上記従来の下部走行体の構成では、油圧配管が下部フレームの旋回体支持部及びアクスルの下側を通って延びているとともに配管ダクト内に収容されていることから、クローラ装置がアクスルに沿って移動するときに油圧配管に振れ等が生じる場合でも、アクスル上に一般的に設けられるトランスリフタ用ブラケットやカーボディウェイト用ブラケット等の各種突起物に油圧配管が引っ掛かったり、突起物とクローラ装置との間に油圧配管が挟み込まれたりしてその油圧配管が損傷するのを防ぐことができるというメリットがある。しかしながら、上記構成では、油圧配管の接続作業、交換作業、点検作業及びメンテナンス作業が煩雑になるという別の問題が生じる。その理由は、以下の通りである。
上記構成では、油圧配管が下部フレームの旋回体支持部及びアクスルの下側を通って延びているとともに配管ダクト内に収容されているため、油圧配管の接続作業、交換作業又はメンテナンス作業を行うには、下部フレームの下側に潜り込む必要があるとともに、配管ダクト内への油圧配管の導入及び/又は配管ダクト内からの油圧配管の取り出しを行う必要があり、その作業が煩雑になる。また、油圧配管は、旋回体支持部及びアクスルの下側に隠れているとともに配管ダクトで覆われていて外側からの目視が困難であるため、油圧配管を点検しようとすると、下部フレームの下側に潜り込んで点検を行う必要があり、点検作業も煩雑になる。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、建設機械の下部走行体において、配管の損傷を防ぎつつ、配管の接続作業、交換作業、点検作業及びメンテナンス作業を簡略化することである。
上記目的を達成するために、本発明による建設機械の下部走行体は、上部旋回体が旋回自在となるように搭載される建設機械の下部走行体であって、前記上部旋回体を下から支持する旋回体支持部と、その旋回体支持部の前後に分かれて配置されて当該旋回体支持部に取り付けられ、前記下部走行体の幅方向に延びる一対のアクスルとを有する下部フレームと、前記下部走行体の幅方向において前記旋回体支持部の両側に分かれて配置され、前記一対のアクスルの前後に突出するように延び、前記下部走行体の幅方向に移動可能となるように前記一対のアクスルによって支持された一対のクローラ装置と、前記各クローラ装置へ油圧を供給するための可撓性を有する配管と、前記各クローラ装置の移動に伴う前記配管の動きを規制するための規制部材と、地面に対して前記下部フレームを持ち上げるための複数のトランスリフタとを備え、前記配管は、前記各クローラ装置の前端部と後端部のうちの少なくとも一方から対応する前記アクスル上を通って前記旋回体支持部へ延びるように設けられ、前記規制部材は、前記一対のアクスルのうち前記配管が配置された側のアクスルの上面に設けられ、前記各クローラ装置が前記下部走行体の幅方向に移動するのに伴って前記配管が動くときにその配管の動く範囲を制限し、前記下部フレームは、前記各アクスルに設けられ、前記トランスリフタを取り付けるためのトランスリフタ用ブラケットを有し、前記トランスリフタ用ブラケットは、前記各アクスルのうち前記クローラ装置が前記下部走行体の幅方向において最も内側に配置されたときの位置よりも内側の位置において、そのアクスルの前記旋回体支持部と反対側の端縁から突出し、前記規制部材は、前記配管が配置された側の前記アクスル上で前記トランスリフタ用ブラケットの前記旋回体支持部側の位置に配置され、前記トランスリフタ用ブラケットの高さ位置から上側へ離れた高さ位置において前記配管が下方へ移動するのを阻止するようにその配管に下側から接触する下側規制部と、その下側規制部から上方へ延び、前記配管が前記下部走行体の幅方向内側へ移動するのを阻止するようにその配管に前記幅方向内側から接触する内側規制部とを有する(請求項1)。
この建設機械の下部走行体では、配管がアクスル上を通って旋回体支持部へ延びるように設けられているため、配管の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業時に、下部走行体の外部から配管に容易にアクセスできるとともに、従来のように配管ダクト内への配管の導入及び/又は配管ダクト内からの配管の取り出しを行う必要もない。このため、配管の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。また、配管を下部走行体の外部から容易に目視できるので、配管の点検作業も簡略化することができる。さらに、この建設機械の下部走行体では、アクスルの上面に設けられた規制部材が、クローラ装置の移動に伴って配管が動くときにその配管の動く範囲を特定の範囲に制限するので、配管が自由に動く場合に比べて、アクスルに設けられた突起物に配管が引っ掛かったり、その突起物とクローラ装置との間に配管が挟み込まれるといった状況が生じるのを有効に回避でき、その結果、配管の損傷を防ぐことができる。従って、この建設機械の下部走行体では、配管の損傷を防ぎつつ、配管の接続作業、交換作業、点検作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。また、この建設機械の下部走行体では、内側規制部と下側規制部により、下部走行体の幅方向内側へのクローラ装置の移動に伴って配管が前記幅方向内側へ移動しつつその自重により下方へ落ちるのを防ぐことができ、その結果、配管がトランスリフタ用ブラケットの内側の端縁に引っ掛かるのを防ぐことができる。このため、その後、クローラ装置が下部走行体の幅方向外側へ移動するときに、配管がトランスリフタ用ブラケットの内側の端縁によって損傷するのを防ぐことができる。
上記建設機械の下部走行体において、前記規制部材は、前記下側規制部から上側へ離れた位置に配置されて前記内側規制部に取り付けられ、前記配管が上方へ移動するのを阻止するようにその配管に上側から接触する上側規制部を有することが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、上側規制部により、配管が浮き上って内側規制部を乗り越えるのを阻止することができる。このため、配管がトランスリフタ用ブラケットの内側の端縁に引っ掛かるのをより確実に防ぐことができる。
上記規制部材が下側規制部と内側規制部を有する構成において、前記規制部材は、前記内側規制部から前記下部走行体の幅方向外側に離れた位置で前記下側規制部から上方へ延び、前記配管が前記下部走行体の幅方向外側へ移動するのを阻止するようにその配管に前記幅方向外側から接触する外側規制部を有していてもよい(請求項3)。
この構成によれば、上記のように配管がトランスリフタ用ブラケットの内側の端縁に引っ掛かって損傷するのを内側規制部と下側規制部により防ぐことができるのに加えて、下部走行体の幅方向外側へのクローラ装置の移動に伴って配管が前記幅方向外側へ移動しつつその自重により下方へ落ちるのを外側規制部と下側規制部によって阻止することができ、その後、クローラ装置が下部走行体の幅方向内側へ移動するときに配管がトランスリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間に挟み込まれて損傷するのを防ぐことができる。
この場合において、前記規制部材は、前記下側規制部から上側へ離れた位置に配置されて前記内側規制部と前記外側規制部との間に架設され、前記配管が上方へ移動するのを阻止するようにその配管に上側から接触する上側規制部を有することが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、上側規制部により、配管が浮き上って内側規制部又は外側規制部を乗り越えるのを阻止することができる。このため、配管が、トランスリフタ用ブラケットの内側の端縁に引っ掛かったり、トランスリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間に挟み込まれたりするのをより確実に防ぐことができる。
上記規制部材が内側規制部と外側規制部を有する構成において、前記内側規制部は、前記下部走行体の幅方向における前記トランスリフタ用ブラケットの内側の端縁よりも内側の位置に配置され、前記外側規制部は、前記下部走行体の幅方向における前記トランスリフタ用ブラケットの外側の端縁よりも外側の位置に配置されていることが好ましい(請求項5)。
この構成によれば、下部走行体の幅方向における配管の移動範囲を比較的大きく確保することができる。このため、下部走行体の幅方向にクローラ装置が移動するときに、配管に大きな曲げ変形が加えられるのを防ぐことができ、そのような曲げ変形に起因する配管の損傷を抑制することができる。
上記規制部材が内側規制部と上側規制部を有する構成において、前記下部走行体を安定させるための複数のカーボディウェイトをさらに備え、前記下部フレームは、前記各アクスルに設けられ、前記カーボディウェイトを取り付けるためのカーボディウェイト用ブラケットを有し、前記カーボディウェイト用ブラケットは、前記各アクスルにおいて前記トランスリフタ用ブラケットよりも前記下部走行体の幅方向内側の位置でそのアクスルの上面から上側へ突出するように設けられ、前記規制部材は、前記下部走行体の幅方向において前記カーボディウェイト用ブラケットよりも外側の位置に配置されていてもよい(請求項6)。
この構成によれば、下部走行体の幅方向内側へのクローラ装置の移動に伴って配管が前記幅方向内側へ移動しつつ浮き上がるのを規制部材の内側規制部と上側規制部によって阻止して、配管が下部走行体の幅方向において内側規制部のさらに内側に位置するカーボディウェイト用ブラケットを乗り越えるのを阻止することができる。このため、その後、クローラ装置が下部走行体の幅方向外側へ移動するときに、配管がカーボディウェイト用ブラケットに引っ掛かって損傷するのを防ぐことができる。
また、本発明による建設機械の下部走行体は、上部旋回体が旋回自在となるように搭載される建設機械の下部走行体であって、前記上部旋回体を下から支持する旋回体支持部と、その旋回体支持部の前後に分かれて配置されて当該旋回体支持部に取り付けられ、前記下部走行体の幅方向に延びる一対のアクスルとを有する下部フレームと、前記下部走行体の幅方向において前記旋回体支持部の両側に分かれて配置され、前記一対のアクスルの前後に突出するように延び、前記下部走行体の幅方向に移動可能となるように前記一対のアクスルによって支持された一対のクローラ装置と、前記各クローラ装置へ油圧を供給するための可撓性を有する配管と、前記各クローラ装置の移動に伴う前記配管の動きを規制するための規制部材と、地面に対して前記下部フレームを持ち上げるための複数のトランスリフタとを備え、前記配管は、前記各クローラ装置の前端部と後端部のうちの少なくとも一方から対応する前記アクスル上を通って前記旋回体支持部へ延びるように設けられ、前記規制部材は、前記一対のアクスルのうち前記配管が配置された側のアクスルの上面に設けられ、前記各クローラ装置が前記下部走行体の幅方向に移動するのに伴って前記配管が動くときにその配管の動く範囲を制限し、前記下部フレームは、前記各アクスルに設けられ、前記トランスリフタを取り付けるためのトランスリフタ用ブラケットを有し、前記トランスリフタ用ブラケットは、前記各アクスルのうち前記クローラ装置が前記下部走行体の幅方向において最も内側に配置されたときの位置よりも内側の位置において、そのアクスルの前記旋回体支持部と反対側の端縁から突出し、前記規制部材は、前記配管が配置された側のアクスル上で前記トランスリフタ用ブラケットの前記旋回体支持部側の位置に配置され、前記トランスリフタ用ブラケットの高さ位置から上側へ離れた高さ位置において前記配管が下方へ移動するのを阻止するようにその配管に下側から接触する下側規制部と、その下側規制部から上方へ延び、前記配管が前記下部走行体の幅方向外側へ移動するのを阻止するようにその配管に前記幅方向外側から接触する外側規制部とを有する(請求項7)。
この建設機械の下部走行体では、配管がアクスル上を通って旋回体支持部へ延びるように設けられているため、配管の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業時に、下部走行体の外部から配管に容易にアクセスできるとともに、従来のように配管ダクト内への配管の導入及び/又は配管ダクト内からの配管の取り出しを行う必要もない。このため、配管の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。また、配管を下部走行体の外部から容易に目視できるので、配管の点検作業も簡略化することができる。さらに、この建設機械の下部走行体では、アクスルの上面に設けられた規制部材が、クローラ装置の移動に伴って配管が動くときにその配管の動く範囲を特定の範囲に制限するので、配管が自由に動く場合に比べて、アクスルに設けられた突起物に配管が引っ掛かったり、その突起物とクローラ装置との間に配管が挟み込まれるといった状況が生じるのを有効に回避でき、その結果、配管の損傷を防ぐことができる。従って、この建設機械の下部走行体では、配管の損傷を防ぎつつ、配管の接続作業、交換作業、点検作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。また、この建設機械の下部走行体では、外側規制部と下側規制部により、下部走行体の幅方向外側へのクローラ装置の移動に伴って配管が前記幅方向外側へ移動しつつその自重により下方へ落ちるのを防ぐことができ、その結果、配管がトランスリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間に配置されるのを防ぐことができる。このため、その後、クローラ装置が下部走行体の幅方向内側へ移動するときに、配管がトランスリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間に挟み込まれて損傷するのを防ぐことができる。
この場合において、前記規制部材は、前記下側規制部から上側へ離れた位置に配置されて前記外側規制部に取り付けられ、前記配管が上方へ移動するのを阻止するようにその配管に上側から接触する上側規制部を有することが好ましい(請求項8)。
この構成によれば、上側規制部により、配管が浮き上って外側規制部を乗り越えるのを阻止することができる。このため、配管が、トランスリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間に挟み込まれるのをより確実に防ぐことができる。
また、本発明による建設機械の下部走行体は、上部旋回体が旋回自在となるように搭載される建設機械の下部走行体であって、前記上部旋回体を下から支持する旋回体支持部と、その旋回体支持部の前後に分かれて配置されて当該旋回体支持部に取り付けられ、前記下部走行体の幅方向に延びる一対のアクスルとを有する下部フレームと、前記下部走行体の幅方向において前記旋回体支持部の両側に分かれて配置され、前記一対のアクスルの前後に突出するように延び、前記下部走行体の幅方向に移動可能となるように前記一対のアクスルによって支持された一対のクローラ装置と、前記各クローラ装置へ油圧を供給するための可撓性を有する配管と、前記各クローラ装置の移動に伴う前記配管の動きを規制するための規制部材と、前記下部走行体を安定させるための複数のカーボディウェイトとを備え、前記配管は、前記各クローラ装置の前端部と後端部のうちの少なくとも一方から対応する前記アクスル上を通って前記旋回体支持部へ延びるように設けられ、前記規制部材は、前記一対のアクスルのうち前記配管が配置された側のアクスルの上面に設けられ、前記各クローラ装置が前記下部走行体の幅方向に移動するのに伴って前記配管が動くときにその配管の動く範囲を制限し、前記下部フレームは、前記各アクスルに設けられ、前記カーボディウェイトを取り付けるためのカーボディウェイト用ブラケットを有し、前記カーボディウェイト用ブラケットは、前記各アクスルのうち前記クローラ装置が前記下部走行体の幅方向において最も内側に配置されたときの位置よりも内側の位置において、そのアクスルの上面から上方へ突出するように設けられ、前記規制部材は、前記配管が配置された側の前記アクスル上で前記カーボディウェイト用ブラケットに対して前記下部走行体の幅方向外側の位置に配置され、前記配管が前記下部走行体の幅方向内側へ移動するのを阻止するようにその配管に前記幅方向内側から接触する内側規制部と、前記アクスルの上面から上方へ離れた位置に配置されて前記内側規制部から前記幅方向外側へ延び、前記配管が上方へ移動するのを阻止するようにその配管に上側から接触する上側規制部とを有する(請求項9)。
この建設機械の下部走行体では、配管がアクスル上を通って旋回体支持部へ延びるように設けられているため、配管の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業時に、下部走行体の外部から配管に容易にアクセスできるとともに、従来のように配管ダクト内への配管の導入及び/又は配管ダクト内からの配管の取り出しを行う必要もない。このため、配管の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。また、配管を下部走行体の外部から容易に目視できるので、配管の点検作業も簡略化することができる。さらに、この建設機械の下部走行体では、アクスルの上面に設けられた規制部材が、クローラ装置の移動に伴って配管が動くときにその配管の動く範囲を特定の範囲に制限するので、配管が自由に動く場合に比べて、アクスルに設けられた突起物に配管が引っ掛かったり、その突起物とクローラ装置との間に配管が挟み込まれるといった状況が生じるのを有効に回避でき、その結果、配管の損傷を防ぐことができる。従って、この建設機械の下部走行体では、配管の損傷を防ぎつつ、配管の接続作業、交換作業、点検作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。また、この建設機械の下部走行体では、内側規制部と上側規制部により、下部走行体の幅方向内側へのクローラ装置の移動に伴って配管が前記幅方向内側へ移動しつつ上側へ移動するのを阻止することができ、その結果、配管が下部走行体の幅方向において内側規制部のさらに内側に位置するカーボディウェイト用ブラケットを乗り越えるのを阻止することができる。このため、その後、クローラ装置が下部走行体の幅方向外側へ移動するときに、配管がカーボディウェイト用ブラケットに引っ掛かって損傷するのを防ぐことができる。
以上説明したように、本発明によれば、建設機械の下部走行体において、配管の損傷を防ぎつつ、配管の接続作業、交換作業、点検作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による下部走行体1について説明する。
この第1実施形態による下部走行体1は、図1に示すようなクローラクレーンに適用されるものであり、このクローラクレーンは、本発明の建設機械の一例である。このクローラクレーンは、吊り作業を行うための起伏部材2が起伏自在となるように設けられた上部旋回体3と、当該第1実施形態による下部走行体1とを備えている。上部旋回体3は、縦軸回りに旋回自在となるように下部走行体1上に搭載されている。上部旋回体3は、油圧ポンプ等の油圧供給装置(図示せず)を備えている。
この第1実施形態による下部走行体1は、クローラ式であり、下部フレーム4(図2参照)と、一対のクローラ装置6と、一対の油圧シリンダ7と、複数の油圧配管8と、2つの規制部材9と、図略の4つのトランスリフタと、図略の複数のカーボディウェイトとを備えている。なお、以下の説明において、後述の駆動輪26が配置されている側を後側といい、後述の遊動輪28が配置されている側を前側という。また、以下の説明において、右側とは、前記前側へ向かって右側のことであり、左側とは、前記前側へ向かって左側のことである。
下部フレーム4は、図2に示すように、旋回体支持部12と、一対のアクスル14と、4つのトランスリフタ用ブラケット16(以下、リフタ用ブラケット16という)と、4つのカーボディウェイト用ブラケット18(以下、ウェイト用ブラケット18という)とを有する。
旋回体支持部12は、下部フレーム4の中央に位置し、上部旋回体3を下から支持するものである。この旋回体支持部12は、円環状のベアリング支持部20を有している。このベアリング支持部20には、図略の旋回ベアリングが同心となるように取り付けられ、その旋回ベアリングを介して上部旋回体3が旋回自在となるように旋回体支持部12上に搭載される。ベアリング支持部20の後部の左右両側の各所定箇所には、当該ベアリング支持部20を径方向に貫通する配管通し穴22(図3参照)が設けられている。
一対のアクスル14は、旋回体支持部12の前後に分かれて配置され、旋回体支持部12に取り付けられている。この一対のアクスル14は、一対のクローラ装置6を支持するものである。両アクスル14は、旋回体支持部12の左右両側に突出するように下部走行体1の幅方向(左右方向)に延びている。各アクスル14は、略矩形断面を有する細長い箱形に形成されている。前側のアクスル14と後側のアクスル14は、互いに対称形となるように構成されている。
リフタ用ブラケット16は、地面に対して下部フレーム4を持ち上げるための図略のトランスリフタを取り付けるためのものであり、前側のアクスル14と後側のアクスル14にそれぞれ2つずつ設けられている。すなわち、下部フレーム4の前側と後側にそれぞれ2つずつ合計で4つのトランスリフタが設けられ、下部走行体1の幅方向へのクローラ装置6の移動時やアクスル14に対するクローラ装置6の着脱時等にそれら4つのトランスリフタによって下部フレーム4を持ち上げるようになっている。
各リフタ用ブラケット16は、平板状に形成されており、それが設けられたアクスル14と上面が面一になるように配置されているとともに、そのアクスル14の旋回体支持部12と反対側の端縁から突出している。すなわち、前側のアクスル14に設けられたリフタ用ブラケット16は、前側のアクスル14の前端縁から前側へ突出しており、後側のアクスル14に設けられたリフタ用ブラケット16は、後側のアクスル14の後端縁から後側へ突出している。前側のアクスル14に設けられた2つのリフタ用ブラケット16と後側のアクスル14に設けられた2つのリフタ用ブラケット16とは、前後対称となるように構成されており、その構成は共通しているので、以下、後側の2つのリフタ用ブラケット16の構成について代表して説明する。
後側の2つのリフタ用ブラケット16は、下部フレーム4の幅方向の中心線に対して左右対称となるように配置されている。以下、後側の2つのリフタ用ブラケット16のうち右側に配置されたものを右後側のリフタ用ブラケット16といい、左側に配置されたものを左後側のリフタ用ブラケット16という。右後側のリフタ用ブラケット16は、下部走行体1の幅方向の中心位置と後側のアクスル14の右端との間の中間の位置であって、右側のクローラ装置6が最も下部走行体1の幅方向内側に配置されたときのそのクローラ装置6の内側の端縁から内側に少し離れた位置に配置されている。左後側のリフタ用ブラケット16の構成は、右後側のリフタ用ブラケット16の構成と共通している。
ウェイト用ブラケット18は、下部走行体1を安定させるための図略のカーボディウェイトを取り付けるためのものであり、前側のアクスル14と後側のアクスル14にそれぞれ2つずつ設けられている。前側のアクスル14に設けられた2つのアクスル14が一対となって前側のカーボディウェイトを支持し、後側のアクスル14に設けられた2つのアクスル14が一対となって後側のカーボディウェイトを支持する。前側のアクスル14に設けられた2つのウェイト用ブラケット18と後側のアクスル14に設けられた2つのウェイト用ブラケット18とは、前後対称となるように構成されており、その構成は共通しているので、以下、後側の2つのウェイト用ブラケット18の構成について代表して説明する。
後側の2つのウェイト用ブラケット18は、それぞれ平板状に形成されており、下部走行体1(下部フレーム4)の幅方向の中心線に対して左右対称となるように配置されている。以下、後側の2つのウェイト用ブラケット18のうち右側に配置されたものを右後側のウェイト用ブラケット18といい、左側に配置されたものを左後側のウェイト用ブラケット18という。右後側のウェイト用ブラケット18は、後側のアクスル14においてリフタ用ブラケット16よりも下部走行体1の幅方向内側の位置で且つ下部走行体1の幅方向の中心位置よりも外側の位置に配置されている。右後側のウェイト用ブラケット18は、後側のアクスル14の上面に対して垂直になるように配置され、そのアクスル14の上面から上側へ突出するとともにそのアクスル14の後端縁から後側へ突出するように設けられている。右後側のウェイト用ブラケット18の構成は、左後側のウェイト用ブラケット18の構成と共通している。
一対のクローラ装置6は、下部走行体1の走行機能を担うものである。一対のクローラ装置6は、下部走行体1の幅方向において下部フレーム4の旋回体支持部12の両側に分かれて配置されており、下部走行体1の前後方向に延びている。すなわち、一対のクローラ装置6は、旋回体支持部12の左右両側に分かれて配置され、一対のアクスル14の前後に突出するように延びている。一対のクローラ装置6は、左右対称となるように構成されており、その構成は共通しているので、右側のクローラ装置6の構成について代表して説明する。
右側のクローラ装置6は、クローラフレーム24と、駆動輪26(図1参照)と、遊動輪28(図1参照)と、クローラ30(図1参照)と、図略のクローラ駆動用モータとを有している。
クローラフレーム24は、前後方向に延びており、その前端部に遊動輪28が設けられ、その後端部に駆動輪26が設けられている。クローラ30は、遊動輪28及び駆動輪26を介してクローラフレーム24の外周に装着されており、駆動輪26の回転により回動するようになっている。クローラフレーム24のうち各アクスル14に対応する位置には、挿通穴24aがそれぞれ設けられており、その各挿通穴24aに対応するアクスル14が挿通されている。これにより、クローラフレーム24は、一対のアクスル14により、下部走行体1の幅方向にアクスル14に沿って移動可能となるように支持されている。
図略のクローラ駆動用モータは、油圧モータであり、駆動輪26を駆動するためのものである。すなわち、クローラ駆動用モータは、駆動輪26を回転させ、それによってクローラ30を回動させて下部走行体1を走行させる。クローラ駆動用モータは、クローラ装置6の後端部に配置されている。具体的には、クローラ駆動用モータは、クローラフレーム24の後端部の駆動輪26近傍の位置に設けられている。
一対の油圧シリンダ7は、左右のクローラ装置6を下部走行体1の幅方向に移動させるためのものである。両油圧シリンダ7は、前側のアクスル14と後側のアクスル14との間に配置されている。また、一対の油圧シリンダ7は、左右に分かれて配置されている。右側の油圧シリンダ7は、旋回体支持部12と右側のクローラフレーム24との間に架設されていて右側のクローラ装置6を下部走行体1の幅方向に移動させ、左側の油圧シリンダ7は、旋回体支持部12と左側のクローラフレーム24との間に架設されていて左側のクローラ装置6を下部走行体1の幅方向に移動させる。
油圧配管8は、上部旋回体3に設けられた油圧供給装置から各クローラ装置6のクローラ駆動用モータへ油圧を供給するためのものである。油圧配管8は、可撓性を有する油圧ホースからなっている。下部走行体1には、油圧供給装置から右側のクローラ装置6のクローラ駆動用モータへ油圧を供給する右後側の複数の油圧配管8と、油圧供給装置から左側のクローラ装置6のクローラ駆動用モータへ油圧を供給する左後側の複数の油圧配管8とが設けられている。右後側の複数の油圧配管8は、右側のクローラ装置6の後端部のクローラ駆動用モータから後側のアクスル14の上側を通り、旋回体支持部12の右後部の配管通し穴22を通って旋回体支持部12の内側へ延び、上部旋回体3へ至るように設けられている。左後側の複数の油圧配管8は、左側のクローラ装置6の後端部のクローラ駆動用モータから後側のアクスル14の上側を通り、旋回体支持部12の左後部の配管通し穴22を通って旋回体支持部12の内側へ延び、上部旋回体3へ至るように設けられている。右後側の複数の油圧配管8と左後側の複数の油圧配管8は、それぞれ、所定箇所で束ねられている。右後側の油圧配管8及び左後側の油圧配管8は、共に、対応するクローラ装置6が下部走行体1の幅方向において最も外側の位置に配置されたときでも、少しゆとりのある長さを有している。
規制部材9は、下部走行体1の幅方向へのクローラ装置6の移動に伴う油圧配管8の動きを規制するためのものである。具体的には、油圧配管8は、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向に移動することによって振れたりうねったりするような動きを生じる。規制部材9は、この油圧配管8が動く範囲を所定の範囲に制限するためのものである。2つの規制部材9は、後側のアクスル14の上面に設けられており、下部フレーム4の幅方向の中心線に対して左右対称となるように配置されている。右側の規制部材9は、右後側の複数の油圧配管8の動きを規制するものであり、左側の規制部材9は、左後側の複数の油圧配管8の動きを規制するものである。右側の規制部材9と左側の規制部材9は、左右対称となるように構成されており、その構成は共通しているので、以下、右側の規制部材9の構成について代表して説明する。
右側の規制部材9は、後側のアクスル14上において、右側のリフタ用ブラケット16の旋回体支持部12側(前側)で、右後側のウェイト用ブラケット18と最も内側に配置されたときの右側のクローラ装置6の左端縁との間の位置に配置されている。右側の規制部材9は、図4に示すように、2つの基部32と、下側規制部34と、内側規制部36と、外側規制部38と、上側規制部40とを備えている。
2つの基部32は、規制部材9の下部に配置されており、後側のアクスル14に対して着脱可能となるように取り付けられている。具体的には、後側のアクスル14の上面のうち右後側のリフタ用ブラケット16の前側で且つ右後側のウェイト用ブラケット18の右側の領域において2つの取付ブロック14aが互いに離間して設けられており、各取付ブロック14aには、ボルト穴が形成されている。2つの基部32は、2つの取付ブロック14aに対応する位置に配置されてそれらの取付ブロック14a上に設置されており、当該各基部32の下端部が対応する取付ブロック14aにボルトによって締結されている。各基部32は、各取付ブロック14aから上方へ延びている。
下側規制部34は、右後側のリフタ用ブラケット16の高さ位置(後側のアクスル14の上面の高さ位置)から上側へ離れた高さ位置において、右後側の油圧配管8が下側へ移動するのを阻止するようにその油圧配管8に下側から接触するものである。下側規制部34は、後側のアクスル14上で右後側のリフタ用ブラケット16の前側の位置に配置され、前記2つの基部32の上端部に取り付けられている。下側規制部34は、直線的に延びる棒状の部材であり、右後側のリフタ用ブラケット16の幅方向両側に亘る範囲に配置されている。下側規制部34は、後側のアクスル14の上面に対して平行に延びるとともに、右側へ向かうにつれて僅かに後側へ向かうように斜めに延びている。
内側規制部36は、右後側の油圧配管8が下部走行体1の幅方向内側(左側)へ移動するのを阻止するようにその油圧配管8に前記幅方向内側(左側)から接触するものである。この内側規制部36は、直線的に延びる棒状の部材であり、下部走行体1の幅方向における下側規制部34の内側の端部(左端部)に結合され、その端部から上方へ延びている。内側規制部36は、下部走行体1の幅方向において、右後側のリフタ用ブラケット16の内側の端縁(左端縁)よりも内側(左側)で且つ右後側のウェイト用ブラケット18よりも外側(右側)の位置に配置されている。
外側規制部38は、右後側の油圧配管8が下部走行体1の幅方向外側(右側)へ移動するのを阻止するようにその油圧配管8に前記幅方向外側(左側)から接触するものである。この外側規制部38は、直線的に延びる棒状の部材であり、下部走行体1の幅方向における下側規制部34の外側の端部(右端部)に結合され、その端部から上方へ延びている。外側規制部38は、下部走行体1の幅方向において、右後側のリフタ用ブラケット16の外側の端縁(右端縁)よりも外側(右側)で且つ右側のクローラ装置6が下部走行体1の幅方向において最も内側に配置されたときのそのクローラ装置6の内側の端縁よりも内側の位置に配置されている。
上側規制部40は、右後側の油圧配管8が上方へ移動するのを阻止するようにその油圧配管8に上側から接触するものであり、内側規制部36の上端部と外側規制部38の上端部との間に架設されている。この上側規制部40は、細長い平板状の部材であり、下側規制部34と略平行に延びている。上側規制部40は、その左端部が内側規制部36の上端部に、その右端部が外側規制部38の上端部にそれぞれボルトで締結されることによって、内側規制部36及び外側規制部38に対して着脱可能となるように取り付けられている。
以上のような規制部材9の構成により、右後側の油圧配管8は、下側規制部34、内側規制部36、外側規制部38及び上側規制部40によって囲まれた空間内に通されており、当該空間に挿通された部分の左右の移動範囲が内側規制部36と外側規制部38との間の範囲に制限され、当該空間に挿通された部分の上下の移動範囲が上側規制部40と下側規制部34との間の範囲に制限されている。
この第1実施形態では、油圧配管8が後側のアクスル14の上側を通って旋回体支持部12へ延びるように設けられているため、油圧配管8の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業時に、下部走行体1の外部から油圧配管8に容易にアクセスできるとともに、従来のように配管ダクト内への油圧配管の導入及び/又は配管ダクト内からの油圧配管の取り出しを行う必要もない。このため、油圧配管8の接続作業、交換作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。また、油圧配管8を下部走行体1の外部から容易に目視できるので、油圧配管8の点検作業も簡略化することができる。
しかも、この第1実施形態では、後側のアクスル14の上面に設けられた規制部材9が、下部走行体1の幅方向へのクローラ装置6の移動に伴って油圧配管8が動くときにその油圧配管8の動く範囲を制限するので、油圧配管8が自由に動く場合に比べて、後側のアクスル14に設けられたリフタ用ブラケット16やウェイト用ブラケット18に油圧配管8が引っ掛かったり、リフタ用ブラケット16とクローラ装置6との間に油圧配管8が挟み込まれるといった状況が生じるのを有効に回避でき、その結果、油圧配管8の損傷を防ぐことができる。
具体的には、この第1実施形態による規制部材9が設けられていない場合には、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向内側へ移動すると、それに伴って、油圧配管8が前記幅方向内側へ移動しつつその自重により下方へ垂れ下がり、図5に示すようにリフタ用ブラケット16の内側の端縁に引っ掛かる場合がある。この場合に、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向外側へ移動すると、油圧配管8は、リフタ用ブラケット16の内側の端縁によって損傷する。これに対して、この第1実施形態では、規制部材9の内側規制部36と下側規制部34が、下部走行体1の幅方向内側へのクローラ装置6の移動に伴って油圧配管8が前記幅方向内側へ動きつつその自重により下方へ落ちるのを阻止するため、油圧配管8がリフタ用ブラケット16の内側の端縁に引っ掛かるのを防ぐことができる。このため、その後、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向外側へ移動するときに、油圧配管8がリフタ用ブラケット16の内側の端縁によって損傷するのを防ぐことができる。
また、規制部材9が設けられていない場合に、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向外側へ移動すると、それに伴って油圧配管8が前記幅方向外側へ移動しつつその自重により下方へ垂れ下がり、その後、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向内側へ移動したときに、図6に示すようにリフタ用ブラケット16の外側の端縁とクローラ装置6のクローラフレーム24との間に挟み込まれて損傷する虞がある。これに対して、この第1実施形態では、規制部材9の外側規制部38と下側規制部34が、下部走行体1の幅方向外側へのクローラ装置6の移動に伴って油圧配管8が前記幅方向外側へ動きつつその自重により下方へ落ちるのを阻止する。このため、その後、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向内側へ移動するときに、油圧配管8がリフタ用ブラケット16の外側の端縁とクローラ装置6との間に挟み込まれて損傷するのを防ぐことができる。
また、規制部材9が設けられていない場合に、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向内側へ移動したときには、図7に示すように、油圧配管8が浮き上ってウェイト用ブラケット18を乗り越える場合がある。この場合に、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向外側へ移動すると、油圧配管8がウェイト用ブラケット18に引っ掛かって損傷する虞がある。これに対して、この第1実施形態では、規制部材9の内側規制部36及び上側規制部40が、下部走行体1の幅方向内側へのクローラ装置6の移動に伴って油圧配管8が前記幅方向内側へ動きつつ上側へ浮き上がるのを阻止する。このため、油圧配管8がウェイト用ブラケット18を乗り越えるのが阻止され、その後、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向外側へ移動するときに、油圧配管8がウェイト用ブラケット18に引っ掛かって損傷するのを防ぐことができる。
また、この第1実施形態では、上側規制部40が内側規制部36の上端部と外側規制部38の上端部との間に架設されているので、そのような上側規制部40が設けられていない場合に比べて油圧配管8が内側規制部36又は外側規制部38を乗り越えるのを確実に阻止することができる。このため、油圧配管8が、リフタ用ブラケット16の内側の端縁又はウェイト用ブラケット18に引っ掛かったり、リフタ用ブラケット16の外側の端縁とクローラ装置6との間に挟み込まれたりするのを確実に防ぐことができる。
また、この第1実施形態では、内側規制部36は、下部走行体1の幅方向におけるリフタ用ブラケット16の内側の端縁よりも内側の位置に配置され、外側規制部38は、下部走行体1の幅方向におけるリフタ用ブラケット16の外側の端縁よりも外側の位置に配置されているため、規制部材9によって油圧配管8の動きが制限されている中で、下部走行体1の幅方向への油圧配管8の移動範囲を比較的大きく確保することができる。このため、下部走行体1の幅方向にクローラ装置6が移動するときに、油圧配管8に大きな曲げ変形が加えられるのを防ぐことができ、そのような曲げ変形に起因する油圧配管8の損傷を抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、図8及び図9を参照して、本発明の第2実施形態による下部走行体41の構成について説明する。
この第2実施形態による下部走行体41は、上記第1実施形態による下部走行体1の2つの規制部材9と構成の異なる2つの規制部材49を備えている。
この第2実施形態における2つの規制部材49は、同じ形状を有しており、下部フレーム4の幅方向の中心線に対して左右対称となるように配置されている。この2つの規制部材49の構成は共通しているので、以下、右側の規制部材49の構成について代表して説明する。
右側の規制部材49は、後側のアクスル14の上面から突出するように立設されており、右後側のリフタ用ブラケット16の旋回体支持部12側(前側)に配置されている。右側の規制部材49は、内側規制部52と、上側規制部54とを有する。
内側規制部52は、右後側の複数の油圧配管8が下部走行体1の幅方向内側(左側)へ移動するのを阻止するようにその油圧配管8に前記幅方向内側から接触するものである。この内側規制部52は、後側のアクスル14の上面から上方へ直線的に延びる棒状の部材であり、下部走行体1の幅方向において、右後側のウェイト用ブラケット18よりも外側(右側)で且つ右後側のリフタ用ブラケット16の内側の端縁(左端縁)よりも外側(右側)の位置に配置されている。
上側規制部54は、右後側の複数の油圧配管8が上方へ移動するのを阻止するようにその油圧配管8に上側から接触するものであり、後側のアクスル14の上面から上方へ離れた位置で内側規制部52から下部走行体1の幅方向外側へ延びている。具体的には、この上側規制部54は、内側規制部52の上端部から下部走行体1の幅方向外側(右側)へ向かうにつれて旋回体支持部12側(前側)へ向かうように斜めに直線的に延びる棒状の部材である。上側規制部54は、内側規制部52と一体的に形成されており、1本の直棒をL字形に曲げ加工することによって内側規制部52と上側規制部54が形成されている。
この第2実施形態による下部走行体41の上記以外の構成は、上記第1実施形態による下部走行体1の構成と同様である。
この第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、油圧配管8が後側のアクスル14の上側を通って旋回体支持部12へ延びているので、クローラ装置6のクローラ駆動用モータへの油圧配管8の接続作業、その油圧配管8の交換作業、点検作業及びメンテナンス作業を簡略化することができる。
また、この第2実施形態では、規制部材49の内側規制部52と上側規制部54が、下部走行体1の幅方向内側へのクローラ装置6の移動に伴って油圧配管8が前記幅方向内側へ移動しつつ上側へ移動するのを阻止する。このため、油圧配管8が内側規制部52よりも下部走行体1の幅方向内側に位置するウェイト用ブラケット18を乗り越えるのを阻止することができる。このため、クローラ装置6が下部走行体1の幅方向外側へ移動するときに、油圧配管8がウェイト用ブラケット18に引っ掛かって損傷するのを防ぐことができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、左右のクローラ装置の後端部のみにクローラ駆動用モータが設けられているが、左右のクローラ装置の前端部のみにクローラ駆動用モータが設けられていてもよく、また、左右のクローラ装置の前端部と後端部の両方にクローラ駆動用モータが設けられていてもよい。
左右のクローラ装置の前端部のみにクローラ駆動用モータが設けられている場合には、上記実施形態の後側に設けられた油圧配管と規制部材を前側に適用すればよい。また、左右のクローラ装置の前端部と後端部の両方にクローラ駆動用モータが設けられている場合には、上記実施形態の後側に設けられた油圧配管と規制部材に加えて、それと同様の油圧配管及び規制部材を前側に設ければよい。
また、上記第1実施形態において、規制部材から上側規制部を省略してもよい。この場合でも、内側規制部の高さがある程度確保されていれば、油圧配管が内側規制部を乗り越えるのを抑制することができ、その結果、リフタ用ブラケットの内側の端縁への油圧配管の引っ掛かりを防ぐことが可能である。また、外側規制部の高さがある程度確保されていれば、上側規制部が設けられていなくても、油圧配管が外側規制部を乗り越えるのを抑制することができ、その結果、リフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間への油圧配管の挟み込みを防ぐことが可能である。
また、上記第1実施形態において、規制部材から外側規制部を省略してもよい。この場合には、規制部材によりリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間への油圧配管の挟み込みを防ぐことは難しくなるが、リフタ用ブラケットの内側の端縁への油圧配管の引っ掛かり及びウェイト用ブラケットへの油圧配管の引っ掛かりを防ぐことはできる。
また、上記第1実施形態において、規制部材から上側規制部及び外側規制部を省略してもよい。この場合には、規制部材によりリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間への油圧配管の挟み込み及びウェイト用ブラケットへの油圧配管の引っ掛かりを防ぐことは難しくなるが、リフタ用ブラケットの内側の端縁への油圧配管の引っ掛かりを防ぐことはできる。
また、上記第1実施形態において、規制部材から内側規制部を省略してもよい。この場合には、規制部材によりリフタ用ブラケットの内側の端縁への油圧配管の引っ掛かりを防ぐことは難しくなるが、少なくともリフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間への油圧配管の挟み込みを防ぐことはできる。
また、上記第1実施形態において、規制部材から上側規制部及び内側規制部を省略してもよい。この場合には、規制部材によりリフタ用ブラケットの内側の端縁への油圧配管の引っ掛かり及びウェイト用ブラケットへの油圧配管の引っ掛かりを防ぐことは難しくなるが、リフタ用ブラケットの外側の端縁とクローラ装置との間への油圧配管の挟み込みを防ぐことはできる。
また、上側規制部は、必ずしも内側規制部と外側規制部との間に架設されていなくてもよい。すなわち、上側規制部は、内側規制部から外側規制部の手前の所定の位置まで延びていてもよく、外側規制部から内側規制部の手前の所定の位置まで延びていてもよい。
また、上記第1実施形態において、下部走行体の幅方向における内側規制部の設置位置は、リフタ用ブラケットの内側の端縁よりも外側の位置であってもよい。また、下部走行体の幅方向における外側規制部の設置位置は、リフタ用ブラケットの外側の端縁よりも内側の位置であってもよい。
また、上記実施形態では、本発明の建設機械の一例としてのクレーンを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ショベルやその他の建設機械にも本発明を適用することができる。