であり、かつ(α+β+γ)/σ≧0.25であり(ここで、α,β,γ,σは、それぞれ、偏析相中に存在するMn,Fe,M,Oのモル数)、
前記粒子の内部において前記偏析相が複数点在しているまたは線状に伸びている
ことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。 - 前記MがCoである
ことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。 - 請求項1〜2のいずれか一項に記載の正極活物質を用いたリチウム二次電池。
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