JPH08207302A - 毛管作用の勾配を有するインクジェット・ペン - Google Patents

毛管作用の勾配を有するインクジェット・ペン

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JPH08207302A
JPH08207302A JP28157595A JP28157595A JPH08207302A JP H08207302 A JPH08207302 A JP H08207302A JP 28157595 A JP28157595 A JP 28157595A JP 28157595 A JP28157595 A JP 28157595A JP H08207302 A JPH08207302 A JP H08207302A
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ink
foam
pen
chamber
width
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JP28157595A
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John M Altendorf
ジョン・エム・アルテンドーフ
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Hewlett Packard Co
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/1752Mounting within the printer
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
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    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクの格納、及び背圧のためにポリウレタ
ン発泡体が用いられる新しいインクジェット・ペンを提
供する。 【解決手段】 本発明のペンは、インク・チャンバの底
部から頂部に向かって全体的に発泡体の圧縮力が増加す
る。この増加した発泡体の圧縮力は結果的に毛管作用を
増加させ、そのことによって圧力、即ちペンにインクが
満たされた場合のインク柱による重力の圧力水頭を相殺
する。印刷中に発泡体のインクが枯渇した場合、インク
がもはやこの領域にないため前記重力の圧力水頭は減少
するが、そうなるのはペンの頂部に近い発泡体の毛管作
用の増加した部分が存在する結果である。ペンは、その
寿命の間、背圧をより均一なレベルに保持可能で、この
結果、より均一なインク小滴サイズが形成され、それに
よって印刷品質が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット印
刷に使用するためにインクを格納する装置及び方法に関
し、詳細には、インク・チャンバ内のインク柱による重
力の圧力水頭を相殺するために、多孔性部材の底部から
頂部に向かって毛管作用が増大する多孔性部材を有する
インク・チャンバに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット・プリンタは一般に、
「ペン」と呼ばれる交換可能なプリント・カートリッジ
を使用する。インクジェット・ペンは通常、プリントヘ
ッドと、インクが充填されたインク・チャンバを含む。
プリントヘッドは、精巧な超小型機械部品であり、プリ
ントヘッド上のノズル配列からインクの小滴を「噴射(j
et)」するよう付勢される小型の付勢チャンバ配列を含
む。典型的なプリントヘッドは、噴射を行うために熱抵
抗器又は圧電変換器のいずれかを使用する。ペンは、プ
リンタ内のキャリッジの中にロックされ、そこで、プリ
ンタと電気的インタフェースをとる。プリンタは、ペン
が、選択されたパターンでノズルからインクの小滴を噴
出した時に、印刷媒体(例えば、紙)を横切ってキャリ
ッジ及びペンを前後に走査する。各印刷スワスの後、プ
リンタは、1スワス幅だけ媒体を進ませ、新しいスワス
を開始する。このように連続スワスが印刷され、所望の
英数字又はグラフィックスが媒体上に印刷される。
【0003】ノズルが付勢されていない時に、インクが
ノズルから落ちないように、ペン内のインクは、大気圧
よりも低い圧力でインク・チャンバ内に保持されなけれ
ばならない。しかし、この負の相対圧力、即ち背圧は、
付勢チャンバの内部に空気が吸い込まれ、そのために付
勢チャンバのプライミングが失われ、もはや機能しなく
なるほど大きなものであってはならない。
【0004】インクジェット・ペンの幅をできるだけ狭
くすることがますます重要になっている。ペン全体の幅
は、プリンタの幅と、プリンタが占有するデスク・スペ
ースの大きさ影響を及ぼす。更に、カラー印刷の場合の
ように複数のペンで印刷を行う際には、ペンの幅を狭く
することによって、ペンのプリントヘッドが走査方向で
より近接して配置されるため、印刷品質を高めることも
できる。一方、プリンタのユーザは、インクジェット・
ペンが長時間にわたって連続的に使用でき、言い換える
と、インクジェット・ペンがより多くのインクを保持す
ることを望んでいる。従って、インクジェット・ペンの
設計者は、ペンの幅を狭くすることと、ペンに含まれる
インクの量を増加させることという相反する要求に対処
しなければならない。
【0005】インクの体積を増加させ、同時に幅の狭い
形状を維持する1つの方法は、ペンの高さを高くするこ
とである。しかし、ペンがインクで完全に満たされてい
る時、各チャンバ内のインク柱は、重力のためにチャン
バの底部でインクに対してある種の圧力をかける傾向が
ある。この重力による圧力、即ち圧力水頭(head)は、こ
の液体の柱の高さにほぼ比例する。従って、チャンバが
インクで完全に満たされている時、この液体の圧力水頭
は、発泡体中の望ましいインクの背圧を相殺する傾向が
ある。しかし、ペンの寿命が尽きるまで流体の背圧を相
対的に一定のレベルに維持して、より一定のインク滴の
サイズを提供し、その結果、改良された印刷品質をもた
らすことが好ましい。
【0006】最も信頼性の高い背圧システムの1つは、
合成発泡体のような多孔性材料をインクのタンク内で使
用するものである。インクは、発泡体の中に注入され、
その発泡体は毛管作用によってインクを適当な背圧で保
持する。ヒューレット・パッカード社(本発明の出願
人)に譲渡された米国特許第4,771,295号(ベーカー'29
5)は、インク保持及び背圧用に合成発泡体を使用する
インクジェット・ペンを開示している。この特許(ベー
カー'295)で開示されたペンの重要な特徴は、ペン本体
の底壁から上向きに延びて、発泡体と圧接するインク・
パイプである。このインク・パイプは、発泡体からプリ
ントヘッドまでのインク用の流体導管であり、局所的に
発泡体を圧縮し、それによってインク・パイプの領域内
の発泡体の毛管作用を局所的に増大させるという重要な
機能も果たす。その発泡体のインクが枯渇すると、イン
ク・パイプ付近で増大した毛管作用によって、他の全て
の発泡体の部分からインク・パイプにインクが吸引され
る傾向があり、そのため、印刷のために最大量のインク
が発泡体から吸引され得る。
【0007】Claude Bartaのフランス国特許第2,229,32
0号は、発泡体を使用してペン・プロッタ内にインクを
保持することを開示している。このインク供給装置は、
ポリウレタン発泡体のような、圧縮可能な多孔性材料を
取り囲むインク貯蔵室を備える。発泡体が徐々に圧縮さ
れるように、その発泡体の片面内に延びる凸形の壁によ
って発泡体が圧縮され、その壁内に形成された開口部で
最大圧縮がもたらされるように圧縮される。この開口部
は、プロッタのペン先に至るダクトのオリフィスを形成
する。このように圧縮が増大され、その結果、発泡体の
毛管作用が増大するために、毛管作用によって、インク
が導管、従ってプロッタのペン先に引き付けられる傾向
がある。
【0008】Takashi Suzuki他の欧州特許出願第139508
号は、ワイヤ・ドット・プリンタにインクを格納するた
めの多孔性部材を開示している。この多孔性部材はイン
ク・タンクに挿入される前に、発泡体の片面が他方の面
よりも厚いほぼ台形の断面を有する。インク・タンク
は、ほぼ矩形の断面を有し、そのため一旦挿入される
と、挿入前に最大の幅を有する発泡体の領域は、最も強
く圧縮され、従ってこの領域で最大の毛管作用を示す。
この毛管作用の大きい領域は、インク供給ガイドに隣接
している。インクは、連続的に徐々にサイズが小さくな
る溝によって印刷ワイヤに引き付けられ、サイズの減少
に対応して毛管作用を増大させる。この特許は、異なる
平均サイズの孔を有する2つの別々の多孔性材料スラブ
を用い、孔のサイズのより小さな発泡体が、インク供給
ガイドの最も近くに位置する、他の実施例も開示してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先に引用した特許は、
毛管作用によってインクを所望の方向に引き付けるため
の圧縮を使用することを開示しているが、インク・チャ
ンバ内の重力による圧力水頭の問題には対処していな
い。これらの特許は全て、比較的短いペンを開示してお
り、そのようなペンでは、重力による圧力水頭の問題は
大きな要因ではない。より大きなインク体積を有する、
より高さの高いインク・チャンバを可能にし、しかも、
チャンバ内のインク柱に起因する重力による圧力水頭の
増大に関連する付加的問題を生じない、インクジェット
・プリンタ用のインク格納メカニズムが依然として必要
とされている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、インクジェッ
ト印刷システム用のインク格納装置及び方法を提供する
ものである。この格納装置は、重力基準系において考え
られる頂部と底部を有するように印刷システム内で配向
され、インク・チャンバと、インク・チャンバ内に挿入
された多孔性部材を備える。多孔性部材は、インク・チ
ャンバの底部からインク・チャンバの頂部に向かって全
体的に増大する毛管作用を有する。言い換えれば、多孔
性部材は、その底部から離れる方向に延びる高さに沿っ
て全体的に増大する毛管作用を有する。インク本体は、
多孔性部材内に格納される。このインク格納装置は、取
り付けられたプリントヘッドを有するインクジェット・
ペンの一部として形成されうる。そのような複数の格納
装置を複数チャンバのインクジェット・ペンの一部とし
て使用することができる。
【0011】重力基準系とは、単に「頂部」、「底
部」、「高さ」、「上向き」等の語が、地球との関係に
対して共通の用法で使用されることを意味する。何かの
「頂部」は「底部」よりも地面から遠い位置にある。
「上向き」は地球から遠ざかることを意味する。何かの
「高さ」とは、地球から離れる方向に沿った測定値であ
る。
【0012】本発明は、インクジェット・プリントヘッ
ドにインクを送る処理も提供する。この処理は、重力基
準系において考えられる頂部と底部を有し、かつ底部か
ら頂部に向かって線形的に増大する毛管作用を有する合
成発泡体にインクを充填するステップ、及び制御された
毛管作用の力によってインクを発泡体からプリントヘッ
ドに送るステップを含む。
【0013】本発明によって、チャンバのインクが枯渇
した時に、より安定した背圧を提供し、その結果、より
安定したインク滴の体積と改良された印刷品質を可能に
する、インクジェット印刷システムにおけるインク格納
が可能になる。頂部の方向に向かう場合の多孔性部材の
毛管作用の増大、又は底部から離れる方向の高さに沿っ
て延びる場合の多孔性部材の毛管作用の増大によって、
インクがインク・チャンバの上部領域にある時、即ちペ
ンがインクで完全に満たされている時、多孔性部材内の
インクに対する付加的な毛管引力が提供される。このよ
うな増大した毛管作用によって、インク・チャンバ内の
インク柱のために発生する重力による圧力水頭が、ある
程度相殺される。従って、より均一なレベルの背圧が得
られる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のペンを使用する
インクジェット・プリンタを示している。このプリンタ
は概略的に示されているに過ぎず、用紙吸入トレイ、用
紙排出トレイ、及びその他のオプションは図示されてい
ない。プリンタは、その全体が10で示され、ハウジング
12、キャリッジ14、制御装置16、キャリッジ駆動モータ
18、及び用紙駆動モータ20を含む。単色ブラック・ペン
22及び複数チャンバ三色ペン24は、図のようにキャリッ
ジ14に取り付けられる。ペン22及び24によって印刷され
る印刷媒体26は、プリンタ10内に示されている。印刷媒
体26は、例えば紙でも、透明フィルムでも、封筒でも、
その他の印刷媒体でもよい。
【0015】プリンタ10は、当技術分野で周知である
が、以下に簡単に説明した方法で印刷媒体26上に印刷す
るようにペン22及び24を作動させる。キャリッジ移動モ
ータ18は、ベルト28によってキャリッジ14に接続され
る。制御装置16は、Xで示された矢印の走査方向で右又
は左にキャリッジ14を駆動するようにキャリッジ移動モ
ータ18を作動させる。キャリッジ14が右又は左へ移動す
るたびに、プリンタは媒体26上に「スワス」を印刷す
る。媒体移動モータ20は、伝動メカニズム30(概略的に
図示)に接続される。伝動メカニズム30は駆動ローラ及
びピンチ・ローラ(図示せず)に接続され、駆動ローラ
及びピンチ・ローラは、当技術分野で周知の方法で媒体
26に順に直接接触する。
【0016】キャリッジ14が1つのスワスの印刷を完了
した後、制御装置16はYで示された方向、即ち、媒体の
移動方向にスワス1つ分の幅だけ媒体26を移動するよう
に媒体移動モータ20を作動させる。別のスワスが完了し
た後、媒体26は更に別のスワスを印刷することができる
ように、方向Yにスワスの幅だけ移動される。このよう
に、全ての所望の英数字及び/又はグラフィックスが媒
体26に印刷されるまで、連続的にスワスが印刷される。
【0017】印刷される媒体26の領域は印刷ゾーンと呼
ばれ、Aで示されている。印刷ゾーンAはキャリッジ14
が媒体26を横切って走査する際の、印刷される現在のス
ワス幅領域とみなすことができる。様々に構成されるペ
ン22及び24の幅は、走査方向Xで測定される。ペン22及
び24の構成の長さは、媒体移動方向Yで測定される。ペ
ン22及び24の高さは、Zで示され、印刷ゾーンAで印刷
媒体26に垂直な方向で測定される。
【0018】図2及び図3で示すように、複数チャンバ
のペン24は、本体部材110、側部カバー部材112と114、
中央カバー部材116、フィンガ・タブ118、及び接触パッ
ド122を含む柔軟ストリップ120を含む。フィンガ・タブ
118は、図1で示したように、ユーザがプリンタ・キャ
リッジ14にペン24を容易に挿入できるようにするために
含まれている。ペン24の主要本体部材110は主に、主イ
ンク・キャビティ部124とノーズ部126の2つの部分に分
けられる。
【0019】図4に示したように、複数チャンバのペン
24は、中央多孔性部材130、側部多孔性部材132、側部多
孔性部材134、中央フィルタ136、側部フィルタ138と14
0、及びプリントヘッド142も含む。プリントヘッド142
は、熱硬化性エポキシ層144によって主要本体部材110に
取り付けられる。柔軟ストリップ120は、主要本体部材1
10に熱かしめ接合される。柔軟ストリップ120は、プリ
ントヘッド上の接触パッドに接続される注文設計の銅製
トレースを有するポリマー・フィルムで形成された注文
生産のテープ自動接着(TAB)回路である。熱可塑性接着
フィルムの接着層146は、主要本体部材に熱かしめ接合
される前に、柔軟ストリップ120に積層される。接着層1
46は、融解して柔軟ストリップ120が主要本体部材に接
着するのを助け、柔軟ストリップ上の導体に電気絶縁を
与えるのを助ける。注文生産のTAB回路は通常入手可能
であり、電子機器業界で広く使用されている。ペン24が
挿入されるプリンタは、柔軟ストリップ120上の接触パ
ッドとインタフェースし、プリントヘッド上の抵抗器を
適当な時間に付勢する適当な駆動信号を提供する。
【0020】フィルタ136、138、及び140は、主要本体
部材110に取り付けられる。ねじ状ナイロン・プラグ145
は、中央キャップ116に形成された穴148に押し込まれ
る。同様に、ねじ状ナイロン・プラグ150及び152は、主
要本体部材110に形成された穴154及び156に押し込まれ
る。これらのプラグの螺旋状ねじパターンは、発泡体部
材130、132、及び134のインクが枯渇した時に、ペンが
空気を吸入できるようにする空気経路を提供する。この
螺旋状パターンの縦長で幅の狭い溝は、ペン内部から周
囲の環境に蒸気が拡散するのを防ぐ障壁として働く。
【0021】発泡体部材130は、主要本体部材110の中央
チャンバ160に挿入される。発泡体部材132は側部チャン
バ162に挿入され、発泡体部材134は側部チャンバ164に
はめ込まれる。発泡体部材130、132、及び134は、酸化
防止剤を有さないポリエーテル・ベースのポリウレタン
連続気泡発泡体で形成することが好ましい。本質的に網
状で熱硬化性のメラミン凝縮体のような、他の多孔性材
料を使用することもできる。発泡体部材を主要本体部材
に挿入した後、カバー部材114、112、及び中央カバー部
材116を、ペン内で発泡体部材130、132、及び134を囲む
ように、主要本体部材110に超音波溶接する。カバー部
材112、114、及び116を溶接するステップが完了した
後、発泡体部材130、132、及び134にインクが注入され
る。
【0022】主要本体部材110は、前述の中央チャンバ1
60、及び側部チャンバ162及び164を含む単一の単体部品
として形成される。主要本体部材110は、マニフォール
ド部166を含み、そのマニフォールド部は、インク・チ
ャンバ160、162、及び164からプリントヘッドに向かっ
てへインクを送る。主要本体部材110は、ペン本体の他
の部分と同様に、15%のガラス充填を有するガラス充填
PET(ポリエステル)で製作される。
【0023】マニフォールド166は、中央インク・パイ
プ168、及び2つの側部インク・パイプ170と172を含
む。インク・パイプ168は、底壁174から上向きに延び、
インク・パイプ170と172は、側壁176と178から外側に延
びる。インク・パイプ168、170、及び172は、それぞれ
のインク・チャンバからインクを受け取るインク入口を
形成する。これらのインク・パイプは、サイズが9.6mm
×4.5mmの矩形断面を有し、従って、内部断面積は43.2m
m2である。フィルタ136は、ステンレス合金ワイヤ・メ
ッシュで形成され、図のように中央インク・パイプ168
に熱かしめ接合される。同様に、ステンレス合金ワイヤ
・メッシュ・フィルタ138と140を、図のように側部イン
ク・パイプ170と172に熱かしめ接合する。これらのフィ
ルタは、それらが取り付けられるインク・パイプと同じ
有効濾過面積、即ち、43.2mm2を有する。このフィルタ
の名目濾過能力は約15ミクロンであり、典型的な厚さは
約0.15mmである。
【0024】これらのフィルタは、異物及び気泡が発泡
体からインク・パイプに進入するのを防ぐ。フィルタ
は、フィルタを通過するインクのスパイク・サージ(s
piked serge)を防止する重要な機能も提供
する。このワイヤ・ストランド間の空間は、流体絞りと
して作用し、フィルタを通過する流体の速度の指数関数
に基づいて流体の流れに抵抗を与える。従って、インク
が、例えば印刷時のようにフィルタを低速で通過する場
合、名目抵抗がフィルタにおいて満たされる。フィルタ
がないと、例えばインク滴が落下することによってペン
が振動する場合、インクのサージによって、空気が容易
にプリントヘッドの付勢チャンバに吸入され、このチャ
ンバのプライミングが失われることになる。しかし、フ
ィルタが所定の位置にあると、フィルタを通過する急速
な流体の流れの大部分が回避され、その結果、空気の吸
入は行われない。
【0025】図5に示すように、中央発泡体部材130は
Z軸方向から中央チャンバ160に挿入され、中央インク
・パイプ168及びフィルタ136によって圧縮される。中央
発泡体部材130は、図のように、インク・パイプ168及び
フィルタ136上で下向きに圧縮され、インク・パイプ168
及びフィルタ136の周囲近辺に広がる。摩擦係合のため
に、インク・パイプ168及びフィルタ136の周囲近辺での
発泡体部材130のこのような圧縮及び重なりは、Z軸方
向に対して垂直な方向の発泡体部材130の動きを著しく
制限する。同様に発泡体部材132は、図5に示したX軸
方向から側部インク・チャンバ162に挿入され、側部イ
ンク・パイプ170及びフィルタ138の周囲近辺で圧縮さ
れ、前記周囲近辺で側部インク・パイプ170及びフィル
タ138の形状に順応する。図のように、発泡体部材134は
X軸方向からインク・チャンバ164に挿入され、インク
・パイプ172及びフィルタ140の周囲近辺で圧縮され、前
記周囲近辺でインク・パイプ172及びフィルタ140の形状
に順応する。発泡体部材132と134がそれぞれのインク・
パイプ及びフィルタの近辺で圧縮されることと、インク
・パイプ及びフィルタの周囲の摩擦係合が、X軸方向に
対して垂直方向での発泡体部材132及び134の動きを著し
く制限する。
【0026】発泡体部材130、132、及び134がそれぞれ
のインク・パイプ及びフィルタの近辺で圧縮されること
によって、それぞれのインク・パイプ及びフィルタの領
域での発泡体部材の毛管作用が増大する。この毛管作用
の増大のために、インクがインク・パイプ168、170、及
び172の方に吸引される。インクは、これらの導管から
プリントヘッド142の裏側に送られ、そこから、プリン
タから受け取った信号に応じて印刷媒体上に噴射されう
る。
【0027】プリントヘッド142は、電子機器グレード
のシリコン・ウェハで形成された基板に基づくものであ
る。抵抗器、導体、インク・チャネル・アーキテクチ
ャ、及びその他のプリントヘッド構成要素は、集積回路
の製造で使用されるものと同じ、フォトリソグラフィッ
ク技法を使用して基板上に形成される。プリントヘッド
142は、フェース・シュータ設計であり、これは、イン
クが基板の後方の位置から基板に送られ、インク滴が基
板表面に対して垂直に噴出されることを意味する。イン
クがプリントヘッドの裏面に送られるので、フェース・
シュータ・プリントヘッドでのインク・パイプの自然な
配向は、印刷媒体に垂直で、印刷媒体から離れる方向を
指し、走査方向に直交するものである。裏面からプリン
トヘッド表面にインクを供給することの1つの利点は、
プリントヘッドとインクの接触が、印刷が進行する際に
プリントヘッドから熱を除去するヒート・シンクとして
作用することができることである。
【0028】図から分かるように、プリントヘッド142
の幅W1は、ペン全体の幅W2よりもかなり小さい。前述の
ように、プリントヘッド内の構成要素は比較的高価であ
るので、プリントヘッドのサイズを最小限に抑えること
は、ペン全体のコストを最小限に抑える上で重要であ
る。プリントヘッド142の裏面では、異なる色のインク
間のインク間インタフェースが1つしか発生しないこと
も明らかである。具体的には、接着層144が異なる色の
インクを互いに離して維持する。従って、ペン24が比較
的多量のインクを備え、比較的小さなプリントヘッドを
有する場合でも、マニフォールド機構166によって、プ
リントヘッドがインク間インタフェースを1つだけ有す
ることが可能になる。言い換えると、ある色のインクが
他の色の専用のチャンバに漏れる可能性のある、プリン
トヘッド内の別の位置に継ぎ目やその他の接続部はな
い。インク間インタフェースが1つしかないというこの
有益な特徴は、主要本体部材110の一部として形成され
た新規のマニフォールド166によって達成される。従っ
て、インク・チャンバ・カバー部材の取付け領域が他の
インク間インタフェースを提供し、インクが混合される
固有の危険性を有する、前の世代の多色HPペンと比べ
て、インク間インタフェースが排除されている。
【0029】中央チャンバ160は、側壁176と側壁178の
間の空間によって画定され、底壁174から上向きに延び
る。側部チャンバ162及び164はそれぞれ、側壁176及び1
78の外側になるように画定される。インク・パイプ168
は、底壁174から上向きに延び、中央発泡体部材130に圧
接する。内壁176及び178は底壁174から上向きに延び
る。インク・パイプ170及び172はそれぞれ、図のよう
に、内壁176及び178から外側に延び、それぞれの発泡体
部材132及び134に圧接する。マニフォールド166は、3
つのインク出口183、184、及び185を有する。プリント
ヘッド142は、3つのノズル群186、187、及び188を有す
る。図から分かるように、中央インク・パイプ168は、
中央インク出口184に流体連通し、従って中央ノズル群1
87に流体連通する。側部インク・パイプ170は、出口183
に流体連通し、従ってノズル群186に流体連通する。側
部インク・パイプ172は、出口185に流体連通し、従って
ノズル群188に流体連通する。
【0030】インク・パイプ168、170、及び172が、発
泡体に圧接するように延びて、インク・パイプの領域で
発泡体の毛管作用を増大させることは重要である。フィ
ルタ136、138、及び140は、この圧縮を助けるという重
要な役割も果たす。上述の本発明の出願人による前の世
代のペンでは、これらのインク・パイプは、ペンの底壁
から上向きに、全て同じ方向へ延びている。これらのイ
ンク・パイプは、全て同じ方向、即ち、上向きでペンの
底壁から離れる方向に配向されている。しかし、本発明
で図示されるペンでは、底壁174から離れて上向きに延
びるのはインク・パイプのうちの1つ、即ちインク・パ
イプ168だけである。他の2つのインク・パイプ170及び
172は、外側に向かって、それぞれのインク・チャンバ
内に延びる。
【0031】ペン24のサイズを以下の表1に示す。この
サイズは、主インク・キャビティ部124に関して示され
たものであり、ノーズ部126は無視されている(図
3)。上述のペン24の各部に関して、幅はX軸に沿って
とったものであり、長さはY軸に沿ってとったものであ
り、高さはZ軸に沿ってとったものである。図5に示し
たように、中央チャンバ160の底部幅はW3であり、頂部
幅はW4である。チャンバ162、及び164の底部幅はそれぞ
れW5、W7であり、頂部幅はそれぞれW6、W8である。特に
示されたものを除き、全てのサイズはミリメートル単位
で示される。側壁176及び178のそれぞれは、ペンの外側
に向かって1%の抜けこう配を有し、それによってチャ
ンバ162及び164の幅が底部から頂部に向かって1%のこ
う配で減少する。
【0032】
【表1】
【0033】以下の表2は、3つのインク・チャンバ16
0、162、及び164の高さをそれぞれの幅と比較したもの
である。3つのチャンバはそれぞれ、その高さによって
異なる幅を有するので、高さ/幅の比較は、各チャンバ
の底部幅、頂部幅、及び平均幅に関して行われている。
【0034】
【表2】
【0035】従って、高さ/幅の比率は全て6以上であ
り、この比率のうちの大部分は7以上である。この比率
は約6.5ないし約8.5の範囲にある。チャンバの平均幅を
使用した高さ/幅の比率は全て7以上であり、約7.5に
近い。長さ/幅の比率は全て5以上である。この比は、
約5.5ないし約7の範囲にある。チャンバの平均幅を使
用した長さ/幅の比率は全て、約6ないし6.25の範囲に
ある。
【0036】ペン24のチャンバのサイズ及びサイズの比
率は、本発明の出願人であるヒューレット・パッカード
社が製作した前の世代のペンの対応する値と比較するこ
とができる。以下の表3は、一般に知られ広く使用され
ている型式番号で識別された前の世代のHPペンのサイズ
及び主要なサイズの比率を示すものである。
【0037】
【表3】
【0038】表3に示したように、DeskJetの51625Aカ
ラー・ペンの高さ/幅の比率は2.96であり、長さ/幅の
比率は1.80である。しかし、解決しなければならない問
題は、DeskJet51625Aカラー・ペンのチャンバの「幅」
がどのようなものであるかということである。上記の表
では、媒体移動方向の最も狭いサイズが幅のサイズとし
て選択されている。(プリンタにペンを設置した時の)
走査方向に沿ったサイズが幅として選択された場合、上
記表中の幅の測定値と長さの測定値が入れ替わる。5162
5Aカラー・ペンのチャンバは、横方向に配向し、又は、
走査方向ではなく用紙移動方向に横に配列されるので、
用紙移動方向でより幅が狭い。この横配向のために、イ
ンク・チャンバからプリントヘッドにインクを送る複雑
なマニフォールドが必要になる。このマニフォールド
は、個別の部品として形成され、ペンの底部に接着剤、
あるいは超音波溶接で取り付けられなければならない。
従って、このマニフォールドは、ペン部品が相互に取り
付けられた位置で異なる色のインク間の望ましくないイ
ンク間インタフェースの追加をもたらす。
【0039】PaintJet51606Aカラー・ペンの高さ/幅の
比率は4.89であり、長さ/幅の比率は4.86である。従っ
て、PaintJetカラー・ペンのチャンバは、側部から見た
時に正方形に近い断面を有し、小さな縦横比を有するも
のとみなすことができる。PaintJetカラー・ペンは、プ
リントヘッドの領域内においてペン本体部品間の複数の
インク間インタフェースの問題を回避する。しかし、こ
れらのペンは、非常に幅の広いプリントヘッドを有する
という望ましくない特徴を有する。この幅の広いプリン
トヘッドは、高価であり、かつ3つの色に対応するノズ
ル群を、改良された印刷品質のための望ましい位置より
もかなり離れた位置に配置する。
【0040】ペン24のチャンバの高さ/幅の比率が、Pa
intJetカラー・チャンバの高さ/幅の比率よりも35%な
いし73%だけ大きいことに十分留意されたい。絶対高さ
に関しては、ペン24のチャンバの高さは、約70mm(ノー
ズ部126を除く)であるが、PaintJetカラー・チャンバ
の高さは33mmに過ぎない。従って、ペン24のチャンバの
高さは、PaintJetカラー・ペンのチャンバの高さよりも
2倍以上も高い。
【0041】従来のHPの発泡体ベースのペンでは、イン
ク・パイプが上向きに延びてペンの内壁底部から発泡体
内に入っていた。プリントヘッド表面及び印刷媒体に垂
直なこの上向きの配向は、フェース・シュータのペンに
おけるインク・パイプでは自然な配向である。しかし、
ペン24の絶対高さ及びその高さ/幅の縦横比のために、
インクを滞留させる発泡体のしわ又はその他の異常をも
たらさずに、頂部からインク・チャンバ内に発泡体を装
填することは困難である。
【0042】又、ペン24は、高さ/幅の比率と長さ/幅
の比率が共に4以上なので、縦横比の小さなインク・チ
ャンバを有する。ペン24中のインク・チャンバは、表2
に示したように小さな縦横比の範囲を有するが、発泡体
部材は、縦横比の小さなインク・チャンバに関連する上
述の問題をもたらさずに、それぞれのチャンバ160、16
2、及び164に装填される。これは、様々な要因によるも
のである。第1に、発泡体部材は大幅にフェルトされ、
そのため、これらの発泡体部材には高い剛性が与えられ
る。更に、発泡体部材はそれぞれのチャンバの内部キャ
ビティのサイズに近い最終サイズを有するようにフェル
トされる(フェルトについては、図6及び図7に関して
更に詳しく説明する)。上から下に向かって装填しなけ
ればならない中央チャンバ160では、チャンバは、底部
近くよりも頂部近くの方が大きな幅を有し、そのため、
チャンバの壁は、発泡体が装填されるにつれて発泡体を
徐々に圧縮する。
【0043】最後に、ペン24の外側チャンバ162及び164
は、頂部からではなく側部に開口され、発泡体部材132
及び134が外側側部から装填される。このため、発泡体
部材132及び134は、非常にわずかな距離(約9mm)だけ
ペン本体に装填すれば、インク・パイプに圧接する。従
って、インクの滞留や、インク・パイプとの接触の不確
実さのような、発泡体の挿入に関係する問題が最小限に
抑えられる。
【0044】検討しなければならない重要な問題は、ペ
ン本体部品を形成するために使用しなければならない成
形プロセスである。インクジェット・ペンの本体は通
常、射出成形されたプラスチックで形成される。前の世
代のHPの発泡体をベースとしたペンのチャンバでは、イ
ンク・パイプがチャンバの底部から上向きに延び、前記
チャンバは、チャンバの頂部から始まる開口部から発泡
体が挿入されるように形成される。従って、このチャン
バは、深い内部キャビティとして形成される。そのよう
な深いキャビティを形成するには、成形部品が、成形さ
れるプラスチック部品内に深く延びていかなければなら
ない。3チャンバ付きペンの場合、そのような3つの成
形部品を近接して並置しなければならない。鋳型内と成
形部品の周りにプラスチックを注入してペン本体を形成
した後、インク・チャンバから深い鋳型部分を除去しな
ければならない。高さ/幅の比率及び/又は長さ/幅の
比率が大きいほど、成形済み部品にダメージを与えるこ
となくこのような鋳型部分を除去することは困難にな
る。発泡体が上から下に挿入されるように、ペン24内の
全ての3つのチャンバを深いキャビティとして形成した
場合、並置されたそのような深い3つのチャンバから内
部成形部品を取り除くことが困難なので、成形組立の設
計は、可能であるにしても、非常に困難なものとなる。
【0045】中央チャンバ160は、深いキャビティとし
て形成される。しかし、そのような深いチャンバに伴う
問題は、中央チャンバでは、底部から頂部の方に向けて
幅が広くなるように中央チャンバを形成することによっ
て、ある程度解消される。ペンの外部がほぼ矩形の形状
を有するので、外側チャンバは、底部から頂部の方に向
けて幅が狭くなるようにしなければならない。従って、
1つのチャンバ(中央チャンバ)がそのような広くなっ
ていく幅を有することは可能であるが、ペンが矩形でな
い外形要素を有し、あるいは、ペンの壁が均一でない厚
さを有さない限り、全ての3つのチャンバがそのような
広くなっていく幅を有することは不可能である。これら
の代替策はいずれも望ましくない。
【0046】発泡体本体部材130、132、及び134は、ペ
ン24に挿入される前に「フェルト」されなければならな
い。前述の通り、発泡体本体部材130、132、及び134
は、網状のポリウレタン発泡体で形成することが望まし
い。フェルトとは、発泡体が加熱と圧縮を同時に施され
る処理であり、これによって発泡体は、凝固して圧縮状
態を保持する。フェルト処理について、図6及び図7に
関連して説明する。フェルトを行う前で、発泡体の平均
の孔のサイズは2.54cm(1インチ)当たり85ないし90個で
あり、密度は、0.028m3(1立方フィート)当たり約0.59K
g(約1.3lb)であり、厚さは約5.84cm(約2.3インチ)で
ある。
【0047】図6及び図7では、2つのフェルト・プレ
ス210及び212が用いられて網状のポリウレタン発泡体部
材214がフェルトされる。図7に示したように、フェル
ト・プレス210及び212をより接近させて発泡体部材214
を圧縮する。同時に、フェルト・プレス210及び212を介
して熱が加えられる。これによって、発泡体部材214の
内部構造が凝固して、図7に示した圧縮構成が保持され
る。発泡体は360゜Fで35分間フェルトされる。フェルト
後、発泡体の厚さは約1.07cm(約0.42インチ)になる。
従って、図6に示した未圧縮状態と比べて、発泡体本体
部材130、132、及び134は、ペン本体に挿入される前に
合計で548%フェルトされる。言い換えれば、発泡体
は、フェルト前の状態の約18%にフェルトされる。ペン
24で使用される発泡体は、前の世代のHPペンよりもかな
り大幅にフェルトが施される。
【0048】大きな発泡体のスラブをフェルトして、こ
のスラブから発泡体部材を切り出す。発泡体部材は、鋸
あるいは押し型で切断することもできる。より効率的で
廉価であるという点では押し型が好ましい。フェルトに
よって発泡体本体の押し型は更に容易になる。なぜな
ら、フェルトされた発泡体はより硬くなり、押し型処理
の間に縁部の近辺が転動することを抑制するからであ
る。発泡体がフェルトされない場合、発泡体はそれほど
硬くなく、押し型処理の間に縁部が過度に転動する。発
泡体本体をフェルトし、押し型処理を行う場合でも、発
泡体本体のある縁部、具体的には、縁部218、220、及び
222のような、図4に示したZ軸に平行な縁部と、図示
していない他のZ軸に垂直な縁部がより直角になるよう
に鋸で切断する仕上げステップを実行することが好まし
い。
【0049】フェルト処理の利点は、それが、発泡体部
材をペン本体に挿入する上で助けとなることである。こ
れは、中央発泡体部材130について特に当てはまる。フ
ェルト処理によって、発泡体は、図4及び図5に示すZ
軸方向で更に硬くなる。中央チャンバ160は特に縦長で
あり、幅が狭い。そのような縦長で幅の狭いチャンバに
発泡体部材を挿入することは困難である。しかし、フェ
ルト後の発泡体の剛性のために、発泡体部材を中央チャ
ンバ内に、より容易に挿入することができ、かつ発泡体
内にしわ又は均一でない部分が生じる可能性が低減され
る。発泡体が局所的に強く圧縮される各位置では、発泡
体がわずかに強い毛管作用を有し、これらの位置で、あ
る量のインクが滞留するため、こうした均一でない部分
を除去することは極めて重要である。
【0050】更に、この剛性は、インク・パイプ168と
発泡体部材130の間の正の圧縮及び密封を維持する上で
も助けとなる。発泡体部材132及び134は、側部チャンバ
162及び164にかなり容易に挿入される。しかし、この配
向でも、フェルト処理によって達成される追加の剛性
は、発泡体本体132及び134とインク・パイプ170及び172
の圧接を維持する上で助けとなる。全ての3つのチャン
バ内の発泡体に関して、フェルト軸、即ちフェルト方向
は同じであり、フェルト・プレス210及び212がフェルト
処理の間に移動する方向、即ち、図6及び図7に示した
X軸方向である。
【0051】前述の通り、中央チャンバ160は、底部付
近あるいは底壁174に近い部分よりも頂部付近の方が幅
が広い。フェルト後の中央発泡体部材130は、ほぼ中央
チャンバの頂部付近の幅となる。従って、中央発泡体部
材130は、中央チャンバ160に挿入されるにつれて、内壁
176及び178によって更に圧縮される。
【0052】中央チャンバ内への発泡体の装填は、ペン
24で使用される発泡体のスラブの「正味に近い」サイズ
のために前の世代のペンを上回る改良がなされている。
インク・チャンバ・キャビティの体積と挿入前の発泡体
の体積の比較を、以下の表4に記載する。
【0053】
【表4】
【0054】従って、前の世代のHPの発泡体ベースのペ
ンでは、発泡体/キャビティの体積比率は約1.5以上の
付近のものである。これは、チャンバに挿入される前の
発泡体の全体体積が、発泡体が挿入されるチャンバの実
際の体積よりも少なくとも50%大きいことを意味する。
このことは、挿入処理の間に発泡体をチャンバ内に圧搾
することを要求する。この圧搾では、発泡体を何らかの
手段で圧縮しながら、チャンバ内に挿入するための特別
な機械を必要とする。
【0055】本発明が開発される前には、発泡体、ペン
の内壁、及びインク・パイプの間の適当な圧接を達成す
るためにこのような発泡体の余分な挿入前体積が必要で
あると考えられていた。しかし、ペン24内の発泡体のフ
ェルトが高められたため、剛性が著しく高くなり、発泡
体部材は、それがキャビティに挿入される前のキャビテ
ィの体積により近いものにすることができる。表3に示
したように、ペン24の発泡体部材は、キャビティの体積
の1.23倍ないし1.26倍の挿入前体積を有する。従って、
発泡体部材は、キャビティの体積の約125%の挿入前体
積を有し、これが圧縮されて実際に、挿入後の体積に変
わる。挿入後体積の130%よりも小さい挿入前体積が好
ましく、約125%の挿入前体積がより好ましい。挿入後
体積の130%より少ない挿入前体積は、「正味サイズに
近いサイズ」とみなされる。
【0056】図9は、ノズル群188から噴射されるイン
クの体積の関数としての、中央チャンバ160からノズル
群に提供される液体の負圧、即ち背圧のグラフである。
図から分かるように、背圧は前記体積にほぼ比例して増
加し、ある点で指数関数的に増加し始める。
【0057】図10は、ノズル群186及び190から噴射され
るインクの体積の関数としての、ノズル群186及び190に
提供されるインクの背圧のグラフである。図から分かる
ように、これらの側部チャンバ内の背圧の曲線は、図9
の曲線よりもゆるやかな勾配を有する。曲線のこのゆる
やかな勾配は、側部チャンバ内のノズル群に提供される
インクへの背圧がより均一であり、そのため、この側部
チャンバから印刷を行うと印刷品質が向上することを意
味する。更に、背圧曲線の勾配がよりゆるやかであるで
あることは、より安定したサイズのインク滴が提供され
るだけでなく、曲線の大部分が受け入れ可能な背圧の範
囲であることも意味する。このことは、発泡体から、よ
り多くのインクが得られることを意味する。従って、中
央チャンバの背圧曲線は、外側チャンバほど理想的なも
のでないことが分かる。
【0058】図11は、孔のサイズは一様であるが、断面
形状が台形である網状のポリウレタン発泡体234の本体
を示す。ここで、この中央発泡体本体を中央チャンバに
挿入し、また好ましくは、図12に示したようなフェルト
方向にフェルトされ、頂部付近でより小さなサイズの孔
を有する発泡体スラブを形成する。従って、この発泡体
スラブは、中央チャンバに挿入された時に、チャンバの
頂部付近でより大きな毛管作用を有し、よりゆるやかな
勾配の背圧曲線を達成する。発泡体部材は、製造プロセ
ス中、例えばフォーミング・プロセス中に、所望の毛管
作用の勾配を有するように形成することもできる。実
際、発泡体製造業者は通常、製造プロセスの自然な結果
として発生する意図しない毛管作用の勾配をなくすステ
ップを取る必要がある。自然に発生するこのような毛管
作用の勾配は、所与の発泡体部材で所望の毛管作用の勾
配を達成するように制御することができる。
【0059】図13は、ペン24がどのように充填されるか
を示す。充填部材240は、それぞれ、3つの注射針242、
244、及び246が取り付けられた、3つの別々のインク供
給機を含む。これらの注射針は、穴148、154、及び156
(図4)に挿入されるように設計されている。充填後
は、プラグ145、150、152がそれぞれの穴に押し込まれ
る。
【0060】インクジェット・ペンの他の実施例を図14
に示す。この実施例は、単一色又はブラックのインクを
保持するためのものに過ぎない。このペン全体が276で
示されており、単色プリンタにおいて単一のペンとして
使用することも、図1に示したペン24のような多色ペン
と共に黒色ペンとして使用することも、また1つの黒色
ペンと、各原色ごとに1つのペンの4つのペンのセット
の一部として使用することもできる。図のペンは、主要
本体部材280によって形成されたインク・チャンバ278、
カバー部材282、及び発泡体部材284を含む。主要本体部
材280は、インク・パイプ286とマニフォールド288を含
むように単体成形される。ステンレス合金メッシュ・フ
ィルタ290は、インク・パイプ286に取り付けられる。プ
リントヘッド292は図のように、接着剤によって主要本
体部材280に取り付けられる。カバー部材282は、ペン内
で発泡体部材284を取り囲むように主要本体部材280に超
音波溶接される。
【0061】主要本体部材280は、図のように、幅がペ
ンの頂部に向かうにつれて減少する台形の断面を有す
る。発泡体部材284は矩形の断面を有する。発泡体部材2
84は、主要本体部材280に挿入され、そのため、インク
・パイプ286及びフィルタ290が発泡体284を局所的に圧
縮し、その結果、毛管作用が局所的に増大した領域がも
たらされ、インク・パイプ286にインクが吸引される。
主要本体部材280が台形の断面をなしているために、発
泡体部材284は、主要本体部材280に挿入された時に、主
要本体部材280の頂部に向かうにつれて徐々に増加する
毛管作用の勾配も有する。発泡体部材284は、発泡体部
材130及び134と同じサイズであり、かつ同じ量だけフェ
ルトされる。主要本体部材280は、チャンバ162及び164
と同じサイズを有する。従って、図14に示した組み立て
ペンは、主要本体部材280が均一な幅の断面を有する場
合よりも望ましいゆるやかな勾配を有する毛管作用の圧
力曲線を有する。
【0062】図15は、単色ペンの他の実施例を示す。こ
のペン全体が296で示されており、主要本体部材300で形
成されたインク・チャンバ298、発泡体部材302、カバー
部材304、インク・パイプ306、マニフォールド308、ワ
イヤ・メッシュ・フィルタ310、及びプリントヘッド312
を含む。この実施例では、主要本体部材300は矩形の断
面を有するが、発泡体部材302は、幅が頂部に向かうに
つれて増加する台形の断面を有する。この実施例では、
ペンの頂部に向かうにつれて増加する毛管作用の勾配
は、より大きな発泡体がペン本体内に圧縮されたために
増大された、図のペンの頂部に向かうにつれて増加する
圧縮力によって提供される。
【0063】図15に図示した実施例では、発泡体は、均
一な幅を有するように均一にフェルトされる。フェルト
後、発泡体は台形の断面を有するように切断される。図
15に示したペンは、発泡体部材302が矩形の断面を有す
る場合に提供されるよりも平坦な毛管作用の圧力曲線を
有する。しかし、標準の矩形発泡体スラブよりも非矩形
断面を有する発泡体部材を提供する方が高価なので、図
14に示したペンの方が、図15に示したペンより好まし
い。相対的に言えば、不規則な断面を有する主要本体部
材280のようなプラスチック部品を製造した方がずっと
廉価である。
【0064】以下に本発明の実施態様を列挙する。
【0065】1. インクジェット印刷システム用のイ
ンク格納装置であって、重力基準系において考えられる
頂部と底部を有するように前記印刷システム内で配向さ
れ、インク・チャンバ、前記インク・チャンバに挿入さ
れ、前記インク・チャンバの底部から前記インク・チャ
ンバの頂部に向かって全体的に増大する毛管作用を有す
る多孔性部材、及び前記多孔性部材に格納されたインク
本体を備えることを特徴とするインク格納装置。
【0066】2. 前記インク・チャンバに流体連通さ
れたプリントヘッドを更に備え、前記インク・チャンバ
が、その底部から高さに沿って上向きに延びるにつれて
減少する幅を有することを特徴とする、項番1に記載の
インクジェット・ペン。
【0067】3. プリントヘッド、前記プリントヘッ
ドに流体連通された中央インク・チャンバ、前記中央イ
ンク・チャンバのどちらかの側上に走査方向に取り付け
られた、2つの側部インク・チャンバであって、それぞ
れの側部インク・チャンバが、前記プリントヘッドに流
体連通され、その底部から頂部に向かうにつれて全体的
に減少する幅を有する側部インク・チャンバ、前記中央
チャンバ及び側部インク・チャンバの各々に取り付けら
れた前記多孔性部材、及び前記多孔性部材の各々に充填
されたインク本体を備えることを特徴とする、項番2に
記載のインクジェット・ペン。
【0068】4. 前記多孔性部材の各々が、前記イン
ク・チャンバの各々に挿入される前にほぼ均一な幅を有
していることを特徴とする、項番1ないし3のいずれか
に記載のインク格納装置又はペン。
【0069】5. 前記各インク・チャンバの底部近辺
の位置で前記各多孔性部材に圧接するように延びて、前
記各インク・パイプの領域内で前記各多孔性部材を局所
的に圧縮し、前記各インク・パイプが前記プリントヘッ
ドに流体連通された前記インク・パイプを更に備えるこ
とを特徴とする、項番1ないし4のいずれかに記載のイ
ンク格納装置又はペン。
【0070】6. 前記各インク・パイプに取り付けら
れ、前記各多孔性部材に圧接するように延びる、フィル
タを更に備えることを特徴とする、項番1ないし5のい
ずれかに記載のインク格納装置又はペン。
【0071】7. 全体にわたって減少する前記幅が、
前記走査方向に測定されることを特徴とする、項番2な
いし6のいずれかに記載のインク格納装置又はペン。
【0072】8. 前記多孔性部材が、前記各インク・
チャンバに挿入される前に、前記走査方向にフェルトさ
れる合成発泡体であることを特徴とする、項番1ないし
7のいずれかに記載のインク格納装置又はペン。
【0073】9. 項番2ないし8のいずれかに記載の
インク格納装置又はペンを製造する方法であって、底部
から高さに沿って上向きに延びるにつれて減少する幅を
有するインク・チャンバを提供するステップ、前記イン
ク・チャンバに発泡体部材を挿入するステップ、前記イ
ンク・チャンバ内で前記発泡体部材を取り囲むように、
前記インク・チャンバにカバー部材を取り付けるステッ
プ、及び前記各発泡体部材にインクを充填するステップ
を含む前記方法。
【0074】10. 前記各発泡体部材を前記インク・チ
ャンバに挿入する前に少なくとも約500%にフェルトす
るステップを更に含む項番9に記載の方法。
【0075】11. インク格納装置又はペンを提供する
方法であって、前記インク・チャンバの底部から前記イ
ンク・チャンバの頂部に向かって全体的に増大する毛管
作用を有する内部発泡体部材をインク・チャンバに提供
するステップ、及び前記発泡体部材にインクを充填する
ステップを含むことを特徴とする前記方法。
【0076】12. 前記各発泡体部材に針部材を挿入す
るステップ、及び前記各発泡体部材内にインクを注入す
るステップを更に含むことを特徴とする、項番11に記載
の方法。
【0077】
【発明の効果】本発明によって、インク・チャンバ内の
重力による圧力水頭の問題が解決される。このことによ
って、より大きなインク体積を有する、より高さの高い
インク・チャンバを可能にし、しかも、チャンバ内のイ
ンク柱に起因する重力による圧力水頭の増大に関連する
付加的問題を生じない、インクジェット・プリンタ用の
インク格納メカニズムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット・ペンを使用するプリ
ンタの部分断面斜視図である。
【図2】図1のペン24の斜視図である。
【図3】ペン24の側面図である。
【図4】ペン24の分解図である。
【図5】図3を左から見て、図3の部分線5-5に沿っ
た、主要本体部分110の部分断面図である。
【図6】発泡体部材のフェルト・メカニズムの側面図で
ある。
【図7】発泡体部材のフェルト・メカニズムの側面図で
ある。
【図8】中央発泡体部材130用の低摩擦カバー・シート2
30を形成する順次ステップを示す図である。
【図9】中央チャンバ160に関する背圧曲線のグラフで
ある。
【図10】側部チャンバ162及び164に関する背圧曲線の
グラフである。
【図11】中央発泡体部材130に関する代替実施例234の
形成処理を示す図である。
【図12】中央発泡体部材130に関する代替実施例234の
形成処理を示す図である。
【図13】充填メカニズムの斜視図である。
【図14】本発明の単一チャンバ・ペンの分解断面図で
ある。
【図15】本発明の単一チャンバ・ペンの他の実施例の
分解断面図である。
【符号の説明】
10 プリンタ 12 ハウジング 14 キャリッジ 16 制御装置 18 キャリッジ駆動モータ 20 用紙駆動モータ 22 単色ブラック・ペン 24 複数チャンバ3色ペン 26 印刷媒体 28 ベルト 30 伝動メカニズム A 印刷ゾーン

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクジェット印刷システム用のインク格
    納装置であって、重力基準系において考えられる頂部と
    底部を有するように前記印刷システム内で配向され、 インク・チャンバ、 前記インク・チャンバに挿入され、前記インク・チャン
    バの底部から前記インク・チャンバの頂部に向かって全
    体的に増大する毛管作用を有する多孔性部材、及び前記
    多孔性部材に格納されたインク本体を備えることを特徴
    とするインク格納装置。
JP28157595A 1994-10-31 1995-10-30 毛管作用の勾配を有するインクジェット・ペン Pending JPH08207302A (ja)

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