JP2876396B2 - 電磁調理器用鍋の製造法 - Google Patents

電磁調理器用鍋の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁調理器用の鍋
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、長年にわたり電磁調理器用
鍋の研究開発をして来た(例えば実用新案登録第300
8521号)が、問題は電磁力をいかに確実かつ有効に
鍋器体に伝達することができるかである。
【0003】従来公知の実開昭60−24081号にか
かる鍋の構成は、アルミニウム材の鍋器体の底面部に突
起を多数設け、この突起に磁性金属製被覆板に設けた多
数の通孔を嵌合した後、前記突起の突出した先端部をか
しめて固着するものであった。
【0004】しかし、かかる製法をとるためには、嵌合
する被覆板の通孔の打抜き成形時に発生する通孔周辺部
のバリを予めきれいに除去しなければならない手数とコ
ストがかかったし、また通孔部周辺のバリを除去せずそ
のまま使用すると、被覆板と鍋器体底面部との接合面に
間隙ができ、密着状態に完成することができないから、
電磁調理器による電磁力の伝達が不完全なものとなって
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、前
記のような従来の製造法の欠点を除去し、電磁力の伝達
を十分に受けることができる鍋を提供するために、その
製造法を改良することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、鍋器体の底面
部に適当深さの凹部を形成するとともにこの凹部面に鍋
器底面よりも高く成る突起を多数設け、この各突起の基
端周囲には前記凹部面よりも深く成る凹溝を設け、前記
凹部と同形に成る電磁性被套板に多数のプレス成形した
通孔をその周辺のバリを除去することなく前記鍋器体の
凹部の突起にそれぞれ嵌合し、しかる後通孔から突出し
た突起の先端部を加圧し、この加圧により突起の先端部
を圧潰するとともに前記被套板の通孔周辺のバリを突起
の基端周囲の凹溝に拡延して固着して成るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】いま鍋器体の底面部の凹部面に対
し突設しているその各突起に電磁性被套板の各通孔を挿
入して嵌合した後、加圧プレスにより各突起の先端部を
押圧する。すると、各突起の先端部は圧潰し、通孔の周
面に扁平に拡張して固着するが、同時に内部においては
通孔の周辺部に打抜き時に残っているバリが各突起の基
端周囲の凹溝部に逃げるようになり、これによって被套
板の通孔部は鍋器体底面部の突起に密着する。したがっ
て、被套板の全面部分も鍋器体底面部の凹部面に密着す
るようになる。
【0008】
【実施例】1は鍋器体で、この鍋器体の底面部には凹部
2を形成する。この凹部は底面部に直接凹みをつけて形
成してもよいし、底面部に脚部を周設して形成してもよ
い。
【0009】3・・は前記凹部2に一体に適当間隔をおい
て多数成形する突起で、この突起の先端部は前記鍋器体
の底面部面よりも高く形成する。
【0010】4・・は前記突起3の基端部周囲に形成した
適当深さの凹溝である。
【0011】5は前記凹部2に嵌合する同形に成る電磁
性被套板で、この被套板には適当間隔をおいて通孔6・・
を多数個設ける。
【0012】7・・はパンチングプレスによって成形する
前記通孔6・・の周囲にできるバリで、このバリは打抜き
技術上自然にできるものであるから、通常ではこれを削
去しなければならないものであるが、本発明ではこれを
削去せず残しておく。
【0013】前記バリ7の形態は必ずしも一様ではない
から、このバリ部分が嵌着するように成る前記凹溝4の
容積はいかなる形態のバリも受け容れるように余裕をと
っておくとよい。
【0014】7’は前記凹溝4にプレス拡延して嵌着し
たバリ部分を示す。
【0015】8はプレス圧着して拡張した突起3先端部
の拡張部分を示すが、この突起の先端部と鍋器体1の底
面部との間の差高a分が圧着により拡張するつぶし代と
なる。
【0016】鍋器体1はその底面部の突起3を含む全体
をアルミダイキャストで構成し、また電磁性被套板5は
ステンレス鋼材又は鉄材で構成する。
【0017】図1ではフライパンのような片手鍋の例を
示したが、片手鍋でも両手鍋でも把手イの取付部9を、
鍋器体の側面部にアルミダイキャストにより鍋器体と一
体成形により構成する。
【0018】
【発明の効果】第1に、鍋器体の底面部に形成した凹部
面に多数設けた突起の基端周囲に凹溝を設けたことによ
り、被套板に多数設けた通孔の周辺に打抜き時にできた
バリ部分が前記凹溝に逃げることができるようになって
いるから、電磁性被套板の取付けを鍋器体の底面部との
間に間隙を生ずることなく確実に密着させることがで
き、電磁力を確実かつ有効に鍋器体に伝達することがで
きるようになる。
【0019】したがって、被套板の各通孔にできたバリ
部分を特に削去する工程がないから、生産コストの低下
に益することになり、また電磁力の無駄使いがないか
ら、使用コストの低下に益することになる。
【0020】また、前記凹溝を設けたことにより、底面
凹部の突起を含む鍋器体の材料と電磁性被套板の材料の
相違によって起る熱膨張率の違いを前記凹溝に吸収する
ことができるから、異種金属材の接合関係であっても支
障は全く起らない。
【0021】第2に、鍋器体の側面部に設置する把手取
付部はアルミダイキャストにより一体に成形するから、
把手の取付部材を別設し、これを後工程で鍋器体に螺子
止めするという工程がなくなり、生産コストの低下に益
することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の底面部における取付関係を示した斜視図
【図2】製造前の要部の正断面図
【図3】製造中の要部の正断面図
【図4】製造中の要部の正断面図
【図5】要部の関係を示す斜視図
【符号の説明】
2 凹部 3 突起 4 凹溝 5 電磁性被套板 6 通孔 7,7’ バリ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鍋器体の底面部に適当深さの凹部を形成
    するとともにこの凹部面に鍋器底面よりも高く成る突起
    を多数設け、この各突起の基端周囲には前記凹部面より
    も深く成る凹溝を設け、前記凹部と同形に成る電磁性被
    套板に多数のプレス成形した通孔をその周辺のバリを除
    去することなく前記鍋器体の凹部の突起にそれぞれ嵌合
    し、しかる後通孔から突出した突起の先端部を加圧し、
    この加圧により突起の先端部を圧潰するとともに前記被
    套板の通孔周辺のバリを突起の基端周囲の凹溝に拡延し
    て固着して成る電磁調理器用鍋の製造法。
  2. 【請求項2】 底面部の突起を含む鍋器体がアルミダイ
    キャストに成り、電磁性被套板がステンレス鋼に成る請
    求項1に記載した電磁調理器用鍋の製造法。
  3. 【請求項3】 鍋器体の側面部に突設する把手取付部を
    鍋器体とともにアルミダイキャストにより一体に構成し
    て成る請求項1に記載した電磁調理器用鍋の製造法。
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