JP5758911B2 - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
ラジアルカーカスを適用したタイヤは、バイアスタイヤに比較してタイヤクラウン部の剛性が高いため、耐偏磨耗性に優れている。また、クラウン部の剛性が高く、タイヤ構成部材間での動きの伝播が抑制されるため、転がり抵抗が小さくなる。このため、燃費がよく、コーナリングパワーも高いという特徴がある。
また、タイヤの幅広化によって、タイヤの接地面積を増加させて、コーナリングパワーを増大させることができる。
近年、環境問題への関心の高まりにより、低燃費性への要求が厳しくなってきている。特に、将来に向けて実用化されつつある電気自動車は、タイヤ車軸回りにタイヤを回転させるトルクを制御するためのモーターなどの駆動部品を収容するスペースの確保が必要となることから、タイヤ回りのスペース確保の重要性は高まりつつある。
その結果、ラジアルタイヤにおいて、タイヤの断面幅Wと外径Lとを適切な比の下に規制することが低燃費性及び居住性の向上に極めて有効であることを見出した。
また、発明者らは、さらに上記の比の下に規制したラジアルタイヤの、タイヤのコーナリングパワー及び、耐磨耗性を向上させるべく鋭意検討を重ねたところ、トレッド踏面の車両装着時外側半部でのトレッド半幅の中点(いわゆる1/4点)付近における、接地面の浮き上がりを抑制することが重要であることを見出した。
発明者らは、接地面の浮き上がりを抑制する手法について究明を重ねたところ、上記の比の規制と共に、トレッド踏面の適切な位置の陸部に、トレッド幅方向に延びて当該陸部内に留まる横溝を設けることによって、ベルトの曲げ変形を抑制することができ、これにより、接地面の浮き上がりを抑え、タイヤのコーナリングパワー及び、耐磨耗性を向上させ得ることを知見した。
(1) 一対のビード部間でトロイダル状に跨る、ラジアル配列コードのプライからなるカーカスとトレッドとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤの断面幅Wと外径Lとの比W/Lが0.24以下であり、
前記トレッドの踏面における、タイヤ赤道面を境界とする少なくとも一方の半部において、トレッド端に隣接し、且つトレッド端とのトレッド幅方向の距離が、トレッド幅TWの25%以上離間した、トレッド周方向に延びるトレッド端側主溝を有し、
前記トレッド端側主溝と前記トレッド端とによって区画されるトレッド端側陸部に隣接する陸部の1つに、車両に装着した際の車両装着外側の前記トレッド端側主溝から車両装着内側に延びて前記隣接陸部内に留まる、少なくとも1本の横溝を有し、
前記トレッドの踏面に、トレッド周方向に延びる主溝を2本又は3本有することを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
B/3≦C≦2B/3
を満たすことを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(6)前記トレッドの踏面の、タイヤ赤道面を境界とする一方の半部にのみ、前記横溝を有する、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(7)前記隣接陸部にのみ、前記横溝を有する、上記(6)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
(8)前記トレッドの踏面の、タイヤ赤道面を境界とする両方の半部における、前記トレッド端側陸部は、リブ状陸部である、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ
まず、発明者は、図1に示すように、ラジアルタイヤの断面幅Wに着目し、この断面幅Wを従前に比し狭くすることによって、図2に示すように、車両スペースの確保が可能であること、特にタイヤの車両装着内側近傍に駆動部品の設置スペースが確保されることを知見した。
さらに、タイヤ断面幅Wを狭くすると、タイヤを前方から見た面積(以下、前方投影面積と称する)が減少するため、車両の空気抵抗値が低減されるという効果がある。
しかしながら、接地部分の変形が大きくなるため、同じ空気圧の場合、タイヤの転がり抵抗値が大きくなるという問題がある。
以下、比W/Lの好適範囲を導出するに至った試験結果について、詳しく説明する。
供試タイヤとして、慣例に従い、図3(a)に示すような、一対(図3(a)では片側のみ)のビードコア1間をトロイダル状に跨り、ラジアルに配列した、カーカス2を備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤを、タイヤサイズを変えて複数試作した。
ここで、図示例のタイヤにおいて、カーカス2は有機繊維で構成され、カーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側には複数の、図示例では2層のベルト層からなるベルト3、トレッド4が順に配置されている。図示例の2層のベルト層は、タイヤ赤道面CLに対して20〜40°の角度で傾斜した、傾斜ベルト層であり、層間でベルトコードが交差する配置となっている。また、ベルト層のタイヤ径方向外側には、タイヤ赤道面CLに沿って延びるコードのゴム引き層からなるベルト補強層5が配置されている。
さらに、トレッド4には、少なくとも1本の、図示例でトレッド全体に3本の、タイヤ周方向に延びる主溝6が設けられている。
なお、タイヤサイズに関しては、JATMA(日本のタイヤ規格)、TRA(アメリカのタイヤ規格)、ETRTO(欧州のタイヤ規格)等の従来の規格に捉われずに、これらの規格外のタイヤサイズも含めて、幅広く検討した。
以上のタイヤ構造を基本として、種々の断面幅及び外径のタイヤを多数試作した。
また、試験の評価基準となる従来タイヤとして、上記の慣例に従う構造を有する、タイヤサイズ175/65R15のタイヤを用意した。このタイヤサイズのタイヤは、最も汎用的な車両で使用され、タイヤ性能を比較するのに最も適している。
ここで、各タイヤの諸元を表1に示す。
<空気抵抗値(Cd値)>
実験室にて、上記各タイヤを排気量1500ccの車両に装着し、100km/hに相当する速度で送風したときの空気力を車輪下にある床置き天秤を用いて測定し、従来タイヤを100とする指数によって評価した。数値が小さいほど空気抵抗は小さい。
<転がり抵抗値(RR値)>
上記各タイヤを規定リムに組み付け、空気圧220kPa、負荷荷重3.5kN、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。
評価結果は、従来タイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
各試験結果を表2と図4に示す。
JOC8モード走行による試験を行った。評価結果は、従来例タイヤの評価結果を100とした指数で表し、指数が大きい方が、燃費が良いことを表している。
<居住性>
1.7m幅車両にタイヤを装着した際のリアトランク幅を計測した。評価結果は、従来例タイヤの評価結果を100とした指数で表し、指数が大きい方が、居住性が良いことを表している。
試験結果を以下の表3に示す。
発明者は、斯くの如くして、乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、比W/Lを0.24以下とすることで、車両の居住性を向上させつつ、車両の空気抵抗値及びタイヤの転がり抵抗値を共に低減して、燃費性を向上させることができることを見出したものである。
試験項目は、図3(a)に示す構造を有する上記供試タイヤ3及び4と従来タイヤに対し、コーナリングパワー及び、耐磨耗性を評価した。各試験の評価方法は、以下の通りである。
<コーナリングパワー>
フラットベルト式コーナリング試験機において、内圧220kPa、荷重3.5kN、速度100km/hで測定を行った。
コーナリングパワーは、従来タイヤにおけるコーナリングパワーを100として指数で評価した。当該指数が大きいほどコーナリングパワーが大きく好ましい。
<耐磨耗性>
上記各タイヤの内圧を220kPaとした。それからタイヤに荷重3.5kNを付与し、80km/hの速度で30000km走行させるドラム試験を行った。
耐磨耗性の評価は、上記ドラム走行後の残溝量を求めることにより行い、従来タイヤにおける耐偏磨耗性を100とした指数で表す。当該指数は小さいほど耐偏磨耗性に優れている。
特に、上記の1/4点付近に周方向溝を設けてあるタイヤは、周方向溝部分の剛性が低下するため、この周方向溝の近傍で上記バックリング現象が生じる。
そして、発明者は、トレッドの車両装着時の車両外側から2番目の陸部に、トレッド幅方向に延び、当該陸部内に留まる幅方向溝を設けることにより、当該陸部の車両装着外側にかかる圧縮応力を分散させ、且つ当該陸部の車両装着内側での引張応力に対する剛性を保ち、これにより、ベルトの変形を抑えて、バックリングを抑制することができることの新規知見を得た。
以下、本発明のタイヤのトレッドパターンについて図面を参照して詳しく説明する。
図5(a)(b)は、それぞれ、図3(a)(b)に示す本発明のタイヤのトレッド踏面を模式的に示したトレッド展開図である。
図5(a)(b)に示すように、本発明のタイヤは、トレッド踏面7における、タイヤ赤道面CLを境界とする半部の少なくとも一方に、1本以上の主溝を有している。
図5(a)に示す例では、トレッド踏面7全体に3本の主溝8a、8b、8cを有しており、図5(b)に示す例では、トレッド踏面7全体に2本の主溝8a、8cを有している。
トレッド踏面に主溝を1本のみ有する場合は、「半部の一方に有する」とは、当該一方の半部に主溝全体があることを意味し、主溝の一部が他方の半部に跨る場合を含まないものとする。
ここで、本発明のタイヤにあっては、トレッド踏面7のトレッド幅方向の少なくとも片側、図5(a)(b)に示す例では両側において、トレッド端TEと、トレッド端TEに隣接する主溝8a、8cとが、トレッド幅方向にトレッド幅TW(mm)の25%以上の距離離間している。すなわち、トレッド端TEと、トレッド端TEに隣接する主溝8a、8cとによって区画されるトレッド端側陸部9のトレッド幅方向の幅をA(mm)とすると、
A/TW≧0.25
という関係を満たしている。
換言すると、トレッド端TEに隣接する主溝は、トレッド端TEからトレッド幅方向にトレッド幅TW(mm)の25%以上の距離離間しており、当該トレッド端TEに最も近い主溝であり、また、溝深さは5mm以上である。
また、トレッド踏面7の片側においてトレッド端TEと隣接するトレッド端側主溝8aを挟んでトレッド端側陸部9に隣接する陸部9a内、すなわち、トレッド踏面7の片側における、トレッド端TE側から2番目の陸部9a内に、トレッド端側主溝8aからトレッド幅方向に延びて陸部9a内に留まる、少なくとも1本の、図示の範囲で2本の横溝10を有する。
ここで、横溝10は、図示例ではトレッド幅方向に対して傾斜していないが、車両装着時の踏み込み側又は蹴り出し側に30°以下の角度で傾斜して延びていても良い。
以下、トレッド幅方向における、横溝10を設けた側が、車両外側となるように本発明のタイヤを車両に装着したときの本発明の作用効果について説明する。
上述のように、最外側主溝8a付近は剛性が低下するため、この最外側主溝8a付近ではコーナリング時に路面からの入力の影響を大きく受けることとなる。
図6(a)に示すように、陸部9aは、車両装着外側では圧縮応力を受け、車両装着内側では引張応力を受けることとなり、これらの応力により、トレッドゴムが変形し、ベルトが変形して、接地面が浮き上がってしまう(図6(a)において斜線つきの丸によって浮き上がる領域を模式的に示している)。
ここで、本発明のタイヤは、図6(b)に示すように、陸部9a内に、最外側主溝8aからトレッド幅方向に延びて陸部9a内に留まる横溝10を有するため、陸部9a内の車両装着外側においては、圧縮応力により横溝10が閉じる構造となるため、図6(a)のように横溝10を設けない場合や、図6(c)のように横溝が車両装着外側まで延びていない場合と比べて、圧縮応力によるトレッドやベルトの変形が抑制される。
さらに、図6(b)に示すように、本発明のタイヤは、横溝10が陸部9a内に留まるため、図6(c)(d)のように車両装着内側まで横溝が延在している場合と比較して、車両装着内側での引張応力に対する剛性が高くなり、これによりトレッドやベルトの変形が抑制される。
なお、本発明のタイヤは、トレッドの少なくとも一方の半部において、A/TW≧0.25という関係を満たすため、当該関係を満たす側を車両外側となるように車両に装着して、車両装着時の最も車両外側にある陸部の面積を増大させ、コーナリングパワーを発揮するのに適している。また、剛性が高すぎると変位に対する剪断力が過度に大きくなり、静摩擦力を超えるためすべりが発生し、結果としてコーナリングパワーを発揮できないため、A/TW≦0.4を満たすことが好ましい。
このように本発明のタイヤは、コーナリングの際の横力発生時のトレッド及びベルトの面内曲げ変形が抑制されるため、接地面の浮き上がりが抑制され、これにより、コーナリングパワー及び、耐磨耗性が向上する。
ここで、横溝10は、トレッド幅方向半部の一方のみに有していれば良く、横溝10を有する方の半部をタイヤ装着時外側となるようにタイヤに装着することにより上記の効果が得られる。
なぜなら、間隔をE/4(mm)以上とすることにより、陸部9aの剛性が確保でき、よりコーナリングパワー及び、耐磨耗性が向上するからである。
また、トレッド端側陸部9に隣接する陸部9aにおいては、該隣接陸部9aを周方向に分断する分断溝を有しないことが好ましい。すなわち、陸部9aはブロックパターンでないことが好ましい。剛性を確保することができるからである。
なお、横溝10がトレッド幅方向に対し傾斜している場合は、横溝間の間隔は、横溝10と車両装着最外側主溝8aとの交点間の距離で定義する。
また、トレッド周方向での剛性差をなるべく低減させるために、横溝10はトレッド周方向に等間隔で配置することが好ましい。
また、上記周方向間隔は、陸部9aに、分断溝及びサイプが設けられている場合には、それらがないとしたときの間隔をいうものとする。
さらに、上記周方向間隔は、E/2以下であることが好ましい。接地タイミングによらず接地領域内に少なくとも一つ横溝10が存在しなければ効果がないからである。
なお、上記周方向間隔は、トレッド周方向に変化してもよく、この場合、E/4以上E/2以下の範囲で変化することが好ましい。
ここで、接地長とは、タイヤと路面との接地面において、周方向長さが最大となるタイヤ中心線上における長さをいう。なお、「接地面」とは、タイヤをリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される内圧を充填し、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷した際に、タイヤと路面が接することとなる面をいう。
上記の「装着する車両毎に規定される最大負荷」とは、最大乗員数を想定した時に、4輪の中で最も荷重のかかるタイヤへの負荷荷重を意味する。
B/3≦C≦2B/3
を満たすことが好ましい。
なぜなら、B/3以上の長さを確保することにより、上述の圧縮応力を横溝が閉じる変形によって十分に吸収することができ、トレッド及びベルトの曲げ変形をより抑制することができるからであり、一方で長さを2B/3以下とすることにより、上述の引張応力に対する剛性を十分確保することができ、トレッド及びベルトの曲げ変形をより抑制することができるからである。
なお、C(mm)は、横溝10がトレッド幅方向に対し傾斜している場合は、横溝10をトレッド幅方向に平行な線に投影したときの長さで定義する。
また、B(mm)は、トレッド端側主溝と、該トレッド端側主溝にタイヤ幅方向内側に隣接して配置される主溝との幅方向距離であるが、図3(b)、図5(b)に示すように、溝がトレッド半部に1本(全体で2本)しか配置されていない場合は、一方のトレッド半部のトレッド端側主溝と、他方のトレッド半部のトレッド端側主溝とのトレッド幅方向の距離をいうものとする。
また、横溝10の溝深さは、最大深さを4mm以上とし、また、主溝の溝深さ以下とすることが好ましい。なぜなら、4mm以上とすることで、周方向剛性をやわらげてバックリングを抑制することができるからであり、一方で主溝の溝深さ以下とすることで、ブロックの周方向剛性を確保してコーナリングパワーを発揮させることができるからである。
なお、主溝8a、8b、8c及び横溝10の溝幅は、トレッドパターンのネガティブ率を考慮して決定することができる。
ここで、横溝10の溝幅は、横溝10の延在方向に変化しても良く、また、横溝10の溝深さは、横溝10の延在方向に変化しても良い。
これにより、補助溝11と補助溝11に隣接する主溝8aとによって区画される副陸部12が主に、横力発生時に路面からの浮き上がりの力を受けやすくなり、他の陸部の接地性が改善し、コーナリングパワー及び、耐磨耗性がより向上する。
図8(a)(b)に示すように、トレッド端TEと補助溝11とによって区画される陸部13の側壁13aは、溝の深さ方向に向かって、トレッド幅方向内側に広がる形状であることが好ましい。
これにより、図8(c)のように、側壁が溝深さ方向にまっすぐ延びる場合と比較して、車両装着時最外側陸部の剛性が高まり、コーナリングパワーがより向上するからである。
なお、補助溝11の溝幅は、トレッドパターンのネガティブ率を所望の値とするために、主溝8a、8b、8c及び横溝10の溝幅との兼ね合いで適宜設定することができる。
これにより、浮き上がりの力を受けて浮き上がる副陸部がトレッド周方向に分断されるため、副陸部の一部のみが路面から浮き上がり、他の副陸部の接地性が改善して、コーナリングパワー及び、耐磨耗性がより向上することとなる。
なお、幅方向溝14の溝幅は、トレッドパターンのネガティブ率を所望の値とするために、主溝8a、8b、8c及び横溝10の溝幅との兼ね合いで適宜設定することができる。
なぜなら、間隔をE/4(mm)以上とすることにより、副陸部の周方向のブロック剛性を確保してコーナリングパワーを確保することができるからである。
さらに、幅方向溝14は、トレッド周方向の剛性差が大きくならないように、トレッド周方向に等間隔で設けることが好ましい。
一方、上記間隔は、E/2以下であることが好ましい。接地タイミングによらず接地領域内に少なくとも一つ横溝10が存在しなければ効果がないからである。
D/3≦G≦2D/3
の範囲とすることが好ましい。
なぜなら、D/3以上又は2D/3以下とすることで、横溝10と周方向の間隔を大きく取って、十分にパターンノイズの低減効果を得ることができるからである。
各タイヤの諸元を表5、表6に示し、評価結果を表7、表8に示す。
ここで、表5、表6の「N/A」とは供試タイヤ3、4には補助溝がないため、規定できないことを示すものである。
なお、タイヤ重量は、タイヤの重量を計測し、表7においては、供試タイヤ4の重量を100としたときの指数で表し、数値が小さい方が、重量が小さいことを示している。また、表8においては、供試タイヤ34の重量を100としたときの指数で表し、数値が小さい方が、重量が小さいことを示している。
他の性能の評価方法は上述の通りであり、コーナリングパワー、耐磨耗性及び、燃費性は、表7においては、供試タイヤ4を100としたときの指数で表し、いずれも値が大きい方が優れている。また、表8においては、供試タイヤ34を100としたときの指数で表し、数値が大きい方が性能に優れている。
ここで、各供試タイヤは、表5においては、3本の主溝のうち中央の主溝の溝幅が4.5mm、中央主溝の両側の2本の主溝の溝幅が6.2mm、溝深さが7mmで共通である。また、表6においては、2本の主溝は、溝幅が6.2mm、溝深さが7mmで共通である。
また、車両装着外側から2番目の陸部に横溝を設けたタイヤについては、当該横溝は、溝幅が10mm、溝深さ5.5mmで共通である。
さらに、補助溝を有する供試タイヤは、補助溝の溝深さが2mmで共通である。
さらにまた、副陸部に幅方向溝を設けている供試タイヤについては、当該幅方向溝の溝幅が2mm、溝深さが2mmで共通である。
なお、主溝及び補助溝はトレッド周方向に延び、トレッド端側陸部に隣接する陸部に設けた横溝及び、副陸部に設けた幅方向溝はトレッド幅方向に傾斜せずに延びている。
また、表1における「横溝間隔」とは、車両装着外側から2番目の陸部に設けた横溝の間のトレッド周方向での間隔を意味する。
タイヤサイズ155/70R17のタイヤのトレッド幅TWは102mm、タイヤサイズ155/55R19のタイヤのトレッド幅TWは110mmである。
また、供試タイヤ17と供試タイヤ20との比較及び、供試タイヤ24と供試タイヤ27との比較により、A/TWの値が本発明の条件を満たしていない、供試タイヤ20、供試タイヤ27は、コーナリングパワー、耐磨耗性の少なくともいずれかが、それぞれ供試タイヤ4、供試タイヤ3より低下していることがわかる。
さらに、供試タイヤ17と供試タイヤ18との比較及び、供試タイヤ24と供試タイヤ25との比較により、補助溝を有する供試タイヤ18、25は、それぞれ供試タイヤ17、24よりコーナリングパワー及び耐磨耗性に優れ、タイヤ重量が低減され、燃費性が向上していることがわかる。
さらにまた、供試タイヤ18と供試タイヤ19との比較及び、供試タイヤ25と供試タイヤ26との比較により、幅方向溝を有する供試タイヤ19、26は、それぞれ、供試タイヤ18、25よりコーナリングパワー及び耐磨耗性に優れ、タイヤ重量が低減され、燃費性が向上していることがわかる。
加えて、供試タイヤ17と供試タイヤ21〜23との比較及び、供試タイヤ24と供試タイヤ28〜30との比較により、横溝間隔やC/Bの値を好適化した供試タイヤ17、24は、それぞれ供試タイヤ21〜23、28〜30よりコーナリングパワー、耐磨耗性に優れていることがわかる。
また、表8により、主溝が2本のパターンについても同様の評価結果であることがわかる。
2 カーカス
3 ベルト
4 トレッド
5 ベルト補強層
6、8a、8b、8c 主溝
7 トレッド踏面
9 トレッド端側陸部
10 横溝
11 補助溝
12 副陸部
13 陸部
14 幅方向溝
W タイヤ断面幅
L タイヤ外径
TE トレッド端
TW トレッド幅
CL タイヤ赤道面
Claims (8)
- 一対のビード部間でトロイダル状に跨る、ラジアル配列コードのプライからなるカーカスとトレッドとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤの断面幅Wと外径Lとの比W/Lが0.24以下であり、
前記トレッドの踏面における、タイヤ赤道面を境界とする少なくとも一方の半部において、トレッド端に隣接し、且つトレッド端とのトレッド幅方向の距離が、トレッド幅TWの25%以上離間した、トレッド周方向に延びるトレッド端側主溝を有し、
前記トレッド端側主溝と前記トレッド端とによって区画されるトレッド端側陸部に隣接する陸部の1つに、車両に装着した際の車両装着外側の前記トレッド端側主溝から車両装着内側に延びて前記隣接陸部内に留まる、少なくとも1本の横溝を有し、
前記トレッドの踏面に、トレッド周方向に延びる主溝を2本又は3本有することを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記横溝は、タイヤの接地長をE(mm)とするとき、トレッド周方向にE/4(mm)以上の間隔を置いて複数配置してあることを特徴とする、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記横溝を有する半部における、前記隣接陸部のトレッド幅方向の幅をB(mm)とするとき、前記横溝がトレッド幅方向に延在する長さC(mm)は、
B/3≦C≦2B/3
を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記横溝を有する半部における、前記トレッド端側陸部内に、トレッド周方向に延びる補助溝を有することを特徴とする、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記トレッド端側主溝と前記補助溝とによって区画される副陸部に、トレッド幅方向に延びて、前記補助溝と、前記トレッド端側主溝と、を連通する少なくとも1本の幅方向溝をトレッド周方向に間隔を置いて設けてあることを特徴とする、請求項4に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記トレッドの踏面の、タイヤ赤道面を境界とする一方の半部にのみ、前記横溝を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記隣接陸部にのみ、前記横溝を有する、請求項6に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記トレッドの踏面の、タイヤ赤道面を境界とする両方の半部における、前記トレッド端側陸部は、リブ状陸部である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
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