JP5754989B2 - 液体収納装置の製造方法 - Google Patents
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液体吸収部材に吸収保持されない液体は、液体収納装置の物流時の姿勢や環境変化によっては、容器から漏れ出す可能性がある。そのため、液体吸収部材が容器に挿入された状態において、シワや隙間が極力発生しないことが望ましい。
(液体収納装置の構成)
図1に本発明の一実施形態に係る液体収納装置の分解斜視図を示し、図2に図1の液体収納装置の断面図を示す。この液体収納装置1は、例えば、インクジェット記録装置等の液体吐出装置に着脱自在に搭載される。液体収納装置1は、液体を吸収保持する吸収体としての液体吸収部材21、液体吸収部材21を収納する容器11および蓋41を有する。容器11は、断面が四角形状を有する収納空間13、底部に形成された図示しない供給口や液体吐出ヘッドを有する液体吸収部材21に保持された液体を外部に供給する供給部14と、上端部に形成された収納空間13へ液体吸収部材21を挿入するための開口12とを備える。開口12は、蓋41が溶着(振動溶着)されることにより閉鎖される。なお、液体収納装置1の底部とは、液体収納装置1の使用状態、すなわち、液体吐出装置に装着した状態(供給部14を下にした場合)における底部を示す。
図3に液体吸収部材21の斜視図を示す。液体吸収部材21は、液体を液体収納装置1内に吸収保持するための部材であり、複数の繊維シートが積層され熱融着された構造を有する。液体吸収部材21は、繊維シートが繊維シート積層方向Xに積層され熱融着されており、直方体形状(断面形状が四角形状)を有する。すなわち、図1に示すように、液体吸収部材21は、繊維シートの積層面が容器11の底面に対して略垂直な方向を向くように、容器11内に収容され、積層方向と挿入方向とは異なる。なお、以下の説明において、形式的に繊維シート積層方向をX方向として、繊維シートの短辺に沿った方向をZ方向、長辺に沿った方向をY方向と示す。
図4に、液体吸収部材21を容器11内に挿入する挿入装置の一例の概略図を示す。この挿入装置は、対向する一対の第1のガイドプレート51A,51Bと、対向する一対の第2のガイドプレート52A,52Bと、を有する。第1のガイドプレート51Aおよびこれに隣接する第2のガイドプレート52Aは、治具80に固定されて保持部材61により保持されている。第1のガイドプレート51Bは、保持部材63により保持され、この保持部材63には図示しないエアシリンダのロッド73が連結されている。第2のガイドプレート52Bは、保持部材62により保持され、この保持部材62には図示しないエアシリンダのロッド72が連結されている。また、治具80の下方には、ステージ81が設けられ、このステージ81上に容器11が設置される。
[実施例1]
本実施例で使用した容器11の内寸は、縦50×横25×高さ30[mm]である。液体吸収部材21の寸法は、縦(Y)50×横(X)30×高さ(Z)30[mm]であり、本実施例ではポリプロピレン(PP)繊維を積層し熱融着したものを使用した。液体吸収部材21は、X方向およびY方向に圧縮されて容器11に挿入される。
[検討1]圧縮された液体吸収部材21に対して、図5に示した第1および第2のガイドプレート51,52の全幅L1に対する先端部51F、52Fの幅L2の割合を、変化させた。具体的には、面積の大きい第2のガイドプレート52は71.1[%]〜100[%]まで変化させ、面積の小さい第2のガイドプレート51は51.2[%]〜100[%]まで変化させて容器11に挿入した例を表1に示す。液体吸収部材21の挿入を終了した状態で、シワや容器11の四隅との隙間の発生の有無を確認した。
なお、図5に示した切り欠き部51C,52Cの寸法L3は、液体吸収部材21のX方向の寸法に対する割合を13.3[%](切り欠き部51C,52Cの寸法L3を4.0[mm])とした。シワや隙間の発生有無の確認方法として、容器11に透明部材を用いる場合は、液体吸収部材21を挿入後に容器11の側面からシワや隙間の有無を確認することができる。また、シワや隙間が発生している液体吸収部材21に所定量の液体(インク)を注入すると、シワや隙間から液体(インク)が液体吸収部材の上面に這い上がろうとするため、液体の注入状態に差が生じる。そのため、着色された容器の場合にシワや隙間の発生有無を確認する方法として、液体(インク)注入された容器11をX線CTで撮影し、液体注入状態を観察することで、シワや隙間の有無を確認できる。本実施例では、透明部材により成形された容器を用い、側面から観察することで、シワや隙間の有無を確認した。図7(a)は、容器11に液体吸収部材21をシワや隙間無く挿入した状態を上面から見た模式図である。図7(b)は、図7(a)の状態の液体吸収部材を、透明部材の容器越しに見た模式図である。図8(a)はシワ71が発生した状態を上面から、図8(b)は透明部材の容器越しに液体吸収部材を見た模式図である。図9(a)は容器11の四隅に隙間74が発生した状態を上面から、図9(b)は透明部材の容器11越しに液体吸収部材21を見た模式図である。
[検討2]検討2では、液体吸収部材21の挿入時のはみ出し量に影響する、容器11の寸法とガイドプレートの切り欠き部の寸法の範囲の検討を行う。
以上、液体吸収部材21の圧縮寸法に対するガイド寸法の割合を、第2のガイドプレート52は71.1[%]以上93.8[%]以下(ガイド寸法34.5[mm]以上45.5[mm]以下)にし、第1のガイドプレート51は60.5[%]以上88.4[%]以下(ガイド寸法13.0[mm]以上19.0[mm]以下)にし、更に、寸法の割合の差を20[%]以内にし、液体吸収部材21の上下方向(Z方向)の寸法に対するガイドプレートの切り欠き部の寸法L3の割合を6.7[%]以上26.7[%]以下(切り欠き部寸法2.0[mm]以上4.0[mm]以下)にすることで、容器11への挿入時におけるシワ発生や該容器の四隅との間の隙間発生を抑制することができる。なお、シワや容器の四隅との隙間の発生を防止するのに有効なガイドプレートの先端部の寸法L2の割合や切り欠き部の寸法L3の割合の好ましい範囲は、液体吸収部材21を構成する繊維シートの材料により変動する。したがって、材料によっては表1や表2に示すシワ/隙間無しの領域が拡大する場合もある。
11…容器
51,51A,51B…第1のガイドプレート
51F…先端部
51C…切り欠き部
52,52A,52B…第2のガイドプレート
52F…先端部
52C…切り欠き部
Claims (2)
- 液体吐出装置における液体の供給に用いられる液体収納装置の製造方法であって、
前記液体収納装置は、液体を吸収保持する吸収体と、
前記吸収体を収納しかつ断面が四角形状を有する収納空間と、吸収体に保持された液体を外部に供給する供給部と、当該収納空間へ前記吸収体を挿入するための開口とを備える容器と、を有し、
前記吸収体の断面寸法が前記収納空間の断面寸法より小さい寸法となるように、前記吸収体の互いに対向する一対の第1の側面の各々を押圧可能な押圧面をそれぞれ有する一対の第1のガイドプレートと、前記吸収体の互いに対向する一対の第2の側面の各々を押圧可能な押圧面をそれぞれ有する一対の第2のガイドプレートとを用いて前記吸収体を圧縮する圧縮工程と、
前記第1および第2のガイドプレートの前記吸収体の挿入方向における先端部を前記開口を通じて前記容器内に挿入した状態で、当該吸収体を当該第1および第2のガイドプレートによりガイドしつつ圧縮された前記吸収体を前記収納空間に前記開口を通じて挿入する挿入工程と、を有し、
前記挿入工程は、前記各ガイドプレートの先端部の両側に形成した切り欠き部により、前記収納空間に向けて移動する前記吸収体の前記収納空間の四隅に対応する部分の圧縮を選択的に解放して復元させつつ、前記容器内に挿入することを含む液体収納装置の製造方法。 - 前記吸収体は、複数の繊維シートを積層し熱融着された構造を有するとともに、前記複数の繊維シートの積層方向と前記挿入方向とは異なる、請求項1に記載の液体収納装置の製造方法。
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