JP5751542B2 - 電磁誘導加熱方式を利用する調理器及び調理器の製造方法 - Google Patents

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本発明は、電磁誘導加熱(Induction
Heating)方式を利用する調理器に関する。
従来、特許文献1のように、電磁誘導加熱方式を利用する調理器が提案されている。
特開2003−102616号公報
かかる調理器では、非磁性体の鍋本体の底面に、カシメなどで磁性体の発熱体が取り付けられるが、鍋本体と発熱体とでは、熱膨張率の違いなどから、両者の接合状態が緩み、発熱体からの熱が伝わりにくくなるおそれがある。
したがって本発明の目的は、発熱体からの熱が伝わりやすい調理器を提供することである。
本発明に係る電磁誘導加熱方式を利用する調理器は、鍋本体と、中抜き板形状を有し、鍋本体の底面に取り付けられる発熱体とを備え、発熱体は、底面における傾斜が設けられた斜面上に、カシメによって固定される。
傾斜が付けられた面に接触させるので、傾斜が付けられていない面に発熱体を取り付ける形態に比べて、発熱体が底面に接触する領域を広くすることが可能になり、発熱体からの熱が鍋本体に伝わりやすいメリットがある。また、接触領域が広いので、発熱体の鍋本体との接合状態を維持しやすい。また、熱による発熱体の膨張も斜面に沿った方向になり、傾斜が付けられていない面に発熱体を取り付ける形態に比べて、接合状態を維持しやすい。接合状態を維持することで、発熱体からの熱が鍋本体に伝わりやすい状態を維持することが可能になる。
好ましくは、発熱体は、斜面上に、一部を押しつける付勢がされた状態で、カシメによって固定される。
発熱体は、押し込み工程で付勢された状態でカシメが行われるので、かかる付勢が無い状態でカシメが行われる形態に比べて、発熱体の底面への密着性が高まり、発熱体の鍋本体10との接合状態を維持しやすくなる。
また、好ましくは、鍋本体の底面が開口部よりも上になる状態で、中抜き板形状の内側周縁部が、中抜き板形状の外側周縁部よりも高い位置になるように、鍋本体の底面には傾斜が設けられる。
発熱体の中抜き板形状の内側周縁部が、中抜き板形状の外側周縁部よりも高い位置になるように、鍋本体の底面には中央部が周縁部よりも盛り上がった傾斜が設けられるため、底面の厚みについて中央が厚く外周にいくに従って薄く出来(熱容量を小さく出来)、熱分布を均一にしやすい。
また、好ましくは、中抜き板形状の外側周縁部と内側周縁部が、中抜き板形状の他の領域よりも薄くなるように上面の段差が設けられ、発熱体が取り付けられる領域の周囲に設けられた突起部が段差を覆うように変形させてカシメが行われる。
さらに好ましくは、カシメは、突起部の側面で発熱体と隣接しない側に突起部が変形しないように、治具が突起部の側面で発熱体と隣接しない側に取り付けられた状態で行われる。
カシメ用の治具を用いることにより、所定の方向(形状)にカシメによる変形方向を誘導しやすいメリットがある。
また、好ましくは、カシメが行われた後に、突起部と発熱体の表面を削る削り取り工程が行われ、削り取り工程の後も、突起部を使ったカシメが維持されるように、底面の斜面の勾配、発熱体の厚さや外側周縁部や内側周縁部の段差寸法、突起部の高さ、削り取り工程における削り取り量が決定される。
本発明に係る電磁誘導加熱方式を利用する調理器の製造方法は、鍋本体の底面に設けられたカシメの為に利用する突起部の間であって、底面における傾斜が設けられた斜面上に、中抜き板形状を有する発熱体を挿入する発熱体挿入工程と、発熱体の一部を押しつける付勢を行って、斜面に発熱体を接触させる押し込み工程と、突起部を、中抜き板形状の外側周縁部と内側周縁部が、中抜き板形状の他の領域よりも薄くなるように設けられた上面の段差を覆うように変形させてカシメを行うカシメ工程と、突起部と、発熱体の表面を削る削り取り工程とを備える。
以上のように本発明によれば、発熱体からの熱が伝わりやすい調理器を提供することができる。
本実施形態における調理器において、発熱体が鍋本体に取り付けられる前の状態を示す斜視図である。 発熱体挿入工程後の鍋本体と発熱体を示す斜視図である。 押し込み工程後の鍋本体と発熱体を示す斜視図である。 嵌め込み工程後の鍋本体と発熱体と第1カシメ治具と第2カシメ治具を示す斜視図である。 カシメ工程後の鍋本体と発熱体と第1カシメ治具と第2カシメ治具を示す斜視図である。 取り外し工程後の鍋本体と発熱体を示す斜視図である。 削り取り工程後の鍋本体と発熱体を示す斜視図である。 本実施形態における調理器において、発熱体が鍋本体に取り付けられる前の状態を示す断面構成図である。 発熱体挿入工程後の鍋本体と発熱体を示す断面構成図である。 押し込み工程後の鍋本体と発熱体を示す断面構成図である。 嵌め込み工程後の鍋本体と発熱体と第1カシメ治具と第2カシメ治具を示す断面構成図である。 カシメ工程後の鍋本体と発熱体と第1カシメ治具と第2カシメ治具を示す断面構成図である。 取り外し工程後の鍋本体と発熱体を示す断面構成図である。 削り取り工程後の鍋本体と発熱体を示す断面構成図である。
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態における電磁誘導加熱方式を利用する調理器1は、鍋本体(調理対象物を入れる容器)10、発熱体20を備える(図1〜14参照)。また、発熱体20を鍋本体10に取り付ける際に、第1カシメ治具51、および第2カシメ治具52が用いられる。本実施形態では、鍋を使って調理器1の構成を説明するが、フライパンなど他の調理器1であっても良い。
なお、他の部材との区別をしやすくするために、図1〜図7では、発熱体20の上面に格子状の網掛けをしているが、網掛けは本発明を実施するために必須のものではない。
鍋本体10は、アルミニウム合金などの非磁性材で構成され、底面11には、発熱体20を取り付けるために使用する第1突起部11a〜第3突起部11cが設けられる。
第1突起部11aは、略中空柱形状(たとえば中空円柱形状)を有し、発熱体20を取り付ける前の状態では、当該略中空柱形状の高さは、発熱体20の高さよりも長い寸法を有する。
第2突起部11bは、第1突起部11aの側面を囲む略中空柱形状(たとえば中空円柱形状)を有し、発熱体20を取り付ける前の状態では、当該略中空柱形状の高さは、発熱体20の高さよりも長い寸法を有する。
第3突起部11cは、第2突起部11bの側面を囲む略中空柱形状(たとえば中空円柱形状)を有する。
第1突起部11aの内側に第1カシメ治具51が嵌め合わせ出来るように、第1突起部11aと底面11とで囲まれた第1空間101は、第1カシメ治具51の下部(底面11と接触する側の部分)と略同じ形状(本実施形態では、略円筒形状)を有する。
第1突起部11aと第2突起部11bとの間に発熱体20が挿入出来るように、第1突起部11aと第2突起部11bと底面11とで囲まれた第2空間102は、発熱体20の下面(底面11と接触する側の部分)と略同じ形状(本実施形態では、略ドーナツ型形状)を有する。ただし、後述する押し込み工程や、使用時の熱膨張を考慮して、第2空間102は、発熱体20を挿入したときに、隙間が出来る形態であってもよい。
第2突起部11bと第3突起部11cとの間に第2カシメ治具52が嵌め合わせ出来るように、第2突起部11bと第3突起部11cと底面11とで囲まれた第3空間103は、第2カシメ治具52の下部(底面11と接触する側の部分)と略同じ形状(本実施形態では、略ドーナツ型形状)を有する。
底面11における第1突起部11aと第2突起部11bとの間の領域Aは、鍋本体10の底面11が開口部よりも上になるように置いた状態(通常の鍋の使用状態の上下逆の状態)で、中央部が周縁部よりも高い位置になるような斜面を有する。すなわち、発熱体20の中抜き板形状の内側周縁部が、中抜き板形状の外側周縁部よりも高い位置になるように、鍋本体10の底面11には傾斜が設けられる。このため、発熱体20は、底面11と当該領域Aとが平行でない状態で、第2空間102に挿入され、発熱体20の外側周縁部近傍を底面11に近づくように押し込む形で、発熱体20の底面11への取り付けが行われる(図2、図3、図9、図10参照)。
発熱体20は、フェライト系ステンレスなどの磁性体材で構成され、2.0mm〜2.5mm厚の中抜き板形状(たとえば中抜き円板形状)を有し、当該中抜き板形状の外側周縁部と内側周縁部が他の領域よりも薄くなるように上面(底面11と接触しない側の部分)に段差が設けられる。このため、発熱体20の断面は凸型形状を有する(図8〜図14参照)。
発熱体20は、底面11における傾斜が設けられた斜面(領域A)上に、発熱体20の一部(ここでは外側周縁部)を押しつける付勢がされた状態で取り付けられ、カシメによって固定される。発熱体20は、領域Aに対して押しつけが可能な形状(領域Aの傾斜と異なる傾斜形状若しくは平板形状)を有し、かかる押し込み付勢により、領域Aと同じ傾斜にされる。
カシメは、発熱体20が取り付けられる領域の周囲に設けられた突起部(第1突起部11aと第2突起部11b)が発熱体20の周縁部の段差を覆うように変形させて行われる。
カシメが行われる際には、突起部(第1突起部11aと第2突起部11b)の側面でおける発熱体20と隣接しない側(第1空間101や第3空間103)に突起部(第1突起部11aと第2突起部11b)が変形しないように、治具(第1カシメ治具51、第2カシメ治具52)が第1空間101や第3空間103に取り付けられる。
第1カシメ治具51は、略柱形状(たとえば円柱形状)を有し、第2カシメ治具52は、略中空柱形状(たとえば中空柱形状)を有し、発熱対20を鍋本体10の底面11に取り付ける際のカシメ治具として用いられる。
第1カシメ治具51や第2カシメ治具52は、第1突起部11a、第2突起部11bよりも硬い素材で構成される。
次に、発熱体20を鍋本体10の底面11へ取り付ける手順を説明する。
鍋本体10の底面11を上にした状態(図1、図8参照)で、発熱体20を第2空間102に挿入する(発熱体挿入工程、図2、図9参照)。この状態では、発熱体20は領域Aの一部で底面11と接触するが、他の領域は接触しない。
発熱体20の外側周縁部近傍を底面11に近づくように押しつける付勢を行って、発熱体20を構成する中抜き板形状と底面11の領域Aとが平行な状態で接触させる(押し込み工程、図3、図10参照)。
第1カシメ治具51が第1空間101に嵌め込まれ、第2カシメ治具52が第3空間103に嵌め込まれる(嵌め込み工程、図4、図11参照)。なお、嵌め込み工程のあとに、発熱体挿入工程や個仕込み工程が行われる形態であってもよい。
第1カシメ治具51が第1空間101に嵌め込まれ、第2カシメ治具52が第3空間103に嵌め込まれた状態で、発熱体20の中抜き板形状の外側周縁部と内側周縁部の段差を覆うように第1突起部11aや第2突起部11bを変形させて、第2空間102に挿入された発熱体20を固定する(カシメ工程、図5、図12参照)。
第1カシメ治具51や第2カシメ治具52を取り外しする(取り外し工程、図6、図13参照)。
カシメによる固定後、第1突起部11a、発熱体20、第2突起部11b、第3突起部11cの表面が平らになるように、これらの表面を削る(削り取り工程、図7、図14参照)。
かかる削り取り工程の後も、第1突起部11aを使ったカシメ(変形した第1突起部11aの一部が、発熱体20の内側周縁部の段差を覆って固定すること)や、第2突起部11bを使ったカシメ(変形した第2突起部11bの一部が、発熱体20の外側周縁部の段差を覆って固定すること)が維持されるように、底面11の領域Aの勾配、発熱体20の厚さや周縁部の段差寸法、第1突起部11aや第2突起部11bの高さ、削り取り量などが決定される。
傾斜が付けられた面に接触させるので、傾斜が付けられていない面に発熱体20を取り付ける形態に比べて、発熱体20が底面11に接触する領域を広くすることが可能になり、発熱体20からの熱が鍋本体10に伝わりやすいメリットがある。また、接触領域が広いので、発熱体20の鍋本体10との接合状態を維持しやすい。また、熱による発熱体20の膨張も斜面に沿った方向になり、傾斜が付けられていない面に発熱体20を取り付ける形態に比べて、接合状態を維持しやすい。接合状態を維持することで、発熱体20からの熱が鍋本体10に伝わりやすい状態を維持することが可能になる。
また、発熱体20は、押し込み工程で付勢された状態でカシメが行われるので、かかる付勢が無い状態でカシメが行われる形態に比べて、発熱体20の底面11への密着性が高まり、発熱体20の鍋本体10との接合状態を維持しやすくなる。
発熱体20の中抜き板形状の内側周縁部が、中抜き板形状の外側周縁部よりも高い位置になるように、鍋本体10の底面11には中央部が周縁部よりも盛り上がった傾斜が設けられるため、底面11の厚みについて中央が厚く外周にいくに従って薄く出来(熱容量を小さく出来)、熱分布を均一にしやすい。
第1カシメ治具51、第2カシメ治具52を用いることにより、所定の方向(形状)にカシメによる変形方向を誘導しやすいメリットがある。
1 調理器
10 鍋本体
11 底面
11a〜11c 第1突起部〜第3突起部
20 発熱体
51、52 第1カシメ治具、第2カシメ治具
101〜103 第1空間〜第3空間

Claims (6)

  1. 鍋本体と、
    中抜き板形状を有し、前記鍋本体の底面に取り付けられる発熱体とを備え、
    前記発熱体は、前記底面における傾斜が設けられた斜面上に、カシメによって固定されるものであり、
    前記発熱体は、前記斜面の傾斜と異なる傾斜形状若しくは平板形状を有するものであり、
    前記発熱体が前記斜面と接触する領域がある状態で、前記発熱体であって前記斜面と接触しない領域を前記斜面上に押しつける付勢がされた状態で、前記発熱体は、カシメによって固定されることを特徴とする電磁誘導加熱方式を利用する調理器。
  2. 前記鍋本体の底面が開口部よりも上になる状態で、前記中抜き板形状の内側周縁部が、前記中抜き板形状の外側周縁部よりも高い位置になるように、前記鍋本体の底面には傾斜が設けられるものであり、
    前記内側周縁部が前記斜面と接触した状態で、前記斜面と接触しない前記外側周縁部について、前記付勢がされることを特徴とする請求項に記載の調理器。
  3. 前記中抜き板形状の外側周縁部と内側周縁部が、前記中抜き板形状の他の領域よりも薄くなるように上面の段差が設けられ、
    前記発熱体が取り付けられる領域の周囲に設けられた突起部が前記段差を覆うように変形させて前記カシメが行われることを特徴とする請求項1に記載の調理器。
  4. 前記カシメは、前記突起部の側面で前記発熱体と隣接しない側に前記突起部が変形しないように、前記突起部を変形させる部材とは別の治具が前記突起部の側面で前記発熱体と隣接しない側に取り付けられた状態で行われることを特徴とする請求項に記載の調理器。
  5. 前記カシメが行われた後に、前記突起部と前記発熱体の表面を削る削り取り工程が行われ、
    前記削り取り工程の後も、前記突起部を使ったカシメが維持されるように、前記底面の斜面の勾配、前記発熱体の厚さや前記外側周縁部や前記内側周縁部の段差寸法、前記突起部の高さ、前記削り取り工程における前記外側周縁部や前記内側周縁部の削り取り量が決定され、
    前記鍋本体の底面が開口部よりも上になる状態で、前記中抜き板形状の内側周縁部が、前記中抜き板形状の外側周縁部よりも高い位置になるように、前記鍋本体の底面には傾斜が設けられるものであり、
    前記内側周縁部の削り取り量は、前記外側周縁部の削り取り量に比べて多いことを特徴とする請求項に記載の調理器。
  6. 鍋本体の底面に設けられたカシメの為に利用する突起部の間であって、前記底面における傾斜が設けられた斜面上に、前記斜面の傾斜と異なる傾斜形状若しくは平板形状であって中抜き板形状を有する発熱体を挿入する発熱体挿入工程と、
    前記発熱体が前記斜面と接触する領域がある状態で、前記発熱体であって前記斜面と接触しない領域を前記斜面上に押しつける付勢を行って、前記斜面に前記発熱体の全体を接触させる押し込み工程と、
    前記突起部を、前記中抜き板形状の外側周縁部と内側周縁部が、前記中抜き板形状の他の領域よりも薄くなるように設けられた上面の段差を覆うように変形させてカシメを行うカシメ工程と、
    前記突起部と、前記発熱体の表面を削る削り取り工程とを備えることを特徴とする電磁誘導加熱方式を利用する調理器の製造方法。
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