工事現場における仮設足場には、主としてビルの施工時などに用いられる枠組足場、主として住宅の施工時などに用いられる単管足場やくさび緊結式足場などがあり、また、システム支保工(型枠支保工ともいう。)、ローリングタワーなども仮設足場の一態様である。
例えば、仮設足場には、コマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材と短尺のつなぎ材(短尺のつなぎ材のことを特に腕木材ということがある。)を使用するタイプ(くさび緊結式足場)と、縦柱(建地材ともいう。)と横桟(横地材ともいう。)から構成されるH形状や鳥居形状等の建枠を使用するタイプ(枠組足場)があり、いずれも対面する短尺のつなぎ材の間又は横桟の間に床付き布枠(布板ともいう。)が架け渡されて、作業床や作業員の通路などとして使用される。また、システム支保工はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材の連結金具の間を長短2種のつなぎ材で水平2方向に連結することによって形成される緊結構造物であって、対面するつなぎ材の間に床付き布枠を適宜架け渡すことで作業床や作業員の通路などとして使用することができる(以下、システム支保工という。)。なお、支柱部材、つなぎ材、建枠等には、鋼製やアルミニウム製などの管が用いられることが多い。
このように、くさび緊結式足場やシステム支保工においては、支柱部材とつなぎ材が用いられる。なお、支柱部材の側面に設けられる連結金具としては、支柱部材の側面に複数個設けられるコマや、支柱部材の側面に環状に設けられるフランジ等を用いることができる。そして、つなぎ部材の端部に設けられるクサビ金具をコマやフランジなどの連結金具に取り付け、クサビで緊結することができる。
くさび緊結式足場は、コマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材に、短尺のつなぎ材(腕木材ともいう。)、ブレース材、手摺部材の足場構成部材を連結金具を介して取り付け、そして、連結金具においてクサビによってこれらの足場構成部材を緊結した後、床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって、組み立てられる。なお、床付き布枠を架け渡して足場を形成した後に、少なくとも建物の反対側の個所には、作業員の転落防止のために手摺が設けられる。
図1に、くさび緊結式足場の構造の一例を示す。(a)はくさび緊結式足場の正面図、(b)は(a)において円で示されたコマの周辺の拡大図、そして、(c)はくさび緊結式足場の右側面図である。
ここでは、くさび緊結式足場の支柱1が建物14の側とその反対側に各3本が立設されている。各々の支柱1は、複数のコマ4を有する支柱部材3をホゾ材(図示せず。)を介して縦方向に継ぎ足すことによって形成されている。建物側の支柱1と建物とは反対側の支柱1の間には、コマ4を介して短尺のつなぎ材2が取り付けられ、コマ4においてクサビ(図示せず)で緊結されている。建物側の隣接する支柱1の間には、コマ4を介してブレース材21が取り付けられ、また、建物とは反対側の隣接する支柱1の間には、コマ4を介して手摺部材20が取り付けられ、それぞれ、コマ4においてクサビで緊結されている。そして、隣接する短尺のつなぎ材2の間に、床付き布枠9を1枚又は2枚以上架け渡すことで、1段目の足場が形成される。なお、ブレース材21は建物とは反対側の支柱1の間に取り付ける場合もある。
2段目の足場は、1段目の足場と同様にして形成される。必要に応じて、1段目の足場の支柱部材3の上端に別途用意した支柱部材3をホゾ材(図示せず。)を介して縦方向に継ぎ足した上で、短尺のつなぎ材2、ブレース材21、手摺部材20の足場構成部材をコマ4を介して取り付け、そして、コマ4においてクサビ(図示せず。)によってこれらの足場構成部材を緊結した後、隣接する短尺のつなぎ材2の間に、床付き布枠9を1枚又は2枚以上架け渡すことによって、形成される。これを順次繰り返すことによって、複数段のくさび緊結式足場が組み立てられる。
ここでは、各段の足場には、足場の上で作業する作業者の安全を守る為に、建物の反対側の隣接する支柱1の間には、手摺部材20が取り付けられている。しかし、手摺部材20を取り付けるには手間がかかるだけでなく、取り付けの際に作業者が転落する危険を伴う。というのは、このくさび緊結式足場を組み上げる場合、作業者が最上段の足場に乗ってから手摺部材20を取り付けることになるし、逆の作業で、枠組足場を順次上から取り外す際にも、作業者が最上段の足場に乗って手摺部材20を取り外すことになるからである。なお、建物の周囲に足場を組み立てるときに、建物の角部に当たる場所に設置される足場は妻面となり、妻面からも作業者が転落する危険を伴うため、この妻面にも手摺部材を取り付ける必要がある。また、作業者が足場から建物側へ転落する危険を排除するために、手摺部材を建物側にも取り付けることがある。
一方、システム支保工は、コンクリート構造物等を施工する際によく用いられる足場であり、ジャッキベース、支柱材、水平材等の単部材を複数個組み合わせて、地上又は床面から組み立てられるシステム支保工に床付き布枠を適宜架け渡すことで作業床や作業員の通路などとして使用するものである。
すなわち、複数個のコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材をホゾ材を介して縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材のコマ等の連結金具の間に長短2種のつなぎ材(同じ長さであってもよい。)をコマ等の連結金具を介して水平2方向に互いに直角に取り付け、そして、コマ等の連結金具においてクサビによって、支柱部材に対して直角に水平2方向に緊結することによって形成される緊結構造物(システム支保工)において、対向するつなぎ材の間に床付き布枠の1枚又は2枚以上を適宜架け渡すことで作業床や作業員の通路などとして使用するものである。なお、床付き布枠を架け渡した個所には作業員の転落防止のための手摺を設けることもできる。
図2は、システム支保工の一例を示す正面図であり、図3は図2のシステム支保工の右側面図である。また、図4は、図3のA−A線断面平面図である。
この例では、このシステム支保工100は、コンクリート構造物(スラブ)101の上部の型枠102の下面を支えるように、地上から数m〜十数mの高さで設置されている。
システム支保工100は、所定の間隔で複数の支柱1を行列状に配置し、そして、隣接する支柱1の間を複数のつなぎ材2で水平方向に連結することによって形成される。各支柱1は、ホゾ材(図示せず。)を介して鉛直方向に連結された複数の支柱部材3からなる。各支柱1の下端は、ジャッキベース5によって支持されている。各支柱1の上端には、大引受ジャッキ6が取り付けられ、大引受ジャッキ6上に複数の大引材7が載置されている。また、複数の大引材7に直交するように、複数の大引材7上に複数の根太材8が載置され、複数の根太材8上に型枠102が載置されている。
支柱1の側面には、所定の間隔で4つのコマ4が十字状に形成されている(図4参照)。つなぎ材2は、つなぎ材2の両端部に接合されたクサビ金具を介してコマ4に連結され、クサビ2aによって緊結されている。なお、ここでは、各支柱部材3の中央部のコマ4にはつなぎ材2が取り付けられていないが、各支柱部材3の中央部のコマ4にもつなぎ材2を取り付けてもよい。
そして、図4に示すように、対面するつなぎ材2の間に床付き布枠9を架け渡す。同様にして、他の個所にも床付き布枠9を架け渡すことで、適宜必要な個所に作業床や作業員の通路などとして使用する足場を形成することができる。ここでは、対面するつなぎ材2aの間に2枚の床付き布枠が並べて架け渡されることによって1つの足場が形成されていて、作業床又は通路として使用される。
そして、システム支保工においても、作業床又は通路として使用される足場には、足場の上で作業する作業者の安全を守る為に、足場の片側あるいは両側に、支柱1の間に手摺(図示せず。)を取り付ける必要がある。しかし、くさび緊結式足場と同様に、手摺の取付けおよび取り外しには手間がかかるだけでなく、作業者が転落する危険を伴う。なお、システム支保工においても、妻面となる足場があるから、この妻面にも手摺を取り付ける必要がある。
このように、くさび緊結式足場とシステム支保工においては、コマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材が立設され、そして、隣接する支柱部材間がつなぎ材で水平方向に連結される。また、支柱部材間には手摺を取り付けることで、足場の上で作業する作業者の安全を守ることがなされる。
ここで用いられるつなぎ材は、鋼製やアルミニウム製などの管の両端にクサビ金具を溶接等で接合したものであって、このクサビ金具を支柱部材のコマ等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビによって緊結することで、支柱部材に固定して用いることができる。
図5は、くさび緊結式足場やシステム支保工で用いられるつなぎ材の一例(従来例)である。
このつなぎ材2は、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材31の両端にクサビ金具2bを溶接等によって接合したものであって、その全長は支柱部材3の間の間隔に合わせてある。つなぎ材2のクサビ金具2bを支柱部材3の側面に設けられたコマ4等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビ2aによって緊結することによって、支柱部材3の間を連結固定することができる。
このつなぎ材に関しては、つなぎ材自体の強度を増すために、あるいはさらに、つなぎ材を支柱部材に対して強固に連結するために、つなぎ材の下部から支柱に向けて、斜めに方杖を設けてなる方杖型つなぎ材が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
図6は、特許文献1に開示された方杖型つなぎ材の一例(従来例)である。
この方杖型つなぎ材30は、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材31の両端にクサビ金具2bを溶接等によって接合したことに加えて、つなぎ材自体の強度を増すために、水平部材31を斜め下方から支える2本の方杖32が設けられている。それぞれの方杖32の下端部は、支柱部材3の外径とほぼ同じ内径を有する半円筒状の縦型プレート33を有していて、この縦型プレート33が支柱部材3の側面に押し当てられている。また、方杖型つなぎ材30の変形を防止するために、水平部材31の左右の端部近傍から、各1本の束材34が垂直に設置され、それぞれの方杖32との間を結ぶことによってそれぞれの方杖32を上方から支持している。このつなぎ材の水平部材31の両端に接合されたクサビ金具2bを、それぞれ支柱部材3の側面に設けられたコマ4等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビ2aによって緊結することによって、支柱部材4間を連結固定することができる。
図7は、特許文献2に開示された方杖型つなぎ材の一例(従来例)である。
この方杖型つなぎ材30は、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材31の両端にクサビ金具2bを溶接等によって接合したことに加えて、水平部材31を下方斜めから支える2本の方杖32が設けられている。また、それぞれの方杖32の下端部にも、クサビ金具30bが溶接等によって接合されている。さらに、方杖型つなぎ材31の変形を防止するために、水平部材31の左右の端部近傍から、各1本の束材34が垂直に設置され、それぞれの方杖32との間を結ぶことによってそれぞれの方杖32を上方から支持している。このつなぎ材の水平部材31の両端に接合されたクサビ金具2bを支柱部材3の側面に設けられたコマ4等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビ2aによって緊結し、さらに、それぞれの方杖32の下端部に設けられたクサビ金具30bを支柱部材3の側面に設けられたコマ4等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビ30aによって緊結することによって、つなぎ材を支柱部材3に対して強固に連結固定することができる。
このように、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材の両端にクサビ金具を溶接等によって接合したつなぎ材に方杖を設けることによって、つなぎ材自体の強度を増すことができる。特に、方杖の下端部にもクサビ金具を接合してなる方杖型つなぎ材は、クサビによる緊結効果が大きいことから、つなぎ材を支柱に対して強固に連結固定することができる。
次に、足場の上で作業する作業者の安全を守るための手摺に関して、特許文献3にくさび緊結式足場に取り付ける先行手摺枠が提案されている。この先行手摺枠を用いれば、最上段の足場の一つ下の足場(この足場には先行手摺枠が既に取り付けられている。)から、作業者が最上段の足場用の先行手摺枠を先行して取り付けることができる。そして、その後に、すでに先行手摺枠が取り付けられた最上段の足場に登るから、作業者の安全を守ることが可能になる。逆の作業で、足場を順次上から取り外す際にも、最上段の足場の一つ下の足場から作業者が最上段の足場用の先行手摺枠を取り外すことができるため、作業者の安全を守ることができる。
図8は、特許文献3に開示された先行手摺枠をくさび緊結式足場に取り付けた一例(従来例)の正面図である。
このくさび緊結式足場の正面図は建物(図示せず)の反対側から見た図であり、くさび緊結式足場の支柱1が建物側とその反対側に各3本立設されている。各々の支柱1は、複数のコマ4を有する支柱部材3をホゾ材(図示せず。)を介して縦方向に継ぎ足すことによって形成されている。建物側の支柱(図示せず)と建物の反対側の支柱1の間には、コマ4を介して短尺のつなぎ材(図示せず)が取り付けられ、コマ4においてクサビ(図示せず)で緊結されている。そして、隣接する短尺のつなぎ材(図示せず)の間に、床付き布枠9を架け渡すことで、作業員10が立っている下段の足場が形成されている。そして、建物の反対側の隣接する支柱1の間には、作業員10が立っている下段の足場用の先行手摺枠61が、その1つ下の段の足場から既に先行して取り付けられている。
上段の足場は、下段の足場に立っている作業員10が、支柱1を構成する支柱部材3の上に別の支柱部材3を現足場から縦方向に継ぎ足した後、上段の足場用の先行手摺枠61を持ち上げ、左右2個の位置決め金具66と左右2個の下部固定金具67によって、隣接する支柱部材3の間に取り付けられる。その後、隣接する短尺のつなぎ材(図示せず)の間に、床付き布枠9を架け渡すことで、上段の足場が形成される。
また、建物の角部に当たる場所に設置される足場については、特許文献4にくさび緊結式足場の妻面に設置する先行手摺が提案されている。この先行手摺は、支柱部材間を横方向に連結する手摺部材に加えて、支柱部材と短尺のつなぎ材とを斜めに連結する手摺部材からなるものである。
しかしながら、特許文献1および2に記載の方杖型つなぎ材を組み立てる際には、方杖型つなぎ材の左右の端部に設けられた2個所又は4個所のクサビ金具を支柱部材の側面の連結金具にクサビによって緊結するという作業が必要であるが、特に水平部材の両端に接合されたクサビ部は高所に存在するため、作業員の手が届きにくいのでクサビによる緊結作業がしづらいという問題がある。また、左右の方杖の下端部にもクサビ金具を接合してなる方杖型つなぎ材では、クサビ金具が4個所も存在するため、クサビによる緊結作業の手間がかかるという問題がある。
図9および図10は、図7に示される方杖型つなぎ材を支柱部材間に取り付ける際のクサビによる緊結作業の例である。
この方杖型つなぎ材30においては、水平部材31の両端に接合されたクサビ金具2bは高所に存在するため、クサビ2aによる緊結作業時に作業員の手が届きにくいので、ハンマー36でクサビ2aを打ち込む緊結作業がしづらいだけでなく、クサビ金具2b、30bが計4個所も存在するため、ハンマー36でクサビ2a、30aを打ち込む緊結作業の手間がかかるという問題があることが分かる。
次に、特許文献3に記載のくさび緊結式足場用の先行手摺枠は、コマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材に、短尺のつなぎ材、ブレース材等の足場構成部材を連結金具を介して取り付け、そして、連結金具においてクサビによってこれらの足場構成部材を緊結した後、床付き布枠を架け渡すことによって、足場を形成した後にはじめて取り付けることができるものである。先行手摺枠であるので、作業者が転落する危険は小さくなるものの、足場の組み立てや解体時に、その都度、取り付けたり取り外したりする必要がある。したがって、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間が掛かる。
そして、特許文献4に記載のくさび緊結式足場の妻面に設置する先行手摺も、足場を形成した後にはじめて取り付けることができるものである。足場の組み立てや解体時に、その都度、取り付けたり取り外したりする必要がある。したがって、先行手摺の取り付けと取り外しの手間が掛かる。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、方杖型つなぎ材と支柱部材との連結作業を容易にするとともに軽減することができ、かつ、支柱部材間を強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる先行手摺枠付き方杖型つなぎ材並びにこの先行手摺枠付方杖型つなぎ材を組み込んでなる仮設足場を提供する。
本発明者らは、上記のような問題点を解決するために種々の検討を重ねた。その結果、次の(a)〜(g)に示す知見を得た。
(a) 支柱材に対して強固に連結することができるつなぎ材としては、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材と、水平部材を斜め下方から支える2本の方杖とからなる基本的な構成を採用し、水平部材の両端部と2本の方杖の下端部の計4個所において、左右の支柱部材に強固に連結できる構造とするのがよい。したがって、支柱部材に強固に連結するためには、図6に示されるように、単に半円筒状の縦型プレートを設けて、この縦型プレートを支柱の側面に押し当てるだけの構造とするのではなく、図7に示されるように、2本の方杖の下端部にもクサビ金具を設けて、4個所ともクサビで緊結することができる構造とするのが好ましい。しかしながら、図7に示される方杖型つなぎ材は、上述したとおり、水平部材の両端に接合されたクサビ金具は高所に存在するため、クサビによる緊結作業時に作業員の手が届きにくいのでクサビによる緊結作業がしづらいだけでなく、クサビ金具が計4個所も存在するため、クサビによる緊結作業の手間がかかるという問題がある。
(b) 本発明者等は、4個所ともクサビで緊結しなくても、方杖型つなぎ材を支柱部材に強固に連結することができる方式を検討した。その結果、方杖型つなぎ材の水平部材の両端部の左右2個所と左右2本の方杖の下端部の計4個所の全部をクサビで緊結する代わりに、水平部材の両端部の2個所においてはクサビでの緊結に代えて支柱部材への掛止によっても、方杖型つなぎ材を左右の支柱部材に強固に連結することができることに思い至った。
すなわち、方杖型つなぎ材の4個所の連結手段のうち、高所に存在する水平部材の両端部の左右2個所についてはクサビで緊結する代わりに、支柱部材への掛止によって連結し、他方、左右の方杖の下端部の2個所についてはそのままクサビを用いて緊結するのである。ここで、水平部材の端部と支柱部材との間の掛止方式としては、たとえば、ボタンピンとそのボタンピンに掛止できる形状を有する切欠き部の組み合わせを挙げることができる。ボタンピンはボタン部(大径)と取付軸(小径)から構成されるから、上記切り欠き部の幅をボタン部の外径より小さくかつ取付軸の外径より大きくすれば、水平部材の端部を支柱部材に掛止することができるし、掛止後に水平部材の端部が支柱部材から外れにくくなる。また、水平部材は軸回りに回転させることができるから、水平部材の端部を支柱部材に掛止する際には、位置合わせが容易になる。なお、ボタンピンは支柱部材の側面か水平部材の端部のいずれかに設けることになるが、その接合手段としては、溶接やネジなどを採用することができる。
このような掛止構造とすれば、水平部材の両端部を掛止した後、左右の方杖の下端部をクサビ打ちすることで、水平部材によって支柱部材間を強固に連結することができる。また、クサビ緊結のためのクサビ金具は左右の方杖の下端部の2個所だけへと半減することができる上に、水平部材の両端の左右2個所での高所でのクサビ打ち作業は不要となる。したがって、クサビによる緊結作業を容易にするとともに軽減することができる。
(c) 水平部材の端部と支柱部材との間の掛止手段として、ボタンピンとそのボタンピンに掛止できる形状を有する切欠き部の組み合わせを採用した場合、ボタンピンとそのボタンピンに掛止できる形状を有する切欠き部の組み合わせは、具体的には、次の(i)または(ii)となる。
(i)支柱部材の側面にボタンピンを設け、他方、水平部材の端部に下向きの切り欠き部を有する端部板を設け、上方から水平部材の端部を下方に移動させることによって、このボタンピンに下向きの切り欠き部を嵌める。なお、ボタン部とその取付軸からなるボタンピンの場合には、この端部板に設けられる下向きの切り欠き部の幅は、その取付軸の外径より大きくかつボタン部の外径よりも小さくする。ここで、ボタン部も取付軸と同時に移動させる必要があるため、端部板の下方または水平部材の端部の下方には、ボタン部が収容できるだけの開口部を設ける。なお、ボタンピンは支柱部材の側面に溶接やネジなどによって接合することができることは上述したとおりである。接合作業の手間を考えると、ブラインドナットなどのネジによって接合するのが好ましい。また、支柱部材の側面に掛止する水平部材は1方向とは限らず、支柱部材の側面の円周上の2〜4方向となる場合もあるが、このとき支柱部材の側面の円周上へのボタンピンの設置個数は1〜4個となる。複数個のボタンピンを支柱部材の側面の円周上にネジによって接合するときは、ブラインドナットを用いるのが好ましい。
(ii)支柱部材の側面に上向きの切り欠き部を設け、他方、水平部材の端部にボタンピンを設け、上方から水平部材の端部を下方に移動させることによって、このボタンピンを上向きの切欠き部に嵌める。ここで、支柱部材の側面に設ける上向きの切り欠き部の幅は、ボタンピンの取付軸の外径より大きくかつボタン部の外径よりも小さくする。なお、上向きの切り欠き部は、支柱の側面に薄幅のコマを取り付け、この薄幅のコマの前面壁に上向きの切り欠き部を設ければよい。ここで、この薄幅のコマは底面が欠けた形状でもよい。なお、ボタンピンは水平部材の端部に溶接やネジなどによって接合することができることは上述したとおりである。接合作業の手間を考えると、ブラインドナットなどのネジによって接合するのが好ましい。
この結果、上記(i)のように、上方から水平部材の端部を下方に移動させて、支柱部材の側面に設けられるボタンピンに、水平部材の端部に設けた端部板の下向きの切り欠き部を掛止することによって、水平部材の端部と支柱部材を連結したときに、水平部材の端部を上方に移動させない限り、その連結が外れることはない。換言すると、水平部材は方杖型つなぎ材の一部であるから、方杖型つなぎ材を上方に移動させない限り、その連結が外れることはない。なお、水平部材の端部は、支柱部材の側面に設けられるボタンピンを回転軸として回転自在となるから、必ずしも水平部材の端部を上方から移動させる必要はなく、側方からあるいは下方から移動させても、水平部材の端部をボタンピンに掛止することができる。
また、上記(ii)のように、上方から水平部材の端部を下方に移動させて、水平部材の端部に設けられるボタンピンを、支柱部材の側面に設けられる上向きの切欠き部に掛止することによって、水平部材の端部と支柱部材を連結したときにも、水平部材の端部を上方に移動させない限り、その連結が外れることはない。換言すると、水平部材は方杖型つなぎ材の一部であるから、方杖型つなぎ材を上方に移動させない限り、その連結が外れることはない。なお、水平部材の端部は、支柱部材の側面に設けられる上向きの切欠き部を回転軸として回転自在となるから、必ずしも水平部材の端部を上方から移動させる必要はなく、側方からあるいは下方から移動させても、水平部材の端部をボタンピンに掛止することができる。
さらに、方杖型つなぎ材の左右の方杖の下端部に設けるクサビ金具は、支柱部材のコマやフランジなどの連結金具を上下から挟んで内抱できる形状、例えば正面から見てコの字形状を有するのが好ましい。クサビ金具がこのような形状を有する場合には、方杖型つなぎ材を支柱部材に一旦連結すれば、方杖型つなぎ材が上下方向に移動しようとしても、支柱部材の連結金具にぶつかるので、方杖型つなぎ材が支柱部材から外れることを防止できる。
(d) 上記(ii)の変形例として、掛止手段として水平部材の端部にボタンピンを設ける代わりに、水平部材の外径よりも大きい外径を有する円形の端部板を設けてもよい。すなわち、支柱部材の側面に円形の端部板の外径よりは小さい幅の上向きの切り欠き部を設け、ここに上方から水平部材の端部に設けられた円形の端部板を下方に移動させることによって、このボタンピンを上向きの切欠き部に嵌める。
このように、上方から水平部材の端部板を下方に移動させて、水平部材の端部に設けられる円形の端部板を、支柱部材の側面に設けられる上向きの切欠き部に掛止することによって、水平部材の端部に設けられた円形の端部板と支柱部材を連結したときにも、水平部材の端部を上方に移動させない限り、その連結が外れることはない。換言すると、水平部材は方杖型つなぎ材の一部であるから、方杖型つなぎ材を上方に移動させない限り、その連結が外れることはない。なお、水平部材の端部は、支柱部材の側面に設けられる上向きの切欠き部を回転軸として回転自在となるから、必ずしも水平部材の端部を上方から移動させる必要はなく、側方からあるいは下方から移動させても、水平部材の端部をボタンピンに掛止することができる。
(e) このように、水平部材の端部は、支柱部材の側面に設けられるボタンピン又は上向きの切り欠き部を回転軸として回転自在となる。したがって、方杖型つなぎ材は、支柱部材間に水平部材が掛止されることによって連結されたとき、方杖の下端部をクサビ打ちするまでは、水平部材を回転軸として回転させることができるから、水平部材の端部を支柱部材に掛止する際には、位置合わせが容易になる。その後、左右の方杖の下端部をクサビ打ちすることになるが、このときの位置合わせが容易になるし、クサビ打ち作業自体が左右の方杖の下端部の2個所へと半減するだけでなく、水平部材の両端の左右2個所での高所でのクサビ打ち作業は不要となる。したがって、クサビによる緊結作業を容易にするとともに軽減することができる。
(f) 次に、先行手摺枠については、足場を組み立ててから取り付けるのではなく、最初から手摺の必要な個所の足場部材に予め先行手摺枠を組み込んでおけば、その取り付けと取り外しの手間を省くことができることに思い至った。そして、支柱部材に強固に連結することのできる上記の方杖型つなぎ材が、予め先行手摺枠を組み込んでおく足場部材として適していることが分かった。というのは、この方杖型つなぎ材は、支柱部材との連結作業が容易であるとともに軽減されるものであり、かつ、支柱材に対して強固に連結することができるので、先行手摺枠を組み込んでも、足場の組み立て作業に悪影響を与えないからである。すなわち、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を手摺の必要な個所の足場部材とすればよい。
そして、上記の方杖型つなぎ材の水平部材を支柱部材間に掛止されるように連結すると、方杖の下端部をクサビ打ちするまでは、水平部材を回転軸として回転させることができるものであるから、先行手摺枠を組み込んでなる先行手摺枠付き方杖型つなぎ材もまた、支柱部材間に水平部材が掛止されるように連結すると、同様に水平部材を回転軸として回転させることができるものである。
先行手摺枠は、足場を構築する際に、最上段の足場の一つ下段の足場から、作業者が最上段の足場用の手摺枠を先行して取り付けることができる機能が必要である。ところで、先行手摺枠を組み込んでなる先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、その水平部材が作業員の手が届く支柱部材間の高所に水平部材が掛止されるのであり、そして、作業員は水平部材を回転軸として回転させることができるものである。したがって、下段の足場の上に立つ作業員は、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材を、先行手摺枠を斜め上方に傾けた状態で支柱部材間に掛止するという作業を下段の足場の上で行うことができるのであり、その後、このようにして支柱部材間に掛止した先行手摺枠付き方杖型つなぎ材をその水平部材の軸回りに先行手摺枠が鉛直になるまで回転させた後に、先行手摺枠を上方に向けた状態で方杖の下端部をクサビ打ちして緊結すれば、この先行手摺枠は上段の足場の手摺枠となる。なお、その先行手摺枠の左右の上部近傍に当て材を取り付けておくと、支柱部材間に掛止した先行手摺枠付き方杖型つなぎ材をその水平部材の軸回りに回転させたときに、その当て材が支柱部材に当たって、その先行手摺枠の回転が止まる。このとき、先行手摺枠は鉛直の状態に止まっているから、当て材を取り付けておくのが好ましい。
したがって、作業員は最上段の足場に立ったときは、最上段の足場にはすでに先行手摺枠が取り付けられているから、作業者の安全を守ることが可能になる。逆の作業で、足場を順次上から取り外す際にも、最上段の足場の一つ下の足場から作業者が最上段の足場用の先行手摺枠を取り外すことができるため、作業者の安全を守ることができる。
(g) この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、次のとおり、システム支保工の足場部材に組み入れることができる。システム支保工はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材の連結金具の間を長短2種のつなぎ材(同じ長さであってもよい。)で水平2方向に互いに直角をなして連結することによって形成される緊結構造物である。したがって、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、床付き布枠が架け渡されて形成される足場の片側あるいは両側を構成するつなぎ材に用いれば、足場を組み立てた時点で手摺枠が備わった足場が構築されることになる。
また、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を、次のとおり、くさび緊結式足場の足場部材に組み入れることができる。ただし、通常、くさび緊結式足場は、コマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材に、短尺のつなぎ材(腕木材)、ブレース材、手摺部材の足場構成部材を連結金具を介して取り付け、そして、連結金具においてクサビによってこれらの足場構成部材を緊結した後、隣接する短尺のつなぎ材(腕木材)の間に床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって組み立てられる。したがって、短尺のつなぎ材は足場の通路に対して平行ではなく直角に取り付けられる。したがって、通常のくさび緊結式足場においては短尺のつなぎ材(腕木材)として、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いることはできない。このため、くさび緊結式足場を組み立てた時点で足場の通路に対して並行に先行手摺枠が備わった足場を構築するためには、短尺のつなぎ材を支柱部材間に取り付けることに加えて、長尺の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を足場の通路と並行に支柱部材間に取り付ければよい。
なお、システム支保工とくさび緊結式足場を問わず、この先行手摺付き方杖型つなぎ材は、建物の角部に当たる足場の妻面に先行手摺枠を形成することができる。したがって、足場を組み立てた時点で妻面にも先行手摺枠が備わった足場を構築することができる。なお、くさび緊結式足場において妻面に先行手摺枠を取り付ける場合には、短尺のつなぎ材を短尺の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材に置き換えるだけでよいことは言うまでもない。
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであって、その要旨は下記の(1)〜(12)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材および下記(13)〜(16)の仮設足場にある。以下、総称して本発明という。
(1) 水平部材とこの水平部材を斜め下方から支える2本の方杖と先行手摺枠からなる先行手摺枠付き方杖型つなぎ材であって、水平部材の両端部には水平部材を回転軸として先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を回転可能とする支柱部材への掛止手段が設けられており、かつ、方杖の下端にはクサビ金具が設けられていることを特徴とする先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(2) 水平部材の両端部の少なくとも一方には、掛止手段として下向きの切り欠き部を有する端部板が設けられていることを特徴とする、上記(1)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(3) 下向きの切り欠き部の幅が、連結すべき支柱部材の側面に設けられたボタンピンのボタン部の外径より小さくかつボタンピンの取付軸の外径より大きいことを特徴とする、上記(2)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(4) 水平部材の端部の下部には、連結すべき支柱部材の側面に設けられたボタンピンのボタン部を収容できるだけの開口部を有することを特徴とする、上記(3)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(5) 水平部材の両端部の少なくとも一方には、掛止手段としてボタンピンが設けられていることを特徴とする、上記(1)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(6) ボタンピンが、連結すべき支柱部材の側面に設けられた上向きの切り欠き部の幅よりも大きい外径を有するボタン部と、この切り欠き部の幅よりも小さい外径を有する取付軸からなることを特徴とする、上記(5)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(7) 水平部材の両端部の少なくとも一方には、掛止手段として、水平部材の外径よりも大きい外径を有する円形の端部板が設けられていることを特徴とする、上記(1)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(8) 円形の端部板が、連結すべき支柱部材の側面に設けられた上向きの切り欠き部の幅よりも大きい外径を有することを特徴とする、上記(7)の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(9) 方杖の下端部に設けるクサビ金具が、連結すべき支柱部材の側面に設けられた連結金具を上下から挟んで内抱できる形状を有することを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかの先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(10) 方杖の下端部に設けるクサビ金具がコの字形状を有することを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかの先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(11) 先行手摺枠が水平部材に接合されていることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれかの先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(12) 先行手摺枠が側面に当て材を備えることを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれかの先行手摺枠付き方杖型つなぎ材。
(13) 上記(1)〜(12)のいずれかの先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を組み込んでなる仮設足場。
(14) 上記(13)の仮設足場であって、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材が足場の通路方向と並行に設置されていることを特徴とする仮設足場。
(15) 上記(13)の仮設足場であって、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材が足場の通路方向と直角に設置されていることを特徴とする仮設足場。
(16) 上記(13)の仮設足場であって、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材が足場の妻面に設置されていることを特徴とする仮設足場。
本発明によれば、方杖型つなぎ材と支柱部材との連結作業を容易にするとともに軽減することができ、かつ、支柱材に対して強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる先行手摺枠付き方杖型つなぎ材並びにこの先行手摺枠付方杖型つなぎ材を組み込んでなる仮設足場を提供する。
以下、本発明の実施の形態に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材および仮設足場について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
図11は、本発明に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の一例である。(a)は足場内から見た全体図であり、(b)はA部の拡大図である。そして、(c)は(b)の左側面図、(d)は(b)の底面図を表す。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材31と、この水平部材31を斜め下方から支える2本の方杖32と、上桟61aと左右の横桟61bと左右の横桟61bを連結する中桟61cとからなる先行手摺枠からなり、この先行手摺枠の左右の横桟61bの下端は水平部材31の両端部近傍の向こう側の側面に溶接等で接合されている。また、後述するように、この先行手摺枠はその水平部材31の軸回りに回転させることができるが、その回転角度を180度で止めるために、先行手摺枠の左右の横桟61bの上部近傍には、それぞれ当て材63が取り付けられている。当て材の形状については、後述する。そして、水平部材31の端部のそれぞれには、下向きの切り欠き部40aを有する端部板40が溶接等で接合されるとともに、水平部材31の端部の下部には開口部31aが設けられており、水平部材31の端部を支柱部材に掛止することによって、水平部材31の端部を支柱部材に連結することができる。
一方、方杖32の下端にはクサビ金具30bが溶接等によって接合されて設けられており、このクサビ金具30bを支柱部材の側面に設けられたコマ等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビ30aを打ち込むことによって、この方杖32の下端を支柱部材に緊結することができる。ここで、方杖32の下端に設けるクサビ金具30bは、正面から見てコの字形状を有しているので、クサビ金具30bが支柱部材の側面に設けられたコマ等の連結金具を上下から挟んで内抱できる。したがって、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材に一旦連結すれば、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30が上下方向に移動しようとしても、支柱部材のコマ等の連結金具にぶつかるので、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30が支柱部材から外れることを防止できる。なお、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30の変形を防止するために、水平部材31の左右の端部近傍から、各1本の束材34が垂直に設置され、それぞれの方杖32を結ぶことによってそれぞれの方杖32を上方から支持している。また、クサビ金具30bに打ち込むためのクサビ30aは、束材34の中程に設けられたクサビ仮受け用孔(図示せず)に収容することができる。
ここで、水平部材31の端部に接合された端部板40に設けられた下向きの切り欠き部40aの幅は、連結すべき支柱部材に設けられたボタンピンのボタン部の外径より小さくかつ取付軸の外径より大きい。これに対して、水平部材31の端部の下部に設けられた開口部31aの幅は、連結すべき支柱部材に設けられたボタンピンのボタン部の外径よりも大きくかつ取付軸の外径より大きい。したがって、水平部材31の端部を支柱部材に掛止することができるし、掛止後に水平部材31の端部が支柱部材から外れにくくなる。
また、水平部材は軸回りに回転させることができるから、水平部材の端部を支柱部材に掛止する際には、位置合わせが容易になる。そして、このような掛止構造とすれば、水平部材の両端部を掛止した後、左右の方杖の下端部をクサビ打ちすることで、水平部材によって支柱部材間を強固に連結することができる。また、クサビ緊結のためのクサビ金具は左右の方杖の下端部の2個所だけへと半減することができる上に、水平部材の両端の左右2個所での高所でのクサビ打ち作業は不要となる。したがって、クサビによる緊結作業を容易にするとともに軽減することができる。
図12は連結すべき支柱部材に設けられるボタンピンの4例であり、いずれも溶接によってボタンピンが支柱部材の側面に接合されている。(a)〜(d)の4例とも、左側に正面図を、そして右側に右側面図を示す。
いずれのボタンピン41も、大径のボタン部41aと小径の取付軸41bから構成されていて、ボタン部41aを外面にして、取付軸41bが支柱部材3の側面に取り付けられる。ボタンピン41を支柱部材3の側面に取り付けるための接合手段はいずれも溶接による。なお、ボタン部41aの外径は、水平部材31の端部の下部に設けられた開口部31aの幅より小さく、そして、水平部材31の端部に接合された端部板40に設けられた下向きの切り欠き部40aの幅より大きい。また、取付部41bの外径は、水平部材31の端部の下部に設けられた開口部31aの幅より小さく、そして、水平部材31の端部に接合された端部板40に設けられた下向きの切り欠き部40aの幅より小さい。
図12の(a)はボタン部41aの背面に傾斜部を持たせて円錐台形状にしたものであり、取付軸41bは円柱形状である。(b)はボタン部41a、取付軸41bともに円柱形状である。(c)は(b)の変形例であって、取付軸41bは円柱形状の支柱固定部材41cを介して支柱部材3の側面に取り付けられる。(d)は(a)の変形例である。取付軸41bが支柱部材3を貫通し、ボタンピンの取付側とは反対側で取付軸41bを溶接することによって取り付けることができるので、強固に固定することができる。
図13は、連結すべき支柱部材に設けられるボタンピンの他の例およびブラインドナットによる接合状態の例を示す。(a)がボタンピンの正面図と右側面図、(b)が座金の正面図と右側面図、そして、(c)が支柱部材の側面の孔にボタンピンが接合された状態の上面図と接合部の断面図(上面図)である。
図13(a)に見るとおり、このボタンピン41は、背面に傾斜部を持たせて円錐台形状にしたボタン部41aと、円柱形状の取付軸41bと、外面に雄ネジが切られたネーブルボルト41dからなる。
このネーブルボルト41dを、図13(b)に示されるネーブル座金50を介して、支柱部材3の側面に穿たれた孔52に予め挿入しておいたブラインドナット51にねじ込み、カシメ加工することによって、図13(c)および(d)に示されるように、ボタンピン41が支柱部材3に接合される。
すなわち、この孔52に、内面に雌ネジが切られたブラインドナット51を工具の先端のドライブスクリュー(図示せず)に差し込んだ状態で挿入後、カシメ加工することによって、ブラインドナット51をこの孔52に固定する。そして、固定されたブラインドナット51にネーブル座金50を介してネーブルボルト41dをねじ込むことによって、ボタンピン41を支柱部材3に接合することができる。したがって、溶接による接合作業に比べて手間を省くことができる。
図14は、図13に示されるボタンピンの4個を、連結すべき支柱部材の側面の円周上にブラインドナットによって接合した状態を示す。(a)が上面図、そして、(b)が断面図(上面図)である。
ボタンピン41を支柱部材3に接合する手法は、上述したとおりである。ここでは、4方向につなぎ材が連結されるので、支柱部材3の側面の円周上へのボタンピン41の設置個数は4個となる。しかしながら、ボタンピン41の設置個数が4個となっても、ブラインドナット51を用いてネジ接合によってボタンピンを設置するので、設置作業時に他のボタンピンが邪魔になることはない。
図15は、図11の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材の端部を、図12(a)の支柱部材側面のボタンピンに掛止する手順を(a)〜(c)で示す。なお、(d)は(c)のA−A矢視図、そして、(e)は(d)のB−B矢視図である。
(a)は側面にボタンピン41を設けてなる支柱部材3に先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材31の端部を位置合わせしたところであり、(b)はこのボタンピン41に水平部材の端部を上方から下方に移動させる途中であり、(c)はこのボタンピン41に端部板40の下向きの切り欠き部40aを掛止したところを、それぞれ示している。そして、(d)は(c)のA−A矢視断面図であり、(e)は(d)のB−B矢視図である。
上述したとおり、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材31の端部には下向きの開口部31aが形成され、さらに水平部材31の端部の下部に設けられた端部板40には下向きの切り欠き部40aが形成されている。そして、この水平部材31の端部を上方から下方に移動させることによって、このボタンピン41に端部板40の下向きの切り欠き部40aを掛止することができる。この切り欠き部40aの幅と、ボタンピンのボタン部41aおよび取付軸41bの外径は、上述したとおりの関係にあるから、一旦このボタンピン41に端部板40の下向きの切り欠き部40aを掛止した後には、水平部材31の端部を上方に持ち上げない限り、支柱部材3への水平部材31の端部の連結が外れることはないことが分かる。
なお、このボタンピン41に端部板40の下向きの切り欠き部40aを掛止した後には、端部板40には下向きの切り欠き部40aとボタンピンの取付軸41bの間には遊びがあり、そして、端部板40とボタンピンのボタン部41aとの間にも遊びがあるから、水平部材の端部は、支柱部材の側面に設けられるボタンピンの取付軸41bを回転軸として回転自在となる。
図16は、図11の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材の端部を支柱部材の側面に連結および緊結する際の手順を(a)〜(d)で示す。いずれも、水平部材の端部側から支柱部材を見た図である。ここでは、分かりやすくするために、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材の端部板40と、方杖32の下端に接合されたクサビ金具30bのみを図示している。
(a)は側面の上部にボタンピン41を、そして下部にコマ4を設けてなる支柱部材3を示す。(b)は支柱部材3の側面のボタンピン41に水平部材の端部を上方から移動させる途中を示し、(c)はこのボタンピン41に下向きの切り欠き部40aを掛止したところを示し、そして、(d)は支柱部材3の側面のコマ4に、方杖32の下端に接合されたクサビ金具30bを引っ掛けた後、クサビ30aを打ち込んだところを示す。
すなわち、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を支柱部材間に連結する作業は、まず水平部材の端部板40の切り欠き部40aを、それぞれ左右の支柱部材3の側面のボタンピン41に引っ掛けて掛止した後、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材をボタンピン41を回転軸として回転して、左右2本の方杖32の下端部をそれぞれ左右の支柱部材3の側面のコマ4に位置合わせをし、その後、クサビ30aをクサビ金具30bに打ち込むことによって緊結するという手順を採用している。
以上は、本発明に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30の方杖型つなぎ材としての機能を説明してきたが、次のとおり、本発明に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は足場の先行手摺枠としての機能も有する。
図17は、図11の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を支柱部材間に連結した図である。(a)は足場内から見た図であり、(b)はその上面図、(c)は(a)の矢視C−C図、そして、(d)は(a)の矢視D−D断面拡大図である。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、支柱部材3の間に水平部材31が掛止されるように連結した状態においては、その先行手摺枠は水平部材31を回転軸として回転させることができる。したがって、方杖32の下端に接合されたクサビ金具30bを支柱部材の側面に設けられたコマ4に引っ掛けてクサビ打ちするまでは、水平部材31を回転軸として回転させることができるものであるから、最上段の足場の一つ下段の足場から、作業者が最上段の足場用の手摺枠を先行して取り付けるという先行手摺枠としての機能を有する。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いると、支柱部材3の間に水平部材31が掛止されるように連結した状態においては、最上段の足場の一つ下段の足場の上に立つ作業員が、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材を、先行手摺枠を斜め上方に傾けた状態で支柱部材間に掛止するという作業を下段の足場の上で行うことができるのであり、その後、その先行手摺枠をその水平部材31の軸回りに先行手摺枠が鉛直になるまで回転させ、先行手摺枠を上方に向けた状態で、方杖32の下端に接合されたクサビ金具30bを支柱部材の側面に設けられたコマ4に引っ掛けてクサビ打ちして緊結すれば、この先行手摺枠は上段の足場の手摺枠となる。作業員が水平部材を回転軸として回転させることで支柱部材間に設置する手順については後述する(図19参照)。
なお、この先行手摺枠の左右の横桟61bの下端は水平部材31の両端部近傍の向こう側の側面に溶接等で接合されているので、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材3の間に連結し、クサビによって緊結した際に、上段の足場において先行手摺枠は左右2個の支柱部材によって形成される平面よりも向こう側、すなわち、足場とは反対側に位置することになる。
なお、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30の変形を防止するために、水平部材31の左右の端部近傍から、各1本の束材34が垂直に設置され、それぞれの方杖32を結ぶことによってそれぞれの方杖32を上方から支持している。また、クサビ金具30bに打ち込むためのクサビ30aは、束材34の中程に設けられたクサビ仮受け用孔34aに収容することができる。
そして、この先行手摺枠をその水平部材31の軸回りに回転させる際に、先行手摺枠を鉛直の状態に止めるために、先行手摺枠の左右の横桟61bの上部近傍には、それぞれ当て材63が取り付けられている。この当て材は、鋼板を折り曲げて、先行手摺枠の横桟61bに溶接によって接合したものである。
なお、当て材63は、先行手摺枠をその水平部材31の軸回りに回転させる際に、先行手摺枠を鉛直の状態に止めることができればよく、その形状は、格別に限定するものではない。図17(d)にみる形状の外に、種々の形状を挙げることができる。たとえば、丸鋼棒を、先行手摺枠の横桟61bに溶接によって接合したものでもよい(図18参照)。
図19は、図11の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を足場内の作業員が水平部材を回転軸として回転させることで支柱部材間に設置する手順を示す。足場内の作業員の右側面から見た図である。
図19に示すとおり、最上段の足場の一つ下段の足場の上に立つ作業員が、先行手摺枠を斜め上方に傾けた状態で支柱部材間に掛止された先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を、その水平部材31の軸回り先行手摺枠が鉛直になるまで回転させ、先行手摺枠を上方に向けた状態にすることができることが分かる。そして、この際に、先行手摺枠の左右の横桟61bの上部近傍に取り付けられた当て材63によって、その回転が先行手摺枠が鉛直の状態で止まることが分かる。
図20は、図11の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を足場内の作業員が水平部材を回転軸として回転させた後に、方杖32の下端に接合されたクサビ金具30bを支柱部材の側面に設けられたコマ4に引っ掛けてクサビ打ちして緊結した状態を示す。足場内の作業員の背後から見た図である。
図20に示すとおり、最上段の足場の一つ下段の足場の上に立つ作業員が、先行手摺枠を上方に向けた状態で、左右の方杖の下端部をクサビ打ちすることができる。このとき、クサビ打ちは、左右の方杖の下端部の2個所だけで済むから、クサビによる緊結作業が容易になるとともに、軽減される。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、システム支保工およびくさび緊結式足場の足場部材に組み入れることができる。
すなわち、システム支保工はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材の連結金具の間を長短2種のつなぎ材(同じ長さであってもよい。)で水平2方向に互いに直角をなして連結することによって形成される緊結構造物であるから、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、床付き布枠が架け渡されて形成される足場の片側もしくは両側又は妻面を構成するつなぎ材として用いることができる。
また、くさび緊結式足場はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材に、短尺のつなぎ材(腕木材)、ブレース材、手摺部材の足場構成部材を連結金具を介して取り付け、そして、連結金具においてクサビによってこれらの足場構成部材を緊結した後、隣接する短尺のつなぎ材(腕木材)の間に床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって組み立てられるものであるから、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、床付き布枠が架け渡されて形成される足場の片側もしくは両側又は妻面を構成するつなぎ材として用いることができる。
このように、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、その支柱間の連結作業を容易にしかつ軽減するだけでなく、支柱部材間を強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる。さらに、従来例に係る方杖型つなぎ材(図6および図7参照)はその水平部材の両端部に設けられたクサビ金具の存在により、つなぎ材の上に架け渡される床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができなかったが、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いた場合には床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができるので、支柱部材と床付き布枠との間に隙間が発生しにくいという効果がある。
図21は、本発明に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の他の例である。(a)は足場内から見た全体図であり、(b)はA部の拡大図である。そして、(c)は(b)の左側面図、(d)は(b)の底面図を表す。(a)は正面図である。(b)〜(d)はA部の拡大図であり、そのうち、(b)は左側面図、(c)は正面図、そして、(d)は底面図を表す。
この長尺の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、水平部材31が長尺である点で、実施例1の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と異なるだけである。したがって、実施例1に示す短尺の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と同様に、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、その支柱間の連結作業を容易にしかつ軽減するだけでなく、支柱部材間を強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる。さらに、従来例に係る方杖型つなぎ材(図6および図7参照)はその水平部材の両端部に設けられたクサビ金具の存在により、つなぎ材の上に架け渡される床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができなかったが、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いた場合には床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができるので、支柱部材と床付き布枠との間に隙間が発生しにくいという効果がある点も実施例1と同様である。
図22は、本発明の他の例に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を支柱部材間に連結した図である。(a)は足場内から見た図であり、(b)はその上面図、(c)は(a)の矢視C−C図、そして、(d)は(a)の矢視D−D断面拡大図である。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、先行手摺枠の左右の横桟61bの下端が水平部材31の両端部近傍の上面に溶接等で接合されている点で、実施例1の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と異なるだけである。この違いによって、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材3の間に連結し、クサビによって緊結した際に、上段の足場において先行手摺枠は左右2個の支柱部材によって形成される平面上に位置することになる。
したがって、この先行手摺枠はその水平部材31の軸回りに回転させることができるが、先行手摺枠が鉛直の状態で止めるために、先行手摺枠の左右の横桟61bの上部近傍に取り付けられる当て材63の形状が実施例1のものとは異なっているだけである。
実施例3にかかる先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30もまた、実施例1に示す先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と同様に、その支柱間の連結作業を容易にしかつ軽減するだけでなく、支柱部材間を強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる。さらに、従来例に係る方杖型つなぎ材(図6および図7参照)はその水平部材の両端部に設けられたクサビ金具の存在により、つなぎ材の上に架け渡される床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができなかったが、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いた場合には床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができるので、支柱部材と床付き布枠との間に隙間が発生しにくいという効果がある点も実施例1と同様である。
図23は、本発明の他の例に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を支柱部材間に連結した図である。(a)は足場内から見た図であり、(b)はその上面図、(c)は(a)の矢視C−C図、そして、(d)は(a)の矢視D−D断面拡大図である。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、先行手摺枠の左右の横桟61bの下端が水平部材31の両端部近傍の手前側の側面に溶接等で接合されている点で、実施例1の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と異なるだけである。この違いによって、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材3の間に連結し、クサビによって緊結した際に、上段の足場において先行手摺枠は左右2個の支柱部材によって形成される平面よりも手前の足場側に位置することになる。
したがって、この先行手摺枠はその水平部材31の軸回りに回転させることができるが、先行手摺枠が鉛直の状態で止めるために、先行手摺枠の左右の横桟61bの上部近傍に取り付けられる当て材63の形状が実施例1のものとは異なっているだけである。
実施例4にかかる先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30もまた、実施例1に示す先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と同様に、その支柱間の連結作業を容易にしかつ軽減するだけでなく、支柱部材間を強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる。さらに、従来例に係る方杖型つなぎ材(図6および図7参照)はその水平部材の両端部に設けられたクサビ金具の存在により、つなぎ材の上に架け渡される床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができなかったが、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いた場合には床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができるので、支柱部材と床付き布枠との間に隙間が発生しにくいという効果がある点も実施例1と同様である。
図24は、本発明に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の他の例である。(a)は足場内から見た全体図、(b)はA部の拡大左側面図、そして、(c)は A部の拡大正面図である。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、水平部材31の端部40の形状が実施例1の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と異なるが、その先行手摺枠の形状および機能は実施例1と全く同じである。なお、先行手摺枠の形状および機能は実施例2〜4のものを用いてもよい。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材31と、この水平部材31を斜め下方から支える2本の方杖32と、上桟61aと左右の横桟61bと左右の横桟61bを連結する中桟61cとからなる先行手摺枠からなり、この先行手摺枠の左右の横桟61bの下端は水平部材31の両端部近傍の向こう側の側面に溶接等で接合されている。また、この先行手摺枠はその水平部材31の軸回りに回転させることができるが、先行手摺枠が鉛直の状態で止めるために、先行手摺枠の左右の横桟61bの上部近傍には、それぞれ当て材63が取り付けられている。そして、水平部材31の端部のそれぞれには、端部板40を介してボタンピン41が接合されており、水平部材31の端部を支柱部材に掛止することによって、水平部材31の端部を支柱部材に連結することができる。
一方、方杖32の下端にはクサビ金具30bが溶接等によって接合されて設けられており、このクサビ金具30bを支柱部材の側面に設けられたコマ等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビ30aを打ち込むことによって、この方杖32の下端を支柱部材に緊結することができる。ここで、方杖32の下端に設けるクサビ金具30bは、正面から見てコの字形状を有しているので、クサビ金具30bが支柱部材の側面に設けられたコマ等の連結金具を上下から挟んで内抱できる。したがって、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材に一旦連結すれば、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30が上下方向に移動しようとしても、支柱部材のコマ等の連結金具にぶつかるので、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30が支柱部材から外れることを防止できる。なお、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30の変形を防止するために、水平部材31の左右の端部近傍から、各1本の束材34が垂直に設置され、それぞれの方杖32を結ぶことによってそれぞれの方杖32を上方から支持している。また、クサビ金具30bに打ち込むためのクサビ30aは、束材34の中程に設けられたクサビ仮受け用孔(図示せず)に収容することができる。
ここで、水平部材31の端部に接合された端部板40に設けられたボタンピン41は大径のボタン部41aと小径の取付軸41bから構成されていて、水平部材31の端部に接合された端部板40に対して垂直に取り付けられる。なお、ボタン部41aの外径は、連結すべき支柱部材に取り付けられた薄幅のコマの前面壁に設けられた上向きの切り欠き部の幅より大きい。また、取付部41bの外径は、その上向きの切り欠き部の幅より小さい。したがって、水平部材31の端部を支柱部材に掛止することができるし、掛止後に水平部材31の端部が支柱部材から外れにくくなる。
また、水平部材は軸回りに回転させることができるから、水平部材の端部を支柱部材に掛止する際には、位置合わせが容易になる。そして、このような掛止構造とすれば、水平部材の両端部を掛止した後、左右の方杖の下端部をクサビ打ちすることで、水平部材によって支柱部材間を強固に連結することができる。また、クサビ緊結のためのクサビ金具は左右の方杖の下端部の2個所だけへと半減することができる上に、水平部材の両端の左右2個所での高所でのクサビ打ち作業は不要となる。したがって、クサビによる緊結作業を容易にするとともに軽減することができる。
水平部材31の端部に接合された端部板40に取り付けられるボタンピンは、図12および図13に示したものと同じ形状のものを使用することができる。また、ボタンピンの取り付け方法も、図12および図13と同様に溶接やネジによる接合が可能である。接合作業の手間を考えると、ブラインドナットなどのネジによって接合するのが好ましい。
図25は、連結すべき支柱部材に設けられる上向きの切り欠き部の一例である。左側に正面図を、そして右側に右側面図を示す。
この上向きの切り欠き部42aは、支柱部材3の側面に薄幅のコマ42を取り付け、その薄幅のコマ42の前面壁に切り欠き部を設けたものである。
図26は、図24の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材のうちの水平部材の端部を、図25の支柱部材側面の上向きの切り欠き部に掛止する手順を示す正面図である。
(a)は側面に上向きの切り欠き部を有する薄幅のコマ42を設けてなる支柱部材3に先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材31の端部を位置合わせしたところであり、(b)はこの薄幅のコマ42に水平部材の端部を上方から下方に移動させる途中であり、(c)はこの薄幅のコマ42に水平部材31の端部のボタンピン41を支柱部材に掛止したところを、それぞれ示している。
上述したとおり、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材31の端部には、端部板40を介してボタンピン41が接合されている。そして、この水平部材31の端部を上方から下方に移動させることによって、支柱部材3の側面に設けられた上向きの切り欠き部42aに、水平部材31の端部のボタンピン41を掛止することができる。この切り欠き部42aの幅と、ボタンピンのボタン部41aおよび取付軸41bの外径は、上述したとおりの関係にあるから、一旦この上向きの切り欠き部42aにボタンピン41を掛止した後には、水平部材31の端部を上方に持ち上げない限り、支柱部材3への水平部材31の端部の連結が外れることはないことが分かる。
なお、この上向きの切り欠き部42aにボタンピン41を掛止した後には、切り欠き部42aとボタンピンの取付軸41bの間には遊びがあり、そして、端部板40と薄幅のコマ42の前面壁との間にも遊びがあるから、水平部材の端部は支柱部材の側面に設けられる上向きの切欠き部を回転軸として回転自在となる。
なお、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材全体を支柱部材の側面に連結および緊結する際の手順は、図16に示したものと同じである。
すなわち、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を支柱部材間に連結する作業は、まず水平部材の端部のボタンピン41を、それぞれ左右の支柱部材3の側面の上向きの切り欠き部42aに引っ掛けて掛止した後、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材をこの上向きの切り欠き部42aを回転軸として回転して、左右2本の方杖32の下端部をそれぞれ左右の支柱部材3の側面のコマ4に位置合わせをし、その後、クサビ30aをクサビ金具30bに打ち込むことによって緊結するという手順を採用している。
この結果、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材3の側面に連結することができる。
以上は、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30の方杖型つなぎ材としての機能を説明してきた。この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は足場の先行手摺枠としての機能も有するが、先行手摺枠の形状等は実施例1と同じである。したがって、先行手摺枠としての機能の説明は省略する。
もちろん、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材も、実施例1の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と同様に、システム支保工およびくさび緊結式足場の足場部材に組み入れることができる。
すなわち、システム支保工はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材の連結金具の間を長短2種のつなぎ材(同じ長さであってもよい。)で水平2方向に互いに直角をなして連結することによって形成される緊結構造物であるから、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、床付き布枠が架け渡されて形成される足場の片側もしくは両側又は妻面を構成するつなぎ材として用いることができる。
また、くさび緊結式足場はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材に、短尺のつなぎ材(腕木材)、ブレース材、手摺部材の足場構成部材を連結金具を介して取り付け、そして、連結金具においてクサビによってこれらの足場構成部材を緊結した後、隣接する短尺のつなぎ材(腕木材)の間に床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって組み立てられるものであるから、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、床付き布枠が架け渡されて形成される足場の片側もしくは両側又は妻面を構成するつなぎ材として用いることができる。
このように、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、その支柱間の連結作業を容易にしかつ軽減するだけでなく、支柱部材間を強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる。さらに、従来例に係る方杖型つなぎ材(図6および図7参照)はその水平部材の両端部に設けられたクサビ金具の存在により、つなぎ材の上に架け渡される床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができなかったが、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いた場合には床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができるので、支柱部材と床付き布枠との間に隙間が発生しにくいという効果がある。
図27は、本発明に係る先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の他の例である。(a)は足場内から見た全体図、(b)はA部の拡大左側面図、そして、(c)は A部の拡大正面図である。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、水平部材31の端部40の形状が実施例1の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と異なるが、その先行手摺枠の形状および機能は実施例1と全く同じである。なお、先行手摺枠の形状および機能は実施例2〜4のものを用いてもよい。
この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は、鋼製やアルミニウム製などの管からなる水平部材31と、この水平部材31を斜め下方から支える2本の方杖32と、上桟61aと左右の横桟61bと左右の横桟61bを連結する中桟61cとからなる先行手摺枠からなり、この先行手摺枠の左右の横桟61bの下端は水平部材31の両端部近傍の向こう側の側面に溶接等で接合されている。また、この先行手摺枠はその水平部材31の軸回りに回転させることができるが、先行手摺枠が鉛直の状態で止めるために、先行手摺枠の左右の横桟61bの上部近傍には、それぞれ当て材63が取り付けられている。そして、水平部材31の端部のそれぞれには、端部板40が接合されており、水平部材31の端部を支柱部材に掛止することによって、水平部材31の端部を支柱部材に連結することができる。
一方、方杖32の下端にはクサビ金具30bが溶接等によって接合されて設けられており、このクサビ金具30bを支柱部材の側面に設けられたコマ等の連結金具に引っ掛けた後に、クサビ30aを打ち込むことによって、この方杖32の下端を支柱部材に緊結することができる。ここで、方杖32の下端に設けるクサビ金具30bは、正面から見てコの字形状を有しているので、クサビ金具30bが支柱部材の側面に設けられたコマ等の連結金具を上下から挟んで内抱できる。したがって、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材に一旦連結すれば、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30が上下方向に移動しようとしても、支柱部材のコマ等の連結金具にぶつかるので、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30が支柱部材から外れることを防止できる。なお、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30の変形を防止するために、水平部材31の左右の端部近傍から、各1本の束材34が垂直に設置され、それぞれの方杖32を結ぶことによってそれぞれの方杖32を上方から支持している。また、クサビ金具30bに打ち込むためのクサビ30aは、束材34の中程に設けられたクサビ仮受け用孔(図示せず)に収容することができる。
ここで、水平部材31の端部に接合された端部板40の外径は、連結すべき支柱部材に取り付けられた薄幅のコマの前面壁に設けられた上向きの切り欠き部の幅より大きい。また、水平部材31の外径は、その上向きの切り欠き部の幅より小さい。したがって、水平部材31の端部を支柱部材に掛止することができるし、掛止後に水平部材31の端部が支柱部材から外れにくくなる。
また、水平部材は軸回りに回転させることができるから、水平部材の端部を支柱部材に掛止する際には、位置合わせが容易になる。そして、このような掛止構造とすれば、水平部材の両端部を掛止した後、左右の方杖の下端部をクサビ打ちすることで、水平部材によって支柱部材間を強固に連結することができる。また、クサビ緊結のためのクサビ金具は左右の方杖の下端部の2個所だけへと半減することができる上に、水平部材の両端の左右2個所での高所でのクサビ打ち作業は不要となる。したがって、クサビによる緊結作業を容易にするとともに軽減することができる。
図28は、連結すべき支柱部材に設けられる上向きの切り欠き部の一例である。左側に正面図を、そして右側に右側面図を示す。
この上向きの切り欠き部42aは、支柱部材3の側面に薄幅のコマ42を取り付け、その薄幅のコマ42の前面壁に上向きの切り欠き部を設けたものである。
図29は、図27の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材の端部を、図28の支柱部材側面の上向きの切り欠き部に掛止する手順を示す正面図である。
(a)は側面に上向きの切り欠き部を有する薄幅のコマ42を設けてなる支柱部材3に先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材31の端部を位置合わせしたところであり、(b)はこの薄幅のコマ42に水平部材の端部を上方から下方に移動させる途中であり、(c)はこの薄幅のコマ42に水平部材31の端部の端部板40を支柱部材に掛止したところを、それぞれ示している。
上述したとおり、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材の水平部材31の端部には、端部板40が接合されている。そして、この水平部材31の端部を上方から下方に移動させることによって、支柱部材3の側面に設けられた上向きの切り欠き部42aに、水平部材31の端部の端部板40を掛止することができる。この切り欠き部42aの幅と、端部板40および水平部材31の外径は、上述したとおりの関係にあるから、一旦この上向きの切り欠き部42aに端部板40を掛止した後には、水平部材31の端部を上方に持ち上げない限り、支柱部材3への水平部材31の端部の連結が外れることはないことが分かる。
なお、この上向きの切り欠き部42aに端部板40を掛止した後には、切り欠き部42aと水平部材31の端部の外周の間には遊びがあり、そして、端部板40と薄幅のコマ42の前面壁との間にも遊びがあるから、水平部材の端部は支柱部材の側面に設けられる上向きの切欠き部を回転軸として回転自在となる。
なお、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材全体を支柱部材の側面に連結および緊結する際の手順は、図16に示したものと同じである。
すなわち、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を支柱部材間に連結する作業は、まず水平部材の端部の端部板40を、それぞれ左右の支柱部材3の側面の上向きの切り欠き部42aに引っ掛けて掛止した後、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材をこの上向きの切り欠き部42aを回転軸として回転して、左右2本の方杖32の下端部をそれぞれ左右の支柱部材3の側面のコマ4に位置合わせをし、その後、クサビ30aをクサビ金具30bに打ち込むことによって緊結するという手順を採用している。
この結果、先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30を支柱部材3の側面に連結することができる。
以上は、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30の方杖型つなぎ材としての機能を説明してきた。この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材30は足場の先行手摺枠としての機能も有するが、先行手摺枠の形状等は実施例1と同じである。したがって、先行手摺枠としての機能の説明は省略する。
もちろん、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材も、実施例1の先行手摺枠付き方杖型つなぎ材と同様に、システム支保工およびくさび緊結式足場の足場部材に組み入れることができる。
すなわち、システム支保工はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材の連結金具の間を長短2種のつなぎ材(同じ長さであってもよい。)で水平2方向に互いに直角をなして連結することによって形成される緊結構造物であるから、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、床付き布枠が架け渡されて形成される足場の片側もしくは両側又は妻面を構成するつなぎ材として用いることができる。
また、くさび緊結式足場はコマ等の連結金具を側面に設けた支柱部材に、短尺のつなぎ材(腕木材)、ブレース材、手摺部材の足場構成部材を連結金具を介して取り付け、そして、連結金具においてクサビによってこれらの足場構成部材を緊結した後、隣接する短尺のつなぎ材(腕木材)の間に床付き布枠を1枚又は2枚以上架け渡すことによって組み立てられるものであるから、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、床付き布枠が架け渡されて形成される足場の片側もしくは両側又は妻面を構成するつなぎ材として用いることができる。
このように、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材は、その支柱間の連結作業を容易にしかつ軽減するだけでなく、支柱部材間を強固に連結することができ、さらに、先行手摺枠の取り付けと取り外しの手間を省くことができる。さらに、従来例に係る方杖型つなぎ材(図6および図7参照)はその水平部材の両端部に設けられたクサビ金具の存在により、つなぎ材の上に架け渡される床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができなかったが、この先行手摺枠付き方杖型つなぎ材を用いた場合には床付き布枠を支柱部材の側面まで敷き詰めることができるので、支柱部材と床付き布枠との間に隙間が発生しにくいという効果がある。