本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機の室内機、室外機、及びリモコンの正面図である。図1に示すように、空気調和機Aは室内機100Aと、室外機200と、リモコンReと、を備える。室内機100Aと室外機200とは、冷媒配管(図示せず)及び、室外機200用の電源ケーブル(図示せず)によって接続されている。また、室内機100Aと室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信することができる。
リモコンReはユーザによって操作され、室内機100Aのリモコン受信部42に対して赤外線信号を送信する。当該信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、停止要求等の指令である。空気調和機Aは、これらの信号に基づいて、冷房、暖房、除湿などの空調運転を行う。
室内機100Aの前面パネル106の左右方向中央下部には、光センサ46A(図4(a)参照)が設置されており、図1に示すように、合成樹脂で作られたセンサカバー1が光センサ46Aを覆うように取り付けられている。ちなみに、センサカバー1は、少なくとも可視光領域及び赤外線領域の波長の光を透過可能な構成となっている。
なお、光センサ46Aの詳細については、後記する。
図2は、室内機の側断面図である。室内機100Aは、筐体ベース101、熱交換器102、送風ファン103、露受皿104、化粧枠105、前面パネル106、左右風向板110、上下風向板111、フィルタ112、人検知センサ113などを備える。
筐体ベース101には、熱交換器102、送風ファン103、露受皿104、フィルタ112などの基本的な内部構造体が取り付けられている。
熱交換器102は、送風ファン103により室内機100A内に取り込まれフィルタ112を通過した空気と熱交換し、当該空気を冷却又は加熱するように構成されている。熱交換器102の内部に貫通している複数本の伝熱管102aは、前記で説明した冷媒配管(図示せず)に連通しており、周知の冷媒サイクル(図示せず)の一部を構成する。
送風ファン103は、側端部に取り付けられたファンモータ35(図3参照)の回転に伴って中心軸周りに回転することにより、送風動作を行うように構成されている。
露受皿104は、熱交換器102の前後両側の下端部下方に配置され、冷房運転時や除湿運転時に熱交換器102において発生する凝縮水を受けるために設けられている。
化粧枠105は、筐体ベース101に配置された内部構造体(熱交換器102、送風ファン103、露受皿104、フィルタ112など)を覆うように配置され、室内機100Aの外観を整える。また、化粧枠105には、空気吸込み口107が上面に設けられており、当該空気吸込み口107を介して室内機100Aの内部に空気を取り込む。
前面パネル106は、室内機100Aの前面を覆うように設置されており、下端を軸として前面パネル用モータ52(図3参照)により回動可能な構成となっている。また、前記したように、前面パネル106の左右方向中央の下部には、光センサ46A(図4(a)参照)が設置されており、少なくとも可視光領域及び赤外線領域の波長の光を透過可能な合成樹脂で作られたセンサカバー1(図1参照)で覆われている。ちなみに、前面パネル106を下端を軸として回動せず、固定されるものとして構成してもよい。
左右風向板110は、室内機マイコン38(図3参照)からの指示に従い、下部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして左右風向板用モータ(51a,51b:図3参照)により回動される。
上下風向板111は、室内機マイコン38(図3参照)からの指示に従い、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板用モータ(50a,50b,50c:図3参照)により回動される。
フィルタ112は、熱交換器102の吸込み側を覆うように配置されている。フィルタ112は、上面に設けられた空気吸込み口107から取り込まれた空気に含まれる塵埃を捕らえる。フィルタ112によって当該塵埃が取り除かれた空気は、熱交換器102に送り込まれる。
人検知センサ113は、例えば、検知エリア内の温度変化に反応して信号を出力する素子を内部に備え、これによって室内に人がいるか否かを検知することができる。
図2に示す送風ファン103が回転すると、室内空気が空気吸込口107から、熱交換器102、送風ファン103を通り、温湿度が調整された空気が吹出し風路109に導かれる。さらに、吹出し風路109に導かれた空気は、左右風向板110、上下風向板111によって風向きを調整され、空気吹出し口108から外部に送り出されて室内を空調する。
<制御装置の構成>
図3は、空気調和機のシステム構成を示すブロック図である。図1に示す室内機100Aは、内部に制御装置300を備えている。図3に示すように、制御装置300には、交流電源60から室外機200(図1参照)に突入電流が流れることを防止するための突入電流防止回路31と、室外機200への電源供給の開閉を行うためのパワーリレー32と、制御電源回路33と、で電源部を構成している。
また、制御電源回路33には、ファンモータ駆動回路34を介してファンモータ35が接続され、二方弁駆動回路36を介して冷媒経路を切り替えるための二方弁37が接続されている。
また、制御装置300は、室内機マイコン38を備えている。室内機マイコン38には、制御電源回路33に接続されるリセット回路39、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)40、クロック発振回路41、が接続されている。
さらに、室内機マイコン38には、リモコン受信部42に設置された赤外線受光素子42a、吸込み温度サーミスタ43、熱交換器サーミスタ44、湿度センサ45、光センサ46などの各種センサが接続されている。また、室内機マイコン38は、空気調和機100Aの運転状態を使用者が視覚的に認識できるように、表示部47の発光ダイオード(図示せず)の点灯を制御し、ブザー48の吹鳴を制御する。
さらに、室内機マイコン38は、ステッピングモータ駆動回路49を介して接続される上下風向板用モータ50a,50b,50cと、左右風向板用モータ51a,51bと、前面パネル用モータ52と、の回転を制御する。
そして、室内機マイコン38は、室内外通信回路30を介して室外機200との通信を司るとともに、室内機100Aを統括して制御する。
なお、前記の制御装置300の各構成の詳細については、その説明を省略する。
<光センサの構成及び設置角度>
次に、室内機100Aに設置される光センサについて詳細に説明する。図4(a)は、室内機のセンサカバーを外した状態の正面図である。図4に示すように、前後方向と、左右方向と、上下方向とを定義する。
室内機100Aの前面パネル106の左右方向中央の下部には、図4(a)に示すように凹部2が形成され、当該凹部2に光センサ46Aが設置されている。光センサ46Aは、左側に設置された可視光センサ3と、右側に設置された赤外線センサ4とを備える。
凹部2は、光センサ46Aが設置された状態で、当該光センサ46Aが左右方向において正面を向き、かつ、上下方向において水平面から所定角度だけ下を向くように形成されている(図5参照)。そして、凹部2を覆うようにしてセンサカバー1(図1参照)が、設置されている。
図4(b)に示すように、可視光センサ3は、基板3cと当該基板3c上に設置された可視光波長領域用の受光素子3bとが、ホルダ3aに固定されるように構成されている。受光素子3bは、可視光波長領域での波長域(およそ360nm〜830nm)での光強度に応じて所定の電流を出力する。また、受光素子3bは、指向性を有し、所定の受光角で集光された光が受光素子3bに到達するようになっている。
また、赤外線センサ4は、基板4cと当該基板4c上に設置された赤外波長領域用の受光素子4bとが、ホルダ4aに固定されるように構成されている。受光素子4bは、赤外波長領域での波長域(およそ0.7μm〜1mm)での光強度に応じて所定の電流を出力する。また、受光素子4bは、指向性を有し、所定の受光角で集光された光が受光素子4bに到達するようになっている。
図4(c)は、可視光センサと赤外線センサとを一つの基板に設置した場合の斜視図である。図4(c)に示すように、可視光波長領域用の受光素子46b1と、赤外波長領域用の受光素子46b2と、を基板46cの中央付近にそれぞれ設置し、ホルダ46aにて当該基板46cを固定するように形成することとしてもよい。
このように、可視光波長領域用の受光素子と、赤外波長領域用の受光素子と、を図4(b)に示すように別々の基板3c,4cに設置する場合と、図4(c)に示すように一つの基板46cに設置する場合がある。
図5は、室内機に設けられた光センサの設置角度を説明するための図である。前記のように、凹部2は、光センサ46Aが左右方向において正面を向き、かつ、上下方向において水平面から所定角度だけ下を向くように形成されている。ちなみに、前面パネル106が下端を軸として回動する場合には、回動後の状態で光センサ46Aが上下方向において水平面から所定角度だけ下を向くように凹部2を形成することとしてもよい。これは、後記する他の実施形態についても同様である。
図5に示すように、凹部2は、光センサ46Aの受光方向が、水平面からθ2だけ下を向くように形成されている。なお、受光素子3b、4bはθ1で示す指向角を有し、部屋の床面のうちほぼ全面(及び一部の壁面)の領域Pを捉えることができるよう、広指向性のものを使用している。
図6は、光センサと室内機マイコンとの関係を示す回路図である。図6に示すように、受光素子3bは、フォトトランジスタである。光が入射された場合、受光素子3bは、可視光波長領域の光に応じて、出力電流が増大する。この電流は抵抗R1,R2,R3,R4およびC1によって電圧変換、フィルタリングされ、電圧信号としてA/Dポート38aを介して室内機マイコン38に出力される。
同様に、受光素子4bも、フォトトランジスタである。光が入射された場合、受光素子4bは、赤外波長領域の光に応じて、出力電流が増大する。この電流は抵抗R5,R6,R7,R8およびC2によって電圧変換、フィルタリングされ、電圧信号としてA/Dポート38bを介して室内機マイコン38に出力される。
光センサは図6に示されるとおり、汎用部品である受光素子3b及び受光素子4b、また抵抗R1,R2,R3,R4及びコンデンサC1によって構成されるため、安価に構成することができる。
<室内機マイコンによる光源判別>
(光源の判別方法:その1)
一般に、室内機100Aが設置されている室内の床面及び壁面には、太陽光の他に蛍光灯、白熱灯、LED照明などから発せられる光が照射される。図7は、太陽光、蛍光灯、白熱灯のそれぞれについての、波長に対するスペクトル強度の分布を示す図である。一般に、光には、紫外線波長領域401、可視光波長領域402、赤外線波長領域403の波長領域が存在する。図7に示すように、光源の種類によって、その光源から発せられる光は、異なるスペクトル強度の分布を示す。なお、図7は、横軸が波長であり、縦軸が強度である。
前記した通り、紫外線透過率は窓ガラスごとに異なるため、環境ごとのバラツキが大きい。したがって、以下では、窓ガラスを介する室内であっても安定して検出が可能な、図7に示す可視光波長領域402及び赤外波長領域403に着目して考えることとする。ちなみに、室内において安定して出力を得られる場合では、紫外線波長領域401に着目し、以下赤外線をこれに置き換えてもよい。
図7に示すように、太陽光は、可視光波長領域402から赤外波長領域403まで幅広い範囲のスペクトル強度分布を有している。また、白熱灯の光は、可視光波長領域402から赤外波長領域403までの範囲でスペクトル強度分布を有しているものの、可視光波長領域402のスペクトル強度に対して赤外波長領域403のスペクトル強度の方が相対的に高い値を示す分布となっている。また、蛍光灯の光は、主に可視光波長領域402の範囲で所定のスペクトル強度分布を有しているが、赤外波長領域403の波長成分はほとんど含んでいない。
図8(a)は太陽光から光が照射された場合の光センサの出力を示す図であり、(b)は白熱灯から光が照射された場合の光センサの出力を示す図であり、(c)は蛍光灯が照射された場合の光センサの出力を示す図である。
各波長領域の光を検出する受光素子3b,4b(図4(b)参照)の出力はそれぞれ比例関係となる。したがって、光量を横軸とした場合の可視光線センサ3及び赤外線センサ4出力のグラフは、それぞれ図8(a),(b),(c)、に示す通りとなる。つまり、ある特定の光源から照射される光を各受光素子が受光した場合に、可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力の割合はほぼ一定の値となる。
例えば、光源が太陽光である図8(a)に示すグラフでは、(赤外線センサ4の出力)/(可視光センサ3の出力)の値は、およそ0.7の値となる。また、例えば、光源が白熱灯である図8(b)に示すグラフでは、(赤外線センサ4の出力)/(可視光センサ3の出力)の値はおよそ2.0の値となる。また、例えば、光源が蛍光灯である図8(c)に示すグラフでは、(赤外線センサ4の出力)/(可視光センサ3の出力)の値は、ほぼゼロの値となる。
つまり、可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力の割合によって、室内に照射されている光源の種類を判別することができる。したがって、予め所定の閾値を2つ設定しておき、(赤外線センサ4の出力)/(可視光センサ3の出力)の値をδとした場合に、δと前記各閾値とを比較することによって、室内に照射されている光源を判別することが可能となる。
なお、前記の記載において、「光源を判別」するという記載は、室内に照射されている光が全てその光源によるものである場合の他に、検出された光の強度について、特定の光源から照射される光の影響が最も大きいものである場合も含むものとし、以下の記載においても同様である。
例えば、前記閾値を0.3及び1.5に設定した場合、δの値が0以上0.3未満である場合には光源が蛍光灯であり、0.3以上1.5未満である場合には光源が太陽光であり、1.5以上である場合には光源が白熱灯であると判別することができる。
なお、後記で説明するように、図8(a)〜(c)に示すグラフ(直線)の傾きや前記各閾値の値は一例であり、受光素子3b,4bの素子特性や当該各素子に接続される回路構成、空気調和機Aの仕様などによって、適宜設定を変更することができる。
そして、室内に照射される光の光源を適切に判別することができるように、受光素子3b,4bの素子特性や当該各素子に接続される回路構成、及び、前記のδの値についての閾値を設定する。
なお、これらの設定は、事前の実験に基づいて、空気調和機Aの設計段階で設定され、図3に示す制御装置300のEEPROM40に記憶される。また、前記で説明した光源判別は、図6に示すように、可視光センサ3及び赤外線センサ4から入力された信号に基づいて、室内機マイコン38が行う。
また、一般に室内においては、複数種類の光源(例えば、太陽光と蛍光灯)からの光が照射されていると考えられる。前記複数種類の光源からの光が照射された場合、各光源の種類と、それぞれ光のスペクトル強度分布の和が、可視光センサ3及び赤外線センサ4の出力値に現れるため、前記で説明したδの値に反映されることとなる。
そのため、各光源からの影響の度合い、例えば同じ照度でも、蛍光灯の光より太陽光の影響の方が強い場合などにおいて、影響の度合いの大きい方の光源を判別できるよう、δの前記閾値に反映させる。
また別の方法としては、例えば光源の判定結果を「太陽光と蛍光灯」など、二の光源が同居していると判定するよう、前記で説明したδの閾値を更に細分化することもできる。
(蛍光灯とLED照明との判別)
図9は、蛍光灯、LED照明のそれぞれについて、波長に対するスペクトル強度の分布を示す図である。このように蛍光灯とLED照明にはスペクトルの相違点が存在するが、この点に感度を持つ受光素子、例えば500nmについて感度を持つ受光素子(図示せず)を光センサ46に付加する。それぞれの受光素子の出力に基づいて光源が蛍光灯であるかLED照明であるか(又は他の光源であるか)を判別することができる。
つまり、図9に示すように、蛍光灯からの光が光センサ46Aに照射された場合、可視光センサ3と500nmについて感度を持つ受光素子(図示せず)とは両者とも出力が得られる。これに対して、LED照明からの光が光センサ46に照射された場合、可視光センサ3の出力に対し、500nmについて感度を持つ光センサの出力が小さくなることから、蛍光灯とLED照明光の判別が可能となる。
蛍光灯とLED照明を区別する必要が生じた場合には、前記の光センサ46Aに、所定の波長領域において大きな感度を持つ受光素子を備えた光センサ(図示せず)を付加する。なお、光源の判別方法については前記で説明したので、省略する。
(光源の判別方法:その2)
図10は、可視光波長領域の光強度が所定範囲内であり、光源が太陽光、白熱灯、又は蛍光灯である場合の赤外線センサの出力を示す図である。図8(a)に示すように、光源が太陽光である場合には、可視光の強度がa1〜a2における赤外線センサの出力範囲はα(b1〜b2)となっている。また、図8(b)に示すように、光源が白熱灯である場合には、a1〜a2における赤外線センサの出力範囲はβ(b3〜b4)となっている。また、図8(c)に示すように、光源が蛍光灯である場合には、a1〜a2における赤外線センサの出力範囲はγ(b5〜b6)となっている。
図10に示すように、可視光の強度がa1〜a2の範囲においては、出力範囲α,β,γは重複していない。したがって、例えば、図9に示す閾値d,eを予め設定し、可視光強度範囲a1以上a2以下における赤外線センサ4の出力が0以上d未満である場合には光源が蛍光灯であり、赤外線センサ4の出力がd以上e未満である場合には光源が太陽光であり、赤外線センサ4の出力がe以上である場合には光源が白熱灯であると判別することができる。
このように、室内機マイコン38(図3参照)は、まず、可視光の強度(可視光センサ3の出力)が、予め設定されたa1以上a2以下の所定範囲に属するか否か判断し、前記所定範囲内に属する場合には、赤外線センサ4の出力と閾値d,eとの大小関係に基づいて、光源を判別することができる。
ところで、太陽光が室内に照射されている場合であっても、太陽光による光の強度が小さい場合には、それに伴って室内の床又は壁からの輻射熱量も少なくなる。このように太陽光の影響が、温度補正を行う必要がないほど小さい場合、空気調和機Aはそれまで行っていた運転制御をそのまま継続することが望まれる。したがって、それまで行っていた運転制御をそのまま継続するか否かの境界となる光強度として、図10に示すa1を設定すればよい。
また、一般的な室内においては、極端に可視光強度が高くなるとは考え難く、この上限値をa2に設定すれば良い。
そして、受光素子3b,4bの素子特性や当該各素子に接続される回路構成によって、可視光センサ3bや赤外線センサ4の出力(つまり感度)を、前記各要件を満たすように設定する。
なお、これら閾値の設定は、事前の実験に基づいて、空気調和機Aの設計段階で設定され、図3に示す制御装置300のEEPROM40に記憶される。また、前記した光源の判別は、図6に示すように可視光センサ3及び赤外線センサ4から入力された信号に基づいて、室内機マイコン38が行う。
図22は太陽光から照射される可視光量の時間変化を示す図である。白熱灯や蛍光灯などの照明器具は設置場所が固定されているため照射角度は一定であり照度もほぼ一定である。しかしながら、図22に示す通り、太陽光は時間と共に照射角度が変わり、また、雲や大気の状態によって照度が変動する。更に太陽光はもともと不定期にゆらぐ性質(1/fゆらぎ)を有する。そこで、太陽光のこのような性質を利用して、可視光センサ3の出力値が所定時間内に所定回数以上ゆらいでいるか否かを検出することにより太陽光の識別の精度を向上することができる(太陽光ゆらぎ判定)。また、複数の光源が同時に照射された場合、例えば白熱灯と蛍光灯を併用した場合などは、光の成分(可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力の割合)が非常に太陽光に近くなるが、この太陽光ゆらぎ判定により、太陽光の誤認識を防止することができる。
図23は太陽光ゆらぎ判定の処理手順を示すフローチャートである。まず、光源判別実行時間毎に前述した『可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力の割合』による光源判定を行う。ステップS0において光源判別実行時間を確認し、経過していればステップS1に進み光源判別を実行する。経過していなければS0にとどまり時間経過を待つ。次にステップS2では光源判別の結果を確認する。光源判別の結果が太陽光であった場合にはステップS3に進み、可視光センサ3の出力値をマイコン内部のRAMに保存する。光源判別の結果が太陽光以外であった場合は無処理でステップS4に進む。ステップS4では光源判定を所定の回数行ったかを判定する。光源判定を所定の回数行っていればステップS5に進み、行っていなければS0に戻り次の光源判定を行う。ステップS5では保存した可視光センサ3の出力値から平均値を求める。ステップS6では保存した可視光センサ3の出力値と平均値との比率を求める。
次にステップS7では比率の判定を行い、比率がゆらぎ上限比率以上又はゆらぎ下限比率以下を検出した場合はステップS8に進みゆらぎを検出した回数をカウントする。ゆらぎ比率を満足しなかった場合は無処理でステップS9に進む。ステップS9では保存した全ての可視光センサ3との比率判定を終了したかを確認し、終了していればステップS10に進み最終判定を行う。終了していなければステップS6に戻り比率判定を継続する。ステップS10ではゆらぎを検出した回数を確認する。ゆらぎを検出した回数が太陽光ゆらぎ確定回数以上あった場合は太陽光を確定する。太陽光ゆらぎ確定回数未満であった場合には太陽光以外の光源に確定する。
なお、ゆらぎ判定に用いるしきい値等の設定は、事前の実験に基づいて、空気調和機Aの設計段階で設定され、図3に示す制御装置30のEEPROM40に記憶される。
図24を用いて太陽光ゆらぎ判定の一例を説明する。EEPROM40の設定を、光源判別実行時間=10秒、光源判定回数=6回、ゆらぎ上限比率=110%、ゆらぎ下限比率=90%、太陽光ゆらぎ確定回数=2回、光源判定の結果は6回全て太陽光となった場合の動作例では、可視光センサ3の出力値6回分の平均値=80((75+63+100+77+85+85)/6)であり、可視光センサ3の出力値6回分と平均値との比率を求めると、ゆらぎ上限比率以上またはゆらぎ下限比率以下を検出した回数は合計2回となり、太陽光ゆらぎ確定回数2回を満足するため太陽光に確定となる。
<光源判別結果に基づく運転制御>
前記した通り、室内に太陽光が照射されると、当該太陽光によって室内の床面や壁面が暖められ、輻射熱が発生する。すなわち、図11(a)に示すように、室内へ照射される太陽光の光強度が大きくなるのに従って、室内の床面や壁からの輻射熱が大きくなる。つまり、太陽光が検出された場合の可視光センサ出力または赤外線センサ出力が大きくなるのに従って、室内の床面や壁からの輻射熱量も大きくなっていることとなる。ちなみに、光源が太陽光であるか否かは前記の方法によって室内機マイコン38(図3参照)により判断される。
また、図11(b)に示すように、室内の床面や壁からの輻射熱量が大きくなるにしたがって、在室者が感じる体感温度の上昇量も大きくなる。
なお、実際には体感温度の推定には気温、運動量、湿度等が関わるが、図11(b)では輻射熱量と体感温度の関係を示すため、これらの条件を一定として一例を示したが、実際には前記パラメータを考慮して体感温度を算出する必要がある。
また、室内に入射する太陽光の光強度と輻射熱量および、輻射熱量と体感温度には図11のように比例の関係が成り立つ。よって、室内に入射する太陽光の光強度から室内の体感温度を求めることができる。これらパラメータは予め実験などにより取得され、EEPROM40(図3参照)に記憶されている。
マイコン38(図3参照)は、まず、室内に照射されている光の光源を判別し、光源が太陽光であるか否か判断する。そして光源が太陽光であると判断した場合、マイコン38はEEPROM40に記憶されている情報を参照し、光センサによって検出された光強度から輻射熱量を推定し、その結果に基づいて運転制御を行う。なお、光源が太陽光でない場合には、空気調和機Aはそれまで行っていた通常の運転を継続して行う。
ちなみに、図11(a),(b)に示す特性のパラメータは、空気調和機の仕様や使用環境などに依存するため、空気調和機ごとに任意に設定すればよい。
次に、室内機マイコン38(図3参照)が推定した輻射熱量に基づいて、空気調和機100Aの運転制御を行う場合について、具体例を挙げて説明する。
例えば、室外気温10℃のとき、空気調和機100Aが暖房運転を行っており、空調設定温度が25℃である場合を考える。光センサ46Aが蛍光灯、白熱灯、又はLED照明の光を検出した場合は、室内機マイコン38は、空調温度(吸込み口107に設けた吸込み温度サーミスタ43により検出される室内気温:図2、図3参照)が、25℃となるよう運転制御を行う。
ここで、可視光センサ3と赤外線センサ4からの出力値に基づいて室内に照射された光の光源が太陽光であると判別した場合、室内機マイコン38は、当該太陽光による輻射熱量を推定する。さらに室内機マイコン38は、推定した輻射熱量から求めた体感温度の上昇量が例えば2℃であった場合に、室内機マイコン38は、空調設定温度が25℃であるのに対し空調温度(室内機100Aの吸気温度)が23℃となるよう運転制御を行う。これによって太陽光による輻射熱の影響を空調制御により相殺し、室内における体感温度をより空調設定温度に近い値とする運転制御を行う。
<効果1>
本実施形態に係る空調和機Aでは、可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力の比によって室内に照射されている光の主な光源を判別することができる(前記の光源の判別方法:その1)。あるいは、可視光センサ3の所定の出力範囲内において、赤外線センサ4の出力値と所定の閾値d,eとを比較することによって、光源を判別することができる(前記の光源の判別方法:その2)。
また、可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力は、光源ごとに所定の比となる。したがって、前記した可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力の比を用いて光源を判別する場合には、室内照度の大小に関わらず光源を判別することが可能である。
<効果1−1>
太陽光特有のゆらぎ性質を利用し可視光センサの値のゆらぎを検出することで、光源判別において太陽光を高精度で認識することができる。また、白熱灯と蛍光灯を併用すると『可視光センサ3の出力に対する赤外線センサ4の出力の割合』が太陽光に近くなるが、この場合においても太陽光ゆらぎ判定を行うことにより、太陽光と誤認識しなくなり、より精度高く光源を判別し、光源と照度に対応した運転制御が可能となる。
また、判別した光源が太陽光であった場合、室内機マイコン38はその光強度に応じて輻射熱量を推定し、当該輻射熱量による体感温度の上昇量に応じ、室内機マイコン38は室内の体感温度差を相殺して空調設定温度となるよう運転制御を行う。これにより、太陽光による輻射熱の影響の有無に関わらず、室内の快適性を一定に保つことで在室者にとってより快適な空調環境を提供することができる。
また、前記のように、紫外線波長領域の光は、窓ガラスによって減衰されて室内に入射されるが、本実施形態に係る空気調和機Aは、窓ガラスを介しても安定して検出することが可能な可視光波長領域の光を検出する可視光センサ3、及び、赤外線波長領域の光を検出する赤外線センサ4を使用することで正確に光源を判別し、その結果に基づいて運転制御を行うことができる。
また、室内機100Aの前面パネル106に設置された光センサ46A(46B)は、室内のほぼ全ての床面(及び壁の一部)からの光を採光することができる。したがって、室内機マイコン38は、室内全体での太陽光による輻射熱量及び体感温度の上昇量を適切に推定し、その結果に基づいて運転制御を行うことができる。
≪第2実施形態≫
<光センサの構成及び設置角度>
図12は、本発明の第2実施形態に係る空気調和機の説明するための図であり、(a)は室内機に光センサを2つ設置し、センサカバーを外した場合の正面図であり、(b)は部屋を真上から見た場合に、2つの光センサによって捉えられる床面の領域を示す図である。
図12(a)に示すように、室内機100Bの左右方向中央の下部には、凹部2L,2Rが形成されている。また、凹部2Lには光センサ46Lが設置され、凹部2Rには光センサ46Rが設置されている。ここで、各光センサ46L,47Rのそれぞれに可視光波長領域用の受光素子46b1と、赤外波長領域用の受光素子46b2と(図4(c)参照)が設置されている。
なお、以下の記載においては、1個の基板上に可視光波長領域用の受光素子と赤外波長領域用の受光素子とが設置されている場合について説明するが(図4(c)参照)、可視光波長領域用の受光素子と赤外波長領域用の受光素子とが別々の基板上に設置されている場合でも同様である(図4(b)参照)。
図5を用いて説明した場合と同様に、凹部2L,2Rは、各光センサ46L,46Rが設置された場合にその受光方向が水平面からθ2(図5参照)だけ下を向くように形成されている。また、図12(a)に示すように、光センサ46Lの受光方向が前面パネル106に対して垂直な平面からθ3だけ左方向に向くように凹部2Lが形成され、光センサ46Rの受光方向が前面パネル106に対して垂直な平面からθ4だけ右方向に向くように凹部2Rが形成されている。
また、各光センサ46L及び46Rの受光角は、それぞれ、図12(b)に示すエリアP1,P2を捉えることができるように、比較的狭く(例えば、60°)設定されている。このような構成によって室内機100Bは、センサ46Lによって図12(b)の左側エリアP1からの光をとらえ、センサ46Rによって右側エリアP2からの光をとらえることができる構成になっている。
図13は、2つの光センサと室内機マイコンとの関係を示す回路図である。前記の通り、左エリア検出用の光センサ46Lは、可視光波長領域用の受光素子46L1と赤外波長領域用の受光素子46L2とを備えており、各センサからの出力がA/Dポート38a,38bを介して室内機マイコン38に取り込まれる。同様に、右エリア検出用の光センサ46Rは、可視光波長領域用の受光素子46R1と赤外波長領域用の受光素子46R2とを備えており、各センサからの出力信号がA/Dポート38c,38dを介して室内機マイコン38に取り込まれる。
なお、図13に示す回路の詳細については、図6を用いた説明と重複するため、説明を省略する。
<光源判別結果に基づく運転制御:その1>
前記の通り、本実施形態では、左エリア検出用の光センサ46L(図12(a)参照)によって、室内の左エリアである領域P1(図12(b)参照)に照射される光の光源を判別することができる。同様に、右エリア検出用の光センサ46R(図12(a)参照)によって、室内の右エリアである領域P2(図12(b)参照)に照射される光の光源を判別することができる。
そして、室内機マイコン38は、各領域P1,P2ごとの輻射熱量を推定し、当該輻射熱量に基づいて運転制御を行う。すなわち、室内機マイコン38は、各領域P1,P2のうち、照射されている光の光源が太陽光であると判別された領域が存在する場合には、当該領域の輻射熱量を推定し、各領域P1,P2における熱輻射量の差に対応する体感温度の差がなくなるように運転制御を行う。
例えば、外気温が10℃のとき、空気調和機Bの暖房運転で空調設定温度が25℃である場合を考える。このとき室内の左エリアP1(図12(b)参照)から光を採光するよう設置された左エリア検出用の光センサ46Lからの入力により、室内機マイコン38が、光源は太陽光であると判別しており、その光強度から求めた輻射熱量による体感温度の上昇量が2℃であったとする。一方、室内の右エリアP2(図12(b)参照)から光を採光するよう設置された右エリア検出用の光センサ46Rにより、室内機マイコン38が、右エリアP2における光源は蛍光灯であり、太陽光による輻射熱が存在しないと判断したとする。
この場合、左エリアP1と右エリアP2とを比較すると、体感温度において左エリアの方が2℃高く、同一室内において2℃の温度差が生じていることとなるため、在室者にとって不快な状態となっている。
そこで、室内機マイコン38は、左エリアP1と右エリアP2における体感温度が一定となるように、左右風向板110(図2参照)と上下風向板111(図2参照)による風向制御を行うとともに、ファンモータ35(図3参照)の回転数を制御することによって気流制御を行うことにより、当該室内における体感温度の差を解消する。つまり、空気調和機Bは、左エリアP1と比較して体感温度が相対的に2℃低い右エリアを中心に送風する(暖房運転により温風を送風する)ことで、室内における体感温度を一定とすることができる。
ちなみに、上記では空気調和機Bが暖房運転を行っている場合について説明したが、冷房運転の場合には、体感温度が相対的に高いエリアに向けて送風する(冷房運転により冷風を送風する)ことで、室内における体感温度を一定とすることができる。
<光源判別結果に基づく運転制御:その2>
前記では、空気調和機Bが暖房運転又は冷房運転を行っている(つまり、温風又は冷風を送風している)場合における運転制御について説明したが、空調室内の温度が空調設定温度を中心として所定範囲内(例えば、±0.5℃以下)に収まっている場合もある。
また、室内の空気が設定温度に達している場合には、空気調和機Bの冷媒サイクルは停止状態となり、熱交換器102(図2参照)内の冷媒温度は除々に室温に近づいていく。また、一般に、室内の温度が空調設定温度に達している場合において、在室者に対し室内の空気をそのまま送風した場合、気流効果により在室者は涼しく感じる(つまり、体感温度が低くなる)。
したがって、空気調和機Bの設定温度と吸込み温度サーミスタ43によって検出された室内気温との差が、予め設定された所定範囲内であると判断した場合、室内機マイコン38は、室内における熱輻射量の差に対応する体感温度の差がなくなるように、室内の空気を冷却又は加熱せずにそのまま送風する。例えば、室内の空気が設定温度に達している場合、左エリアP1と右エリアP2において、太陽光が検出され体感温度の差が生じていると検出される場合には、室内マイコン38は、体感温度が高くなっているエリアに向けて、空調室内の空気をそのまま送風する制御を行う。
この場合には、室内マイコン38は冷媒サイクルを稼動させずに、単に送風ファン103(図2参照)を回転させて、室内の空気を循環させるよう制御を行う。
<効果2>
本実施形態に係る空調和機Bによれば、室内のうち局所的に太陽光が照射され、その影響によって局所的に温度差が生じている場合にも、温風、冷風の気流制御を行うことにより室内における温度差をなくして室内全体の体感温度を均一化し、室内の快適性を保つことができる。
また、本実施形態に係る空気調和機Bでは、室内機100Bにより検出された室内温度が空調設定温度に達している場合であっても、相対的に体感温度が高い領域に向けて室内の空気をそのまま送風する制御を行う。このように送風の気流を利用することで、室内全体の温度を空調設定温度に保ちつつ、室内における温度差をなくして室内全体の体感温度を均一化することができる。
≪第3実施形態≫
<光センサの構成及び設置角度>
図14(a)は本発明の第3実施形態にかかる空気調和機を説明するための図であり、室内機に光センサを4つ設置し、センサカバーを外した場合の正面図であり、(b)は部屋を真上から見た場合に、4つの光センサによって捉えられる床面の領域を示す図である。
図14(a)に示すように、室内機100Cの左右方向中央の下部には、4つの凹部2L,2F,2N,2Rが形成されている。また、凹部2Lには光センサ46Lが設置され、凹部2Fには光センサ46Fが設置され、凹部46Nには光センサ46Nが設置され、凹部2Rには光センサ46Rが設置されている。ここで、各光センサ46L,46F,46N,46Rのそれぞれに、可視光波長領域用の受光素子46b1と、赤外波長領域用の受光素子46b2と(図4(c)参照)を備えている。
本実施形態において、凹部2Lのうち光センサ46Lが設置される平面、及び、凹部2Rのうち光センサ46Rが設置される平面の角度(前面パネル106に対する傾斜角度)は、第2実施形態において説明した場合と同様である(図5、図12参照)。
すなわち、図14(a)に示す凹部2Lは、図14(b)に示す領域P3からの光を左エリア検出用の光センサ46Lが採光するように形成されている。また、図14(a)に示す凹部2Rは、図14(b)に示す領域P4からの光を右エリア検出用の光センサ46Rが採光するように形成されている。なお、センサ46L及びセンサ46Rの受光角は、各センサがそれぞれ、図14(b)に示す領域P3,P4をとらえることができるように適宜設定されている。
また、図14(a)に示す凹部2Fのうち中央・遠エリア検出用の光センサ46Fが設置される平面は、光センサ46Fが左右方向において正面を向き、かつ、上下方向において水平面から所定角度θ7(図15参照)だけ下を向くように形成されている。また、光センサ46Fの受光角θ5(図15参照)は、図14(b)に示す領域P5からの光を採光できるように設定されている。これによって、光センサ46Fは、中央・遠エリアである領域P5からの光を採光することができるようになっている。
同様に、図14(a)に示す凹部2Nのうち中央・近エリア検出用の光センサ46Nが設置される平面は、光センサ46Nが左右方向において正面を向き、かつ、上下方向において水平面から所定角度θ8(図15参照)だけ下を向くように形成されている。また、光センサ46Nの受光角θ6(図15参照)は、図14(b)に示す領域P6から光を採光できるように設定されている。これによって、光センサ46Nは、中央・近エリアである領域P6からの光を採光することができるようになっている。
図15は、室内機に設けられた中央・遠エリア用光センサと中央・近エリア用光センサの設置角度を説明するための図である。
図15に示すように、中央・遠エリア用光センサ46Fが水平面から下向きに傾斜する角度θ7は、中央・近エリア用光センサ46Nが水平面から下向きに傾斜する角度θ8よりも小さくなるように(θ7<θ8)、凹部2F,2N(図14(a)参照)がそれぞれ形成されている。
このようにして、室内機100Cに設置された4つの光センサ46L,46F,46N,46Rは、それぞれ、図14(b)に示す室内の4つの領域P1,P2,P3,P4からの光を採光することができるようになっている。
図16は、4つの光センサと室内機マイコン38との関係を示す回路図である。図16に示すように、4つの光センサがそれぞれ備える2種類の受光素子からの出力電流をそれぞれ抵抗により電圧変換し、A/Dポート38a〜38hを介して室内機マイコン38に出力する構成となっている。
すなわち、左エリア検出用の光センサ46Lが備える可視光波長領域用の受光素子46L1からの電気信号と、赤外波長領域用の受光素子46L2からの電気信号とが、それぞれA/Dポート38a,38bを介して室内機マイコン38に入力する。
他の受光素子46R1,46F1,46N1からの電気信号についても同様であるため、説明を省略する。また回路の詳細については、図6を用いた説明と同様である。
図17は、4つの光センサと、アナログスイッチと、室内機マイコンとの関係を示す回路図である。図16を用いて説明したように、例えば、2種類(可視光波長領域用と赤外波長領域用)の受光素子を4組用いた空気調和機100Cでは、計8個のA/Dポートが必要となる。このように、図16に示す回路構成の場合、光センサの数を多くしていくほど、対応する受光素子からの入力を受けるA/Dポートの数が増えていく。
しかし、図17に示すように、各受光素子からの入力を受ける各端子を設けたアナログスイッチ53を設け、室内機マイコン38が当該アナログスイッチ53からの入力を受ける構成とすれば、室内機マイコン38に設けるA/Dポートは1つで足りる。ちなみに、室内機マイコン38からアナログスイッチ53に対しては、図17に示す8つの受光素子のうち、信号を受ける受光素子を特定する選択制御信号が出力される。アナログスイッチ53は、室内機マイコン38から入力される選択制御信号に従って、予め設定された順序で各受光素子からの信号を、室内機マイコン38に対して逐次出力する。
なお、前記では、アナログスイッチ53を各受光素子と室内機マイコン38との間に介在させることとしたが、アナログスイッチ53の代わりにマルチプレクサを使用してもよい。
<窓の位置に応じた運転制御>
前記で説明したように、室内機100Cには、異なるエリアP1〜P4(図14(b)参照)からの光を採光するように、複数の光センサ46L,46F,46N,46Rが配置されている。
また、室内機マイコン38(図3参照)は、所定のサンプリング周期ごとに、各エリアP1〜P4に関して、光源判別の結果を少なくとも含む情報をEEPROM40(図3参照)に記憶させている。そして、室内機マイコン38は、EEPROM40から読み出した前記情報に基づいて、各エリアP1〜P4のうち、他の領域よりも相対的に長時間、太陽光が照射されている領域(例えばエリアP4)付近に窓70(図14参照)が設置されていると判断する。なお、前記所定のサンプリング周期は、予め設定された値である。
室内機マイコン38は、EEPROM40から読み出した前記情報に基づき、各エリアP1〜P4のうち他の領域よりも相対的に太陽光が検出される頻度が高い領域付近に窓が設置されていると判断する。そして、室内機マイコン38は、温度サーミスタ43によって検出される室内気温と、室外機200(図1参照)に設置された温度センサ(室外気温検出手段:図示せず)によって検出される室外気温と、に基づいて窓付近の温度を算出し、当該窓付近の領域とそれ以外の領域との温度差を小さくするように運転制御を行う。
例えば、冬など外気温が低く、空気調和機100Cが室内で暖房運転を行っている場合には、室外気温に対して室内温度が高くなる。そうすると、室外と室内との温度差によって室内側の窓ガラス付近の空気が冷やされ、窓付近の温度が低くなる傾向があるため、室内に温度差が生じている状態となり、在室者にとって不快である。
ここで、室内機100Cの室内機マイコン38(図3参照)は、前記の方法で窓が設置されているエリアを推定し、運転制御の補正を行う。
すなわち、室内機マイコン38は、室外機200(図1参照)に設置された温度センサ(図示せず)によって検出される室外気温情報と、室内機2に備えられた吸い込み温度サーミスタ43によって検出される室内気温情報とから、付近に窓が存在すると判断したエリアにおける気温の低下を推定することができる。
窓付近の温度低下ΔZ[℃]は、室内気温をX[℃]、室外気温をY[℃]とし、比例定数をξとすると、例えば、以下の式(1)により算出することができる。
ΔZ=ξ(Y−X) ・・・式(1)
なお、前記の比例定数ξは、予め事前の実験などにより取得し、制御装置300のEEPROM40に記憶させておく。
そして、室内機マイコン38は、推測した温度低下に応じて左右風向板110(図2参照)、上下風向板111(図2参照)による風向制御と、ファンモータ35(図3参照)の回転数を制御することにより、窓付近の気温の低下を防ぎ、室内の温度を均一にする。なお、マイコン38は付近に窓が設置されていると推定した前記エリアを、EEPROM40(図3参照)に記憶させることによって、夜間でも前記のように運転制御を行うこととしてもよい。
例えば、図14(a)に示す、右エリア検出用の光センサ46Rによって太陽光が検出される頻度が最も高い場合、または太陽光が検出されている時間が最も長かった場合、室内機マイコン38は図14(b)に示すように、右エリアP4付近に窓70があると判断することができる。
さらに、前記の状況で、室外気温が1℃、空調設定温度が18℃、吸い込み温度サーミスタ43によって検出される室内気温が18℃であるとする。この場合に室内機マイコン38によって推定される窓70付近の温度低下が、例えば、−3℃である場合、窓70付近の気温は15℃程度であるということがわかる。
このとき、室内において3℃の温度差が生じていることとなり、室内の在室者にとって不快である。したがって、室内機マイコン38は、左右風向板110、上下風向板111によって風向制御を行い、室内ファンモータ35の回転数制御を行うことで、室内全体の気温を一定に保つように運転制御を行う。
なお、運転制御の詳細については第2実施形態で説明した場合と同様であるから、説明を省略する。
ちなみに、特に昼間の時間帯では、日射の輻射による体感温度の上昇と、窓からの冷気による気温の低下の両方が存在するエリアも存在し得る。この場合、室内機マイコン38は、各光センサによって検出された太陽光の光強度から輻射熱量を求め、当該輻射熱量に基づいて体感温度の上昇量(例えば、3℃の上昇)を求める。また、室内機マイコン38は、前記の通り、室外気温と室内温度の比較によって得られる窓付近のエリアの温度低下を算出(例えば、1℃の低下)する。さらに、室内機マイコン38は、太陽光による体感温度の上昇量と、窓付近のエリアの温度低下量(|ΔZ|)との差分を求め(3℃−1℃=2℃の上昇)、当該結果に応じて室内全体の体感温度が一定となるように運転制御を行う。
<効果3>
本実施形態に係る空気調和機Cによれば、4つの領域P1〜P4における光強度の検出、光源判別、及び、その結果に基づいて輻射熱量の検出を行うので、室内における局所的な体感温度の差をより的確に把握し、それに基づいてよりきめ細やかな運転制御を行うことができる。また、一般的に空気調和機は部屋の四方を囲む壁の一つに、平行に取り付けられるため、各光センサの検出範囲を左エリア、右エリア、中央・遠エリア、中央・近エリアに設定したことにより、各壁それぞれの窓の有無を検出することが可能となり、より細やかな制御が可能となる。
また、空気調和機Cによれば、各領域において太陽光が照射される時間に基づいて窓が設置されている領域を特定することができる。したがって、特に、室外気温に比べて空調された室内温度が相対的に高くなる冬の季節においては、窓付近の温度低下による室内の局所的な温度差をなくすように空調運転を行うことによって、室内全体の温度を均一化して室内の快適性を保つことができる。
≪第4実施形態≫
図18は、本発明の第4実施形態にかかる空気調和機を説明するための図であり、(a)は室内機に光センサを4つ設置し、センサカバーを外した場合の拡大正面図であり、(b)は部屋を真上から見た場合に、4つの光センサによって捉えられる床面の領域を示す図である。
本実施形態に係る空気調和機Dは、図18(a)に示すように、左エリア検出用の光センサ46L1が右側の凹部2L1に設置され、右エリア検出用の光センサ46R1が左側の凹部2R1に設置され、中央・遠エリア検出用の光センサ46F1が上側の凹部2F1に設置され、中央・近エリア検出用の光センサ46N1が下側の凹部46N1に設置されている。ちなみに、各光センサ46L1,46F1,46N1,46R1は、第3実施形態の場合と同様に、前面パネル106の左右方向中央の下部に設置されている。
なお、前面パネル106に対する前記各光センサ46L1,46R1,46F1,46N1の傾斜角度や受光角などについては、第3実施形態で説明した場合と同様であるから説明を省略する。
そして、図18(b)に示すように、各光センサ46L1,46R1,46F1,46N1によって、それぞれエリアP3,P4,P5,P6からの光が採光される。
<効果4>
本実施形態に係る空気調和機Dによれば、4つの光センサ46L,46F,46N,46Rを一箇所に集めることができる。したがって、例えば、これに伴ってセンサカバー1(図1参照)を小さくすることができ、コストを抑えることが可能となる。また、センサカバー1を小さく設計できることで、意匠性をより高めることもできる。
≪第5実施形態≫
図19は、本発明の第5実施形態にかかる空気調和機を説明するための図であり、(a)は室内機の左右両端に光センサをそれぞれ設置し、各センサカバーを外した場合の正面図であり、(b)は、室内機が左側に設置されている場合に右エリア検出用の光センサによって捉えられる床面の領域を示す図である。
本実施形態では、左エリア検出用の光センサ46L′を室内機100Eの前面パネル106の左下に設置し、右エリア検出用の光センサ46R′を室内機100Eの前面パネル106の右下に設置する構成となっている。
また、凹部2L′,2R′は、図5を用いて説明した場合と同様に、各光センサ46L′,46R′の受光方向が、水平面からθ2(図5参照)だけ下を向くように形成されている。さらに、凹部2L′は光センサ46L′の受光方向が前面パネル106に対して垂直な面からθ9だけ左方向に向くように設置され、凹部2R′は光センサ46R′の受光方向が前面パネル106に対して垂直な面からθ10だけ右方向に向くように設置されている。
前記のような構成によって、室内機100Eの各センサ46L′,46R′は、それぞれ室内の左エリア、右エリアからの光を採光することができる。
なお、一般に空気調和機の室内機は、室内の中央に設置される場合よりも室内の右側又は左側の隅に設置される場合が多い。このような場合を想定して、一方のセンサのみで室内の広範囲からの光を受光できるよう、光センサ46L′及び46R′の受光角(例えば、120°)を設定しておく。
そして、例えば、室内機100Eが設置された際に、ユーザ又は作業員がリモコンRe(図1参照)を介して室内機100Eの設置位置(室内の左側か右側か中央か)を選択して室内機100Eに送信する。そして、室内機マイコン38(図3参照)は、リモコン受信部42(図1参照)を介して受信した前記情報に基づいて、光センサ46L′と光センサ46R′のいずれか一方のみ、又は、両方から入力される電気信号を受け付けるようにする。なお、室内機100Eの設置位置(室内の左側か右側か中央か)は室内機100Eが自動で検出する構成としてもよい。
例えば、図19(b)に示すように、室内機100Eが室内の左側に設置された場合、当該情報をリモコンReから受信した室内機マイコン38は、右エリア検出用の光センサ46R′から入力される信号のみを受け付けるようにする。前記のように、受光角が広めに設定されているので、右エリア検出用の光センサ46R′のみで室内のほぼ全域からの光を採光することができる。
<効果5>
本実施形態に係る空気調和機Eによれば、室内機100Eが壁の左右中央に設置された場合の他、左側又は右側に設置された場合でも、それに対応して室内機マイコン38が右エリア検出用の光センサ46R′からの電気信号のみ、又は、左エリア検出用の光センサ46L′からの電気信号のみを受け付ける。あるいは、リモコンReを介して受信した室内機100Eの設置位置の情報に基づいて、室内機マイコン38が光センサ46L′,46R′の受光方向を変える。これにより、光センサの壁からの光による影響を抑えることができ、より正確に室内の光源を捉えることが可能である。
したがって、室内機100Eの設置位置に関わらず、適切に光源判別を行い、その結果に基づく運転制御を行うことができる。
≪第6実施形態≫
本実施形態では、室内に照射される光の光源に応じて表示部47の調光を行うことを特徴とする。
図20は、室内機に設けられたリモコン受信部と、その周辺の概略構成を示す一部透視斜視図である。室内機100Fの前面パネル106(図1参照)の下部の左右一方の側には、リモコンRe(図1参照)からの赤外線等の操作信号を受ける赤外線受光素子42aと、空気調和機Aの運転状況などを表示する表示部47(47a,47b,47c,47d,47e,47f)と、室内機マイコン38からの所定の信号を送信する赤外線信号送信部55a,55b,55cと、が設けられている。また、赤外線受光素子42aと、赤外線信号送信部55a,55b,55cとは、合成樹脂製のカバー54によって覆われている。なお、前記の赤外線受光素子42aと、赤外線信号送信部55a,55b,55cについては、詳細な説明を省略する。
表示部47は、例えば、空気調和機Aの運転状態を表示する運転ランプ、タイマ予約時に点灯するタイマランプ、イオンミスト運転を行っている場合に点灯するイオンミストランプ、節電モードで運転を行っている場合に点灯するエコランプなどである。前記各表示部47は、室内機マイコン38からの指令に従って発光ダイオード(図示せず)を発光させることで、在室者に空気調和機Aの運転状態などを知らせる。
光センサによって検出された室内の光強度に応じて、表示部47の内部にそれぞれ設置された発光ダイオード(図示せず)の発光強度を調整する制御を行う。これにより、太陽光の入射される明るい室内においても表示部47の視認が可能で、かつ光強度が弱くなった場合であっても室内の光強度に応じて表示部47の発光強度を適正に保つことができるため、在室者が表示部47の表示を視認しやすくすることができる。
例えば、室内の光強度が微弱で所定の値以下となっている場合、又は、光源が白熱灯でその発光強度が所定の値以下である場合、室内機マイコン38は、在室者が就寝していると判断する。そして、室内機マイコン38は、表示部47の発光ダイオードの発光強度を弱める制御を行うことで、視認性を向上させるだけでなく、表示部が明るすぎるなどといった使用者へのストレスを軽減することができる。
また、表示部として液晶ディスプレイ(図示せず)を使用した場合などでも、上記と同様に、光センサによって検出された室内の光強度に応じて室内マイコン38が表示部の発光強度を調整する制御を行う。これにより、太陽光の入射される明るい室内においても表示部47の視認が可能で、かつ、光強度が弱くなった場合であっても室内の光強度に応じて表示部47の発光強度を適正に保つことができるため、在室者が表示部47の表示を視認しやすくすることができる。
また、例えば、室内の光強度が微弱で所定の値以下となっている場合、又は、光源が白熱灯でその発光強度が所定の値以下である場合、室内機マイコン38は、在室者が就寝していると判断する。この場合、室内機マイコン38は、表示部47の液晶ディスプレイの発光強度(つまり、図示しないバックライトの発光強度)を弱める制御を行う。これによって空気調和機Fは、視認性を向上させるだけでなく、表示部が明るすぎるなどといった使用者へのストレスを軽減することができる。また、表示部が液晶ディスプレイで構成されている場合、室内に照射されている光の光源に合わせて液晶ディスプレイの色調の補正を行うこととしてもよい。また、前記で説明したバックライト(図示せず)の発光強度の補正と、液晶ディスプレイの色調の補正とを併せて行うこととしてもよい。
なお、光源判別方法などの詳細については前記の内容と同様であるから、説明を省略する。
<効果6>
本実施形態に係る空気調和機Fによれば、室内に照射されている光の光源を判別し、当該光源から照射される光の光強度に基づいて表示部の発光強度を調整することができる。つまり、空気調和機Fは、昼間などの室内が明るい際の表示部発光強度に対し、室内が暗い場合には表示部の発光強度を弱める制御を行う。これにより、表示部発光強度を室内の環境ごとに適正に設定できるため、就寝時などでも表示部の光によって快適性を損なうことはない。
また、表示部が液晶ディスプレイで構成されている場合には、バックライトの光度だけでなく、室内に照射されている光の光源に合わせて色調の補正を行うことで、表示部を使用者にとって見やすいものとすることができる。
≪第7実施形態≫
本実施形態では、室内に照射される光の光源に応じてフィルタ清掃機構の運転制御を行うことを特徴とする。
室内機100Gには、上面に設けられた空気吸込み口107(図2参照)から取り込む空気に含まれる塵埃を捕らえるフィルタ112(図2参照)が設置されている。また、室内機100Gには、フィルタ112に溜まった塵埃を清掃するためのフィルタ清掃機構56が設置されている。
前記第6実施形態において説明した場合と同様に、例えば室内の光強度が微弱で所定の値以下となっている場合、または光源が白熱灯でその発光強度が所定の値以下である場合などは、室内機マイコン38がフィルタ清掃機構56に対し、フィルタ112の清掃運転を行わないように制御するか、又は、フィルタ自動清掃機構56の運転音を発生する機能の動作を制限するよう制御する。すなわち、室内機マイコン38は、可視光波長領域の光強度が予め設定された所定値以下である場合、又は、光源として白熱灯を検出した場合には、フィルタ清掃機構56の運転を制限する。
なお、光源判別方法などの詳細については前記した内容と同様であるから、説明を省略する。
<効果7>
本実施形態に係る空気調和機Gによれば、室内に照射されている光の光源を判別し、当該光強度に基づいてフィルタ清掃機構56の運転を制御することができる。
したがって、空気調和機Gによれば、使用者の就寝時に室内機100Gのフィルタ56の動作音による使用者へ不快感のない、より快適な空調環境を提供することができる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機A〜Gについて、各実施形態により説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更などを行うことができる。
例えば、前記した第2実施形態〜第5実施形態では、例えば、各光センサが、可視光波長領域用の受光素子と赤外波長領域用の受光素子とが一つの基板上に設置される構成(図4(c)参照)となっていたが、これに限るものではない。すなわち、別基板上に可視光センサと赤外線センサとを、図4(b)に示すように別々に構成して設置することとし、これを一組の光センサとしてもよい。
また、前記では、各受光素子がフォトトランジスタである場合について説明したが、受光素子としてフォトダイオードを使用してもよい。
また、前記では、可視光波長領域用の受光素子と、赤外波長領域用の受光素子とを備えた光センサが1個の場合(光センサ46B:図4(c)参照)、2個の場合(光センサ46L,46R:図12(a)、図19参照)、4個の場合(光センサ46L,46F,46N,46R:図14、図18参照)について説明したが、これに限らない。すなわち、光センサを3個又は5個以上備えることとしてもよい。
また、前記では、各光センサが前面パネル106の左右方向中央の下部に設置されている場合と(図4、図12、図14参照)、前面パネルの右下及び左下にそれぞれ設置されている場合と(図19参照)について説明したが、これに限らない。すなわち、室内の所定の領域からの光を光センサによって採光することができればよく、前記の配置に限らない。例えば、光センサを前面パネル106の左右方向中央の上部に設置することとしてもよい。表示部47も同様である。
また、前記した第5実施形態では、リモコンRe(図1参照)を介して受信した室内機100Eの設置位置の情報に基づいて、室内機マイコン38が光センサ46L2,46R2の受光方向を変える場合について説明したが、これは、第1〜第4の実施形態でも適用可能である。つまり、第1〜第4実施形態での各室内機が、部屋の左側又は右側に設置されている場合にも、リモコンReを介して受信した室内機の設置位置の情報に基づいて、室内機マイコン38がデータを読み込む各光センサを選択する。これにより、光センサの壁からの反射光による影響を抑えることができ、より正確に光源を捉えることが可能である。
したがって、室内機の設置位置に関わらず、適切に光源判別を行い、その結果に基づく運転制御を行うことができる。
前述した通り室内に光源が検出されないと、表示部の発光強度を弱めたりフィルタ清掃運転を行わないといった機能が自動的に働く。しかし可視光センサが故障して実際には光源があるにも関わらず無いと誤判断した場合、前述の機能が働いて表示が認識しづらくなったりフィルタ清掃運転が行われないといった問題が生じる。
そこで可視光センサの故障判定機能を設け、故障と判断した場合には前述の制御を行わないように保護をかける。またこのときは、前述した輻射熱量に応じた空調温度の自動調整も行わないようにする。故障判定は可視光センサ3と赤外線センサ4による判定と可視光センサ3のみの判定の2通りを設ける。可視光センサ3と赤外線センサ4による判定については図8からも分かる通り、赤外線センサ4の出力が所定値以上あるのにも関わらず可視光センサ3の出力が所定値以下という状態は正常では有り得ないという点に着目したものである。また、可視光センサ3のみの判定については、夜や雨戸を閉めている状態など通常の使用条件においても同条件が成立するので故障確定する継続時間を長め(例えば10日間。少なくとも昼夜を跨ぐ時間)に設定する必要が有る。更に、何れの故障判定に於いても可視光センサ3の出力が所定値以上という状態が所定の時間(例えば10秒)継続して確認できた場合には即故障から復帰させる。これにより特殊な使用条件や環境により一時的に故障を誤検知した場合に於いても速やかに復帰することができる。
なお、故障判定に用いるしきい値等の設定は、事前の実験に基づいて、空気調和機Aの設計段階で設定され、図3に示す制御装置30のEEPROM40に記憶される。
図25は可視光センサ3と赤外線センサ4による故障判定の処理手順を示すフローチャートであり、図26は可視光センサ3と赤外線センサ4による故障判定のタイムチャートである。まずステップS0では現在の可視光センサの動作状態を確認する。正常な状態であればステップS1に進み故障判定を行う。故障状態であればステップS5に進み故障の解除判定を行う。ステップS1では故障継続時間をクリアした後ステップS2に進み、可視光センサ3の出力値と赤外線センサ4の出力値の判定を行う。可視光センサ3の出力が可視光センサ3故障入判定値以下かつ赤外線センサ4の出力が赤外線センサ4故障入判定値以上である場合にはステップS3に進み、故障条件を満足しなかった場合にはステップS1に戻り故障判定を頭出しする。ステップS3では故障状態が故障確定時間継続したかを判定する。継続した場合には可視光センサの故障を確定する。継続していない場合にはステップS2に戻り、引き続き可視光センサ3の出力値と赤外線センサ4の出力値を監視する。
ステップS5では正常継続時間をクリアした後ステップS6に進み、可視光センサ3の出力値の判定を行う。可視光センサ3の出力が可視光センサ3故障解除判定値以上である場合にはステップS7に進む。正常条件を満足しなかった場合にはステップS5に戻り正常判定を頭出しする。ステップS7では正常状態が故障解除時間継続したかを判定する。継続した場合には可視光センサの故障を解除する。継続していない場合にはステップS6に戻り、引き続き可視光センサ3の出力値を監視する。
図27は可視光センサ3のみによる故障判定の処理手順を示すフローチャートであり、図28は可視光センサ3のみによる故障判定のタイムチャートである。まず初めにステップS0では現在の可視光センサの動作状態を確認する。正常な状態であればステップS1に進み故障判定を行う。故障状態であればステップS5に進み故障の解除判定を行う。ステップS1では故障継続時間をクリアした後ステップS2に進み、可視光センサ3の出力値の判定を行う。可視光センサ3の出力が可視光センサ3故障判定値以下である場合にはステップS3に進み、故障条件を満足しなかった場合にはステップS1に戻り故障判定を頭出しする。ステップS3では故障状態が故障確定時間継続したかを判定する。継続した場合には可視光センサの故障を確定する。継続していない場合にはステップS2に戻り、引き続き可視光センサ3の出力値を監視する。
ステップS5では正常継続時間をクリアした後ステップS6に進み、可視光センサ3の出力値の判定を行う。可視光センサ3の出力が可視光センサ3故障解除判定値以上である場合にはステップS7に進む。正常条件を満足しなかった場合にはステップS5に戻り正常判定を頭出しする。ステップS7では正常状態が故障解除時間継続したかを判定する。継続した場合には可視光センサの故障を解除する。継続していない場合にはステップS6に戻り、引き続き可視光センサ3の出力値を監視する。
<効果8>
可視光センサ3の故障を可視光センサ3と赤外線センサ4を用いて判断することで故障検出の精度を向上することができる。また、可視光センサ3しか搭載されない機種に於いても故障検出を可能とした。前述の可視光センサ故障判定手段を用いることにより、可視光センサの故障による誤動作を防止する。