JP2003102616A - 電磁誘導加熱器対応調理鍋およびその製造方法 - Google Patents

電磁誘導加熱器対応調理鍋およびその製造方法

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JP2003102616A JP2001303970A JP2001303970A JP2003102616A JP 2003102616 A JP2003102616 A JP 2003102616A JP 2001303970 A JP2001303970 A JP 2001303970A JP 2001303970 A JP2001303970 A JP 2001303970A JP 2003102616 A JP2003102616 A JP 2003102616A
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Hiroshi Nakajima
博 中嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鍋本体裏底面への磁性金属板の接合が強固で
あると共に、本体裏底面と磁性金属板との間への水分の
浸入が防止される構成を備えた電磁誘導加熱器対応調理
鍋およびその製造方法の提供。 【解決手段】 アルミニウム合金製の調理器本体は、鍋
本体の裏底面に、複数個の貫通孔が分散して形成されて
いる磁性金属板を重ね、該磁性金属板の外周端面を該金
属板の厚みより大なる高さで全周で囲む環状突条部と、
前記金属板の厚みより大なる高さで前記各貫通孔を貫通
して突出する複数個の突起とが裏底面上に鍋本体と一体
に設けられており、前記環状突条部および突起が加圧加
工により押し潰されてで前記磁性金属板の外周縁および
各貫通孔周縁が密封状にカシメ止めされている電磁誘導
加熱器対応調理鍋。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導加熱調理
器に対応可能なアルミニウム製の調理鍋およびその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、調理用の電磁誘導加熱器、いわゆ
る電磁調理器が炎の出ない安全な調理用加熱器として普
及しつつある。これは、ガスの使えない高層住宅のキッ
チンに備え付けられているだけでなく、一般家庭にも備
え付けあるいは卓上型のものの使用が増加している。
【0003】しかし、この電磁調理器を用いる場合に
は、調理に用いるフライパンや天ぷらなべ等の調理鍋
は、電磁誘導加熱に対応したものでなければならない。
即ち、少なくとも加熱器の加熱プレート表面に接する鍋
の底裏面が磁性体金属であることが必要である。
【0004】一方、比較的軽量で熱伝導率の高いアルミ
ニウム製の調理鍋が一般的に広く使われている。しかし
ながらこのアルミニウム製鍋は電磁調理器には対応でき
ないものである。そこで、鍋本体はこのアルミニウム合
金で構成し、その裏底面にフェライト系ステンレス板な
どの磁性金属板を接合させることにより、通常のガス炎
加熱だけでなく電磁調理器にも使用できるアルミニウム
製鍋が製造されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような磁
性金属板が裏底面に接合されたアルミニウム合金製調理
鍋では、両金属の接合状態が不充分であるとガス炎加熱
での使用により両者間に歪みが生じて接合部が緩み、電
磁調理器での使用の際には熱効率が非常に悪く、加熱調
理が良好に行えなくなってしまう。
【0006】さらに、このようなアルミニウム合金製の
鍋本体裏底面と磁性金属板との間に煮汁等の塩分を含ん
だ水分が入ると、異種金属間の電位差による電気化学的
腐食が発生し促進される。特に金属板外周部の本体との
接合境界部が露呈しているとこのような煮汁等の水分が
入り込み易いだけでなく、ゴミや汚れも溜まり、電磁調
理器対応鍋としての耐久性、寿命が低下してしまう。
【0007】本発明の目的は上記問題点に鑑み、鍋本体
裏底面への磁性金属板の接合が強本体裏底面と磁性金属
板との間への水分の浸入が防止される構成を備えた電磁
誘導加熱器対応調理鍋及びその製造方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明に係る電磁誘導加熱器対応調
理鍋は、アルミニウム合金製の調理鍋本体の裏底面に磁
性金属板を重ねてなる電磁誘導加熱器対応調理鍋におい
て、前記磁性金属板には複数個の貫通孔が分散して形成
されており、前記調理器本体の裏底面には、前記磁性金
属板の外周端面を該金属板の厚みより大なる高さで全周
で囲む環状突条部と、前記金属板の厚みより大なる高さ
で前記各貫通孔を貫通して突出する複数個の突起とが一
体に設けられており、前記環状突条部および突起が加圧
加工により押し潰されて前記磁性金属板の外周縁および
各貫通孔周縁が密封状にカシメ止めされているものであ
る。
【0009】また、請求項2に記載の発明に係る電磁誘
導加熱器対応調理器の製造方法は、調理鍋本体の裏底面
形状に応じて予め定められた外周形状および複数個の分
散配置された貫通孔を有する磁性金属板を成型する工程
と、裏底面上に前記磁性金属板の外周形状と合致する内
周形状で前記磁性金属板の厚みより大なる高さの環状突
条部を有すると共に、該環状突条部の内側領域の前記裏
底面上に前記磁性金属板の複数個の貫通孔と対応する位
置で該貫通孔を貫通する寸法形状および前記磁性金属板
の厚みより大なる高さを持つ複数個の突起とを一体に備
えた調理鍋本体をアルミニウム合金の重力鋳造により成
型する鋳造工程と、前記磁性金属板を、前記調理鍋本体
の前記環状突条部の内側領域に嵌合させ、前記環状突条
部と複数個の突起をプレス加工により押し潰して、前記
磁性金属板をその外周縁および各貫通孔周縁でカシメ止
めすることにより、前記磁性金属板を前記調理鍋本体裏
底面に接合する接合工程と、前記カシメ加工済みの環状
突条部と全ての突起の上部を切削加工および研磨加工し
て調理鍋本体裏底面をほぼ平滑な面に整形する裏底面整
形工程と、を備えたものである。
【0010】また請求項3に記載の発明に係る電磁誘導
加熱器対応調理鍋の製造方法は、請求項2に記載の電磁
誘導加熱器対応調理鍋の製造方法において、前記接合工
程は、前記調理鍋本体の裏底面に対面して、前記環状突
条部と複数個の突起とにそれぞれ対応する位置で当接し
加圧する複数の加圧パンチ部を備えたプレス金型を用
い、該プレス金型による加圧の際に、前記環状突条部お
よび突起とこれらに対応する前記加圧パンチ部の周辺領
域の鍋本体裏底面とプレス金型表面との間に弾性クッシ
ョン部材を介在させるものである。
【0011】本発明の電磁誘導加熱器対応調理鍋におい
ては、アルミニウム合金製の鍋本体の裏底面に接合され
る磁性金属板の外周縁が、鍋本体裏底面に一体に形成さ
れた環状突条部が加圧加工により押し潰されて密封状に
カシメ止めされたものであり、且つ磁性金属板に分散し
て形成された複数の貫通孔の各周縁が、鍋本体裏面上に
一体に形成され各貫通孔に貫通して突出する突起が加圧
加工により押し潰されてカシメ止めされているものであ
るので、磁性金属板の鍋本体裏底面への接合が非常に強
固であると共に、磁性金属板の外周縁は鍋本体の裏底面
に一体形成された環状突条部によるカシメ止めで境界部
が密封されて煮汁等の塩分を含む水分の浸入は回避さ
れ、金属の腐食の発生も防がれるため、長期にわたって
良好な磁性金属板の接合状態が維持されて高い熱効率が
得られ、電磁誘導加熱器対応調理鍋としての耐久性およ
び寿命は、従来のものに比べて格段に向上する。
【0012】また、磁性金属板の外周部にゴミや汚れが
溜まることも無くなるため、鍋洗浄も容易で、衛生上の
取り扱いが簡便となる。
【0013】なお、本発明は、調理鍋本体および裏底面
の形状が円形のものに限らず、例えば楕円形状、四角形
状のものなど、各種形状のものに適用でき、また、鍋形
態もフライパン、天ぷら鍋、深鍋、浅鍋など様々なタイ
プの調理鍋に有効であることは言うまでもない。
【0014】以上のような電磁誘導加熱器対応調理鍋
は、請求項2に記載の製造方法によって製造することが
できる。まず、予め磁性金属板の成型工程にて、調理鍋
本体の裏底面形状に応じて予め定められた外周形状と、
複数個の分散配置された貫通孔を有する磁性金属板を製
造しておく。
【0015】一方、鋳造工程にて、裏底面のに前記磁性
金属板の外周形状と合致する内周形状で前記磁性金属板
の厚みより大なる高さの環状突条部と、該環状突上部の
内側領域の裏底面上に前記磁性金属板の複数個の貫通孔
と対応する位置で該貫通孔を貫通する寸法形状および前
記磁性金属板の厚みより大なる高さを持つ複数個の突起
とを一体に備えた調理鍋本体をアルミニウム合金の重力
鋳造により成型しておく。
【0016】なお、鋳造物は、通常表面に凹凸があり、
また裏面中央部などに湯口が残っているため、所望の基
準表面、突条部、突起の形状が得られるよう、湯口の切
削および表面切削などの予備表面加工を適宜行ってお
く。
【0017】従って、この調理鍋本体に以下の工程に従
って磁性金属板を取り付ければ、電磁誘導加熱器対応調
理器を連続的に製造できる。即ち、接合工程にて、磁性
金属板を調理鍋本体の環状突条部の内周領域に嵌合さ
せ、前記環状突条部と複数個の突起をプレスカシメ加工
により押し潰して、調理鍋本体裏底面に磁性金属板をそ
の外周縁および各貫通孔周縁でカシメ止めすることによ
って接合する。
【0018】以上の工程により、磁性金属板が鍋本体裏
底面に強固に接合されると共に、その外周の接合境界部
が密封された電磁誘導加熱器対応調理鍋が得られる。
【0019】なお、裏底面整形工程にて、前記カシメ加
工済みの環状突条部と全突起の上部を切削加工し、研磨
加工して調理本体裏底面を平滑面に整形し、また必要に
応じて上部の切削加工時の発生するバリや鋭い角、また
外見上好ましくない傷等をっショットブラスト加工で除
去したり、裏底面以外の外側面、内面も切削、研磨等を
行い、場合によってフッ素加工を施すなどして最終製品
形態とすれば良い。
【0020】また、前記接合工程においては、請求項3
に記載したように、調理鍋本体の裏底面に対面して、前
記環状突条部と複数個の突起とにそれぞれ対応する位置
で当接し加圧する押圧凸部を備えたプレス金型を用いれ
ば、環状突条部および複数個の突起のカシメ加工を一度
のプレス加工で同時に効率良く行える。またこのとき、
該プレス金型による加圧の際に、前記環状突条部および
突起とこれらに対応する前記押圧凸部の周辺領域の鍋本
体裏底面とプレス金型表面との間に弾性クッション部材
を介在させておけば、カシメ止めが完了するまで磁性金
属板を傷つけることもなく良好に押圧固定しておける。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態として、アル
ミニウム合金製調理鍋本体に磁性体ステンレス板を接合
してなる円形浅型の電磁誘導加熱器対応調理鍋を図1に
示す。図1の(a)は本実施形態の調理鍋の概略側断面
図、(b)は(a)中実線Aで囲んだ鍋裏底面のカシメ
加工部分の断面拡大図、(c)は本調理鍋の概略底面図
である。
【0022】本実施形態の調理鍋は、アルミニウム合金
製調理鍋本体1の円形状の裏底面2に、磁性体であるフ
ェライト系ステンレス板(磁性金属板)10をプレス加
工によって鍋本体側からのカシメ止めで接合してなるも
のである。
【0023】即ち、ステンレス板10は、鍋本体裏底面
2に一体に形成された環状突条部3によってその外周端
面が全周で囲まれ、その環状突条部3の加圧押し潰しに
よるカシメ加工により全外周縁に亘って密封状にカシメ
止めされていると同時に、裏底面2上で磁性ステンレス
板10に複数個分散配置された貫通孔11を貫通して突
出する複数の突起4に加圧押し潰しによるカシメ加工を
行うことによって各貫通孔縁が密封状にカシメ止めされ
たものである。
【0024】このように、本実施形態による電磁誘導加
熱器対応調理器においては、磁性体ステンレス板1が、
鍋本体裏底面2に、その全外周縁に亘って、且つ多数の
分散点において、鍋本体裏底面に一体に設けられた環状
突条部3および突起4によってカシメ止めされているも
のであるため、磁性ステンレス板10の鍋本体裏底面2
への接合状態は非常に強固であると共に、磁性ステンレ
ス板10と鍋本体裏底面2との境界部の全てが外部に露
出することなく密封状態で煮汁等の水分の両部材間への
浸入が防止されるので、金属の電気化学的腐食も回避さ
れ、長期にわたって良好な磁性金属板の接合状態が維持
されて高い熱効率が得られ、従来のものに比べて調理鍋
としての耐久性及び寿命が格段に向上するものである。
【0025】
【実施例】本発明の一実施例として、上記実施形態とし
て図1に示した調理鍋の製造方法の一例を、図2、図
3、図4をもって以下に説明する。本実施例では、直径
約200mmの裏底面積を持つAL−Si系アルミニウ
ム合金からなる調理鍋本体1に、約1.0mmの厚みを
持つ外径約187mmのフェライト系ステンレス板10
を磁性金属板として接合させる場合を例示する。
【0026】まず、磁性金属板の成型工程にて、調理鍋
本体の裏底面形状に応じた外周径を持ち、複数個の(図
示のものでは75個)の内径約8.5mmの貫通孔11
が中心に一個配置され、その他は周辺領域に比較的均一
に分散された円形の磁性ステンレス板10を、厚み約
1.0mmのフェライト径ステンレス板素材から打ち抜
き成型により製造しておく。
【0027】また、調理鍋本体の鋳造工程においては、
裏底面2上に前記磁性ステンレス板10の外周径に応じ
て定めた内周径約188mmで裏底面からの突出高さが
約9mmとなる環状突条部3xと、磁性金属板10の複
数個の貫通孔11に対応する位置に配置されたこれも高
さ約9mmの、外径約8mmの複数個の突起4xが一体
に形成される金型を用いて、重力鋳造によりアルミニウ
ム合金製調理鍋本体の鋳造物1xを成型する。
【0028】この鋳造物1xは、図2(a)の側断面図
に示すように、中央部に湯口yが残っており、また表面
に凹凸が生じているため、図中破線で示す位置まで本体
前面に亘って予備切削を行う。これによって、図2
(b)の側断面図に示すような、環状突条部3と周辺の
突起4と共に高さ約7.59mmに揃えられた、湯口y
から切り出された中央突起4yが現れた所望形状の調理
鍋本体1が得られる。
【0029】この調理鍋本体1に対して、次の接合工程
により、磁性金属板10を裏底面2に接合する。この接
合工程では、専用のプレス金型20を用いて、効率的に
プレス加工を行う。
【0030】このプレス金型20は、図4(a)の平面
図及び該平面図のB−B切断端面図(b)に示すよう
に、調理鍋本体1の裏底面2の凹凸形状に応じて設計さ
れたものであり、一度の加圧で環状突条部3と全突起4
に対して同時にプレス加工できるように、プレス面に
は、それぞれ対応する位置に環状突条部加圧パンチ部2
1と複数個の突起加圧パンチ部22とが突設されたもの
である。
【0031】まお、この突起加圧パンチ部22の先端
は、加圧される突起4の先端がほぼ均一に外周方向に広
がりながら押し潰されるような窪み形状を備えており、
また環状突条部加圧パンチ部21の先端は、加圧される
環状突条部3の先端が内周方向に押し潰されるような所
定窪み形状を備えている。
【0032】そこで、調理鍋本体1の内側形状に合致す
る外周形状を備えた支持金型40に調理本体1を逆さに
被せて裏底面2を上方に向け、プレス金型20のプレス
面に対面させ、この調理鍋本体1の裏底面2に対して、
前記磁性金属板10を位置合わせし、磁性金属板10の
各貫通孔11からそれぞれ対応する突起(4,4y)が
挿通突出され、環状突条部3によって磁性金属板10の
外周が囲まれる嵌合状態とする。
【0033】この嵌合状態において、図2(c)に示す
ように、調理鍋本体裏底面2および磁性金属板10に対
してプレス金型20の位置合わせを行い、総加圧圧力3
10tonでプレスカシメ加工を行った。この加圧の際
には、環状突条部3および突起4とこれらに対応する前
記加圧パンチ部(21,22)の周辺領域の鍋本体裏底
面とプレス金型表面との間にウレタンゴムパイプ等の弾
性クッション部材30を介在させておく。これによっ
て、カシメ止めが完了するまで磁性金属板10を傷つけ
ることもなく良好に押圧固定しておける。
【0034】以上のプレスカシメ加工により、図2
(d)に示すように、各突起4はその全外周方向へ磁性
金属板10上に広がりながら押し潰されて対応する貫通
孔縁を密封状にカシメ止めすると共に、環状突条部3は
内周方向へ磁性金属板10上に広がりながら押し潰され
て磁性金属板10をその全外周縁に亘って密封状にカシ
メ止めする。このような環状突条部3と突起4とのカシ
メ加工により、磁性金属板10は、調理鍋本体1の裏底
面2に強固に接合される。
【0035】以上のプレスカシメ加工によって磁性金属
板10が接合された調理鍋本体1の裏底面4において
は、最終製品への仕上げのための整形を行う。まず、さ
らに潰された環状突条部3と突起4の余分な先端部を図
2(d)の点線Cの位置まで切削加工し、その磁性体金
属10の表面からの高さを約0.5mm程度とする。
【0036】さらに、裏底面2を、磁性金属板10の表
面を含む全面に亘ってショットブラスト加工を施し、先
の切削加工によって発生したバリや鋭い角、また外見上
好ましくない傷等を除去する。
【0037】さらに、調理鍋本体1の内部壁面および裏
底面2以外の外側面に対して適宜切削加工、研磨加工を
行い、図1に示すような形状の電磁誘導加熱器対応調理
鍋の完成品が得られる。また、必要に応じて鍋内壁面の
フッ素樹脂加工等を施す。
【0038】以上の工程に従えば、効率的に、大量の電
磁誘導加熱器対応調理器を連続製造できる。なお、鍋本
体裏底面の突起および磁性金属板の貫通孔のサイズ、
数、配置や、またそれに応じたプレス金型の設計は、所
望の調理鍋のサイズや形態に応じて適宜選択されるもの
であって、上記実施例で示した数値によって何ら限定さ
れるものではない。
【0039】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の電磁誘導
加熱器対応調理鍋の構成によれば、磁性金属板の鍋本体
裏底面への接合が非常に強固であると共に、磁性金属板
の外周縁は鍋本体の裏底面に一体形成された環状突条部
によるカシメ止めで境界部が密封されて煮汁等の塩分を
含む水分の浸入は回避され、金属の腐食の発生も防がれ
るため、長期にわたって良好な磁性金属板の接合状態が
維持されて高い熱効率が得られ、電磁誘導加熱器対応調
理鍋としての耐久性および寿命が従来のものに比べて格
段に向上するという効果がある。
【0040】また、本発明の製造方法によれば、磁性金
属板を鍋本体裏底面へ非常に強固に接合でき、耐久性お
よぼ寿命の向上した電磁誘導加熱器対応調理鍋を効率的
に連続的に大量生産でき、より低コストでの提供を可能
とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による電磁誘導加熱器対
応調理鍋の概略構成図であり、(a)は本調理鍋の側断
面図、(b)はカシメ止め部を示す実線Aで囲んだ部分
拡大図、(c)は本調理鍋の底面図である。
【図2】本発明の一実施例による図1に示す調理鍋の製
造方法を示す説明図であり、(a)〜(d)はそれぞれ
の製造工程における状態を示す鍋側断面図である。
【図3】本実施例で用いた磁性金属板の概略構成を示す
平面図である。
【図4】本実施例の接合工程におけるプレスカシメ加工
に用いたプレス金型の概略構成図であり、(a)はプレ
ス金型の平面図、(b)は該プレス金型のB−B部分切
断端面図である。
【符号の説明】
1:調理鍋本体 1x:(調理鍋本体の)鋳造物 2:裏底面 3:環状突条部 3x:環状突条部(鋳造物) 4,4y:突起 4x:突起(鋳造物) y:湯口 10:磁性金属板 11:貫通孔 20:プレス金型 21:環状突条部加圧パンチ部 22:突起加圧パンチ部 30:弾性クッション部材 40:支持金型

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金製の調理鍋本体の裏底
    面に磁性金属板を重ねてなる電磁誘導加熱器対応調理鍋
    において、 前記磁性金属板には複数個の貫通孔が分散して形成され
    ており、 前記調理器本体の裏底面には、前記磁性金属板の外周端
    面を該金属板の厚みより大なる高さで全周で囲む環状突
    条部と、前記金属板の厚みより大なる高さで前記各貫通
    孔を貫通して突出する複数個の突起とが一体に設けられ
    ており、 前記環状突条部および突起が加圧加工により押し潰され
    て前記磁性金属板の外周縁および各貫通孔周縁が密封状
    にカシメ止めされていることを特徴とする電磁誘導加熱
    器対応調理鍋。
  2. 【請求項2】 調理鍋本体の裏底面形状に応じて予め定
    められた外周形状および複数個の分散配置された貫通孔
    を有する磁性金属板を成型する工程と、 裏底面上に前記磁性金属板の外周形状と合致する内周形
    状で前記磁性金属板の厚みより大なる高さの環状突条部
    を有すると共に、該環状突条部の内側領域の前記裏底面
    上に前記磁性金属板の複数個の貫通孔と対応する位置で
    該貫通孔を貫通する寸法形状および前記磁性金属板の厚
    みより大なる高さを持つ複数個の突起とを一体に備えた
    調理鍋本体をアルミニウム合金の重力鋳造により成型す
    る鋳造工程と、 前記磁性金属板を、前記調理鍋本体の前記環状突条部の
    内側領域に嵌合させ、前記環状突条部と複数個の突起を
    プレス加工により押し潰して、前記磁性金属板をその外
    周縁および各貫通孔周縁でカシメ止めすることにより、
    前記磁性金属板を前記調理鍋本体裏底面に接合する接合
    工程と、 前記カシメ加工済みの環状突条部と全ての突起の上部を
    切削加工および研磨加工して調理鍋本体裏底面をほぼ平
    滑な面に整形する裏底面整形工程と、を備えたことを特
    徴とする電磁誘導加熱器対応調理鍋の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記接合工程は、前記調理鍋本体の裏底
    面に対面して、前記環状突条部と複数個の突起とにそれ
    ぞれ対応する位置で当接し加圧する複数の加圧パンチ部
    を備えたプレス金型を用い、該プレス金型による加圧の
    際に、前記環状突条部および突起とこれらに対応する前
    記加圧パンチ部の周辺領域の調理鍋本体裏底面とプレス
    金型表面との間に弾性クッション部材を介在させること
    を特徴とする請求項2に記載の電磁誘導加熱器対応調理
    鍋の製造方法。
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