JP3833026B2 - 吸収体の挿入方法、および液体容器の製造装置 - Google Patents

吸収体の挿入方法、および液体容器の製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収体が収容される容器への吸収体の挿入方法および液体容器の製造装置に関する。さらに詳しくは、収納容器よりも大きな吸収体を収納容器に挿入する吸収体の挿入方法および液体容器の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型化を図ったインクジェット記録装置に用いられる記録手段の一形態として、記録ヘッドとインクタンクを一体化して装置に着脱自在に搭載し、記録を行なうものがある。このような記録ヘッドとインクタンクとが一体化されたカートリッジタイプのインクタンクは、記録ヘッドに対して所定の負圧を発生させる必要があり、その一方法としてインクタンク内に吸収体を挿入し、その吸収体にインクを含浸させたものがある。
【0003】
このような形態のインクタンクにおいて、吸収体の挿入作業は、例えば、予め圧縮した吸収体を一つずつインクタンクに人手によって吸収体を挿入する方法をとっていた。そして挿入された吸収体に対してインクを注入していた。このように人手によって吸収体を挿入する作業は手間が掛かると共に、大量生産に対しては不向きであり、且つ吸収体挿入時に不必要なしわが生じてしまったり、インクタンク内壁に対して吸収体が良好に密着していない部分が生じたりした。
【0004】
このようにインクタンク内に挿入された吸収体にしわや隙間がある場合、その部分に、注入したインクのインク溜りができてしまう。このようなインクタンクを用いて記録が行われてもインク溜りのインクは使用されることなく残存してしまう。また、インク溜りによってインクの流れが阻害され、インク供給性が劣化し、インク吐出が正常に行われず、印字品位の低下を招くことにもなる。
【0005】
このような状態を回避するために、治具を用いて吸収体を均一に圧縮してインクタンク内に挿入する方法がある。均一に圧縮された状態で挿入された吸収体は、上述のようなインク溜りを生ずることはない。しかし、吸収体に注入されたインクの使用効率が十分ではなかった。
【0006】
インクの使用効率を向上させるためには、インクタンク内に挿入される吸収体が、記録ヘッドのインク供給口に向かって徐々に圧縮性が高くなるようにすることが好ましい。
【0007】
そのために、第1,第2の二組の対となる押圧部材を用いて、吸収体の側面を対面毎に均等に圧縮し、容器の開口から容器内に挿入した後、吸収体の第1,第2押圧部材で押えられていない開放面を、第3の押圧部材を用いて容器の反対側に向って押し、更に容器を移動させることにより、また、第3の押圧部材による吸収体の押圧タイミングと第1,第2の押圧部材を引き抜くタイミングとを調整することにより、容器内に吸収体の粗密を作る手法が提案されている。また、容器の移動速度や、吸収体と押圧部材との摩擦係数を制御することにより、粗密状態を制御する提案もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来例では、吸収体の挿入工程を繰り返していくと、吸収体と押圧部材、押圧部材と容器が擦れ合うために、押圧部材に電荷が蓄積し、押圧部材と吸収体との摩擦係数が、その電荷量によって変化することから一定の粗密関係を安定的に作ることが困難であった。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みて成されたもので、押圧部材の電荷を除去することにより、電荷に伴う摩擦係数の変化を低減することが可能となり、くり返し行なわれる吸収体の挿入状態を安定化させることができ、更に押圧部材表面に吸い寄せられるゴミの量を低減することができ、吸収体挿入工程において容器内にゴミが混入する機会を減らすことができる吸収体の挿入方法および該方法によって構成される吸収体収納容器を提供することを目的とする。
【0010】
ところで、吸収体の挿入に関して従来の方法は、第1,第2,第3の押圧部材の引き抜きタイミングや押圧タイミングによって行なっており、粗密分布を構成する方法として不安定要素が含まれていた。
【0011】
そこで本発明は、容器内に吸収体を挿入する前の段階で所望の粗密分布を構成し、その後容器内に挿入することができる、容器内への吸収体の挿入方法および液体容器の製造装置を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、吸収体の粗密分布を容器内に挿入する前に構成した後、容器内に吸収体を挿入する方法をくり返し行なっても安定して所望の粗密分布を構成可能とした吸収体の挿入方法および液体容器の製造装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の吸収体の挿入方法は、吸収体をその寸法よりも小さい容器に挿入する吸収体挿入方法において、前記吸収体を押圧部材で圧縮する工程と、前記吸収体と前記押圧部材とを同時に前記容器内に挿入する工程と、前記吸収体を前記容器内に保持した儘、前記押圧部材を前記容器から引き抜く工程とを有し、前記吸収体と接する前記押圧部材の電荷を除去することを特徴とする。
【0014】
上記本発明の吸収体の挿入方法によれば、押圧部材の電荷を除去されることにより、電荷に伴う摩擦係数の変化を低減することが可能となり、吸収体の挿入状態が安定化され、更に押圧部材表面に吸い寄せられるゴミの量が低減され、吸収体挿入工程においてタンク内にゴミが混入する機会を減らすことが可能になる。さらに、前記吸収体はポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンもしくはこれらの組み合わせによって構成されるものであってもよい。
【0015】
また、前記容器はポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートのいずれかから選択されるものであってもよい。
【0016】
また、前記押圧部材は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製であるか、フッ素樹脂コーティングがされているか、またはポリテトラフルオロエチレンシートもしくはポリエチレンフィルムが貼られている構成であってもよい。
【0022】
また、本発明の吸収体の挿入方法は、吸収体を互いに対向する一対の除電機構を備えた押圧部材で圧縮時に前記押圧部材から前記吸収体が片寄ってはみ出した状態で圧縮する第1の工程と、前記第1の工程における前記吸収体の圧縮方向と交差する方向に、前記吸収体を互いに対向する一対の除電機構を備えた押圧部材で圧縮する第2の工程と、前記吸収体の圧縮を保持したままの状態で、前記吸収体を前記押圧部材と共に容器内に収容する工程と、前記押圧部材のみを前記容器から引き抜く工程とからなる。
【0029】
また、本発明の液体容器の製造装置は、大気連通口と供給口とを備え液体を貯留する容器本体と、該容器本体内に収納される吸収体と、を有する液体容器の製造装置であって、前記吸収体を押圧する一対の第1の押圧部材と、前記第1の押圧部材による吸収体の圧縮方向と交差する方向に前記吸収体を押圧する一対の第2の押圧部材と、を備え、前記第1および第2の押圧部材はそれぞれ接地されており、前記容器本体内に前記吸収体を収容するために前記吸収体を前記容器内に保持したまま、前記第1および第2の押圧部材を前記容器から引き抜く際に前記第1および第2の押圧部材に発生する電荷を除去することを特徴とする。
さらに、前記第1および第2の押圧部材は、前記吸収体との接触面にポリテトラフルオロエチレン加工が施されていてもよい。
前記ポリテトラフルオロエチレン加工は、前記各押圧部材に対してポリテトラフルオロエチレンシートを貼り付けるか、あるいは前記各押圧部材にポリテトラフルオロエチレンを直接コーティングすることによって施されていてもよい。
また、前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面に対して導電性部材が接続されていてもよい。
前記導電性部材は接地されていてもよい。
さらに、前記導電性部材は、前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面上に設けられた導電性シート、または、前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面を少なくとも貫通する導電性貫通部材である構成としてもよい。
また、前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面の電荷を除去する除電ブロアを備えている構成としてもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、本発明の吸収体の挿入方法の一実施形態を示す斜視図である。
【0032】
本実施形態の吸収体収納容器としてのインクタンクは、液体であるインクが含浸される吸収体1と、吸収体1が収容されるインクタンク容器3とを有している。インクタンク容器3には、吸収体1に含浸されたインクを、記録媒体(不図示)にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッド(不図示)等に供給するためのインク供給口2が設けられている。
【0033】
吸収体1は直方体状に形成されており、押圧部材4,5,6によって押圧されて圧縮された後に、インクタンク容器3内に挿入されるものである。吸収体1の図示両側面は一対の第1の押圧部材4によって押圧され、図示上面および下面は一対の第2の押圧部材5によって押圧され、図示背面は第3の押圧部材6によって押圧される。
【0034】
ここで、インクタンク容器3内への吸収体1の挿入方法について説明する。
【0035】
まず最初に、図1(a)に示すように、一対の互いに対向する第1の押圧部材4を吸収体1の図示両側面に、一対の互いに対向する第2の押圧部材5を吸収体1の図示上面および下面に、第3の押圧部材6を吸収体1の図示背面にそれぞれ配置する。
【0036】
次に、図1(b)に示すように、一対の第1の押圧部材4および一対の第2の押圧部材5によって吸収体1を圧縮する。このとき、圧縮された吸収体1の縦幅(図示上面と下面との間の幅)および横幅(図示両側面間の幅)が、インクタンク容器3内部の縦幅および横幅以下の寸法となるように、吸収体1を押圧する。次に、図1(c)に示すように、吸収体1を圧縮した状態を保ったまま、吸収体1を押圧部材4,5と共にインクタンク容器3の内部に挿入する。このように、吸収体1を、インクタンク容器3の内面との間に押圧部材4,5を介して容器3内に挿入することにより、挿入時に吸収体1にしわが生じてしまうこと等が防止される。さらに、第3の押圧部材6によって吸収体1をインクタンク容器3の内壁に押圧させ、吸収体1の奥行き幅(図示正面と背面との間の幅)がインクタンク容器3内部の奥行き幅以下の寸法となるように、吸収体1を圧縮する。
【0037】
最後に、第3の押圧部材6で吸収体1をインクタンク容器3に押圧させたままの状態で、各押圧部材4,5をインクタンク容器3内から引き抜き、続いて第3の押圧部材6を吸収体1から引き離す(図1(d)参照)。これにより、インクタンク容器3内への吸収体1の挿入工程が完了する。
【0038】
上記に説明した挿入工程によれば、吸収体1にしわが生じてしまったり、インクタンク容器3の内面に対して吸収体1が良好に密着していない隙間部分が生じたりすることを防止することができる。
【0039】
この際、例えばポリウレタンである吸収体1が、第3の押圧部材6に押し出され、かつ、ポリプロピレンである容器3が第1の押圧部材4と第2の押圧部材5から離れると、吸収体1と第1の押圧部材4及び第2の押圧部材5、容器3と第1の押圧部材4及び第2の押圧部材5とが擦れ合うために、図2に示されるように電荷が発生することとなる。
【0040】
発生した電荷は吸収体1、容器3及び第1の押圧部材4、第2の押圧部材5に溜ることになるが、吸収体1及び容器3は、一度しか吸収体1の挿入が行われないため、余り問題とはならない。
【0041】
しかし、第1の押圧部材4及び第2の押圧部材5は、次の吸収体1の挿入では、図2で示されるような電荷(図中+で示す)を持った帯電状態10となるため、吸収体1と押圧部材7(第1、第2、第3の押圧部材を総称表示する。)との間の摩擦係数が、電荷を持っていない時と比較して変化する。
【0042】
さらに、吸収体1の挿入を繰り返すことにより、押圧部材7の電荷量は変化することとなり、それに連れて吸収体1と押圧部材7との間の摩擦係数が変化する。
【0043】
吸収体1と押圧部材7との間の摩擦係数の変化により、吸収体1の挿入状態は明らかに変化することから、挿入状態の安定化のためには、摩擦係数を一定にすべく、具体的には、第1の押圧部材4及び第2の押圧部材5の電荷を取り除くことが必要となる。
【0044】
なお、他の符号について、符号8は押圧部材7とテフロンシート9との間の粘着層を示し、符号14は除電ブロア15から発生される空気イオンを示す。ここで、「テフロン」は登録商標であり、その正式な名称は「ポリテトラフルオロエチレン」であるが、以下の説明では便宜上「テフロン」、「テフロンシート」、「テフロン樹脂」と称することとする。
【0045】
以下に、押圧部材7表面の電荷を取り除く方法の実施例を挙げる。なお、押圧部材7は導電性部材であり、押圧部材7は接地11されている。
【0046】
図3で示されるように、押圧部材7表面のテフロンシート9面に導電性シート12を貼り付け、この導電性シート12を接地11することにより、テフロンシート9表面の電荷を除去し、これにより、吸収体挿入工程を繰り返した際の挿入回数による挿入状態の変化を低減することができた。
【0047】
図4で示されるように、押圧部材7表面のテフロンシート9を貫通するように押圧部材7にネジ13を通し、テフロンシート9表面がネジ13を通じて接地11されることにより、テフロンシート9表面の電荷を除去し、吸収体挿入工程を繰り返した際の挿入回数による挿入状態の変化を低減することができた。また、テフロンシート9を貫通して押圧部材7にネジ13を通していることにより押圧部材7とテフロンシート9の剥離を防ぐことができる。
【0048】
図5で示されるように、押圧部材7表面のテフロンシート9面に対して除電ブロア15を施し、テフロンシート9表面の電荷を除去することにより、吸収体挿入工程を繰り返した際の挿入回数による挿入状態の変化を低減することができた。
【0049】
以上説明したように、本発明によれば、押圧部材の電荷を除去することにより、電荷に伴う摩擦係数の変化を低減することが可能となり、吸収体の挿入状態を安定化させることができ、更に押圧部材表面に吸い寄せられるゴミの量を低減することができ、吸収体挿入工程においてタンク内にゴミが混入する機会を減らすことができるという効果を呈する。
【0050】
次に、図1に示した液体容器内への吸収体の挿入方法における容器内挿入前の吸収体の圧縮工程(図1(b)参照)について、図6および図7を参照して詳しく説明する。図6および図7は、図1に示した液体容器内への吸収体の挿入方法における吸収体の圧縮工程を示す断面図である。図6は第1の押圧部材による吸収体の圧縮力が比較的大きい場合を示し、図7は第1の押圧部材による吸収体の圧縮力が比較的小さい場合を示す。第1の押圧部材4による吸収体1の圧縮状態によって、第2の押圧部材5によって圧縮された際の吸収体1の粗密の程度が異なる。
【0051】
本実施形態における吸収体の圧縮工程では、まず最初に、図6(a)および図7(a)にそれぞれ示すように、一対の第1の押圧部材4によって吸収体1の両側面間を挟むとともに、一対の第2の押圧部材5によって吸収体1の上下面間を挟む。このとき、第1の押圧部材4は、粗密分布を設けたい領域である吸収体1の下部を第1の押圧部材4の下方からはみ出すように配置する。そのはみ出し量は、吸収体1の縦方向の長さに対して0.01〜0.5倍であることが望ましい。なお、本実施形態では吸収体1の上部と押圧部材4の上端とが同じ高さになっているが、吸収体1の上部が押圧部材4の上端からはみ出していても構わないが、粗密分布を作ろうとしている領域以上の長さをはみ出させることは好ましくない。
【0052】
次に、図6(b)または図7(b)に示すように、第1の押圧部材4によって吸収体1の横幅を圧縮する。第1の押圧部材4が吸収体1を圧縮すると、吸収体1が第1の押圧部材4を押し返す反発力F1(図6(b))または反発力F2(図7(b))が発生する。図6(b)または図7(b)に示すように第2の押圧部材5によって吸収体1の縦幅を圧縮する際に、吸収体1の側面と第1の押圧部材4との間に発生する摩擦力R1(図6(b))およびR2(図7(b))は、第1の押圧部材4と吸収体1との間の摩擦係数をμとすると、それぞれ、
1=μF1 ,R2=μF2 …(1)
と表される。
【0053】
第1の押圧部材4による吸収体1の圧縮力が比較的大きい場合(図6参照)には、第1の押圧部材4が吸収体1を圧縮する量は、その圧縮力が比較的小さい場合(図7参照)よりも大きくなる。そのため、吸収体1に生じる反発力F1(図6(b)参照)と反発力F2(図7(b)参照)との関係は、
1>F2 …(2)
となり、第1の押圧部材4と吸収体1との間に生じる摩擦力R1(図6(b)参照)と摩擦力R2(図7(b)参照)との関係は、式(1)および(2)より、
1>R2 …(3)
となる。
【0054】
第1の押圧部材4と吸収体1との間に生じる摩擦力が大きくなる程、第2の押圧部材5が吸収体1の下面を押圧する力は吸収体1の上部方向に伝播し難くなり、吸収体1は下部が局所的に圧縮された状態となる(図6(c)参照)。逆に、第1の押圧部材4と吸収体1との間に生じる摩擦力が小さくなる程、第2の押圧部材5が吸収体1の下面を押圧する力は吸収体1の上部方向に伝播し易くなり、吸収体1は図6の場合より粗密分布の差が小さい状態に圧縮された状態となる(図7(c)参照)。
【0055】
なお、粗密分布は、第1の押圧部材4による圧縮状態のみならず、第1の押圧部材4からはみ出させた吸収体1の量(長さ)によっても分布を調整することは可能である。すなわち、粗密分布を大きくしたい場合には第1の押圧部材4からの吸収体1のはみ出し量を多くし、粗密分布を小さめにしたい場合はその逆にする。
【0056】
このように、吸収体の圧縮工程において、第1の押圧部材4による吸収体1の横幅の圧縮力量を所望の力量に調整し、あるいは、吸収体1のはみ出し量を調整し、第2の押圧部材5によって吸収体1の縦幅を圧縮することにより、吸収体1の縦幅方向に沿って吸収体1の内部に所望の疎密分布を形成することができる。さらに、図1(d)に示すように、吸収体1の圧縮率が最も高い下部の近傍にインク供給口2を設けることにより、吸収体1に含浸されたインクを最も有効に利用することができるインクタンクが構成される。
【0057】
なお、図6(c)および図7(c)に示すように、吸収体1が第1の押圧部材4および第2の押圧部材5によって押圧されている状態では、上述したように、吸収体1はインクタンク容器3の内部寸法よりも小さい寸法に圧縮されている。そのため、吸収体1は、インクタンク容器3内に挿入されて押圧部材4,5が引き抜かれると自身の復元力によって膨張し、図6(d)および図7(d)に示すように、インクタンク容器3の内面にぴったりと密着した状態で収容される。なお、吸収体1が自身の復元力によって膨張した後にも、吸収体1の内部に形成されていた疎密分布は維持された状態となっている。
【0058】
また、上記の実施例において、吸収体1の素材はポリウレタンであったが、ポリプロピレンであってもポリエチレンであっても、さらにそれらを組み合せたものでもかまわない。
【0059】
また、容器3の素材はポリプロピレンであったが、ポリスチレン系樹脂でもポリエチレンテレフタレートでもかまわない。
【0060】
さらに、押圧部材にはテフロンシートが貼られていたが、押圧部材に直接テフロンコーティングをしてもかまわない。
【0061】
また、コーティング材はフッ素樹脂コーティングでもよい。
【0062】
さらに、剛性が確保できれば押圧部材の素材がテフロン樹脂であってもよい。
また、押圧部材にポリエチレンフィルムが貼られていてもよい。
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、容器内に挿入される吸収体が一対の押圧部材によって圧縮されている状態で、その圧縮方向に交差する方向に吸収体が一対の押圧部材によってさらに圧縮されるので、吸収体の内部に疎密分布を形成した状態で吸収体を容器内に挿入することができ、吸収体に含浸された液体を有効に利用することができる吸収体収納容器を構成することができる。
【0064】
ところで、このような粗密分布の調整方法もくり返し実行されると、吸収体との摩擦によって押圧部材が帯電することは前述した通りである。したがって、上記の挿入工程においても、押圧部材に対して上述したような除電構成を適用することにより、安定した粗密分布をくり返し行なうことができる吸収体挿入方法を提供することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、押圧部材の電荷を除去することにより、電荷に伴う摩擦係数の変化を低減することが可能となり、吸収体の挿入状態を安定化させることができ、更に押圧部材表面に吸い寄せられるゴミの量を低減することができ、吸収体挿入工程においてタンク内にゴミが混入する機会を減らすことができる。
【0066】
また、本発明によれば、容器内に挿入される吸収体が一対の押圧部材によって圧縮されている状態で、その圧縮方向に交差する方向に吸収体が一対の押圧部材によってさらに圧縮されるので、吸収体の内部に疎密分布を形成した状態で吸収体を容器内に挿入することができ、吸収体に含浸された液体を有効に利用することができる吸収体収納容器を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収体の挿入方法の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】押圧部材の表面が帯電している様子を示す断面図である。
【図3】押圧部材の表面を導電性シートを介して接地し除電している様子を示す断面図である。
【図4】押圧部材の表面をネジを介して接地し除電している様子を示す断面図である。
【図5】押圧部材の表面を除電ブロアで除電している様子を示す断面図である。
【図6】図1に示した液体容器内への吸収体の挿入方法における吸収体の圧縮工程を示す断面図である。
【図7】図1に示した液体容器内への吸収体の挿入方法における吸収体の圧縮工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 吸収体
2 インク供給口
3 インクタンク容器
4 第1の押圧部材
5 第2の押圧部材
6 第3の押圧部材
7 押圧部材
8 粘着層
9 テフロンシート
10 帯電状態
11 接地
12 導電性シート
13 ネジ
14 空気イオン
15 除電ブロア

Claims (12)

  1. 吸収体をその寸法よりも小さい容器に挿入する吸収体挿入方法において、前記吸収体を押圧部材で圧縮する工程と、前記吸収体と前記押圧部材とを同時に前記容器内に挿入する工程と、前記吸収体を前記容器内に保持した儘、前記押圧部材を前記容器から引き抜く工程とを有し、前記吸収体と接する前記押圧部材の電荷を除去することを特徴とする吸収体の挿入方法。
  2. 前記吸収体はポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンもしくはこれらの組み合わせによって構成されるものであることを特徴とする請求項1に記載の吸収体の挿入方法。
  3. 前記容器は、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートのいずれかから選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載の吸収体の挿入方法。
  4. 前記押圧部材は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製であるか、フッ素樹脂コーティングがされているか、またはポリテトラフルオロエチレンシートもしくはポリエチレンフィルムが貼られていることを特徴とする請求項1に記載の吸収体の挿入方法。
  5. 吸収体を互いに対向する一対の除電機構を備えた押圧部材で圧縮時に前記押圧部材から前記吸収体が片寄ってはみ出した状態で圧縮する第1の工程と、
    前記第1の工程における前記吸収体の圧縮方向と交差する方向に、前記吸収体を互いに対向する一対の除電機構を備えた押圧部材で圧縮する第2の工程と、
    前記吸収体の圧縮を保持したままの状態で、前記吸収体を前記押圧部材と共に容器内に収容する工程と、
    前記押圧部材のみを前記容器から引き抜く工程とからなる吸収体の挿入方法。
  6. 大気連通口と供給口とを備え液体を貯留する容器本体と、該容器本体内に収納される吸収体と、を有する液体容器の製造装置であって、
    前記吸収体を押圧する一対の第1の押圧部材と、
    前記第1の押圧部材による吸収体の圧縮方向と交差する方向に前記吸収体を押圧する一対の第2の押圧部材と、
    を備え、前記第1および第2の押圧部材はそれぞれ接地されており、前記容器本体内に前記吸収体を収容するために前記吸収体を前記容器内に保持したまま、前記第1および第2の押圧部材を前記容器から引き抜く際に前記第1および第2の押圧部材に発生する電荷を除去することを特徴とする液体容器の製造装置。
  7. 前記第1および第2の押圧部材は、前記吸収体との接触面にポリテトラフルオロエチレン加工が施されていることを特徴とする請求項に記載の液体容器の製造装置。
  8. 前記ポリテトラフルオロエチレン加工は、前記押圧部材に対してポリテトラフルオロエチレンシートを貼り付けるか、あるいは前記押圧部材にポリテトラフルオロエチレンを直接コーティングすることによって施されていることを特徴とする請求項に記載の液体容器の製造装置。
  9. 前記押圧部材の前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面に対して導電性部材が接続されていることを特徴とする請求項に記載の液体容器の製造装置。
  10. 前記導電性部材は接地されていることを特徴とする請求項に記載の液体容器の製造装置。
  11. 前記導電性部材は、前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面上に設けられた導電性シート、または、前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面を少なくとも貫通する導電性貫通部材であることを特徴とする請求項に記載の液体容器の製造装置。
  12. 前記ポリテトラフルオロエチレン加工が施された面の電荷を除去する除電ブロアを備えていることを特徴とする請求項に記載の液体容器の製造装置。
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