JP5751960B2 - コンクリートブロック製造型枠、擁壁用l字型コンクリートブロック製造方法 - Google Patents
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Description
このコンクリートブロック製造型枠によって形成されるコンクリートブロックは、垂直部及び垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックである。
コンクリートブロック製造型枠は1つのコンクリートブロックを製造するために二日ほど使用されることから、例えば短期的に大量に擁壁用L字型コンクリートブロックを製造する場合、多数のコンクリートブロック製造型枠を用意しなければならない。
ところが、コンクリートブロック製造型枠を多数用意することは、コスト的にも、またコンクリートブロック製造型枠を設置するスペース的にも、負担が大きい。
このことから結局、擁壁用L字型コンクリートブロックは、短期間に大量に製造することが困難となっている。
また上記コンクリート打設空間は、上記成形基板を上記載置架台に載置した状態において、上記成形基板と、上記垂直部の側面を規定する上記載置架台に設けられた側壁部と、上記傾斜底板部の一面を規定する傾斜底板成形板とによって形成される。そして上記側壁部は、上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートから離間可能に形成され、また上記傾斜底板成形板は、上記成形基板に対して着脱可能とされている。上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートと上記成形基板を一体的に上記載置架台から取り外す際には、上記傾斜底板成形板が上記成形基板から取り外され、かつ上記側壁部が上記垂直部の側面から離間された状態で、上記吊り下げ部材を用いて吊り下げられることで、上記載置架台からの取り外しが行われる構造とされている。
また上記一次養生は3時間から4時間である。
また上記二次養生は、上記コンクリートを上記成形基板と一体的に水中に配置する水養生である。
成形基板を載置架台に載置した状態で、コンクリートを打設するコンクリート打設空間が形成される。このコンクリート打設空間は、垂直部とその垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの形状を規定する。
コンクリートブロック製造型枠にコンクリートを打設した後は、例えば3〜4時間程度の一次養生させて、半凝固した状態とする。なお、ここでいう半凝固とは、形が崩れない程度に半乾き状態となったことをいう。
この半凝固の状態となったら、成形基板ごとコンクリートを載置架台から取り外して搬送し、二次養生を行う。
成形基板とコンクリートが一体的に取り外された載置架台は、次のコンクリートブロック製造に用いることができる。
このことから、コンクリートブロック製造型枠の配置スペースに限度があっても、4時間程度のサイクルで効率的にコンクリートブロック製造を繰り返していくことができるという効果があり、設置スペース面、及びコスト面で非常に有効である。
<1.擁壁用L字型コンクリートブロックの構成>
<2.コンクリートブロック製造型枠の構造>
<3.製造手順>
まず図1,図2で、本実施の形態で製造される擁壁用L字型コンクリートブロックの構成を説明する。
図1A、図1Bは擁壁用L字型コンクリートブロック1を前面側及び背面側から見た斜視図である。
また図2Aは、擁壁用L字型コンクリートブロック1が盛り土の土留めに使用されている様子を示し、図2Bは複数の擁壁用L字型コンクリートブロック1が並べて配置された状態を示している。
垂直部2は、図2Aのように垂直に配置されて土留めのための壁を構成する。この垂直部2に対して、傾斜底板3は、例えば105度程度の角度をもって形成されている。
このように配置した擁壁用L字型コンクリートブロック1に対して、傾斜底板3の上面に盛り土101が置かれることで土留めがなされる。
図1A、図1Bに示すように、垂直部2の両側部には、嵌合凹部2a、嵌合凸部2bが形成されている。この嵌合凹部2a、嵌合凸部2bは、図2Bのように擁壁用L字型コンクリートブロック1が並べられて設置される際に、隣り合う擁壁用L字型コンクリートブロック1どうしで、嵌合凹部2aと嵌合凸部2bが嵌合するように形成されている。
補強リブ5の所定部位には2つのテーパー孔5a,5bが設けられている。このテーパー孔は、複数の擁壁用L字型コンクリートブロック1が並べられた際に、図2Bのように連結棒90を挿入して隣合う擁壁用L字型コンクリートブロックどうしを連結するために用いられる。
上記のような擁壁用L字型コンクリートブロック1の製造に用いる実施の形態のコンクリートブロック製造型枠の構造を図3、図4、図5で説明する。
実施の形態のコンクリートブロック製造型枠は、大きく分けて成形基板10と、傾斜底板成形板20と、載置架台30とから成る。
図3は成形基板10の斜視図である。
図4は載置架台30上に成形基板10を載置し、かつ傾斜底板成形板20を取り付けた状態のコンクリートブロック製造型枠の斜視図である。
図5は、成形基板10と傾斜底板成形板20とを、載置架台30から取り外した状態で示した斜視図である。なお、図5においては成形基板10と一体となっているコンクリート50(つまり擁壁用L字型コンクリートブロック1)も示している。
この成形基板10は、例えば鉄板で形成される。
天端部16は、垂直部2の上面(図2Aの設置状態で上端となる面)を成形する面とされる。
傾斜底板成形基部12は、擁壁用L字型コンクリートブロック1の傾斜底板3の背面(補強リブ形成側)を成形する面とされる。
この傾斜底板成形基部12の周囲三方には、傾斜底板成形枠部13が形成されており、これは傾斜底板3の両テーパー面3a、3a及び端面を成形する面となる。
この補強リブ型枠部14は、補強リブ5を成形する空間を形成している。
補強リブ型枠部14内には、テーパーピン15a、15bが取り付けられている。テーパーピン15aによって補強リブ5にテーパー孔5a,5bが形成される。
なお、ここでは吊り下げ用フック17が2つ設けられている例を示しているが、少なくとも1以上の吊り下げ用フックが設けられれば良い。
またフック形状は図示の形状に限られない。さらには、いわゆるフックではなく、吊り下げのために手がかりとなる係止部材、接合部材、磁気固着部などが設けられていても良い。即ち、クレーン等を用いて吊り下げる際に、クレーン側の吊り下げ部材に対応して係止、接合、固着される構造の吊り下げ部材が形成されていればよい。
載置架台30は、図4、図5に示すように、支持架31が箱状に組み付けられて形成されている。なお、支持架31による骨組みの形態は図示のものに限られない。また骨組みに代えて周囲を板状部材で覆うように形成してもよい。
この側壁部32,33のそれぞれは、載置架台30の骨組みを形成している断面L字状の渡し部材35,36に対して、蝶番38で取り付けられており、図4のように側壁を形成する状態と、図5のように水平に開いた状態とで開閉可能とされている。
側壁部32,33は、擁壁用L字型コンクリートブロック1の垂直部2の両側面を成形する面となる。上述のように垂直部2の両側面には嵌合凹部2aと嵌合凸部2bが形成されている。嵌合凹部2aを形成するために、側壁部32には、凸部32aが形成されており、また嵌合凸部2bを形成するために、側壁部33には、凹部33aが形成されている。
図4のように載置架台30上に成形基板10が載置され、また側壁部32,33が閉じられていることで、擁壁用L字型コンクリートブロック1の垂直部2を成形する空間が形成されることになる。
また天端止め部34から一段下がった位置に、成形基板10を載置するための基板載置部37が形成されている。
傾斜底板成形板20は、図5に示すように、傾斜底板成形面部21と、擁壁用L字型コンクリートブロック1の垂直壁基部4を成形する垂直壁基部成形面部22を有する形状とされる。
この傾斜底板成形板20は、成形基板10の傾斜底板成形基部12に対面するように取り付けられる。即ち傾斜底板成形板20の側面にはピン23が形成されており、このピン23が、成形基板10の傾斜底板成形枠部13に取り付けられた接合フックで係止されることで、傾斜底板成形板20が成形基板10に固定される。
傾斜底板成形板20が成形基板10に固定された状態で、図3に示した傾斜底板成形基部12、傾斜底板成形枠部13と、この傾斜底板成形板20の傾斜底板成形面部21によって、擁壁用L字型コンクリートブロック1の傾斜底板3を成形する空間が形成される。
上記のような本実施の形態のコンクリートブロック製造型枠を用いた擁壁用L字型コンクリートブロック1の製造手順について説明する。
実施の形態の製造手順は、次の(1)〜(4)の工程を有する。
(2)コンクリート及び成形基板10の取り外し及び搬送
(3)二次養生
(4)コンクリートの成形基板10からの取り外し
(1)コンクリート打設及び一次養生
まずコンクリートブロック製造型枠を図4の状態とする。即ち載置架台30上に成形基板10を載置する。成形基板10には、傾斜底板成形板20が取り付けられている状態とする。
上述のように、図4の状態としたコンクリートブロック製造型枠には、擁壁用L字型コンクリートブロック1の成形空間、即ちコンクリート打設空間が形成されている。このコンクリート打設空間にコンクリート50を打設する。即ちコンクリートブロック製造型枠の上面側から非凝固状態のコンクリート50を打ち込む。
この状態で、一次養生を行う。例えば3〜4時間程度放置し、コンクリート50が半凝固状態(形が崩れない程度の半乾き状態)とする。
一次養生によりコンクリート50が半凝固状態となったら、コンクリート50及び成形基板10を一体的に取り外して搬送する。
図6に模式的に取り外し及び搬送の様子を示す。
まず図6Aのように、傾斜底板成形板20を成形基板10から取り外す。また載置架台30における側壁部32、33を図5に示したように開いた状態とする。これにより側壁部32,33がコンクリート50(擁壁用L字型コンクリートブロック1)における垂直部2の側面となる面から離間された状態となるようにする。
このようにした図6Aの状態で、吊り下げ用フック17に、クレーン側のワイヤー200の先端のフック201を係止し、吊り下げ可能な状態とする。
そして図6Bのようにクレーンにより吊り下げを行うことで、コンクリート50が乗った状態の成形基板10を、載置架台30から取り外して搬送する。
吊り下げて搬送する場合は、テーパーピン15a、15bがコンクリート50のテーパー孔5a,5bとなる部分に挿通している状態であるので、コンクリート50が搬送中に成形基板10から剥離することはない。
コンクリート50が乗った成形基板10を、クレーンによって、図6Cに示すように水槽300にまで搬送し、水中に配置する。そして二次養生(水養生)を例えば二日ほど行う。
なお、二次養生は、必ずしも水養生でなくてもよく、コンクリート50が乗った成形基板10を、載置架台30から取り外した状態で大気中に放置して行ってもよい。但し、コンクリートの養生として、強度を向上させるためには水養生を行うことが有効である。その点では、二次養生として水養生を行うことが好ましい。
水養生を終えたら、再びクレーンを用いて水槽から取り出す。そして成形基板10からコンクリート50を剥離する。このとき、テーパーピン15a、15bを外して剥離することになる。
剥離されたコンクリート50は、即ち擁壁用L字型コンクリートブロック1となる。
実施の形態によれば、載置架台30に対して成形基板10が取り外し可能とされ、一次養生で半凝固したコンクリート50を成形基板10ごと載置架台30から取り外して、二次養生を行うことができる。
特にコンクリートが半凝固状態であっても、成形基板10と一体的に取り扱われることで、搬送中や二次養生の際にコンクリートの形状が崩れることもない。
このため、載置架台30は3時間から4時間程度の一次養生が済めば、次のコンクリートブロック製造に使用できる。
このことから、コンクリートブロック製造型枠(載置架台30)の配置スペースに限度があっても、4時間程度のサイクルで効率的にコンクリートブロック製造を繰り返していくことができるという効果がある。
よって載置架台30を配置するスペースが狭く、載置架台30をあまり多量に配置できない場合でも、成形基板10を多数用意しておくことで、短時間に効率よくコンクリートブロック1の生産が可能となる。従って、設置スペース面で非常に有利である。
また、載置架台30や傾斜底板成形板20の数は、少なくてすむため製造設備コストの点でも有利である。
傾斜底板成形板20が、成形空間の一部を形成するため、成形基板10の構成が簡略化される。これによって成形基板10の軽量化、及び製造コストの低減を図ることができる。
コンクリートブロック製造型枠については、少なくとも成形基板10が、コンクリート50を載せた状態で載置架台30から取り外して搬送できる構成であれば、どのような構成でも良い載置架台の組み立て、細部の構造等は任意に考えられる。また成形基板10や傾斜底板成形板20、或いは載置架台30の側壁部32、33等、擁壁用L字型コンクリートブロック1の形状を規定する部位の形状は、当然ながら製造する擁壁用L字型コンクリートブロック1の形状に応じて適切に設定、変更されるべきものである。
2 垂直部
3 傾斜底板
4 垂直壁基部
10 成形基板
11 垂直部成形基部
12 傾斜底板成形基部
13 傾斜底板成形枠部
14 補強リブ型枠部
15a,15b テーパーピン15a、15b
16 天端部
17 吊り下げ用フック
18 接合フック
20 傾斜底板成形板
21 傾斜底板成形面部
22 垂直壁基部成形面部
23 ピン
30 載置架台
31 支持架
32,33 側壁部
34 天端止め部
35,36 渡し部材
37 基板載置部
50 コンクリート
Claims (5)
- 垂直部及び上記垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの製造に用いるコンクリートブロック製造型枠であって、
垂直部形成基部と、上記垂直部形成基部の一端側に形成される傾斜底板成形基部と、上記垂直部形成基部の他端側に位置する天端部を有する成形基板と、
上記成形基板を載置する載置架台と、
を有し、
上記成形基板を上記載置架台に載置した状態で、上記垂直部及び上記傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間が形成されるとともに、
上記コンクリート打設空間には、成形により擁壁用L字型コンクリートブロックに貫通孔を形成するためのテーパーピンが設けられており、
上記天端部には、上記載置架台からの取り外しの際に用いる吊り下げ部材が取り付けられており、
上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートが半凝固した状態で、該コンクリートと上記成形基板を一体的に、上記載置架台から取り外すことが可能に形成されており、
上記コンクリート打設空間は、
上記成形基板を上記載置架台に載置した状態において、上記成形基板と、上記垂直部の側面を規定する上記載置架台に設けられた側壁部と、上記傾斜底板部の一面を規定する傾斜底板成形板とによって形成され、
上記側壁部は、上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートから離間可能に形成され、
また上記傾斜底板成形板は、上記成形基板に対して着脱可能とされており、
上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートと上記成形基板を一体的に上記載置架台から取り外す際には、上記傾斜底板成形板が上記成形基板から取り外され、かつ上記側壁部が上記垂直部の側面から離間された状態で、上記吊り下げ部材を用いて吊り下げられることで、上記載置架台からの取り外しが行われる構造とされている
コンクリートブロック製造型枠。 - 上記傾斜底板成形板が上記成形基板から取り外された状態において、上記載置架台の上記傾斜底板成形板側が開放されている請求項1に記載のコンクリートブロック製造型枠。
- 垂直部及び上記垂直部に連続する傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロックの製造方法として、
垂直部形成基部と、上記垂直部形成基部の一端側に形成される傾斜底板成形基部と、上記垂直部形成基部の他端側に位置する天端部を有する成形基板と、
上記成形基板を載置する載置架台と、
を有し、
上記成形基板を上記載置架台に載置した状態で、上記垂直部及び上記傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間が形成されるとともに、
上記コンクリート打設空間には、成形により擁壁用L字型コンクリートブロックに貫通孔を形成するためのテーパーピンが設けられており、
上記天端部には、上記載置架台からの取り外しの際に用いる吊り下げ部材が取り付けられており、
上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートが半凝固した状態で、該コンクリートと上記成形基板を一体的に、上記載置架台から取り外すことが可能に形成されており、
上記コンクリート打設空間は、
上記成形基板を上記載置架台に載置した状態において、上記成形基板と、上記垂直部の側面を規定する上記載置架台に設けられた側壁部と、上記傾斜底板部の一面を規定する傾斜底板成形板とによって形成され、
上記側壁部は、上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートから離間可能に形成され、
また上記傾斜底板成形板は、上記成形基板に対して着脱可能とされており、
上記コンクリート打設空間に打設されたコンクリートと上記成形基板を一体的に上記載置架台から取り外す際には、上記傾斜底板成形板が上記成形基板から取り外され、かつ上記側壁部が上記垂直部の側面から離間された状態で、上記吊り下げ部材を用いて吊り下げられることで、上記載置架台からの取り外しが行われる構造とされている製造型枠を用いた製造方法であって、
上記成形基板を上記載置架台に載置した状態で形成される、上記垂直部及び上記傾斜底板部を有する擁壁用L字型コンクリートブロック形状を成形するためのコンクリート打設空間に、コンクリートを打設し、該打設した状態で一次養生を行う工程と、
上記一次養生によって上記コンクリートが半凝固した状態で、該コンクリートと上記成形基板を一体的に、上記載置架台から取り外す工程と、
上記成形基板と一体的に取り外された上記コンクリートを二次養生する工程と、
を少なくとも有する擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。 - 上記一次養生は3時間から4時間である請求項3に記載の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。
- 上記二次養生は、上記コンクリートを上記成形基板と一体的に水中に配置する水養生である請求項3に記載の擁壁用L字型コンクリートブロック製造方法。
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