JP6393110B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
例えば、空気調和を施すべき部屋の内部を撮影する赤外画像センサを設け、該画像センサによる撮影画像に基づいて、人の数、位置、動作、活動量、或いは着衣量等の状況を判定し、該判定結果に基づいて空調制御をおこなうものである。
従来の空気調和機のなかには、可視光及び一部の近赤外線を検出可能なカメラを空気調和機本体に搭載することで、暗い環境での感度を向上させて室内環境を検出可能な空気調和機もある(例えば、特許文献1を参照)。
また、一般に使用されているパッケージ型のカメラモジュールには、所定のフレームレートで最適な撮像画像を出力するように、ホワイトバランスやコントラスト等、極力人の目で見た感覚に近づくように画像補正をおこなっているものが多くある。これらのカメラモジュールは、可視光帯域の光を捉えることを想定しており、組み込まれた画像補正は、近赤外線による撮像画像の調整に適しているわけではない。
本発明の目的は、一般に使用されているパッケージ型のカメラモジュールを搭載し、最適な可視光または近赤外線による撮像画像により空調制御をおこなう空気調和機をより安価に提供することにある。
図1と図2により、本実施例の概要を説明する。図1は、実施例の空気調和機Sの全体構成をしめす図である。図2は、室内機100の側断面図である。
図1に示す本実施例の空気調和機Sは、室内機100、室外機200、及びリモコンReから構成される。
室内機100と室外機200とは冷媒配管(図示せず)で接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機100が設置されている室内を空調する。また、室内機100と室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信するようになっている。
また、図1では、近赤外線投光器115を一箇所に設けるようにしているが、室内機100の複数個所に配置する構成としても良い。
筐体ベース101は、熱交換器102、送風ファン103、フィルタ108等の内部構造体を収容している。
熱交換器102は複数本の伝熱管102aを有し、送風ファン103により室内機100内に取り込まれた空気を、伝熱管102aを通流する冷媒と熱交換させ、前記空気を加熱または冷却するように構成されている。なお、伝熱管102aは、前記した冷媒配管(図示せず)に連通し、周知の冷媒サイクル(図示せず)の一部を構成している。
上下風向板105は、後述する制御手段130(図3)からの指示に従い、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板用モータ(図示せず)により回動される。
これにより、室内の所定位置に、空調風を送風することができる。
撮像手段110は、撮像手段110の設置位置から水平方向に対して所定角度だけ下方を向くように設置され、室内機100が設置されている室内を適切に撮像できるようになっている。ただし、詳細な撮像手段110の搭載位置や角度については、空気調和機Sの仕様や用途に合わせて設定すればよく、構成を限定するものではない。
なお、図1、図2に示す空気調和機S構成は、あくまで本実施例に係る一例であり、本発明が本実施形態に限定して適用されるものでないことは言うまでもない。
つぎに、図3により、実施例の空気調和機Sの制御ブロックの構成を説明する。
本実施例の空気調和機Sの制御手段130は、温度センサ・湿度センサ・照度センサ等を有し、空調制御をおこなう室内の温度や湿度や明るさを検出する環境検出手段160と、ユーザの操作指示を受信するリモコン受信部Q(図1参照)の環境情報や操作指令に基づいて、冷媒システム(図示せず)と送風ファン103や左右風向板104と上下風向板105の駆動をおこなうモータを制御して室内の空調制御をおこなう負荷駆動部150を制御する。
また、本実施例の空気調和機Sは、詳細を後述する近赤外線投光器115により近赤外線を室内に照射して、撮像手段110で撮像をおこなうようにしている。この近赤外線照射は、近赤外線投光器駆動回路116により制御されている。
まず、撮像手段110の詳細な構成については後述する。
撮像手段110は、撮像範囲やピントを調整する光学レンズ111と、光学レンズ111から入射した室内光を電気信号に変換する撮像素子112と、撮像素子112の信号をデジタル化して画像情報に変換するA/D変換器113と、画像情報の輝度や色調を補正するデジタル信号処理部114から構成される。
本実施例の画像検出部139は、人の頭部、胸部、腕、足等の人の身体を検出する人体検出部131、空調室内の家財の形状等を検出する物体検出部132、室内の部屋の壁までの距離や室内の壁の角の位置を検出することで被空調室内の間取りを推定する間取り検出部133を備えている。
この際、デジタル信号処理部114には、画像検出部139から、上記の画像処理に適した撮像パラメータが設定される。
演算処理部141は、空調機の制御ブロックを統括制御し、設定された空調運転の運転設定に加え、この検出結果を用いて駆動制御部136を制御し空調運転をおこなう。撮像手段110は、演算処理部141からの撮像要求信号の動作指令により、撮像動作をおこなう。
負荷駆動部150は、冷媒サイクル(図示せず)、室内機100が備える室内ファンモータ(図示せず)、室外機200が備える圧縮機モータ(図示せず)、上下風向板105に設置される上下風向板用モータ(図示せず)、左右風向板104に設置される左右風向板用モータ(図示せず)の個々の駆動をおこなう。
また、詳細を後述する撮像手段110または近赤外線投光器115の回動駆動をおこなう駆動部を含めてもよい。
上述の制御手段130は、演算処理部141や駆動制御部136を含み、空気調和機Sの運転制御をおこなうメインマイコンが搭載されている制御基板と、撮像手段110によって得た画像情報を基に各種画像処理をおこなうソフトウェアを内包するカメラマイコンと撮像手段110を搭載するカメラ基板の、二つの基板によって構成すると良い。
これに対して、制御基板は、高速動作の必要がないため、低価格な基板を使用できる。
この制御基板とカメラ基板の2つの基板に分割する構成により、制御手段130を安価に構成することが可能となる。
しかし、撮像素子112を回動させて室内を分割撮像する場合で、近赤外線投光器115が撮像範囲に近赤外線を照射する場合には、撮像素子112と連動するように、カメラ基板に近赤外線投光器115に搭載するとよい。
これにより、近赤外線投光器115の回動駆動が不要となり、省スペース・低価格化が可能となる。
ここで、撮像手段110に構成について説明する。
撮像手段110は、例えば、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)等、撮像が可能な撮像素子112によって構成される。このような撮像手段110は、一般によく用いられている、
撮像素子112のアナログ出力を信号処理し、デジタル信号で画像情報を出力するモジュールデバイスを用いても良い。また、この場合、撮像をおこなう際の補正等のパラメータを、カメラマイコンから読み込んで使用する構成が可能である。
つぎに、図4の近赤外線を利用した空調制御の概要を説明する図により、画像検出部139における画像検出の結果と、検出結果に基づく空調制御の一例を示す。
画像検出部139は、撮像手段110の撮影方向及び撮像画像上の位置座標を基に、人体及び物体の位置を求め、検出結果として制御に用いる。
ここで、近赤外線投光器115により近赤外線を室内に照射し、撮像手段110により室内画像を撮像する特徴について説明する。
近赤外線は、可視光帯域の光より波長が長く、人の肉眼で認識することが出来ない帯域の光(非可視光)であるが、前述の通り、撮像手段110は近赤外線を検出することが可能であるため、近赤外線投光器115から近赤外線を照射しつつ撮像手段110で撮像することで、空調室内の近赤外画像情報を取得することが可能である。
物体の色は、可視光領域波長の内、対象の物体が吸収する波長により決まる。例えば、青色の物体は、赤色から緑色の帯域の波長の光を吸収し、青色の波長の光を反射しているために、その物体の色が青色に見える。
しかしながら近赤外線は可視光帯域とは異なる波長であるため、近赤外線を照射している場合に取得される画像では、物体の色とは異なり、物体の近赤外線の吸収率、反射率に応じた色調で表現される。
このような物体であっても、同一の物体では同一の素材が使用されており、同一の素材であれば近赤外線の吸収率、反射率はほぼ同一である。
このような、柄や模様により画像検出の外乱となりうる物体は、例えば絨毯や床材、壁紙であり、近赤外線投光器115により近赤外線を室内に照射し、撮像手段110により室内画像を撮像することで、物体の認識が容易になる。
これにより、日射光や室内照明光により生じる撮像画像の物体の影を画像情報からリダクションすることが可能となり、画像の誤検出を低減することもできる。
近赤外線は、人の肉眼で捉えることができないため、撮像時に在室者に不快感を与えることがない。
図4の説明に戻り、空調制御の概要を説明する。
図4(a)は、空調制御する室内の撮像される範囲を表わしている。
実施例の制御手段130では、可視光による人検出と近赤外線による物体の検出をおこない、検出結果を複合して、空調制御をおこなう。
また、図4(d)と(e)は、人検出結果と物体検出の結果から求めた、人と物の位置(図4(d))や方向(図4(e))をあらす図である。
図4(f)は、実際の空調制御の様子をあらわす図である。
具体的には、空気調和機Sの近くの在室者の顔または身体は大きく写り、空気調和機Sからより離れている在室者の顔または身体は小さく写ることから、顔または身体の大きさから位置情報を推定できる。
このように、空調室内の在室者の活動量の検出結果から所定のパラメータに応じて、室内の人の活動量に応じた体感温度を算出し、これを空調運転設定に反映させるようにする。
また、検出された物体の輪郭から、重心位置や、形状の複雑度の算出等、既存の各形状分析等をおこなうパラメータを取得するようにしてもよい。
制御手段130は、図4(f)にしめすように、非画像検出時に物体に向いていた風向を、画像検出により判定した人の居る方向に、風向を制御する。
つぎに、図5の近赤外線投光器による照射範囲の一例を示す図により、撮像素子112の撮像範囲と、近赤外線投光器115の照射範囲に関係を説明する。
図5(a)は、撮像素子112の視点(正面)から見たときの、撮像範囲と赤外線の照射範囲をしめした図である。撮像素子112の撮像範囲の照度をできるだけ均一にするために、近赤外線投光器115は、撮像範囲より広い範囲に近赤外線を照射する。つまり、近赤外線投光器115の照射範囲は、撮像素子112の撮像範囲を含んでいる。
図5(c)は、空調室内の横面から見たときの、撮像素子112の撮像範囲と、近赤外線投光器115の照射範囲に関係を、撮像素子112の垂直方向の画角αと、近赤外線投光器115の垂直方向の照射角βでしめした図である。図からも明らかなように、垂直方向の近赤外線投光器115の照射角βは、撮像素子112の画角αより大となっている。
つぎに、図6に基づき、撮像素子112の撮像範囲を含んで近赤外線を照射する近赤外線投光器115の構成例を説明する。
実施例の近赤外線投光器115は、複数の近赤外線照射手段(近赤外線LED)を使用して構成される。
撮像手段110が回動して、図5にしめした撮像範囲を分割し順次撮像する構成とする場合には、撮像範囲全体に近赤外線を照射するように複数の近赤外線照射手段を配置してもよいし、分割された一回の撮像範囲にのみ近赤外線を照射する構成としてもよい。
図6(a)は、垂直方向の断面が等脚台形の四角柱形状の台座に、6個の近赤外線照射手段(近赤外線LED)を設けた近赤外線投光器115の斜視図をしめしている。台形断面の上辺を含む面に2個の近赤外線LEDが設けられ、空気調和機Sの垂直方向に近赤外線を照射する。台形断面の斜辺となる面にも、それぞれ、2個の近赤外線LEDが設けられ、空気調和機Sの水平方向に、γのLED据え付け角度をもって設けられている。
この構成により、図6(a)にしめす近赤外線投光器115は、空気調和機Sの垂直方向の近赤外線の照射光軸をβ2としたときに、水平方向にδ角度をもって、近赤外線の照射光軸がβ1とβ3の近赤外線を照射することができる。ここで、δの大きさは、近赤外線の照射範囲βと、近赤外線LEDの照射角度により決める。
しかし、近赤外線の照射方向が同一となるため、近赤外線の照射範囲βをカバーするために、近赤外線LEDの照射光軸を光学的に変える必要がある。
図6(c)の近赤外線投光器115は、図6(b)の複眼レンズに変えて、複数のレンズをもつフレネルレンズにした例である。
図6(d)の近赤外線投光器115は、リフレクタにより、近赤外線LEDの近赤外線の照射光軸を変えて、β1とβ2とβ3の3つの方向に近赤外線を照射する例である。
このように複数の近赤外線LEDにより構成することにより、近赤外線LEDの放熱が容易となり、近赤外線投光器115の長寿命化を図ることができる。
また、詳細を後述するが、複数の近赤外線LEDの分割駆動により省電力化を図ることもできる。
つぎに、図7により、撮像手段110が回動して、図5にしめした撮像範囲を分割し順次撮像する構成とする場合の、撮像範囲αと照明範囲βの関係を説明する。θは、撮像手段110の回動角度をあらわしている。
図7(a)は、近赤外線投光器115が空気調和機Sに固定され、撮像手段110のみが回動する場合をしめしている。近赤外線投光器115により、照明範囲βの全範囲に近赤外線を照射する場合には、構造は簡単になるが、照明範囲βのうち、撮像範囲α以外の近赤外線は、撮像に寄与していない。このため、詳細を後述する、分割照射をおこなうことが望ましい。
つぎに、図8の近赤外線を分割照射する一例を説明する図により、近赤外線投光器115の照射範囲を、回動する撮像手段110の撮像範囲に合わせて、分割する構成について説明する。図8では、撮像範囲と照明範囲を3分割する例をしめすが、これに限ったものではない。
図8(b)に示す構成では、近赤外線照射範囲の垂直方向に2つの近赤外線LEDを設ける構成となっている。そして、近赤外線照射範囲の水平方向に、照明範囲β1、β2、β3に対応して据え付け角度γをもって3方向の照射光軸をもつように、3つの近赤外線LEDが設けられている。
空調室内の奥行方向の壁面を主に撮像する場合には、上側の近赤外線LEDを駆動し、空調室内の奥行方向の床面を主に撮像する場合には、下側の近赤外線LEDを駆動して、近赤外線の発光強度を制御するようにしてもよい。
近赤外線照射手段として使用する近赤外線LEDは、発光強度に角度分布(指向特性)をもっている。一般に、LEDの照射角度は、発光強度がピーク値の半分になるところでとった光の出射角度で規定されている。このため、近赤外線LEDを単灯で照明する場合には、照射範囲の周辺部に照射強度の低下が生じる。
このため、図9に説明するように、隣接する近赤外線LEDを点灯させて、周辺部の輝度を向上させるようにする。これにより、近赤外線の照明輝度分布の平滑化が可能となる。
そして、撮像範囲α1の撮像をおこなう際に、照明範囲β1と隣接する照明範囲β2に近赤外線を照射して、撮像をおこなう。また、撮像範囲α2の撮像をおこなう際に、照明範囲β2と隣接する照明範囲β1、β3に近赤外線を照射して、撮像をおこなう。詳細は後述する。
図9(b)に示す構成では、近赤外線照射範囲の垂直方向に2つの近赤外線LEDを設ける構成となっている。そして、近赤外線照射範囲の水平方向に、照明範囲β1、β2、β3に対応して据え付け角度γをもって3方向の照射光軸をもつように、3つの近赤外線LEDが設けられている。なお、角度γは、撮像範囲α1、α3の撮像軸の角度差より大きくしている。
撮像範囲α1を撮像する際には、照明範囲β1+β2に近赤外線を照射し、撮像範囲α3を撮像する際には、照明範囲β2+β3に近赤外線を照射する。そして、図示していないが、撮像範囲α2を撮像する際には、照明範囲β1+β2+β3に近赤外線を照射する。
図10(a)は、多点灯照射する近赤外線投光器115の照度分布をしめす図である。
図10(a)の横軸は、撮像画角または近赤外線照射角度をしめしており、縦軸は、照明範囲β1、β2、β3の撮像照射強度をしめしている。
同様にして、撮像範囲α1を撮像する場合には、照明範囲β1、β2を照明し、撮像範囲α3を撮像する場合には、照明範囲β2、β3を照明する。
上記のとおり、隣接する照明範囲も同時に照明する多点灯照明をおこなうことで、狭角の高輝度赤外線LEDを使用することが可能となり、また、単灯照射より照明輝度分布の平滑化を図ることができる。
これにより、撮像画像から人体の位置及び活動量を検出し、近赤外線照射時の撮像画像から家具を検出して、空調運転時、家具を避けて人の在室しているエリアに送風をおこなう。また、空気調和機Sからの送風が家具にあたり滞留することにより発生する無駄な空調を省くことにより、効率よく空調室内の空調をおこなう。
ここで、空気調和機Sからの送風の制御は、風向制御をおこなう上下風向板及び左右風向板、風量、風速の調整をおこなう室内還流ファンモータを、駆動することによりおこなうものとする。
まず、左・中央・右の3方向に撮像手段110を順次回動して可視光の室内画像情報を取得する(S110)。S110で取得した可視光の室内画像情報から、画像検出により、位置と空気調和機Sとの距離とを含む人位置を検出する(S111)。
なお、検出結果は上記に限定されず、また、検出結果による制御内容も上記に限定されるものでなく、種々の検出・制御をおこなうことができる。
つぎに、より高精度に室内画像を撮像する空気調和機について説明する。
上述で、実施例の撮像手段110は、可視光から近赤外線の撮像をおこなうことができ、物体検出時に近赤外線投光器115から近赤外線を室内に照射して、室内の撮像画像を取得することを説明した。
また、就寝中等の暗室状態で、近赤外線を照射して取得した撮像画像から検出した物体検出の結果と、明るい室内で近赤外線を照射して撮像した撮像画像から検出した物体検出の結果に大きな隔たりが生じる可能性がある。
図12は、可視光カットフィルタ等の光学フィルタの脱着機構をしめす図である。
物体検出をおこなう際に、モータ等の図示しない駆動部により、撮影範囲外から撮像手段110の前面に、可視光カットフィルタがスライドする機構とする。これにより、撮像手段110に入射する可視光が減衰し、近赤外線の光量が相対的に多くなる。
駆動部にステッピングモータを使用すれば、可視光カットフィルタのスライド位置を検出する必要がないので、可視光カットフィルタの脱着機構を簡易に構成できる。
人検出をおこなう際には、逆に、撮像手段110の前面から撮影範囲外に、可視光カットフィルタがスライドする。
また、日差しが入っている室内等では、可視光カットフィルタで可視光を減衰させているので、近赤外線投光器115から近赤外線を室内に照射しなくても、物体検出をおこなえる場合がある。
上述のとおり、撮像手段110の撮像素子112は、可視光と近赤外の両帯域に感度をもっている。人検出をおこなう場合には、撮像画像に近赤外線の影響がないほうが望ましい。
図12(a)にしめす機構では、光学フィルタを可視光カットフィルタだけで構成したが、この場合には、図12(b)(c)にように、光学フィルタを可視光帯域の光を減衰させる可視光カットフィルタと近赤外線帯域の光を減衰させる近赤外線カットフィルタの2つから構成する。
光学フィルタをホイール形状とし、可視光カットフィルタ部分と近赤外線カットフィルタ部分を半円ずつもつようにし、ホイールを回転させて、可視光カットフィルタ部分と近赤外線カットフィルタ部分を選択する機構としてもよい。
また、撮像素子112内部に備えられている近赤外線帯域、紫外線帯域の光を抑えるフィルタを取り除いている場合において、近赤外線帯域及び紫外線帯域の光により撮像画像の色調やコントラスト等への影響が許容できない場合においては、撮像手段110の前面の撮像範囲に、制御手段130からの信号に応じて任意に移動が可能な、近赤外線カットフィルタまたは紫外線カットフィルタ、もしくは双方の特性を持つ光学フィルタを配置する。近赤外線を照射しながらの撮像、または可視光カットフィルタを撮像手段110の撮像範囲の前面に配置しての撮像をおこなう際には、前記撮像手段110の撮像範囲から移動させることにより、可視光での撮影の性能を確保可能な構成とすることも可能である。
詳細には、近赤外線カットフィルタと紫外線カットフィルタとを重ねて設置する。
この場合、図12のスライド機構であれば、3つの固定点をもつスライド機構とすればよい。
また、上述では、物体検出と人検出の際に光学フィルタの種類を選択することを説明したが、物体検出と人検出に限定されるものではない。
上述のとおり、本実施例の空気調和機Sでは、近赤外線投光器115から近赤外線の照射の有無や光学カットフィルタの有無により、ひとつの撮像手段110で、近赤外線の撮像画像や可視光の撮像画像を取得するようにしている。
しかし、撮像手段110に組み込まれた補正機能により、意図した撮像画像を取得できないことがある。この問題は、撮像手段110が可視光帯域の光を捉えることを前提としているために生じている。
これにより、所望の撮像画像を高精度に取得することができる。
上述のとおり、可視光カットフィルタにより可視光帯域の光が減衰されるため、撮像素子112に入射する光量が少なくなる。さらに、撮像素子112の分光特性により近赤外線の帯域の出力感度が低いため、撮像素子112の出力は小さくなる。これにより、撮像手段110で過大なゲイン補償をおこなわれる。
また、可視光カットフィルタにより可視光帯域の光が減衰されるため、撮像画像の色相が変化するため、撮像手段110の色調補正が作用してしまう。
この過大なゲイン補償や色調補正のため、撮像画像を基に画像分析をおこなった際の精度が低下する。
詳しくは、近赤外線による撮像をおこなう際には、可視光による撮像をおこなう場合より、シャッタースピードの時間設定を伸ばすことで、撮像素子112の露光時間を長くして、露光量を増し、光量不足を補う。これにより、過大なゲイン補償が生じないようにする。なお、シャッターの絞りを設定できるものであれば、絞りを開く設定とすることで、露光量を増すことができる。
さらに、色調補正を無効あるいは白黒色調にする。これにより、撮像画像の色味の偏りを防止する。これにより、物体検出に適した撮像画像を得ることができる。
上記のシャッタースピードと色調補正の撮影パラメータを設定したのちに、近赤外線を照射して室内を撮像すれば、物体検出や間取り検出に適した撮像画像を得ることができる。
撮像モードには、上記の近赤外線を照射して撮像画像を得る近赤外線撮像モード以外に、人検出に有用な可視光撮像モード、室内の明るさを検出する照度検出モード、日差しの有無の検出に有用な日差し検出モード等がある。
また、照度検出モードで検出した室内照度に基づき、シャッタースピードの設定を補正するようにしてもよい。
撮像手段110は、室内環境や撮像の目的に応じて、上記の撮像モードにより撮像をおこなう。
図13に撮像モードごとの撮影パラメータの設定例をしめす。
図13は、「可視光撮像モード」「近赤外線撮像モード」「照度検出モード」「日差し検出モード」における、使用するカットフィルタの種類と有無とを指定する光学フィルタ選択と、近赤外線投光の要否と、シャッタースピードの設定値(露光量の設定値)と、色調補正の要否・種類と、ゲイン補償の有無・設定種別をしめしている。撮影パラメータは、これらの項目に限定されるものではなく、他の設定を設けてもよい。
つぎに、図14により、撮影パラメータを使用して撮像をおこなう場合の制御フローを、近赤外線撮像モードを例に説明する。
このフローは、図11のS110やS112の詳細制御フローに位置づけられる。
まず、撮像モードに対応する撮影パラメータを取得する(S140)。具体的には、図13にしめされる近赤外線撮像モードに対応する撮影パラメータを記憶手段140Aから取得する。
その後、光学フィルタを選択し、近赤外線投光器の照射準備をおこなう(S143)。具体的には、撮影パラメータの光学フィルタ選択項目により、可視光カットフィルタを撮像素子112の前面に設けるように、光学フィルタ駆動手段170に指令する。また、近赤外線投光器115により室内を近赤外線照明できるように近赤外線投光器駆動回路116に指令する。
以上の制御フローにより、近赤外線による撮像画像を取得する。
つぎに、図15により、空気調和機の運転制御フローの一例を説明する。
図15は、午後19時、室内照明が蛍光灯で部屋が明るい場合、外気温−2℃、室内気温6℃の際、暖房22℃設定で運転を開始した場合の制御を例に説明する。
S151で検出した室内の「明るさ」が人検出をおこなえる照度であるか判定し(S151)、明るさが人検知できない照度であれば(S152の所定値以下)、処理を中断する。明るさが人検知に充分であれば(S152の所定値より大)、つぎにすすむ。
つぎに、撮像モードを「近赤外線撮像モード」に設定して、室内の画像情報を取得する(S155)。そして、取得した画像情報に基づいて画像解析をおこない、家具等の物形状・位置を検出する(S156)。
S158で、リモコン等で運転終了の指示があったか否かを判定し、終了指示があった場合には(S158のYes)、処理を終了する。終了指示がなかった場合には(S158のNo)、S153に戻り処理を継続する。
以上の制御により、家具等の物を避けて人に送風できるので、空調を効率よくおこなうことができるとともに、快適な空調環境を提供できる。
104 左右風向板
105 上下風向板
110 撮像手段
115 近赤外線投光器
130 制御手段
Claims (4)
- 空調室内を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された情報を元に物体の検出をおこなう検出部と、
前記撮像手段の撮像結果に応じて空調運転を制御する制御手段と、を備え、
前記撮像手段は、
可視光により空調室内を撮像する第1の撮像モードと、
非可視光により空調室内を撮像する第2の撮像モードを有し、
前記第2の撮像モードは、前記第1の撮像モードより露光時間が長くし、
前記検出部は、前記撮像手段を前記第2の撮像モードに設定して物体の検出をおこなう
ことを特徴とする空気調和機。 - 請求項1に記載の空気調和機において、さらに、
前記撮像手段への可視光の入射光を減衰させる可視光減衰フィルタを備え、
前記撮像手段は、前記第2の撮像モードで撮像する際に、前記可視光減衰フィルタを介して入射した近赤外光により撮像する
ことを特徴とする空気調和機。 - 請求項2に記載の空気調和機において、さらに、
前記撮像手段の撮像範囲に近赤外光を照射する照明手段を備え、
前記照明手段が前記近赤外光を照射しているときに前記撮像手段は前記第2の撮像モードで撮像する
ことを特徴とする空気調和機。 - 請求項1に記載の空気調和機において、さらに、
前記撮像手段への可視光の入射光を減衰させる可視光減衰フィルタと近赤外光の入射光を減衰させる近赤外光減衰フィルタとを備え、
前記撮像手段は、前記第2の撮像モードで撮像する際に、前記可視光減衰フィルタを介して入射した近赤外光により撮像し、前記第1の撮像モードで撮像する際に、前記近赤外光減衰フィルタを介して入射し可視光により撮像する
ことを特徴とする空気調和機。
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