JP4434239B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、一般的な乗用車に装着されるタイヤとして好適な空気入りタイヤに関するものである。
従来の空気入りタイヤでは、雨などで濡れた路面での走行安定性を確保するため、排水性の向上が重要な要素となることから、一般的にタイヤ周方向に沿って形成されたストレート主溝を形成することにより、排水性の向上を図っている。しかし、このストレート主溝は、気柱共鳴騒音の抑制が困難であるため、騒音の低減を図ることが困難なものとなっていた。そこで、従来の空気入りタイヤでは、形状の異なる主溝を複数設けることにより、排水性と静粛性の性能を両立させているものがある。
例えば、下記特許文献1に記載された空気入れタイヤでは、ストレート主溝をタイヤ幅方向の中央に配置し、このストレート主溝におけるタイヤ幅方向の両側に複数の弧状溝がタイヤ周方向に連続的に繰り返すように形成された弧状湾曲主溝を配置し、この弧状湾曲主溝におけるタイヤ幅方向の外側に溝幅の狭い補助溝を配置し、更に、この補助溝を斜めに横切るように複数の傾斜溝を配置している。従って、排水性を確保しつつ、騒音性能を向上することができる。
特開2004−168142号公報
ところが、上述した特許文献1に記載された従来の空気入りタイヤにあっては、タイヤ周方向に沿ってストレート主溝と弧状湾曲主溝と補助溝を配置すると共に、補助溝を斜めに横切る複数の傾斜溝を配置することで、排水性と騒音性能を向上することができる。ところが、この場合、複数の傾斜溝を配置することで高い排水性を確保することができるものの、弧状湾曲主溝や補助溝で発生する気柱共鳴騒音が高周波ロードノイズとして複数の傾斜溝から外側に伝達され、騒音が発生しやすい。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、高い排水性を維持することで走行安定性を向上すると共に騒音の発生を抑制することで静粛性を向上する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1の発明の空気入りタイヤは、トレッド面における赤道線の両側にタイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝が設けられた空気入りタイヤにおいて、前記複数の主溝のうち、タイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する主溝と、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する主溝とが赤道線に対してタイヤ幅方向で対称位置に設けられ、一端部がタイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する前記主溝に連通して他端部がタイヤ接地端に連通しない第1ラグ溝がタイヤ周方向に所定間隔で複数設けられると共に、一端部がタイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する前記主溝に連通せずに他端部がタイヤ接地端に連通する第2ラグ溝がタイヤ周方向に所定間隔で複数設け、前記タイヤ幅方向における最も外側に位置する主溝とタイヤ接地端とが連通していないことを特徴とするものである。
請求項2の発明の空気入りタイヤでは、前記第1ラグ溝の他端部からタイヤ幅方向における一方側のタイヤ接地端までの長さをL1とし、タイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する前記主溝からタイヤ接地端までの長さをLW1とするとき、
0.1<L1/LW1<0.6
の条件を満たすことを特徴としている。
請求項3の発明の空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する前記主溝から前記第2ラグ溝の一端部までの長さをL2とし、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する前記主溝からタイヤ接地端までの長さをLW2とするとき、
0.1<L2/LW2<0.6
の条件を満たすことを特徴としている。
請求項4の発明の空気入りタイヤでは、タイヤ接地幅をTWとし、赤道面からタイヤ幅方向における両側の最も外側に位置する前記主溝の外側側壁までの長さをL0とするとき、
0.3(TW/2)<L0<0.6(TW/2)
の条件を満たすことを特徴としている。
請求項5の発明の空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向における両側の最も外側に位置する前記主溝の幅は、5mm以上で20mm以下に設定され、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝の幅は、1.5mm以上で8.0mm以下に設定されることを特徴としている。
請求項6の発明の空気入りタイヤでは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ周方向に沿ってそれぞれ45本から90本の範囲で設けられることを特徴としている。
請求項7の発明の空気入りタイヤでは、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ幅方向の長さが異なる複数種類のラグ溝を有し、タイヤ幅方向の長さが異なる複数種類のラグ溝がタイヤ周方向に交互に設けられることを特徴としている。
請求項8の発明の空気入りタイヤでは、車両外側に前記第1ラグ溝が設けられ、車両内側に前記第2ラグ溝が設けられることを特徴としている。
請求項1の発明の空気入りタイヤによれば、トレッド面における赤道線の両側に複数の主溝を設け、この複数の主溝のうち、タイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する主溝と他方側の最も外側に位置する主溝とを赤道線に対して対称位置に設け、一端部がタイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する主溝に連通して他端部がタイヤ接地端に連通しない第1ラグ溝をタイヤ周方向に所定間隔で複数設けると共に、一端部がタイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する主溝に連通せずに他端部がタイヤ接地端に連通する第2ラグ溝をタイヤ周方向に所定間隔で複数設け、タイヤ幅方向における最も外側に位置する主溝とタイヤ接地端とを連通させないようにしている。
従って、主溝と第1、第2ラグ溝を設けることで、高い排水性を維持して走行安定性を向上することができると共に、タイヤ幅方向における一方側で、主溝の外側にある第1ラグ溝がタイヤ接地端に連通していないことから、気中共鳴の周波数が変動してレベルが下がると共に、主溝で発生した気柱共鳴騒音が高周波ロードノイズとして複数のラグ溝から外側に伝達されるのが抑制され、騒音の発生を抑制することで静粛性を向上することができる。
請求項2の発明の空気入りタイヤによれば、第1ラグ溝の他端部からタイヤ幅方向における一方側のタイヤ接地端までの長さL1と、タイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する主溝からタイヤ接地端までの長さLW1との関係を、
0.1<L1/LW1<0.6
とするので、第1ラグ溝の長さを適正値とすることで、排水性と静粛性の両立を可能とすることができる。
請求項3の発明の空気入りタイヤによれば、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する主溝から第2ラグ溝の一端部までの長さL2と、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する主溝からタイヤ接地端までの長さLW2との関係を、
0.1<L2/LW2<0.6
とするので、第2ラグ溝の長さを適正値とすることで、排水性と静粛性の両立を可能とすることができる。
請求項4の発明の空気入りタイヤによれば、タイヤ接地幅をTWと、赤道面からタイヤ幅方向における両側の最も外側に位置する主溝の外側側壁までの長さL0との関係を、
0.3(TW/2)<L0<0.6(TW/2)
とするので、主溝を赤道線側に近づいた位置に設けることとなり、排水性を向上することができる。
請求項5の発明の空気入りタイヤによれば、主溝の幅を5mm以上で20mm以下に設定し、第1ラグ溝及び第2ラグ溝の幅を1.5mm以上で8.0mm以下に設定するので、主溝の幅と第2ラグ溝の幅を適正値とすることで、排水性と静粛性の両立を可能とすることができる。
請求項6の発明の空気入りタイヤによれば、第1ラグ溝及び第2ラグ溝をタイヤ周方向に沿ってそれぞれ45本から90本の範囲で設けるので、各ラグ溝のピッチを適正値とすることで、静粛性を向上することができると共に、ブロック剛性の低下を抑制して耐久性を向上することができる。この場合、第1ラグ溝及び第2ラグ溝が所定本数より少ないときには、ブロック剛性が高すぎてパターンノイズが悪化するおそれがあり、第1ラグ溝及び第2ラグ溝が所定本数より多いときには、ブロック剛性が低すぎて操縦安定性が悪化するおそれがある。
請求項7の発明の空気入りタイヤによれば、第1ラグ溝及び第2ラグ溝として、タイヤ幅方向の長さが異なる複数種類のラグ溝を設け、タイヤ幅方向の長さが異なる複数種類のラグ溝をタイヤ周方向に交互に設けるので、第1ラグ溝及び第2ラグ溝で発生するパターンノイズの周波数が複数発生することとなり、互いに打ち消しあってレベルを下げることができる。
請求項8の発明の空気入りタイヤによれば、車両外側に第1ラグ溝を設け、車両内側に第2ラグ溝を設けるので、車両外側に位置する第2ラグ溝がタイヤ接地端に連通しておらず、空気中を伝達する高周波領域にあるロードノイズの発生を抑制することができる。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この説明により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明に係る空気入りタイヤを表すトレッド部の平面図、図2は、本発明の空気入りタイヤを表す概略断面図である。
なお、以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向であり、タイヤ幅方向内方とは、タイヤ幅方向において赤道面(赤道線)に向かう方向であり、タイヤ幅方向外方とは、タイヤ幅方向において赤道面(赤道線)に向かう方向の反対方向である。また、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤの回転軸と直交する方向であり、タイヤ周方向とは、空気入りタイヤの回転軸を回転の中心として回転する方向である。更に、車両内側とは、空気入りタイヤを正規リムにリム組みして車体に装着したとき、この車体の内側に位置する方向であり、車両外側とは、このとき、車体の外側に位置する方向である。
本発明において、図1及び図2に示すように、この空気入りタイヤ11は、トレッド部とその両側に連続するショルダー部とサイドウォール部とビード部から構成されている。そして、このトレッド部は、タイヤ径方向の最も外側に形成されており、このトレッド部の表面、即ち、この空気入りタイヤ11を装着する車両(図示省略)が走行した場合に、路面と接触する面がトレッド面12として形成されている。そして、このトレッド面12には、赤道線O1に対して、タイヤ幅方向外側の所定位置に左右一対の接地端13,14が設定されており、接地端13の間隔が接地幅TWとして設定されている。本発明の説明では、図1及び図2にて、左側が車両外側であり、右側が車両内側となっている。
ここで、接地幅TWとは、空気入りタイヤ11を正規リムにリム組みし、且つ、正規内圧を充填するとともに正規荷重をかけたときに、この空気入りタイヤ11が路面と接地するときのタイヤ幅方向の幅である。ここで、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
空気入りタイヤ11は、トレッド面12には、赤道線O1の両側に位置して、タイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝21,22,23,24が設けられている。第1主溝21及び第2主溝22は、赤道線O1に対してタイヤ幅方向でほぼ対称位置に設けられ、この赤道線O1と平行なストレート主溝となっている。また、第3主溝23及び第4主溝24は、この第1主溝21及び第2主溝22よりタイヤ幅方向の外側に位置しており、赤道線O1に対してタイヤ幅方向でほぼ対称位置に設けられ、この赤道線O1と平行なストレート主溝となっている。
そして、第2主溝22におけるタイヤ幅方向内方側に、複数の突起溝25がタイヤ周方向に所定間隔で設けられている。また、第1主溝21におけるタイヤ幅方向外方側に、複数の傾斜溝27がタイヤ周方向に所定間隔で設けられている。更に、第4主溝24におけるタイヤ幅方向内方側に、複数の傾斜溝26がタイヤ周方向に所定間隔で設けられている。この場合、第1主溝21に連通する傾斜溝27と、第4主溝24に連通する傾斜溝26は、その傾斜方向が同方向であり、第2主溝22に連通する突起溝25と、傾斜溝26,27とは、その傾斜方向が逆方向である。
この場合、第3主溝23が、空気入りタイヤ11のタイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する主溝となっており、第4主溝24が、空気入りタイヤ11のタイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する主溝となっている。そして、赤道線O1からタイヤ幅方向における両方の接地端13までの長さが等しく、その長さをTW/2とするとき、この第3主溝23及び第4主溝24の位置、つまり、赤道面O1から第3主溝23及び第4主溝24の外側側壁23a,24aまでの長さL01,L02(L0)は、下記に表す条件を満たす位置となっている。
0.3(TW/2)<L01<0.6(TW/2)
0.3(TW/2)<L02<0.6(TW/2)
なお、好ましくは、下記に表す条件を満たす位置とするとよい。
0.33(TW/2)<L01<0.55(TW/2)
0.33(TW/2)<L02<0.55(TW/2)
従って、第3主溝23及び第4主溝24を赤道線O1側に近づいた位置に設けることとなり、中周波ロードノイズ(200Hz〜300Hz)を低減することができると共に、排水性を向上することができる。
また、本発明では、第3主溝23及び第4主溝24の幅を5mm以上で20mm以下に設定し、第1ラグ溝31,32及び第2ラグ溝33,34の幅を1.5mm以上で8.0mm以下に、更には、1.8mm以上で4.0mmに設定することが好ましい。従って、各主溝23,24の幅と各ラグ溝31,32,33,34の幅を適正値とすることで、排水性と静粛性の両立を可能とすることができる。
なお、本発明では、トレッド面12における赤道線O1の両側にタイヤ周方向に沿って延びるそれぞれ2つの主溝21,22,23,24を設けており、第3主溝23及び第4主溝24が、空気入りタイヤ11のタイヤ幅方向の最も外側に位置する主溝となっている。この場合、主溝の数は、片側2つに限らず、1つまたは3つ以上設けてもよいものである。
赤道線O1に対してタイヤ幅方向における一方側(図1にて、左方側)にて、第3主溝23とタイヤ接地端13との間に、タイヤ幅方向に沿って延びる第1ラグ溝31,32がタイヤ周方向に所定の間隔で複数設けられている。この場合、第1ラグ溝31と32は、タイヤ幅方向の長さが異なっており、タイヤ周方向に交互に設けられている。一方、赤道線O1に対してタイヤ幅方向における他方側(図1にて、右方側)にて、第4主溝24とタイヤ接地端14との間に、タイヤ幅方向に沿って延びる第2ラグ溝33,34がタイヤ周方向に所定の間隔で複数設けられている。この場合、第2ラグ溝33と34は、タイヤ幅方向の長さが異なっており、タイヤ周方向に交互に設けられている。
そして、第1ラグ溝31,32は、一端部31a,32aがタイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する第3主溝23に連通し、他端部31b,32bがタイヤ接地端13に連通せず、タイヤ幅方向に沿って延びると共にタイヤ周方向に湾曲した形状となっている。一方、第2ラグ溝33,34は、一端部33a,34aがタイヤ幅方向における他方の最も外側に位置する第4主溝24に連通せず、他端部33b,34bがタイヤ接地端14に連通し、タイヤ幅方向に沿って延びると共にタイヤ周方向に湾曲した形状となっている。この場合、車両外側(図1にて左側)と車両内側(図1にて右側)とで、第1ラグ溝31,32と第2ラグ溝33,34の湾曲方向が逆方向となっている。
従って、各主溝23、24とそのタイヤ幅方向の外側にそれぞれラグ溝31,32,33,34を設けることで、高い排水性を維持して走行安定性を向上することができると共に、タイヤ幅方向における一方側で、第3主溝23の外側にある第1ラグ溝31,32がタイヤ接地端13に連通していないことから、第3主溝23で発生した気柱共鳴騒音が高周波ロードノイズ(800Hz〜1kHz)として複数のラグ溝31,32から外側に伝達されるのが抑制され、騒音の発生を抑制することで静粛性を向上することができる。
具体的には、第1ラグ溝31,32の他端部31b,32bからタイヤ接地端13までの長さをL1とすると共に、第3主溝23の外側側壁23aからタイヤ接地端13までの長さをLW1とし、第4主溝24の外側側壁24aから第2ラグ溝33,34の一端部33a,34aまでの長さをL2とすると共に、第4主溝24の外側側壁24aからタイヤ接地端14までの長さをLW2とするとき、第1ラグ溝31,32と第2ラグ溝33,34の位置は、下記に表す条件を満たす位置となっている。
0.1<L1/LW1<0.6
0.1<L2/LW2<0.6
なお、好ましくは、下記に表す条件を満たす位置となっている。
0.3<L1/LW1<0.5
0.2<L2/LW2<0.5
従って、第1ラグ溝31,32及び第2ラグ溝33,34の長さを適正値とすることで、排水性と静粛性の両立を可能とすることができる。この場合、第1ラグ溝31,32からタイヤ接地端13までの長さL1が短いと、摩耗時に第1ラグ溝31,32がタイヤ接地端13に貫通してしまい、静粛性が悪化してしまう。一方、第1ラグ溝31,32からタイヤ接地端13までの長さL1が長いと、排水性が低下してしまう。また、第4主溝24から第2ラグ溝33,34までの長さL2が短いと、摩耗時に第2ラグ溝33,34が第4主溝24に貫通してしまい、静粛性が悪化してしまう。一方、第4主溝24から第2ラグ溝33,34までの長さL2が長いと、排水性が低下してしまう。
また、本発明では、第1ラグ溝31,32及び第2ラグ溝33,34をタイヤ周方向に沿ってそれぞれ45本から90本の範囲で設けることが好ましい。従って、各ラグ溝31,32,33,34のピッチを適正値とすることで、静粛性を向上することができると共に、ブロック剛性の低下を抑制して耐久性を向上することができる。この場合、第1ラグ溝31,32及び第2ラグ溝33,34が所定本数より少ないときには、ブロック剛性が高すぎて路面からの衝撃を十分に緩和することができず、パターンノイズが悪化する。一方、第1ラグ溝31,32及び第2ラグ溝33,34が所定本数より多いときには、ブロック剛性が低すぎて操縦安定性が悪化する。
この場合、第1ラグ溝31,32のピッチ長、第2ラグ溝33,34のピッチ長、または、第1ラグ溝31,32と第2ラグ溝33,34のピッチ長を変化させつつ配列することが好ましい。即ち、第1ラグ溝31,32と第2ラグ溝33,34の周方向に配置に関し、ピッチバリエーション構造を採用することが好ましい。これにより、パターンノイズが低減されてタイヤの騒音性能が向上する利点がある。
また、本発明では、第1ラグ溝31と32、第2ラグ溝33と34を、タイヤ幅方向の長さが異なるものとし、タイヤ幅方向の長さが異なる第1ラグ溝31と32、第2ラグ溝33と34をタイヤ周方向に交互に設けている。従って、第1ラグ溝31,32及び第2ラグ溝33,34で発生するロードノイズの周波数が2種類発生することとなり、互いに打ち消しあってレベルを下げることができる。
また、本発明では、空気入りタイヤ11にて、車両外側に第1ラグ溝31,32を設け、車両内側に第2ラグ溝33,34を設けている。従って、空気入りタイヤ11が装着された車両では、車両外側(車両外側)にタイヤ接地端13に連通していない第1ラグ溝31,32が位置することとなり、第3主溝24で発生する気柱共鳴騒音が外部に漏洩しにくくなり、車両走行時に、空気中を伝播して車室内に伝達される高周波数領域にあるロードノイズを抑制することができる。
なお、上述した空気入りタイヤ11では、第1ラグ溝31,32を第3主溝23に連通してタイヤ接地端13に連通せず、第2ラグ溝33,34を第4主溝24に連通せずにタイヤ接地端14に連通して構成したが、第1ラグ溝31,32の他端部がタイヤ接地端13に連通しないので、排水性と静粛性を向上することができる。
また、上述した空気入りタイヤ11では、車両外側に第1ラグ溝31,32を設け、車両内側に第2ラグ溝33,34を設けたが、車両内側に第1ラグ溝31,32を設け、車両外側に第2ラグ溝33,34を設けてもよい。また、空気入りタイヤ11を赤道線O1に対して、左右非対称としたが、第1ラグ溝31,32及び第2ラグ溝33,34以外の形状は、左右対称としてもよい。
また、上述した空気入りタイヤ11では、各主溝21,22,23,24を赤道線O1に対して平行なストレート主溝としたが、波形状をなす主溝であってもよく、この場合、第4主溝24から第2ラグ溝33,34の一端部33a,34aまでの長さをL2は、第2ラグ溝33,34の一端部33a,34aと、この一端部33a,34aにタイヤ幅方向に対向する第4主溝24の位置とのタイヤ幅方向における長さである。
更に、第1ラグ溝31と32、第2ラグ溝33と34のタイヤ幅方向の長さを異なるものとしたが、第1ラグ溝または第2ラグ溝におけるタイヤ幅方向の長さを全て同じ長さとしてもよく、タイヤ幅方向の長さを異なる3個以上のラグ溝を設けてもよい。
ここで、比較例と実施例とにおける排水性(操縦安定性)と静粛性(ロードノイズの発生)について比較する。実施例1から○の空気入りタイヤ11は、図1に示すように、第1ラグ溝31,32の一端部が第3主溝23に連通して他端部がタイヤ接地端13に連通せず、第2ラグ溝33,34の一端部が第4主溝24に連通せずに他端部がタイヤ接地端14に連通するタイヤサイズ215/60R16の乗用車用空気入りタイヤである。一方、下記表1に示すように、比較例の空気入りタイヤは、全てのラグ溝の一端部が主溝に連通し、他端部がタイヤ接地端に連通したものである。
Figure 0004434239
従来例と実施例を比較してみると、実施例の空気入りタイヤ11は、従来例の空気入りタイヤに比べて排水性及び静粛性が大幅に向上していることがわかる。
方法は、下記のものとなっている。
なお、タイヤの排水性(操縦安定性)と静粛性(ロードノイズの発生)の評価を実施するための条件及び方法は、下記のものとなっている。
1)評価タイヤサイズ
215/60R16
2)タイヤの排水性(操縦安定性)の評価方法
国産3.0リットルクラスのセダン型乗用車に本実施例のタイヤを装着し、濡れた路面を走行したとき、ドライバーが官能評価により操縦安定性について10点満点で評価する。この場合、5人のドライバーによる評価を平均したものを評価点とする。なお、評価点が高いほど操縦安定性が優れたものとなる。
3)静粛性(ロードノイズの発生)の評価
国産3.0リットルクラスのセダン型乗用車に本実施例のタイヤを装着し、荒れた路面を60km/hで走行したとき、運転席側の窓付近で1kHz帯の音圧レベルを指数化して評価する。なお、評価点が低いほど静粛性が優れたものとなる。
以上のように、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ幅方向における一方側にタイヤ接地端に連通しないで第1ラグ溝を設けると共に、タイヤ幅方向における他方側にタイヤ接地端に連通する第2ラグ溝を設け、第1ラグ溝の一端部を主溝に連通して他端部をタイヤ接地端に連通せず、第2ラグ溝の一端部を主溝に連通せずに他端部をタイヤ接地端に連通することで、高い排水性を維持して走行安定性を向上すると共に、騒音の発生を抑制して静粛性を向上するものであり、いずれの種類の空気入りタイヤに用いても好適である。
本発明に係る空気入りタイヤを表すトレッド部の平面図である。 本発明の空気入りタイヤを表す概略断面図である。
符号の説明
11 空気入りタイヤ
12 トレッド面
13,14 タイヤ接地端
21 第1主溝
22 第2主溝
23 第3主溝
24 第4主溝
31,32 第1ラグ溝
33,34 第2ラグ溝

Claims (8)

  1. トレッド面における赤道線の両側にタイヤ周方向に沿って延びる複数の主溝が設けられた空気入りタイヤにおいて、
    前記複数の主溝のうち、タイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する主溝と、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する主溝とが赤道線に対してタイヤ幅方向で対称位置に設けられ、
    一端部がタイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する前記主溝に連通して他端部がタイヤ接地端に連通しない第1ラグ溝がタイヤ周方向に所定間隔で複数設けられると共に、
    一端部がタイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する前記主溝に連通せずに他端部がタイヤ接地端に連通する第2ラグ溝がタイヤ周方向に所定間隔で複数設け
    前記タイヤ幅方向における最も外側に位置する主溝とタイヤ接地端とが連通していないことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記第1ラグ溝の他端部からタイヤ幅方向における一方側のタイヤ接地端までの長さをL1とし、タイヤ幅方向における一方側の最も外側に位置する前記主溝からタイヤ接地端までの長さをLW1とするとき、
    0.1<L1/LW1<0.6
    の条件を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 請求項1または2に記載の空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する前記主溝から前記第2ラグ溝の一端部までの長さをL2とし、タイヤ幅方向における他方側の最も外側に位置する前記主溝からタイヤ接地端までの長さをLW2とするとき、
    0.1<L2/LW2<0.6
    の条件を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤにおいて、タイヤ接地幅をTWとし、赤道面からタイヤ幅方向における両側の最も外側に位置する前記主溝の外側側壁までの長さをL0とするとき、
    0.3(TW/2)<L0<0.6(TW/2)
    の条件を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向における両側の最も外側に位置する前記主溝の幅は、5mm以上で20mm以下に設定され、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝の幅は、1.5mm以上で8.0mm以下に設定されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  6. 請求項1から5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤにおいて、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ周方向に沿ってそれぞれ45本から90本の範囲で設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤにおいて、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、タイヤ幅方向の長さが異なる複数種類のラグ溝を有し、タイヤ幅方向の長さが異なる複数種類のラグ溝がタイヤ周方向に交互に設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
  8. 請求項1から7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤにおいて、車両外側に前記第1ラグ溝が設けられ、車両内側に前記第2ラグ溝が設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
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