JP5742192B2 - リチウム複合金属酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
サイクル挙動が不安定である場合、正極と負極との容量バランスを整えることが困難となり、電極表面にリチウム金属のデンドライトが析出するなど、電池としての安全性を損なうこととなる。
<1>Mの化合物(ここで、Mはニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)と、リチウム化合物との混合物を、Aのフッ化物、Aの塩化物、Aの炭酸塩、Aの硫酸塩、Aの硝酸塩、Aのリン酸塩、Aの水酸化物、Aのモリブデン酸塩およびAのタングステン酸塩からなる群より選ばれる1種以上の不活性溶融剤(ここで、Aは、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)の存在下で焼成することを特徴とするリチウム複合金属酸化物の製造方法。
<2>リチウム複合金属酸化物が、以下の式(1)で表される複合金属酸化物である<1>に記載の製造方法。
LiMO2 (1)
(ここで、Mはニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
<3>不活性溶融剤が、Aの炭酸塩および/またはAの塩化物である<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>Aが、Naおよび/またはKである<1>〜<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5>リチウム化合物が炭酸リチウムである<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6>Mの化合物が、Mの水酸化物である<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7>不活性溶融剤が、リチウム化合物100重量部に対して0.1重量部以上400重量部以下である<1>〜<6>のいずれかに記載の製造方法。
<8>焼成における保持温度が、200〜1150℃の範囲である前記<1>〜<7>のいずれかに記載の製造方法。
<9>Mの化合物が、ニッケル、コバルトおよびマンガンである<1>に記載の製造方法。
<10><9>に記載の製造方法によって得られるリチウム複合金属酸化物が、式(2)で表されることを特徴とする製造方法。
Lia(Ni1−(x+y)MnxCoy)O2 (2)(ここで、0.9≦a≦1.3、0.3≦x≦0.6、0.01≦y≦0.4、0.31≦x+y≦0.7である。)
<11>焼成における保持温度が、650〜950℃の範囲である<9>または<10>に記載の製造方法。
<12>不活性溶融剤が、硫酸カリウムおよび/または硫酸ナトリウムである<9>〜<11>に記載の製造方法。
<13><1>〜<12>のいずれかに記載の製造方法によって得られたリチウム複合金属酸化物。
<14><13>に記載のリチウム複合金属酸化物を有する電極。
<15><14>に記載の電極を、正極として有する非水電解質二次電池。
<16>さらにセパレータを有する<15>に記載の非水電解質二次電池。
<17>セパレータが、耐熱多孔層と熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムである<16>に記載の非水電解質二次電池。
LiMO2 (1)
(ここで、Mはニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
Lia(Ni1−(x+y)MnxCoy)O2 (2)
(ここで、0.9≦a≦1.3、0.3≦x≦0.6、0.01≦y≦0.4、0.31≦x+y≦0.7である。)
(1)ニッケルとニッケル以外の元素1種以上とを含有する水溶液と沈殿剤とを接触させて共沈物スラリーを得る工程。
(2)該共沈物スラリーから、共沈物を得る工程。
(2´)該共沈物スラリーを固液分離後、洗浄、乾燥して、共沈物を得る工程。
リチウム複合金属酸化物の粉末X線回折測定は株式会社リガク製RINT2500TTR型を用いて行った。測定は、リチウム複合金属酸化物を専用の基板に充填し、CuKα線源を用いて、回折角2θ=10〜90°の範囲にて行い、粉末X線回折図形を得た。
リチウム複合金属酸化物を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析法(以下ICP−AESということがある。)(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製SPS3000を使用)を用いて組成分析を行った。
電極の作製方法1
リチウム複合金属酸化物と、導電剤(アセチレンブラックと黒鉛とを1:9で混合したもの)との混合物に、バインダーとしてのPVdF(株式会社クレハ製、PolyVinylideneDiFluoride)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP:東京化成工業株式会社製)溶液を、該酸化物:導電剤:バインダー=87:10:3(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストを得て、集電体である厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布し、60℃で2時間乾燥させて電極シートを得た。次いで、ロールプレスを用いて、該電極シートを0.5MPaの圧力で圧延して、これを打ち抜き機で14.5mmφの大きさに打ち抜いて、150℃で8時間真空乾燥を行い、電極を得た。
導電剤としてアセチレンブラックと黒鉛とを9:1で混合したものを用いる以外は、前記電極の作製方法1と同様にして、電極を得た。
(3)により得られた電極を正極として用いた。コインセル(宝泉株式会社製)の下側パーツの窪みに、Al箔を下に向けて正極を置き、その上にセパレータ(ポリプロピレン多孔質フィルム(厚み20μm))を置き、電解液(エチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)との30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。))を注入して、負極(金属リチウム)を用いて、金属リチウムと中蓋とを組み合わせて、これらをセパレータの上側に、金属リチウムが下側を向くように置き、ガスケットを介して上側パーツで蓋をし、かしめ機でかしめて非水電解質二次電池(コイン型電池R2032)を作製した。なお、電池の組み立てはアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
(4)により得られる非水電解質二次電池を用いて、以下に示す条件でサイクル試験、および放電レート試験を行った。
試験温度25℃
充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.5mA/cm2
放電最小電圧3.0V、定電流放電、放電電流0.5mA/cm2
サイクル数50回
試験温度25℃
充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.3mA/cm2
放電時は放電最小電圧を2.5Vで一定とし、放電電流を下記のように変えて放電を行った。5C(高い電流レート)における放電容量が高ければ高いほど、高い電流レートにおける高い放電容量維持率を示すことを意味する。
2サイクル目の放電(5C) :放電電流7.5mA/cm2
炭酸リチウム(Li2CO3)とニッケルコバルト複合金属水酸化物(Ni0.85Co0.15(OH)2、平均粒径10μm)とを、Li:Ni:Coのモル比が1.30:0.85:0.15となるよう秤量し、これらをメノウ乳鉢を用いて乾式混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中650℃で1時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、これを粉砕して、リチウム複合金属酸化物C1を得た。リチウム複合金属酸化物C1の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
比較例1における混合物に、さらに塩化カリウム(KCl)を添加して、混合を行った。得られる不活性溶融剤含有混合物におけるLi:Ni:Co:KClのモル比は、1.30:0.85:0.15:0.10となるようにした(該混合物においてリチウム化合物100重量部に対する不活性溶融剤の存在量は15重量部である)。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中650℃で1時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、これを粉砕後、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、リチウム複合金属酸化物R1を得た。リチウム複合金属酸化物R1の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
比較例1における混合物に、さらに塩化ナトリウム(NaCl)を添加して、混合を行った。得られる不活性溶融剤含有混合物におけるLi:Ni:Co:NaClのモル比は、1.30:0.85:0.15:0.10となるようにした(該混合物においてリチウム化合物100重量部に対する不活性溶融剤の存在量は12重量部である)。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中650℃で1時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、これを粉砕後、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、リチウム複合金属酸化物R2を得た。リチウム複合金属酸化物R2の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
比較例1における混合物に、さらに炭酸カリウム(K2CO3)を添加して、混合を行った。得られる不活性溶融剤含有混合物におけるLi:Ni:Co:K2CO3のモル比は、1.30:0.85:0.15:0.10となるようにした(該混合物においてリチウム化合物100重量部に対する不活性溶融剤の存在量は28重量部である。)。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中650℃で1時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、これを粉砕後、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、リチウム複合金属酸化物R3を得た。リチウム複合金属酸化物R3の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
比較例1における混合物に、さらに炭酸カリウム(Na2CO3)を添加して、混合を行った。得られる不活性溶融剤含有混合物におけるLi:Ni:Co:Na2CO3のモル比は、1.30:0.85:0.15:0.10となるようにした(該混合物においてリチウム化合物100重量部に対する不活性溶融剤の存在量は22重量部である)。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中650℃で1時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、これを粉砕後、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して、リチウム複合金属酸化物R4を得た。リチウム複合金属酸化物R4の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中750℃で1時間保持して焼成を行う以外は比較例1と同様にして、リチウム複合金属酸化物C2を得た。リチウム複合金属酸化物C2の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて酸素雰囲気中750℃で1時間保持して焼成を行う以外は実施例4と同様にして、リチウム複合金属酸化物R5を得た。リチウム複合金属酸化物R5の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
ニッケルの水溶性塩として硫酸ニッケル六水和物、マンガンの水溶性塩として硫酸マンガン一水和物、コバルトの水溶性塩として硫酸コバルト七水和物を用い、Ni:Mn:Coのモル比が0.50:0.30:0.20となるようにそれぞれ秤量し、純水に溶解してNi、MnおよびCoを含有する遷移金属水溶液を得た。この遷移金属水溶液に、アルカリ金属水溶液として水酸化カリウム水溶液を加えて共沈を行い沈殿を生成させて、スラリーを得た。得られたスラリーについて、固液分離を行い、蒸留水により洗浄して、遷移金属複合水酸化物を得た。150℃で乾燥させて共沈物B3を得た。
比較例3と同様の操作を行い、共沈物Q6を得た。共沈物Q6と、炭酸リチウムと、不活性溶融剤として硫酸カリウムとを乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中850℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、300℃で6時間乾燥して粉末状のリチウム複合金属酸化物R6を得た。前記R6の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.30:0.10となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R7を得た。リチウム複合金属酸化物R7の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.20:0.20となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R8を得た。リチウム複合金属酸化物R8の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
焼成温度が800℃となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R9を得た。リチウム複合金属酸化物R9の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
Ni:Mn:Coのモル比が0.33:0.34:0.33となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R10を得た。リチウム複合金属酸化物R10の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
不活性溶融剤として炭酸カリウムを用いた以外は、実施例6と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R11を得た。リチウム複合金属酸化物R11の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
Ni:Mn:Coのモル比が0.33:0.34:0.33となるようにした以外は、実施例11と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R12を得た。リチウム複合金属酸化物R12の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.30:0.10となるようにした以外は、実施例11と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R13を得た。リチウム複合金属酸化物R13の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.20:0.20となるようにした以外は、実施例11と同様の操作を行い、リチウム複合金属酸化物R14を得た。リチウム複合金属酸化物R14の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
1.遷移金属複合水酸化物の製造と評価
ニッケルの水溶性塩として硫酸ニッケル六水和物、マンガンの水溶性塩として硫酸マンガン一水和物、コバルトの水溶性塩として硫酸コバルト七水和物を用い、Ni:Mn:Coのモル比が0.33:0.34:0.33となるようにそれぞれ秤量し、純水に溶解してNi、MnおよびCoを含有する遷移金属水溶液を得た。また、錯化剤として硫酸アンモニウム水溶液を用い、アルカリ金属水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いた。次いで、反応槽内に前記遷移金属水溶液と、錯化剤と、アルカリ金属水溶液とを同時に投入することにより、共沈を行い、沈殿物を生成させて、共沈物スラリーを得た。共沈時には、反応槽内のpHが12で維持されるように水酸化ナトリウム水溶液の投入量を調節し、反応槽内の温度は45℃に調節した。また、反応槽内は攪拌翼により攪拌した。得られた共沈物スラリーについて、固液分離を行い、蒸留水により洗浄して、遷移金属複合水酸化物を得、100℃で乾燥させて共沈物Q15を得た。
共沈物Q15と、水酸化リチウム一水和物と、硫酸カリウムとを乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中800℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、300℃で6時間乾燥して、粉末状のリチウム複合金属酸化物R15を得た。前記R15の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
粉末R15を用いてコイン型電池を作製した。電極の作製方法2を選択した。非水電解質二次電池R15について、サイクル試験を行い、サイクル挙動を確認したところ、1サイクル目の放電容量と2サイクル目の放電容量とは、ほぼ同程度であり、その後サイクルを重ねても放電容量は単調減少し、サイクル挙動に問題は確認されなかった。
Ni:Mn:Coのモル比が0.47:0.48:0.05となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物R16を得た。前記R16の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
Ni:Mn:Coのモル比が0.40:0.50:0.10となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物R17を得た。前記R17の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
(1)塗工スラリーの製造
NMP4200gに塩化カルシウム272.7gを溶解した後、これにパラフェニレンジアミン132.9gを添加して完全に溶解させた。得られた溶液に、テレフタル酸ジクロライド243.3gを徐々に添加して重合し、パラアラミドを得て、さらにNMPで希釈して、濃度2.0重量%のパラアラミド溶液(A)を得た。得られたパラアラミド溶液100gに、アルミナ粉末(a)2g(日本アエロジル社製、アルミナC、平均粒径0.02μm)とアルミナ粉末(b)2g(住友化学株式会社製スミコランダム、AA03、平均粒径0.3μm)とをフィラーとして計4g添加して混合し、ナノマイザーで3回処理し、さらに1000メッシュの金網で濾過、減圧下で脱泡して、塗工スラリー(B)を製造した。パラアラミドおよびアルミナ粉末の合計重量に対するアルミナ粉末(フィラー)の重量は、67重量%となる。
多孔質フィルムとしては、ポリエチレン製多孔質フィルム(膜厚12μm、透気度140秒/100cc、平均孔径0.1μm、空孔率50%)を用いた。厚み100μmのPETフィルムの上に上記ポリエチレン製多孔質フィルムを固定し、テスター産業株式会社製バーコーターにより、該多孔質フィルムの上に塗工スラリー(B)を塗工した。PETフィルムと塗工された該多孔質フィルムとを一体にしたまま、水中に浸漬させ、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)を析出させた後、溶媒を乾燥させて、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層された積層フィルム1を得た。積層フィルム1の厚みは16μmであり、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)の厚みは4μmであった。積層フィルム1の透気度は180秒/100cc、空孔率は50%であった。積層フィルム1における耐熱多孔層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察をしたところ、0.03〜0.06μm程度の比較的小さな微細孔と0.1〜1μm程度の比較的大きな微細孔とを有することがわかった。尚、積層フィルムの評価は以下の方法で行った。
(A)厚み測定
積層フィルムの厚み、多孔質フィルムの厚みは、JIS規格(K7130−1992)に従い、測定した。また、耐熱多孔層の厚みとしては、積層フィルムの厚みから多孔質フィルムの厚みを差し引いた値を用いた。
(B)ガーレー法による透気度の測定
積層フィルムの透気度は、JIS P8117に基づいて、株式会社安田精機製作所製のデジタルタイマー式ガーレー式デンソメータで測定した。
(C)空孔率
得られた積層フィルムのサンプルを一辺の長さ10cmの正方形に切り取り、重量W(g)と厚みD(cm)を測定した。サンプル中のそれぞれの層の重量(Wi(g);iは1からnの整数)を求め、Wiとそれぞれの層の材質の真比重(真比重i(g/cm3))とから、それぞれの層の体積を求めて、次式より空孔率(体積%)を求めた。
空孔率(体積%)=100×{1−(W1/真比重1+W2/真比重2+・・+Wn/真比重n)/(10×10×D)}
Claims (16)
- Mの複合金属水酸化物(ここで、Mはニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群より選ばれる2種以上の元素を表す。)と炭酸リチウムとの混合物を、Aの塩化物、Aの炭酸塩、硫酸カリウムおよび硫酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上の不活性溶融剤(ここで、Aは、Na、K、Rb、Cs、Ca、Mg、SrおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)の存在下で焼成することを特徴とする、式(1)で表される非水電解質二次電池正極活物質用リチウム複合金属酸化物の製造方法。
LiMO 2 (1)
(ここで、Mはニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群より選ばれる2種以上の元素を表す。)。 - 前記Mの複合金属水酸化物を共沈によって得る請求項1に記載の製造方法。
- 前記共沈が、以下の(1)、(2)の工程をこの順で含む、請求項2に記載の製造方法。
(1)ニッケルとニッケル以外の元素1種以上とを含有する水溶液と沈殿剤とを接触させて共沈物スラリーを得る工程。
(2)該共沈物スラリーから、共沈物を得る工程。 - 不活性溶融剤が、Aの炭酸塩および/またはAの塩化物である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- Aが、Naおよび/またはKである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 不活性溶融剤が、リチウム化合物100重量部に対して0.1重量部以上400重量部
以下である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 - 焼成における保持温度が、200〜1150℃の範囲である請求項1〜6のいずれかに
記載の製造方法。 - 前記Mが、ニッケル、コバルトおよびマンガンである請求項1に記載の製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法によって得られるリチウム複合金属酸化物が、式(2)で表
されることを特徴とする製造方法。
Lia(Ni1−(x+y)MnxCoy)O2 (2)
(ここで、0.9≦a≦1.3、0.3≦x≦0.6、0.01≦y≦0.4、0.31
≦x+y≦0.7である。) - 焼成における保持温度が、650〜950℃の範囲である請求項8または9に記載の
製造方法。 - 不活性溶融剤が、硫酸カリウムおよび/または硫酸ナトリウムである請求項8〜10の
いずれかに記載の製造方法。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法によって得られた非水電解質二次電池正極活物質用リチウム複合金属酸化物。
- 請求項12に記載のリチウム複合金属酸化物を有する非水電解質二次電池用電極。
- 請求項13に記載の電極を、正極として有する非水電解質二次電池。
- さらにセパレータを有する請求項14記載の非水電解質二次電池。
- セパレータが、耐熱多孔層と熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムである請求項15に記載の非水電解質二次電池。
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